JP2004297975A - 電気接続箱の防水構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】カバー係止部の型抜き孔から接続箱本体内への水滴の浸入を防ぐ。
【解決手段】接続箱本体2の周壁に膨出部12を形成し、膨出部12の内側に係止部14と係止部成形用の型抜き孔17とを設け、係止部に14カバー7の被係止部13を係合させる電気接続箱1の構造で、接続箱本体2の周壁の内側に中間カバー5を装着し、膨出部12の内側空間15に進入して内側空間を塞ぐ突部20を中間カバー5の外周側に設けた。係止部14を接続箱本体2の内側に向けて突出形成した。接続箱本体2の内側に回路板組立体を収容し、回路板組立体の外側に中間カバー5を装着し、中間カバー5の外側に部品6を搭載すると共に部品を覆うカバー7を装着する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メインカバー内に収容した回路板組立体を中間カバーで覆い、中間カバーの外側に電子制御ユニット等の部品を搭載してサブカバーで覆った電気接続箱の防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の電気接続箱の防水構造の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
この電気接続箱41は合成樹脂製の一方のカバー42と他方のカバー43とを備え、両カバー(接続箱本体)42,43の内側に回路板組立体44を収容して、回路板組立体44をカバー42,43で外部の水滴45や塵等から保護したものである。
【0004】
一方(図で右側)のカバー42は周壁46の端縁に外向きの係止突起47を有し、他方(図で左側)のカバー43は周壁48の中間部に係止突起47を係合させる係合孔49を有している。係止突起47や係合孔49の数は適宜設定される。
【0005】
他方のカバー43の周壁48は一方のカバー42の周壁46よりも長く庇状に突出し(符号50で示す)、周壁48の外側にアーチ状の膨出部51が一体に設けられ、係止突起47と係合孔49とが膨出部51の内側に位置して外部の水滴45等から保護されている。外部の水滴45は膨出部51の上に落ち、膨出部51の表面に沿って庇部50から外部に落下し、係合孔49からカバー42,43内への水滴45の浸入が防止される。
【0006】
【特許文献1】
実開平1−76123号公報(第1〜2頁、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電気接続箱の防水構造にあっては、膨出部51の開口52側から水滴が吹き付けられたり、電気接続箱41の組付方向を90゜反転して使用する場合には、膨出部51内に入った水滴が係合孔49からカバー42,43内に浸入し、内部の回路板組立体44や電子部品等に悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0008】
また、膨出部51の内側に、図示しない第三のカバー(例えば外付けの電子制御ユニット等のカバー)に対する係止突起を設ける場合には、樹脂成形時の抜き型の関係で膨出部51の底部53を開口させなければならず、左右二つの開口から膨出部内に水滴が一層浸入しやすくなり、電気接続箱の防水性が悪化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記した点に鑑み、カバー(接続箱本体)に他のカバーの係止のための膨出部を設けた構造において、膨出部からカバー(接続箱本体)内への水滴等の浸入を防いで防水性を向上させることのできる電気接続箱の防水構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電気接続箱の防水構造は、接続箱本体の周壁に膨出部が形成され、該膨出部の内側に係止部と係止部成形用の型抜き孔とが設けられ、該係止部にカバーの被係止部が係合する電気接続箱の構造において、前記接続箱本体の周壁の内側に中間カバーが装着され、前記膨出部の内側空間に進入して該内側空間を塞ぐ突部が該中間カバーの外周側に設けられたことを特徴とする。
上記構成により、例えば型抜き孔から膨出部内に流入した水滴は中間カバーの突部で阻止されて、接続箱本体内への水滴の浸入が防止される。また、突部は接続箱本体に対する中間カバー装着時の位置決め部として作用し、中間カバーの装着がスムーズ且つ容易に行われる。
【0011】
請求項2に係る電気接続箱の防水構造は、請求項1記載の電気接続箱の防水構造において、前記係止部が前記接続箱本体の内側に向けて突出形成されたことを特徴とする。
