JP2004303308A - 光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法および前記方法を実行可能な光ディスク装置 - Google Patents
光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法および前記方法を実行可能な光ディスク装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】トラッキングサーボをかけることなく最良のフォーカスバイアスを求めることを可能にする光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法を提供することを課題とする。
【解決手段】トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ピックアップから照射されるレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動し、それによって得られたＨＦ信号に基づいて、最良なフォーカスポイントを得ることが可能なフォーカスバイアスを求める。
【選択図】 図１
【解決手段】トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ピックアップから照射されるレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動し、それによって得られたＨＦ信号に基づいて、最良なフォーカスポイントを得ることが可能なフォーカスバイアスを求める。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法に関し、より詳しくは、光ディスク装置において、最良のフォーカスポイントを設定するためのフォーカスバイアスの調整方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＣＤ（コンパクトディスク）やＣＤ−ＲＯＭやＣＤ−ＲやＣＤ−ＲＷなどのいわゆる光ディスクに対してデータの記録再生を行う光学式記録再生装置（以下、「光ディスク装置」という）では、トラッキングサーボにより螺旋状のトラックを追従するとともにフォーカスサーボにより対物レンズと光ディスクの記録面の距離を一定に保ち、それにより光ディスクに対してまたは光ディスクから正常にデータを記録または再生できるようになっている。これらのサーボ処理は、光ディスクに照射したレーザビームの反射光の分布に基づいて生成されるトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号などの各エラー信号に基づいて行われる。すなわち、これらのエラー信号に対して、適切なゲインをかけるとともに、位相補償などを行ってトラッキングサーボ信号およびフォーカスサーボ信号を生成し、アクチュエータドライバを介して光ピックアップに設けられたトラッキングアクチュエータ（トラッキングコイル）やフォーカッシングアクチュエータ（フォーカッシングコイル）などを駆動する。
【０００３】
このような光ディスク装置においては、光ピックアップから照射されたレーザビームが光ディスクの記録面で合焦状態となる最良のフォーカスポイントを得ることができるように、精度よくレーザビームの収束を行うことが必要であり、そのために、たとえば製造・出荷時にフォーカス方向の焦点調整（以下、「フォーカスバイアスの調整」という）が行われている。
【０００４】
従来、このフォーカスバイアスの調整をするために、たとえば特許文献１に記載されているように、トラッキングサーボおよびフォーカスサーボをかけた状態で光ディスクを再生し、それにより得られたＨＦ信号の振幅を利用し、ＨＦ信号の振幅が最も大きくなるようなフォーカスサーボのバイアスを求め、そのバイアス値を最良値として設定することにより、フォーカスバイアスの調整が行われていた。
【０００５】
【特許文献１】
特表２００２−５０２５３４号公報（第５頁〜第７頁）
