JPH05279934A - ゴム補強用ポリアミド繊維コード - Google Patents
ゴム補強用ポリアミド繊維コードInfo
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- JPH05279934A JPH05279934A JP4068234A JP6823492A JPH05279934A JP H05279934 A JPH05279934 A JP H05279934A JP 4068234 A JP4068234 A JP 4068234A JP 6823492 A JP6823492 A JP 6823492A JP H05279934 A JPH05279934 A JP H05279934A
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- Y02T10/862—
Abstract
ディップ処理時および加硫時に強力低下することなく、
かつ繰り返した圧縮歪下での耐疲労性にも優れたものと
する。 【構成】 レゾルシン−ホルムアルデヒド/ゴムラテッ
クス(以下RFL という)接着剤液を用いて接着剤処理さ
れゴム中に埋め込まれて加硫された後のポリアミド繊維
コードであって、加硫ゴム中でのコード強度が8.0 g/
d以上であり、単糸繊度が1.5 〜10デニールであり、更
にコードに含浸されたRFL 接着剤の、ジメチルスルホキ
シド中の膨潤度Xが122 %≦X≦340 %である構成とす
る。また、RFL 接着剤液を特定の配合割合とする。
Description
強用ポリアミド繊維コードに関するものである。
とする各種ゴム製品の補強用コード材料の中でも優れた
強度、耐久性及び耐熱性を有するため、従来からトラッ
ク・バス用、建設車両用、航空機用等の大型タイヤやコ
ンベヤベルト、ホース、空気バネ等のゴム工業製品の補
強材として多く使用されてきた。
化、コスト低減、生産性向上等の目的から補強材の積層
枚数の低減、コード打ち込み本数の減少、コード太さの
細糸化等による補強材量の減少が強く要請されている。
まま補強材量を減少させるためには、より高強度の繊維
が必要であるが、近年、従来対比大幅に強度の向上した
超高強度のポリアミド繊維が開発され、開示されている
(例えば、特開昭61-70008号公報)。
わゆる超高強度ポリアミド繊維コードにあっては、繊維
−ゴム間の接着に必要な接着剤液に浸漬後乾燥熱処理
し、次いで繊維融点近傍の高温下で熱処理する、いわゆ
る「ディップ処理工程」を行うとコード強度が大幅に低
下してしまうという現象が問題点として指摘された(特
開昭63-17517号,同63-203841号各公報)。
コード張力を0.5g/d以上とするか、または100 ℃以上の
高温下で予め前処理することにより、接着剤液をコード
内部に含浸させないようにして、かかるコードの強力低
下を防止することが提案されている。
されており(特開昭60-71239号, 同60-104580 号各公
報) 、接着剤処理に先だって緊張下で熱処理すること
や、3%以上の伸長下において接着剤を付与することが
提案されている。
ドへの接着剤付着量が少ないためゴム−繊維間の接着力
が低くなるので、接着剤液に浸漬する前の緊張熱処理工
程での温度と張力との関係と同時に、レゾルシン−ホル
ムアルデヒド/ゴムラテックス(いわゆるRFL)接着剤液
中の固形分含量やラテックスに対するレゾルシンとホル
ムアルデヒドの総重量の割合、ビニルピリジンラテック
スとスチレンブタジエンラテックスの総重量に対するビ
ニルピリジンラテックスの割合の関係をも特定して接着
性を向上させる技術も開示されている(特開平1-174627
号、同1-174628号各公報) 。
め込んで加硫する工程においてもやはり高強度ポリアミ
ド繊維の強力が低下することが分かっており(特開平2-
91276 号公報) 、これも同時に解決しなければならない
課題である。
2の重要な問題点を発見した。それは、従来技術のよう
にコードを接着剤液に浸漬する際あるいはその前に、緊
張熱処理工程で熱または張力あるいは両方を加えると、
