JP2006089650A - 石鹸の成形型及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面にしるしや装飾が精度良く付された石鹸を製造することができる石鹸の成形型を提供すること。
【解決手段】 本発明の石鹸の成形型は、一組の割型1A,1Bが組み付けられて内部に成形用のキャビティが形成される。割型1Aにおける前記キャビティの形成面に石鹸の表面に付されるしるしや装飾に対応した凸部110が設けられているとともに、凸部110に囲まれた部分に通気孔111が設けられている。一組が二個の割型で構成されることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は石鹸の成形型及びそれを備えた石鹸の製造装置に関する。
本出願人は、無数の気泡を分散含有する石鹸の製造装置として、該気泡を含む溶融石鹸を成形型の下方から注入し、固化させる装置を先に提案している(例えば、下記特許文献1参照)。
ところで、石鹸の表面には、製品の識別性を高めるために、製品名のロゴ等のしるしが付されたり、消費者の購買意欲を高めるために装飾が付されている。このようなしるしや装飾を付すために、石鹸の成形型のキャビティの形成面には、これらに対応した凹凸部が設ける必要があるが、しるしや模様の形態によっては、キャビティの形成面に前記凸部によって囲まれた部分ができ、この部分に溶融石鹸が満たされず、得られる石鹸の表面にしるしや装飾が精度良く転写されにくい課題があった。また、凸部によって囲まれた部分に溶融石鹸が満たされた場合でも、固化した石鹸を型から取り出すときにその囲まれた部分は真空に近い状態となる。このため、石鹸を脱型するときに前記凸部で囲まれた部分で固化した石鹸が欠けてしまい、不良品となっていた。
一方、本出願人は、石鹸の成形型のキャビティ形成面にスリットを設けておき、このスリットを通して外部が部分的に固化して体積が収縮した石鹸を吸引したり、これに気体を吹き付けて離型させて、成形後の石鹸の受け渡しを良好に行う石鹸の製造方法を先に提案している(下記特許文献2参照)。しかし、この技術は、固化した石鹸の受け渡しの向上を目的として構成されており、上記課題を解決するための手段としてそのまま適用できるものではなかった。
また、溶融石鹸を金型へ注入するとき、キャビティ内の空気を溶融石鹸と確実に置換するために、金型材料の一部または全部に多孔質の材料を用いて排気を行おうとした金型が提案されている(下記特許文献3)。しかし、金型材料の全部に多孔質の材料を用いると、経済的でないばかりか、金型の冷却水をキャビティ形成面の表面に漏れないようにする為の機構が複雑となる。また多孔質の材料によって低表面粗さで加工することは困難であるため、ロゴマーク部のみに該材料を用いると、ロゴマークとその周辺の表面粗さが異なり、得られる石鹸表面が均一でなくなる。また、高精度のロゴマークを有する金型を得ることが困難なため、得られる石鹸のロゴマークも精度が低くならざるを得ない。さらに、多孔質の材料の細孔径が5〜50μmと小さいため、これらの細孔に溶融石鹸が詰まると完全に除去することが困難であり、期待した効果が得られなくなる。
特開2004−2717号公報 特開2003−277799号公報 特表2001−525881号公報
従って本発明は、表面にしるしや装飾が精度良く付された石鹸を製造することができる成形型及びそれを備えた石鹸の製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、一組の割型が組み付けられて内部にキャビティが形成される石鹸の成形型であって、前記割型における前記キャビティの形成面に石鹸の表面に付されるしるしや装飾に対応した凸部が設けられているとともに、該凸部により囲まれた部分に通気孔が設けられている石鹸の成形型を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記本発明の石鹸の成形型と、前記成形型内に溶融石鹸を注入する注入装置と、前記成形型を開閉させる金型ユニットとを備えている石鹸の製造装置を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明によれば、表面にしるしや装飾が精度良く付された石鹸を製造することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1に示す石鹸の成形型1は、二個一組の割型1A及び割型1Bで構成されている。