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したようなフォーカスバイアスの調整方法では、調整時にトラッキングサーボが外れてしまい適切なフォーカスバイアスの調整が行えなくなる場合がある。すなわち、前述した方法では、トラッキングサーボをかけた状態でフォーカスサーボのバイアスを調整範囲内で変化させて最良点を求めているが、バイアスを変化させている段階でレーザビームのスポット径が肥大し、トラッキングサーボが外れる動作不具合が発生する場合がある。このようなトラッキングサーボが外れる事態は、フォーカスバイアスの最良点が調整開始点より大きく外れている場合に起こりやすい。また、回路（エラー信号抽出回路）のオフセット成分が大きい場合にも起こりやすい。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであり、トラッキングサーボをかけることなく、最良のフォーカスバイアスを求めることを可能にするフォーカスバイアスの調整方法を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る光ディスク装置におけるフォーカスサーボの焦点調整方法は、トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ディスクを回転駆動させるステップと、光ピックアップからのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動するステップと、それによって得られたＨＦ信号に基づいて、適切なフォーカスポイントを得ることが可能なフォーカスバイアスを求めるステップと、を含むことを特徴とする。
【０００９】
以上のような本発明のフォーカスバイアスの調整方法によれば、トラッキングサーボがかかっていないにもかかわらず、光ピックアップからのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動することで、トラッキングサーボがかかった状態と近い状態を擬似的に作り出すことができ、それにより得られたＨＦ信号に基づいて、最良のフォーカスバイアスを求めることができる。そのため、従来の方法で問題となっていた調整中にレーザビームのスポット径が肥大してトラッキングサーボが外れるという不具合が起きることなくフォーカスバイアスの調整ができる。
【００１０】
好ましくは、前記光ピックアップのアクチュエータの駆動は、トラッキングサーボをかけない状態で、光ピックアップのトラッキングアクチュエータにアクチュエータ振り制御信号を供給することにより行われる。このアクチュエータ振り制御信号は、好ましくは、光ピックアップのトラッキングアクチュエータにパルスまたはサイン波の駆動電圧を印加することにより供給される。
【００１１】
また、好ましくは、前記ＨＦ信号をピーク／ボトムホールド回路に通し、それにより得られた信号に基づいて、前記フォーカスバイアスを求める。
【００１２】
また、好ましくは、前記フォーカスバイアスの調整を光ディスクが装填される毎に実行される。
【００１３】
また、本発明は、以上のような方法を実行可能な回路を備えた光ディスク装置に関する。
【００１４】
上述したまたはそれ以外の本発明の目的、構成および効果は、図面を参照して行う以下の好適実施形態の説明から明らかとなるであろう。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、ＣＤ−ＲＯＭなどの再生が可能な光ディスク装置において本発明のフォーカスバイアスの調整方法を適用した場合について説明しているが、本発明の調整方法が適用されるのは、そのような光ディスク装置に限られないことは言うまでもない。
【００１６】
まず、本発明の特徴は、光ディスク装置においてトラッキングサーボをかけることなく最良のフォーカスバイアスを求めることを可能にする調整方法に関する。具体的には、トラッキングサーボをかける代わりに光ピックアップからのレーザビーム（すなわち、対物レンズ）をトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動し、それによりトラッキングサーボがかかった状態と近い状態を擬似的に作り出し、その状態で得られたＨＦ信号の振幅を利用し、ＨＦ信号の振幅が最も大きくなるようなフォーカスサーボのバイアスを求め、そのバイアス値を最適値として設定することにより、フォーカスバイアスの調整を行うものである。
【００１７】
図１は、この調整方法を実行するための光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。図中、符号１は光ディスク、３は光ピックアップ、１０はＲＦアンプ／エラー信号抽出部、２０はデジタルサーボプロセッサ、３０はアクチュエータドライバを示している。このアクチュエータドライバ３０からは、光ピックアップ３にトラッキング駆動電圧およびフォーカス駆動電圧が供給され、それぞれ光ピックアップ３内に設けられた図示しないトラッキングアクチュエータ（トラッキングコイル）およびフォーカッシングアクチュエータ（フォーカッシングコイル）を駆動して、光ピックアップ３の対物レンズ（図示せず）をトラッキング方向（光ディスクの半径方向）およびフォーカス方向（ディスクの記録面に垂直な方向）に移動させて、トラッキングサーボおよびフォーカスサーボを行うようになっている。
【００１８】
