JP2004308023A - ポリケトン繊維コード及びそれを用いたタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリケトン繊維コード及びそれを用いたタイヤに関し、特にディップ処理後の強力保持率の高いポリケトン繊維コードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機繊維コードは、タイヤを始めとする各種ゴム製品の補強用コードの中でも優れた強度、耐久性及び耐熱性を有するため、トラック・バス用、建設車両用、航空機用等の大型タイヤ、コンベヤベルト、ホース、空気バネ等のゴム工業製品の補強材として多用されてきた。
【0003】
一方、昨今、タイヤの軽量化、低燃費化、省資源化、コスト削減、生産性向上等を目的として、上記補強材の積層数の低減、コードの打ち込み本数の低減、コードの細糸化等により補強材量を削減することが強く要請されている。
【0004】
ここで、コード−ゴム複合体としてのトータル強度を維持したまま、補強材量を減少させるには、より高強度の繊維を用いる必要である。これに対し、従来の有機繊維に比べ強度が大幅に高い繊維として、ポリケトン繊維(PK繊維)が開発されており(特許文献1参照)、該ポリケトン繊維をタイヤ等のゴム製品へ適用することが検討されている。
【0005】
しかしながら、上記ポリケトン繊維からなるコードは、撚り工程、RFL接着剤液中でのディップ工程、乾燥工程、熱処理工程を経ると、その強度が大幅に低下してしまい、ポリケトン繊維が本来持つ高強度特性が充分に生かしきれないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−324377号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、従来のRFL接着剤液を用いた場合、該接着剤液中にポリケトン繊維からなるコードをディップして接着剤液を含浸させた後、高温オーブン内においてコードに含浸した接着剤液が乾燥して樹脂化し、その結果、各ポリケトン繊維が癒着して、その自由度が低下してしまう。そのため、コード伸長時に各ポリケトン繊維に均一に応力がかからず、コードが本来有する強力を発揮できず、低い強力で破断してしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、RFL接着剤液で処理した後の強力保持率が高いポリケトン繊維コードを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、RFL接着剤液をコード内部に充分含浸させても、該接着剤液から生成する樹脂フィルムのモジュラスが特定の範囲にある場合、ディップコードが充分な柔軟性を有して、コード伸長時に各ポリケトン繊維に応力が均一にかかり、その結果、ディップコードの強力保持率が従来に比べ著しく向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明のポリケトン繊維コードは、RFL接着剤液で処理したポリケトン繊維コードであって、該繊維に用いるポリケトンが下記式(I):
【化2】
(式中、Aはエチレン性結合によって重合されたエチレン性不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい)
で表される繰り返し単位から実質的になり、前記RFL接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が3MPa以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明のポリケトン繊維コードの好適例においては、前記フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が0.55〜3MPaである。
【0012】
本発明のポリケトン繊維コードの他の好適例においては、前記RFL接着剤液は、ホルムアルデヒド(F)とレゾルシン(R)とのモル比(F/R)が1.0〜1.9で、全ラテックスの固形分質量(L)に対するレゾルシン及びホルムアルデヒド総質量(RF)の割合(RF/L)が5〜17質量%で、水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムの総量とレゾルシン(R)とのモル比[(NaOH+NH4OH)/R]が0.21以下である。
【0013】
本発明のポリケトン繊維コードの他の好適例においては、前記ポリケトン繊維の原糸強度が15g/d以上である。ここで、該ポリケトン繊維の原糸強度は、18g/d以上であるのが更に好ましい。
【0014】
本発明のポリケトン繊維コードの他の好適例においては、前記式(I)中のAがエチレン基である。
【0015】
また、本発明のタイヤは、上記ポリケトン繊維コードをタイヤの何れかの部材に用いたことを特徴とする。
【0016】