各割型は金属等の剛体からなる矩形ブロック状の形態をしており、それぞれの中央部に凹状のキャビティの形成面11A及び11Bが形成されている。各キャビティの形成面(以下、キャビティ形成面ともいう。)11A,11Bは、割型1Aと割型1Bとをそれらのパーティング面PLで突き合わせて組み合わせたとき、製造すべき石鹸の形状に合致した形状のキャビティ(図示せず)が形成されるように設けられている。キャビティ形成面11A,11Bは何れもアンダーカット部分が存在しない形状となっている。
割型1Aには、そのパーティング面PLの一部に、円の一部が当該パーティング面PLに沿って切り欠かれた断面形状の往来のゲート12Aが形成されている。ゲート12Aは一端が割型1Aの端面Eで開口し、他端がキャビティ形成面11Aで開口している。ゲート12Aには、該ゲート12Aと相補形状をなすゲートピンPが嵌挿されている。ゲートピンPは金属又はプラスチック等の材質からなり、ゲート12A内を摺動可能に配されている。割型1Bには、割型1Bをその厚さ方向に貫通するノズル挿入孔12Bが、キャビティ形成面11Bの外縁部に穿設されている。ノズル挿入孔12Bは、その径が、割型1Bの背面側に向かうに連れ漸次拡開している。ノズル挿入孔12Bとゲート12Aとは、割型1Aと割型1Bとをそれらのパーティング面PLで突き合わせたときに、ノズル挿入孔12Bからゲート12Aを経てキャビティへと達する連通路が形成されるような位置にそれぞれ形成されている。後述するように、溶融石鹸を注入用のノズルがノズル挿入孔12Bに挿入され、この連通路を通じてキャビティ内に溶融石鹸が注入される。割型1Aのパーティング面PL上の少なくともキャビティ形成面11Aを介してゲート12Aに対向する位置にはエアベント13Aが設けられている。当該エアベントは割型1Aに限らず,割型1Bに設置することもでき、また両割型1A,1Bに設置することもできる。図示していないが、両割型1A,1Bを構成するブロックには冷却水の循環路が設けられている。
キャビティ形成面11Aには、石鹸の表面に付されるしるしや装飾に対応した凸部110が設けられている。成形型1は、前記割型1Aの端面Eが底面となるように割型1A,1Bが縦に配置されて使用される。後述するように、溶融石鹸は、前記連通路を通して下方から注入され、キャビティ内に満されるが、キャビティ形成面11Aに凸部110で囲まれた部分があると、この部分の空気が溶融石鹸と完全に置換されず、得られる石鹸の表面にしるしや装飾が精度良く転写されにくくなっていた。特に注入時間が5秒未満、特に3秒未満で、注入時における溶融石鹸の粘度が100mPa・s以上の場合に転写不良が顕著であった。また、前記凸部110で囲まれた部分は脱型時に真空に近い状態となるため、固化した石鹸に欠けが生じていた。特に後述するような無数の気泡を分散含有する石鹸の場合や25重量%という多量の水分を含有する石鹸の場合、石鹸の強度が比較的低いため、顕著であった。更にこの凸部110の高さがキャビティ形成面の基面部から0.8mm以上、特に1.0mm以上、囲まれた部分が40mm2以下、特に、20mm2以下となると、転写不良や破損が顕著となった。本発明者らの検討した結果、凸部110で囲まれた部分に通気孔111を設けることによって、凸部110で囲まれた部分に溶融石鹸が満たされて凸部の形状が精度良く石鹸に転写されるとともに、脱型時の破損も防ぐことができることが判明した。成形型1は、割型1A,1Bを突き合わせた状態では、この通気孔111以外にエアベント13Aからも脱気される。
以下、この通気孔111について、割型1Aをキャビティ形成面側から平面視した状態を示す図に基づいて説明する。なお、凸部110で囲まれた部分とは、しるしや装飾において一つの独立した構成(例えば、一文字、一符号)に対応する凸部110を平面視したときの輪郭内であって、凸部110によって完全に囲まれた部分、並びに上下及び左右の四方向のうち三方向の延長線上において凸部110つきあたる部分をいう。例えば、図4に示すようなローマ字の場合は斜線部分をいう。ここで該部分の面積は当然のことながら小さいため、特許文献2に示す孔が該部分に存在すると、小面積に大きな力が作用するため、しるしや装飾が変形しやすい。特に溶融石鹸が完全に固化する前に金型から取り出す場合、顕著となる。