より詳しくは、光ピックアップ３から光ディスク１に照射されたレーザビームは、光ディスク１の記録面で反射され、反射されたレーザビームは、光ピックアップ３内に設けられたフォトディテクタ（図示せず）により受光される。このフォトディテクタからのＲＦ信号は、ＲＦアンプ／エラー信号抽出部１０に送られる。このＲＦアンプ／エラー信号抽出部１０には、ＲＦ信号を増幅してＨＦ信号を生成するＲＦアンプ１２と、ＲＦ信号からトラッキングエラー信号（ＴＥ信号）とフォーカスエラー信号（ＦＥ信号）を生成するエラー信号抽出回路１４と、前記ＨＦ信号のエンベロープを抽出するピーク／ボトムホールド回路１６が設けられている。
【００１９】
これらのＨＦ信号、エンベロープ信号、トラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号は、それぞれ、Ａ／Ｄコンバータ２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄを介して、デジタルサーボプロセッサ２０に入力される。より詳しくは、ＨＦ信号とエンベロープ信号は、それぞれ、Ａ／Ｄコンバータ２１ａおよび２１ｂを介して、制御部２３に入力される。また、トラッキングエラー信号は、Ａ／Ｄコンバータ２１ｃを介して、トラッキングサーボ出力演算回路２４に入力される。さらに、フォーカスエラー信号は、Ａ／Ｄコンバータ２１ｄを介して、フォーカスサーボ出力演算回路２５に入力される。これらのトラッキングサーボ出力演算回路２４およびフォーカスサーボ出力演算回路２５からのトラッキングサーボ信号およびフォーカスサーボ信号は、それぞれ、Ｄ／Ａコンバータ２６ａ、２６ｂを介して、アクチュエータドライバ３０に出力されるようになっている。
【００２０】
制御部２３は、前記トラキングエラー信号の代わりに、アクチュエータ振り制御信号を供給できるようになっている。すなわち、制御部２３は、本発明にかかるフォーカスバイアスの調整を実行する際には、トラッキングサーボをＯＦＦにし、その代わりにこのアクチュエータ振り制御信号を供給するように動作する。
【００２１】
このアクチュエータ振り制御信号は、トラッキングサーボがかかっていない状態で、光ピックアップ３から照射されるレーザビーム（すなわち、対物レンズ）をトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動する信号であって、該光ピックアップのトラッキングアクチュエータにパルスまたはサイン波の駆動電圧を印加する。具体的には、１００Ｈｚ程度の方形波をマイコンのポートから出力し、コンデンサと抵抗をシリアルに接続してアクチェータドライバ３０に印加する。これにより、トラッキングサーボがかかっていないにもかかわらず、トラッキングサーボがかかった状態と近い状態を擬似的に作り出すようになっている。
【００２２】
また、制御部２３からは、フォーカスバイアスを調整するためのフォーカスバイアス信号（バイアス値）が前記フォーカスサーボ信号に印加されるようになっており、これによりフォーカスバイアスの調整がなされる。なお、制御部２３には、このバイアス値を求めるためのＨＦ信号の振幅計算回路２３ａが設けられている。
【００２３】
アクチュエータドライバ３０は、前記デジタルサーボプロセッサ２０から供給されたトラッキングサーボ信号およびフォーカスサーボ信号に応じて、光ピックアップ３のトラッキングアクチュエータおよびフォーカッシングアクチュエータに、それぞれ、トラッキング駆動電圧およびフォーカス駆動電圧を供給するようになっている。また、トラッキングサーボ信号の代わりにアクチュエータ振り制御信号が入力された場合には、その信号に応じて、光ピックアップ３の対物レンズをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのトラッキングアクチュエータを駆動するパルスまたはサイン波の駆動電圧を供給するようになっている。
【００２４】
以下、図１の回路を用いてフォーカスバイアスの調整をする場合の動作について説明する。
【００２５】
前述したように、本発明にかかるフォーカスバイアスの調整方法を実行する場合には、トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ピックアップ３からのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動する。すなわち、対物レンズをトラッキング方向に振るように光ピックアップのアクチュエータを駆動する。具体的には、制御部２３から、トラキングサーボ信号の代わりにアクチュエータ振り信号が供給され、該信号がＤ／Ａコンバータ２６ａを介して、アクチュエータドライバ３０に出力される。アクチュエータドライバ３０は、このアクチュエータ振り信号に応じたパルスまたはサイン波の駆動電圧を光ピックアップ３のトラッキングアクチュエータに印加するようになっている。なお、この間アクチュエータドライバ３０は、光ピックアップ３に通常のフォーカス駆動電圧を供給している。
