JP2004303313A - ハードディスクドライブ用粘着ラベル - Google Patents
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Abstract
【課題】各種表示機能を有し、ハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減させることができ、粘着剤層と基材との投錨性が高く、再剥離時の糊残り防止性が優れ、しかも薄層化が可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルを得る。
【解決手段】ハードディスクドライブ用粘着ラベルは、基材と、該基材の片面に形成された情報表示部と、基材の他面に形成された粘着剤層とを有し、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能であり、基材と粘着剤層との間に下塗り剤層を具備していることを特徴とする。基材の下塗り剤層側の面は金属面であってもよい。下塗り剤層を構成する下塗り剤が、モノマー成分全量に対して、100〜20重量%の(メタ)アクリル酸と、0〜80重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤が好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】ハードディスクドライブ用粘着ラベルは、基材と、該基材の片面に形成された情報表示部と、基材の他面に形成された粘着剤層とを有し、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能であり、基材と粘着剤層との間に下塗り剤層を具備していることを特徴とする。基材の下塗り剤層側の面は金属面であってもよい。下塗り剤層を構成する下塗り剤が、モノマー成分全量に対して、100〜20重量%の(メタ)アクリル酸と、0〜80重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤が好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブの筐体外面に貼付して使用され、粘着ラベルとしての各種表示機能を有し、ハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減させることが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルに関し、さらに詳しくは粘着剤層と基材との投錨性を高めつつ、再剥離させる際の粘着成分の残存を防止することができ、しかも薄層化することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクドライブは、パーソナルコンピューターをはじめとする民生用の需要が大きく伸びており、それに伴い、ハードディスクドライブ自体の小型化や駆動時における発生音の低減化(静寂性の確保)が、記憶容量の増大と並び重要な特性とされてきている。
【0003】
そこで、本発明者らは、ハードディスクドライブの筐体外面に貼付することによりハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベル(以下、「HDD用粘着ラベル」と称する場合がある)を提案した(特許文献1参照)。このHDD用粘着ラベルは、通常、使用時(貼付時)まで、粘着剤層が剥離ライナにより被覆(保護)されており、使用時に剥離ライナを剥がすことで、粘着面を露出して、該粘着面を利用してハードディスクドライブ筺体に貼付することにより用いることができる。なお、このHDD用粘着ラベルを用いると、情報表示機能を発揮させつつ、騒音低減化を達成することが可能となる。
【0004】
より具体的には、前記HDD用粘着ラベルは、背面に情報表示部を有する基材と、粘着剤層と、剥離ライナとから構成されている。前記基材としては主に、樹脂フィルム層と金属箔との積層体が用いられており、背面の情報表示部側が樹脂フィルム層となっている。また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤が用いられており、さらにまた、剥離ライナにはシリコーン成分による接点障害等を防ぐためにシリコーン系剥離剤が使用されていない剥離ライナが用いられている。
【0005】
また、HDD用粘着ラベルは、リワーク等により、作業工程で再剥離が行われるため、再剥離した際に、被着体であるハードディスクドライブへの粘着成分の残存を抑制又は防止する糊残り防止性は非常に重要な特性となっている。そのため、現状では、基材の粘着剤層側に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)等の樹脂フィルム層からなる一層を金属箔上に積層して粘着剤層と基材との投錨性を高めるとともに、更に、粘着剤層を構成する粘着剤として、イソシアネート系架橋剤等を用いて架橋したものを用いることにより、再剥離時におけるハードディスクドライブへの粘着成分の残存(いわゆる「糊残り」)を抑制又は防止させている。
【0006】
一方、ハードディスクドライブの小型化にともない、HDD用粘着ラベルも薄層化が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−351369号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
HDD用粘着ラベルの薄層化に際しては、基材を薄層化することが考えられるが、HDD用粘着ラベルは、薄層化だけではなく、騒音低減効果も同様に求められており、基材の金属層(金属箔)を薄層化すると、騒音低減効果が低下するため、基材の金属層(金属箔)の薄層化は回避すべきである。そこで、基材の情報表示部側の樹脂層(樹脂フィルム層)を薄層化もしくは除去(省略)することが考えられるが、該樹脂層の薄層化ではラミネート不良が起こり、除去(省略)では印刷性が低下するため、基材の情報表示部側の樹脂層(樹脂フィルム層)の薄層化もしくは除去(省略)も困難である。その結果、HDD用粘着ラベルを薄層化するためには、基材の粘着剤層側の樹脂層(樹脂フィルム層)を除去する方法を採用することが考えられる。
【0009】
しかしながら、基材の粘着剤層側の樹脂層を除去すると、粘着剤層が基材の金属箔上に直接形成されることになるので、基材と粘着剤層との投錨性が低下してしまい、そこで、前記投錨性を上げるために、粘着剤層自体の粘着力を上げると、ハードディスクドライブのカバーに対しても粘着力が高まり、HDD用粘着ラベルの再剥離時に、ハードディスクドライブのカバーに糊残りが生じる場合がある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、粘着剤層と基材との投錨性を高めつつ、再剥離させる際の粘着成分の残存を抑制又は防止することができるハードディスクドライブ用粘着ラベルを提供することにある。
本発明の他の目的は、さらには、しかも薄層化することができるハードディスクドライブ用粘着ラベルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ハードディスクドライブ筐体の外面に貼付することにより、各種の情報表示機能を有するとともに、ハードディスクドライブの駆動時における発生音を低減できる機能を有するHDD用粘着ラベルとして、粘着剤層と基材との間に下塗り剤層を設けることにより、粘着剤層の粘着力を高めなくても、粘着剤層と基材との投錨性を高めることができ、また、HDD用粘着ラベルの再剥離時における糊残りを抑制又は防止することができ、しかも、HDD用粘着ラベルを薄層化することも可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、基材と、該基材の片面に形成された情報表示部と、基材の他面に形成された粘着剤層とを有し、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルであって、基材と粘着剤層との間に下塗り剤層を具備していることを特徴とするハードディスクドライブ用粘着ラベルである。
【0013】
本発明では、基材の下塗り剤層側の面が、金属面であってもよい。
【0014】
下塗り剤層を構成する下塗り剤としては、モノマー成分全量に対して、100〜20重量%の(メタ)アクリル酸と、0〜80重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、モノマー成分全量に対して、0.5〜10重量%の(メタ)アクリル酸と、99.5〜90重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする共重合体によるアクリル系粘着剤である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルの一態様を示す概略断面図である。図1において、1はハードディスクドライブ用粘着ラベル(HDD用粘着ラベル)、2は基材、2aは基材2における樹脂フィルム層、2bは基材2における金属箔、3は粘着剤層、4は下塗り剤層、5は剥離ライナ、6はHDD用粘着ラベル1における情報表示部である。図1において、HDD用粘着ラベル1は、基材2としての金属箔2bの片面に樹脂フィルム層2aが積層された2層から構成される積層基材の片面(背面)に情報表示部6が形成され、他面(情報表示部6が形成されている面とは反対側の面)に、粘着剤層3が下塗り剤層4を介して形成されている。また、粘着剤層3は剥離ライナ5により被覆されている。
【0016】
本発明のHDD用粘着ラベル1は、図1に示されているように、基材2と、該基材2の片面(背面)に形成された情報表示部6と、基材2の他面に下塗り剤層4を介して形成された粘着剤層3とを有し、前記粘着剤層3を利用して、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音(以下、単に「駆動時発生音」と称する場合がある)を低減することが可能となるハードディスクドライブ用の粘着ラベルである。また、前記粘着剤層3は、通常、その使用時まで剥離ライナ5により保護されている。