図2に示すように、本実施形態では、通気孔111は、ピンホール状の形態を有しており、石鹸の表面に付される凹状のロゴ”Kao”に対応した凸部110に囲まれた部分に設けられている。通気孔111は、気体は通過させるが溶融石鹸は通過させないように設けられている。通気孔111の開口面積は、溶融石鹸の粘度に応じて設定され、その一つの開口面積は0.2〜1mm2、特に0.5〜0.8mm2とすることが好ましい。凸部110に囲まれた部分におけるピンホール状の通気孔の個数は、1〜5個、特に1〜3個とすることが好ましい。石鹸表面に付するしるしや装飾にもよるが、凸部110に囲まれた部分における通気孔111の合計開口面積率は、経済性を考慮すると、2〜20%、特に5〜10%とすることが好ましい。
割型1Aのキャビティ形成面11Aと割型1Bのキャビティ形成面11Bとは非対称形状となっており、割型1Aのキャビティ形成面11Aは、割型1Bのキャビティ形成面11Bよりも大きくなっている。その結果、割型1Aのキャビティ形成面11Aの表面積が、割型1Bのキャビティ形成面11Bの表面積よりも大きくなっている。溶融石鹸をキャビティ内に充填し冷却固化させた後に成形型を型開するときに、キャビティ形成面の表面積の大きな割型1A側に石鹸を常に保持させるには、このように、割型1Aのキャビティ形成面11Aの表面積を、割型1Bのキャビティ形成面11Bの表面積よりも大きくすることが好ましい。
割型1Aのキャビティ形成面11Aの表面積を、割型1Bのキャビティ形成面11Bの表面積よりも大きくすればするほど、割型1A側に石鹸が保持されやすい。しかし、両キャビティ形成面11A,11Bの表面積の差が過大でなくても、割型1A側に石鹸が確実に保持されることが本発明者らの検討によって判明した。これとは別に、割型1Aのキャビティ形成面11Aの表面積を、割型1Bのキャビティ形成面11Bの表面積よりも大きくすればするほど、割型1Aのキャビティ形成面11Aの形状と割型1Bのキャビティ形成面11Bの形状が大きく異なってしまい、成形された石鹸の外形が大きく非対称になってしまったり、溶融石鹸注入時にフローマークが発生しやすくなってしまう。その結果、石鹸の美観が低下するおそれがある。また両キャビティ間における固化状態の差が大きくなり冷却時間が必要以上にかかる等、経済的に成形を行い難くなる場合もある。しかも、各割型の製造も複雑になり、経済的でない。割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面積と、割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの表面積との比は、52:48〜66:34とすることが好ましく、52:48〜57:43とすることがより好ましい。キャビティ形成面の表面積比をこのように設定することにより、各キャビティ形成面11A,11Bの形状を大きく異ならせることなく、即ち成形された石鹸の外形を過度に非対称とすることなく、割型1A側に石鹸を常に保持させることができる。
割型1A側に石鹸を一層確実に保持させるためには、割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの表面粗さRaを、割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面粗さRaよりも大きくすることが好ましい。特開2002−121599号公報に記載されているように、凹部の表面粗さRaを低下させるとその割型側に石鹸が保持され、逆に凹部の表面粗さRaを大きくするとアンカー効果によってその割型側に石鹸が保持される。つまり表面粗さRaの大小によって石鹸が保持される割型がまちまちとなってしまう。割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面粗さRaと、割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの表面粗さRaとの差を好ましくは0.1〜30μm、更に好ましくは0.2〜20μmとすることで、表面粗さRaの低い割型1A側に石鹸を一層確実に保持させることができる。
