JP2004316570A - センサの擬似劣化信号発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空燃比センサが劣化した状態を考慮した制御変数の適合作業を、低コストかつ高精度に行えるようにする。
【解決手段】10万km相当,20万km相当などの要求劣化度合いに基づいて、予め複数設定されたローパスフィルタの中から、前記要求劣化度合いに対応する時定数のフィルタを選択する。そして、空燃比センサの検出信号を、前記選択したフィルタに通過させることで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせる。そして、フィルタ通過後の検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御を行わせることで、応答劣化状態での機関運転をシミュレーションする。
【選択図】 図4
【解決手段】10万km相当,20万km相当などの要求劣化度合いに基づいて、予め複数設定されたローパスフィルタの中から、前記要求劣化度合いに対応する時定数のフィルタを選択する。そして、空燃比センサの検出信号を、前記選択したフィルタに通過させることで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせる。そして、フィルタ通過後の検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御を行わせることで、応答劣化状態での機関運転をシミュレーションする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態を検出するセンサにおいて、該センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる擬似劣化信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づいて燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサを排気管に設け、該空燃比センサで検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて、機関への燃料供給量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御が知られている。
【0003】
また、特許文献1に開示される空燃比フィードバック制御においては、空燃比センサの劣化による時定数の変化を検出し、該時定数の変化に対応して目標空燃比を変更する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−128347号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように空燃比センサの劣化時に対応する処理を最適に行わせるには、空燃比センサが劣化した状態での運転を実験的に行わせ、種々のパラメータを予め適合させる必要が生じる。
【0006】
そこで、従来では、前記適合作業のために、劣化した状態の出力特性を示す空燃比センサを製造し、該劣化空燃比センサを機関に装着して空燃比検出を行わせるようにしていた。
【0007】
しかし、劣化特性の空燃比センサを要求通りに製造することが難しく、劣化空燃比センサの製造コストが高くなってしまうという問題があった。
また、劣化空燃比センサを機関に装着して実験を行っている最中に、劣化空燃比センサの劣化度合いが進んでしまい、一定の劣化条件で適合作業を行わせることが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、空燃比センサなどの機関運転状態を検出するセンサが劣化した状態に対応する適合作業を、低コストにかつ精度良く行えるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、要求の劣化度合いを入力し、該要求の劣化度合いに応じてセンサの検出信号を補正することで、前記要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせる構成とした。
【0010】
かかる構成によると、センサ(例えば空燃比センサなど)の検出信号を補正して、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを生じさせることで、前記補正後の検出信号(擬似劣化信号)が、要求の劣化度合いでの過渡応答を示すようにする。
【0011】
従って、新品のセンサの検出信号を処理して擬似的に要求の劣化特性とすることが可能となり、劣化状態を精度良くシミュレーションできる。
請求項2記載の発明では、要求の劣化度合いに応じて時定数を設定し、該時定数でセンサの検出信号を補正する構成とした。
【0012】
かかる構成によると、要求の劣化度合いに対応する時定数で応答変化させるべく、センサ検出信号が補正される。