確かにディップ処理工程での強力低下は防止されるが、
その一方でゴム中の繰り返し圧縮歪下でのコード耐疲労
性が劣るという新事実であった。そこで、本発明者等
は、この原因について鋭意検討した結果、かかるコード
は接着剤液がコード内部に含浸しておらず、上撚交錯面
で裸のフィラメント同士が接触摩耗して疲労することが
主原因であるという事実を明らかにした。
の問題点を全て同時に解決し、ディップ処理時および加
硫時に強力低下することなく、かつ繰り返し圧縮歪下で
の耐疲労性にも優れたゴム補強用高強度ポリアミド繊維
コードを提供することにある。
つの重要な問題点を同時に解決すべく鋭意広範囲に亘り
検討した。まず、前記従来技術のように接着剤液浸漬前
に緊張熱処理されたコードでは、接着剤液がコード内部
に含浸していないので、伸長−圧縮の繰り返しにより裸
のフィラメント同士が上撚交錯面で接触摩耗して疲労し
てしまうことから、このコード疲労を防ぐ為には、やは
りこのような緊張熱処理工程ではなく、従来通りコード
を弛緩状態で、もしくは極めて低い張力下で接着剤液浸
漬処理を施してコード内部に十分接着剤を含浸させ、上
撚交錯面の繊維フィラメント表面を接着剤固形物で被覆
保護してやる必要性があると考えた。
という問題は解消されるが、当然第1の問題点であるデ
ィップ処理時および加硫時のコード強力低下という現象
が現れてしまう。
の原因について更に検討したところ、特開昭63-175179
号、同63-203841 号、同60-71239号および同60-104580
号の各公報にも触れられているように、コード内部に含
浸したディップ液がディップ処理時に高温オーブン内に
おいて乾燥樹脂化してフィラメント間を癒着させ、これ
によりコードを構成する各繊維フィラメントの自由度が
拘束され、コード伸長時の各繊維フィラメントの均一な
応力分担を妨げるので、ディップコードが本来発揮すべ
き強力よりも低い強力で破断してしまうということを突
き止めた。また、より高強度のポリアミド繊維を製造す
る為には、一般により高倍率で延伸を行うので、高強度
のポリアミド繊維ほど破断時のターミナルモジュラスが
高くなり、コード伸長時の各繊維フィラメントの均一な
応力分担に不利となり、ディップ処理時に強力低下し易
くなると考えた。
ついて広範囲に検討したところ、従来どおりコードを弛
緩状態もしくは極めて低い張力下で接着剤液に浸漬して
コード内部に十分含浸させても、加硫後のポリアミド繊
維コードに含浸されたRFL ディップ樹脂のDMSO中の膨潤
度をある範囲にすることによって、コード伸長時の各繊
維フィラメントの均一な応力分担を達成し、高強度ポリ
アミド繊維の本来の強度を発揮できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
着剤処理されゴム中に埋め込まれて加硫された後のポリ
アミド繊維コードであって、RFLディップ樹脂の、DM
SO中の膨潤度Xが122 %≦X≦340 %、好ましくは126
%≦X≦270 %、さらに好ましくは130 %≦X≦220 %
であり、加硫ゴム中でのコード強度が8.0g/d以上、更に
単糸繊度が1.5 〜10デニールである構成とする。
2.0 ≦R/F≦1/1.3 、さらに好ましくは1/1.8 ≦
R/F≦1/1.5 (モル比) 1/10≦RF/L≦1/4、好ましくは1/8≦RF/L≦
1/5(固形分重量比) 0.05≦S≦0.8 、好ましくは 0.1≦S≦0.5 さらに好ま
しくは0.1 ≦S≦0.3(重量%) 0≦A≦0.5 、好ましくは0≦A≦0.3 (重量%) 0.05≦S+A≦0.8 、好ましくは0.1 ≦S+A≦0.5
(重量%) 10≦C≦24、好ましくは14≦C≦22(重量%) (ただし、上式において、R/Fはレゾルシン/ホルム
アルデヒド総量のモル比、RF/Lはレゾルシンおよびホ
ルムアルデヒド総量とゴムラテックス固形分の総量との
比、SはRFL 接着剤液の総固形分量に対するアルカリ金
属水酸化物(通常はNaOH)またはアルカリ土類金属水酸
化物の重量%、AはRFL 接着剤液の総固形分量に対する
