JP2004011726A - 自動変速機の電動式レンジ切換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】減速歯車機構3の出力軸3aにポテンショメータ21を遊びなく接続する一方、該出力軸3aに対してレンジ切換シャフト4を遊びなく接続させる。また、前記減速歯車機構3の中間ギヤ段を構成し、かつ、同軸に設けられる平歯車34,35の間に、回転方向の遊びを設ける。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータによってレンジ切換バルブを駆動する構成の自動変速機の電動式レンジ切換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの回転駆動力を、減速歯車機構を介してレンジ切換シャフトに伝達し、該レンジ切換シャフトの回転運動によってレンジ切換バルブを駆動する構成とし、回転角センサで検出される前記レンジ切換シャフトの回転角に基づいて前記モータを駆動制御する構成の自動変速機の電動式レンジ切換装置が知られている(特開平7−305770号公報参照)。
【0003】
また、前記電動式レンジ切換装置では、モータによるレンジ切換シャフトの駆動位置が正確でなくても、レンジ切換シャフトがディテント機構による自走によって所望位置に位置決めされるように、減速歯車機構の出力軸とレンジ切換シャフトとの間に回転方向の遊びを設けるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータ及び減速歯車機構を含んでなるアクチュエータ本体に回転角センサの本体を支持させる構成において、前記回転角センサが減速歯車機構の出力軸の回転を検出する構成とすると、前記遊びによりレンジ切換シャフトの回転角を正確に検出することができなくなってしまう。
【0005】
そこで、従来では、アクチュエータ本体を貫通させて延設されるレンジ切換シャフトの先端に回転角センサの可動部を接続させるようにして、回転角の検出に前記遊びが影響しないようにしていた。
しかし、係る構成では、レンジ切換シャフトを回転角センサに接続させる前の状態では、減速歯車機構の出力軸と回転角センサの可動部とが相互に独立に回転可能であるため、アクチュエータ本体の輸送中などにおいて回転角センサの可動部が動いてしまう可能性がある。
【0006】
そして、前記回転角センサの可動部が動くと、減速歯車機構の出力軸と回転角センサの可動部との回動方向の位置ずれによって、レンジ切換シャフトに対してアクチュエータ本体を取り付けることができなくなることがあった。
また、大きな位置ずれが発生しない場合であっても、減速歯車機構の出力軸とレンジ切換シャフトとの間には遊びがあるのに、奥側の回転角センサとレンジ切換シャフトとの間には遊びがないから、奥側の回転角センサとレンジ切換シャフトとを位置合わせする必要が生じ、取り付け作業を簡単に行うことができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、ディテント機構による自走によって位置決めを行わせるための遊びを設けつつ、回転角センサによってレンジ切換シャフトの回転角を正確に検出でき、然も、回転角センサを支持するアクチュエータ本体とレンジ切換シャフトとの組み付けを簡便に行える自動変速機の電動式レンジ切換装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、減速歯車機構の出力軸よりも前段側において、回転方向の遊び機構を設けると共に、前記出力軸に回転角センサを接続する構成とした。
上記構成によると、減速歯車機構の出力軸よりも前段側に回転方向の遊び機構が設けられ、該遊び機構によってディテント機構による位置決めを可能にし、かつ、減速歯車機構の出力軸に回転角センサを接続して、出力軸の回転角としてレンジ切換シャフトの回転角を検出させる。
【0009】
従って、回転角センサは、遊びに影響されることなくレンジ切換シャフトの回転角を検出することになり、また、レンジ切換シャフトを回転角センサと減速歯車機構の出力軸とに個別に接続させる必要がなく、レンジ切換シャフトを減速歯車機構の出力軸に接続させれば良いから、取り付け不能になることがなく、かつ、取り付け作業を簡単に行える。