【0017】
なお、ここで、「ハードディスクドライブの駆動時発生音を低減することが可能」とは、本発明のHDD用粘着ラベルを貼付することにより、貼付前に比較して駆動時発生音が1dB以上低下(低減)できるもののことをいう。
【0018】
具体的には、本発明のHDD用粘着ラベル1は、図2で示されるような形態で使用することができる。図2は本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルが貼付されたハードディスクドライブを示す概略図である。図2において、1及び6は図1と同様であり、具体的には、1はHDD用粘着ラベル、6は情報表示部である。また、Aはハウジング本体、Bはトップカバーである。図2においては、記録ディスク、磁気ヘッド、スピンドルモータ等が収容されているハウジング本体Aと、トップカバーBとから構成されるハードディスク装置のトップカバーBの外面に、表面(背面)に情報表示部6を有するHDD用粘着ラベル1が貼付されている。
【0019】
このように、HDD用粘着ラベル1は、それをハードディスクドライブの筐体(例えば図2におけるトップカバーBやハウジング本体A)の外面に貼付することにより、ハードディスクドライブの駆動時発生音を低減することができる。
【0020】
また、HDD用粘着ラベル1は、その基材表面(背面)に、例えば「使用上の注意事項」や「接続方法」、「製品名・製造者名等の認識・識別事項」等の情報表示部6を有する。このような構成とすることにより、従来は、情報表示機能のみしか持たなかったHDD用粘着ラベルによって、駆動時発生音の低減機能を付加することができ、ハードディスクドライブのさらなる騒音低減を達成できる。また、さらには制振鋼板と粘着ラベルという2つの部材により達成していた構成を同一部材で達成することが可能となる。
【0021】
本発明のHDD用粘着ラベル1は、図1で示されるように、基材2と粘着剤層3とが下塗り剤層4を介して積層されていることが重要である。すなわち、HDD用粘着ラベル1は、基材2上に、下塗り剤層4、粘着剤層3がこの順で形成された構成を有している。このように、HDD用粘着ラベルは、下塗り剤層を具備しているので、粘着剤層の粘着力を高めなくても、粘着剤層の基材に対する投錨性を高めることができ、また、再剥離の際には、ハードディスクドライブの外面(貼着面)への粘着成分の残存(糊残り)を効果的に抑制又は防止することができる。しかも、例えば、HDD用粘着ラベルの基材が、従来のように、金属箔の両面に樹脂層を有する積層体(樹脂層/金属箔/樹脂層の3層構造)である場合、一方の樹脂層は粘着剤との投錨性を高めるために用いられているが、本発明では、基材の粘着剤層側の樹脂層を設けなくても、粘着剤層と基材との投錨性を良好とすることができ、また、再剥離時の糊残り防止性も保持することができる。なお、下塗り剤層の厚みは、通常、基材の粘着剤層側の樹脂層の厚みよりも薄い。従って、粘着剤層と基材との投錨性、および再剥離時の糊残り防止性を優れたレベルで保持しつつ、HDD用粘着ラベルの厚みを従来よりも薄くすることができる。
【0022】
[基材]
HDD用粘着ラベル1の基材2としては、低減機能を有するものである限り特に限定されないが、例えば、駆動時発生音低減効果を上げる、表示機能を有する、薄層化への対応といった点からは、図1で示されているように、金属箔2bの片面に樹脂フィルム層2aが積層された少なくとも2層から構成される基材(積層基材)2を使用することが好ましい。ここで、樹脂フィルム層2aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等からなる樹脂フィルムが使用できる。中でも経済性、耐久性の点からはポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、金属箔2bとしては、例えば、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス箔、ニッケル箔、銅箔等からなる金属箔が使用できる。これらの中でも加工性、経済性の点からはアルミニウム箔が特に好ましい。
【0023】
本発明の粘着ラベルは、制振性を発揮できる剛性を有し、かつ粘着ラベルとしての貼付作業性を満足させる点からは、前記基材における、樹脂フィルム層/金属箔の各々の厚み又は構成として、例えば、以下の厚み又は構成を例示することができる。
(樹脂フィルム層)
情報表示部が形成される粘着ラベル背面側の樹脂フィルム層の厚みとしては、通常6μm〜125μmであり、好ましくは25μm〜125μmである。当該樹脂フィルム層が6μmよりも薄い場合は、基材全体が金属箔の特性に支配され、皺が入り易くなり、また、非常に薄いために安定的にラミネートすることが、非常に難しくなる。
また、当該樹脂フィルム層の厚みを25μm以上とすることにより、粘着ラベルの背面側となる樹脂フィルム層表面に熱転写方式の印刷手段により情報表示部を形成する場合に、インク転写時の熱が金属箔を介して散逸することで発生すると考えられる印刷不良の問題をより一層改善することができる。
なお、情報表示部としてバーコード等を印刷する場合は、当該樹脂フィルム層に特に白色等に着色した樹脂フィルム(例えば白色ポリエチレンテレフタレートフィルム等)を用いることにより、バーコード等の読み取り性に優れた特性が得られる。
【0024】
(金属箔)
金属箔としては、基材としての剛性を保つ観点からは、その厚みは10μm以上(好ましくは15〜150μm)であることが望ましい。該金属箔の厚みが10μmよりも薄い場合は、基材の剛性を高めるといった目的を達成できない場合がある。また、基材の剛性を高めるためには、その厚みは厚いほど良いが、厚くなりすぎると粘着ラベルとして厚くなりすぎ、ハードディスクドライブの製品厚さに影響することになるので、金属箔としては、その厚みが150μm以下であることが望ましい。
【0025】
基材は、金属箔と樹脂フィルム層とを例えばドライラミ方式等の公知の積層手段を用いて製造することができる。
【0026】
さらに基材は、コロナ処理、易接着処理等の公知の手段を用いて、金属箔や樹脂フィルム層の表面を表面処理し、下塗り剤の投錨性の改良や、印刷性の改良を行なうことができる。
【0027】
[情報表示部]
HDD用粘着ラベルの基材の片面(背面)には情報表示部が形成されており、例えば、図1では、HDD用粘着ラベル1の基材(金属箔2bの片面に樹脂フィルム層2aが積層された積層基材)2の樹脂フィルム層2a側の面に、情報表示部6が形成されている。この情報表示部は、例えば「使用上の注意事項」や「接続方法」、「製品名・製造者名等の認識・識別事項」等を通常の印刷手段等により形成することができる。
【0028】
[下塗り剤層]
本発明では、基材上に下塗り剤層が形成されており、例えば、図1では、基材2の金属箔2b上(情報表示部が形成される面の反対側の面)に下塗り剤層4が形成されている。下塗り剤層4は、粘着剤層3と基材2との密着性又は接着性を高めるために、粘着剤層3と基材2との間に設けられている。このような下塗り剤層を構成する下塗り剤としては、例えば、アクリル系下塗り剤、ポリエステル系下塗り剤、ゴム系下塗り剤、イソシアネート系下塗り剤、エポキシ系下塗り剤の公知の下塗り剤から適宜選択して使用することができる。下塗り剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
下塗り剤としては、粘着剤層を構成する粘着剤や、基材の表面を構成する素材などに応じて適宜選択することができる。従って、例えば、粘着剤層がアクリル系粘着剤により構成されている場合、下塗り剤としては、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸をモノマー成分する重合体(アクリル系重合体)によるアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。また、基材の表面が金属面となっている場合、下塗り剤としては、カルボキシル基等の極性基を有する下塗り剤を好適に用いることができる。このように、金属や粘着剤層との投錨性、さらには耐久性などの観点から、下塗り剤としては、アクリル系下塗り剤が好ましく、該アクリル系下塗り剤のなかでも、カルボキシル基等の極性基を有するアクリル系下塗り剤(極性基含有アクリル系下塗り剤)が特に好ましい。このような極性基含有アクリル系下塗り剤としては、例えば、アクリル系重合体のモノマー成分として(メタ)アクリル酸(酸成分)を多く含有しているアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。
【0030】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、中でも、アルキル基部位の炭素数が4〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステル]を好適に用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸イソミリスチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
アクリル系下塗り剤において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸との割合は、特に制限されないが、前述のように、基材の表面を構成する素材や、粘着剤層を構成する粘着剤の種類などに応じて適宜設定することができる。
【0032】
また、金属に対する投錨性を高めるためには、前述のように、アクリル系下塗り剤の中でも、アクリル系重合体のモノマー成分として(メタ)アクリル酸を含有しているアクリル系下塗り剤が好ましく、この(メタ)アクリル酸をモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸の割合としては、モノマー成分全量に対して20重量%以上(好ましくは30重量%以上)であることが望ましい。アクリル系下塗り剤を構成するアクリル系重合体において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸の割合が、モノマー成分全量に対して20重量%未満であると、金属に対する投錨性が低下し、粘着剤層と基材との投錨性の向上効果が低下する。
