JP4036632B2 - 気泡入り石鹸の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無数の気泡を含有する溶融石鹸から気泡入り石鹸を製造する方法に関し、更に詳しくは生産性を向上させつつ、割れや膨れがなく且つ冷却に起因する収縮やひけの発生が防止された気泡入り石鹸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
石鹸において泡立ちは重要な特性である。泡を多量に含んだまま固形状になった石鹸である気泡入り石鹸は、この点が優れていると考えられる。特開平4−218599号公報に記載されているように、一般に気泡入り石鹸は、エアレーションによって溶融石鹸に気泡を含ませて製造される。しかし、使用時の泡立ちがよく感触のよい気泡入り石鹸は水によってふやけ易く、広く普及するには至らなかった。
【0003】
特開平10−168494号公報及び特開平10−195494号公報には、エアレーションによって溶融石鹸に気泡を含ませた後に冷却することで、感触がよいだけでなく、ひび割れしにくく、しかもふやけにくい気泡入り石鹸の製造方法が記載されている。しかし、溶融石鹸内に含まれている気泡中のガスの冷却収縮による石鹸体積の減少及びそれに起因する収縮やひけの発生を防止するには未だ改良の余地があるものであった。また、気泡入り石鹸は、その製造工程において冷却固化に時間を要することから、生産性にも改良の余地があるものであった。
【0004】
従って、本発明は、気泡を含有する溶融石鹸を固化させるに際して、生産性を向上させつつ、製品石鹸の割れや膨れがなく且つ冷却に起因する収縮やひけの発生が防止された気泡入り石鹸の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、無数の気泡を分散含有する溶融石鹸を、所定形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内で固化させる気泡入り石鹸の製造方法において、固化過程にある前記溶融石鹸における前記気泡を構成するガスのガス圧縮率をxとし、前記気泡入り石鹸の設定厚みLに対する、固化過程にある前記溶融石鹸における固化層の厚みtの比(t/L)をyとしたとき、x及びyが以下の式(1)及び(2)を満たす条件下に前記気泡入り石鹸を前記キャビティから取り出す気泡入り石鹸の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである(以下、第1発明というときはこの発明をいう)。
y≧0.4196logex+0.1122 (1)
y≦0.5404logex+0.1940 (2)
但し、L及びtは何れも前記気泡入り石鹸における固化時に最も変形する場所において測定された値である。
【0006】
また本発明は、無数の気泡を分散含有する溶融石鹸を、所定形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内に注入し固化させる気泡入り石鹸の製造方法において、固化過程にある前記溶融石鹸における前記気泡を構成するガスのガス圧縮率をxとし、前記気泡入り石鹸の設定厚みLに対する、固化過程にある前記溶融石鹸における固化層の厚みtの比(t/L)をyとしたとき、x及びyが以下の式(3)及び(4)を満たす条件下に前記気泡入り石鹸を前記キャビティから取り出し、次いで取り出された該気泡入り石鹸に単位平米当り0.01〜0.07MNの力を加えた条件下に更に固化させる気泡入り石鹸の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである(以下、第2発明というときはこの発明をいう)。
y<0.4196logex+0.1122 (3)
y≧1.0404logex−0.3271 (4)
但し、L及びtは何れも前記気泡入り石鹸における固化時に最も変形する場所において測定された値であり、xの範囲は1.15〜1.9、yの範囲は0.1以上である。
【0007】
【発明の実施の形態】
先ず第1発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態は、やや扁平した直方体形状の石鹸を製造する例である。図1(a)〜(c)には、第1発明の製造方法の第1の実施形態の工程図が順次示されている。
【0008】