割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの表面粗さRaを、割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面粗さRaよりも大きくするために、本実施形態の成形型においては、各割型1A,1Bにおけるキャビティ形成面11A,11Bの内面をそれぞれ鏡面加工して、各内面を同程度の低表面粗さの領域となし、これと共に一方の割型である割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの底面を、鏡面加工後に粗面加工して高表面粗さの領域となしている。粗面加工としては例えばサンドブラスター加工などが用いられる。表面粗さを変える手段としては、本法に限らず公知の方法によってもかまわない。
図1に示されるように、割型1Bのキャビティ形成面11Bに形成される高表面粗さの領域は、該キャビティ形成面11Bの底面に位置している。つまり高表面粗さの領域は、成形型のパーティング面PLとほぼ平行な面であるキャビティ形成面11Bの底面に形成されている。これによって、割型1Bからの石鹸の離型が容易となり、割型1A側に石鹸が一層確実に保持される。ほぼ平行な面とは、キャビティ形成面11Bの底面が平坦面であることを要せず、石鹸に特有の形状である曲面となっていてもよいことを意味する。
割型1A側に石鹸を一層確実に保持させるために、割型1Bのキャビティ形成面11Bにおける高表面粗さの領域は、該キャビティ形成面11Bの全面積の30%以上、特に50%以上を占めることが好ましい。最も好ましくは、割型1Bのキャビティ形成面11Bはその全域が高表面粗さの領域となっている。
また、割型1A側に石鹸を一層確実に保持させるために、割型1Bのキャビティ形成面11Bにおける高表面粗さの領域は、その表面粗さRaが0.2〜30μm、特に0.4〜20μmであることが好ましい。一方、割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの低表面粗さの領域の表面粗さRa及び割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面粗さRaは何れも0.1〜30μm、特に0.1〜20μmであることが好ましい。なお、割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの低表面粗さの領域の表面粗さRaと、割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面粗さRaとは必ずしも同じ値であることを要しない。しかし、各割型1A,1Bの製造経費等を考慮すると各割型1A,1Bには同様の鏡面加工を施すことが通常であることから、結果的に両者の表面粗さRaは先に述べた通りほぼ同程度となる。
更に、割型1A側に石鹸を一層確実に保持させるために、割型1Bのキャビティ形成面11Bにおける高表面粗さの領域の表面粗さRaと、割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面粗さRaとの比(前者/後者)は1.003〜300、特に1.01〜100であることが好ましい。
次に本発明の石鹸の製造装置の一実施形態について説明する。図3(a)に示すように、本実施形態の石鹸の製造装置2は、この製造装置は、前記成型型1と、成形型1内に溶融石鹸を注入する注入装置3と、成形型1を開閉させる金型ユニット4とを備えている。
成形型1は、金型ユニット4のベースプレート40上に取り付けられる。ベースプレート40上には割型1Aの支持板41及び割型1Bの支持板42がそれぞれ立設されている。支持板41の内面には、ピストン43を備えたシリンダ44が取り付けられている。シリンダ44は、ピストン43が支持板41と直交する方向に摺動するように取り付けられている。ピストン43の先端は割型1Aの背面に固定されている。従って、割型1Aは水平方向に移動可能な可動型となっている。また割型1Aは、そのゲート12A側を下方に向けた状態で固定されている。割型1Aの背面部における下方部には、L字形をしたシリンダ保持板45が取り付けられている。シリンダ保持板45における水平部には、ピストン46を備えたシリンダ47が取り付けられている。シリンダ47は、ピストン46が上下方向に摺動するように取り付けられている。ピストン46の先端は、割型1Aに備えられたゲートピンPに接続されている。
