JP2000026827A - 接着剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

接着剤組成物およびその製造方法

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JP2000026827A JP10197469A JP19746998A JP2000026827A JP 2000026827 A JP2000026827 A JP 2000026827A JP 10197469 A JP10197469 A JP 10197469A JP 19746998 A JP19746998 A JP 19746998A JP 2000026827 A JP2000026827 A JP 2000026827A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポットライフを長くする。 【解決手段】 本発明のレゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物とゴムラテックスを含んでなる接着剤組成物の製
造方法は、7.5より高いpHでレゾルシンとホルムア
ルデヒドとの縮合反応を行わせた後、その反応系のpH
を4.0〜7.5に下げることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤組成物に関
し、特に、繊維材料とゴムとの接着に好適に使用される
接着剤組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、タイヤ、コンベヤベルト、ベ
ルト、ホースおよび空気バネ等のゴム物品の補強用に、
フィラメント、コード、ケーブル、コード織物および帆
布等の形態で繊維材料を使用している。
【0003】繊維材料とゴムとの接着には、従来より繊
維材料とゴムの結合力を得るために、ゴムラテックスと
レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の混合物(いわゆ
るRFL液)を含む接着剤組成物が広く使用されてい
る。
【0004】ここにおいて、ゴムラテックスとしては、
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリ
ジン−スチレン−ブタジエン三元共重合体ラテックス等
を単独であるいは複数種を組み合わせて使用している。
【0005】なお、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合
物は、レゾルシンとホルムアルデヒド、またはレゾルシ
ン・ホルムアルデヒド初期縮合物とホルムアルデヒド
を、ゴムラテックスの存在下で、いわゆるレゾール化反
応によるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合反応により
得られる。
【0006】このゴムラテックス混合下でのレゾルシン
・ホルムアルデヒド縮合反応のpHは、通常、8.0以
上の高アルカリ性条件下で行われている。この理由は、
レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得る反応が、p
H8.0より低い中性付近の条件下では、反応速度が遅
く、工業的でないためである。
【0007】RFL液のpH条件は種々検討されている
が、MillerとRobison の検討結果では、レゾルシン、ホ
ルムアルデヒド、ゴムラテックスを混合し、苛性ソーダ
の添加量を変えてpHを調節し、24時間放置熟成し
て、RFL液の接着力を測定した結果、熟成前のRFL
液のpHが8.0より低いと、24時間熟成後のpHが
熟成前のpHより低くなり、また接着力も低めになる
(A. L. Miler,S. B.Robison, Rubber World, 136,
397(1957)および日本接着協会誌Vol. 8 NO.1(1972) p3
5.表4参照)ことが分かった。
【0008】このレゾルシン、ホルムアルデヒド、ゴム
ラテックスに、苛性ソーダを添加してアルカリ性として
RFL液を調製する場合には、下記のようなレゾルシン
・ホルムアルデヒド縮合物の反応過程を経ると考えられ
ている。先ず、レゾルシンに弱酸のホルムアルデヒドが
付加反応(メチロール化)して、酸性のメチロール基を
有する反応中間体を生成させる。このときレゾルシンに
付加したメチロール基は酸性がやや強いため、ホルムア
ルデヒドの付加反応が進み、メチロール基が生成する反
応段階で、RFL液のpHは一時的に下がる。その後、
メチロール基を有する反応中間体が縮合反応していく段
階では、メチロール基の部位が脱水縮合反応し、メチレ
ン結合(−CH2 −)となり、縮合樹脂化していく。こ
のとき、メチロール基が脱水縮合により消費されるにつ
れ、中性のメチレン部位になるため、メチロール基生成
に伴い一時的に下がったRFL液のpHは、メチロール
基の消費に伴い再び上がり、メチロール基のほとんどが
消費されると、pHはほぼ一定となる。また、熟成前と
熟成後のpHを比べると、反応前の弱酸のホルムアルデ
ヒドが、ほぼ中性のメチレン部位になるため、反応後の
RFL液のpHが高くなる。
【0009】ところが、前出のMillerとRobison らの実
験によると、RFL液の熟成前のpHが9.0以上で
は、熟成前のpHより24時間熟成後のpHが高い結果
となり、RFL液の熟成が24時間で十分進行してお
り、一方、RFL液の熟成前のpHが8.0より低い条
件では、24時間熟成時のpHは熟成前のpHより低
い。すなわち、RFL液の熟成前のpHが8.0未満で
あると、熟成時間が24時間ではメチロール基を有する
反応中間体が残存していることを示している。
【0010】この理由は、RFL液のpHとレゾルシン
・ホルムアルデヒド反応の速度については、アルカリ添
加量が多いほど、すなわち塩基性になるほど早くなる
(G.M.Doy1e, Trans. Inst, Rubber Ind. 36;177
(1960)参照)ため、RFL液のpHが低くなること
で、レゾルシン・ホルムアルデヒドの縮合反応が遅くな
ったためであると考えられる。発明者の検討では、特に
