JP2002266165A - ポリケトン繊維の製造方法 - Google Patents

ポリケトン繊維の製造方法

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JP2002266165A
JP2002266165A JP2001061380A JP2001061380A JP2002266165A JP 2002266165 A JP2002266165 A JP 2002266165A JP 2001061380 A JP2001061380 A JP 2001061380A JP 2001061380 A JP2001061380 A JP 2001061380A JP 2002266165 A JP2002266165 A JP 2002266165A
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Toshiya Fujita
敏也 藤田
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ポリケトンを、ハロゲン化亜鉛、又はハ
ロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって、50℃
の水に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩に
含有される窒素量の合計が0.2質量%以下である、上
記金属塩水溶液に溶解して紡糸することからなるポリケ
トン繊維の製造方法。 【効果】 紡糸原液の加熱下での経時変化を抑制するこ
とができ、安定してポリケトン繊維を紡糸でき、毛羽や
切糸の回数及び強伸度の低下を軽減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、ポリケトン繊維の製造
方法に関する。詳しくは、紡糸原液を加熱下で保持した
場合のポリマーの変性を押さえ、毛羽や切れ糸の回数を
減少させることにより紡糸の安定性がよく、品質が優れ
たポリケトン繊維を製造する方法に関する。
【0001】
【従来技術】近年、ポリケトンを産業資材用繊維として
応用する検討が多くの研究者によりなされ、高強度,高
弾性率,高温での寸法安定性,接着性,耐クリープ特性
を生かしてタイヤコード,ベルト等の補強繊維,コンク
リート補強用繊維といった複合材料用繊維への応用が期
待されている。すでに本発明者らは、ポリケトンを湿式
紡糸する場合、塩化亜鉛に代表されるハロゲン化亜鉛水
溶液を溶剤とし、凝固浴として水を用いた湿式紡糸方法
を見いだしている(特願平10−236595号、特願
平11−72091号)。
【0002】しかしながら、ハロゲン化亜鉛水溶液をポ
リケトンの溶媒に用いて作成したポリマー溶液を長時間
高温下で保持すると、ポリマーが変性し、溶液の粘度が
増大する結果、紡糸に使用することが困難になってくる
ことが判明した。また、長期にわたって配管内に滞留し
たポリマー溶液が正常なポリマー溶液と混在した状態で
紡出されると、毛羽や切れ糸の発生頻度が高まり、紡糸
収率の低下を引き起こし、延伸時の延伸倍率が低下する
結果、製造された繊維の強度低下を起こすことがわかっ
た。さらに、長時間高温下で保持されたポリマー溶液に
は着色が見られ、高温保持時間の違いにより製造される
糸に色差が発生し、その結果、糸の商品価値が低下して
しまうことが明らかになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
している課題は、加熱下でのポリマー溶液中のポリケト
ンの変性を抑制し、その結果、切糸や毛羽の発生が極め
て少なく、かつ、高い強度を有する糸を安定に供給でき
るポリケトン繊維の製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するための手段として、ポリケトンの溶剤に用
いるハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜鉛及びハロゲン
化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上溶解する
少なくとも1種の金属塩に含有される窒素量の合計を
0.2質量%以下にすることにより、ポリケトンの変性
を抑制できることを見いだし、更に検討を進めた結果、
本発明に到達した。
【0005】即ち、本発明は、繰り返し単位の90質量
%以上が式(1)で示されるポリケトンを、ハロゲン化
亜鉛又は、ハロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であ
って50℃の水に1質量%以上溶解する少なくとも1種
の金属塩を含む水溶液に溶解せしめたポリマー溶液を用
いてポリケトン繊維を製造するに際して、ハロゲン化亜