従って、要求の劣化度合いに対応する時定数で応答変化する擬似劣化信号を生成させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、相互に時定数の異なる複数のアナログ遅延回路を備え、要求の劣化度合いに応じて選択されるアナログ遅延回路でセンサの検出信号を処理させる構成とした。
【0014】
かかる構成によると、時定数を相互に異ならせた複数のアナログ遅延回路(ローパスフィルタ)の中から、要求の劣化度合いに見合う時定数の回路を選択し、該アナログ遅延回路にセンサの検出信号を入力させることで、アナログ遅延回路の出力として、要求の劣化度合いに見合う応答特性の検出信号を得る。
【0015】
従って、抵抗・コンデンサで構成できる簡便なアナログ遅延回路によって、要求の劣化度合いに見合う応答特性の検出信号を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る擬似劣化信号発生装置が適用される内燃機関のシステム構成図である。
【0017】
この図1において、内燃機関11の吸気管12には、吸入空気流量Qaを計測するエアフローメータ13及び吸入空気流量Qaを制御する吸気絞り弁14が設けられる。
【0018】
前記吸気絞り弁14下流のマニホールド部分には、気筒毎に電磁式の燃料噴射弁15が設けられる。
前記燃料噴射弁15は、後述するようにしてコントロールユニット50において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、所定圧力に制御された燃料を噴射する。
【0019】
更に、機関11の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ16が設けられる。
一方、排気マニホールド17の集合部近傍に、排気中の酸素濃度に基づいて吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ18が設けられる。
【0020】
前記空燃比センサ18の下流側には、理論空燃比近傍において排気中のCO,HCの酸化とNOxの還元を良好に行って排気を浄化する三元触媒19が介装されている。
【0021】
ここで、前記空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理について説明する。
図2に前記空燃比センサ18の構造を示す。
前記空燃比センサ18の本体1は、例えば酸素イオン伝導性を有するジルコニアZr2O3等の耐熱性多孔質絶縁材料等で形成され、該本体1には、ヒータ部2が設けられる。
【0022】
また、前記本体1には、大気(標準ガス)と連通する大気導入孔3、及び、ガス導入孔4及び保護層5を介して機関排気側と連通するガス拡散層6が設けられている。
【0023】
センシング部電極7A,7Bは、大気導入孔3とガス拡散層6とに臨んで設けられると共に、酸素ポンプ電極8A,8Bは、ガス拡散層6とこれに対応する本体1の周囲とに設けられる。
【0024】
前記センシング部電極7A,7Bの間には、ガス拡散層6内の酸素イオン濃度(酸素分圧)と大気中の酸素イオン濃度との比に応じた電圧が発生し、該電圧に基づいてガス拡散層6内の空燃比の理論空燃比に対するリッチ・リーンが検出される。
【0025】
一方、酸素ポンプ電極8A,8Bには、センシング部電極7A,7Bの間に発生する電圧、つまり、ガス拡散層6内のリッチ・リーンに応じて電圧が印加されるようになっている。
【0026】
前記酸素ポンプ電極部8A,8Bにおいては、所定の電圧が印加されると、これに応じてガス拡散層6内の酸素イオンが移動され、酸素ポンプ電極部8A,8B間に電流が流れる。
【0027】
ここで、酸素ポンプ電極部8A,8B間に、所定電圧を印加したときに該電極間を流れる電流値(限界電流)Ipは、排気中の酸素イオン濃度に影響されるので、電流値(限界電流)Ipを検出することで空燃比を検出できることになる。
【0028】
即ち、図3のテーブル(A)に示すように、酸素ポンプ電極間の電流・電圧と、空燃比との相関関係が得られ、センシング部電極7A,7Bのリッチ・リーン出力に基づいて酸素ポンプ電極部8A,8Bに対する電圧の印加方向を反転させることで、リーン領域とリッチ領域との両方の空燃比領域において、酸素ポンプ電極部8A,8B間を流れる電流値(限界電流)Ipに基づき、空燃比を検出できる。
【0029】
以上のような空燃比検出原理により、酸素ポンプ電極部間の電流値Ipを検出して、例えば図3のテーブル(B)を参照すれば、空燃比を広範囲に検出することができる。
【0030】
但し、空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理を上記のものに限定するものではなく、理論空燃比に対するリッチ・リーンのみを検出する所謂ストイキセンサであっても良い。
【0031】
ここで、前記図1の説明に戻る。
前記機関11には、クランク軸の角度を検出するクランク角センサ20が設けられており、コントロールユニット50では、該クランク角センサ20から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出する。
【0032】
