JP2004308474A - 空燃比センサの擬似劣化信号発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空燃比センサが劣化した状態を考慮した制御変数の適合作業を、低コストかつ高精度に行えるようにする。
【解決手段】新品の空燃比センサを機関に装着し、該空燃比センサの検出信号から空燃比のリッチ・リーンを判定する。一方、10万km相当,20万km相当などの劣化状態の要求を示すセンサ劣化状態信号に基づいて、リッチ時及びリーン時の時定数をそれぞれ算出する。そして、リッチ・リーンの判定結果に基づいて、リッチ時の時定数とリーン時の時定数とのいずれか一方を選択し、該選択された時定数に基づいて空燃比センサの検出信号を補正する。前記補正された検出信号を空燃比フィードバック制御に用い、劣化状態での機関運転をシミュレーションする。
【選択図】 図4
【解決手段】新品の空燃比センサを機関に装着し、該空燃比センサの検出信号から空燃比のリッチ・リーンを判定する。一方、10万km相当,20万km相当などの劣化状態の要求を示すセンサ劣化状態信号に基づいて、リッチ時及びリーン時の時定数をそれぞれ算出する。そして、リッチ・リーンの判定結果に基づいて、リッチ時の時定数とリーン時の時定数とのいずれか一方を選択し、該選択された時定数に基づいて空燃比センサの検出信号を補正する。前記補正された検出信号を空燃比フィードバック制御に用い、劣化状態での機関運転をシミュレーションする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる擬似劣化信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づいて燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサを排気管に設け、該空燃比センサで検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて、機関への燃料供給量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御が知られている。
【0003】
また、特許文献1に開示される空燃比フィードバック制御においては、空燃比センサの劣化による時定数の変化を検出し、該時定数の変化に対応して目標空燃比を変更する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−128347号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように空燃比センサの劣化時に対応する処理を最適に行わせるには、空燃比センサが劣化した状態での運転を実験的に行わせ、種々のパラメータを予め適合させる必要が生じる。
【0006】
そこで、従来では、前記適合作業のために、劣化した状態の出力特性を示す空燃比センサを製造し、該劣化空燃比センサを機関に装着して空燃比検出を行わせるようにしていた。
【0007】
しかし、劣化特性の空燃比センサを要求通りに製造することが難しく、劣化空燃比センサの製造コストが高くなってしまうという問題があった。
また、劣化空燃比センサを機関に装着して実験を行っている最中に、劣化空燃比センサの劣化度合いが進んでしまい、一定の劣化条件で適合作業を行わせることが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、空燃比センサが劣化した状態に対応する適合作業を、低コストにかつ精度良く行えるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、空燃比センサの検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせると共に、前記過渡遅れの特性を空燃比のリッチ・リーンで切り換え、空燃比センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる構成とした。
【0010】
かかる構成によると、機関に装着された空燃比センサの検出信号を処理して強制的にリッチ時とリーン時とで異なる遅れを生じさせる。
従って、新品の空燃比センサの検出信号を処理して擬似的に劣化特性とすることが可能で、然も、実際の劣化状態ではリッチ時の遅れ特性とリーン時の遅れ特性とが異なることに対応して、劣化状態を精度良くシミュレーションできる。
【0011】
請求項2記載の発明では、空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときに、より大きな過渡遅れを生じさせる構成とした。
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせるときに、空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときにより大きく遅れるように処理される。
【0012】
従って、空燃比センサが劣化したときに、一般的に空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときにより大きな応答遅れを示すことに対応して、擬似劣化信号を発生させることができる。
【0013】
尚、本願において、空燃比のリッチ・リーンは、理論空燃比を基準とするものである。
請求項3記載の発明では、前記過渡遅れ特性を示す時定数を、要求の劣化度合いと空燃比のリッチ・リーンとに応じて設定する構成とした。
【0014】
かかる構成によると、例えば走行距離10万km相当,走行距離20万km相当などの劣化度合いの要求と、そのときに空燃比がリッチであるかリーンであるかによって、空燃比センサの検出信号を処理するときの時定数を設定する。
【0015】