【0010】
請求項2記載の発明では、前記遊び機構を介して動力伝達される歯車の間の動力伝達が選択的に切り離されるよう構成した。
上記構成によると、遊び機構を介して動力伝達される歯車の間における動力伝達が選択的に切り離され、モータ側とは独立にレンジ切換シャフトを回転させることが可能となる。
【0011】
従って、例えば、モータが回転できない故障発生時に、手動によるレンジ切換シャフトの回転駆動が可能になる。
請求項3記載の発明では、前記減速歯車機構を構成する歯車の回転規制範囲を複数種に切り換えるストッパ機構を備え、運転条件に応じて前記複数種の回転規制範囲のいずれかを選択するよう構成した。
【0012】
上記構成によると、減速歯車機構を構成する歯車に、回転範囲を規制するストッパ機構が設けられ、かつ、回転規制範囲が複数種に切り換えられるようになっており、これらの回転規制範囲のからそのときの運転条件に応じて選択される。
従って、そのときの運転条件から好ましくない回転位置にまで歯車が回転駆動されることが回避され、結果、そのときの運転条件において好ましくないレンジに切り換えられてしまうことを機械的に規制する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る車両用自動変速機の電動式レンジ切換装置の全体構成を示すシステム概略図であり、図2は、レンジ切換バルブの駆動機構を示す斜視図である。
【0014】
この図1,図2において、車両用自動変速機1には、電動式レンジ切換装置のアクチュエータとしてのモータ2が取り付けられる。
前記モータ2の出力軸には減速歯車機構3が設けられ、該減速歯車機構3の出力軸3aに形成された軸心を含む断面長方形の溝3bに、レンジ切換シャフト4の先端に前記溝3bに合わせて形成されたほぞ部4aを回転方向の遊びなく嵌合させることで、前記減速歯車機構3の出力軸3aを介してレンジ切換シャフト4を回転駆動するよう構成される。
【0015】
前記レンジ切換シャフト4には、該レンジ切換シャフト4を複数のレンジにそれぞれ対応する角度に位置決めするためのディテント機構5が取り付けられる。
前記ディテント機構5は、レンジ切換シャフト4に固定されて一体に回転するディテントレバー5A、及び、該ディテントレバー5Aの周縁に各レンジに対応して形成される凹部に係合するローラを支持すると共に、該ローラを切欠きに向けて押圧付勢するディテントスプリング5Bから構成される。
【0016】
そして、該ディテント機構5は、レンジ切換シャフト4を、Pレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジ,2レンジ,1レンジのいずれかに対応する角度に位置決めする。
前記レンジ切換シャフト4の回転運動は、ディテントレバー5Aとレンジ切換バルブ6(スプールバルブ)との係合によって、レンジ切換バルブ6の軸方向運動に変換され、レンジ切換バルブ6がバルブボディ7内で軸方向に変位すると、油圧ポートの開閉が切り換えられ、これによって各シフトレンジを設定するための摩擦係合要素の解放・締結が制御される。
【0017】
前記ディテントレバー5Aに一端が取り付けられるロッド8の他端には、カム9が取り付けられ、揺動可能に支持されたパーキングポール10が前記カム9との摺接によって揺動駆動され、Pレンジ位置においては、パーキングポール10の爪10aがパーキングギヤ11の凹部11aに噛み合って、パーキングギヤ11が固定されるようになっている。
【0018】
また、前記レンジ切換シャフト4(ディテントレバー5A)の角度を検出するポテンショメータ21(回転角センサ)が、減速歯車機構3を覆うケース3cの出力軸3aが露出される側とは反対側に支持される(図3参照)。
前記ポテンショメータ21は、円弧状に設けられる抵抗板上における接触子の位置が検出軸21aの回転位置に応じて変化することで、接触子の端子電圧の変化として角度位置を検出するものであり、前記検出軸21aを前記出力軸3aに遊びなく接続して、前記検出軸21aが出力軸3aと一体に回転するようになっている。