割型1Bは、そのキャビティ形成面11Bが割型1Aのキャビティ形成面11Aと対向するように且つノズル挿入孔12Bを水平方向に向けた状態で、支持板42に取り付けられている。図3(a)から明らかなように、割型1Bは固定型となっている。割型1Bの背面側には、溶融石鹸の注入装置3Aが取り付けられている。注入装置3Aは、注出ノズル31、切り替えバルブ32、シリンダ33、及びシリンダ33内に配されたピストン34を備えている。注出ノズル31は、割型1Bに穿設されたノズル挿入孔12Bの形状と合致した形状をしており、該ノズル挿入孔12B内に挿入されている。注出ノズル31の内部にはゲートピン35が摺動自在に挿入されており、ゲートピン35の押し込み及び引き出しによって、注出ノズル31からキャビティへの溶融石鹸の注入を制御している。切り替えバルブ32は、シリンダ33を、図示しない貯蔵タンク内を経由する循環路36及び注出ノズル31の何れかに一方に択一的に連通させるものである。図3(a)に示す状態では、シリンダ33と注出ノズル31とが連通しており、シリンダ33と循環路36との連通は遮断されている。
次に、上記製造装置を用いた気泡入り石鹸の製造方法について説明すると、先ず金型ユニット4のシリンダ44を動作させてピストン43を押し出して、割型1Aと割型1Bとを型閉する。両割型には、前述した冷却水の循環路に水を循環させておく。また、シリンダ47を動作させてピストン46を引き込み、これによって該ピストン46に接続されているゲートピンPの一部をゲート(ランナー)12A(図1参照)から引き出しておく。一方、注入装置3においては、ピストン34を押し込んだ状態にしておき、この状態下に切り替えバルブ32を操作して、シリンダ33と循環路36とを連通させる。そしてピストン34を引き出してシリンダ33内に所定量の溶融石鹸を送り込む。溶融石鹸は、図示しない貯蔵タンクに貯えられており、該貯蔵タンク内を経由する循環路36内を循環している。そして、切り替えバルブ32による流路切り替えによって、循環している溶融石鹸がシリンダ33内に送り込まれる。溶融石鹸を循環させておくことで、溶融石鹸中の気泡と液体分との分離が効果的に防止される。無数の気泡を分散含有する溶融石鹸の調製方法としては、例えば特開平11−43699号公報の第2欄15行〜第5欄1行に記載されている方法を用いることができる。溶融石鹸の発泡には各種気体を用いることができる。特に不活性気体、とりわけ窒素ガス等の非酸化性の不活性ガスを用いることで、溶融石鹸の加熱に起因してその配合成分が劣化ないし酸化分解することで発生する異臭等を、効果的に防止することができる。
次いで切り替えバルブ32を操作して、図3(a)に示すように、シリンダ33と循環路36との連通を遮断し且つシリンダ33と注出ノズル31とを連通させる。ゲートピン35は引き出された状態にする。引き続き、ピストン34を押し込んで、シリンダ33内の溶融石鹸5を押し出す。これによって溶融石鹸5は注出ノズル31及びゲート12Aを通じてキャビティ1C内に加圧注入される。溶融石鹸5の加圧注入速度は、得られる石鹸の表面性をより高める上では、溶融石鹸5の液面レベルが凸部110の周辺部を上昇する間に最も早くすることが好ましい。
キャビティ1C内に溶融石鹸が満たされるにつれて、キャビティ1C内の空気は前記エアベント13Aからのみならず前記脱気孔111から外部に排出され、溶融石鹸に置換されていく。溶融石鹸5の液面が凸部110で囲まれた部分に達した際、同部分の空気の多くは前記脱気孔111から排出され溶融石鹸と完全に置換されるためその細部に亘って溶融石鹸5が満たされる。この結果、得られる石鹸表面に凸部110によって構成されるロゴが精度良く転写される。
所定体積の溶融石鹸の注入が完了したら、図3(b)に示すようにゲートピン35を押し込んで注出ノズル31とキャビティ1Cとの連通を遮断する。更に、シリンダ47を動作させてピストン46を押し出し、該ピストン46に接続されているゲートピンP(図1参照)をゲート12A内に押し込む。これによって、ゲート12A内に残存している溶融石鹸をキャビティ1C内に注入する。