従って、要求される劣化度合いの違いに対応しつつ、空燃比のリッチ・リーンによる過渡遅れ特性の違いに対応して、空燃比センサの検出信号に擬似的に過渡遅れを生じさせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る擬似劣化信号発生装置が適用される内燃機関のシステム構成図である。
【0017】
この図1において、内燃機関11の吸気管12には、吸入空気流量Qaを計測するエアフローメータ13及び吸入空気流量Qaを制御する吸気絞り弁14が設けられる。
【0018】
前記吸気絞り弁14下流のマニホールド部分には、気筒毎に電磁式の燃料噴射弁15が設けられる。
前記燃料噴射弁15は、後述するようにしてコントロールユニット50において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、所定圧力に制御された燃料を噴射する。
【0019】
更に、機関11の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ16が設けられる。
一方、排気マニホールド17の集合部近傍に、排気中の酸素濃度に基づいて吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ18が設けられる。
【0020】
前記空燃比センサ18の下流側には、理論空燃比近傍において排気中のCO,HCの酸化とNOxの還元を良好に行って排気を浄化する三元触媒19が介装されている。
【0021】
ここで、前記空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理について説明する。
図2に前記空燃比センサ18の構造を示す。
前記空燃比センサ18の本体1は、例えば酸素イオン伝導性を有するジルコニアZr2O3等の耐熱性多孔質絶縁材料等で形成され、該本体1には、ヒータ部2が設けられる。
【0022】
また、前記本体1には、大気(標準ガス)と連通する大気導入孔3、及び、ガス導入孔4及び保護層5を介して機関排気側と連通するガス拡散層6が設けられている。
【0023】
センシング部電極7A,7Bは、大気導入孔3とガス拡散層6とに臨んで設けられると共に、酸素ポンプ電極8A,8Bは、ガス拡散層6とこれに対応する本体1の周囲とに設けられる。
【0024】
前記センシング部電極7A,7Bの間には、ガス拡散層6内の酸素イオン濃度(酸素分圧)と大気中の酸素イオン濃度との比に応じた電圧が発生し、該電圧に基づいてガス拡散層6内の空燃比の理論空燃比に対するリッチ・リーンが検出される。
【0025】
一方、酸素ポンプ電極8A,8Bには、センシング部電極7A,7Bの間に発生する電圧、つまり、ガス拡散層6内のリッチ・リーンに応じて電圧が印加されるようになっている。
【0026】
前記酸素ポンプ電極部8A,8Bにおいては、所定の電圧が印加されると、これに応じてガス拡散層6内の酸素イオンが移動され、酸素ポンプ電極部8A,8B間に電流が流れる。
【0027】
ここで、酸素ポンプ電極部8A,8B間に、所定電圧を印加したときに該電極間を流れる電流値(限界電流)Ipは、排気中の酸素イオン濃度に影響されるので、電流値(限界電流)Ipを検出することで空燃比を検出できることになる。
【0028】
即ち、図3のテーブル(A)に示すように、酸素ポンプ電極間の電流・電圧と、空燃比との相関関係が得られ、センシング部電極7A,7Bのリッチ・リーン出力に基づいて酸素ポンプ電極部8A,8Bに対する電圧の印加方向を反転させることで、リーン領域とリッチ領域との両方の空燃比領域において、酸素ポンプ電極部8A,8B間を流れる電流値(限界電流)Ipに基づき、空燃比を検出できる。
【0029】
以上のような空燃比検出原理により、酸素ポンプ電極部間の電流値Ipを検出して、例えば図3のテーブル(B)を参照すれば、空燃比を広範囲に検出することができる。
【0030】
但し、空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理を上記のものに限定するものではなく、理論空燃比に対するリッチ・リーンのみを検出する所謂ストイキセンサであっても良い。
【0031】
ここで、前記図1の説明に戻る。
前記機関11には、クランク軸の角度を検出するクランク角センサ20が設けられており、コントロールユニット50では、該クランク角センサ20から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出する。
【0032】
前記コントロールユニット50は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェイス等から構成されるマイクロコンピュータを含んでなり、前述の空燃比センサ18、エアフローメータ13、水温センサ16、クランク角センサ20等からの入力信号を受け、以下のようにして燃料噴射弁15の燃料噴射量を制御する。
【0033】
前記コントロールユニット50は、エアフローメータ13で検出される吸入空気流量Qaと、クランク角センサ20の信号から求められる機関回転速度Neとから基本燃料噴射パルス幅Tp=k×Qa/Ne(kは定数)を演算すると共に、低水温時に強制的にリッチ側に補正する水温補正係数Kw、始動及び始動後増量補正係数Kas、空燃比フィードバック補正係数(空燃比フィードバック制御信号)LAMBDA、電圧補正分Ts、目標空燃比に対応する目標当量比Z等により、最終的な燃料噴射パルス幅Ti=Tp×(1+Kw+Kas+・・・)×LAMBDA×Z+Tsを演算する。
【0034】
そして、この燃料噴射パルス幅Tiが駆動パルス信号として前記燃料噴射弁15に送られて、前記燃料噴射パルス幅Tiから電圧補正分Tsを除いた有効噴射パルス幅Teに比例する量の燃料が噴射される。
【0035】