【0033】
具体的には、(メタ)アクリル酸をモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤としては、モノマー成分全量に対して、20重量%以上(例えば、100〜20重量%、好ましくは80〜30重量%)の(メタ)アクリル酸と、80重量%以下(例えば、0〜80重量%、好ましくは20〜70重量%)の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。
【0034】
アクリル系下塗り剤を構成するアクリル系重合体では、前記(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸と共重合可能なモノマー成分(共重合性モノマー成分)が用いられていてもよい。このような共重合性モノマー成分としては、例えば、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有共重合性モノマー(アクリル酸やメタクリル酸以外のカルボキシル基含有共重合性モノマー);2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有共重合性モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有共重合性モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアミノ基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有共重合性モノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル類などの各種の官能基(特に極性基)を有している共重合性モノマー(官能基含有共重合性モノマー)の他、スチレン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン系モノマーなどが挙げられる。
【0035】
下塗り剤は、公知乃至慣用の方法により調製することができる。例えば、アクリル系下塗り剤は、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸などのモノマー成分と、必要に応じて、これらのモノマー成分と共重合可能なモノマー成分と、各種添加剤とを、公知乃至慣用の重合方法(例えば、溶液重合方法、乳化重合方法など)により重合してアクリル系重合体を得て、必要に応じて、さらに各種添加剤等を加えたり、濃度調整やエマルジョン化等を行ったりすることにより調製することができる。
【0036】
下塗り剤層は、基材の表面(例えば、金属面)や粘着剤層の表面に、下塗り剤を塗布することにより形成することができる。
【0037】
下塗り剤層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.5〜30μm程度の範囲から選択することができるが、好ましくは0.5〜10μm(さらに好ましくは1〜5μm)程度である。下塗り剤層の厚みは、薄すぎると、粘着剤層と基材との投錨性向上効果が低下し、厚すぎると、HDD用粘着ラベルの薄層化効果が低下する。
【0038】
[粘着剤層]
HDD用粘着ラベル1の粘着剤層3は、粘着剤により構成されている。該粘着剤としては、合成ゴム系粘着剤や天然ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などの慣用乃至公知の粘着剤を適宜選択して使用することができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
粘着剤としては、耐久性の面からはアクリル系粘着剤が好ましい。より具体的には、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステル]を主成分とするポリマー(ベースポリマー)から構成される粘着剤が望ましい。ここで、(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸イソミリスチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0040】
本発明では、アクリル系粘着剤として、制振性能に大きく寄与する粘着剤のガラス転移温度及び粘着特性を優れたレベルで両立させる観点から、炭素数7〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[(メタ)アクリル酸C7−10アルキルエステル]と、アクリル酸とを共重合成分とするポリマーから構成されるアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。一方、ハードディスクドライブの筺体(HDDカバー)からの再剥離性を向上させる観点から、粘着力の経時上昇性を抑えるためにアクリル酸は少ない方が好ましい。従って、このような観点から、アクリル系粘着剤のなかでも、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸の割合が、モノマー成分全量に対して10重量%以下(例えば、0.5〜10重量%)、好ましくは7重量%以下(例えば、1〜7重量%)であることが望ましい。具体的には、アクリル系粘着剤としては、モノマー成分全量に対して、例えば、0.5〜10重量%(好ましくは1〜7重量%)の(メタ)アクリル酸と、例えば、99.5〜90重量%(好ましくは99〜93重量%)の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする共重合体によるアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
【0041】
粘着剤層の制振性能は粘着剤のガラス転移温度に大きく影響され、その特性を使用温度(具体的にはハードディスクドライブの使用温度であり、通常、室温以上である)にて有効に発揮するためには、粘着剤層を構成する粘着剤の損失係数が20℃において0.5以上5.0以下(0.5〜5.0)、好ましくは0.7以上5.0以下(0.7〜5.0)であることが望ましい。また、前記粘着剤の損失係数のピーク温度としては−10℃以上50℃以下であることが好ましい。前記粘着剤の損失係数及び/又は損失係数のピークを前記範囲とする事により、粘着剤の制振性能と粘着特性とを優れたレベルで両立することができる。
【0042】
粘着剤層の厚みは特に限定するものではないが、駆動時発生音の低減効果の点からは、15μm以上、好ましくは20〜100μmである。また、シール性や粘着特性の点からは、粘着剤層の厚みは、20μm以上、好ましくは50〜350μm程度であってもよい。従って、本発明では、粘着剤層の厚みとしては、例えば、20〜100μmの範囲から選択することが好ましい。
【0043】
[剥離ライナ]
本発明のHDD用粘着ラベル1には、その粘着剤層3を使用時まで保護するための剥離ライナ5が使用されていてもよい。剥離ライナとしては、慣用の剥離紙などを使用できる。具体的には、剥離ライナとしては、例えば、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム[例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体またはランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなど]による剥離ライナや、各種支持体(基材)の片面に、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材による剥離層を形成した構成の剥離ライナなどが挙げられる。前記各種支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムの他、金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。また、前記支持体の片面に形成される剥離層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムを、前記支持体上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成することができる。
【0044】
また、剥離ライナとしては、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離ライナ用の基材の表面に形成された剥離ライナを用いることもできる。剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、長鎖アルキル基含有ポリマー、シリコーンポリマー(シリコーン系剥離剤)、フッ素系ポリマー(フッ素系剥離剤)などの剥離剤が挙げられる。また、剥離ライナ用の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムや金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。
【0045】
剥離ライナとしては、打ち抜き加工性や、粘着ラベル加工時の張力に対する変形の少なさなどの点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを支持体とし、この支持体の片面に剥離層を形成した剥離ライナが好ましい。
【0046】
剥離ライナの厚み(全体厚)は、特に限定するものではないが、通常30〜200μm程度である。
【0047】
剥離ライナとしては、ハードディスクドライブのような精密電子機器におけるシリコーン成分に基づく接点障害等の不具合を防止するために、粘着剤層表面に転写(移行)するシリコーン成分量の少ない剥離ライナ、また、さらには、剥離剤としてシリコーン系剥離剤が使用されていない剥離ライナを好適に用いることができる。