鉛、又はハロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であっ
て50℃の水に1質量%以上溶解する少なくとも1種の
金属塩に含有される窒素量の合計が0.2質量%以下で
あるポリマー溶液を使用することを特徴とするポリケト
ン繊維の製造方法である。
【0006】
【化2】
【0007】(式中、Rは、炭素数1〜30の有機基で
ある。)
【0008】ハロゲン化亜鉛又は、ハロゲン化亜鉛及び
ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上
溶解する少なくとも1種の金属塩に含有される窒素量の
合計を0.2質量%以下にするには、下記(1)及び
(2)から選ばれた少なくとも一つの方法を用いること
が好ましい。 (1)溶剤に用いるハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜
鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量
%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を熱処理する方
法。 (2)ハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜鉛及びハロゲ
ン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上溶解す
る少なくとも1種の金属塩水溶液にpKa≧9である無
機塩基を加える方法。本発明に用いるポリケトンは、繰
り返し単位の90質量%以上が下記式(1)で示される
ポリケトンである。
【0009】
【化3】
【0010】(式中、Rは、炭素数1〜30の有機基で
ある。)
【0011】繰り返し単位の10質量%以下の範囲で式
(1)のケトン以外の繰り返し単位を有していてもよ
い。このポリマー中には部分的にカルボニル基どうし、
アルキレン基どうしが繋がっていてもよいが、95質量
%以上が完全交互共重合体、即ち、Rの次にはカルボニ
ル基が結合し、カルボニル基の次にはRが結合する交互
共重合体からなるポリケトンであることが耐熱性、耐光
性を向上させる観点から好ましい。もちろん、完全交互
共重合した部分の含有率は高ければ高いほどよく、より
好ましくは97質量%以上であり、最も好ましくは10
0質量%である。
【0012】Rは、炭素数が1〜30の有機基であり、
例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、
1−フェニルエチレン等が例示される。これらの水素原
子の一部又は全部が、ハロゲン原子、エステル基、アミ
ド基、水酸基、エーテル結合等の原子や基で置換されて
いてもよい。もちろん、Rは2種以上であってもよく、
例えば、エチレンとプロピレンが混在していてもよい。
これらのポリケトンとしては、Rがエチレンの完全交互
共重合単位から構成されるポリケトン、即ち、ポリ(3
−オキソトリメチレン)が、高強度、高弾性率、高温で
の寸法安定性が優れる、という観点から最も好ましい。
また、溶剤への溶解性が優れている、という観点から、
Rが90〜97モル%のエチレンと10〜3モル%のプ
ロピレンからなるポリケトンが好ましい。本発明で使用
するポリケトンの極限粘度[η]は、強度発現と溶解性
の兼ね合いの観点から0.5〜20dl/gが好まし
く、より好ましくは3〜15dl/gである。
【0013】本発明に用いるポリマー溶液の溶剤中のハ
ロゲン化亜鉛としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛
等が挙げられ、これらを混合して使用してもよい。好ま
しくは、ポリマーの溶解性が優れる、という理由で塩化
亜鉛が好ましい。溶剤中のこれらの塩濃度としては、十
分な溶解性を得るためには5〜85質量%が好ましく、
より好ましくは30〜85質量%である。ここでいう各
塩の濃度は、以下の式で定義される値である。溶剤の質
量は、ポリケトンは含まず、塩を含んだ水溶液の質量を
示す。 塩の濃度(質量%)=(塩の質量/溶剤の質量)×10
【0014】ポリマー溶液の熱安定性を高めたり、ポリ
マー溶液の溶液粘度を低下させてポリマー濃度を高める
ことができる、という理由で、ハロゲン化亜鉛に、更
に、ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%
以上溶解する少なくとも1種の金属塩を含有した水溶液
を用いることもできる。ハロゲン化亜鉛以外であって5
0℃の水に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属
塩の種類には特に制限はなく、典型金属元素又は遷移金
属元素のハロゲン化塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の