【0019】
係る構成によると、ポテンショメータ21は直接には出力軸3aの回転角を検出することになるが、出力軸3aに対してレンジ切換シャフト4が遊びなく嵌合されるから、ポテンショメータ21は、レンジ切換シャフト4の回転角を精度良く検出できる。
また、各レンジのいずれに切り換えられているかを検出するインヒビタースイッチ22が設けられる一方、運転者によって操作されるA/Tセレクト操作部でP,R,N,D,2,1のいずれのレンジが選択されているかを検出するレンジセレクトスイッチ23が設けられている。
【0020】
前記ポテンショメータ21,インヒビタースイッチ22及びレンジセレクトスイッチ23からの信号は、A/Tコントロールユニット(A/T C/U)24に入力される。
前記A/Tコントロールユニット24は、レンジセレクトスイッチ23からの信号に基づき運転者が選択しているレンジを判定し、該選択レンジに対応する位置にレンジ切換シャフト4(レンジ切換バルブ6)を駆動すべく、前記ポテンショメータ21で検出される実際の角度に基づいて前記モータ2の印加電圧をフィードバック制御する。
【0021】
ここで、モータ2のフィードバック制御によって目標の回転位置でレンジ切換シャフト4が正確に停止しなくても、前記ディテント機構5によってレンジ切換シャフト4を自走させて所望のレンジ位置に位置決めさせるための遊びが、前記減速歯車機構3の出力軸3aの前段に設けられる。
前記減速歯車機構3は、図3及び図4に示すように、前記モータ2の出力軸に軸支されるウォームギヤ31と、該ウォームギヤ31に噛み合わされる大径の平歯車32と、該平歯車32と同軸に一体回転する小径の平歯車33と、該小径の平歯車33と噛み合わされる大径の平歯車34と、該平歯車34と同軸に回転する小径の平歯車35と、該平歯車35に噛み合わされ出力軸3aと同軸に一体回転する大径の平歯車36とから構成される。
【0022】
そして、本実施形態では、前記平歯車34,35の間に回転方向の遊び機構を設けてある。
詳細には、図5に示すように、大径の平歯車34に設けたキー溝34aに、小径の平歯車35側のキー35aを嵌合させることで、平歯車34,35が回転方向に係合して駆動力が伝達するようになっているが、前記キー溝34aに対してキー35aが遊嵌されるように、キー35aの幅よりもキー溝34aの幅を大きくしてあり、これにより、平歯車34,35の間には回転方向に遊びが設けられる。
【0023】
このように、平歯車34,35の間は回転方向に遊びが設けられていれば、モータ2の駆動で目標の回転位置にレンジ切換シャフト4が正確に停止しなくても、前記ディテント機構5による自走によってレンジ切換シャフト4を目標のレンジ位置に位置決めさせることができる。
また、平歯車34,35の間に遊びを設け、減速歯車機構3の出力軸3aとレンジ切換シャフト4との間には遊びがない構成であるから、前記ポテンショメータ21が出力軸3aと一体に回転する構成とすることができ、これによって、ポテンショメータ21,減速歯車機構3,モータ2からなるアクチュエータ本体を、レンジ切換シャフト4側に組み付けるときには、レンジ切換シャフト4を出力軸3aのみに組み付けるようにすれば良い。
【0024】
従って、レンジ切換シャフト4を、減速歯車機構3の出力軸3aに組み付けた後、更に奥側でポテンショメータ21と組み付ける場合に比べて、組み付け作業を容易に行える。
尚、上記実施形態では、平歯車34,35の間に回転方向の遊び機構を設ける構成としたが、平歯車32,33の間に回転方向の遊び機構を設ける構成とすることができ、また、減速歯車機構3は、本実施形態のように、3段のギヤ列で構成されるものに限定されるものではない。
【0025】
ここで、前記平歯車34,35の間に回転方向の遊び機構が設けられることから、平歯車34,35の間における動力伝達をシステム故障時に切り離す構成を容易に設定することができ、本実施形態では、図6に示す構成によって、動力伝達の切り離しが行えるようにしてある。