【0048】
本発明のHDD用粘着ラベルは、基材の粘着剤層形成面に、下塗り剤を塗布して下塗り剤層を形成し、さらに、該下塗り剤層上に、粘着剤層を形成することにより、下塗り剤層を介して粘着剤層を基材上に形成することができる。なお、粘着剤層の形成に際しては、例えば、下塗り剤層上に、粘着剤組成物を塗布する方法や、適当なセパレータ(剥離紙など)上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、これを、下塗り剤層上に転写(移着)する方法などを利用することができる。
【0049】
本発明のHDD用粘着ラベルは、剥離ライナが使用されている場合は剥離ライナを剥がし、例えば、図2で示されているように、記録ディスク、磁気ヘッド、スピンドルモータ等が収容されているハウジング本体Aと、トップカバーBとから構成されるハードディスク装置のトップカバー及び/又はハウジング本体(筐体)の外面に、HDD用粘着ラベルを貼付して使用することができる。
【0050】
本発明では、HDD用粘着ラベルは、ハードディスクドライブの筐体の少なくとも一部に貼付すればよいが、駆動時発生音の更なる低減効果を発揮するためには、粘着ラベルの貼付面積を大きくすれば良く、最も好ましくは、ハードディスクドライブのトップカバー外面に対し、トップカバーの全面積の20%以上、好ましくは25〜100%となるように貼付することが好ましい。
【0051】
しかも、ハードディスクドライブに貼付されたHDD用粘着ラベルのハードディスクドライブからの剥離が生じて再剥離する場合は、ハードディスクドライブの外面に糊残りを生じさせずに、ハードディスクドライブの表面から容易に手で剥がすことができ、再剥離時の作業効率を向上させることができる。
【0052】
従って、本発明のHDD用粘着ラベルは、粘着ラベルとしての各種情報表示機能と、ハードディスクドライブの駆動時における発生音を低減できる機能を両立させることできるとともに、粘着剤層と基材との投錨性を高めつつ、再剥離させる際に粘着成分の残存を抑制又は防止し且つ容易に再剥離することができ、さらに、薄層化を図ることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
基材として、次の基材Aを用いた。
基材A:ドライラミ接着による積層方式により、白色のポリエチレンテレフタレートフィルム層(厚み:12μm)/アルミニウム箔(厚み:30μm)からなる基材Aを作製した。
【0055】
また、下塗り剤としては、次の下塗り剤Aを用いた。
下塗り剤A:温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応容器に、アクリル酸:35重量部、アクリル酸:ブチル70重量部、およびラウリル硫酸ナトリウム:1重量部を水:75重量部で乳化したものを仕込み、攪拌しながら、室温(25℃)で1時間窒素置換させた。その後、これに2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)を0.025重量部加え、温度を60℃にして3時間重合し、さらに、75℃で2時間熟成した後、室温まで冷却し、10%のアンモニア水で中和することにより、下塗り剤(下塗り剤A)を得た。
【0056】
さらにまた、粘着剤としては、次の粘着剤Aを用いた。
粘着剤A:アクリル酸:7重量部、アクリル酸イソノニル:93重量部、光開始剤として商品名「イルガキュア184(チバガイギー社製)」:0.1重量部を三つ口フラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌して反応系内の窒素置換を行った後、紫外線ランプ(UVランプ)により約150mJとなるようにUV光を照射し、重合率約10%の反応を行いプレポリマーを得た。さらにこのプレポリマー:100重量部に対し、内部架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を0.6重量部加え攪拌して、粘着剤(粘着剤A)を得た。
【0057】
前記基材Aのアルミニウム箔の表面に、下塗り剤を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように、ディッピング方式で塗布して、下塗り剤層(厚さ:1μm)を形成した。
【0058】
前記下塗り剤層上に、前記粘着剤Aを、厚さが25μmとなるように塗布し、さらに、シリコーン系剥離剤層が表面に形成されているポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離ライナA)のシリコーン剥離剤層側の面を貼り合せ、前記粘着剤Aの表面を空気層から遮断する状態にてUVランプにて約2000mJのUV光を剥離ライナA側より照射して、粘着剤A中の成分を反応させることにより、粘着シート(粘着シートA)を得た。前記粘着シートAから剥離ライナAを剥がした(又は除去した)後、130℃のオーブン中で約1分乾燥させることにより、粘着剤Aからなる粘着剤層から揮発成分を除去し、再度、低密度ポリエチレンフィルムのみからなる剥離ライナ(剥離ライナB)を貼り合わせて、基材付き粘着シートを作製した。
【0059】
(比較例1)
下塗り剤Aを塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、基材付き粘着シートを作製した。
【0060】
従って、実施例1に係る基材付き粘着シートでは、基材のアルミニウム箔上に、下塗り剤Aからなる下塗り剤層、粘着剤Aからなる粘着剤層がこの順で形成されている。一方、比較例1に係る基材付き粘着シートでは、基材のアルミニウム箔上に、粘着剤Aからなる粘着剤層が直接形成されている。
【0061】
(制振特性の評価)
実施例1で得られた粘着シートについて、市販されている2.5インチハードディスクドライブのトップカバー外面(筺体の上面)の約56%(表面積比)の部分に貼り付け、以下の騒音レベル(駆動時発生音)の測定方法により、貼り付ける前後での騒音レベルを測定したところ、実施例1に係る粘着シートを貼り付ける前に27.7dB(A)であった騒音レベルが、貼り付けた後は25.8dB(A)となった。
【0062】
<騒音レベル(駆動時発生音)の測定方法>
粘着ラベルをトップカバーに貼付したハードディスクドライブに電源を入れて駆動させ、駆動時の騒音レベル(駆動時発生音)を以下の方法により測定した。
【0063】
騒音レベルの測定は無響室内で行った。無響室内に試験台を設置し、高遮音性のゴム系発泡体(厚み20mm)の上に騒音測定の対象となるハードディスクドライブの粘着ラベル貼付け部位となる面を上にして設置した。(高遮音性のゴム系発泡体はハードディスクドライブの振動伝播による試験台の固体伝播音を防止し、またハードディスクドライブ底面からの騒音を遮断する目的で使用する。)
【0064】
ハードディスクドライブを駆動させ、騒音レベルが安定するまで放置した後、中央部上方300mmに設置した自由音場型マイクロホンにより騒音レベルを測定した。測定値は、聴感補正としてA特性を使用し、20秒間の平均化処理を施し、周波数範囲として20〜20000Hzのオーバーオール値で表わした。
【0065】
(糊残り防止性の評価)
また、実施例1及び比較例1で得られた粘着シートについて、以下の再剥離性(糊残り防止性)の測定方法により、再剥離時の糊残り防止性を評価した。評価結果は、表1の「糊残り防止性」の欄に示した。
【0066】
<再剥離性(糊残り防止性)の測定方法>
粘着シートを、20mm幅に切断し、室温にて被着体としてのステンレス板にゴムローラー(2kg)を用いて圧着して(1往復)貼付し、貼付後、室温にて30分エージングし、さらに60℃のオーブン中に2時間投入し、該オーブンより取り出した後1時間放冷させた後、室温(23℃)にて、剥離角度180°、剥離速度300mm/分の条件で引き剥がして、引き剥がし後、ステンレス板の粘着シート貼着面を目視で観察して、糊残りの有無を確認した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1から明らかなように、実施例1に係る粘着シートは、再剥離時には、ハードディスクドライブの筺体表面に粘着成分を残存させることなく再剥離することができ、糊残り防止性が優れている。もちろん、粘着剤層と基材との投錨性が高く、優れた接着力で接着されている。しかも、基材として、粘着剤層側の面が金属面となっていても(すなわち、粘着剤層側の面が樹脂フィルム層による面となっていなくても)よいので、従来のHDD用粘着ラベルにおける基材の粘着剤層側の樹脂フィルム層を省略することができ、このことにより、従来のHDD用粘着ラベルよりも厚みを薄くすることができる。
【0069】
また、優れた制振特性も保持しており、現在市販されているハードディスクドライブの表示ラベルの貼付部位に貼付するだけで、駆動時発生音を1dB以上低減することが可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明の粘着ラベルは、上記の如き構成を有することにより、粘着ラベルとしての各種情報表示機能と、ハードディスクドライブの駆動時における発生音を低減できる機能を両立させることでき、また、HDD用粘着ラベルの薄層化のために、基材における金属箔の粘着剤層側の樹脂フィルム層を設けなくても、粘着剤層と基材との投錨性、および再剥離時の糊残り防止性を良好にすることができる。従って、本発明の粘着ラベルは、粘着剤層は下塗り剤層により基材と密接に接着されており、例えば、誤って貼り付けた際や、リワークが生じた際などにおいて、粘着剤ラベルを再剥離しても、ハードディスクドライブの表面に粘着成分を残存させることなく、容易にハードディスクドライブの表面から再剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルの一態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルが貼付されたハードディスクドライブを示す概略図である。