本発明のタイヤの好適例においては、前記タイヤ部材が、カーカス、ベルト補強層及びベルトの少なくとも何れかである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のポリケトン繊維コードは、RFL接着剤液で処理したポリケトン繊維コードであって、該繊維に用いるポリケトンが上記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になり、且つ前記RFL接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が3MPa以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明のポリケトン繊維コードの接着剤液処理に用いるRFL(レゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス)接着剤液においては、該接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が3MPa以下であり、該フィルムは弾性率が低く、柔軟である。そのため、該接着剤液が含浸されたポリケトン繊維コードは、接着剤液が乾燥して樹脂化した後も、ポリケトン繊維の自由度が高く、コード伸長時に応力が各ポリケトン繊維に均一かかり、コードが本来有する強力を充分に発揮することができる。ここで、コードとゴムとの接着力を充分高く確保する観点、より詳しくは、接着剤内部で凝集破壊を起こさない観点から、上記接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)は0.55MPa以上であるのが好ましい。
【0019】
従来のRFL接着剤液の配合は、ホルムアルデヒド(F)とレゾルシン(R)とのモル比(F/R)が1.8〜2.2で、全ラテックスの固形分質量(L)に対するレゾルシン及びホルムアルデヒド総質量(RF)の割合(RF/L)が15〜25質量%で、全ラテックス固形分質量中のビニルピリジン(VP)ラテックスの固形分質量の割合が約41質量%、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスの固形分質量の割合が約40%で、水酸化ナトリウムとレゾルシン(R)とのモル比(NaOH/R)が約0.3であり、かかる接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)は3MPaを超えていた。
【0020】
これに対し、本発明のポリケトン繊維コードに用いるRFL接着剤液においては、F/Rが1.0〜1.9(モル比)で、RF/Lが5〜17質量%であり、但し、RF/Lが12以上の場合、全ラテックス固形分中の天然ゴム(NR)の固形分を30質量%以上とし、RF/Lが16以上の場合は、NR固形分を40質量%以上とするか、又は熱可塑性樹脂を全ラテックスの固形分に対し該熱可塑性樹脂の固形分が10質量%以上となるように添加する。ここで、該熱可塑性樹脂としては、レゾルシン、フェノール等と一塩化硫黄とを反応させてなる樹脂等が挙げられる。
【0021】
また、本発明のポリケトン繊維コードに用いるRFL接着剤液においては、触媒としての水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムの総量とレゾルシン(R)とのモル比[(NaOH+NH4OH)/R]を0.21以下とし、NaOH/NH4OHを0.9〜3(モル比)とし、NH4OHを使用しない場合は、NaOH/Rを0.05(モル比)以下とする。
【0022】
更に、本発明のポリケトン繊維コードに用いるRFL接着剤液においては、全ラテックス固形分質量に対するスチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスの固形分質量の割合を0〜50質量%とし、ビニルピリジン(VP)ラテックスの固形分質量の割合を40〜100質量%とし、天然ゴム(NR)ラテックスの固形分質量の割合を0〜45質量%とする。なお、本発明のコードに用いるRFL接着剤液の総固形分濃度は10〜20質量%が好ましい。
【0023】
本発明では、RFL接着剤液の配合を上記の通りにすることにより、該接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)を3MPa以下とすることができる。
【0024】
本発明のポリケトン繊維コードを構成するポリケトン繊維(PK繊維)は、上記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンを原料とする。該ポリケトンは、分子中にCO単位(カルボニル基)とエチレン性不飽和化合物由来の単位とが配列された交互共重合体、即ち、高分子鎖中で各CO単位の隣に、例えばエチレン単位等のオレフィン単位が一つずつ位置する構造である。また、該ポリケトンは、一酸化炭素と特定のエチレン性不飽和化合物一種との共重合体であってもよく、一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物二種以上との共重合体であってもよい。式(I)中のAを形成するエチレン性不飽和化合物としては、エチレン,プロピレン,ブテン,ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン等の不飽和炭化水素化合物、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸又はその誘導体、更にはウンデセノール,6−クロロヘキセン,N−ビニルピロリドン,及びスルニルホスホン酸のジエチルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、特にポリマーの力学特性や耐熱性等の点から、エチレン性不飽和化合物としてエチレンを主体とするものを用いたポリケトンが好ましい。
【0025】
エチレンと他のエチレン性不飽和化合物とを併用する場合、エチレンは、全エチレン性不飽和化合物に対し、80モル%以上になるように用いるのが好ましい。80モル%未満では得られるポリマーの融点が200℃以下になり、得られるポリケトン繊維コードの耐熱性が不充分となる場合がある。ポリケトン繊維コードの力学特性や耐熱性の点から、エチレンの使用量は、特に全エチレン性不飽和化合物に対し90モル%以上が好ましい。前記のポリケトンは、公知の方法、例えばヨーロッパ特許公開第121965号,同第213671号,同第229408号及び米国特許第3914391号明細書に記載された方法に従って製造することができる。