上記構成により、接続箱本体に中間カバーを装着する際に、突部が係止部を外向きに押圧して膨出部が外向きに撓み、中間カバーの装着が容易化する。中間カバーを装着した後、部品を搭載し、カバーを装着する際も同様である。カバー及び中間カバーを接続箱本体から離脱させる際にも、突部が係止部を外向きに押圧して膨出部が外向きに撓むから、離脱が容易に行われる。
【0012】
請求項3に係る電気接続箱の防水構造は、請求項1又は2記載の電気接続箱の防水構造において、前記接続箱本体の内側に回路板組立体が収容され、該回路板組立体の外側に前記中間カバーが装着され、該中間カバーの外側に部品が搭載されると共に該部品を覆う前記カバーが装着されることを特徴とする。
上記構成により、中間カバーで回路板組立体を覆って外部から保護し、且つ中間カバーの突部で回路板組立体側への水滴や塵等の浸入を阻止する。中間カバーを装着した後、電子制御ユニット等の部品が搭載され、カバーで外部から保護される。カバーは接続箱本体の係止部で係止固定される。回路板組立体は中間カバーと部品のカバーとで二重に覆われて確実に保護される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係る電気接続箱の防水構造の一実施形態を示すものである。
【0014】
この電気接続箱1(図3)は、図1に示す合成樹脂製のメインカバー(接続箱本体)2と、メインカバー2の内側に収容される回路板組立体3及びヒューズブロック(電気部品ブロック)4と、これら回路板組立体3とヒューズブロック4とで構成されるサブ組立体の上に被着される図2〜図3の合成樹脂製の中間カバー5と、図3に鎖線で示す如く中間カバー5の上に装着される電子制御ユニット(部品)6と、電子制御ユニット6を覆うサブカバー(カバー)7とを少なくとも備えるものである。
【0015】
図1の如く、メインカバー2は左右及び後側の三方の壁部8〜10で構成される周壁(外壁)と、周壁8〜10の下側に直交して一体に続く基壁11とを備え、三方の各壁部8〜10に横断面矩形状(略コの字ないし凹字状)の膨出部12がそれぞれ設けられ、膨出部12の内側には、上記サブカバー7(図3)の係合突起(被係止部13)又は図示しない係合孔や係合凹部(被係止部)に対する係止突起(係止部)14が一体に設けられている。
【0016】
膨出部12はメインカバー2の周壁8〜10に直交して続く一対の短辺側の壁部12aと、短辺側の壁部12aを連結する長辺側の幅広の壁部12bとで構成され、上下に貫通する横断面矩形溝状の内側空間15と上下の開口16,17とを有し、上側の開口16内に係止突起14を有している。係止突起14は膨出部12の幅広な壁部12bの内面からメインカバー2の内側に向けて内向きに突出形成され、係止突起14の両側端は膨出部12の短辺側の壁部12aに直交して一体に続いている。係止突起14が内向きに形成されているから、膨出部12の外側への撓み作用で中間カバー5(図3)やサブカバー7の着脱が容易に行われる。
【0017】
この膨出部12とは別にメインカバー2の左右の壁部8,10の前端寄りには中間カバー5をスライド係合させるための左右一対の膨出部18が設けられている。膨出部18は内側に壁部8,10を貫通して略T字状の溝19を有している。上記各膨出部12,18の長さや係止突起14の位置等は電子制御ユニット6(図3)の大きさや形状等に応じて適宜設定される。
【0018】
本発明では主にサブカバー7(図3)の係止のための前述の膨出部12における防水性の向上を図ることを目的としている。なお、図1における電気接続箱1の方向性(上下前後左右)は電気接続箱1の組付方向とは無関係であり、上下逆に使用したり、あるいは90゜反転して使用したりすることもある。明細書では説明の便宜上、図1における上下左右の方向を用いて各部の構成を説明する。
【0019】
サブカバー7(図3)の係止のための膨出部12(図1)は各壁部8〜10の上端から高さ方向中間部まで垂直に延び、上端側に係止突起14を有し(膨出部12は係止突起14を必ず有している必要はない)、下端に係止突起14の型抜きのための開口(型抜き孔)17を有している。従って、この係止突起14の下側空間15や下端の開口17からメインカバー2の内部すなわち電気接続箱1の内部に水滴や塵等が浸入する危険を孕んでいる。
【0020】
そこで本発明は、図2の如く中間カバー5の外周(外縁)に、膨出部12の内側空間(凹部)15内に進入係合する突部(凸部)20を設けて、突部20で膨出部12の内側空間15を外部と遮断し(縦長の内側空間15を長手方向中間部で遮断し)、膨出部12の開口16,17(上側の開口16から水滴が浸入する場合もある)からメインカバー2内への水滴等の浸入を防止したことを特徴とする。