前記平歯車35の端面と、ケース3cとの間に圧縮して介装されるコイルスプリング41によって、前記平歯車35を平歯車34に向けて付勢してあり、通常は、平歯車35のキー35aが平歯車34のキー溝34aに嵌合される状態が保持されるようにしてあるが、コイルスプリング41の付勢力に抗して平歯車35を図で軸方向上側に移動させることができるようにしてある。
【0026】
また、前記平歯車35の回転軸35bを、ケース3cを貫通して延設させ、該ケース3cの外側に露出する部分にフランジ部35cを形成してある。
前記フランジ部35cのケース3c側端面には、径方向に沿って設けられ周面に開放される溝35dが形成される。
一方、システム故障によってモータ2を回転させることができず、電動シフトが不能になったときに、前記平歯車34,35の間における動力伝達を切り離し、手動でレンジ切換シャフト4を回転させてレンジの切り換えを行わせるための緊急レバー42(操作部材)が、車両の車室内等に常備される。
【0027】
前記緊急レバー42は、前記フランジ部35cを覆うような有底筒状に形成される本体42aと、該本体42aの周壁に対して、本体42a径方向に直交する軸回りに揺動可能に支持されるレバー部材42bとから構成される。
そして、システム故障によってモータ2を回転させることができず、電動シフトが不能になったときに、前記レバー部材42bを溝35dの部分に位置合わせして、フランジ部35cに対して本体42aを被せるように装着させる。
【0028】
前記レバー部材42bは、本体42aの軸方向と略平行に周壁に沿って立った状態では、その先端側が本体42aの内部空間から退避する状態となるが、図6(B)に示すように、基端側を把持して外側に倒すようにすることで、先端が本体42aの内部空間に入り込み、前記溝35dの底面に当たって下から押し上げるようになる。
【0029】
これにより、フランジ部35cは、コイルスプリング41の付勢力に抗して持ち上げられ、同時に、平歯車35が平歯車34から離間してキー35aがキー溝34aから解放されることで、平歯車34,35間の動力伝達が切り離され、モータ2が回転しなくても、平歯車35をフリーに回転させることが可能な状態になる。
【0030】
従って、上記のようにレバー部材42bを倒して、フランジ部35cをケース3cから持ち上げた状態で、レバー部材42bを持って本体42aを回転させるようにすると、レバー部材42bと溝35dとの回転方向の係合によって、本体42aと一体にフランジ部35cが回転し、同時に平歯車35が回転する。
平歯車35と平歯車36との噛み合わせは、平歯車35が緊急レバー42によって持ち上げられた状態でも保持されるようにしてあるから、手動で平歯車35が回転した場合も、平歯車35の回転駆動力が平歯車36に伝達し、結果、レンジ切換シャフト4が回転されることになる。
【0031】
このように、システム故障によってモータ2を回転させることができず、電動シフトが不能になったときでも、緊急レバー42を用いることで、手動でのレンジセレクトが可能となり、走行不能になることが回避される。
然も、前記平歯車34,35は、前記ディテント機構5による位置決めを可能にすべく回転方向に遊びが設けられる構成であるから、平歯車34,35を軸方向に離間させて動力伝達の切り離しを行わせることが容易である。
【0032】
尚、本実施形態では、緊急レバー42を別途常備し、緊急時にフランジ部35cに装着させる構成としたが、フランジ部35cに緊急レバー42を一体的に備える構成としても良い。
また、平歯車34,35の間に回転方向の遊び機構が設けられない構成においても、上記のような構成で、平歯車34,35の間での動力伝達の切り離しを行わせることが可能である。
【0033】
本実施形態では、上記構成に加えて更に、前記平歯車34の回転範囲を規制することで、レンジ切換シャフト4の回転範囲を規制し、結果的に、選択されるレンジを制限するストッパ機構51を設けてあり(図4及び図7参照)、該ストッパ機構51によって、モータ駆動系に異常が生じても、好ましくないレンジにモータ2によってシフトされてしまうことを回避できるようにしてある。
【0034】