【符号の説明】
1 ハードディスクドライブ用粘着ラベル
2 基材
2a 樹脂フィルム層
2b 金属箔
3 粘着剤層
4 下塗り剤層
5 剥離ライナ
6 情報表示部
A ハウジング本体
B トップカバー
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブの筐体外面に貼付して使用され、粘着ラベルとしての各種表示機能を有し、ハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減させることが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルに関し、さらに詳しくは粘着剤層と基材との投錨性を高めつつ、再剥離させる際の粘着成分の残存を防止することができ、しかも薄層化することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクドライブは、パーソナルコンピューターをはじめとする民生用の需要が大きく伸びており、それに伴い、ハードディスクドライブ自体の小型化や駆動時における発生音の低減化(静寂性の確保)が、記憶容量の増大と並び重要な特性とされてきている。
【0003】
そこで、本発明者らは、ハードディスクドライブの筐体外面に貼付することによりハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベル(以下、「HDD用粘着ラベル」と称する場合がある)を提案した(特許文献1参照)。このHDD用粘着ラベルは、通常、使用時(貼付時)まで、粘着剤層が剥離ライナにより被覆(保護)されており、使用時に剥離ライナを剥がすことで、粘着面を露出して、該粘着面を利用してハードディスクドライブ筺体に貼付することにより用いることができる。なお、このHDD用粘着ラベルを用いると、情報表示機能を発揮させつつ、騒音低減化を達成することが可能となる。
【0004】
より具体的には、前記HDD用粘着ラベルは、背面に情報表示部を有する基材と、粘着剤層と、剥離ライナとから構成されている。前記基材としては主に、樹脂フィルム層と金属箔との積層体が用いられており、背面の情報表示部側が樹脂フィルム層となっている。また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤が用いられており、さらにまた、剥離ライナにはシリコーン成分による接点障害等を防ぐためにシリコーン系剥離剤が使用されていない剥離ライナが用いられている。
【0005】
また、HDD用粘着ラベルは、リワーク等により、作業工程で再剥離が行われるため、再剥離した際に、被着体であるハードディスクドライブへの粘着成分の残存を抑制又は防止する糊残り防止性は非常に重要な特性となっている。そのため、現状では、基材の粘着剤層側に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)等の樹脂フィルム層からなる一層を金属箔上に積層して粘着剤層と基材との投錨性を高めるとともに、更に、粘着剤層を構成する粘着剤として、イソシアネート系架橋剤等を用いて架橋したものを用いることにより、再剥離時におけるハードディスクドライブへの粘着成分の残存(いわゆる「糊残り」)を抑制又は防止させている。
【0006】
一方、ハードディスクドライブの小型化にともない、HDD用粘着ラベルも薄層化が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−351369号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
HDD用粘着ラベルの薄層化に際しては、基材を薄層化することが考えられるが、HDD用粘着ラベルは、薄層化だけではなく、騒音低減効果も同様に求められており、基材の金属層(金属箔)を薄層化すると、騒音低減効果が低下するため、基材の金属層(金属箔)の薄層化は回避すべきである。そこで、基材の情報表示部側の樹脂層(樹脂フィルム層)を薄層化もしくは除去(省略)することが考えられるが、該樹脂層の薄層化ではラミネート不良が起こり、除去(省略)では印刷性が低下するため、基材の情報表示部側の樹脂層(樹脂フィルム層)の薄層化もしくは除去(省略)も困難である。その結果、HDD用粘着ラベルを薄層化するためには、基材の粘着剤層側の樹脂層(樹脂フィルム層)を除去する方法を採用することが考えられる。
【0009】
しかしながら、基材の粘着剤層側の樹脂層を除去すると、粘着剤層が基材の金属箔上に直接形成されることになるので、基材と粘着剤層との投錨性が低下してしまい、そこで、前記投錨性を上げるために、粘着剤層自体の粘着力を上げると、ハードディスクドライブのカバーに対しても粘着力が高まり、HDD用粘着ラベルの再剥離時に、ハードディスクドライブのカバーに糊残りが生じる場合がある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、粘着剤層と基材との投錨性を高めつつ、再剥離させる際の粘着成分の残存を抑制又は防止することができるハードディスクドライブ用粘着ラベルを提供することにある。
本発明の他の目的は、さらには、しかも薄層化することができるハードディスクドライブ用粘着ラベルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ハードディスクドライブ筐体の外面に貼付することにより、各種の情報表示機能を有するとともに、ハードディスクドライブの駆動時における発生音を低減できる機能を有するHDD用粘着ラベルとして、粘着剤層と基材との間に下塗り剤層を設けることにより、粘着剤層の粘着力を高めなくても、粘着剤層と基材との投錨性を高めることができ、また、HDD用粘着ラベルの再剥離時における糊残りを抑制又は防止することができ、しかも、HDD用粘着ラベルを薄層化することも可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、基材と、該基材の片面に形成された情報表示部と、基材の他面に形成された粘着剤層とを有し、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルであって、基材と粘着剤層との間に下塗り剤層を具備していることを特徴とするハードディスクドライブ用粘着ラベルである。
【0013】
本発明では、基材の下塗り剤層側の面が、金属面であってもよい。
【0014】
下塗り剤層を構成する下塗り剤としては、モノマー成分全量に対して、100〜20重量%の(メタ)アクリル酸と、0〜80重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、モノマー成分全量に対して、0.5〜10重量%の(メタ)アクリル酸と、99.5〜90重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする共重合体によるアクリル系粘着剤である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルの一態様を示す概略断面図である。図1において、1はハードディスクドライブ用粘着ラベル(HDD用粘着ラベル)、2は基材、2aは基材2における樹脂フィルム層、2bは基材2における金属箔、3は粘着剤層、4は下塗り剤層、5は剥離ライナ、6はHDD用粘着ラベル1における情報表示部である。図1において、HDD用粘着ラベル1は、基材2としての金属箔2bの片面に樹脂フィルム層2aが積層された2層から構成される積層基材の片面(背面)に情報表示部6が形成され、他面(情報表示部6が形成されている面とは反対側の面)に、粘着剤層3が下塗り剤層4を介して形成されている。また、粘着剤層3は剥離ライナ5により被覆されている。
【0016】
本発明のHDD用粘着ラベル1は、図1に示されているように、基材2と、該基材2の片面(背面)に形成された情報表示部6と、基材2の他面に下塗り剤層4を介して形成された粘着剤層3とを有し、前記粘着剤層3を利用して、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音(以下、単に「駆動時発生音」と称する場合がある)を低減することが可能となるハードディスクドライブ用の粘着ラベルである。また、前記粘着剤層3は、通常、その使用時まで剥離ライナ5により保護されている。
【0017】
なお、ここで、「ハードディスクドライブの駆動時発生音を低減することが可能」とは、本発明のHDD用粘着ラベルを貼付することにより、貼付前に比較して駆動時発生音が1dB以上低下(低減)できるもののことをいう。
【0018】
具体的には、本発明のHDD用粘着ラベル1は、図2で示されるような形態で使用することができる。図2は本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルが貼付されたハードディスクドライブを示す概略図である。図2において、1及び6は図1と同様であり、具体的には、1はHDD用粘着ラベル、6は情報表示部である。また、Aはハウジング本体、Bはトップカバーである。図2においては、記録ディスク、磁気ヘッド、スピンドルモータ等が収容されているハウジング本体Aと、トップカバーBとから構成されるハードディスク装置のトップカバーBの外面に、表面(背面)に情報表示部6を有するHDD用粘着ラベル1が貼付されている。
【0019】
このように、HDD用粘着ラベル1は、それをハードディスクドライブの筐体(例えば図2におけるトップカバーBやハウジング本体A)の外面に貼付することにより、ハードディスクドライブの駆動時発生音を低減することができる。
【0020】
また、HDD用粘着ラベル1は、その基材表面(背面)に、例えば「使用上の注意事項」や「接続方法」、「製品名・製造者名等の認識・識別事項」等の情報表示部6を有する。このような構成とすることにより、従来は、情報表示機能のみしか持たなかったHDD用粘着ラベルによって、駆動時発生音の低減機能を付加することができ、ハードディスクドライブのさらなる騒音低減を達成できる。また、さらには制振鋼板と粘着ラベルという2つの部材により達成していた構成を同一部材で達成することが可能となる。
