JP2004307688A - 石鹸の成形型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一組の割型1A,1Bを組み付けてなり、内部に成形用のキャビティ1Cが形成される石鹸の成形型において、一の割型1Aにおけるキャビティを形成する凹部11Aの表面粗さRaを、他の各割型1Bにおけるキャビティを形成する凹部11Bの表面粗さRaよりもそれぞれ大きくし、それらの表面粗さRaの差をそれぞれ0.1〜30μmとした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は石鹸の成形型に関し、更に詳しくは型開時に、成形された石鹸が常に特定の割型に保持される成形型に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本出願人は先に、脱型時に表面剥離等の欠損が生じることなく、表面の仕上がり性に優れた気泡入り石鹸を製造する方法を提案した(特許文献1参照)。この方法においては、成形型に充填した溶融石鹸をその表面温度が5〜30℃になるまで冷却固化させ、固化した石鹸を、表面温度が冷却終了時の表面温度よりも2〜15℃高い温度に昇温させた後に脱型する。その際、成形型として内面の表面粗さRaが0.1〜30μmのものを用いる。
【0003】
前記の製造方法によれば、通常の石鹸よりも欠損が生じやすい気泡入り石鹸であっても首尾良く脱型することができる。しかし成形型の型開時に、固化した石鹸が割型に保持されず落下しやすくなってしまう。落下すると、石鹸は容易に破損してしまい、これが原因で装置が汚染されてしまう。従って、石鹸の割型への保持は確実に行う必要がある。また、落下しないまでも、型開時に石鹸が保持される割型がまちまちとなりやすい。その結果、取り出し装置による石鹸の取り出し工程が煩雑になりやすく、それが原因で生産性が低下してしまう。
【0004】
そこで、割型の凹部に異なる離型性を有するコーティングを施し、割型への石鹸の付着性に差が生じるようにすることが提案されている(特許文献2参照)。しかし、このような割型を用いると、成形を重ねるにつれコーティングが剥離していき、付着性に差が生じなくなってしまう。従って、定期的に割型にコーティングを施す必要があり、作業が繁雑になるとともに、製造経費も高くなってしまう。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−121599号公報
【特許文献2】
特表2001−525881
【0006】
従って本発明は、型開時に、成形された石鹸が常に特定の割型に保持される成形型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一組の割型を組み付けてなり、内部に成形用のキャビティが形成される石鹸の成形型において、一の割型における前記キャビティを形成する凹部の表面粗さRaを、他の各割型における前記キャビティを形成する凹部の表面粗さRaよりもそれぞれ大きくし、それらの表面粗さRaの差をそれぞれ0.1〜30μmとした石鹸の成形型を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1に示す石鹸の成形型は、第1の割型1A及び第2の割型1Bからなる2個の割型で一組をなしている。各割型は金属等の剛体からなる矩形ブロック状の形態をしており、それぞれの中央部に凹部11A及び11Bが形成されている。各凹部11A,11Bは、第1の割型1Aと第2の割型1Bとをそれらのパーティング面PLで突き合わせたとき、製造すべき石鹸の形状に合致した形状のキャビティ(図示せず)が形成されるように、各割型に形成されている。また凹部11A,11Bはほぼ対称な同形状をしている。
【0009】
第2の割型1Bには、該第2の割型1Bをその厚さ方向に貫通するノズル挿入孔2Bが、凹部11Bの外縁部に穿設されている。ノズル挿入孔2Bは、その径が、第2の割型1Bの背面側に向かうに連れ漸次拡開している。一方、第1の割型1Aには、そのパーティング面PLの一部が凹設されて形成された半円柱形状のゲート2Aが形成されている。ゲート2Aは第1の割型1Aの端面Eと凹部11Aとを連通させている。ゲート2Aには、該ゲート2Aと相補形状をなすピストンPが嵌挿されている。ピストンPは金属又はプラスチック等の材質からなり、ゲート2A内を摺動可能になされている。ノズル挿入孔2Bとゲート2Aとは、第1の割型1Aと第2の割型1Bとをそれらのパーティング面PLで突き合わせたときに、ノズル挿入孔2Bからゲート2Aを経てキャビティへと達する連通路が形成されるような位置にそれぞれ形成されている。図示していないが、第2の割型1Bのパーティング面PLにはエアベントが設けられている。また、図示していないが、両割型1A,1Bを構成するブロックには冷却水の循環路が設けられている。