前記ストッパ機構51は、平歯車34の端面に形成される3つの円弧状溝52a〜52cと、該円弧状溝52a〜52cそれぞれに対応して設けられるストッパピン53a〜53cと、該ストッパピン53a〜53cを選択的に前記溝52a〜52c内の挿置させるカム54と、該カム54を回転駆動するロータリーソレノイド55とから構成される。
【0035】
前記円弧状溝52a〜52cのうち、溝52aはシフトレンジをN又はRに制限し、溝52bはシフトレンジを1〜Nに制限し、溝52cはシフトレンジを2〜Nに制限するよう、それぞれの角度範囲が設定される。
前記ストッパピン53a〜53cは、平歯車34の径方向に直交する軸56回りに揺動可能に支持されたストッパレバー57a〜57cの先端に、平歯車34の端面に向けて立設され、該ストッパレバー57a〜57cは、図示省略したスプリングによって図7(B)で時計回り方向、即ち、ピン53a〜53cが溝52a〜52cから抜け出る方向に付勢される。
【0036】
前記カム54は、前記ストッパレバー57a〜57cの軸56と平行な軸58回りに回転可能に支持され、前記ストッパレバー57a〜57cのピン53a〜53cが設けられる端部とは反端側の端部に押圧されて、前記スプリングの付勢力に抗して前記ストッパレバー57a〜57cを揺動させる。
前記カム54は、その回転位置によって前記ストッパレバー57a〜57cを選択的に揺動させるべく、角度位置を略90°ずらして3つのカム山54a〜54cが軸方向に並べて設けられており、更に、カム山が設けられない部分ではいずれのストッパレバー57a〜57cに対してもベースサークルで当接して、ピン53a〜53cの全てが溝52a〜52cから抜かれた状態になるようにしてある。
【0037】
そして、前記ロータリーソレノイド55によって前記軸58を回転させることで、軸58の角度によって前記ストッパレバー57a〜57cが、選択的に図7(B)で反時計回りに揺動して、揺動したストッパレバー57a〜57cの先端に設けられるピン53a〜53cが対応する溝52a〜52cの中に挿置され、ピン53a〜53cが溝52a〜52c内を移動できる角度範囲内に、平歯車34の回転を制限する。
【0038】
ここで、前記ロータリーソレノイド55を制御する前記A/Tコントロールユニット24では、図8のフローチャートに示すようにして、いずれの角度範囲(レンジ範囲)に制限するかを設定する。
図8のフローチャートにおいて、ステップS1では、車速センサ25で検出される車速の0を超えているか否か、換言すれば、車両が停車中であるか否かを判別する。
【0039】
そして、車速が0で車両が停車中であると判断されるときには、ステップS2へ進み、平歯車34の回転を規制しない状態とすべく、前記ロータリーソレノイド55を制御する。
即ち、前記ステップS2では、いずれのストッパレバー57a〜57cに対してもカム54がベースサークルで当接して、ピン53a〜53cの全てが溝52a〜52cから抜かれ、ピン53a〜53cで平歯車34の回転範囲が規制されない状態とする。
【0040】
従って、停車中においては、P,R,N,D,2,1のいずれのレンジに対してもシフトされ得る状態となる。
一方、ステップS1で車両が停車中ではなく、前進又は後退していると判断されると、ステップS3へ進む。
ステップS3では、車両が前進中であるか後退中であるかを判別する。
【0041】
車両の後退・前進の判断は、車速センサ25の車速信号の発生パターンが前進と後退とで異なるようにして、車速センサ25の車速信号に基づいて判断させるようにしても良いし、車両の後退・前進を検出するための専用のセンサを設ける構成としても良い。
また、簡易的には、レンジセレクトスイッチ23の信号に基づき、運転者がRレンジを要求していると判断されるときに後退中と判断させ、前進レンジ(D,2,1)又はNレンジが要求されている状態を前進中と判断させても良い。
【0042】
車両が後退中であるときには、ステップS4へ進み、ストッパレバー57aを揺動させ、ピン53aを溝52a内に挿置させるべく、前記ロータリーソレノイド55を制御する。
前記溝52aにピン53aが挿置される状態では、シフトレンジがN又はRに制限され、たとえモータ2の制御異常によってN又はRレンジにシフトされる方向にレンジ切換シャフト4が回転駆動されようとしても、係るレンジ切換シャフト4の回転駆動が機械的に阻止される。