NH3 水溶液のNH4OH ベースの重量%、CはRFL 接着剤液
の総固形分重量%を示す)を全て同時に満足し、かつ、
ビニルピリジン(VP)ラテックス(通常VP含有量5〜20
%) と、スチレンブタジエンゴム(SBR) ラテックスと、
天然ゴム(NR)および/またはイソプレンゴム(IR)ラテッ
クスの各々の固形分重量の、全ラテックス固形分重量に
対する重量比率%をそれぞれa,b,cとしたときに、
下式、
≦60(重量%) SBR ラテックス:0≦b≦70、好ましくは10≦b≦50
(重量%) IRおよび/またはNRラテックス:20≦c≦60、好ましく
は25≦c≦50(重量%) を同時に満足すると好ましい。(但し、ラテックス成分
として、上記以外のラテックスが含まれていてもよ
い。)尚、上記配合の範囲のみにとどまらず、カーボン
ブラックや、樹脂化反応を阻害する物質であるSiO2やホ
ウ素化合物等を添加することにより、同様な膨潤度を達
成してもよい。
補強用として使用し、例えば補強材の積層枚数の低減、
コード打ち込み本数の減少、コード太さの細糸化等によ
り充分なタイヤ軽量化、低燃費化、省資源化、コスト低
減、生産性向上等の目的を達成するためには、その強度
が8.0g/d以上、好ましくは8.5g/d以上、さらに好ましく
は9.5g/d以上である。
10デニールがよく、3デニール以上8デニール以下が好
ましい。1.5 デニール未満ではコードを構成するフィラ
メント本数が多く、フィラメント表面積も大き過ぎるの
で、乾燥熱処理後接着剤層の各繊維フィラメントに対す
る拘束と不均一応力分担が増大し、ディップ処理時に強
力低下し易くなる。一方、10デニールより大きいと、紡
糸時のフィラメント均一冷却が妨げられ、安定して高強
度糸を生産する上で好ましくない。
維としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、4,6
−ナイロン、6,10−ナイロンおよびこれらの組み合わ
せによる共重合体もしくは混合物の脂肪族ポリアミドが
挙げられるが、特には、6,6−ナイロンまたは6−ナ
イロンが80重量%以上を占める脂肪族ポリアミドが好ま
しく、さらにその耐熱性の高さから両者の内6,6−ナ
イロンが最も好ましい。また、これらのポリアミドには
通常、熱、光、酸素などに対する耐久性を付与するため
に、銅塩と他の酸化防止剤からなる安定剤が添加され
る。
化したRFL ディップ樹脂のDMSO中の膨潤度Xが122 %未
満であるとRFL ディップ樹脂の網目密度が密すぎること
を示し、RFL ディップ樹脂が硬すぎるためコード伸長時
の均一な応力分担を妨げ十分に高強度ポリアミド繊維の
本来の強度を発揮できない。また、膨潤度が340 %超過
であると、RFL ディップ樹脂の網目密度が疎すぎ、十分
な接着力を得ることができず、また加硫前にコードがベ
タつき作業性も悪い。
L 接着剤液の配合範囲において、R/Fが1/2.3 未満
ではF量がR量に対して多過ぎて、R−F間での架橋が
進み過ぎ、熱処理後の最終的なRF樹脂の網目が密になり
過ぎるため、結果としてRFL接着剤層の硬さが硬くなり
過ぎ、一方R/Fが1/1.1 を超えると逆にF量がR量
に対して少な過ぎて、R−F間での架橋が少なく、RFL
層の強度が弱くなり、ゴムとの充分な接着が得られない
し、コード表面がベタついて作業性上好ましくない。
量に対し多過ぎて、結果としてRFL接着剤層の硬さが硬
くなり過ぎ、一方RF/Lが1/10未満では逆にRF量がL
量に対し少な過ぎて、ゴムとの充分な接着が得られなく
なる。
反応触媒であるアルカリ金属水酸化物の量が多過ぎて、
R−F間での架橋が進み過ぎ、熱処理後の最終的なRF樹
脂の網目が密過ぎるため、結果としてRFL 接着剤層の硬
さが硬くなり過ぎ、一方Sが0.05重量%未満では逆にア
ルカリ金属水酸化物の量が少なすぎて、液がゲル化しや
すく安定性が悪い。アルカリ金属水酸化物としては一般
的にはNaOHが良いが、他のアルカリ金属水酸化物、例え
ばKOH 等でもよい。また、アルカリ土類金属水酸化物で
もよい。
により、ゴムとの接着性がやや向上するが、Aが0.5 重