前記コントロールユニット50は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェイス等から構成されるマイクロコンピュータを含んでなり、前述の空燃比センサ18、エアフローメータ13、水温センサ16、クランク角センサ20等からの入力信号を受け、以下のようにして燃料噴射弁15の燃料噴射量を制御する。
【0033】
前記コントロールユニット50は、エアフローメータ13で検出される吸入空気流量Qaと、クランク角センサ20の信号から求められる機関回転速度Neとから基本燃料噴射パルス幅Tp=k×Qa/Ne(kは定数)を演算すると共に、低水温時に強制的にリッチ側に補正する水温補正係数Kw、始動及び始動後増量補正係数Kas、空燃比フィードバック補正係数LAMBDA、電圧補正分Ts、目標空燃比に対応する目標当量比Z等により、最終的な燃料噴射パルス幅Ti=Tp×(1+Kw+Kas+・・・)×LAMBDA×Z+Tsを演算する。
【0034】
そして、この燃料噴射パルス幅Tiが駆動パルス信号として前記燃料噴射弁15に送られて、前記燃料噴射パルス幅Tiから電圧補正分Tsを除いた有効噴射パルス幅Teに比例する量の燃料が噴射される。
【0035】
上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18が検出する実際の空燃比の目標空燃比からのズレを補正するための係数であり、これによって基本燃料パルス幅Tpを補正することで、実際の空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)に一致させる。
【0036】
前記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18で検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づく比例・積分・微分制御によって設定される。
【0037】
ここで、前記コントロールユニット50には、本発明に係る空燃比センサの擬似劣化信号発生装置が内蔵されており、該擬似劣化信号発生装置を選択的に機能させることができるようになっている。
【0038】
即ち、前記空燃比センサ18の検出信号をそのまま用いて通常に空燃比フィードバック制御を行わせる状態と、機関制御仕様の開発・設計時において各種の制御変数を適合する作業のために、前記空燃比センサ18の検出信号を擬似劣化信号発生装置で処理して空燃比フィードバック制御を行わせる状態とに切り換えられるようになっている。
【0039】
また、空燃比センサ18の擬似劣化信号を発生させるに当たって、コントロールユニット50に対して外部から劣化度合いの要求を指示できるようになっている。
【0040】
尚、前記劣化度合いは、例えば、走行距離10万km相当,走行距離20万km相当などの車両走行距離で指定される。
また、擬似劣化信号発生装置を機能させる場合の空燃比センサ18は、新品の空燃比センサであり、劣化した状態の出力特性を示す劣化空燃比センサは用いない。
【0041】
図4のフローチャートは、前記擬似劣化信号発生装置の処理内容を示すものであり、まず、ステップS1では、擬似劣化信号の発生要求があるか否かを判断し、擬似劣化信号の発生要求がある場合にステップS2へ進む。
【0042】
ステップS2では、要求の劣化度合い、例えば、シミュレーションしたい走行距離の要求を読み込む。
ステップS3では、前記要求の劣化度合い(走行距離)に対応する時定数のローパスフィルタLPF(アナログ遅延回路)を選択する。
【0043】
本実施形態では、図5に示すように、空燃比センサ18の検出信号を、相互に時定数の異なる複数のローパスフィルタLPF(一次遅れ要素)に対して選択的に入力させることができるよう構成されており、前記ステップS3では、空燃比センサ18の検出信号を処理させるローパスフィルタLPFを、前記要求の劣化度合い(走行距離)に応じて選択する。
【0044】
尚、前記ローパスフィルタLPFは、コンデンサ・抵抗から構成され、抵抗値・静電容量の違いによってそれぞれ時定数が決められる。
ステップS4では、空燃比センサ18の検出信号を前記選択したローパスフィルタLPFで処理させることで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせた検出信号(擬似劣化信号)を発生させる。
【0045】
次のステップS5では、前記ローパスフィルタLPFを通過させた検出信号(擬似劣化信号)に基づいて空燃比フィードバック制御を行わせる。
これにより、新品の空燃比センサ18を用いながら、空燃比センサ18が劣化した状態での空燃比フィードバック制御状態がシミュレーションされる。
【0046】
そして、このときの機関運転状態(排気性状など)から、劣化状態を考慮した各種パラメータの適合を行わせる。
上記のように、新品の空燃比センサ18の検出信号を擬似的に劣化させる構成であれば、劣化特性の空燃比センサを製造する必要がなく、常に要求の応答劣化度合いでの空燃比検出を行わせることができ、空燃比センサが劣化した状態での適合作業を、低コストにかつ精度良く行える。
【0047】
尚、上記実施形態では、ローパスフィルタLPFの切り換えをソフトウェアによって制御するものとしたが、ローパスフィルタLPFの切り換えスイッチが、要求劣化度合いの指定スイッチを兼ねるようにし、要求劣化度合いを指定する操作を行うことで、同時にローパスフィルタLPFの選択が行われるようにしても良い。