【0043】
従って、後退中に前進レンジ(D,2,1)又はPレンジにシフトされてしまうことがなく、ショックの発生や自動変速機の損傷を未然に防止することができる。
ステップS3で、車両が後退中ではなく、前進中であると判別されたときには、ステップS5へ進む。
【0044】
ステップS5では、車速が閾値V1を超えているか否かを判断することで、前進状態を、低車速走行と高車速走行とに判別する。
車速が閾値V1以下である低車速走行時であるときには、ステップS6へ進み、ストッパレバー57bを揺動させ、ピン53bを溝52b内に挿置させるべく、前記ロータリーソレノイド55を制御する。
【0045】
前記溝52bにピン53bが挿置される状態では、シフトレンジが1〜Nに制限され、たとえモータ2の制御異常によってP又はRレンジにシフトされる方向にレンジ切換シャフト4が回転駆動されようとしても、係るレンジ切換シャフト4の回転駆動が機械的に阻止される。
従って、低速前進走行中に、Pレンジ又はRレンジにシフトされてしまうことがなく、ショックの発生や自動変速機の損傷を未然に防止することができる。
【0046】
一方、車速が閾値V1を超える高車速走行時であるときには、ステップS7へ進み、ストッパレバー57cを揺動させ、ピン53cを溝52c内に挿置させるべく、前記ロータリーソレノイド55を制御する。
前記溝52cにピン53cが挿置される状態では、シフトレンジが2〜Nに制限され、たとえモータ2の制御異常によってP,R又は1レンジにシフトされる方向にレンジ切換シャフト4が回転駆動されようとしても、係るレンジ切換シャフト4の回転駆動が機械的に阻止される。
【0047】
従って、高速前進走行中に、Pレンジ,Rレンジ,1レンジにシフトされてしまうことがなく、ショックの発生や自動変速機の損傷、更に、過剰なエンジンブレーキの発生を未然に防止することができる。
このように、運転条件(車速)に応じて好ましくないレンジ位置を判断し、該判断に応じてシフト可能なレンジを制限するから、たとえモータ2制御に異常が生じて要求レンジとは異なるレンジに向けてのシフト動作が行われようとしても、大きな変速ショックや自動変速機の損傷を招くようなレンジ切り換えが行われることが機械的に回避される。
【0048】
尚、上記実施形態では、運転条件として車速のみを判断したが、この他、アクセル開度やエンジン回転速度に基づいて、シフトの制限範囲(平歯車34の回転規制範囲)を切り換える構成とすることができる。
また、シフトの制限範囲(平歯車34の回転規制範囲)を上記の3種類(N又はR,1〜N,2〜N)に限定するものでないことは明らかである。
【0049】
更に、ピン53a〜53cを溝52a〜52c内に挿置させるための機構を、上記のストッパレバー57a〜57c,ロータリーソレノイド55,カム54からなる構成に限定するものではない。
また、溝52a〜52cに代えて、凸部を設けて、回転規制範囲を設定する構成とすることができる。
【0050】
また、ストッパ機構51は、本実施形態のように、減速歯車機構3の出力軸よりも前段側に回転方向の遊び機構を設ける構成の他、出力軸3aの部分に回転方向の遊びを設ける構成においても適用可能である。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機の電動式レンジ切換装置において、前記減速歯車機構を構成する同軸に設けられる一対の歯車の間で、キーによって回転駆動力が伝達される構成であり、前記キーの部分に回転方向の遊びを設けたことを特徴とする自動変速機の電動式レンジ切換装置。
【0051】
上記構成によると、キーがキー溝に対して遊嵌されるようにすることで、回転方向の遊びを設ける。
従って、一対の歯車の間で回転駆動力の伝達を行わせつつ、回転方向の遊びを簡便に設定することができる。