図1(a)に示すように、本実施形態の製造方法に用いられる装置は、成形型としての下型1、上型2及び注入部3を備えている。下型1は金属等の剛体からなり、上部に向けて開口したキャビティ11を有している。キャビティ11は、製品である気泡入り石鹸の底部及び各側部の形状に合致した凹状形状となっている。キャビティ11の底部には、キャビティ11と下型1の外部とを互いに連通させる連通孔12が複数個穿設されている。下型1の側面には、下型1と上型2とを固定させるためのロック機構13が取り付けられている。
【0009】
一方、上型2も金属等の剛体からなっている。上型2は、蓋体21、蓋体21の下面に取り付けられ且つその下面が気泡入り石鹸の上部の形状に合致している圧縮部22、蓋体21の上面に取り付けられた加圧部23、及び加圧部23に遊嵌され且つ下型1のロック機構13に係合する係合部24を備えている。
【0010】
注入部3は、注出ノズル31、切り替えバルブ32、シリンダ33、及びシリンダ33内に配されたピストン34を備えている。ピストン32はシリンダ33内を摺動自在になっており、ピストン34の押し込み距離によって、溶融石鹸の注出体積が決定される。溶融石鹸は、図示しない貯蔵タンクに貯えられており、該貯蔵タンク内を経由する循環路(同じく図示せず)内を循環している。そして、切り替えバルブによる流路切り替えによって、循環している溶融石鹸がシリンダ33内に送り込まれる。溶融石鹸を循環させておくことで、溶融石鹸中の気泡と液体分との分離が効果的に防止される。
【0011】
以上の構成を有する装置を用いた気泡入り石鹸の製造方法について説明すると、先ず、前述のようにして無数の気泡を分散含有する溶融石鹸を注入部3におけるシリンダ33内に送り込む。次いでピストン34を所定距離押し込んで、溶融石鹸を押し出す。これによって溶融石鹸4は注出ノズル31を通じて下型1のキャビティ11内に注入される。無数の気泡を分散含有する溶融石鹸の調製方法としては、例えば本出願人の先に出願に係る特開平11−43699号公報の第2欄15行〜第5欄1行に記載されている方法を用いることができる。
【0012】
溶融石鹸の発泡には各種気体を用いることができるが、特に不活性気体、とりわけ窒素ガス等の非酸化性の不活性ガスを用いることで、溶融石鹸の加熱に起因して、その配合成分が劣化ないし酸化分解することで発生する異臭等を効果的に防止することができる。以下、この方法で調製した無数の気泡を分散含有する溶融石鹸を「発泡後の溶融石鹸」と呼ぶ。
【0013】
発泡後の溶融石鹸のキャビティ11内への注入に際しては、発泡後の溶融石鹸を温度55〜80℃、特に60〜75℃の条件下に注入することが、充填ノズル先端での溶融石鹸の固化防止、及び石鹸の酸化や香料の劣化の防止の点から好ましい。
【0014】
これに関連し、発泡後の溶融石鹸のキャビティ11内への注入に際しては、発泡後の溶融石鹸をその融点よりも1〜20℃、特に2〜5℃高い温度に加熱した条件下に注入することが、同様の理由、並びに冷却設備を簡易なものにできる点及び冷却時間を短縮できる点から好ましい。
【0015】
更に発泡後の溶融石鹸のキャビティ11内への注入に際しては、発泡後の溶融石鹸の密度を0.55〜0.85g/cm3、特に0.6〜0.75g/cm3として注入することが、冷却中にキャビティ11内で気泡が不均一に分散することを防止する点から好ましい。
【0016】
発泡後の溶融石鹸4の注入が完了したら、下型1の上面を上型2で閉塞させ、下型1に取り付けられているロック機構13によって上型2に取り付けられている係合部24を係合させる。これにより両型を固定する。次いで、図1(b)に示すように、上型2に取り付けられている加圧部を、加圧シリンダ等の所定の加圧手段(図示せず)によって押圧し、キャビティ11内に注入された発泡後の溶融石鹸4を圧縮する。そして、その圧縮状態下に発泡後の溶融石鹸を固化させる。発泡後の溶融石鹸の圧縮の圧力(ゲージ圧)は、溶融石鹸の注入体積にもよるが、一般に0.01〜0.15MPa、特に0.01〜0.10MPa、とりわけ0.02〜0.08MPa程度であることが好ましい。
【0017】
発泡後の溶融石鹸4の固化に際しては、下型1を所定の冷却手段、例えば水等の冷媒によって冷却させて、発泡後の溶融石鹸4の固化時間を短縮化させてもよい。或いは自然冷却でもよい。水によって冷却する場合、下型1の温度を5〜25℃程度に保つことが、冷却時に気泡が不均一に分散することを防止する点から好ましい。
【0018】