【0048】
また、擬似劣化信号発生装置を前記コントロールユニット50に内蔵させるのではなく、空燃比センサ18とコントロールユニット50との間に、別体の擬似劣化信号発生装置を介装させる構成としても良い。
【0049】
更に、上記実施形態では、アナログ遅延回路としてのローパスフィルタLPFで空燃比センサ18の検出信号を処理することで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせる構成としたが、加重平均などの演算処理で過渡遅れ(一次遅れ)を強制的に生じさせることが可能である。
【0050】
図6のフローチャートは、演算処理で空燃比センサ18の検出信号に過渡遅れ(一次遅れ)を生じさせる第2の実施形態を示す。
図6のフローチャートにおいて、ステップS11では、擬似劣化信号の発生要求があるか否かを判断し、擬似劣化信号の発生要求がある場合にステップS12へ進む。
【0051】
ステップS12では、要求の劣化度合い、例えば、シミュレーションしたい走行距離の要求を読み込む。
ステップS13では、前記要求の劣化度合い(走行距離)に対応する加重重みk(時定数)を設定する。
【0052】
前記加重重みk(時定数)は、予め要求の劣化度合い(走行距離)毎にテーブルデータとして記憶されている。
ステップS14では、前記加重重みk(時定数)を用いて空燃比センサ18の検出信号を加重平均することで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせた検出信号(擬似劣化信号)を発生させる。
【0053】
加重平均値=k×最新の検出信号+(1−k)×前回の加重平均値
但し、過渡遅れ(一次遅れ)を強制的に生じさせるための演算処理を、加重平均演算に限定するものではない。
【0054】
ステップS15では、加重平均値(擬似劣化信号)に基づいて空燃比フィードバック制御を行わせる。
上記構成によると、ソフトウェア的な処理のみで擬似劣化信号を発生させることができるから、ハードウェアの追加によるコストアップを回避でき、また、コントロールユニット50に対して擬似劣化信号発生装置としての機能を容易に組み込むことができる。
【0055】
尚、擬似劣化信号を発生させるセンサを空燃比センサ18に限定するものではなく、経時劣化によって検出の応答遅れが変化するセンサであれば、同様にして適用することが可能である。
【0056】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載のセンサの擬似劣化信号発生装置において、
前記機関の運転状態を検出するセンサが、排気中の成分濃度に基づいて排気空燃比を検出する空燃比センサであることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。
【0057】
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号を要求の劣化度合いに応じて補正して、空燃比検出に、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを生じさせる。
従って、空燃比センサが劣化した状態での空燃比フィードバック制御状態をシミュレーションできる。
(ロ)請求項1又は2記載のセンサの擬似劣化信号発生装置において、
前記要求の劣化度合いに応じた加重重みで前記センサの検出信号を加重平均することで、前記要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。
【0058】
かかる構成によると、センサの検出信号を加重平均することで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを生じさせる。
従って、演算処理のみによって、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせることができる。
(ハ)請求項1〜3のいずれか1つに記載のセンサの擬似劣化信号発生装置において、
前記要求の劣化度合いが、走行距離に基づいて指定されることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。
【0059】
かかる構成によると、センサの劣化度合いが、例えば10万km相当や20万km相当などの走行距離に基づいて指定され、該走行距離での標準的なセンサ劣化に見合う過渡遅れを強制的に生じさせる。
【0060】
従って、ある走行距離を走行した状態でのセンサの劣化状態をシミュレーションでき、走行距離を基準とする適合作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】空燃比センサの構造図。
【図3】空燃比センサの空燃比検出原理を説明するための図。
【図4】擬似劣化信号発生制御の第1実施形態を示すフローチャート。
【図5】前記第1実施形態においてローパスフィルタの選択を行う構成を示す回路図。