上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18が検出する実際の空燃比の目標空燃比からのズレを補正するための係数であり、これによって基本燃料パルス幅Tpを補正することで、実際の空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)に一致させる。
【0036】
前記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18で検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づく比例・積分・微分制御によって設定される。
【0037】
ここで、前記コントロールユニット50には、本発明に係る空燃比センサの擬似劣化信号発生装置が内蔵されており、該擬似劣化信号発生装置を選択的に機能させることができるようになっている。
【0038】
即ち、前記空燃比センサ18の検出信号をそのまま用いて通常に空燃比フィードバック制御を行わせる状態と、機関制御仕様の開発・設計時において各種の制御変数を適合する作業のために、前記空燃比センサ18の検出信号を擬似劣化信号発生装置で処理して空燃比フィードバック制御を行わせる状態とに切り換えられるようになっている。
【0039】
また、空燃比センサ18の擬似劣化信号を発生させるに当たって、コントロールユニット50に対して外部から劣化度合いの要求を指示できるようになっている。
【0040】
尚、前記劣化度合いは、走行距離10万km相当,走行距離20万km相当などの車両走行距離で指定される。
また、擬似劣化信号発生装置を機能させる場合の空燃比センサ18は、新品のセンサであり、劣化した状態の出力特性を示す劣化空燃比センサは用いない。
【0041】
図4は、前記擬似劣化信号発生装置のシステムブロック図を示す。
図4において、空燃比センサ18の検出信号は、リッチ/リーン判定部100に入力され、現時点の空燃比が理論空燃比よりもリッチであるかリーンであるかが判定される。
【0042】
図5のフローチャートは、前記リッチ/リーン判定部100の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS101では、空燃比センサ18の検出信号が所定値未満であるか否かを判定することで、空燃比がリッチであるかリーンであるかを判定する。
【0043】
そして、検出信号が所定値未満であるリッチ時には、ステップS102へ進み、リッチ/リーン判定結果として0を出力する。
一方、検出信号が所定値以上であるリーン時には、ステップS103へ進み、リッチ/リーン判定結果として1を出力する。
【0044】
前記図4のシステムブロック図において、外部から劣化度合いの要求を指示する信号であるセンサ劣化状態信号が、リッチ時時定数算出部200及びリーン時時定数算出部300に入力される。
【0045】
そして、リッチ時時定数算出部200では、指示された劣化度合いで、かつ、空燃比がリッチであるときの空燃比センサの時定数を算出する。
同様に、リーン時時定数算出部300では、指示された劣化度合いで、かつ、空燃比がリーンであるときの空燃比センサの時定数を算出する。
【0046】
図6のフローチャートは、前記リッチ時時定数算出部200の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS201では、予めセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)毎にリッチ時の時定数が記憶されたテーブルを参照し、そのときのセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)に対応するリッチ時の時定数を検索する。
【0047】
図7のフローチャートは、前記リーン時時定数算出部300の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS301では、予めセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)毎にリーン時の時定数が記憶されたテーブルを参照し、そのときのセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)に対応するリーン時の時定数を検索する。
【0048】
尚、前記リーン時の時定数に対してリッチ時の時定数がより大きく、リーン時に比べてリッチ時により大きな過渡遅れを生じさせるように設定されている。
これは、走行距離の進行に伴って、リッチ側の過渡応答とリーン側の過渡応答とが同様に劣化するのではなく、リッチ側とリーン側とでは劣化度合いが異なり、一般的にはリッチ側の方がより大きな過渡遅れを示すようになるためである。
【0049】
上記のようにリッチ側でより大きな過渡遅れを示すのは、センサ素子を保護する保護層が多孔質であるため、走行距離が進むと目詰まりを起こし、これにより酸素分子よりも大きいHC分子が保護層を通過し難くなって、リッチによるHCの増大に対する感応が鈍くなるためである。
【0050】
前記図4のシステムブロック図において、前記リッチ時時定数算出部200及びリーン時時定数算出部300でそれぞれ算出された時定数は、時定数選定部400に入力される。
【0051】
前記時定数選定部400には、前記時定数の他、リッチ/リーン判定部100からリッチ/リーン判定結果(0又は1の信号)が入力され、リッチ判定時にはリッチ時時定数算出部200で算出された時定数を出力し、リーン判定時にはリーン時時定数算出部300で算出された時定数を出力する。
【0052】
図8のフローチャートは、前記時定数選定部400の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS401では、リッチ/リーン判定部100からリッチ/リーン判定結果がリッチであるか否か(リッチ/リーン判定部100からの出力が0であるか否か)を判定する。