キャビティ11内において、発泡後の溶融石鹸4は冷却によって外側から内側に向かって徐々に固化していく。つまり、発泡後の溶融石鹸4の固化過程においては、図2に示すように、外側から内側に向かって固化層6が徐々に形成される。また冷却に伴い、発泡後の溶融石鹸4中の気泡を構成しているガスの体積と圧力が減少する。その結果、該ガスの圧縮率が徐々に低下する。十分な厚みの固化層6が形成されない前に、石鹸をキャビティ11内から取り出してしまうと、石鹸の保形性が十分でないことから、ガスの体積減少に起因する製品石鹸の割れ、膨れ、収縮、ひけが取り出し後の石鹸に発生し易くなる。従って、固化層6が十分に厚くなった時点で石鹸を取り出すことが望ましいが、その場合には冷却に長い時間を要し生産性が著しく低下する。
【0019】
適正な取り出し条件を決定するには、石鹸及び添加成分の物性(融点、熱容量、硬度、溶融時の粘度等)、気泡のサイズ・混入量(体積分率)、冷却条件(冷媒の温度、成形型の熱容量等)等の因子を個別に調べるのみならず、それらの因子の複合効果をも検討する必要があると考えられる。このような状況において、本発明者らは圧縮状態下の固化過程にある発泡後の溶融石鹸4におけるガス圧縮率と固化層6の厚みとの関係に着目した。そして、固化過程にある発泡後の溶融石鹸4に含まれるガスのガス圧縮率をxと、気泡入り石鹸の設定厚みLに対する、固化過程にある発泡後の溶融石鹸4における固化層の厚みtとの比y=t/Lとの関係を調べたところ、意外にもx及びyが以下に述べる特定の条件を満たすときに石鹸をキャビティ11内から取り出すと、石鹸に割れ、膨れ、収縮及びひけが発生することが防止され、石鹸の生産性が高められることを知見した。また、取り出された石鹸に割れ、膨れ、収縮又はひけが発生した場合にも、上記x値とy値との関係に着目すると、これらの現象が定性的に理解できることも知見した。
【0020】
前述した特定の条件とは、以下の式(1)及び(2)で表される条件である。
y≧0.4196logex+0.1122 (1)
y≦0.5404logex+0.1940 (2)
但し、L及びtは何れも、気泡入り石鹸における固化時に最も変形する場所において測定された値である。固化時に最も変形する場所は製品石鹸の形状にもよるが、通常は最大の断面積を有する断面近傍となる場合が多いので、測定する場合には該断面を切断して測定する。本実施形態においては、図2に示すように、やや扁平した直方体形状の石鹸を製造するので、固化時に最も変形する場合は、石鹸の上下面となる。従って、設定厚みLは石鹸の上下面間の距離となり、固化層厚みtは石鹸の上下面方向での厚みとなる。尚、図2に示すように、固化層は石鹸の上下面それぞれに形成されるので、tの値は、上下面に形成された固化層の厚み(t1,t2)の総和となる。
【0021】
図3には、式(1)及び(2)を示す曲線が描かれている(この曲線は、各式の左辺と右辺とを等号で結んだときの曲線である)。本発明においては、x及びyが2つの曲線の間の領域Aに存在する条件下に、固化した発泡後の溶融石鹸をキャビティ4から取り出す。式(1)で示す曲線よりも下の領域の範囲の条件で石鹸を取り出すと、石鹸の固化が十分でなく保形性が十分に高くなっていないことに起因して、取り出し後の石鹸が膨張変形してしまう。極端な場合には石鹸が破裂する虞もある。一方、式(2)で示す曲線よりも上の領域の範囲で石鹸を取り出すと、気泡の冷却収縮に起因して石鹸に収縮やひけが発生してしまう。
【0022】
固化した石鹸のキャビティからの具体的な取り出し方としては、先ず、取り出し時のガス圧縮比xを予め設定しておく。この値は1.15〜1.90、特に1.20〜1.70であることが、短時間の冷却でキャビティから石鹸を取り出し生産性を向上させる点から好ましい。石鹸が徐々に固化し厚み比yが徐々に大きくなり、該厚み比yが、設定されたガス圧縮比xに対して前記領域Aの範囲内となった時点で、下型1に取り付けられているロック機構13と、上型2に取り付けられている係合部24との係合を解除し、次いで図1(c)に示すように上型2を取り外す。更に、所定の把持手段、例えば真空チャックを用いて、下型1のキャビティ11内から気泡入り石鹸5を取り出す。取り出しに際しては、キャビティ11の底部に穿設された連通孔12を通じてキャビティ11内に空気等の気体を吹き込んで、気泡入り石鹸5の離型を促進させるようにしてもよい。
【0023】