熟成前のpHが7.5以下の場合、1か月間熟成して
も、熟成前のpHより熟成後のpHの方が低く、反応速
度が極めて遅くなることを見いだした。
【0011】このように、熟成前のpHより熟成後のp
Hが下がったRFL液は、メチロール基を有する反応中
間体の縮合反応が不十分となるため、RFL液中のレゾ
ルシン・ホルムアルデヒド樹脂の重縮合度、三次元網目
状化が低くなり、接着剤組成物の凝集破壊抗力が不十分
となって、その結果、接着力が低めになる。また、RF
L液中のレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の重縮合
度、三次元網目状化が低いと、ラテックスのゴム的粘性
が強くなり、そのため、繊維に接着剤組成物を付着加工
するときに、装置への付着汚れを発生させたり、接着剤
組成物を付着処理したコードがボビン等の治具に粘着す
るなど、作業性が低下するので好ましくない。また、R
FL液の製造では、熟成前のpHが8.0以下では、レ
ゾルシン・ホルムアルデヒド縮合反応が遅くなる不都合
がある。特に、pH7.5以下になると、レゾルシン・
ホルムアルデヒド縮合反応は極めて遅くなるため、1か
月で熟成が終了せず、また、安定的に反応しなくなるの
で、RFL液の製造方法としては実用的でなくなる。し
たがって、ゴムラテックスと混合下でのレゾルシン・ホ
ルムアルデヒド縮合物を得る反応のpH条件は、レゾル
シン・ホルムアルデヒド縮合反応を十分行わせるため、
pHを7.5より高くする必要がある。
【0012】また、市販スチレン・ブタジエンゴムラテ
ックス、市販ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴ
ムラテックスは、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物
と混合する場合、あるいはゴムラテックス、レゾルシ
ン、ホルムアルデヒドを混合する場合に、pHが7.5
より低くなると、コアギュレーションが発生することが
ある。この理由は、エマルジョンラテックスハンドブッ
ク(大成社発行第187 頁)、また豊田、西岡、上村らの
公報(特開平6−184505)などから明らかな通り、これ
らゴムラテックスの乳化剤として、一般的にオレイン酸
塩、ロジン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ホルムアルデ
ヒド縮合ナフタレンスルホン酸塩等が使用さており、p
Hが中性付近では、これら乳化剤が析出するなどして、
界面活性作用が弱くなり、ゴムラテックス粒子同士の電
気的な反発力が低下し、凝集してしまうためである。
【0013】このように、RFL液(固形分濃度20
%)のpH条件が8.0以上、特に好ましくはpH8.
3〜8.8であれば、6〜24時間の熟成時間で、レゾ
ルシン・ホルムアルデヒド縮合反応を行わせることによ
り、熟成が終了し、接着剤組成物として使用することが
できる。ところが、このRFL液を保存すると、接着
力、特に160℃以上での長時間の加熱劣化時での接着
力が、1週間程度で低下する兆しがみられ、熱的入力に
対する安定性が必要なタイヤ等においては、可使期間が
1週間となる。また、製品性状も、1ヶ月半ほどの放置
で粘度が上昇し、4ヶ月も放置するとクリーム状にな
り、ゲル化する等の不具合がある。RFL液の粘度が1
0mPa・s以上になると、接着剤組成物を付着処理す
る上で装置に対する付着汚れなどの問題が発生する。ま
た、RFL液の輸送などの便宜のため、固形分濃度を高
くしてRFLを製造すると、レゾルシン・ホルムアルデ
ヒド縮合反応が早くなり、このRFL液の可使期間は、
さらに短くなってしまう不具合があった。
【0014】このため、RFL液の使用においては、長
期保存せず、使用直前に必要量を調製するなどの制約が
ある他、使用可能期間を経過した場合は廃棄せざるを得
ない等、資源の有効活用上好ましくない制約があった。
また、従来のRFL液では、製造拠点から遠方への輸
送、例えば、工場から工場間で1週間以上の期間が必要
な輸送、または輸出、が不可能な他、固形分濃度を高く
した場合は、保存安定性のよい商品として市場で販売す
ることができなかった。
【0015】このRFL液の接着力低下、および粘度上
昇の理由は、接着剤組成物として使用可能になった(熟
成が終了した)後でも、レゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合反応が進み、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の
分子量が過度に大きくなるため、良好な接着を得るため
の適度な重縮合度、三次元網状化度でなくなり、ラテッ
クス粒子間に弱い橋渡しができて流動性を失うためであ
ると説明されている(日本接着剤協会誌 Vo1.8 NO.1(1
972 )P35, P36, P42)。
【0016】そこで、熟成終了後のレゾルシン・ホルム
アルデヒドの縮合反応を抑制し、レゾルシン・ホルムア
ルデヒド樹脂の分子量を過度に大きくしないことが、R
FL液の熟成終了後のポットライフを延長する上で重要
である。しかし、その方法として、レゾルシンとホルム
アルデヒドの反応条件を変えるために温度を低くするこ
とは、設備とエネルギーおよびコスト面で好ましくな
く、また、濃度を低くすることは、接着剤組成物を繊維
などへ付着させるときの付着量を保持する上で、必要最
低濃度からの制約があり、さらに、pHを低くする方法
は、前述のとおり、pHが8.0以下の領域では、縮合
反応が遅くなりすぎ、RFL液の熟成時間が長くなるた
め実用的でない。また、レゾルシンとホルムアルデヒド
の反応の調節剤としてキノリン誘導体やエチレングリコ
ールを添加する方法、あるいはレゾルシンとホルムアル
デヒドの反応終了後にアンモニアを添加する方法が報告
されている(日本接着剤協会誌Vo1.8 NO.1(1972)P4
2)。しかし、レゾルシンとホルムアルデヒドの反応の調
節剤としてキノリン誘導体やエチレングリコールを添加
する方法は、反応を抑制しすぎると、RFL液の熟成す
る時間が長くなり実用的ではない。また、レゾルシンと
ホルムアルデヒドの反応終了後にアンモニアを添加する
方法は、メチロール基に付加したアミンが酸化される