量%を超えるか、またはAが0.5 重量%以下でもS+A
が0.8 重量%を超えると、やはりFとRの架橋反応が進
み過ぎて、熱処理後のRF樹脂の網目が密となり、結果と
してRFL接着剤層の硬さが硬くなり過ぎる。
漬時にゴムとの接着に必要なだけの十分な接着剤固形分
をコードに付着せしめることができず、一方Cが24濃度
%を超えると濃度が高過ぎてRFL 接着剤液がゲル化し易
くなり、不安定になる。
が10重量%未満ではゴムとの充分な接着が得られず、一
方、80重量%を超えると接着力の被着ゴム選択性が大き
くなり好ましくなく、またRFL 液のコストも高くなり過
ぎる。また、ラテックス成分としてSBR ラテックスを加
えると耐熱接着性が向上し、好ましいが、bが70重量%
を超えるとゴムとの接着性が低下する。
ているようにNRおよび/またはIRラテックスを適当量使
用することによって加硫時の強力低下を抑制することが
できるが、cが20重量%未満では充分な加硫時の強力低
下抑制効果がなく、一方cが60重量%を超えるとゴムと
の充分な接着が得られない。
RF樹脂を用いる場合、RとFが直線状に縮合しているの
で、熱処理後の最終的なRF樹脂のR−F網目がやや粗に
なり、RFL 接着剤層が比較的柔軟になる傾向があるが、
この場合でもやはりR、F、Lの量比やアルカリ金属水
酸化物の量、ラテックス種および分率等の、上記要件を
同時に満たす配合が好ましい。
を用いるとコード表面がベタついたり、液の安定性が通
常アルカリ触媒のレゾール系と比べてやや劣る等の問題
点があるので、通常アルカリ触媒のレゾール系の方が好
ましい。
接着剤液に浸漬する際のコード張力Tが0.3g/d以上で
は、該コード内部に接着剤液が充分含浸せず、上撚交差
面でのフィラメント接触摩耗疲労に劣るので、Tは、0.
3 g/d未満、好ましくは0.2g/d以下、さらに好ましく
は0.1g/d以下である。
込まれたポリアミド繊維コードにおいては、そのRFL 接
着剤層が従来のものとくらべて柔軟であり、コードを構
成する各繊維フィラメントに対する接着剤層による拘束
が少ないのでコード伸長時の各繊維フィラメントの均一
な応力分担が達成でき、該コードが本来もっている高強
力を発揮できるものと考えられる。
的に説明する。試験に供するポリアミド原糸として、
(ア)従来一般強度の6,6−ナイロン1890d、単糸繊
度6d(デニール)、原糸強度9.5 g/dのもの、
(イ)高強度6,6−ナイロン1890d、単糸繊度6d、
原糸強度10.2g/dのもの、(ウ)超高強度6,6−ナ
イロン1890d、単糸繊度4d、原糸強度12.2g/dのも
の、および(エ)超高強度6−ナイロン1260d、単糸繊
度3d、原糸強度13.0g/dのもの夫々計4種を用い
た。原糸(ア)、(イ)、(ウ)については、撚り構造
1890d/2で撚数32回/10cmとし、(エ)については、
撚り構造1260d/2で撚数39回/10cmとした。
液の調製法としては、まず軟水にレゾルシンを溶解させ
た後、NaOH水溶液を添加し、次いでホルムアルデヒドを
添加し、室温下で6時間放置熟成させ、次いでNH3 水溶
液を加える配合の場合はNH3水溶液を加えた後、ラテッ
クスを加え、更に室温下で24時間放置熟成させた後に接
着剤処理に用いた。
要を図1に示す。また、比較のために行った接着剤浸漬
前にコード緊張熱処理を行う処理方法の概要を図2に示
す。図1、図2においてプレ緊張熱処理ゾーン1(図2
のみ)、乾燥ゾーン2、ホットゾーン3、ノルマライズ
ゾーン4の各ゾーンにおいて、コードにかける温度、露
出時間、張力は6,6−ナイロン繊維についてはそれぞ
れ190 ℃×40秒×1.0g/d、130 ℃×120 秒×0.8g/d、23
5 ℃×40秒×0.8g/d、230 ℃×40秒×0.5g/dとし、6−
ナイロン繊維についてはそれぞれ160 ℃×40秒×1.0g/
d、130 ℃×120秒×0.8g/d、200 ℃×40秒×0.8g/d、19
5 ℃×40秒×0.5g/dとした。
る。 1)膨潤度 加硫ゴム中コードをナイフによりガイドを入れ、できる
だけコードにダメージを与えないようにして取り出し、