【0021】
本発明のHDD用粘着ラベル1は、図1で示されるように、基材2と粘着剤層3とが下塗り剤層4を介して積層されていることが重要である。すなわち、HDD用粘着ラベル1は、基材2上に、下塗り剤層4、粘着剤層3がこの順で形成された構成を有している。このように、HDD用粘着ラベルは、下塗り剤層を具備しているので、粘着剤層の粘着力を高めなくても、粘着剤層の基材に対する投錨性を高めることができ、また、再剥離の際には、ハードディスクドライブの外面(貼着面)への粘着成分の残存(糊残り)を効果的に抑制又は防止することができる。しかも、例えば、HDD用粘着ラベルの基材が、従来のように、金属箔の両面に樹脂層を有する積層体(樹脂層/金属箔/樹脂層の3層構造)である場合、一方の樹脂層は粘着剤との投錨性を高めるために用いられているが、本発明では、基材の粘着剤層側の樹脂層を設けなくても、粘着剤層と基材との投錨性を良好とすることができ、また、再剥離時の糊残り防止性も保持することができる。なお、下塗り剤層の厚みは、通常、基材の粘着剤層側の樹脂層の厚みよりも薄い。従って、粘着剤層と基材との投錨性、および再剥離時の糊残り防止性を優れたレベルで保持しつつ、HDD用粘着ラベルの厚みを従来よりも薄くすることができる。
【0022】
[基材]
HDD用粘着ラベル1の基材2としては、低減機能を有するものである限り特に限定されないが、例えば、駆動時発生音低減効果を上げる、表示機能を有する、薄層化への対応といった点からは、図1で示されているように、金属箔2bの片面に樹脂フィルム層2aが積層された少なくとも2層から構成される基材(積層基材)2を使用することが好ましい。ここで、樹脂フィルム層2aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等からなる樹脂フィルムが使用できる。中でも経済性、耐久性の点からはポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、金属箔2bとしては、例えば、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス箔、ニッケル箔、銅箔等からなる金属箔が使用できる。これらの中でも加工性、経済性の点からはアルミニウム箔が特に好ましい。
【0023】
本発明の粘着ラベルは、制振性を発揮できる剛性を有し、かつ粘着ラベルとしての貼付作業性を満足させる点からは、前記基材における、樹脂フィルム層/金属箔の各々の厚み又は構成として、例えば、以下の厚み又は構成を例示することができる。
(樹脂フィルム層)
情報表示部が形成される粘着ラベル背面側の樹脂フィルム層の厚みとしては、通常6μm〜125μmであり、好ましくは25μm〜125μmである。当該樹脂フィルム層が6μmよりも薄い場合は、基材全体が金属箔の特性に支配され、皺が入り易くなり、また、非常に薄いために安定的にラミネートすることが、非常に難しくなる。
また、当該樹脂フィルム層の厚みを25μm以上とすることにより、粘着ラベルの背面側となる樹脂フィルム層表面に熱転写方式の印刷手段により情報表示部を形成する場合に、インク転写時の熱が金属箔を介して散逸することで発生すると考えられる印刷不良の問題をより一層改善することができる。
なお、情報表示部としてバーコード等を印刷する場合は、当該樹脂フィルム層に特に白色等に着色した樹脂フィルム(例えば白色ポリエチレンテレフタレートフィルム等)を用いることにより、バーコード等の読み取り性に優れた特性が得られる。
【0024】
(金属箔)
金属箔としては、基材としての剛性を保つ観点からは、その厚みは10μm以上(好ましくは15〜150μm)であることが望ましい。該金属箔の厚みが10μmよりも薄い場合は、基材の剛性を高めるといった目的を達成できない場合がある。また、基材の剛性を高めるためには、その厚みは厚いほど良いが、厚くなりすぎると粘着ラベルとして厚くなりすぎ、ハードディスクドライブの製品厚さに影響することになるので、金属箔としては、その厚みが150μm以下であることが望ましい。
【0025】
基材は、金属箔と樹脂フィルム層とを例えばドライラミ方式等の公知の積層手段を用いて製造することができる。
【0026】
さらに基材は、コロナ処理、易接着処理等の公知の手段を用いて、金属箔や樹脂フィルム層の表面を表面処理し、下塗り剤の投錨性の改良や、印刷性の改良を行なうことができる。
【0027】
[情報表示部]
HDD用粘着ラベルの基材の片面(背面)には情報表示部が形成されており、例えば、図1では、HDD用粘着ラベル1の基材(金属箔2bの片面に樹脂フィルム層2aが積層された積層基材)2の樹脂フィルム層2a側の面に、情報表示部6が形成されている。この情報表示部は、例えば「使用上の注意事項」や「接続方法」、「製品名・製造者名等の認識・識別事項」等を通常の印刷手段等により形成することができる。
【0028】
[下塗り剤層]
本発明では、基材上に下塗り剤層が形成されており、例えば、図1では、基材2の金属箔2b上(情報表示部が形成される面の反対側の面)に下塗り剤層4が形成されている。下塗り剤層4は、粘着剤層3と基材2との密着性又は接着性を高めるために、粘着剤層3と基材2との間に設けられている。このような下塗り剤層を構成する下塗り剤としては、例えば、アクリル系下塗り剤、ポリエステル系下塗り剤、ゴム系下塗り剤、イソシアネート系下塗り剤、エポキシ系下塗り剤の公知の下塗り剤から適宜選択して使用することができる。下塗り剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
下塗り剤としては、粘着剤層を構成する粘着剤や、基材の表面を構成する素材などに応じて適宜選択することができる。従って、例えば、粘着剤層がアクリル系粘着剤により構成されている場合、下塗り剤としては、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸をモノマー成分する重合体(アクリル系重合体)によるアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。また、基材の表面が金属面となっている場合、下塗り剤としては、カルボキシル基等の極性基を有する下塗り剤を好適に用いることができる。このように、金属や粘着剤層との投錨性、さらには耐久性などの観点から、下塗り剤としては、アクリル系下塗り剤が好ましく、該アクリル系下塗り剤のなかでも、カルボキシル基等の極性基を有するアクリル系下塗り剤(極性基含有アクリル系下塗り剤)が特に好ましい。このような極性基含有アクリル系下塗り剤としては、例えば、アクリル系重合体のモノマー成分として(メタ)アクリル酸(酸成分)を多く含有しているアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。
【0030】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、中でも、アルキル基部位の炭素数が4〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステル]を好適に用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸イソミリスチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
アクリル系下塗り剤において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸との割合は、特に制限されないが、前述のように、基材の表面を構成する素材や、粘着剤層を構成する粘着剤の種類などに応じて適宜設定することができる。
【0032】
また、金属に対する投錨性を高めるためには、前述のように、アクリル系下塗り剤の中でも、アクリル系重合体のモノマー成分として(メタ)アクリル酸を含有しているアクリル系下塗り剤が好ましく、この(メタ)アクリル酸をモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸の割合としては、モノマー成分全量に対して20重量%以上(好ましくは30重量%以上)であることが望ましい。アクリル系下塗り剤を構成するアクリル系重合体において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸の割合が、モノマー成分全量に対して20重量%未満であると、金属に対する投錨性が低下し、粘着剤層と基材との投錨性の向上効果が低下する。
【0033】
具体的には、(メタ)アクリル酸をモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤としては、モノマー成分全量に対して、20重量%以上(例えば、100〜20重量%、好ましくは80〜30重量%)の(メタ)アクリル酸と、80重量%以下(例えば、0〜80重量%、好ましくは20〜70重量%)の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤を好適に用いることができる。
【0034】
アクリル系下塗り剤を構成するアクリル系重合体では、前記(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸と共重合可能なモノマー成分(共重合性モノマー成分)が用いられていてもよい。このような共重合性モノマー成分としては、例えば、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有共重合性モノマー(アクリル酸やメタクリル酸以外のカルボキシル基含有共重合性モノマー);2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有共重合性モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有共重合性モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアミノ基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有共重合性モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有共重合性モノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル類などの各種の官能基(特に極性基)を有している共重合性モノマー(官能基含有共重合性モノマー)の他、スチレン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン系モノマーなどが挙げられる。