【0026】
上記ポリケトンの重合度は、m−クレゾール中、60℃で測定した溶液粘度が1.0〜10.0dL/gの範囲にあるのが好ましい。溶液粘度が1.0dL/g未満では、得られるポリケトン繊維コードの力学強度が不充分となる場合があり、コードの力学強度の観点から、溶液粘度が1.2dL/g以上であるのが更に好ましい。一方、溶液粘度が10.0dL/gを超えると、繊維化時の溶融粘度や溶液粘度が高くなりすぎて紡糸性が不良となる場合があり、紡糸性の観点から、溶液粘度が5.0dL/g以下であるのが更に好ましい。繊維の力学強度及び紡糸性などを考慮すると、溶液粘度は1.3〜4.0dL/gの範囲が特に好ましい。
【0027】
上記ポリケトンの繊維化方法は、特に限定されないが、一般的には溶融紡糸法又は溶液紡糸法が採用される。溶融紡糸法を採用する場合には、例えば特開平1−124617号公報に記載の方法に従って、ポリマーを通常、融点より20℃以上高い温度、好ましくは融点より40℃程度高い温度で溶融紡糸し、次いで、通常、融点より10℃以下低い温度、好ましくは融点より40℃程度低い温度において、好ましくは3倍以上の延伸比で、更に好ましくは7倍以上の延伸比で延伸処理することにより、容易に所望の繊維を得ることができる。
【0028】
一方、溶液紡糸法を採用する場合、例えば特開平2−112413号公報に記載の方法に従って、ポリマーを例えばヘキサフルオロイソプロパノール,m−クレゾール等に0.25〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n−ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴、好ましくはアセトン浴中で溶剤を除去、洗浄して紡糸原糸を得、さらに(融点−100℃)〜(融点+10℃)、好ましくは(融点−50℃)〜(融点)の範囲の温度で延伸処理することにより、所望のフィラメントを得ることができる。また、このポリケトンには、熱,酸素等に対して十分な耐久性を付与する目的で酸化防止剤を加えることが好ましく、また必要に応じて艶消し剤,顔料,帯電防止剤等も配合することができる。
【0029】
上記ポリケトン繊維は、原糸強度が15g/d以上であるのが好ましく、18g/d以上であるのが更に好ましい。ポリケトン繊維の原糸強度が15g/d未満では、アラミド繊維やアラミド繊維とナイロン繊維とのハイブリッド繊維をコードに用いた場合に比べて、コード強度の向上が不充分で、タイヤ等のゴム製品の強度を維持しつつ、補強材量を充分に削減することができない。
【0030】
本発明のポリケトン繊維コードは、ポリケトン繊維からなるコードを上記のRFL接着剤液中に浸漬し、更に乾燥及び熱処理して製造される。ここで、該コードの製造においては、コードにポリケトン繊維を用い、使用するRFL接着剤液が上述の特性を有するものである限り、特に制限はなく、通常の製造方法を採用することができる。
【0031】
本発明のタイヤは、上記ポリケトン繊維コードをタイヤの何れかの部材に用いたことを特徴とし、ここで、該タイヤ部材としては、カーカス、ベルト補強層及びベルトが挙げられる。上記ポリケトン繊維コードは高強度であるため、タイヤ部材の強度を低下させることなく、コード打ち込み本数を低減したり、コード径を細くすることができ、その結果、タイヤの軽量化、低燃費化、省資源化、コスト削減、生産性向上を達成することができる。
【0032】
次に本発明のタイヤの実施態様を図面に基づき説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイド部2と、トレッド部3と、該ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス5と、該カーカス5のクラウン部でタイヤ径方向外側に配した少なくとも二枚のベルト層からなるベルト6と、該ベルト6のタイヤ径方向外側でベルト6の全体を覆うように配置したベルト補強層7Aと、該ベルト補強層7Aのタイヤ径方向外側でベルト6の両端部を覆うように配置した一対のベルト補強層7Bとからなる。図示例のベルト補強層7A,7Bは、夫々一層であるが、二層以上であってもよい。また、ベルト補強層7A及び/又はベルト補強層7Bが省略されたタイヤも、本発明のタイヤの一例である。ここで、本発明のタイヤにおいては、カーカス5、ベルト補強層7A,7B及びベルト6の少なくとも何れかに、上述したポリケトン繊維からなるコードを適用するのが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
強度20g/d、1550dのポリケトン繊維(PK繊維、式(I)中のAがエチレン基のもの)を用いて、表1に示す構造のコード(生コード)を試作し、該コードの強力及び強力利用率を以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
【0035】
(1)破断強力、強度
原糸、生コード、ディップコード、加硫後コードともに総てJIS L1017に従い、島津製作所製オートグラフにて引っ張りテストし、破断時の強力(kg)を求めた。また、強度(g/d)の算出は次式に従い、このときのコードデニールは、原糸についてはJIS L1017の正量繊度を用いた。
強度=破断強力/正量繊度
【0036】
(2)強力利用率
生コードの強力を原糸総強度で除し、%で表示した。
【0037】