ガス圧縮比xは、石鹸成分とガスとから構成される発泡後の溶融石鹸において、石鹸成分は圧縮せず、ガスのみが圧縮されると仮定したときの値であり、次のようにして測定される。初めに、発泡前の溶融石鹸の密度Db[g/cm3]、発泡後の溶融石鹸の密度Da[g/cm3]、及び製品石鹸の重量Wp[g]を測定する。これらの測定値、及び製品石鹸の体積Vp[cm3]として設定体積の値を用いて次の式(5)〜(8)によりガス圧縮率xを求める。ここで、Viは発泡後の溶融石鹸の成形型への注入量[cm3]、Vbは圧縮前のガス体積[cm3]、Vcは圧縮後のガス体積[cm3]を表す。
Vi=Wp/Da (5)
Vb=Vi−Wp/Db (6)
Vc=Vp−Wp/Db (7)
x=V/Vc (8)
製品石鹸の密度Dp[g/cm3]は、製品石鹸から三辺の長さが既知の(例えば20〜50mm長とする)直方体を切りだし、その重量を測定した後、その値を前記三辺の長さから求めた体積で除して求めた。また、発泡前の溶融石鹸の密度Db[g/cm3]、発泡後の溶融石鹸の密度Da[g/cm3]は、容積が既知の計量カップに発泡前後の溶融石鹸を満たして、溶融石鹸の重量を測定し、溶融石鹸の重量を計量カップの容積で除して求めた。重量は電子天秤により測定した。
【0024】
固化過程にある石鹸における固化層6の厚みtは次のようにして測定される。▲1▼キャビティから石鹸を取り出した直後、石鹸を長手方向に沿って切断し、溶融状態の発泡後の溶融石鹸を傾斜法にて流し出す。発泡後の溶融石鹸を流し出し操作中に冷却が進み固化層の厚みが増加することがないように迅速に行う。ここで、「石鹸の長手方向に沿って切断」とは、石鹸を水平な台に置いた際の、最も長い方向で且つ該水平な台に略直角な面で切断することをいう。本実施形態ではナイフで石鹸を切断した。
▲2▼切断面中心部の固化した石鹸の厚みtをノギスにより測定する。
【0025】
また、厚み比yを求めるときに用いられる、石鹸の厚みLは、成形型のキャビティにおける設定厚みとする。
【0026】
前述した方法によれば、石鹸が完全に固化する前にキャビティ11内から取り出されるので、石鹸の製造サイクルが早くなり生産性が向上する。また得られた気泡入り石鹸には、保形性が十分でないことに起因する割れ、膨れ、収縮、ひけが観察されず、良好な外観を呈するものとなる。
【0027】
気泡入り石鹸を構成する配合成分としては、脂肪酸石鹸、非イオン系界面活性剤、無機塩、ポリオール類、非石鹸系のアニオン界面活性剤、遊離脂肪酸、香料、水等が挙げられる。更に、抗菌剤、顔料、染料、油剤、植物エキス等の添加物を必要に応じて適宜配合してもよい。
【0028】
次に第1発明の第2の実施形態を図4及び図5を参照しながら説明する。第2の実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図4及び図5において、図1と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0029】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、発泡後の溶融石鹸の注入方法及び成形型の形状である。具体的には、本実施形態においては、射出成形によって気泡入り石鹸を製造する。図4には本実施形態において用いられる成形型の斜視図が示されている。本実施形態も、やや扁平した直方体形状の石鹸を製造する例である。
【0030】
図4に示す成形型は、第1の割型1A及び第2の割型1Bからなる2つの割型で一組をなしている。各割型は金属等の剛体からなる矩形ブロック状の形態をしており、それぞれの中央部に凹部11A及び11Bが形成されている。各凹部11A,11Bは、第1の割型1Aと第2の割型1Bとをそれらの突き合わせ面PLで突き合わせたとき、製造すべき石鹸の形状に合致した形状のキャビティ(図示せず)が形成されるように、各割型に形成されている。
【0031】
第2の割型1Bには、該第2の割型1Bをその厚さ方向に貫通するノズル挿入孔2Bが、凹部11Bの外縁部に穿設されている。ノズル挿入孔2Bは、その径が、第2の割型1Bの背面側に向かうに連れ漸次拡開している。一方、第1の割型1Aには、その突き合わせ面PLの一部が凹設されて形成された半円柱形状のゲート2Aが形成されている。ゲート2Aは第1の割型1Aの端面Eと凹部11Aとを連通させている。ゲート2Aには、該ゲート2Aと相補形状をなすピストンPが嵌挿されている。ピストンPは金属又はプラスチック等の材質からなり、ゲート2A内を摺動可能になされている。ノズル挿入孔2Bとゲート2Aとは、第1の割型1Aと第2の割型1Bとをそれらの突き合わせ面PLで突き合わせたときに、ノズル挿入孔2Bからゲート2Aを経てキャビティへと達する連通路が形成されるような位置にそれぞれ形成されている。図示していないが、第2の割型1Bの突き合わせ面PLにはエアベントが設けられている。また、図示していないが、両割型1A,1Bを構成するブロックには冷却水の循環路が設けられている。