【００２６】
この状態で、図示しないスピンドルモータにより光ディスク１を回転させると、トラッキングアクチュエータが前記パルスまたはサイン波の駆動電圧により駆動し、対物レンズをトラキング方向に小刻みに振るので、すなわち対物レンズを小刻みに移動させるので、レーザビームが多数のトラックを横断しながら、ＨＦ信号が出力されることになる。
【００２７】
このＨＦ信号は、多数のトラックを横断しているため、ＯＮトラックの位置でしか振幅が出ない不規則な振幅を有する信号となる。そのため、このＨＦ信号をＲＦアンプ／エラー信号抽出部１０のピーク／ボトムホールド回路１６に通し、ＨＦ信号の振幅を検波する。具体的には、ハイパスフィルターによりＤＣ成分を除去した後、その信号をピーク／ボトムホールド回路１６に通し、エンベロープを抽出する。この場合、前述したように対物レンズを小刻みに振っているので、見掛け上すべてＯＮトラックからの信号のようになり、擬似的にトラッキングサーボかかった状態と同じようなＨＦ信号を抽出できる。
【００２８】
このピーク／ボトムホールド回路１６を通ったＨＦ信号にフォーカスバイアスを注入してバイアスを変化させると、ＨＦ信号の振幅が増減する。そのため、最も振幅が大きくなるバイアス電圧を最良のレーザビームのフォーカッシングポイントが得られるフォーカスバイアス値として設定する。具体的には、制御部２３のＨＦ振幅計算回路２３ａがそのような最も振幅が大きくなるバイアス電圧を求め、それをバイアス値として、フォーカスサーボ信号に印加する。
【００２９】
上述したように、本発明のフォーカスバイアスの調整方法によれば、トラッキングサーボをかけない状態で、最良のフォーカスバイアスを求めて、フォーカッシングポイントの調整が可能となる。そのため、トラッキングサーボをかけた状態で調整する方法に比べて安定した状態（トラッキングサーボが外れる不具合のない状態）でフォーカスバイアスの調整が可能となる。
【００３０】
なお、本発明のフォーカスバイアスの調整方法を実行するための回路は、上述した回路に限定されず、種々の構成のものを用いることができる。たとえば、上記実施形態のようにサーボプロセッサではなく、光ディスク装置全体の制御を行うＣＰＵからアクチュエータ振り信号やフォーカスバイアス信号を供給するように構成することも可能である。
【００３１】
また、本発明のフォーカスバイアスの調整方法は、主として、光ディスク装置の製造・出荷時の調整に用いられるが、実際の使用時において、光ディスクの装填毎に調整するようにしてもよい。それにより、メディアにあった適切なフォーカスポイントを設定することが可能となる。
【００３２】
また、複数種類の光ディスクを記録・再生できるタイプの光ディスク装置の場合には、ディスクの種類毎に本発明の方法により得られた最良なフォーカスバイアス値を予め設定しておき、装填されたディスクの種類に応じて、適切なフォーカスバイアス値によるフォーカス制御をするようにしてもよい。
【００３３】
さらに、以上の実施形態は、例として、本発明の調整方法がＣＤ−ＲＯＭを再生する光ディスク装置に応用された場合について述べているが、本発明は、ＨＦ信号を得ることが必要なことから、ブランクディスクでなければ、ＣＤ−Ｒ，ＣＤ−ＲＷ、ＤＶＤ，ＤＶＤ−ＲＡＭ，ＤＶＤ−ＲＷ、ＭＤ（ミニディスク）などの光ディスク装置においても適用することができる。
【００３４】
【発明の効果】
本発明のフォーカスバイアスの調整方法によれば、トラッキングサーボをかけない状態で、最良のフォーカスバイアスを求めて、フォーカッシングポイントの調整が可能となる。そのため、トラッキングサーボをかけた状態で調整する方法に比べて安定した状態（トラッキングサーボが外れることによる不具合のない状態）でフォーカスバイアスの調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の調整方法を実行するための光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
１ 光ディスク
３ 光ピックアップ
１０ ＲＦアンプ／エラー信号抽出部
１２ ＲＦアンプ
１４ エラー信号抽出回路
１６ ピーク／ボトムホールド回路
２０ デジタルサーボプロセッサ
２１ａ〜２１ｄ Ａ／Ｄコンバータ
２３ 制御部
２３ａ ＨＦ振幅計算回路
２４ トラッキングサーボ出力演算回路
２５ フォーカスサーボ出力演算回路
２６ａ、２６ｂ Ｄ／Ａコンバータ