【図6】擬似劣化信号発生制御の第2実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…内燃機関、13…エアフローメータ、15…燃料噴射弁、17…排気マニホールド、18…空燃比センサ、20…クランク角センサ、50…コントロールユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態を検出するセンサにおいて、該センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる擬似劣化信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づいて燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサを排気管に設け、該空燃比センサで検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて、機関への燃料供給量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御が知られている。
【0003】
また、特許文献1に開示される空燃比フィードバック制御においては、空燃比センサの劣化による時定数の変化を検出し、該時定数の変化に対応して目標空燃比を変更する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−128347号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように空燃比センサの劣化時に対応する処理を最適に行わせるには、空燃比センサが劣化した状態での運転を実験的に行わせ、種々のパラメータを予め適合させる必要が生じる。
【0006】
そこで、従来では、前記適合作業のために、劣化した状態の出力特性を示す空燃比センサを製造し、該劣化空燃比センサを機関に装着して空燃比検出を行わせるようにしていた。
【0007】
しかし、劣化特性の空燃比センサを要求通りに製造することが難しく、劣化空燃比センサの製造コストが高くなってしまうという問題があった。
また、劣化空燃比センサを機関に装着して実験を行っている最中に、劣化空燃比センサの劣化度合いが進んでしまい、一定の劣化条件で適合作業を行わせることが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、空燃比センサなどの機関運転状態を検出するセンサが劣化した状態に対応する適合作業を、低コストにかつ精度良く行えるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、要求の劣化度合いを入力し、該要求の劣化度合いに応じてセンサの検出信号を補正することで、前記要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせる構成とした。
【0010】
かかる構成によると、センサ(例えば空燃比センサなど)の検出信号を補正して、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを生じさせることで、前記補正後の検出信号(擬似劣化信号)が、要求の劣化度合いでの過渡応答を示すようにする。
【0011】
従って、新品のセンサの検出信号を処理して擬似的に要求の劣化特性とすることが可能となり、劣化状態を精度良くシミュレーションできる。
請求項2記載の発明では、要求の劣化度合いに応じて時定数を設定し、該時定数でセンサの検出信号を補正する構成とした。
【0012】
かかる構成によると、要求の劣化度合いに対応する時定数で応答変化させるべく、センサ検出信号が補正される。
従って、要求の劣化度合いに対応する時定数で応答変化する擬似劣化信号を生成させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、相互に時定数の異なる複数のアナログ遅延回路を備え、要求の劣化度合いに応じて選択されるアナログ遅延回路でセンサの検出信号を処理させる構成とした。
【0014】
かかる構成によると、時定数を相互に異ならせた複数のアナログ遅延回路(ローパスフィルタ)の中から、要求の劣化度合いに見合う時定数の回路を選択し、該アナログ遅延回路にセンサの検出信号を入力させることで、アナログ遅延回路の出力として、要求の劣化度合いに見合う応答特性の検出信号を得る。
【0015】
従って、抵抗・コンデンサで構成できる簡便なアナログ遅延回路によって、要求の劣化度合いに見合う応答特性の検出信号を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る擬似劣化信号発生装置が適用される内燃機関のシステム構成図である。
【0017】
この図1において、内燃機関11の吸気管12には、吸入空気流量Qaを計測するエアフローメータ13及び吸入空気流量Qaを制御する吸気絞り弁14が設けられる。
【0018】
前記吸気絞り弁14下流のマニホールド部分には、気筒毎に電磁式の燃料噴射弁15が設けられる。
前記燃料噴射弁15は、後述するようにしてコントロールユニット50において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、所定圧力に制御された燃料を噴射する。