その後鋏で極力周辺のゴムをそぎ落とす。(また、例え
ばバイアスタイヤよりコードを取り出す場合にはタイヤ
センター部より取り出す。)加硫ゴムより取り出したコ
ードをエポキシ樹脂に抱埋する。エポキシ樹脂は以下の
薬品を体積比で混合しオーブン中にて80℃×6時間で硬
化させる。
繊維軸方向に垂直にカールツァイス社製のミクロトーム
にて20μmの厚さにカットする。図3に示すように、次
にその繊維の切片11をスライドグラス12上に乗せ、カバ
ーグラス13を乗せ、355nm から425 nmの波長で反射型蛍
光顕微鏡(Lietz 社製 ORTHOPLANPOL)により観察、200
倍にて撮影をする。図4に示すように、RFL ディップ層
の位置はゴム層14に囲まれた繊維の最外層で十分にRFL
が含浸しており、かつ最外層繊維単糸15間の距離が30μ
m 〜50μm の範囲で少なくとも単糸間の直線上には必ず
RFL ディップ層16のみがある位置を選んで写真撮影す
る。
とカバーグラス13の間に雰囲気温度25℃中でDMSO (Dime
thyl Sulfoxide) を注入するとRFL ディップ層は膨潤し
初める。注入後30分間放置する。その後、膨潤前に撮影
したRFL ディップ層と同一位置を再び撮像する。膨潤
前、膨潤後の同一単糸間の距離を測定し、それぞれ
L1 ,L2 とした時
潤度Xと定義する。
全てJIS L1017 に従い、島津製作所製オートグラフにて
引っ張りテストし、破断時の強力(kg) を求めた。ま
た、強度(g/d)算出は次式に従い、このときのコー
ドデニールは、原糸についてはJIS L1017 の正量繊度を
用いた。 強度=破断強力/正量繊度
したコードからフィラメントを10本抜き取り、光学顕微
鏡でフィラメント各1本ずつのコード径を求め、その平
均フィラメント径から断面を真円形とみなして、フィラ
メント断面積を求めた。これと、断面観察して数えた総
フィラメント本数とから単位長さ当りの体積を求め、こ
れをポリアミド繊維の密度ρ(6,6−ナイロン、6−
ナイロンの場合は、1.14)を用いて単位長さあたりの重
量(デニール)に変換し、推定デニール数を求め、次式
に従い強度を算出した。 強度=破断強力/推定デニール
成物に埋め込み、153℃×20分にて加硫し、得られた加
硫物からコードを掘り起こし、300mm/分の速度にて引っ
張って加硫物から剥離し、コード1本あたりの剥離抗力
を求めて、これを接着力(kg/本) とした。
埋め込み、コード両端を固定して153 ℃×40分間、定長
状態にて加硫した。その後、定長状態のまま自然放冷後
に加硫サンプルを取り出し、コード引き剥がし時のケバ
立ちを避ける為、ゴムが周囲に付いたままのコードを鋏
で切り出して、表面ゴムを出来得る限りそぎ落とした。
かかるコードを表面ゴムが付いたままの状態で上記の方
法で破断強力測定した。
d/2 は60本/5cmの打ち込み数で並べて、前述の接着テ
ストに用いたものと同じ未加硫配合ゴムの0.4mm シート
を両側から張り合わせ、5cm幅×60cm長さのゴムトッピ
ングシートを作成した。このようなトッピングシート2
枚の間に厚さ3mmの未加硫配合ゴムシートを挟み、さら
にこの上下面にサンプル全体の厚さが15mmになるように
未加硫配合ゴムシートを張り合わせ、コード両端を固定
して定長下で145 ℃×40分、20kg/cm2の加圧下に加硫
し、耐屈曲疲労性テスト用サンプルを作成した。次に、
このサンプルを直径60mmのプーリーに掛け、両端より15
0kg の荷重を掛けて、120 ℃の雰囲気温度下で毎時5000
回の繰り返し屈曲を加えた。100 万回屈曲後に取り外
し、2層のポリアミド繊維コード層のうち、プーリーに
接する側(繰り返し圧縮歪を受ける側)のコードを取り
出し、その破断強力を測定し、その値の屈曲テスト前の
新品の強力に対する保持率(%)でコードの耐疲労性を
表わした。
ナイロンコードを、従来一般のRFL配合を用いかつ図1
にあるような従来一般の接着剤処理工程にて処理してい
るので、膨潤度Xが小さく本発明の範囲外でありディッ
プ時強力保持率が82.2%と低下が著しかった。