【0010】
各割型1A,1Bにおける凹部11A,11Bの内面はそれぞれ鏡面加工されて低表面粗さの領域となっている。但し、一方の割型である第1の割型1Aにおいては、その凹部11Aの底面が、鏡面加工後に粗面加工されて高表面粗さの領域となっている。即ち本実施形態においては、第1の割型1Aにおける凹部11Aの表面粗さRaを、第2の割型1Bにおける凹部11Bの表面粗さRaよりも大きくしてある。粗面加工としては例えばサンドブラスター加工などが用いられる。
【0011】
更に、第1の割型1Aの凹部11Aには、高表面粗さの領域と低表面粗さの領域とがあり、一方第2の割型1Bの凹部11Bには低表面粗さの領域のみがある。そして、第1の割型1Aの凹部11Aにおける低表面粗さの領域の表面粗さRaは、第2の割型1Bの凹部11Bの表面粗さRaとほぼ同程度となっている。
【0012】
第1の割型1Aにおける凹部11Aの表面粗さRaを、第2の割型1Bにおける凹部11Bの表面粗さRaよりも大きくすることで、溶融石鹸をキャビティ内に充填し冷却固化させた後に成形型を型開するときに、表面粗さRaの低い第2の割型1B側に石鹸が常に保持されることが本発明者らの検討の結果判明した。
【0013】
先に述べた特許文献1に記載されているように、凹部の表面粗さRaを低下させるとその割型側に石鹸が保持され、逆に凹部の表面粗さRaを大きくするとアンカー効果によってその割型側に石鹸が保持される。つまり表面粗さRaの大小によって石鹸が保持される割型がまちまちとなってしまう。本発明者らが鋭意検討した結果、第1の割型1Aにおける凹部11Aの表面粗さRa(つまり高表面粗さの領域の表面粗さRa)と、第2の割型1Bにおける凹部11Bの表面粗さRaとの差を0.1〜30μm、好ましくは0.2〜20μmとすることで、表面粗さRaの低い第2の割型1B側に石鹸が常に保持されることが判明した。
【0014】
図1に示されるように、第1の割型1Aの凹部11Aに形成される高表面粗さの領域は、該凹部11Aの底面に位置している。つまり高表面粗さの領域は、成形型のパーティング面PLとほぼ平行な面である凹部11Aの底面に形成されている。これによって、第1の割型1Aからの石鹸の離型が容易となり、第2の割型1B側に石鹸が一層確実に保持される。ほぼ平行な面とは、凹部11Aの底面が平坦面であることを要せず、石鹸に特有の形状である曲面となっていてもよいことを意味する。
【0015】
第2の割型1B側に石鹸を一層確実に保持させるために、第1の割型1Aの凹部11Aにおける高表面粗さの領域は、該凹部11Aの全面積の30%以上、特に50%以上を占めることが好ましい。最も好ましくは、第1の割型1Aの凹部11Aはその全域が高表面粗さの領域となっている。
【0016】
また、第2の割型1B側に石鹸を一層確実に保持させるために、第1の割型1Aの凹部11Aにおける高表面粗さの領域は、その表面粗さRaが0.2〜30μm、特に0.4〜20μmであることが好ましい。一方、第1の割型1Aにおける凹部11Aの低表面粗さの領域の表面粗さRa及び第2の割型1Bにおける凹部11Bの表面粗さRaは何れも0.1〜30μm、特に0.1〜20μmであることが好ましい。なお、第1の割型1Aにおける凹部11Aの低表面粗さの領域の表面粗さRaと、第2の割型1Bにおける凹部11Bの表面粗さRaとは必ずしも同じ値であることを要しない。しかし、各割型1A,1Bの製造経費等を考慮すると各割型1A,1Bには同様の鏡面加工を施すことが通常であることから、結果的に両者の表面粗さRaは先に述べた通りほぼ同程度となる。
【0017】
更に、第2の割型1B側に石鹸を一層確実に保持させるために、第1の割型1Aの凹部11Aにおける高表面粗さの領域の表面粗さRaと、第2の割型1Bにおける凹部11Bの表面粗さRaとの比(前者/後者)は2〜300、特に4〜200であることが好ましい。