無機塩、酢酸塩、ぎ酸塩、スルホン酸塩等の有機金属塩
のいずれでもよい。金属の種類としては、得られるポリ
マー溶液の溶液粘度低下の程度が大きい、という観点か
ら、ハロゲン化アルカリ金属とハロゲン化アルカリ土類
金属が好ましい。
【0015】以上のようなハロゲン化亜鉛、又はハロゲ
ン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に
1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を含む水
溶液により作成されるポリマー溶液は、実験室的には十
分な熱安定性を持っている。しかしながら、工業的にポ
リケトン繊維を生産するためにはまだ不十分であり、熱
時安定性を更に高めるためには、ハロゲン化亜鉛及びハ
ロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上溶
解する少なくとも1種の金属塩中に含まれる窒素含量を
0.2質量%以下、好ましくは、0.1%以下、より好
ましくは0.05%以下にする。
【0016】このような窒素含量にすることにより、加
熱下でのポリマー溶液の安定性が増し、工業的にも十分
に適用が可能となる。例えば、タンク内で加熱貯蔵され
たポリマー溶液の経時変化を極めて少なくすることがで
きるようになる。また、ポリマー溶液の配管中のデッド
スペースで滞留することによりポリマーが変性すること
を押さえることができる、など、十分な熱安定性を付与
することが可能となる。
【0017】ハロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外で
あって50℃の水に1質量%以上溶解する少なくとも1
種の金属塩に窒素分が混入する経緯について記載する
が、これらは本技術を限定するものではない。通常、塩
化亜鉛中には窒素分、硫酸塩、鉛、アルカリ及びアルカ
リ土類金属などが混入しており、特に、工業用の塩化亜
鉛においては、これらの混入比率が高い。本発明者らは
これらの混入物がポリマー溶液の変性に及ぼす影響につ
いて検討した結果、窒素分の影響が極めて大きいことを
突き止めた。つまり、工業製品を生産する場合、高純度
の原材料を用いることは必須であるが、本発明では窒素
分に着目することが非常に重要であることが明らかにな
った。
【0018】窒素分の中でも塩化アンモニウムの影響が
大きく、隣接ポリマー分子を架橋させることによりポリ
マー溶液の粘度が増大する。塩化アンモニウムの混入理
由は、塩化亜鉛の原料に起因している。通常の工業用塩
化亜鉛の原料は、亜鉛メッキ浴の表面に発生する亜鉛酸
化物をばい焼してから使用しており、メッキ操作の時に
用いる塩化アンモニウムをどうしても同伴している。以
上のようなことから、本発明の窒素分の除去方法である
ところの(1)溶剤に用いるハロゲン化亜鉛、又は、ハ
ロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の
水に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を熱
処理する方法、及び(2)溶剤にpKa≧9である無機
塩基を加える方法、は極めて有効な手段となり得る。
【0019】次に、これらの方法を説明する。溶剤に用
いるハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜鉛及びハロゲン
化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上溶解する
少なくとも1種の金属塩を熱処理する方法のおいては、
これらの金属塩を300℃以上で加熱することが好まし
い。300℃未満では窒素含有物質の昇華が少なく、良
好なポリマー溶液の熱安定性が得られ難い。300℃以
上にすることにより窒素含有物質の昇華が促進される。
好ましくは320℃以上に加熱する。更に、窒素含量を
減少させるためには340℃以上で加熱することが好ま
しい。このような温度で熱処理することにより、窒素含
量の少ないハロゲン化亜鉛、又は、ハロゲン化亜鉛及び
ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上
溶解する少なくとも1種の金属塩を得ることができる。
【0020】溶剤にpKa≧9である無機塩基を加える
方法においては、pKa≧9を満たすならば無機塩基の
種類は特に限定されるものではない。例えば、このよう
な無機塩基として、AgOH、Al(OH)3、Ca(O
H)2、NaOHなどが挙げられるが、溶剤中に不純物や
不純イオンを出さない、という点でハロゲン化亜鉛と共
に溶剤として使用される金属塩の陽イオン元素を含むも
のが好ましい。塩基の必要添加量は、発明の実施の形態