次に金型ユニット4を後退(図中、右側に移動)させ、図3(c)に示すように注入装置3を割型1Bから取り外し、キャビティ1C内の溶融石鹸を冷却固化させる。前述の通り各割型1A,1Bは冷却水の循環によって所定温度に冷却されており、これによってキャビティ1C内の溶融石鹸の冷却固化が促進される。溶融石鹸をキャビティ1Cの容積より多くキャビティ1C内に注入することで、その冷却固化に際しての収縮やひけの発生が防止されるだけでなく、凹凸部110のロゴがより鮮明に転写されるので好ましい。
溶融石鹸が固化したら、図3(d)に示すように、シリンダ44を動作させてピストン43を引き込む。これによって両割型1A,1Bを型開し、次いでキャビティ内の気泡入り石鹸6を所定の把持手段(図示せず)によって取り出す。この場合、石鹸6は常に割型1A側に保持される。従って、把持手段による石鹸6の取り出しは常に割型1A側に対して行えばよいので、取り出しが容易となり生産性が向上する。しかも型開に際して石鹸の落下も起こらないので、落下した石鹸から生じた破片等によって製造装置が汚染されることもない。また各割型1A,1Bのキャビティ形成面11A,11Bは非対称の異形状となっているが、これらの凹部にはアンダーカット部が存在しないので、型開時にいわゆる無理抜きを行う必要はない。
その後、割型1Aから石鹸6を取り外すが、本実施形態の成形型1は、凸部110に囲まれた部分に通気孔111が設けられているため、前記凸部110で囲まれた部分が真空になりにくく、脱型時に発生する応力を小さく抑えることができる。その結果、当該部分において固化した石鹸に破損が生じることを防ぐことができる。
溶融石鹸の冷却固化後に成形型を型開する時期に特に制限はないが、石鹸の内部までが固化してから型開するよりも、もっと早い段階、例えば石鹸の表層部は固化しているが内部は未固化の状態で型開する方が、石鹸は確実に割型1A側に保持される。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては2個の割型で一組をなす成形型を用いたが、割型の数はこれに限られず石鹸の形状によっては3個以上の割型から成形型を構成してもよい。その場合には、複数の割型のうち、一の割型における凹部の表面積を、残りの各割型における凹部の表面積よりもそれぞれ大きくすることが好ましい。
また前記実施形態においては割型1Bの凹部底面に高表面粗さの領域を形成したが、該領域は本発明に必須のものではなく、各割型1A,1Bのキャビティ形成面11A,11Bは同程度の低表面粗さにしておいてもよい。
また前記実施形態においては割型1Bのキャビティ形成面11Bにおける高表面粗さの領域は、パーティング面PLとほぼ平行な面である凹状のキャビティ形成面に形成されていたが、高表面粗さの領域の形成箇所はこれに限られずキャビティ形成面における他の領域、例えばパーティング面PLとほぼ直角な面であってもよい。更にキャビティ形成面の型の底面側の部分に形成する場合は、該部分の全域に高表面粗さの領域を形成することに代えて、該部分に不連続に高表面粗さの領域を複数箇所形成してもよい。
また、各割型1A,1Bのキャビティ形成面11A,11Bには、通気孔111の効果に影響を与えない範囲において、必要に応じ、凸部110の周辺部(囲まれた部分の外側)に通気孔を設けることできるし、石鹸の確実な保持(割型側)及び石鹸の確実な離型(割型側)を目的として、空気の吸引用及び吹き出し用のスリットや小孔を形成してもよい。
また前記実施形態においては、圧縮成形の一例である気泡入り石鹸の製造に本発明の成形型及び装置を用いたが、本発明の成形型及び装置は気泡を含まない通常の石鹸の製造に用いることもできる。尤も、本発明の成形型は、石鹸の強度が比較的低い気泡入り石鹸や水分高含有石鹸の製造に特に適している。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
下記形態の通気孔を有する成形型(図1及び図2参照)を備えた製造装置(図3参照)を用いて気泡入り石鹸を製造した。なお、下記項目についてはそれぞれ下記のようにして測定した。