【0053】
そして、リッチ判定時には、ステップS402へ進み、リッチ時時定数算出部200で算出された時定数を選定し、リーン判定時には、ステップS403へ進み、リーン時時定数算出部300で算出された時定数を選定する。
【0054】
前記図4のシステムブロック図において、前記時定数選定部400から出力される時定数と、前記空燃比センサ18の検出信号とは、センサ信号補正部500に入力される。
【0055】
前記センサ信号補正部500では、前記時定数で空燃比センサ18の検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせ、該処理後の検出信号を補正後のセンサ検出信号として出力する。
図9のフローチャートは、前記センサ信号補正部500の処理内容を詳細に示すものである。
【0056】
ステップS501では、空燃比センサ18の最新の検出信号と、前回(1ジョブ前)検出信号とを、前記時定数(加重重み)に基づいて加重平均して、強制的に過渡遅れを生じさせた検出信号を発生させる。
【0057】
補正後センサ信号={(1−時定数)×最新の信号+時定数×1JOB前の信号}/2
前記補正後のセンサ検出信号は、擬似劣化信号として通常に空燃比フィードバック制御に用いられ、空燃比センサ18が劣化した状態での空燃比フィードバック制御状態がシミュレーションされる。
【0058】
そして、このときの機関運転状態(排気性状など)から、劣化状態を考慮した各種パラメータの適合を行わせる。
上記のように、新品の空燃比センサ18の検出信号を擬似的に劣化させる構成であれば、劣化特性の空燃比センサを製造する必要がなく、常に要求の応答劣化度合いでの空燃比検出を行わせることができ、空燃比センサが劣化した状態での適合作業を、低コストにかつ精度良く行える。
【0059】
更に、空燃比のリッチ・リーンで過渡遅れの特性を切り換えることで、空燃比センサ18の劣化がリッチ側とリーン側とで異なる影響を示す場合でも、これに対応して実際の特性を忠実にシミュレーションした擬似劣化信号を発生させることができる。
【0060】
尚、上記実施形態では、空燃比センサ18の検出信号を加重平均することで、擬似劣化信号を発生する構成としたが、空燃比センサ18の検出信号を処理するアナログ遅延回路(CR回路)の時定数を切り換えることで、擬似劣化信号を発生させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、コントロールユニット50に擬似劣化信号発生装置を含める構成としたが、コントロールユニット50とは別体に擬似劣化信号発生装置を設け、コントロールユニット50と空燃比センサ18との間に、擬似劣化信号発生装置を介装し、コントロールユニット50が擬似劣化信号を空燃比センサ18の出力として入力して、空燃比フィードバック制御に用いるようにしても良い。
【0062】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置において、
前記空燃比センサの検出信号を加重平均演算することで強制的に過渡遅れを生じさせることを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
【0063】
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号を、空燃比のリッチ・リーンで異なる加重重みで加重平均することで、劣化した状態に対応する擬似劣化信号を発生させる。
【0064】
従って、擬似劣化信号を簡便な演算処理で発生させることができる。
(ロ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置において、
前記空燃比センサの検出信号をアナログ遅延回路で処理することで強制的に過渡遅れを生じさせることを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
【0065】
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号のアナログ処理によって擬似劣化信号を発生させることができ、擬似劣化信号発生装置を簡便に構成することができる。
(ハ)請求項3記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置において、
前記要求の劣化度合いが、走行距離に基づいて指定されることを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
【0066】
かかる構成によると、空燃比センサの劣化度合いが、例えば10万km相当や、20万km相当などの走行距離に基づいて指定され、該走行距離での空燃比センサの劣化に見合う時定数が、空燃比のリッチ状態とリーン状態とでそれぞれに設定される。
【0067】
従って、ある走行距離を走行した状態での空燃比センサの劣化状態をシミュレーションでき、走行距離を基準とする適合作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】空燃比センサの構造図。
【図3】空燃比センサの空燃比検出原理を説明するための図。
【図4】実施形態における擬似劣化信号発生装置のシステムブロック図。
【図5】実施形態におけるリッチ・リーン判定部のフローチャート。
【図6】実施形態におけるリッチ時時定数算出部のフローチャート。
【図7】実施形態におけるリーン時時定数算出部のフローチャート。
【図8】実施形態における時定数選定部のフローチャート。
【図9】実施形態におけるセンサ信号補正部のフローチャート。
【符号の説明】