【0018】
表面粗さRaはJIS B0601に従い測定される。測定装置としては例えば(株)東京精密製の表面粗さ測定機SURFCOM590Aを用いることができる。
【0019】
次に図1に示す成形型を用いた石鹸の製造方法を、気泡入り石鹸の製造を例にとり図2を参照しながら説明する。図1に示す成形型は図2に示す製造装置に取り付けられて使用される。この製造装置は金型ユニット4Aと、溶融石鹸の注入装置3Aとを備えている。成形型は、図2(a)に示すように、金型ユニット4Aのベースプレート40上に取り付けられる。ベースプレート40上には第1の割型1Aの支持板41及び第2の割型1Bの支持板42がそれぞれ立設されている。支持板41の内面には、ピストン43を備えたシリンダ44が取り付けられている。シリンダ44は、ピストン43が支持板41と直交する方向に摺動するように取り付けられている。ピストン43の先端は第1の割型1Aの背面に固定されている。従って、第1の割型1Aは水平方向に移動可能な移動型となっている。また第1の割型1Aは、そのゲート2A側を下方に向けた状態で固定されている。第1の割型1Aの背面部における下方部には、L字形をしたシリンダ保持板45が取り付けられている。シリンダ保持板45における水平部には、ピストン46を備えたシリンダ47が取り付けられている。シリンダ47は、ピストン46が上下方向に摺動するように取り付けられている。ピストン46の先端は、第1の割型1Aに備えられたピストンPに接続されている。
【0020】
第2の割型1Bは、その凹部11Bが第1の割型1Aの凹部11Aと対向するように且つノズル挿入孔2Bを水平方向に向けた状態で、支持板42に取り付けられている。図2(a)から明らかなように、第2の割型1Bは固定型となっている。第2の割型1Bの背面側には、溶融石鹸の注入装置3Aが取り付けられている。注入装置3Aは、注出ノズル31、切り替えバルブ32、シリンダ33、及びシリンダ33内に配されたピストン34を備えている。注出ノズル31は、第2の割型1Bに穿設されたノズル挿入孔2Bの形状と合致した形状をしており、該ノズル挿入孔2B内に挿入されている。注出ノズル31の内部にはゲートピン35が摺動自在に挿入されており、ゲートピン35の押し込み及び引き出しによって、注出ノズル31からキャビティへの溶融石鹸の注入を制御している。切り替えバルブ32は、シリンダ33を、図示しない貯蔵タンク内を経由する循環路36及び注出ノズル31の何れかに一方に択一的に連通させるものである。図2(a)に示す状態では、シリンダ33と注出ノズル31とが連通しており、シリンダ33と循環路36との連通は遮断されている。
【0021】
図2に示す製造装置を用いた気泡入り石鹸の製造方法について説明すると、先ず金型ユニット4Aのシリンダ44を動作させてピストン43を押し出して、第1の割型1Aと第2の割型1Bとを型閉する。両割型には、前述した冷却水の循環路に水を循環させておく。また、シリンダ47を動作させてピストン46を引き込み、これによって該ピストン46に接続されているピストンPの一部を第1の割型1Aから引き出しておく。一方、注入装置3Aにおいては、ピストン34を押し込んだ状態にしておき、この状態下に切り替えバルブ32を操作して、シリンダ33と循環路36とを連通させる。そしてピストン34を引き出してシリンダ33内に所定量の溶融石鹸を送り込む。溶融石鹸は、図示しない貯蔵タンクに貯えられており、該貯蔵タンク内を経由する循環路36内を循環している。そして、切り替えバルブ32による流路切り替えによって、循環している溶融石鹸がシリンダ33内に送り込まれる。溶融石鹸を循環させておくことで、溶融石鹸中の気泡と液体分との分離が効果的に防止される。無数の気泡を分散含有する溶融石鹸の調製方法としては、例えば本出願人の先に出願に係る特開平11−43699号公報の第2欄15行〜第5欄1行に記載されている方法を用いることができる。溶融石鹸の発泡には各種気体を用いることができる。特に不活性気体、とりわけ窒素ガス等の非酸化性の不活性ガスを用いることで、溶融石鹸の加熱に起因してその配合成分が劣化ないし酸化分解することで発生する異臭等を、効果的に防止することができる。
【0022】