<各測定方法>
溶融石鹸の粘度:本出願人の既出願特開2002−167599号記述の測定法に従った。
表面粗さ:JIS B0601に従った。測定装置には(株)東京精密製の表面粗さ測定機SURFCOM590Aを用いた。
空気抜け孔:工具顕微鏡
ロゴ部の幅:工具顕微鏡
ロゴ部の高さ:ノギス
〔成形型の形態〕
一の割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面積と他の割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの表面積との比は53:47であった。各割型のキャビティ形成面を鏡面加工して表面粗さRaが0.463μmの低表面粗さの領域を形成した。但し割型1Bにおいては、キャビティ形成面の底面をサンドブラスターによる粗面化処理して表面粗さRaが18.93μmの高表面粗さの領域を形成した。割型1Bの凹部における高表面粗さの領域は、該凹部の全面積の48%を占めていた。
〔通気孔の形態〕
通気孔の1つの開口面積:0.2mm2
凸部に囲まれた部分における通気孔の個数:1
凸部に囲まれた部分における通気孔の合計開口面積率:5%
〔凸部の形態〕
凸部の高さ:1mm
凸部の幅:1〜3mm
花王株式会社製、商品名「ピュアホイップソープ」と同じ配合成分を用い、前述した特開平11−43699号公報に記載の方法に従い無数の気泡が分散含有された溶融石鹸を調製した。発泡には窒素ガスを用いた。
調製された溶融石鹸を用い、図3(a)〜(d)に示す工程に従い気泡入り石鹸を製造した。溶融石鹸の温度は64℃とした。そのときの溶融石鹸の粘度は125mPa・sであった。各割型は5℃の冷却水で冷却しておいた。注入時間は2.9秒、溶融石鹸の冷却時間は1分(石鹸表面から5mmが固化し中心部がまだ流動する状態)とした。
〔比較例1〕
通気孔を設けなかった石鹸の成形型を用いた以外は、実施例と同様にして石鹸を作製した。
実施例1により得られた石鹸の表面には、図2に示す”Kao”のロゴ全体が精度良く転写されていた。これに対し、比較例により得られた石鹸の表面は、ロゴの一文字である“o”の囲まれた部分に特に欠けが生じ、ロゴ転写性の悪い成形品であった。
本発明の石鹸の成形型を示す斜視図である。 図1に示す成形型を構成する割型を模式的に示す平面図である。 本発明の石鹸の製造装置の一実施形態及びそれを用いた石鹸の製造工程を模式的に示す図であり、(a)及び(b)は溶融石鹸の注入工程を示す図、(c)は石鹸の冷却工程を示す図、(d)は石鹸の脱型工程を示す図である。 キャビティ形成面における凸部に囲まれた部分に設ける通気孔の配置の例を示す図である。
符号の説明
1 石鹸の成形型
1A 割型
1B 割型
11A,11B キャビティ形成面
110 凸部
111 通気孔
2 石鹸の製造装置
3 注入装置
4 金型ユニット
5 溶融石鹸
6 石鹸

Claims (5)

  1. 一組の割型が組み付けられて内部にキャビティが形成される石鹸の成形型であって、
    前記割型における前記キャビティの形成面に石鹸の表面に付されるしるしや装飾に対応した凸部が設けられているとともに、該凸部により囲まれた部分に通気孔が設けられている石鹸の成形型。
  2. 一の割型における前記キャビティの形成面の表面積を、他の各割型における前記キャビティの形成面の表面積よりもそれぞれ大きくし、一の割型における前記形成面の表面積と、他の各割型における前記形成面の表面積との比がそれぞれ52:48〜66:34である請求項1記載の石鹸の成形型。
  3. 一組が二個の割型で構成される請求項2記載の石鹸の成形型。
  4. 他の各割型における前記キャビティの形成面の表面粗さRaを、一の割型における前記キャビティの形成面の表面粗さRaよりも大きくし、それらの表面粗さRaの差を0.1〜30μmとした請求項1記載の石鹸の成形型。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の石鹸の成形型と、前記成形型内に溶融石鹸を注入する注入装置と、前記成形型を開閉させる金型ユニットとを備えている石鹸の製造装置。

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