11…内燃機関、13…エアフローメータ、15…燃料噴射弁、17…排気マニホールド、18…空燃比センサ、20…クランク角センサ、50…コントロールユニット、100…リッチ/リーン判定部、200…リッチ時時定数算出部、300…リーン時時定数算出部、400…時定数選定部、500…センサ信号補正部
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる擬似劣化信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づいて燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサを排気管に設け、該空燃比センサで検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて、機関への燃料供給量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御が知られている。
【0003】
また、特許文献1に開示される空燃比フィードバック制御においては、空燃比センサの劣化による時定数の変化を検出し、該時定数の変化に対応して目標空燃比を変更する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−128347号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように空燃比センサの劣化時に対応する処理を最適に行わせるには、空燃比センサが劣化した状態での運転を実験的に行わせ、種々のパラメータを予め適合させる必要が生じる。
【0006】
そこで、従来では、前記適合作業のために、劣化した状態の出力特性を示す空燃比センサを製造し、該劣化空燃比センサを機関に装着して空燃比検出を行わせるようにしていた。
【0007】
しかし、劣化特性の空燃比センサを要求通りに製造することが難しく、劣化空燃比センサの製造コストが高くなってしまうという問題があった。
また、劣化空燃比センサを機関に装着して実験を行っている最中に、劣化空燃比センサの劣化度合いが進んでしまい、一定の劣化条件で適合作業を行わせることが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、空燃比センサが劣化した状態に対応する適合作業を、低コストにかつ精度良く行えるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、空燃比センサの検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせると共に、前記過渡遅れの特性を空燃比のリッチ・リーンで切り換え、空燃比センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる構成とした。
【0010】
かかる構成によると、機関に装着された空燃比センサの検出信号を処理して強制的にリッチ時とリーン時とで異なる遅れを生じさせる。
従って、新品の空燃比センサの検出信号を処理して擬似的に劣化特性とすることが可能で、然も、実際の劣化状態ではリッチ時の遅れ特性とリーン時の遅れ特性とが異なることに対応して、劣化状態を精度良くシミュレーションできる。
【0011】
請求項2記載の発明では、空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときに、より大きな過渡遅れを生じさせる構成とした。
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせるときに、空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときにより大きく遅れるように処理される。
【0012】
従って、空燃比センサが劣化したときに、一般的に空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときにより大きな応答遅れを示すことに対応して、擬似劣化信号を発生させることができる。
【0013】
尚、本願において、空燃比のリッチ・リーンは、理論空燃比を基準とするものである。
請求項3記載の発明では、前記過渡遅れ特性を示す時定数を、要求の劣化度合いと空燃比のリッチ・リーンとに応じて設定する構成とした。
【0014】
かかる構成によると、例えば走行距離10万km相当,走行距離20万km相当などの劣化度合いの要求と、そのときに空燃比がリッチであるかリーンであるかによって、空燃比センサの検出信号を処理するときの時定数を設定する。
【0015】
従って、要求される劣化度合いの違いに対応しつつ、空燃比のリッチ・リーンによる過渡遅れ特性の違いに対応して、空燃比センサの検出信号に擬似的に過渡遅れを生じさせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る擬似劣化信号発生装置が適用される内燃機関のシステム構成図である。
【0017】
この図1において、内燃機関11の吸気管12には、吸入空気流量Qaを計測するエアフローメータ13及び吸入空気流量Qaを制御する吸気絞り弁14が設けられる。
【0018】
前記吸気絞り弁14下流のマニホールド部分には、気筒毎に電磁式の燃料噴射弁15が設けられる。
前記燃料噴射弁15は、後述するようにしてコントロールユニット50において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、所定圧力に制御された燃料を噴射する。
【0019】
更に、機関11の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ16が設けられる。
一方、排気マニホールド17の集合部近傍に、排気中の酸素濃度に基づいて吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ18が設けられる。
【0020】