の「(6)塩基の添加量の求め方」の項に記載の方法に
準じて決定することができる。塩基を添加した後、水が
蒸発しないようにコンデンサーを取り付けた容器で加熱
を行えば、窒素含量の少ないハロゲン化亜鉛、又はハロ
ゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水
に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を含む
ポリケトンの溶剤を得ることができる。
【0021】本発明に用いるポリマー溶液中のポリマー
濃度は0.005〜70質量%であることが好ましい。
ポリマー濃度が0.005質量%未満になると、濃度が
低く凝固時に繊維になりにくい他、繊維の製造コストが
高くなる。70質量%を越えるとポリマーが溶剤に溶解
しなくなる。溶解性、紡糸のしやすさ、繊維の製造コス
トの観点から、好ましくは0.5〜40質量%、より好
ましくは1〜30質量%である。ポリマー濃度は、以下
の式で定義される値である。 ポリマー濃度(質量%)=(ポリマーの質量/(ポリマ
ー質量+溶剤の質量))×100 本発明で用いられるポリマー溶液の調整方法としては、
公知の方法を用いることができ、例えば、撹拌羽根によ
る撹拌、1軸又は2軸押出機を用いた撹拌、超音波を用
いた撹拌等が適用できる。
【0022】こうして得られたポリマー溶液は、紡口か
ら押し出し、ハロゲン化亜鉛及び/又はハロゲン化亜鉛
以外であって、50℃の水に1質量%以上溶解する少な
くとも1種の金属塩を除くために凝固浴を通すことが必
要である。紡口から押し出されたポリマー溶液は、空気
中を通過させてもよく(エアギャップ紡糸)、そのまま
凝固浴中に押し出してもよい(浸漬紡糸)。また、凝固
浴に入る前に、ポリマー溶液は冷却されて、その一部又
は全部が相分離し、熱可逆性ゲル状態を経てもよい(ゲ
ル紡糸)。
【0023】凝固浴は、ポリマー溶液から金属塩の一部
又は全部を除去し、凝固浴に満たされた溶剤にポリケト
ンが溶解しない状態に変えて繊維形状を保持させる役割
を持つ。本発明において、凝固浴液(凝固浴に用いる溶
剤)としては、ハロゲン化亜鉛の濃度が0〜30質量%
であって、50質量%以上が水で構成されたものを用い
ることができる。このような凝固浴を用いることで、紡
口から押し出されたポリマー溶液からハロゲン化亜鉛等
の金属塩を効率よく除去して未延伸糸を得ることができ
る。ハロゲン化亜鉛の濃度が30質量%を超えると凝固
が遅くなり、凝固浴から糸を引き取ることが困難にな
る。好ましくは0〜20質量%であり、更に好ましくは
0〜15質量%である。pHとしては、1〜6.0が好
ましく、より好ましくは2〜6.0である。
【0024】pHを調整するために添加する酸の種類は
特に限定されない。更に、凝固浴には50質量%未満の
範囲でメタノール、アセトン、メチルエチルケトン等の
有機溶剤や金属塩等の無機物を含有してもよい。これら
の溶剤は、必要に応じて2種以上混合してもよい。より
好ましくは、溶剤に用いた塩を繊維状物からできる限り
除去できる、という点から実質100%の水、又は回収
がしやすい、という点から溶剤に用いたハロゲン化亜鉛
及び/又はハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1
質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩をハロゲン
化亜鉛が30質量%を超えない範囲で1〜45質量%、
好ましくは2〜35質量%含有した水溶液が好ましい。
【0025】凝固浴の温度は、特に制限はないが、繊維
状物から溶剤に用いた塩の除去を速くできる、という観
点から、0℃以上が好ましく、より好ましくは0〜95
℃である。凝固浴に用いる溶剤量は、1時間当たり吐出
するポリケトン量の1倍以上が好ましく、より好ましく
は30倍以上である。凝固浴を使用して固化した繊維状
物は、必要に応じて、水又はpHが4以下の水溶液で少
なくとも1回洗浄してもよい。こうした洗浄は、凝固浴
で除去できなかった金属塩を溶解するために好ましい方
法である。特に、塩化亜鉛水溶液をポリケトン溶剤とし
て用いる場合、塩化亜鉛を一度水に溶解させた後、水で
希釈すると水に溶解しにくい亜鉛塩が生成する。
【0026】この亜鉛塩を除くためには、大量の水で更
に洗浄したり、好ましくはpHが4以下の水溶液、例え
ば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の水溶液で洗浄
することが極めて有効である。水に溶解しにくい亜鉛塩
の溶解性を高めるためには、これらの洗浄水の温度は4
0℃以上、好ましくは50〜95℃にする。以上のよう
な凝固、洗浄において、得られた繊維状物に含まれる亜
鉛、カルシウム、鉄からなる群から選ばれた少なくとも
1種の元素量を、合計で乾燥繊維量中10000ppm