にあるような緊張熱処理ゾーンを経た後に高張力下で接
着剤液に浸漬しているので、接着剤液がコード内部に含
浸せず、ディップ時の強力保持率も高かった。しかし、
疲労テストでの繰り返し圧縮により大幅に強力低下し
た。これは、疲労後にコードを詳細に観察したところ、
上撚交差面で、裸のフィラメント同士が接触摩耗して疲
労することが原因であることが分かった
脂が本発明の範囲の膨潤度であり、また本発明の好まし
い配合例として規定するRFL 接着剤液を用いているの
で、接着剤層が柔らかく、図1にあるような従来一般の
接着剤処理工程にて処理しているにもかかわらずディッ
プ時の強力保持率が高いことが分かる。また、加硫時の
強力も高く保持されている。更に、実施例1,2では接
着剤液浸漬時の張力が低いのでコード内部に十分含浸
し、上撚交差面の繊維フィラメント表面が接着剤固形物
で被覆保護されるため、疲労テストの強力保持が非常に
良好であった。すなわち、ディップ、加硫時の強力低下
と低圧縮下での疲労性という2つの問題を同時に解消し
得たことが分かる。
強度6,6−ナイロンではあるが、やはりRFL ディップ
樹脂が本発明の範囲の膨潤度であり、また、本発明の好
ましい配合例として規定する接着剤液を使用しているの
で、強力保持と耐疲労性の2者を両立させることができ
た。これに対し、比較例3は従来強度の6,6−ナイロ
ンであるため、従来一般のRFL配合を用いたので、従
来一般の膨潤度であり、かつ図1にあるような従来一般
の接着剤処理工程にて処理しても強力低下が小さかっ
た。このときの加硫後のゴム中強度は7.9 であった。
用いており、RFL ディップ樹脂が本発明の範囲の膨潤度
であり、また、本発明の好ましい配合例として規定する
接着剤液を用いているので、ディップ、加硫時の強力保
持、耐疲労性ともに良好であった。比較例4は、前縮合
タイプのノボラック樹脂を用いているが、膨潤度が本発
明の範囲外であり、RFL 層の硬さが硬過ぎるためか、デ
ィップ、加硫時の強力低下が大きく、本来の強度が発揮
できなかった。一方、実施例6はやはり同じ前縮合タイ
プのノボラックRF樹脂を用いているが、膨潤度の範
囲、また接着剤液の配合が、本発明の範囲内となるた
め、良好な結果が得られた。
用いており、本発明の好ましい配合範囲外の接着剤液を
用いている(NR ラテックス分率cが10%)。RFL ディッ
プ樹脂が本発明の膨潤度Xの範囲である為に、良好な結
果が得られている。加えて、RFL 接着剤液が本発明の好
ましい配合例として規定する範囲内であると、実施例1
〜6のように、更により良好な結果を得ることができ、
強力の保持と耐疲労性、接着性が十分に満足される。
ば、RFL 接着剤の膨潤度を適当な範囲にコントロールす
ることにより、高強度ポリアミド繊維コードのこれまで
両立できなかった問題点である、接着剤処理時および加
硫時の強力低下の問題と、耐繰り返し圧縮疲労性の低下
の問題とを共に克服することができ、さらにゴムとの接
着性にも優れたゴム補強用ポリアミド繊維コードを得る
ことができる。さらに本発明の好ましい配合例のRFL 接
着剤液を用いれば、より良好なゴム補強用ポリアミド繊
維コードを得ることができる。これにより補強材の積層
枚数やコード打ち込み本数の減少等による補強材量の削
減を図り、タイヤ軽量化、低燃費化、省資源化、コスト
低減、生産性向上等の目的を達成できる。
処理の方法の概要を示す工程図である。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 レゾルシン−ホルムアルデヒド/ゴムラ
テックス(以下RFLという)接着剤液を用いて接着剤処
理されゴム中に埋め込まれて加硫された後のポリアミド
繊維コードであって、加硫ゴム中でのコード強度が8.0g
/d以上であり、単糸繊度が1.5 〜10デニールであり、更
にコードに含浸されたRFL 接着剤の、ジメチルスルホキ
シド(以下DMSOという) 中の膨潤度Xが122 %≦X≦34
0 %であることを特徴とするゴム補強用ポリアミド繊維