前記空燃比センサ18の下流側には、理論空燃比近傍において排気中のCO,HCの酸化とNOxの還元を良好に行って排気を浄化する三元触媒19が介装されている。
【0021】
ここで、前記空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理について説明する。
図2に前記空燃比センサ18の構造を示す。
前記空燃比センサ18の本体1は、例えば酸素イオン伝導性を有するジルコニアZr2O3等の耐熱性多孔質絶縁材料等で形成され、該本体1には、ヒータ部2が設けられる。
【0022】
また、前記本体1には、大気(標準ガス)と連通する大気導入孔3、及び、ガス導入孔4及び保護層5を介して機関排気側と連通するガス拡散層6が設けられている。
【0023】
センシング部電極7A,7Bは、大気導入孔3とガス拡散層6とに臨んで設けられると共に、酸素ポンプ電極8A,8Bは、ガス拡散層6とこれに対応する本体1の周囲とに設けられる。
【0024】
前記センシング部電極7A,7Bの間には、ガス拡散層6内の酸素イオン濃度(酸素分圧)と大気中の酸素イオン濃度との比に応じた電圧が発生し、該電圧に基づいてガス拡散層6内の空燃比の理論空燃比に対するリッチ・リーンが検出される。
【0025】
一方、酸素ポンプ電極8A,8Bには、センシング部電極7A,7Bの間に発生する電圧、つまり、ガス拡散層6内のリッチ・リーンに応じて電圧が印加されるようになっている。
【0026】
前記酸素ポンプ電極部8A,8Bにおいては、所定の電圧が印加されると、これに応じてガス拡散層6内の酸素イオンが移動され、酸素ポンプ電極部8A,8B間に電流が流れる。
【0027】
ここで、酸素ポンプ電極部8A,8B間に、所定電圧を印加したときに該電極間を流れる電流値(限界電流)Ipは、排気中の酸素イオン濃度に影響されるので、電流値(限界電流)Ipを検出することで空燃比を検出できることになる。
【0028】
即ち、図3のテーブル(A)に示すように、酸素ポンプ電極間の電流・電圧と、空燃比との相関関係が得られ、センシング部電極7A,7Bのリッチ・リーン出力に基づいて酸素ポンプ電極部8A,8Bに対する電圧の印加方向を反転させることで、リーン領域とリッチ領域との両方の空燃比領域において、酸素ポンプ電極部8A,8B間を流れる電流値(限界電流)Ipに基づき、空燃比を検出できる。
【0029】
以上のような空燃比検出原理により、酸素ポンプ電極部間の電流値Ipを検出して、例えば図3のテーブル(B)を参照すれば、空燃比を広範囲に検出することができる。
【0030】
但し、空燃比センサ18の構造及び空燃比検出原理を上記のものに限定するものではなく、理論空燃比に対するリッチ・リーンのみを検出する所謂ストイキセンサであっても良い。
【0031】
ここで、前記図1の説明に戻る。
前記機関11には、クランク軸の角度を検出するクランク角センサ20が設けられており、コントロールユニット50では、該クランク角センサ20から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出する。
【0032】
前記コントロールユニット50は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェイス等から構成されるマイクロコンピュータを含んでなり、前述の空燃比センサ18、エアフローメータ13、水温センサ16、クランク角センサ20等からの入力信号を受け、以下のようにして燃料噴射弁15の燃料噴射量を制御する。
【0033】
前記コントロールユニット50は、エアフローメータ13で検出される吸入空気流量Qaと、クランク角センサ20の信号から求められる機関回転速度Neとから基本燃料噴射パルス幅Tp=k×Qa/Ne(kは定数)を演算すると共に、低水温時に強制的にリッチ側に補正する水温補正係数Kw、始動及び始動後増量補正係数Kas、空燃比フィードバック補正係数(空燃比フィードバック制御信号)LAMBDA、電圧補正分Ts、目標空燃比に対応する目標当量比Z等により、最終的な燃料噴射パルス幅Ti=Tp×(1+Kw+Kas+・・・)×LAMBDA×Z+Tsを演算する。
【0034】
そして、この燃料噴射パルス幅Tiが駆動パルス信号として前記燃料噴射弁15に送られて、前記燃料噴射パルス幅Tiから電圧補正分Tsを除いた有効噴射パルス幅Teに比例する量の燃料が噴射される。
【0035】
上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18が検出する実際の空燃比の目標空燃比からのズレを補正するための係数であり、これによって基本燃料パルス幅Tpを補正することで、実際の空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)に一致させる。
【0036】
前記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、空燃比センサ18で検出される実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づく比例・積分・微分制御によって設定される。
【0037】
ここで、前記コントロールユニット50には、本発明に係る空燃比センサの擬似劣化信号発生装置が内蔵されており、該擬似劣化信号発生装置を選択的に機能させることができるようになっている。
【0038】
即ち、前記空燃比センサ18の検出信号をそのまま用いて通常に空燃比フィードバック制御を行わせる状態と、機関制御仕様の開発・設計時において各種の制御変数を適合する作業のために、前記空燃比センサ18の検出信号を擬似劣化信号発生装置で処理して空燃比フィードバック制御を行わせる状態とに切り換えられるようになっている。
【0039】
また、空燃比センサ18の擬似劣化信号を発生させるに当たって、コントロールユニット50に対して外部から劣化度合いの要求を指示できるようになっている。