次いで切り替えバルブ32を操作して、図2(a)に示すように、シリンダ33と循環路36との連通を遮断し且つシリンダ33と注出ノズル31とを連通させる。ゲートピン35は引き出された状態にしておく。引き続き、ピストン34を押し込んで、シリンダ33内の溶融石鹸4を押し出す。これによって溶融石鹸4は注出ノズル31及びゲート2A(図1参照)を通じてキャビティ11C内に加圧注入される。この加圧注入によって、キャビティ11C内の溶融石鹸は所定の体積まで圧縮される。
【0023】
所定体積の溶融石鹸の加圧注入が完了したら、図2(b)に示すようにゲートピン35を押し込んで注出ノズル31とキャビティ11Cとの連通を遮断する。更に、シリンダ47を動作させてピストン46を押し出し、該ピストン46に接続されているピストンPをゲート2A(図1参照)内に押し込む。これによって、ゲート2A内に残存している溶融石鹸をキャビティ11C内に注入する。
【0024】
次に金型ユニット4Aを後退(図中、右側に移動)させ、図2(c)に示すように注入装置3Aを第2の割型1Bから取り外し、キャビティ11C内の溶融石鹸を圧縮状態下に冷却固化させる。前述の通り各割型1A,1Bは冷却水の循環によって所定温度に冷却されており、これによってキャビティ11C内の溶融石鹸の冷却固化が促進される。溶融石鹸は加圧注入され圧縮されているので、その冷却固化に際しての収縮やひけの発生が防止される。
【0025】
溶融石鹸が固化したら、図2(d)に示すように、シリンダ44を動作させてピストン43を引き込む。これによって両割型1A,1Bを型開し、次いでキャビティ内の気泡入り石鹸5を所定の把持手段(図示せず)によって取り出す。この場合、石鹸5は常に第2の割型1B側に保持される。従って、把持手段による石鹸5の取り出しは常に第2の割型1B側に対して行えばよいので、取り出しが容易となり生産性が向上する。しかも型開に際して石鹸の落下も起こらないので、落下した石鹸から生じた破片等によって製造装置が汚染されることもない。
【0026】
溶融石鹸の冷却固化後に成形型を型開する時期に特に制限はないが、石鹸の内部までが固化してから型開するよりも、もっと早い段階、例えば石鹸の表層部は固化しているが内部は未固化の状態で型開する方が、石鹸は確実に第2の割型1B側に保持される。
【0027】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては2個の割型で一組をなす成形型を用いたが、割型の数はこれに限られず石鹸の形状によっては3個以上の割型から成形型を構成してもよい。その場合には、複数の割型のうち、一の割型における凹部の少なくとも一部の表面粗さを高くし、且つ残りの各割型における凹部の表面粗さをそれよりも低くし、しかも残りの各割型における凹部の表面粗さをそれぞれ同程度とすることが好ましい。
【0028】
また前記実施形態においては第1の割型1Aの凹部11Aにおける高表面粗さの領域は、パーティング面PLとほぼ平行な面である凹部底面に形成されていたが、高表面粗さの領域の形成箇所はこれに限られず凹部における他の領域、例えばパーティング面PLとほぼ直角な面であってもよい。更に凹部底面に形成する場合は、底面の全域に高表面粗さの領域を形成することに代えて、該底面に不連続に高表面粗さの領域を複数箇所形成してもよい。
【0029】
また、各割型1A,1Bの凹部11A,11Bには、石鹸の確実な保持(第2の割型側)及び石鹸の確実な離型(第1の割型側)を目的として、空気の吸引用及び吹き出し用のスリットや小孔を形成してもよい。
【0030】
また前記実施形態においては、圧縮成形の一例である気泡入り石鹸の製造に本発明の成形型を用いたが、本発明の成形型は気泡を含まない通常の石鹸の製造に用いることもできる。尤も、本発明の成形型は、冷却後のヒケの大きい気泡入り石鹸の製造のような圧縮成形に特に適している。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「部」は「重量部」を意味する。
【0032】
〔実施例1〕
図1に示す成形型を用い、これを図2に示す製造装置に取り付けて気泡入り石鹸を製造した。各割型の凹部を鏡面加工して表面粗さRaが0.463μmの低表面粗さの領域を形成した。但し第1の割型においては、凹部の底面をサンドブラスターによる粗面化処理して表面粗さRaが18.93μmの高表面粗さの領域を形成した。第1の割型の凹部における高表面粗さの領域は、該凹部の全面積の48%を占めていた。
【0033】