と、RFL液が青く変色するとともに、接着力が低下す
るため満足できる方法とは言えない。前述のとおり、繊
維材料とゴムとの結合に使用されているRFL液の製造
は、ゴムラテックスの存在下で、レゾルシンとホルムア
ルデヒドとを縮合反応させるために、pH8.0以上が
必要であるが、接着剤組成物として使用することができ
る程度にまでレゾルシン・ホルムアルデヒドの縮合反応
が達成された後も、この縮合反応が進むため、接着力が
1週間程度で低下するほか、製品性状については1ヶ月
半ほどで粘度が増加してしまう不具合があった。なお、
工業的に好ましいpHの範囲は8.5〜9.7である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記不都合
を解消して、ポットライフの長い接着剤組成物およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は以下の構成とする。 (1)本発明のレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物と
ゴムラテックスを含んでなる接着剤組成物の製造方法
は、7.5より高いpHで、好ましくはpH8.5〜
9.7でレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合反応を
行わせた後、好ましくは、pH4.0〜7.5まで、更
に好ましくは、5.0〜6.7までpHを下げることを
特徴とする。また、前記レゾルシンとホルムアルデヒド
との縮合反応はレゾール化反応であり、また、ゴムラテ
ックスの存在下で行われると好ましい。また、前記反応
系のpHを下げる工程を、イオン交換あるいは酸または
酸性塩の添加により行うと好ましい。 (2)本発明の接着剤組成物は、スチレン・ブタジエン
共重合体粒子およびビニルピリジン・スチレン・ブタジ
エン三元共重合体粒子のうち少なくとも1種を含んでな
るゴムラテックスと、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮
合物とを含んでなり、pHが4.0〜7.5であること
を特徴とする。また、上記接着剤組成物は、上記各方法
により製造されると好ましく、その配合組成は、ゴムラ
テックスの固形分100重量部に対して、レゾルシン・
ホルムアルデヒド縮合物を固形分で7〜250重量部、
あるいは、ゴムラテックスの固形分100重量部に対し
て、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物のうちレゾー
ル化反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物を固形分で7〜35重量部含んでなり、また、接
着剤組成物の固形分100重量部に対して、水を25〜
1900重量部含んでなると好ましい。
【0019】
【発明を実施するための最良の形態】本発明者は、RF
L液を保存するpHと、経日に基づく貯蔵RFL液の接
着劣化および粘度上昇とについて種々検討した結果、R
FL液の熟成反応がほぼ終了した後のRFL液において
は、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合反応による接着
劣化および粘度上昇に、RFL液の特にpH条件の関与
が大きいことを見出した。ゴム補強材の形態は、特に限
定されず、コード、フィルム、短繊維、不織布などいず
れでもよいが、ここでは、補強材の形態として、コード
を例にとり、本発明を詳細に説明する。
【0020】前記のように、RFL液のpHにより、レ
ゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合反応の速度が変化
することから、RFL液熟成期間と、RFL液熟成後の
接着剤組成物の可使期間には、次のような関係がある。
すなわち、RFL液のpHが6.7以下では、メチロー
ル基の消費に伴うpH上昇が僅かなため、レゾルシンと
ホルムアルデヒドの縮合反応がほぼ停滞し、RFL液は
未熟成になる。また、RFL液のpHが7.5程度で
は、RFL液の熟成に、1か月以上と、RFL液の製造
日数がかかるため、工業的でなくなるが、接着剤組成物
の可使期間は2〜3か月と長い。また、RFL液のpH
が8.5程度では、RFL液の熟成が16〜24時間と
工業的に好ましい所要時間になるが、前述のとおり、接
着剤としての可使期間は、1週間程度と短くなる。RF
L液のpHが9.7以上では、RFL液は12時間程度
で熟成し、使用可能になるが、接着剤としての可使期間
は1〜2日と短くなる。したがって、熟成前のRFL液
は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを縮合反応させる
ために、また、ゴムラテックスの凝縮を抑制するため
に、pHを7.5以上に保つ必要があるが、一度、良好
な接着を得るための適度な重縮合度、三次元網状化度ま
でレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合を達成し、熟成が
ほぼ終了したRFL液においては、レゾルシン・ホルム
アルデヒド縮合反応を遅延することが好ましい。
【0021】そこで、本発明者はRFL液のpHを、R
FL液熟成後に低く調節する方法を検討したところ、イ
オン交換樹脂を投入する手法、あるいは酸物質もしくは
弱酸性塩を混合する手法で、RFL液をpH4.0まで
低く調節することができ、このようにpHを低くする
と、貯蔵RFL液の接着劣化および粘度上昇の抑制に有
効であることを見出した。また、RFL液のpHを低く
調節することで、接着劣化抑制効果に止まらず、さらに
接着力が向上する効果があることを見出した。
【0022】このようにpHを低くした接着剤組成物の
ゴムラテックスが凝集しない理由は、ゴムラテックス存
在下でレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を得る反応
が行われた後では、ゴムラテックスとレゾルシン・ホル
ムアルデヒド縮合物間で相互作用が生じ、レゾルシン・
ホルムアルデヒド縮合物がゴムラテックスの界面活性作
用を強めて分散を補助しているためと考えられる。