コード。 - 【請求項2】 前記RFL 接着剤液が、 【数1】1/2.3 ≦R/F≦1/1.1 (モル比) 1/10≦RF/L≦1/4(固形分重量比) 0.05≦S≦0.8 (重量%) 0≦A≦0.5 (重量%) 0.05≦S+A≦0.8 (重量%) 10≦C≦24(重量%) (ただし、上式において、R/Fはレゾルシン/ホルム
アルデヒド総量のモル比、RF/Lはレゾルシンおよびホ
ルムアルデヒド総量とゴムラテックス固形分の総量との
比、SはRFL 接着剤液の総固形分量に対するアルカリ金
属水酸化物の重量%、AはRFL 接着剤液の総固形分量に
対するNH3 水溶液のNH4OH ベースの重量%、CはRFL 接
着剤液の総固形分重量%を示す)を全て同時に満足し、 かつビニルピリジン(VP)ラテックスと、スチレンブタジ
エンゴム(SBR) ラテックスと、天然ゴム(NR)および/ま
たはイソプレンゴム(IR)ラテックスの各々の固形分重量
の、全ラテックス固形分重量に対する重量比率%をそれ
ぞれa,b,cとしたときに、下式、 【数2】VPラテックス:10≦a≦80(重量%) SBR ラテックス:0≦b≦70(重量%) IRおよび/またはNRラテックス:20≦c≦60(重量%) を同時に満足することを特徴とする請求項1記載のゴム
補強用ポリアミド繊維コード。 - 【請求項3】 前記ポリアミド繊維コードの強度が8.5g
/d以上好ましくは9.5g/d以上で、かつ単糸繊度が3〜8
デニールの範囲内である請求項1または2記載のゴム補
強用ポリアミド繊維コード。 - 【請求項4】 前記ポリアミド繊維が6,6−ナイロン
である請求項1または2記載のゴム補強用ポリアミド繊
維コード。
Priority Applications (1)
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JP06823492A JP3157590B2 (ja) | 1992-03-26 | 1992-03-26 | ゴム補強用ポリアミド繊維コード |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06823492A JP3157590B2 (ja) | 1992-03-26 | 1992-03-26 | ゴム補強用ポリアミド繊維コード |
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JP3157590B2 JP3157590B2 (ja) | 2001-04-16 |
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ID=13367899
Family Applications (1)
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JP06823492A Expired - Lifetime JP3157590B2 (ja) | 1992-03-26 | 1992-03-26 | ゴム補強用ポリアミド繊維コード |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3157590B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004308023A (ja) * | 2003-04-02 | 2004-11-04 | Bridgestone Corp | ポリケトン繊維コード及びそれを用いたタイヤ |
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1992
- 1992-03-26 JP JP06823492A patent/JP3157590B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004308023A (ja) * | 2003-04-02 | 2004-11-04 | Bridgestone Corp | ポリケトン繊維コード及びそれを用いたタイヤ |
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