【0032】
第1の割型1Aの両側面にはバックル機構のループ部Lが取り付けられている。これに対応して、第2の割型1Bの両側面にはバックル機構のフック部Fが取り付けられている。ループ部Lとフック部Fとは、第1の割型1Aと第2の割型1Bとをそれらの突き合わせ面PLで突き合わせたときに、両者が係合して両割型を締め付ける位置に取り付けられている。
【0033】
図4に示す成形型は図5に示す製造装置に取り付けられて使用される。この製造装置は金型ユニット4Aと、溶融石鹸の注入装置3Aとを備えている。成形型は、図5(a)に示すように、金型ユニット4Aのベースプレート40上に取り付けられる。ベースプレート40上には第1の割型1Aの支持板41及び第2の割型1Bの支持板42がそれぞれ立設されている。支持板41の内面には、ピストン43を備えたシリンダ44が取り付けられている。シリンダ44は、ピストン43が支持板41と直交する方向に摺動するように取り付けられている。ピストン43の先端は第1の割型1Aの背面に固定されている。従って、第1の割型1Aは水平方向に移動可能な移動型となっている。また第1の割型1Aは、そのゲート2A側を下方に向けた状態で固定されている。第1の割型1Aの背面部における下方部には、L字形をしたシリンダ保持板45が取り付けられている。シリンダ保持板45における水平部には、ピストン46を備えたシリンダ47が取り付けられている。シリンダ47は、ピストン46が上下方向に摺動するように取り付けられている。ピストン46の先端は、第1の割型1Aに備えられたピストンPに接続されている。
【0034】
第2の割型1Bは、その凹部11Bが第1の割型1Aの凹部11Aと対向するように且つノズル挿入孔2Bを下方に向けた状態で、支持板42に取り付けられている。図5(a)から明らかなように、第2の割型1Bは固定型となっている。第2の割型1Bの背面側には、溶融石鹸の注入装置3Aが取り付けられている。注入装置3Aは、注出ノズル31、切り替えバルブ32、シリンダ33、及びシリンダ33内に配されたピストン34を備えている。注出ノズル31は、第2の割型1Bに穿設されたノズル挿入孔2Bの形状と合致した形状をしており、該ノズル挿入孔2B内に挿入されている。注出ノズル31の内部にはゲートピン35が摺動自在に挿入されており、ゲートピン35の押し込み及び引き出しによって、注出ノズル31からキャビティへの溶融樹脂の注入を制御している。切り替えバルブ32は、シリンダ33を、図示しない貯蔵タンク内を経由する循環路36及び注出ノズル31の何れかに一方に択一的に連通させるものである。図5(a)に示す状態では、シリンダ33と注出ノズル31とが連通しており、シリンダ33と循環路36との連通は遮断されている。
【0035】
図5に示す製造装置を用いた気泡入り石鹸の製造方法について説明すると、先ず金型ユニット4Aのシリンダ44を動作させてピストン43を押し出して、第1の割型1Aと第2の割型1Bとを型閉し、バックル機構(図4参照)を係合させて両割型を締め付けておく。両割型には、前述した冷却水の循環路に水を循環させておく。また、シリンダ47を動作させてピストン46を引き込み、これによって該ピストン46に接続されているピストンPの一部を第1の割型1Aから引き出しておく。一方、注入装置3Aにおいては、ピストン34を押し込んだ状態にしておき、この状態下に切り替えバルブ32を操作して、シリンダ33と循環路36とを連通させる。そしてピストン34を引き出してシリンダ33内に所定量の発泡した溶融石鹸を送り込む。次いで切り替えバルブ32を操作して、図5(a)に示すように、シリンダ33と循環路36との連通を遮断し且つシリンダ33と注出ノズル31とを連通させる。ゲートピン35は引き出された状態にしておく。引き続き、ピストン34を押し込んで、シリンダ33内の発泡した溶融石鹸4を押し出す。これによって発泡した溶融石鹸4は注出ノズル31及びゲート2A(図4参照)を通じてキャビティ11C内に加圧注入される。この加圧注入によって、キャビティ11C内の発泡した溶融石鹸は圧縮される。第1の実施形態と異なり、本実施形態においては発泡した溶融石鹸の供給工程と別に圧縮工程が必要なく、供給工程において発泡した溶融石鹸の圧縮が行われる。従って、本実施形態の製造方法は、第1の実施形態の製造方法よりも製造効率を高めることができる。また、本実施形態に用いられる製造装置は、第1の実施形態で用いられる製造装置に比べて機械動作距離が小さいので、製造装置を小型化できるという利点もある。