【0040】
尚、前記劣化度合いは、走行距離10万km相当,走行距離20万km相当などの車両走行距離で指定される。
また、擬似劣化信号発生装置を機能させる場合の空燃比センサ18は、新品のセンサであり、劣化した状態の出力特性を示す劣化空燃比センサは用いない。
【0041】
図4は、前記擬似劣化信号発生装置のシステムブロック図を示す。
図4において、空燃比センサ18の検出信号は、リッチ/リーン判定部100に入力され、現時点の空燃比が理論空燃比よりもリッチであるかリーンであるかが判定される。
【0042】
図5のフローチャートは、前記リッチ/リーン判定部100の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS101では、空燃比センサ18の検出信号が所定値未満であるか否かを判定することで、空燃比がリッチであるかリーンであるかを判定する。
【0043】
そして、検出信号が所定値未満であるリッチ時には、ステップS102へ進み、リッチ/リーン判定結果として0を出力する。
一方、検出信号が所定値以上であるリーン時には、ステップS103へ進み、リッチ/リーン判定結果として1を出力する。
【0044】
前記図4のシステムブロック図において、外部から劣化度合いの要求を指示する信号であるセンサ劣化状態信号が、リッチ時時定数算出部200及びリーン時時定数算出部300に入力される。
【0045】
そして、リッチ時時定数算出部200では、指示された劣化度合いで、かつ、空燃比がリッチであるときの空燃比センサの時定数を算出する。
同様に、リーン時時定数算出部300では、指示された劣化度合いで、かつ、空燃比がリーンであるときの空燃比センサの時定数を算出する。
【0046】
図6のフローチャートは、前記リッチ時時定数算出部200の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS201では、予めセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)毎にリッチ時の時定数が記憶されたテーブルを参照し、そのときのセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)に対応するリッチ時の時定数を検索する。
【0047】
図7のフローチャートは、前記リーン時時定数算出部300の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS301では、予めセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)毎にリーン時の時定数が記憶されたテーブルを参照し、そのときのセンサ劣化状態信号(劣化度合いの要求信号)に対応するリーン時の時定数を検索する。
【0048】
尚、前記リーン時の時定数に対してリッチ時の時定数がより大きく、リーン時に比べてリッチ時により大きな過渡遅れを生じさせるように設定されている。
これは、走行距離の進行に伴って、リッチ側の過渡応答とリーン側の過渡応答とが同様に劣化するのではなく、リッチ側とリーン側とでは劣化度合いが異なり、一般的にはリッチ側の方がより大きな過渡遅れを示すようになるためである。
【0049】
上記のようにリッチ側でより大きな過渡遅れを示すのは、センサ素子を保護する保護層が多孔質であるため、走行距離が進むと目詰まりを起こし、これにより酸素分子よりも大きいHC分子が保護層を通過し難くなって、リッチによるHCの増大に対する感応が鈍くなるためである。
【0050】
前記図4のシステムブロック図において、前記リッチ時時定数算出部200及びリーン時時定数算出部300でそれぞれ算出された時定数は、時定数選定部400に入力される。
【0051】
前記時定数選定部400には、前記時定数の他、リッチ/リーン判定部100からリッチ/リーン判定結果(0又は1の信号)が入力され、リッチ判定時にはリッチ時時定数算出部200で算出された時定数を出力し、リーン判定時にはリーン時時定数算出部300で算出された時定数を出力する。
【0052】
図8のフローチャートは、前記時定数選定部400の処理内容を詳細に示すものである。
ステップS401では、リッチ/リーン判定部100からリッチ/リーン判定結果がリッチであるか否か(リッチ/リーン判定部100からの出力が0であるか否か)を判定する。
【0053】
そして、リッチ判定時には、ステップS402へ進み、リッチ時時定数算出部200で算出された時定数を選定し、リーン判定時には、ステップS403へ進み、リーン時時定数算出部300で算出された時定数を選定する。
【0054】
前記図4のシステムブロック図において、前記時定数選定部400から出力される時定数と、前記空燃比センサ18の検出信号とは、センサ信号補正部500に入力される。
【0055】
前記センサ信号補正部500では、前記時定数で空燃比センサ18の検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせ、該処理後の検出信号を補正後のセンサ検出信号として出力する。
図9のフローチャートは、前記センサ信号補正部500の処理内容を詳細に示すものである。
【0056】
ステップS501では、空燃比センサ18の最新の検出信号と、前回(1ジョブ前)検出信号とを、前記時定数(加重重み)に基づいて加重平均して、強制的に過渡遅れを生じさせた検出信号を発生させる。
【0057】
補正後センサ信号={(1−時定数)×最新の信号+時定数×1JOB前の信号}/2
前記補正後のセンサ検出信号は、擬似劣化信号として通常に空燃比フィードバック制御に用いられ、空燃比センサ18が劣化した状態での空燃比フィードバック制御状態がシミュレーションされる。
【0058】