以下にすることが好ましく、これは、最終的に得られる
繊維の強度や弾性率を高めるためには重要な条件であ
る。10000ppmよりも溶剤に用いた金属元素量が
多いと、次の工程である延伸において、高い強度や弾性
率を発現するための高倍率延伸が困難になるからであ
る。
【0027】こうして塩を除去された繊維状物は、水を
大量に含んでいるので50℃以上の温度で乾燥して、水
分の一部又は全部を除くことが好ましい。乾燥方法とし
ては、延伸しながら定長で又は収縮させながら乾燥して
もよい。乾燥時の温度としては、目標とする乾燥程度に
より、任意に設定できるが、通常50〜250℃であ
り、好ましくは、50〜150℃である。乾燥するため
の装置としては、トンネル型乾燥機、ロール加熱機、ネ
ットプロセス型乾燥機等、公知の設備でよい。
【0028】こうして乾燥された繊維は、好ましくは0
〜300℃で3倍以上、より好ましくは6倍以上の延伸
を行う。延伸は、延伸のしやすさから50℃以上が好ま
しく、より好ましくは150〜300℃の温度で、1段
又は多段延伸する。繊維と延伸機との摩擦、静電気の発
生を抑制し延伸を円滑にするために、乾燥から延伸の任
意の段階で仕上げ剤を付けることは好ましい。仕上げ剤
としては、公知のものを使用できる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明を以下の実施例により具体
的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するもの
ではない。実施例の説明中に用いられる各測定値の測定
方法は、次の通りである。 (1)極限粘度 極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求める。 [η]=lim(T−t)/(t・C) C→0 定義式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサイソプ
ロパノール及びヘキサフルオロイソプロパノールに溶解
したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時
間である。Cは上記100ml中のグラム単位による溶
質質量値である。
【0030】(2)繊維の強力、強度、伸度、弾性率 JIS−L−1013に準じて測定する。 (3)窒素含量の求め方 ケルダール分解により窒素分を硫安として固定した後、
インドフェノール青吸光光度法により公知の方法で測定
する。 (4)ドープ粘度の測定方法 東京計器製B8H型粘度計を使用し、取扱説明書に従い
80℃で測定する。
【0031】(5)塩基の添加量の求め方 ポリケトンの溶剤として作成した水溶液をフラスコに約
8g精秤し、純水を150ml加えた後、30%水酸化
ナトリウム約80mlを添加する。よく撹拌した後、加
熱しながら、出てくる蒸気をN/10硫酸水溶液で捕集
し、この硫酸水溶液をメチルレッドを指示薬としてN/
10水酸化ナトリウム水溶液で中和逆滴定する。 塩基添加量=(A−B)/(10000×C) 塩基添加量(グラム当量/溶剤1g) A=N/10H2SO4量(ml) B=N/10NaOH量(ml) C=溶剤質量(g)
【0032】
【実施例1】塩化亜鉛/塩化カルシウム(22/40質
量比)の混合塩約3Kgを電気炉を使用して340℃で
ばい焼した。冷却後、この混合塩の62%水溶液に、極
限粘度5.6のポリ(3−オキソトリメチレン)(式
(1)において、Rがエチレンのポリケトン)を6.5
質量%濃度になるように80℃で2時間かけて溶解し
た。このドープの80℃加熱下での粘度の経時変化と使
用した塩化亜鉛/塩化カルシウム中の窒素含量を表1に
示す。
【0033】
【実施例2】塩化亜鉛/塩化カルシウム/水(22/4
0/38質量%)の水溶液を5Kg作成し、上記(1)
の塩基の添加量の求め方に従って必要塩基量を求めた結
果、0.19(ミリグラム当量/溶剤1g)であった。
そこで、水酸化カルシウムを0.95ミリグラム当量加
えてよく撹拌した後に、極限粘度5.6のポリ(3−オ
キソトリメチレン)(式(1)において、Rがエチレン
のポリケトン)を6.5質量%濃度になるように80℃
で2時間かけて溶解した。このドープの80℃加熱下で
の粘度の経時変化と使用した塩化亜鉛/塩化カルシウム
中の窒素含量を表1に示す。
【0034】
【比較例1】実施例2と同様に塩化亜鉛/塩化カルシウ
ム/水(22/40/38質量%)の水溶液を5Kg作
成した。この時使用した塩化亜鉛/塩化カルシウムはば
い焼することなく、また、塩化カルシウムも加えなかっ
た。この水溶液に、極限粘度5.6のポリ(3−オキソ
トリメチレン)(式(1)において、Rがエチレンのポ
リケトン)を6.5質量%濃度になるように80℃で2
時間かけて溶解した。このドープの80℃加熱下での粘
度の経時変化と使用した塩化亜鉛/塩化カルシウム中の