【0023】また、前記のように、RFL液熟成終了後
にpHを低くした接着剤組成物では、接着力が向上する
効果があることが分かった。これは、接着剤組成物に浸
漬するなどして接着処理を施したコードと、被着ゴムと
を加硫接着させる工程においては、ゴム組成物中から拡
散する加硫剤、加硫促進剤等により接着剤組成物中のゴ
ムラテックスが加硫し、接着剤層が硬化すると、コード
と接着剤層間に応力集中が発生し、接着劣化が生じるこ
とになるが、本発明の接着剤組成物では、RFL液が酸
性になり、この加硫が抑制されるため、接着剤層硬化に
よる接着劣化が少なくなったこともその理由と考えられ
る。
【0024】本発明で用いることができるゴムラテック
スとしては、一般に広く用いられているビニルピリジン
−スチレン−共役ジエン化合物ラテックスおよびそれを
カルボキシル基などで変性した変性ラテックス、スチレ
ン−ブタジエンラテックスおよびその変性ラテックス、
天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体系ラ
テックスの他、ブチルゴムラテックス、クロロプレンゴ
ムラテックス、被着ゴムに配合されるゴムと同種のゴム
を水または有機溶媒に分散させたもの、等をそれぞれ単
独であるいは複数種混合して用いることができる。
【0025】本発明で用いることができるスチレン・ブ
タジエン共重合体粒子は、スチレンと共役ジエン化合物
を共重合させたものであり、また、ビニルピリジン・ス
チレン・ブタジエン三元共重合体粒子はピリジン環含有
ビニル化合物、スチレンおよび共役ジエン化合物を三元
共重合させたもので、スチレンとしては、スチレン、α
−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルス
チレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピル
スチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチル
スチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられ、1
種または2種以上を組み合わせて使用することができ
る。好ましくは、スチレンである。
【0026】共役ジエン化合物としては、1,3−ブタ
ジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共
役ジエン化合物モノマーが挙げられ、1種または2種以
上を組み合わせて使用することができる。好ましくは、
1,3−ブタジエンである、
【0027】ピリジン環含有ビニル化合物としては、2
−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピ
リジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、5−エチル
−2−ビニルピリジン等が挙げられ、1種または2種以
上を組合わせて使用することができる。好ましくは、2
−ビニルピリジンである。
【0028】レゾルシンとしては、レゾルシンまたは5
−メチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシンなど
のアルキルレゾルシンなどが挙げられるが、好ましくは
レゾルシンである。
【0029】ホルムアルデヒドとしては、ホルムアルデ
ヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ポリ
オキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミ
ン、フルフラール、グリオキサール、n−ブチルアルデ
ヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズア
ルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラ
オキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トル
アルデヒド、サリチルアルデヒド等の1種または2種以
上を組み合わせて使用することができる。好ましくはホ
ルムアルデヒドである。
【0030】レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物は、
レゾルシンとホルムアルデヒドを反応させ得られる反応
物である。この縮合物は、レゾルシン以外のフェノール
誘導体を第三成分として含んでいてもよく、また、スル
フィメチル化剤などによる変性やカルボキシル化などの
変性をしてもよい。好ましくは、レゾルシン・ホルムア
ルデヒド縮合物である。
【0031】レゾール化させて得られるレゾルシン・ホ
ルムアルデヒド縮合物は、ゴムラテックスとの混合下で
反応させ得られることが好ましいが、これは、接着剤組
成物の粘着性を下げて、付着処理工程における装置への
付着汚れの発生やガムアップ発生の抑止と同時に、RF
L液の熟成がほぼ終了した後にpHを低くしてもゴムラ
テックスの凝集発生が抑止できるためである。
【0032】レゾール化させて得られるレゾルシン・ホ
ルムアルデヒド縮合物を、ゴムラテックスとの混合下で
の反応により得る方法には、(1) アルカリ性液下で、レ
ゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の原材料(レゾルシ
ンまたは比較的低分子量のレゾルシン・ホルムアルデヒ
ド縮合物のうち、一種または二種の組み合わせと、ホル
マリン)とゴムラテックスとを混合させる方法、あるい
は(2) 反応開始時はゴムラテックスと混合せず、アルカ
リ性液下で、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の原
材料だけでレゾール化反応を開始させるが、なるべく、
縮合反応初期段階で低縮合度の反応中間体の時点でゴム
ラテックスと混合して反応を続行させる方法、等が一般
的に用いられているが、いずれにしても、レゾール型レ
ゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の縮合反応が終了す
る以前にゴムラテックスと混合させる。なお、縮合反応