【0036】
所定体積の溶融石鹸の加圧注入が完了したら、図5(b)に示すようにゲートピン35を押し込んで注出ノズル31とキャビティ11Cとの連通を遮断する。更に、シリンダ47を動作させてピストン46を押し出し、該ピストン46に接続されているピストンPをゲート2A(図4参照)内に押し込む。これによって、ゲート2A内に残存している溶融石鹸をキャビティ11C内に注入する。
【0037】
次に金型ユニット4Aを後退(図中、右側に移動)させ、図5(c)に示すように注入装置3Aを第2の割型1Bから取り外し、キャビティ11C内の溶融石鹸を圧縮状態下に冷却固化させる。前述の通り各割型1A,1Bは冷却水の循環によって所定温度に冷却されており、これによってキャビティ11C内の溶融石鹸の冷却固化が促進される。
【0038】
発泡後の溶融石鹸の固化が進行し、前述したx及びyの値が図3に示す領域Aの範囲となった時点で、両割型1A,1Bを固定しているバックル機構の係合を解除し、更に図5(d)に示すように、シリンダ44を動作させてピストン43を引き込める。これによって両割型1A,1Bを型開し、次いでキャビティ内の気泡入り石鹸5を所定の把持手段(図示せず)によって取り出す。
【0039】
次に第2発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。第2発明については、第1発明と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1発明に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0040】
第2発明においては、固化した発泡後の溶融石鹸をキャビティ内から取り出すときのx及びyの条件が第1発明と相違する。また取り出し後の後工程も第1発明と相違する。具体的には、第2発明においては、x及びyが以下の式(3)及び(4)を満たす条件下に固化した石鹸をキャビティから取り出し、次いで取り出された該石鹸に所定の力を加えた条件下に更に冷却固化させる。但し、ガス圧縮率xの範囲は1.15〜1.9、好ましくは1.2〜1.7であり、固化層厚み比yの範囲は0.1以上である。
y<0.4196logex+0.1122 (3)
y≧1.0404logex−0.3271 (4)
【0041】
式(3)及び(4)を示す曲線が、前述した図3に描かれている(この曲線は、各式の左辺と右辺とを等号で結んだときの曲線である)。図3中、Bで表される領域において、固化した発泡後の溶融石鹸をキャビティ内から取り出す。図3から明らかなように、式(3)は、第1発明における式(1)で表される領域の下側の領域である。第1発明に関して前述した通り、式(1)で表される領域の下側の範囲の条件で石鹸を取り出すと、取り出し後の石鹸が膨張変形してしまうという不都合がある。そこで第2発明においては、取り出し後の石鹸に所定の力を加えた条件下に石鹸を更に冷却固化させることで、斯かる膨張変形を防止している。但し、式(4)で表される領域の下側の範囲の条件で石鹸を取り出し、その後所定の力を加えた条件下に石鹸を更に冷却固化させても、石鹸の膨張変形を防止することはできない。また、ガス圧縮率xの値を1.15〜1.9とした理由は、xが上限値を超える場合は、生産性の有用性が減少するによる。即ち、図3によると、第2発明においては、x値が増加するとy値も増加する傾向を示し、この傾向に従いx値が上限値を超えると、成形型内で冷却・固化させる時間を過剰に多くとる必要が生じる。この理由によりxの値を1.15〜1.9とした。また、固化層の厚み比yの値を0.1以上とした理由は、y値が下限未満であると、固化層が薄くなってしまい、石鹸の外側が軟弱になり取り出した石鹸の形状を損なわず扱うのが困難となるためである。
【0042】
キャビティから取り出された石鹸に所定の力を加える方法としては、例えば、次の▲1▼〜▲4▼の方法がある。
▲1▼取り出された石鹸を、発泡後の溶融石鹸を注入した成形型と同様な形状を有する金属製又は硬質弾性体製の形状補正用簡易型(成形型と違って冷媒による冷却を行わず空冷とする)に入れ、加圧しながら搬送する方法。
▲2▼取り出された石鹸を、製品と同じ曲面を有する金属製又は硬質弾性体製のプレス板の間に挟んでプレス機により加圧処理する方法。
▲3▼取り出された石鹸を、搬送用の弾性ベルトの間に挟んで加圧する方法。