【0019】
更に、機関11の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ16が設けられる。
一方、排気マニホールド17の集合部近傍に、排気中の酸素濃度に基づいて吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ18が設けられる。
【0020】
前記空燃比センサ18の下流側には、理論空燃比近傍において排気中のCO,HCの酸化とNOxの還元を良好に行って排気を浄化する三元触媒19が介装されている。
【0021】
ここで、前記空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理について説明する。
図2に前記空燃比センサ18の構造を示す。
前記空燃比センサ18の本体1は、例えば酸素イオン伝導性を有するジルコニアZr2O3等の耐熱性多孔質絶縁材料等で形成され、該本体1には、ヒータ部2が設けられる。
【0022】
また、前記本体1には、大気(標準ガス)と連通する大気導入孔3、及び、ガス導入孔4及び保護層5を介して機関排気側と連通するガス拡散層6が設けられている。
【0023】
センシング部電極7A,7Bは、大気導入孔3とガス拡散層6とに臨んで設けられると共に、酸素ポンプ電極8A,8Bは、ガス拡散層6とこれに対応する本体1の周囲とに設けられる。
【0024】
前記センシング部電極7A,7Bの間には、ガス拡散層6内の酸素イオン濃度(酸素分圧)と大気中の酸素イオン濃度との比に応じた電圧が発生し、該電圧に基づいてガス拡散層6内の空燃比の理論空燃比に対するリッチ・リーンが検出される。
【0025】
一方、酸素ポンプ電極8A,8Bには、センシング部電極7A,7Bの間に発生する電圧、つまり、ガス拡散層6内のリッチ・リーンに応じて電圧が印加されるようになっている。
【0026】
前記酸素ポンプ電極部8A,8Bにおいては、所定の電圧が印加されると、これに応じてガス拡散層6内の酸素イオンが移動され、酸素ポンプ電極部8A,8B間に電流が流れる。
【0027】
ここで、酸素ポンプ電極部8A,8B間に、所定電圧を印加したときに該電極間を流れる電流値(限界電流)Ipは、排気中の酸素イオン濃度に影響されるので、電流値(限界電流)Ipを検出することで空燃比を検出できることになる。
【0028】
即ち、図3のテーブル(A)に示すように、酸素ポンプ電極間の電流・電圧と、空燃比との相関関係が得られ、センシング部電極7A,7Bのリッチ・リーン出力に基づいて酸素ポンプ電極部8A,8Bに対する電圧の印加方向を反転させることで、リーン領域とリッチ領域との両方の空燃比領域において、酸素ポンプ電極部8A,8B間を流れる電流値(限界電流)Ipに基づき、空燃比を検出できる。
【0029】
以上のような空燃比検出原理により、酸素ポンプ電極部間の電流値Ipを検出して、例えば図3のテーブル(B)を参照すれば、空燃比を広範囲に検出することができる。
【0030】
但し、空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理を上記のものに限定するものではなく、理論空燃比に対するリッチ・リーンのみを検出する所謂ストイキセンサであっても良い。
【0031】
ここで、前記図1の説明に戻る。
前記機関11には、クランク軸の角度を検出するクランク角センサ20が設けられており、コントロールユニット50では、該クランク角センサ20から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出する。
【0032】
前記コントロールユニット50は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェイス等から構成されるマイクロコンピュータを含んでなり、前述の空燃比センサ18、エアフローメータ13、水温センサ16、クランク角センサ20等からの入力信号を受け、以下のようにして燃料噴射弁15の燃料噴射量を制御する。
【0033】
前記コントロールユニット50は、エアフローメータ13で検出される吸入空気流量Qaと、クランク角センサ20の信号から求められる機関回転速度Neとから基本燃料噴射パルス幅Tp=k×Qa/Ne(kは定数)を演算すると共に、低水温時に強制的にリッチ側に補正する水温補正係数Kw、始動及び始動後増量補正係数Kas、空燃比フィードバック補正係数LAMBDA、電圧補正分Ts、目標空燃比に対応する目標当量比Z等により、最終的な燃料噴射パルス幅Ti=Tp×(1+Kw+Kas+・・・)×LAMBDA×Z+Tsを演算する。
【0034】
そして、この燃料噴射パルス幅Tiが駆動パルス信号として前記燃料噴射弁15に送られて、前記燃料噴射パルス幅Tiから電圧補正分Tsを除いた有効噴射パルス幅Teに比例する量の燃料が噴射される。
【0035】
上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18が検出する実際の空燃比の目標空燃比からのズレを補正するための係数であり、これによって基本燃料パルス幅Tpを補正することで、実際の空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)に一致させる。