終了の判定方法は、レゾール化反応中は反応中間体のメ
チロール基生成に伴い、pHが一時的に下がり、縮合反
応が進むにつれてメチロール基が消費され、pHが再び
上がり、反応が終了するとpHがほぼ一定となるため、
本発明ではこのpH変化を指標として、ゴムラテックス
の添加を行う。
【0033】ここで、ゴムラテックス混合下で得られる
レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の熟成の際には、
pHを7.5より高くすることが好ましいが、この理由
は、前述のとおり、RFL液熟成反応をほぼ1か月以内
と速く進行させるためである。また、pH8.5〜pH
9.7である理由は、pHが8.5以上ではRFL液の
熟成時間が1日程度と、工業的に好ましい熟成時間まで
短縮できるためであり、また、pH9.7より高いと、
RFL液保存の使用可能期間(ポットライフ)が短くな
るためである。
【0034】また、本発明で、ゴムラテックスの固形分
100重量部あたり、ゴムラテックス混合下でレゾール
化反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮
合物の固形分が、7重量部未満であると、コードに接着
剤組成物を塗布する過程で、粘着性が強く、処理機を汚
し、延いては接着剤組成物塗布状態の悪化で接着力が低
下する傾向にあり、逆に、35重量部を越えると、被着
ゴムと接着剤層の接着が低下する傾向にあり、好ましく
ない。特に、12重量部以上25重量部以下のとき、有
機繊維コード等に塗布された接着剤の粘着性が最適とな
り、治具、機械への付着、あるいは、長時間経過したと
きのコード等同士の付着が抑止でき、さらに、接着剤表
面の状態も良好で、高い接着力が得られるので好まし
い。また、後述するように、RFL液に接着/粘着を促
進する配合剤として、ノボラック型レゾルシン・ホルム
アルデヒド縮合物を、ゴムラテックスとレゾール化反応
により得られたレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の
混合物(RFL液)に添加することができる(WO97
/13818参照)。このとき、ノボラック型レゾルシ
ン・ホルムアルデヒド縮合物とレゾール型レゾルシン・
ホルムアルデヒド縮合物等の、レゾルシン・ホルムアル
デヒド縮合物の固形分が、ゴムラテックスの固形分10
0重量部あたり、250重量部より多くなると、接着剤
組成物中のゴムラテックス配合比率が少なくなり、接着
剤組成物と被着ゴムとの間で、ゴム成分同士の混合や架
橋などが起こり難くなるため、接着力が低下するので好
ましくない。
【0035】ゴムラテックスとpH7.5より高い条件
のレゾール化反応により得られたレゾルシン・ホルムア
ルデヒド縮合物の混合物とのpHを4.0〜7.5に調
節する手法としては、イオン交換樹脂を使用してpHを
下げる手法、もしくは酸および/または酸性塩を添加す
る手法が挙げられるが、他の方法であっても、RFL液
のpHを4.0〜7.5に調節できる手法であれば、レ
ゾルシン・ホルムアルデヒド縮合を遅延してポットライ
フを延長できる。
【0036】イオン交換樹脂の添加により、RFL液の
pHを下げる手法について説明する。予め、陽イオン交
換体(例えば、Duolite C-20 )を予備処理することで
[H + ]形にしておき、レゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物の縮合反応が終了したRFL液200gを採取
し、pH計によりRFL液のpHを測定しながら、少量
づつ、先ほど予備処理し[H+ ]形になった陽イオン交
換体を添加する。陽イオン交換体の添加につれて、RF
L液のpHが低下するので、RFL液のpHが目的のp
H値になった時点で、添加を停止して、500メッシュ
の金網によりRFL液からイオン交換樹脂体を分離除去
し、pHを4.0〜7.5に調節したRFL液を得る。
本発明の実施例においては、後述するように、Duolite
C-20 を使用したが、その他の陽イオン交換体を適宜用
いることができるのは言うまでもない。
【0037】次に、酸および/または酸性塩を使用し
て、RFL液のpHを下げる手法を説明する。酸性物質
としては、例えば、塩酸、硫酸、硼酸、蓚酸、蟻酸、酢
酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナ
フタリン−β−スルホン酸等の無機酸または有機酸、レ
ゾルシンなどの多価フェノール類、蓚酸ジメチルエステ
ル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル
酸無水物等の酸無水物、酢酸アンモニウム等のアンモニ
ウム塩類、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、酸性の
水溶性高分子やその塩などの酸性化合物を使用できる。
好ましくは、蓚酸、蟻酸、酢酸、フマル酸などの有機
酸、または、これらの酸性塩類である。また、酸性下条
件で作成した(ノボラック型)レゾルシン・ホルムアル
デヒド初期縮合物などpH7.5以下でも水溶性のフェ
ノール類とホルムアルデヒドとの縮合物も使用できる。
【0038】また、これらの酸はアルカリ性物質で弱酸
性塩にしてRFL液に添加することができる。例示する
と、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水酸化物、酸
化物、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の塩類やアミン類等
が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナ
トリウム、石灰、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、
亜硫酸リチウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、
アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等の