▲4▼取り出された石鹸を、搬送用の弾性ベルトの間に▲2▼のプレス板を介して挟んで加圧する方法。
これらの▲1▼〜▲4▼は適宜組み合わせた形態で使用できるが、何れの方法においても、取り出された石鹸の内部が溶融状態で変形可能なうちに、所定の力を加えることがが必要である。第2発明の目的が、成形型内での冷却工程の時間を短縮するである点を考慮すると、▲1▼〜▲4▼の方法のうち、▲3▼又は▲4▼のような搬送中に処理する方法が好ましい。
【0043】
取り出された石鹸に加える力は単位平米当り0.01〜0.07MNであり、特に0.02〜0.05MNであることが、内部が溶融状態にある石鹸を壊さない点から好ましい。
【0044】
第2発明に関して前述した以外の点、例えば使用する成形型に関しては第1発明と同様であり、図1及び図4に示す成形型の何れもが用いられる。
【0045】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、図1に示す実施形態においては、下型1及び上型2を用いて気泡入り石鹸を製造したが、気泡入り石鹸の形状によっては、下型1を複数の割型から構成してもよい。図4に示す実施形態についても同様である。
【0046】
また、成形型として、図1及び図4に示す型に代えて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステルなどの合成樹脂;可撓性を有する薄板状金属;可撓性を有するゴム材料などからなる中空体を用いてもよい。或いは、該中空体を図4に示す成形型内に装填して用いてもよい。この場合には、該中空体内に溶融石鹸を供給し圧縮状態下に固化させ、前記条件で固化を終了させれば、該中空体がそのまま、得られた気泡入り石鹸の包装容器となるという利点がある。
【0047】
【実施例】
以下の表1に示す配合成分を用いて、前述した特開平11−43699号公報に記載の方法に従い無数の気泡が分散含有された溶融石鹸を調製した。発泡には窒素ガスを用いた。気泡入り石鹸の設定厚みは、33.0mmであった。
【0048】
【表1】
Figure 0004036632
【0049】
〔実施例1、実施例2、実施例5、比較例1、比較例2、比較例4〕
本実施例及び比較例は、第1発明の実施例及び比較例である。図1(a)〜(c)に示す工程に従い、64℃の発泡後の溶融石鹸を下型2のキャビティ11に注入した。発泡後の溶融石鹸の密度及び注入体積は表2に示す通りであった。発泡前の溶融石鹸の密度Dbは1.05g/cm3であった。次いで、下型1の上面を上型2で閉塞させ、上型2の圧縮部22によって発泡後の溶融石鹸を圧縮した。この圧縮状態下において下型1を、表2に示す温度の冷却水で表2に示す時間冷却し、発泡後の溶融石鹸を固化させた。ガス圧縮比x及び固化層厚み比yが表2に示す値となったところで、上型1及び下型2を開いて石鹸を取り出した。
【0050】
〔実施例3、実施例4、実施例6、比較例3、比較例5、比較例6〕
本実施例及び比較例は、第1発明の実施例及び比較例である。図5(a)〜(d)に示す工程に従い、第1の割型1Aと第2の割型1Bとを型閉した状態下に、ピストン34を押し込んで、シリンダ33内の発泡後の溶融石鹸をキャビティC内に加圧注入した。発泡後の溶融石鹸の温度は61℃であった、発泡後の溶融石鹸の密度及び注入体積は表2に示す通りであった。発泡前の溶融石鹸の密度Dbは1.05g/cm3であった。所定量を注入後、ピストンPをゲート2A内に押し込み、この圧縮状態にて表2に示す温度の冷却水で表2に示す時間冷却し、発泡後の溶融石鹸を固化させた。ガス圧縮比x及び固化層厚み比yが表2に示す値となったところで、両割型1A,1Bを型開し石鹸を取り出した。
【0051】
〔実施例7〜9〕
本実施例は、第2発明の実施例である。発泡後の溶融石鹸を成形型に注入して、成形型から取り出す方法は、前述の実施例3、実施例4、実施例6、比較例3、比較例5、比較例6と同様にした。ガス圧縮比x及び固化層厚み日yが表2に示す値となったところで、上型1及び下型2を開いて石鹸を取り出した後、上型1及び下型2と同じ形状の曲面を持つように研削した15mmのアルミニウム板の間に、表2示す圧力及び時間で石鹸を挟み力を加えた後に取り出した。
【0052】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた気泡入り石鹸について、以下の基準で外観の良否を評価した。これらの結果を表2に示す。また、実施例及び比較例におけるガス圧縮比xと固化層厚み比yとの関係を図3に示す。