３０ アクチュエータドライバ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法に関し、より詳しくは、光ディスク装置において、最良のフォーカスポイントを設定するためのフォーカスバイアスの調整方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＣＤ（コンパクトディスク）やＣＤ−ＲＯＭやＣＤ−ＲやＣＤ−ＲＷなどのいわゆる光ディスクに対してデータの記録再生を行う光学式記録再生装置（以下、「光ディスク装置」という）では、トラッキングサーボにより螺旋状のトラックを追従するとともにフォーカスサーボにより対物レンズと光ディスクの記録面の距離を一定に保ち、それにより光ディスクに対してまたは光ディスクから正常にデータを記録または再生できるようになっている。これらのサーボ処理は、光ディスクに照射したレーザビームの反射光の分布に基づいて生成されるトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号などの各エラー信号に基づいて行われる。すなわち、これらのエラー信号に対して、適切なゲインをかけるとともに、位相補償などを行ってトラッキングサーボ信号およびフォーカスサーボ信号を生成し、アクチュエータドライバを介して光ピックアップに設けられたトラッキングアクチュエータ（トラッキングコイル）やフォーカッシングアクチュエータ（フォーカッシングコイル）などを駆動する。
【０００３】
このような光ディスク装置においては、光ピックアップから照射されたレーザビームが光ディスクの記録面で合焦状態となる最良のフォーカスポイントを得ることができるように、精度よくレーザビームの収束を行うことが必要であり、そのために、たとえば製造・出荷時にフォーカス方向の焦点調整（以下、「フォーカスバイアスの調整」という）が行われている。
【０００４】
従来、このフォーカスバイアスの調整をするために、たとえば特許文献１に記載されているように、トラッキングサーボおよびフォーカスサーボをかけた状態で光ディスクを再生し、それにより得られたＨＦ信号の振幅を利用し、ＨＦ信号の振幅が最も大きくなるようなフォーカスサーボのバイアスを求め、そのバイアス値を最良値として設定することにより、フォーカスバイアスの調整が行われていた。
【０００５】
【特許文献１】
特表２００２−５０２５３４号公報（第５頁〜第７頁）
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したようなフォーカスバイアスの調整方法では、調整時にトラッキングサーボが外れてしまい適切なフォーカスバイアスの調整が行えなくなる場合がある。すなわち、前述した方法では、トラッキングサーボをかけた状態でフォーカスサーボのバイアスを調整範囲内で変化させて最良点を求めているが、バイアスを変化させている段階でレーザビームのスポット径が肥大し、トラッキングサーボが外れる動作不具合が発生する場合がある。このようなトラッキングサーボが外れる事態は、フォーカスバイアスの最良点が調整開始点より大きく外れている場合に起こりやすい。また、回路（エラー信号抽出回路）のオフセット成分が大きい場合にも起こりやすい。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであり、トラッキングサーボをかけることなく、最良のフォーカスバイアスを求めることを可能にするフォーカスバイアスの調整方法を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る光ディスク装置におけるフォーカスサーボの焦点調整方法は、トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ディスクを回転駆動させるステップと、光ピックアップからのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動するステップと、それによって得られたＨＦ信号に基づいて、適切なフォーカスポイントを得ることが可能なフォーカスバイアスを求めるステップと、を含むことを特徴とする。
【０００９】
以上のような本発明のフォーカスバイアスの調整方法によれば、トラッキングサーボがかかっていないにもかかわらず、光ピックアップからのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動することで、トラッキングサーボがかかった状態と近い状態を擬似的に作り出すことができ、それにより得られたＨＦ信号に基づいて、最良のフォーカスバイアスを求めることができる。そのため、従来の方法で問題となっていた調整中にレーザビームのスポット径が肥大してトラッキングサーボが外れるという不具合が起きることなくフォーカスバイアスの調整ができる。
【００１０】