窒素含量を表1に示す。
【0035】
【実施例3】実施例1と同様な方法で作成したドープを
80℃で保温したタンクに貯めた状態で紡糸を行った。
ドープを孔数50個、孔径0.15mmの紡口から吐出
線速度5m/分でエアギャップ長10mmを介して凝固
浴に押し出した。凝固浴は塩化亜鉛と塩化カルシウムの
質量比が22:40であり、塩の総濃度が10質量%で
ある水溶液を用いた。凝固浴長は1.2mで塩酸でpH
を4.5に調整し、ドープから持ち込む塩を水により希
釈できる浴とした。次に、1%の塩酸水溶液を入れた浴
長2mの洗浄浴を通し、水を連続的に吹きかけるネルソ
ンロールを通してから、定長で240℃の乾燥を行っ
た。その後、ホットプレートを2つのフィードロールの
間に備えた延伸機を用いて240℃で第一段目延伸、2
55℃で第二段目延伸、265℃で第三段目延伸を行
い、巻き取った。以上のような紡糸を行った場合の紡糸
時間と切糸、延伸倍率と強伸度の結果を表2に示す。
【0036】
【実施例4】実施例2と同様な方法で作成したドープを
80℃で保温したタンクに貯めた状態で紡糸を行った。
実施例3と同様な紡糸を行った。その時の紡糸時間と切
糸、延伸倍率と強伸度の結果を表2に示す。
【0037】
【比較例2】比較例1と同様な方法で作成したドープを
80℃で保温したタンクに貯めた状態で紡糸を行った。
実施例3と同様な紡糸を行った。その時の紡糸時間と切
糸、延伸倍率と強伸度の結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明によると、ハロゲン化亜鉛を用い
たポリケトンの湿式紡糸において、紡糸原液の加熱下で
の経時変化を抑制することができ、毛羽や切糸の回数、
強伸度の低下を軽減することができる。本発明は、窒素
含率が0.2質量%を越えるハロゲン化亜鉛、又はハロ
ゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水
に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を用い
た場合に比べて、次のような特徴がある。 (イ)切糸が少なく、紡糸が安定する。その結果、紡糸
収率が高まる。 (ロ)延伸倍率が高められ、その結果、高強度高弾性率
の糸条を得ることができるようになる。 (ハ)ドープの安定性が高まり、ドープの変性を気にす
ることなく長時間の紡糸を行えるようになる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の90質量%以上が式
    (1)で示されるポリケトンを、ハロゲン化亜鉛、又は
    ハロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃
    の水に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を
    含む水溶液に溶解せしめたポリマー溶液を用いてポリケ
    トン繊維を製造するに際して、ハロゲン化亜鉛又は、ハ
    ロゲン化亜鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の
    水に1質量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩に含
    有される窒素量の合計が0.2質量%以下であるポリマ
    ー溶液を使用することを特徴とするポリケトン繊維の製
    造方法。 【化1】 (式中、Rは、炭素数1〜30の有機基である。)
  2. 【請求項2】 下記(1)及び(2)から選ばれた少な
    くとも1つの方法により、窒素量が0.2質量%以下に
    減少させらた、ハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜鉛及
    びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以
    上溶解する少なくとも1種の金属塩を用いる請求項1記
    載のポリケトン繊維の製造方法。 (1)溶剤に用いるハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜
    鉛及びハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量
    %以上溶解する少なくとも1種の金属塩を熱処理する方
    法。 (2)ハロゲン化亜鉛、又はハロゲン化亜鉛及びハロゲ
    ン化亜鉛以外であって50℃の水に1質量%以上溶解す
    る少なくとも1種の金属塩水溶液にpKa≧9である無
    機塩基を加える方法。
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