【0035】
下塗り剤は、公知乃至慣用の方法により調製することができる。例えば、アクリル系下塗り剤は、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸などのモノマー成分と、必要に応じて、これらのモノマー成分と共重合可能なモノマー成分と、各種添加剤とを、公知乃至慣用の重合方法(例えば、溶液重合方法、乳化重合方法など)により重合してアクリル系重合体を得て、必要に応じて、さらに各種添加剤等を加えたり、濃度調整やエマルジョン化等を行ったりすることにより調製することができる。
【0036】
下塗り剤層は、基材の表面(例えば、金属面)や粘着剤層の表面に、下塗り剤を塗布することにより形成することができる。
【0037】
下塗り剤層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.5〜30μm程度の範囲から選択することができるが、好ましくは0.5〜10μm(さらに好ましくは1〜5μm)程度である。下塗り剤層の厚みは、薄すぎると、粘着剤層と基材との投錨性向上効果が低下し、厚すぎると、HDD用粘着ラベルの薄層化効果が低下する。
【0038】
[粘着剤層]
HDD用粘着ラベル1の粘着剤層3は、粘着剤により構成されている。該粘着剤としては、合成ゴム系粘着剤や天然ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などの慣用乃至公知の粘着剤を適宜選択して使用することができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
粘着剤としては、耐久性の面からはアクリル系粘着剤が好ましい。より具体的には、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステル]を主成分とするポリマー(ベースポリマー)から構成される粘着剤が望ましい。ここで、(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸イソミリスチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸C4−14アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0040】
本発明では、アクリル系粘着剤として、制振性能に大きく寄与する粘着剤のガラス転移温度及び粘着特性を優れたレベルで両立させる観点から、炭素数7〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレート[(メタ)アクリル酸C7−10アルキルエステル]と、アクリル酸とを共重合成分とするポリマーから構成されるアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。一方、ハードディスクドライブの筺体(HDDカバー)からの再剥離性を向上させる観点から、粘着力の経時上昇性を抑えるためにアクリル酸は少ない方が好ましい。従って、このような観点から、アクリル系粘着剤のなかでも、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸の割合が、モノマー成分全量に対して10重量%以下(例えば、0.5〜10重量%)、好ましくは7重量%以下(例えば、1〜7重量%)であることが望ましい。具体的には、アクリル系粘着剤としては、モノマー成分全量に対して、例えば、0.5〜10重量%(好ましくは1〜7重量%)の(メタ)アクリル酸と、例えば、99.5〜90重量%(好ましくは99〜93重量%)の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする共重合体によるアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
【0041】
粘着剤層の制振性能は粘着剤のガラス転移温度に大きく影響され、その特性を使用温度(具体的にはハードディスクドライブの使用温度であり、通常、室温以上である)にて有効に発揮するためには、粘着剤層を構成する粘着剤の損失係数が20℃において0.5以上5.0以下(0.5〜5.0)、好ましくは0.7以上5.0以下(0.7〜5.0)であることが望ましい。また、前記粘着剤の損失係数のピーク温度としては−10℃以上50℃以下であることが好ましい。前記粘着剤の損失係数及び/又は損失係数のピークを前記範囲とする事により、粘着剤の制振性能と粘着特性とを優れたレベルで両立することができる。
【0042】
粘着剤層の厚みは特に限定するものではないが、駆動時発生音の低減効果の点からは、15μm以上、好ましくは20〜100μmである。また、シール性や粘着特性の点からは、粘着剤層の厚みは、20μm以上、好ましくは50〜350μm程度であってもよい。従って、本発明では、粘着剤層の厚みとしては、例えば、20〜100μmの範囲から選択することが好ましい。
【0043】
[剥離ライナ]
本発明のHDD用粘着ラベル1には、その粘着剤層3を使用時まで保護するための剥離ライナ5が使用されていてもよい。剥離ライナとしては、慣用の剥離紙などを使用できる。具体的には、剥離ライナとしては、例えば、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム[例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体またはランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなど]による剥離ライナや、各種支持体(基材)の片面に、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材による剥離層を形成した構成の剥離ライナなどが挙げられる。前記各種支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムの他、金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。また、前記支持体の片面に形成される剥離層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムを、前記支持体上に、ラミネート又はコーティングすることにより形成することができる。
【0044】
また、剥離ライナとしては、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離ライナ用の基材の表面に形成された剥離ライナを用いることもできる。剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、長鎖アルキル基含有ポリマー、シリコーンポリマー(シリコーン系剥離剤)、フッ素系ポリマー(フッ素系剥離剤)などの剥離剤が挙げられる。また、剥離ライナ用の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムや金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;金属箔などが挙げられる。
【0045】
剥離ライナとしては、打ち抜き加工性や、粘着ラベル加工時の張力に対する変形の少なさなどの点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを支持体とし、この支持体の片面に剥離層を形成した剥離ライナが好ましい。
【0046】
剥離ライナの厚み(全体厚)は、特に限定するものではないが、通常30〜200μm程度である。
【0047】
剥離ライナとしては、ハードディスクドライブのような精密電子機器におけるシリコーン成分に基づく接点障害等の不具合を防止するために、粘着剤層表面に転写(移行)するシリコーン成分量の少ない剥離ライナ、また、さらには、剥離剤としてシリコーン系剥離剤が使用されていない剥離ライナを好適に用いることができる。
【0048】
本発明のHDD用粘着ラベルは、基材の粘着剤層形成面に、下塗り剤を塗布して下塗り剤層を形成し、さらに、該下塗り剤層上に、粘着剤層を形成することにより、下塗り剤層を介して粘着剤層を基材上に形成することができる。なお、粘着剤層の形成に際しては、例えば、下塗り剤層上に、粘着剤組成物を塗布する方法や、適当なセパレータ(剥離紙など)上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、これを、下塗り剤層上に転写(移着)する方法などを利用することができる。
【0049】
本発明のHDD用粘着ラベルは、剥離ライナが使用されている場合は剥離ライナを剥がし、例えば、図2で示されているように、記録ディスク、磁気ヘッド、スピンドルモータ等が収容されているハウジング本体Aと、トップカバーBとから構成されるハードディスク装置のトップカバー及び/又はハウジング本体(筐体)の外面に、HDD用粘着ラベルを貼付して使用することができる。
【0050】
本発明では、HDD用粘着ラベルは、ハードディスクドライブの筐体の少なくとも一部に貼付すればよいが、駆動時発生音の更なる低減効果を発揮するためには、粘着ラベルの貼付面積を大きくすれば良く、最も好ましくは、ハードディスクドライブのトップカバー外面に対し、トップカバーの全面積の20%以上、好ましくは25〜100%となるように貼付することが好ましい。
【0051】