【0036】
前記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18で検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づく比例・積分・微分制御によって設定される。
【0037】
ここで、前記コントロールユニット50には、本発明に係る空燃比センサの擬似劣化信号発生装置が内蔵されており、該擬似劣化信号発生装置を選択的に機能させることができるようになっている。
【0038】
即ち、前記空燃比センサ18の検出信号をそのまま用いて通常に空燃比フィードバック制御を行わせる状態と、機関制御仕様の開発・設計時において各種の制御変数を適合する作業のために、前記空燃比センサ18の検出信号を擬似劣化信号発生装置で処理して空燃比フィードバック制御を行わせる状態とに切り換えられるようになっている。
【0039】
また、空燃比センサ18の擬似劣化信号を発生させるに当たって、コントロールユニット50に対して外部から劣化度合いの要求を指示できるようになっている。
【0040】
尚、前記劣化度合いは、例えば、走行距離10万km相当,走行距離20万km相当などの車両走行距離で指定される。
また、擬似劣化信号発生装置を機能させる場合の空燃比センサ18は、新品の空燃比センサであり、劣化した状態の出力特性を示す劣化空燃比センサは用いない。
【0041】
図4のフローチャートは、前記擬似劣化信号発生装置の処理内容を示すものであり、まず、ステップS1では、擬似劣化信号の発生要求があるか否かを判断し、擬似劣化信号の発生要求がある場合にステップS2へ進む。
【0042】
ステップS2では、要求の劣化度合い、例えば、シミュレーションしたい走行距離の要求を読み込む。
ステップS3では、前記要求の劣化度合い(走行距離)に対応する時定数のローパスフィルタLPF(アナログ遅延回路)を選択する。
【0043】
本実施形態では、図5に示すように、空燃比センサ18の検出信号を、相互に時定数の異なる複数のローパスフィルタLPF(一次遅れ要素)に対して選択的に入力させることができるよう構成されており、前記ステップS3では、空燃比センサ18の検出信号を処理させるローパスフィルタLPFを、前記要求の劣化度合い(走行距離)に応じて選択する。
【0044】
尚、前記ローパスフィルタLPFは、コンデンサ・抵抗から構成され、抵抗値・静電容量の違いによってそれぞれ時定数が決められる。
ステップS4では、空燃比センサ18の検出信号を前記選択したローパスフィルタLPFで処理させることで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせた検出信号(擬似劣化信号)を発生させる。
【0045】
次のステップS5では、前記ローパスフィルタLPFを通過させた検出信号(擬似劣化信号)に基づいて空燃比フィードバック制御を行わせる。
これにより、新品の空燃比センサ18を用いながら、空燃比センサ18が劣化した状態での空燃比フィードバック制御状態がシミュレーションされる。
【0046】
そして、このときの機関運転状態(排気性状など)から、劣化状態を考慮した各種パラメータの適合を行わせる。
上記のように、新品の空燃比センサ18の検出信号を擬似的に劣化させる構成であれば、劣化特性の空燃比センサを製造する必要がなく、常に要求の応答劣化度合いでの空燃比検出を行わせることができ、空燃比センサが劣化した状態での適合作業を、低コストにかつ精度良く行える。
【0047】
尚、上記実施形態では、ローパスフィルタLPFの切り換えをソフトウェアによって制御するものとしたが、ローパスフィルタLPFの切り換えスイッチが、要求劣化度合いの指定スイッチを兼ねるようにし、要求劣化度合いを指定する操作を行うことで、同時にローパスフィルタLPFの選択が行われるようにしても良い。
【0048】
また、擬似劣化信号発生装置を前記コントロールユニット50に内蔵させるのではなく、空燃比センサ18とコントロールユニット50との間に、別体の擬似劣化信号発生装置を介装させる構成としても良い。
【0049】
更に、上記実施形態では、アナログ遅延回路としてのローパスフィルタLPFで空燃比センサ18の検出信号を処理することで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせる構成としたが、加重平均などの演算処理で過渡遅れ(一次遅れ)を強制的に生じさせることが可能である。
【0050】
図6のフローチャートは、演算処理で空燃比センサ18の検出信号に過渡遅れ(一次遅れ)を生じさせる第2の実施形態を示す。
図6のフローチャートにおいて、ステップS11では、擬似劣化信号の発生要求があるか否かを判断し、擬似劣化信号の発生要求がある場合にステップS12へ進む。
【0051】
ステップS12では、要求の劣化度合い、例えば、シミュレーションしたい走行距離の要求を読み込む。
ステップS13では、前記要求の劣化度合い(走行距離)に対応する加重重みk(時定数)を設定する。
【0052】