そして、このときの機関運転状態(排気性状など)から、劣化状態を考慮した各種パラメータの適合を行わせる。
上記のように、新品の空燃比センサ18の検出信号を擬似的に劣化させる構成であれば、劣化特性の空燃比センサを製造する必要がなく、常に要求の応答劣化度合いでの空燃比検出を行わせることができ、空燃比センサが劣化した状態での適合作業を、低コストにかつ精度良く行える。
【0059】
更に、空燃比のリッチ・リーンで過渡遅れの特性を切り換えることで、空燃比センサ18の劣化がリッチ側とリーン側とで異なる影響を示す場合でも、これに対応して実際の特性を忠実にシミュレーションした擬似劣化信号を発生させることができる。
【0060】
尚、上記実施形態では、空燃比センサ18の検出信号を加重平均することで、擬似劣化信号を発生する構成としたが、空燃比センサ18の検出信号を処理するアナログ遅延回路(CR回路)の時定数を切り換えることで、擬似劣化信号を発生させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、コントロールユニット50に擬似劣化信号発生装置を含める構成としたが、コントロールユニット50とは別体に擬似劣化信号発生装置を設け、コントロールユニット50と空燃比センサ18との間に、擬似劣化信号発生装置を介装し、コントロールユニット50が擬似劣化信号を空燃比センサ18の出力として入力して、空燃比フィードバック制御に用いるようにしても良い。
【0062】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置において、
前記空燃比センサの検出信号を加重平均演算することで強制的に過渡遅れを生じさせることを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
【0063】
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号を、空燃比のリッチ・リーンで異なる加重重みで加重平均することで、劣化した状態に対応する擬似劣化信号を発生させる。
【0064】
従って、擬似劣化信号を簡便な演算処理で発生させることができる。
(ロ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置において、
前記空燃比センサの検出信号をアナログ遅延回路で処理することで強制的に過渡遅れを生じさせることを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
【0065】
かかる構成によると、空燃比センサの検出信号のアナログ処理によって擬似劣化信号を発生させることができ、擬似劣化信号発生装置を簡便に構成することができる。
(ハ)請求項3記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置において、
前記要求の劣化度合いが、走行距離に基づいて指定されることを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
【0066】
かかる構成によると、空燃比センサの劣化度合いが、例えば10万km相当や、20万km相当などの走行距離に基づいて指定され、該走行距離での空燃比センサの劣化に見合う時定数が、空燃比のリッチ状態とリーン状態とでそれぞれに設定される。
【0067】
従って、ある走行距離を走行した状態での空燃比センサの劣化状態をシミュレーションでき、走行距離を基準とする適合作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】空燃比センサの構造図。
【図3】空燃比センサの空燃比検出原理を説明するための図。
【図4】実施形態における擬似劣化信号発生装置のシステムブロック図。
【図5】実施形態におけるリッチ・リーン判定部のフローチャート。
【図6】実施形態におけるリッチ時時定数算出部のフローチャート。
【図7】実施形態におけるリーン時時定数算出部のフローチャート。
【図8】実施形態における時定数選定部のフローチャート。
【図9】実施形態におけるセンサ信号補正部のフローチャート。
【符号の説明】
11…内燃機関、13…エアフローメータ、15…燃料噴射弁、17…排気マニホールド、18…空燃比センサ、20…クランク角センサ、50…コントロールユニット、100…リッチ/リーン判定部、200…リッチ時時定数算出部、300…リーン時時定数算出部、400…時定数選定部、500…センサ信号補正部
Claims (3)
- 内燃機関の排気通路に備えられる空燃比センサが劣化した状態での検出信号を擬似的に発生させる空燃比センサの擬似劣化信号発生装置であって、
前記空燃比センサの検出信号を処理して強制的に過渡遅れを生じさせると共に、前記過渡遅れの特性を空燃比のリッチ・リーンで切り換えるよう構成したことを特徴とする空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。 - 空燃比がリーンであるときよりもリッチであるときに、より大きな過渡遅れを生じさせることを特徴とする請求項1記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
- 前記過渡遅れ特性を示す時定数を、要求の劣化度合いと空燃比のリッチ・リーンとに応じて設定することを特徴とする請求項1又は2記載の空燃比センサの擬似劣化信号発生装置。
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2003
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A711 | Notification of change in applicant |
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