アルカリ化合物等である。好ましくは、アンモニア、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0039】これら酸および/または酸性塩の添加に際
しては、pH4.0〜7.5の弱酸性の水溶液を作成
し、これをRFL液に添加するのが好ましい。この理由
は、pH4.0未満の酸および/または酸性塩の添加に
伴う不安定化の発生を回避するためである。なお、pH
4.0未満の酸および/または酸性塩は、これを水で十
分希釈すれば、RFL液への添加に伴う不安定化が少な
くなり、ゲル化することなく添加できる。この酸を水で
希釈する場合の濃度は、酸のイオン強度で異なる。
【0040】このとき、レゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物の縮合反応が終了したRFL液のpHを調節でき
る範囲を4.0〜7.5にした理由は、pHを4.0未
満にすると、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物の縮
合反応が終了したRFL液でも、分散粒子の電気的反発
力が減少することで不安定化してゲル化してしまうため
である。好ましくは、pH5.0以上であると更にゲル
化に対する安定性が向上する。また、pHが7.5より
低いpHでは縮合反応が遅くなることにより、ポットラ
イフ延長の効果が得られるが、pHが7.5より高い
と、従来のRFL液対比、ポットライフ延長の効果が得
られないためである。特に、pH6.7以下であると、
縮合反応に伴うpHの上昇が極めて小さくなることか
ら、レゾルシン・ホルムアルデヒドの縮合がほぼ停滞す
るため、好ましい。
【0041】なお、本発明では、ゴムラテックスの固形
分100重量部に対して、熱硬化性樹脂の固形分が14
〜205重量部の範囲であれば、必要に応じて、上記の
ゴムラテックス混合下、レゾール反応により得られるレ
ゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物以外の熱硬化性樹脂
成分、例示すればノボラック反応により得られるレゾル
シン・ホルムアルデヒド縮合物、第三成分を含むレゾル
シン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・ホルムアル
デヒド初期縮合物、ウレア・ホルムアルデヒド初期縮合
物、メラミン・ホルムアルデヒド初期縮合物、3,5−
キシレノールや5−メチルレゾルシン等のフェノール誘
導体とホルムアルデヒドとの初期縮合物、フェノール類
・アルデヒド縮合物のスルホメチル化物またはスルフィ
メチル化物などで変性したフェノール系縮合物等を単独
でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】また、本発明では、接着剤組成物を水と混
合下で保存する場合、接着剤組成物の固形分100重量
部あたり、水は、25〜1900重量部であることが好
ましく、より好ましくは150〜1000重量部であ
る。これは、水25重量部未満では、接着剤組成物の濃
度が高くなりすぎ、接着剤組成物液に含まれるRFL粒
子等の分散粒子同士が近接したり、また、レゾルシン・
ホルムアルデヒドの縮合反応が促進される等の理由で、
接着剤組成物液が不安定となるため好ましくないからで
ある。また、水1900重量部超過では、接着剤組成物
の固形分濃度が薄くなりすぎ、接着剤組成物液を用い、
有機繊維等への付着処理において、十分な接着剤付着量
が得られなくなり、好ましくないからである。
【0043】以上のように構成された接着剤組成物を、
ポリエステルコード等のコードに付着させ、適度な熱処
理を施すことによって、接着処理されたポリエステルコ
ードを作成することができる。このようにして得られた
コードを未加硫ゴムに埋設し、加硫することによって該
コードとゴムを強固に接着させることができる。接着剤
組成物をコードに付着させる方法としては、接着剤組成
物にコードを浸漬する方法、接着剤組成物をハケで塗布
する方法、接着剤組成物をスプレーする方法等がある
が、必要に応じて適当な方法を選択することができる。
【0044】乾燥に引き続いて行う熱処理は、コードを
構成するポリマーのガラス転移温度以上、好ましくは、
該ポリマーの〔融解温度−70℃〕以上、〔融解温度−20
℃〕以下の温度で施すのが好ましい。この理由として
は、ポリマーのガラス転移温度未満では、ポリマーの分
子運動性が悪く、接着剤組成物のうちの、接着/粘着付
与樹脂とポリマーとが十分な相互作用を行えないため、
接着剤組成物とコードの結合力が得られないためであ
る。また、ポリマーの〔融解温度−20℃〕を越える温度
では繊維材料や接着剤組成物中のゴムラテックスが劣化
傾向にあるからである。
【0045】本発明の接着剤組成物は、ポリエステル、
レーヨン、ビニロン、6−ナイロン、6,6−ナイロ
ン、4,6−ナイロン等の脂肪族ポリアミド繊維、パラ
フェニレンテレフタルアミドに代表される芳香族ポリア
ミド繊維、カーボン繊維などの有機繊維材料に使用する
ことができる。好ましくはポリエステル繊維で、最も代
表的には、ポリエチレンテレフタレートである。
【0046】かかる有機繊維材料は、コード、ケーブ
ル、フィラメント、フィラメントチップ、コード織物、
帆布等のいずれの形態でも良い。また、予め電子線、マ
イクロ波、コロナ放電、プラズマ処理等の前処理加工さ
れたものでもよい。また、かかる有機繊維材料はゴム補
強用有機繊維としてゴム製品に適用することができる。
【0047】更に、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミ
ド繊維、カーボン繊維等に代表される繊維の重合・紡糸
過程後に、エポキシ化合物またはイソシアネート化合物
で、後処理加工に付したもの、あるいは電子線、マイク
ロ波、プラズマ処理等で予め処理加工された繊維材料に
ついても、本発明の接着剤組成物を適用できる。これら
の繊維材料についてもその形態はコード、ケーブル、フ
ィラメント、フィラメントチップ、コード織物、帆布等
のいずれでも良い。
【0048】本発明の接着剤組成物は、タイヤ、コンベ
アベルト、ベルト、ホース、空気バネ等のあらゆるゴム
製品に適用できる。