【0053】
〔外観の良否の評価〕
目視により外観の良否を以下の基準で評価した。
○・・・キャビティ形状と同等の外観形状が得られた。
□・・・キャビティ形状と比較して変形が見られたが、第2発明により形状修正ができた。
△・・・キャビティ形状と比較して変形が見られ、第2発明によっても修正ができなかった。
×・・・割れが発生した。
【0054】
【表2】
Figure 0004036632
【0055】
表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜6で得られた気泡入り石鹸は、冷却に起因する収縮やひけが観察されず、良好な外観を呈していた。また表には示していないが、各実施例で得られた気泡入り石鹸では、発泡後の溶融石鹸の加熱に起因する異臭等は観察されなかった。これに対して、比較例1〜6で得られた気泡入り石鹸では、冷却に起因する部分的な割れ(欠損)やひけが観察された。更に、実施例7〜9の石鹸は、膨れが発生したが、その後に所定の力を加えることで、キャビティ形状と同等の外観形状が得られた。
【0056】
【発明の効果】
本発明の気泡入り石鹸の製造方法によれば、生産性を向上させつつ、製品石鹸の割れや膨れがなく且つ冷却に起因する収縮やひけの発生が防止された気泡入り石鹸が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の気泡入り石鹸の製造方法の一実施形態の工程を順次示す工程図である。
【図2】固化過程にある溶融石鹸を示す模式図である。
【図3】ガス圧縮率xと厚み比yとの関係を示すグラフである。
【図4】成形型の別の実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す成形型を用いた気泡入り石鹸の製造方法の別の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 下型
2 上型
3 注入部
4 発泡後の溶融石鹸
5 気泡入り石鹸

Claims (5)

  1. 無数の気泡を分散含有する溶融石鹸を、所定形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内で固化させる気泡入り石鹸の製造方法において、固化過程にある前記溶融石鹸における前記気泡を構成するガスのガス圧縮率をxとし、前記気泡入り石鹸の設定厚みLに対する、固化過程にある前記溶融石鹸における固化層の厚みtの比(t/L)をyとしたとき、x及びyが以下の式(1)及び(2)を満たす条件下に前記気泡入り石鹸を前記キャビティから取り出す気泡入り石鹸の製造方法。
    y≧0.4196logex+0.1122 (1)
    y≦0.5404logex+0.1940 (2)
    但し、L及びtは何れも前記気泡入り石鹸における、固化時に最も変形する場所において測定された値である。
  2. 無数の気泡を分散含有する溶融石鹸を、所定形状のキャビティを有する成形型の該キャビティ内に注入し固化させる気泡入り石鹸の製造方法において、固化過程にある前記溶融石鹸における前記気泡を構成するガスのガス圧縮率をxとし、前記気泡入り石鹸の設定厚みLに対する、固化過程にある前記溶融石鹸における固化層の厚みtの比(t/L)をyとしたとき、x及びyが以下の式(3)及び(4)を満たす条件下に前記気泡入り石鹸を前記キャビティから取り出し、次いで取り出された該気泡入り石鹸に単位平米当り0.01〜0.07MNの力を加えた条件下に更に固化させる気泡入り石鹸の製造方法。
    y<0.4196logex+0.1122 (3)
    y≧1.0404logex−0.3271 (4)
    但し、L及びtは何れも前記気泡入り石鹸における、固化時に最も変形する場所において測定された値であり、xの範囲は1.15〜1.9、yの範囲は0.1以上である。
  3. 前記溶融石鹸を密度が0.55〜0.85g/cm3の条件下に前記キャビティ内に注入する請求項1又は2記載の気泡入り石鹸の製造方法。
  4. 前記溶融石鹸を温度が55〜80℃の条件下に前記キャビティ内に注入する請求項1〜3の何れかに記載の気泡入り石鹸の製造方法。
  5. 前記成形型の温度を5〜25℃に保った条件下に前記溶融石鹸を注入し固化させる請求項1〜4の何れかに記載の気泡入り石鹸の製造方法。
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