好ましくは、前記光ピックアップのアクチュエータの駆動は、トラッキングサーボをかけない状態で、光ピックアップのトラッキングアクチュエータにアクチュエータ振り制御信号を供給することにより行われる。このアクチュエータ振り制御信号は、好ましくは、光ピックアップのトラッキングアクチュエータにパルスまたはサイン波の駆動電圧を印加することにより供給される。
【００１１】
また、好ましくは、前記ＨＦ信号をピーク／ボトムホールド回路に通し、それにより得られた信号に基づいて、前記フォーカスバイアスを求める。
【００１２】
また、好ましくは、前記フォーカスバイアスの調整を光ディスクが装填される毎に実行される。
【００１３】
また、本発明は、以上のような方法を実行可能な回路を備えた光ディスク装置に関する。
【００１４】
上述したまたはそれ以外の本発明の目的、構成および効果は、図面を参照して行う以下の好適実施形態の説明から明らかとなるであろう。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、ＣＤ−ＲＯＭなどの再生が可能な光ディスク装置において本発明のフォーカスバイアスの調整方法を適用した場合について説明しているが、本発明の調整方法が適用されるのは、そのような光ディスク装置に限られないことは言うまでもない。
【００１６】
まず、本発明の特徴は、光ディスク装置においてトラッキングサーボをかけることなく最良のフォーカスバイアスを求めることを可能にする調整方法に関する。具体的には、トラッキングサーボをかける代わりに光ピックアップからのレーザビーム（すなわち、対物レンズ）をトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動し、それによりトラッキングサーボがかかった状態と近い状態を擬似的に作り出し、その状態で得られたＨＦ信号の振幅を利用し、ＨＦ信号の振幅が最も大きくなるようなフォーカスサーボのバイアスを求め、そのバイアス値を最適値として設定することにより、フォーカスバイアスの調整を行うものである。
【００１７】
図１は、この調整方法を実行するための光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。図中、符号１は光ディスク、３は光ピックアップ、１０はＲＦアンプ／エラー信号抽出部、２０はデジタルサーボプロセッサ、３０はアクチュエータドライバを示している。このアクチュエータドライバ３０からは、光ピックアップ３にトラッキング駆動電圧およびフォーカス駆動電圧が供給され、それぞれ光ピックアップ３内に設けられた図示しないトラッキングアクチュエータ（トラッキングコイル）およびフォーカッシングアクチュエータ（フォーカッシングコイル）を駆動して、光ピックアップ３の対物レンズ（図示せず）をトラッキング方向（光ディスクの半径方向）およびフォーカス方向（ディスクの記録面に垂直な方向）に移動させて、トラッキングサーボおよびフォーカスサーボを行うようになっている。
【００１８】
より詳しくは、光ピックアップ３から光ディスク１に照射されたレーザビームは、光ディスク１の記録面で反射され、反射されたレーザビームは、光ピックアップ３内に設けられたフォトディテクタ（図示せず）により受光される。このフォトディテクタからのＲＦ信号は、ＲＦアンプ／エラー信号抽出部１０に送られる。このＲＦアンプ／エラー信号抽出部１０には、ＲＦ信号を増幅してＨＦ信号を生成するＲＦアンプ１２と、ＲＦ信号からトラッキングエラー信号（ＴＥ信号）とフォーカスエラー信号（ＦＥ信号）を生成するエラー信号抽出回路１４と、前記ＨＦ信号のエンベロープを抽出するピーク／ボトムホールド回路１６が設けられている。
【００１９】
これらのＨＦ信号、エンベロープ信号、トラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号は、それぞれ、Ａ／Ｄコンバータ２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄを介して、デジタルサーボプロセッサ２０に入力される。より詳しくは、ＨＦ信号とエンベロープ信号は、それぞれ、Ａ／Ｄコンバータ２１ａおよび２１ｂを介して、制御部２３に入力される。また、トラッキングエラー信号は、Ａ／Ｄコンバータ２１ｃを介して、トラッキングサーボ出力演算回路２４に入力される。さらに、フォーカスエラー信号は、Ａ／Ｄコンバータ２１ｄを介して、フォーカスサーボ出力演算回路２５に入力される。これらのトラッキングサーボ出力演算回路２４およびフォーカスサーボ出力演算回路２５からのトラッキングサーボ信号およびフォーカスサーボ信号は、それぞれ、Ｄ／Ａコンバータ２６ａ、２６ｂを介して、アクチュエータドライバ３０に出力されるようになっている。
【００２０】