【0049】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例に基づ
いて説明する。なお、実施例中の固形分濃度は、JIS
K6833−1980「その他の接着剤」の測定方法
における接着剤の不揮発分の測定方法に準拠して実施し
た。また、pHについては、JIS K6833−19
80の6.2項pH測定方法に準拠して実施した。
【0050】(1)ゴムラテックス混合下でレゾール化
反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合
物調製 (i)実施例1〜10、比較例1〜4の調製 表1に示すゴムラテックスとレゾルシン・ホルムアルデ
ヒド縮合物原材料を混合した液を、表1に示す組成にて
混合し、表1に熟成前のRFL液pHで示すRFL液原
材料混合液を得た。これを25℃で24時間熟成し、ゴ
ムラテックスとレゾール化反応により得られるレゾルシ
ン・ホルムアルデヒド縮合物とからなる組成物を得た。
表1に、24時間熟成後のPFL液のpHを示す。
【0051】(2)RFL液pH調節用のイオン交換樹
脂の調製 イオン交換体としては、市販の陽イオン交換樹脂:Duol
ite C-20(製造元:Chemical Process co., 販売:和光
純薬工業株式会社)を用いた。先ず、この陽イオン交換
樹脂にコンディショニングとよばれる予備処理を行っ
た。すなわち、塩酸で洗って[H+ ]形にした後、食塩
水で洗って[Na+ ]形に戻し、再び塩酸で洗って[H
+ ]形にする。この操作を2,3回繰り返し、有機物、
無機物の不純物を除く。塩酸で洗って[H+ ]形とした
樹脂は、さらに樹脂に含まれるCl- イオンを洗い流す
まで、蒸留水で洗浄する。
【0052】(3)RFL液pH調節用の酸性混合液の
調製 表2に示す組成で酸性混合液を調整する。表2に種類と
混合液のpHを示す。
【0053】(4)接着剤組成物の調製 (i)実施例1〜6、比較例2 実施例1〜6、比較例2の接着剤組成物として、(1)
で得られた24時間熟成後のRFL液200gを採取
し、pH計によりRFL液のpHを測定しながら、
(2)で予備処理し[H+ ]形になったDuolite C-20
を少量ずつ添加する。Duolite C-20 を添加するにつ
れ、RFL液のpHが低下するので、RFL液のpHが
目的のpH値になったらぱ、Duolite C-20 の添加を停
止して、500メッシュの金網を使用して、RFL液と
イオン交換樹脂体を分離し、pHを4.0〜7.5に調
節した接着剤組成物を作製した。表1にpH調節後のp
Hを記載する。 (ii)実施例7〜10 実施例7〜10の接着剤組成物として、(1)で得られ
たRFL液に(3)で得られた酸性混合液を添加し、p
Hを4.0〜7.5に調節した接着剤組成物を作製し
た。表1に、pH調節後のpHを記載する。 (iii) 比較例1,3,4 比較例1,3,4の接着剤組成物として、(1)で調製
したRFL液をpH調節することなく、そのまま用い
た。
【0054】(5)接着剤組成物液のゲル化日数の測定 予め25℃±0.5に保持しておいた密閉できる300
m1ガラス容器、各実施例、各比較例の接着剤組成物サ
ンプルおよび25℃±0.5に保持できる恒温槽を用意
する。各接着剤組成物サンプル200gを300m1ガラ
ス容器に採取し、密閉すると同時に、その開始時間を記
録して、直ちに25℃±0.5に保持できる恒温槽内に
入れる。このサンプルを時々、JIS K6833−1
980の6.3項の測定方法により粘度を測定し、粘度
の測定値が10mPa・s以上となるまでの時間を計
る。これらの測定は2回以上行い、その平均時間を日数
単位で表し、試料のゲル化日数とする。なお、上記粘度
測定試験は25℃±0.5に保持した恒温浴槽中で、B
型粘度計(芝浦システム株式会社製BL型)、回転数6
0rpmでNo.1ローターにより測定した。
【0055】(6)接着剤組成物液の接着剤使用可能日
数(可使期間)測定用試料の調製 予め25℃±0.5に保持しておいた密閉できる300
m1ガラス容器、各実施例、各比較例の接着剤組成物サ
ンプルおよび25℃±0.5に保持できる恒温槽を用意
する。各接着剤組成物サンプル200gを300m1ガ
ラス容器に採取し、密閉すると同時に、その開始時間を
記録して、直ちに25℃±0.5に保持できる恒温槽内
に入れる。この試料サンプルを時々、後述する(9−
3)の方法で耐熱接着力を測定し、(9−2)で測定し
た耐熱接着力に対し、接着力が90%以下になる時間を
計る。これらの測定は2回以上行い、その平均時間を日
数単位で表し、可使期間とする。
【0056】(7−1)接着剤組成物処理コードの作製
I 繊維材料として、撚構造1670dtex/2、上然数
40回/10cm、下撚数40回/10cmのポリエチ
レンテレフタレートタイヤコードを用い、(4)で得た
接着剤組成物に浸漬し、次に、150℃で1.5分間乾
燥後、240℃に保った雰囲気下で2分間処理した。 (7−2)接着剤組成物処理コードの作製II 繊維材料として、撚構造1670dtex/2、上撚数
40回/10cm、下撚数40回/10cmのポリエチレ
ンテレフタレートタイヤコードを用い、(6)で得た接
着剤組成物に浸漬し、次に、150℃で1.5分間乾燥
後、240℃に保った雰囲気下で2分間処理した。
【0057】(8−1)加硫I (7−1)で得た接着剤組成物処理コードを表3に示す
配合の未加硫状態のゴム組成物に埋め込み、170℃×3
0分、20Kg/cm2 の加圧下で加硫する。 (9−1)初期接着力の測定 (8−1)で得た加硫物からコードを堀り起こし、30
cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力を
測定し、これを初期接着力とした。結果を表1に示す。
【0058】(8−2)加硫II (7−1)で得た接着剤組成物処理コードを表3に示す
配合の未加硫ゴム組成物に埋め込み、190℃×30分、
20kg/cm2 の加圧下で加硫する。 (9−2)耐熱接着力の測定 (8−2)で得た加硫物からコードを堀り起こし、前記
と同様に、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離
する時の抗力を測定し、これを耐熱接着力とした。結果