以下に示す配合成分を用いて、前述した特開平11−43699号公報に記載の方法に従い無数の気泡が分散含有された溶融石鹸を調製した。発泡には窒素ガスを用いた。
ラウリン酸Na 30部
ココイルイセチオン酸Na 2部
ラウロイル乳酸Na 5部
ポリオキシエチレンモノラウレート 2部
ラウリン酸 5部
グリセリン 20部
塩化ナトリウム 1.5部
香料 1.5部
水 32部
【0034】
調製された溶融石鹸を用い、図2(a)〜(d)に示す工程に従い気泡入り石鹸を製造した。溶融石鹸の温度は64℃とした。各割型は5〜15℃の冷却水で冷却しておいた。溶融石鹸の冷却時間は1分とした。冷却後に成形型を型開し、どちらの割型に石鹸が保持されているかを観察した。5回の成形を行ったところ、5回とも第2の割型側に石鹸が保持されたことを確認した。
【0035】
〔実施例2〕
各割型の凹部を鏡面加工して表面粗さRaが0.263μmの低表面粗さの領域を形成した。但し第1の割型においては、凹部の底面をサンドブラスターによる粗面化処理して表面粗さRaが0.463μmの高表面粗さの領域を形成した。これ以外は実施例1と同様にして気泡入り石鹸を製造した。5回の成形を行ったところ、5回とも第2の割型側に石鹸が保持されたことを確認した。
【0036】
〔実施例3〕
各割型の凹部を鏡面加工して表面粗さRaが0.263μmの低表面粗さの領域を形成した。但し第1の割型においては、凹部の底面をサンドブラスターによる粗面化処理して表面粗さRaが18.93μmの高表面粗さの領域を形成した。これ以外は実施例1と同様にして気泡入り石鹸を製造した。5回の成形を行ったところ、5回とも第2の割型側に石鹸が保持されたことを確認した。
【0037】
〔比較例1〕
第1の割型の底面をサンドブラスターによる粗面化処理しない以外は実施例1と同様にして気泡入り石鹸を製造した。つまり本比較例においては各割型の凹部の表面粗さRaは同じになっている。5回の成形を行ったところ、第1の割型側に石鹸が保持された回数が2回、第2の割型側が2回、どちらの割型にも保持されず落下した回数が1回であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の成形型によれば、型開時に、成形された石鹸が常に特定の割型に保持される。従って本発明の成形型を用いれば石鹸の製造を安定的に且つ生産性良く行うことができる。本発明の成形型は、気泡入り石鹸の製造のような圧縮成形に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の石鹸の成形型を示す斜視図である。
【図2】図1に示す成形型を備えた気泡入り石鹸の製造装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1A 第1の割型
1B 第2の割型
11A,11B 凹部
Claims (6)
- 一組の割型を組み付けてなり、内部に成形用のキャビティが形成される石鹸の成形型において、一の割型における前記キャビティを形成する凹部の表面粗さRaを、他の各割型における前記キャビティを形成する凹部の表面粗さRaよりもそれぞれ大きくし、それらの表面粗さRaの差それぞれを0.1〜30μmとした石鹸の成形型。
- 一の割型における前記キャビティを形成する凹部には高表面粗さの領域と低表面粗さの領域とがあり、該低表面粗さの領域における表面粗さRaが、他の各割型における前記キャビティを形成する凹部の表面粗さRaとほぼ同程度となっている請求項1記載の石鹸の成形型。
- 前記凹部に、成形型のパーティング面とほぼ平行な面が形成されており、該面に前記高表面粗さの領域が形成されている請求項2記載の石鹸の成形型。
- 一の割型における前記高表面粗さの領域が、凹部の全面積の30%以上を占めている請求項2又は3記載の石鹸の成形型。
- 一の割型における前記高表面粗さの領域の表面粗さRaが0.2〜30μmであり、前記低表面粗さの領域の表面粗さRa及び他の各割型における凹部の表面粗さRaが何れも0.1〜30μmである請求項2〜4の何れかに記載の石鹸の成形型。
- 2個の割型で一組をなし、それぞれの割型における凹部がほぼ対称な同形状をしている請求項1〜5の何れかに記載の石鹸の成形型。
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