制御部２３は、前記トラキングエラー信号の代わりに、アクチュエータ振り制御信号を供給できるようになっている。すなわち、制御部２３は、本発明にかかるフォーカスバイアスの調整を実行する際には、トラッキングサーボをＯＦＦにし、その代わりにこのアクチュエータ振り制御信号を供給するように動作する。
【００２１】
このアクチュエータ振り制御信号は、トラッキングサーボがかかっていない状態で、光ピックアップ３から照射されるレーザビーム（すなわち、対物レンズ）をトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動する信号であって、該光ピックアップのトラッキングアクチュエータにパルスまたはサイン波の駆動電圧を印加する。具体的には、１００Ｈｚ程度の方形波をマイコンのポートから出力し、コンデンサと抵抗をシリアルに接続してアクチェータドライバ３０に印加する。これにより、トラッキングサーボがかかっていないにもかかわらず、トラッキングサーボがかかった状態と近い状態を擬似的に作り出すようになっている。
【００２２】
また、制御部２３からは、フォーカスバイアスを調整するためのフォーカスバイアス信号（バイアス値）が前記フォーカスサーボ信号に印加されるようになっており、これによりフォーカスバイアスの調整がなされる。なお、制御部２３には、このバイアス値を求めるためのＨＦ信号の振幅計算回路２３ａが設けられている。
【００２３】
アクチュエータドライバ３０は、前記デジタルサーボプロセッサ２０から供給されたトラッキングサーボ信号およびフォーカスサーボ信号に応じて、光ピックアップ３のトラッキングアクチュエータおよびフォーカッシングアクチュエータに、それぞれ、トラッキング駆動電圧およびフォーカス駆動電圧を供給するようになっている。また、トラッキングサーボ信号の代わりにアクチュエータ振り制御信号が入力された場合には、その信号に応じて、光ピックアップ３の対物レンズをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのトラッキングアクチュエータを駆動するパルスまたはサイン波の駆動電圧を供給するようになっている。
【００２４】
以下、図１の回路を用いてフォーカスバイアスの調整をする場合の動作について説明する。
【００２５】
前述したように、本発明にかかるフォーカスバイアスの調整方法を実行する場合には、トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ピックアップ３からのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動する。すなわち、対物レンズをトラッキング方向に振るように光ピックアップのアクチュエータを駆動する。具体的には、制御部２３から、トラキングサーボ信号の代わりにアクチュエータ振り信号が供給され、該信号がＤ／Ａコンバータ２６ａを介して、アクチュエータドライバ３０に出力される。アクチュエータドライバ３０は、このアクチュエータ振り信号に応じたパルスまたはサイン波の駆動電圧を光ピックアップ３のトラッキングアクチュエータに印加するようになっている。なお、この間アクチュエータドライバ３０は、光ピックアップ３に通常のフォーカス駆動電圧を供給している。
【００２６】
この状態で、図示しないスピンドルモータにより光ディスク１を回転させると、トラッキングアクチュエータが前記パルスまたはサイン波の駆動電圧により駆動し、対物レンズをトラキング方向に小刻みに振るので、すなわち対物レンズを小刻みに移動させるので、レーザビームが多数のトラックを横断しながら、ＨＦ信号が出力されることになる。
【００２７】
このＨＦ信号は、多数のトラックを横断しているため、ＯＮトラックの位置でしか振幅が出ない不規則な振幅を有する信号となる。そのため、このＨＦ信号をＲＦアンプ／エラー信号抽出部１０のピーク／ボトムホールド回路１６に通し、ＨＦ信号の振幅を検波する。具体的には、ハイパスフィルターによりＤＣ成分を除去した後、その信号をピーク／ボトムホールド回路１６に通し、エンベロープを抽出する。この場合、前述したように対物レンズを小刻みに振っているので、見掛け上すべてＯＮトラックからの信号のようになり、擬似的にトラッキングサーボかかった状態と同じようなＨＦ信号を抽出できる。
【００２８】
このピーク／ボトムホールド回路１６を通ったＨＦ信号にフォーカスバイアスを注入してバイアスを変化させると、ＨＦ信号の振幅が増減する。そのため、最も振幅が大きくなるバイアス電圧を最良のレーザビームのフォーカッシングポイントが得られるフォーカスバイアス値として設定する。具体的には、制御部２３のＨＦ振幅計算回路２３ａがそのような最も振幅が大きくなるバイアス電圧を求め、それをバイアス値として、フォーカスサーボ信号に印加する。