前記加重重みk(時定数)は、予め要求の劣化度合い(走行距離)毎にテーブルデータとして記憶されている。
ステップS14では、前記加重重みk(時定数)を用いて空燃比センサ18の検出信号を加重平均することで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせた検出信号(擬似劣化信号)を発生させる。
【0053】
加重平均値=k×最新の検出信号+(1−k)×前回の加重平均値
但し、過渡遅れ(一次遅れ)を強制的に生じさせるための演算処理を、加重平均演算に限定するものではない。
【0054】
ステップS15では、加重平均値(擬似劣化信号)に基づいて空燃比フィードバック制御を行わせる。
上記構成によると、ソフトウェア的な処理のみで擬似劣化信号を発生させることができるから、ハードウェアの追加によるコストアップを回避でき、また、コントロールユニット50に対して擬似劣化信号発生装置としての機能を容易に組み込むことができる。
【0055】
尚、擬似劣化信号を発生させるセンサを空燃比センサ18に限定するものではなく、経時劣化によって検出の応答遅れが変化するセンサであれば、同様にして適用することが可能である。
【0056】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載のセンサの擬似劣化信号発生装置において、
前記機関の運転状態を検出するセンサが、排気中の成分濃度に基づいて排気空燃比を検出する空燃比センサであることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。
【0057】
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号を要求の劣化度合いに応じて補正して、空燃比検出に、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを生じさせる。
従って、空燃比センサが劣化した状態での空燃比フィードバック制御状態をシミュレーションできる。
(ロ)請求項1又は2記載のセンサの擬似劣化信号発生装置において、
前記要求の劣化度合いに応じた加重重みで前記センサの検出信号を加重平均することで、前記要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。
【0058】
かかる構成によると、センサの検出信号を加重平均することで、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを生じさせる。
従って、演算処理のみによって、要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせることができる。
(ハ)請求項1〜3のいずれか1つに記載のセンサの擬似劣化信号発生装置において、
前記要求の劣化度合いが、走行距離に基づいて指定されることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。
【0059】
かかる構成によると、センサの劣化度合いが、例えば10万km相当や20万km相当などの走行距離に基づいて指定され、該走行距離での標準的なセンサ劣化に見合う過渡遅れを強制的に生じさせる。
【0060】
従って、ある走行距離を走行した状態でのセンサの劣化状態をシミュレーションでき、走行距離を基準とする適合作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】空燃比センサの構造図。
【図3】空燃比センサの空燃比検出原理を説明するための図。
【図4】擬似劣化信号発生制御の第1実施形態を示すフローチャート。
【図5】前記第1実施形態においてローパスフィルタの選択を行う構成を示す回路図。
【図6】擬似劣化信号発生制御の第2実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…内燃機関、13…エアフローメータ、15…燃料噴射弁、17…排気マニホールド、18…空燃比センサ、20…クランク角センサ、50…コントロールユニット
Claims (3)
- 内燃機関の運転状態を検出するセンサの擬似劣化信号発生装置であって、
要求の劣化度合いを入力し、該要求の劣化度合いに応じて前記センサの検出信号を補正することで、前記要求の劣化度合いに対応する過渡遅れを強制的に生じさせることを特徴とするセンサの擬似劣化信号発生装置。 - 前記要求の劣化度合いに応じて時定数を設定し、該時定数で前記センサの検出信号を補正することを特徴とする請求項1記載のセンサの擬似劣化信号発生装置。
- 相互に時定数の異なる複数のアナログ遅延回路を備え、前記要求の劣化度合いに応じて選択されるアナログ遅延回路で前記センサの検出信号を処理させることを特徴とする請求項1又は2記載の擬似劣化信号発生装置。
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- 2003-04-17 JP JP2003112825A patent/JP2004316570A/ja active Pending
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