しかも、ハードディスクドライブに貼付されたHDD用粘着ラベルのハードディスクドライブからの剥離が生じて再剥離する場合は、ハードディスクドライブの外面に糊残りを生じさせずに、ハードディスクドライブの表面から容易に手で剥がすことができ、再剥離時の作業効率を向上させることができる。
【0052】
従って、本発明のHDD用粘着ラベルは、粘着ラベルとしての各種情報表示機能と、ハードディスクドライブの駆動時における発生音を低減できる機能を両立させることできるとともに、粘着剤層と基材との投錨性を高めつつ、再剥離させる際に粘着成分の残存を抑制又は防止し且つ容易に再剥離することができ、さらに、薄層化を図ることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
基材として、次の基材Aを用いた。
基材A:ドライラミ接着による積層方式により、白色のポリエチレンテレフタレートフィルム層(厚み:12μm)/アルミニウム箔(厚み:30μm)からなる基材Aを作製した。
【0055】
また、下塗り剤としては、次の下塗り剤Aを用いた。
下塗り剤A:温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応容器に、アクリル酸:35重量部、アクリル酸:ブチル70重量部、およびラウリル硫酸ナトリウム:1重量部を水:75重量部で乳化したものを仕込み、攪拌しながら、室温(25℃)で1時間窒素置換させた。その後、これに2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)を0.025重量部加え、温度を60℃にして3時間重合し、さらに、75℃で2時間熟成した後、室温まで冷却し、10%のアンモニア水で中和することにより、下塗り剤(下塗り剤A)を得た。
【0056】
さらにまた、粘着剤としては、次の粘着剤Aを用いた。
粘着剤A:アクリル酸:7重量部、アクリル酸イソノニル:93重量部、光開始剤として商品名「イルガキュア184(チバガイギー社製)」:0.1重量部を三つ口フラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌して反応系内の窒素置換を行った後、紫外線ランプ(UVランプ)により約150mJとなるようにUV光を照射し、重合率約10%の反応を行いプレポリマーを得た。さらにこのプレポリマー:100重量部に対し、内部架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を0.6重量部加え攪拌して、粘着剤(粘着剤A)を得た。
【0057】
前記基材Aのアルミニウム箔の表面に、下塗り剤を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように、ディッピング方式で塗布して、下塗り剤層(厚さ:1μm)を形成した。
【0058】
前記下塗り剤層上に、前記粘着剤Aを、厚さが25μmとなるように塗布し、さらに、シリコーン系剥離剤層が表面に形成されているポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離ライナA)のシリコーン剥離剤層側の面を貼り合せ、前記粘着剤Aの表面を空気層から遮断する状態にてUVランプにて約2000mJのUV光を剥離ライナA側より照射して、粘着剤A中の成分を反応させることにより、粘着シート(粘着シートA)を得た。前記粘着シートAから剥離ライナAを剥がした(又は除去した)後、130℃のオーブン中で約1分乾燥させることにより、粘着剤Aからなる粘着剤層から揮発成分を除去し、再度、低密度ポリエチレンフィルムのみからなる剥離ライナ(剥離ライナB)を貼り合わせて、基材付き粘着シートを作製した。
【0059】
(比較例1)
下塗り剤Aを塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、基材付き粘着シートを作製した。
【0060】
従って、実施例1に係る基材付き粘着シートでは、基材のアルミニウム箔上に、下塗り剤Aからなる下塗り剤層、粘着剤Aからなる粘着剤層がこの順で形成されている。一方、比較例1に係る基材付き粘着シートでは、基材のアルミニウム箔上に、粘着剤Aからなる粘着剤層が直接形成されている。
【0061】
(制振特性の評価)
実施例1で得られた粘着シートについて、市販されている2.5インチハードディスクドライブのトップカバー外面(筺体の上面)の約56%(表面積比)の部分に貼り付け、以下の騒音レベル(駆動時発生音)の測定方法により、貼り付ける前後での騒音レベルを測定したところ、実施例1に係る粘着シートを貼り付ける前に27.7dB(A)であった騒音レベルが、貼り付けた後は25.8dB(A)となった。
【0062】
<騒音レベル(駆動時発生音)の測定方法>
粘着ラベルをトップカバーに貼付したハードディスクドライブに電源を入れて駆動させ、駆動時の騒音レベル(駆動時発生音)を以下の方法により測定した。
【0063】
騒音レベルの測定は無響室内で行った。無響室内に試験台を設置し、高遮音性のゴム系発泡体(厚み20mm)の上に騒音測定の対象となるハードディスクドライブの粘着ラベル貼付け部位となる面を上にして設置した。(高遮音性のゴム系発泡体はハードディスクドライブの振動伝播による試験台の固体伝播音を防止し、またハードディスクドライブ底面からの騒音を遮断する目的で使用する。)
【0064】
ハードディスクドライブを駆動させ、騒音レベルが安定するまで放置した後、中央部上方300mmに設置した自由音場型マイクロホンにより騒音レベルを測定した。測定値は、聴感補正としてA特性を使用し、20秒間の平均化処理を施し、周波数範囲として20〜20000Hzのオーバーオール値で表わした。
【0065】
(糊残り防止性の評価)
また、実施例1及び比較例1で得られた粘着シートについて、以下の再剥離性(糊残り防止性)の測定方法により、再剥離時の糊残り防止性を評価した。評価結果は、表1の「糊残り防止性」の欄に示した。
【0066】
<再剥離性(糊残り防止性)の測定方法>
粘着シートを、20mm幅に切断し、室温にて被着体としてのステンレス板にゴムローラー(2kg)を用いて圧着して(1往復)貼付し、貼付後、室温にて30分エージングし、さらに60℃のオーブン中に2時間投入し、該オーブンより取り出した後1時間放冷させた後、室温(23℃)にて、剥離角度180°、剥離速度300mm/分の条件で引き剥がして、引き剥がし後、ステンレス板の粘着シート貼着面を目視で観察して、糊残りの有無を確認した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1から明らかなように、実施例1に係る粘着シートは、再剥離時には、ハードディスクドライブの筺体表面に粘着成分を残存させることなく再剥離することができ、糊残り防止性が優れている。もちろん、粘着剤層と基材との投錨性が高く、優れた接着力で接着されている。しかも、基材として、粘着剤層側の面が金属面となっていても(すなわち、粘着剤層側の面が樹脂フィルム層による面となっていなくても)よいので、従来のHDD用粘着ラベルにおける基材の粘着剤層側の樹脂フィルム層を省略することができ、このことにより、従来のHDD用粘着ラベルよりも厚みを薄くすることができる。
【0069】
また、優れた制振特性も保持しており、現在市販されているハードディスクドライブの表示ラベルの貼付部位に貼付するだけで、駆動時発生音を1dB以上低減することが可能である。
【0070】
【発明の効果】
本発明の粘着ラベルは、上記の如き構成を有することにより、粘着ラベルとしての各種情報表示機能と、ハードディスクドライブの駆動時における発生音を低減できる機能を両立させることでき、また、HDD用粘着ラベルの薄層化のために、基材における金属箔の粘着剤層側の樹脂フィルム層を設けなくても、粘着剤層と基材との投錨性、および再剥離時の糊残り防止性を良好にすることができる。従って、本発明の粘着ラベルは、粘着剤層は下塗り剤層により基材と密接に接着されており、例えば、誤って貼り付けた際や、リワークが生じた際などにおいて、粘着剤ラベルを再剥離しても、ハードディスクドライブの表面に粘着成分を残存させることなく、容易にハードディスクドライブの表面から再剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルの一態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明のハードディスクドライブ用粘着ラベルが貼付されたハードディスクドライブを示す概略図である。
【符号の説明】
1 ハードディスクドライブ用粘着ラベル
2 基材
2a 樹脂フィルム層
2b 金属箔
3 粘着剤層
4 下塗り剤層
5 剥離ライナ
6 情報表示部
A ハウジング本体
B トップカバー
Claims (4)
- 基材と、該基材の片面に形成された情報表示部と、基材の他面に形成された粘着剤層とを有し、ハードディスクドライブの筺体外面に貼付されることでハードディスクドライブ駆動時の発生音を低減することが可能なハードディスクドライブ用粘着ラベルであって、基材と粘着剤層との間に下塗り剤層を具備していることを特徴とするハードディスクドライブ用粘着ラベル。
- 基材の下塗り剤層側の面が、金属面である請求項1記載のハードディスクドライブ用粘着ラベル。
- 下塗り剤層を構成する下塗り剤が、モノマー成分全量に対して、100〜20重量%の(メタ)アクリル酸と、0〜80重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする重合体によるアクリル系下塗り剤である請求項1又は2記載のハードディスクドライブ用粘着ラベル。
- 粘着剤層を構成する粘着剤が、モノマー成分全量に対して、0.5〜10重量%の(メタ)アクリル酸と、99.5〜90重量%の(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー成分とする共重合体によるアクリル系粘着剤である請求項1〜3の何れかの項に記載のハードディスクドライブ用粘着ラベル。
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