(ロ)請求項2記載の自動変速機の電動式レンジ切換装置において、前記減速歯車機構を構成する同軸に設けられる一対の歯車の間で、キーによって回転駆動力が伝達される構成であり、前記キーの部分に回転方向の遊びが設けられる構成であって、前記一対の歯車の小径側歯車が、次段の歯車との噛み合わせを保持しつつ大径側歯車から離間する軸方向に移動可能に構成すると共に、前記小径側歯車を軸方向に移動させて、大径側歯車との間におけるキーによる動力伝達を切り離し、かつ、動力伝達が切り離された前記小径側の歯車を回転させる操作部材を備えたことを特徴とする自動変速機の電動式レンジ切換装置。
【0052】
上記構成によると、操作部材によって小径側歯車を軸方向に移動させても、該小径側歯車と次段の歯車との噛み合わせ状態は保持される一方、大径側歯車との間におけるキーによる動力伝達が切り離され、この状態で操作部材により小径側歯車を回転させると、この回転が減速歯車機構の出力軸に伝達される。
従って、操作部材によって小径側歯車をモータ側から切り離し、かつ、小径側歯車を回転させて、手動によるレンジ切り換えが可能になる。
(ハ)請求項3記載の自動変速機の電動式レンジ切換装置において、運転条件としての車速及び前進・後退に応じて、回転規制範囲を切り換えることを特徴とする自動変速機の電動式レンジ切換装置。
【0053】
上記構成によると、車両が前進しているか後退しているかによって前進段(D,2,1)或いは後退レンジ(Rレンジ)へのシフトを許容すべきか否かが判断され、更に、同じ前進中であっても、過剰なエンジンブレーキの発生を招くようなギヤ比へのシフトが発生するか否かが車速に応じて判断される。
従って、車両の前進中(後退中)に誤って後退レンジ(前進レンジ)へシフトされることを回避でき、かつ、過剰なエンジンブレーキの発生を招くシフトの発生を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機の電動式レンジ切換装置を示すシステム構成図。
【図2】レンジ切換シャフトの駆動機構を示す斜視図。
【図3】減速歯車機構の構成を示す側面図。
【図4】減速歯車機構の構成を示す正面断面図。
【図5】減速歯車機構を構成する平歯車間における遊び機構を示す図。
【図6】平歯車の切り離し構造を示す図であり、(A)は通常状態を示す図、(B)は切り離し状態を示す図。
【図7】ストッパ機構を示す図であり、(A)は平歯車の端面を示す図、(B)は(A)の下面図。
【図8】回転規制範囲(ストッパ機構)の切り換え制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…自動変速機、2…モータ、3…減速機構、3a…出力軸、4…レンジ切換シャフト、5…ディテント機構、6…レンジ切換バルブ、21…ポテンショメータ、23…レンジセレクトスイッチ、24…A/Tコントロールユニット、25…車速センサ、31…ウォームギヤ、33〜36…平歯車、34a…キー溝、35a…キー、42…緊急レバー、51…ストッパ機構、52a〜52c…円弧状溝、53a〜53c…ストッパピン、54…カム、55…ロータリーソレノイド
Claims (3)
- モータの回転駆動力を、減速歯車機構を介してレンジ切換シャフトに伝達し、該レンジ切換シャフトの回転運動によってレンジ切換バルブを駆動する構成であって、前記レンジ切換シャフトの回転角を検出する回転角センサを備え、該回転角センサの検出結果に基づいて前記モータを駆動制御する構成の自動変速機の電動式レンジ切換装置において、
前記減速歯車機構の出力軸よりも前段側において、回転方向の遊び機構を設けると共に、前記出力軸に前記回転角センサを接続したことを特徴とする自動変速機の電動式レンジ切換装置。 - 前記遊び機構を介して動力伝達される歯車の間の動力伝達が選択的に切り離されるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の電動式レンジ切換装置。
- 前記減速歯車機構を構成する歯車の回転規制範囲を複数種に切り換えるストッパ機構を備え、運転条件に応じて前記複数種の回転規制範囲のいずれかを選択するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の自動変速機の電動式レンジ切換装置。
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