次に、軟水にレゾルシンを溶解させた後、NaOH水溶液を添加し、次いでホルマリンを添加し、室温下で6時間放置熟成させ、次いでNH4OH水溶液を加える配合の場合はNH4OH水溶液を加えた後、ラテックスを加え、更に室温下で24時間放置熟成させてRFL接着剤液を調製し、接着剤処理に用いた。また、該接着剤液から作製したフィルムの10%伸長時の引張応力(M10)を下記の方法で測定した。RFL接着剤液の配合と引張応力試験の結果を表1に示す。
【0038】
(3)フィルムの10%伸長時の引張応力
上記接着剤液をガラス板に展開し、空気中で自然乾燥後、ガラス板より剥がし取り、240℃の雰囲気下でアルミ板にのせ2分間熱処理を施す。DIN4号の型に切り取り、インストロンにて10%伸長時の引張応力を測定した。
【0039】
また、上記接着剤液に上記生コードを浸漬し、乾燥及び熱処理を施した。ここで、乾燥温度は160℃で、熱処理温度は240℃であり、その際のテンションは1.0g/dである。接着剤液処理後のコード(ディップコード)について上記の方法で強力を測定し、ディップコードの強力を生コードの強力で除して強力保持率(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0040】
更に、上記ディップコードを、天然ゴム70質量部、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム30質量部、カーボンブラック40質量部、ステアリン酸2質量部、石油系軟化剤10質量部、パインタール4質量部、亜鉛華5質量部、N−フェニル−β−ナフチルアミン1.5質量部、2−ベンゾチアゾリルスルフィド0.75質量部、ジフェニルグアニジン0.75質量部、硫黄3.5質量部からなるゴム組成物中に埋め込み、160℃で20分間加硫した。その後、該ゴム組成物からコードを引き出し、上記の方法で強力を測定し、加硫後のコードの強力を生コードの強力で除して強力保持率(%)を求めた。
【0041】
また、加硫ゴムからコードを300mm/分の速度で引き出した際のコード1本あたりの剥離抗力を求めて、これを接着力(kg/本)とした。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果から、接着剤液から作製したフィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が3MPa以下であるRFL接着剤液を用いた実施例のコードは、ディップ処理後の強力保持率及び加硫後の強力保持率が高く、ゴムとの接着力も充分高く維持されていた。
【0044】
一方、比較例1のコードは、RFL接着剤液から作製したフィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が3MPaを超え、該コードを構成するPK繊維の自由度が低いため、ディップ処理後の強力保持率が大きく低下し、加硫後の強力保持率も低かった。また、比較例2のコードは、ラテックスのみを含む接着剤液でディップ処理されているため、該コードを構成するPK繊維の自由度が高く、ディップ処理後及び加硫後の強力保持率が高いが、接着剤液がレゾルシン及びホルムアルデヒドを含まないため、ゴムとの接着力が著しく低く、実用に耐え得なかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、RFL接着剤液から生成する樹脂フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)を特定の範囲に規定して、RFL接着剤液で処理した後のコードに充分な柔軟性を持たせることによって、RFL接着剤液で処理した後の強力保持率が従来よりも大幅に高いポリケトン繊維コードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ビード部
2 サイド部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7A,7B ベルト補強層
Claims (8)
- 前記フィルムの10%伸長時の引張応力(M10)が0.55〜3MPaであることを特徴とする請求項1に記載のポリケトン繊維コード。
- 前記RFL接着剤液は、ホルムアルデヒド(F)とレゾルシン(R)とのモル比(F/R)が1.0〜1.9で、全ラテックスの固形分質量(L)に対するレゾルシン及びホルムアルデヒド総質量(RF)の割合(RF/L)が5〜17質量%で、水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムの総量とレゾルシン(R)とのモル比[(NaOH+NH4OH)/R]が0.21以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリケトン繊維コード。
- 前記ポリケトン繊維の原糸強度が15g/d以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリケトン繊維コード。
- 前記ポリケトン繊維の原糸強度が18g/d以上であることを特徴とする請求項4に記載のポリケトン繊維コード。
- 前記式(I)中のAがエチレン基であることを特徴とする請求項1に記載のポリケトン繊維コード。
- 請求項1〜6の何れかに記載のポリケトン繊維コードをタイヤの何れかの部材に用いたことを特徴とするタイヤ。
- 前記タイヤの部材が、カーカス、ベルト補強層及びベルトの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ。
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