を表1に示す。
【0059】(8−3)加硫II (7−2)で得た接着剤組成物処理コードを表3に示す
配合の未加硫ゴム組成物に埋め込み、190℃×30
分、20kg/cm2 の加圧下で加硫する。
【0060】(9−3)接着剤組成物液の可使期間測定
用試料の耐熱接着力測定 (8−3)で得た加硫物からコードを堀り起こし、前記
と同様に、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離
する時の抗力を測定し、これを接着剤組成物液の可使期
間測定用試料の耐熱接着力とした。
【0061】(10)タイヤ耐久性 (7−1)で得た処理コードを使用し、カーカスプライ
として1層用いて、185/70R14のサイズの乗用
車用ラジアルタイヤを作製した。作製したタイヤについ
て、JIS D4230−1986の5.3.1の方法
でリム組みを行い、同じく5.3.2の試験装置を用
い、同じく5.3.3の試験方法において、第3段階終
了後も連続して、24時間毎に荷重を5%ずつ増加さ
せ、タイヤが破壊するまでの総走行距離を測定し、比較
例3の接着剤組成物を用いた場合の結果を100とした
指数表示を表1に示し、タイヤ耐久性とした。
【0062】表1に示す通り、各実施例は、各比較例に
比べ、ゲル化日数、可使期間、初期接着力、耐熱接着
力、およびタイヤ(高速)耐久性に優れていることがわ
かる。
【0063】
【表1】 試薬 レゾルシン:関東化学(株)製 特級試薬 ホルムアルデヒド液:関東化学(株)製 特級試薬 1規定水酸化ナトリウム水溶液:関東化学(株)製 試
薬 Vpラテックス:JSR(株)製 JSR0650 SBRラテックス:JSR(株)製 JSR2108
【0064】
【表2】 試薬 レゾルシン:関東化学(株)製 特級試薬 酢酸:関東化学(株)製 特級試薬 1規定塩酸標準溶液:関東化学(株)製 試薬 ノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物:イ
ンドスペック社製 ペナコライト樹脂R2170(pH1.6) アンモニア水:関東化学(株)製 特級試薬
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
接着剤組成物のポットライフを長くすることができると
共に、接着力の向上をも図ることができる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物とゴ
    ムラテックスを含んでなる接着剤組成物の製造方法であ
    って、7.5より高いpHでレゾルシンとホルムアルデ
    ヒドとの縮合反応を行わせた後、pHを下げることを特
    徴とする接着剤組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】前記pHを下げて、pH4.0〜7.5に
    調節することを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物
    の製造方法。
  3. 【請求項3】イオン交換を行うことにより、前記pHを
    下げることを特徴とする請求項1または2記載の接着剤
    組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】酸または酸性塩を添加することにより、前
    記pHを下げることを特徴とする請求項1または2記載
    の接着剤組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】前記レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮
    合反応をゴムラテックスの存在下で行わせることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の接着剤組成物の
    製造方法。
  6. 【請求項6】前記レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮
    合反応がレゾール化反応であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4または5記載の接着剤組成物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】スチレン・ブタジエン共重合体粒子および
    ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン三元共重合体粒
    子のうち少なくとも1種を含んでなるゴムラテックス
    と、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物とを含んでな
    り、pHが4.0〜7.5であることを特徴とする接着
    剤組成物。
  8. 【請求項8】請求項1、2、3、4、5または6記載の
    方法により製造されたことを特徴とする請求項7記載の
    接着剤組成物。
  9. 【請求項9】ゴムラテックスの固形分100重量部に対
    して、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物を固形分で
    7〜250重量部含んでなることを特徴とする請求項7
    または8記載の接着剤組成物。
  10. 【請求項10】ゴムラテックスの固形分100重量部に
    対して、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物のうちレ
    ゾール化反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデ
    ヒド縮合物を固形分で7〜35重量部含んでなることを
    特徴とする請求項7、8または9記載の接着剤組成物。
  11. 【請求項11】接着剤組成物の固形分100重量部に対
    して、水を25〜1900重量部添加してなることを特
    徴とする請求項7、8、9または10記載の接着剤組成
    物。
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