【００２９】
上述したように、本発明のフォーカスバイアスの調整方法によれば、トラッキングサーボをかけない状態で、最良のフォーカスバイアスを求めて、フォーカッシングポイントの調整が可能となる。そのため、トラッキングサーボをかけた状態で調整する方法に比べて安定した状態（トラッキングサーボが外れる不具合のない状態）でフォーカスバイアスの調整が可能となる。
【００３０】
なお、本発明のフォーカスバイアスの調整方法を実行するための回路は、上述した回路に限定されず、種々の構成のものを用いることができる。たとえば、上記実施形態のようにサーボプロセッサではなく、光ディスク装置全体の制御を行うＣＰＵからアクチュエータ振り信号やフォーカスバイアス信号を供給するように構成することも可能である。
【００３１】
また、本発明のフォーカスバイアスの調整方法は、主として、光ディスク装置の製造・出荷時の調整に用いられるが、実際の使用時において、光ディスクの装填毎に調整するようにしてもよい。それにより、メディアにあった適切なフォーカスポイントを設定することが可能となる。
【００３２】
また、複数種類の光ディスクを記録・再生できるタイプの光ディスク装置の場合には、ディスクの種類毎に本発明の方法により得られた最良なフォーカスバイアス値を予め設定しておき、装填されたディスクの種類に応じて、適切なフォーカスバイアス値によるフォーカス制御をするようにしてもよい。
【００３３】
さらに、以上の実施形態は、例として、本発明の調整方法がＣＤ−ＲＯＭを再生する光ディスク装置に応用された場合について述べているが、本発明は、ＨＦ信号を得ることが必要なことから、ブランクディスクでなければ、ＣＤ−Ｒ，ＣＤ−ＲＷ、ＤＶＤ，ＤＶＤ−ＲＡＭ，ＤＶＤ−ＲＷ、ＭＤ（ミニディスク）などの光ディスク装置においても適用することができる。
【００３４】
【発明の効果】
本発明のフォーカスバイアスの調整方法によれば、トラッキングサーボをかけない状態で、最良のフォーカスバイアスを求めて、フォーカッシングポイントの調整が可能となる。そのため、トラッキングサーボをかけた状態で調整する方法に比べて安定した状態（トラッキングサーボが外れることによる不具合のない状態）でフォーカスバイアスの調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の調整方法を実行するための光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
１ 光ディスク
３ 光ピックアップ
１０ ＲＦアンプ／エラー信号抽出部
１２ ＲＦアンプ
１４ エラー信号抽出回路
１６ ピーク／ボトムホールド回路
２０ デジタルサーボプロセッサ
２１ａ〜２１ｄ Ａ／Ｄコンバータ
２３ 制御部
２３ａ ＨＦ振幅計算回路
２４ トラッキングサーボ出力演算回路
２５ フォーカスサーボ出力演算回路
２６ａ、２６ｂ Ｄ／Ａコンバータ
３０ アクチュエータドライバ
Claims (6)
- トラッキングサーボをかけずにフォーカスサーボだけをかけた状態で光ディスクを回転駆動させるステップと、
光ピックアップからのレーザビームをトラッキング方向に振るように該光ピックアップのアクチュエータを駆動するステップと、
それによって得られたＨＦ信号に基づいて、適切なフォーカスポイントを得ることが可能なフォーカスバイアスを求めるステップと、を含むことを特徴とする光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法。 - 前記光ピックアップのアクチュエータの駆動は、トラッキングサーボをかけない状態で、光ピックアップのトラッキングアクチュエータにアクチュエータ振り制御信号を供給することにより行われる請求項１に記載のフォーカスバイアスの調整方法。
- 前記アクチュエータ振り制御信号は、前記光ピックアップのトラッキングアクチュエータにパルスまたはサイン波の駆動電圧を印加する信号である請求項２に記載の光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法。
- 前記ＨＦ信号をピーク／ボトムホールド回路に通し、それにより得られた信号に基づいて、前記フォーカスバイアスを求めることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法。
- 前記フォーカスバイアスの調整を光ディスクが装填される毎に実行する請求項１ないし４のいずれかに記載の光ディスク装置におけるフォーカスバイアスの調整方法。
- 請求項１ないし５のいずれかに記載の方法を実行可能な回路を備えた光ディスク装置。
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