【0021】
中間カバー5の突部20の突出長さL(図2)は必ずしも膨出部12の内側の凹部15の深さWと同じでなくともよく、凹部15の深さWよりも突部20の突出長さLが短くとも防水・防湿の効果(水滴等の浸入を制限する効果)は十分にある。突部20の先端20a(図2)と凹部15の底面との間に隙間を生じる場合でも、突部20が膨出部12の内側空間15を塞いでいることに変わりはない。突部20の突出長さLは少なくとも係止突起14(図1)とラップする(係止突起14の下側に対向して突部20が位置する)長さであることが必要である。
【0022】
中間カバー5(図2)はメインカバー2内の回路板組立体3(図1)の大半部分を覆う水平な板状部21と、板状部21に一体に続いて回路板組立体3の前端側の部分とヒューズブロック4とを覆うブロック状の部分22とで構成され、板状部21の左右両側端と後端とに、メインカバー2の各膨出部12内に進入する小さな矩形板状の突部20が一体に設けられている。
【0023】
本形態で突部20は板状部21の左右両側端に二つづつ、後端に一つ設けられている。突部20の位置及び数はメインカバー2の膨出部12すなわち電子制御ユニット(ECU)6のカバー7に対する係止部14の位置や数等に応じて適宜設定される。板状部21には回路板組立体3から突出したピン状の端子23(図1)を挿通させる孔部24が形成され、ピン状の端子23は電子制御ユニット6に接続される。
【0024】
中間カバー5のブロック状部分22は板状部21よりも高く上向きに突出され、雌型のコネクタハウジング(コネクタ嵌合室)25を一体に有し、ブロック状部分22の左右両側に、メインカバー2の前端寄りの膨出部18(図1)内に進入するスライド係合用の突条26が一体に設けられている。突条26及び膨出部18の内側空間19は横断面略T字状に形成され、前記突部20と同様に膨出部18の開口27(図1)からメインカバー2内への水滴等の浸入を防止する効果も有する。また、膨出部18内への突条26のスライド係合によってメインカバー2内への中間カバー5の装着が容易化する。
【0025】
図1において回路板組立体3は布線回路板28とバスバー回路板29とを積層及び組み付けて構成され、布線回路板28に配索された電線30はバスバー回路板29のバスバー31の垂直方向の圧接端子32に接続され、バスバー31の前端からは音叉状端子(図示せず)が水平方向に突出形成されて、ヒューズブロック4のヒューズ収容室33内に進入してヒューズ34(図3)のタブ端子と接続される。メインカバー1の底壁11にはコネクタハウジングやリレー装着部等(図示せず)が一体に設けられ、これらコネクタハウジングやリレー装着部等には回路板組立体3の端子(図示せず)が収容されて、外部ワイヤハーネスのコネクタやリレー等に接続される。
【0026】
なお、本発明に係る防水構造は、メインカバー(接続箱本体)2と、メインカバー2内に収容される一枚ないし複数の回路板28,29と、回路板組立体3を覆う中間カバー5と、中間カバー5の外側に配置される電子ユニット等の部品6と、部品6を覆うサブカバー7とを少なくとも備える種々の形態の電気接続箱に適用可能である。一枚の回路板を使用した場合は他の電子部品等と接続されて回路板組立体を構成する。
【0027】
また、前述の如く車両等への電気接続箱1の配置形態によっては中間カバー5やサブカバー7が下側になり、メインカバー2のコネクタハウジングを有する壁部11が上側になることもある。また、電気接続箱1を縦向きで使用する場合もある。
【0028】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、中間カバーの突部で接続箱本体の膨出部に沿った水滴の浸入を防ぐことができるから、接続箱本体内の構成部品に水滴によるショートや錆等の悪影響を与えることがなく、電気接続箱の経時的な電気的接続の信頼性が高まる。
【0029】
請求項2記載の発明によれば、防水用の突部を設けても、接続箱本体への中間カバーやカバーの着脱を容易に行うことができるから、組立及びメンテナンス時の作業性が向上する。
【0030】
請求項3記載の発明によれば、接続箱本体内の回路板組立体が中間カバーで保護され、且つ中間カバーの突部で回路板組立体側への水滴等の浸入が防止されるから、回路板組立体のショートや錆等が防止され、電気接続箱の経時的な電気的接続の信頼性及び品質が高まる。また、電子制御ユニット等の部品のカバーで回路板組立体を二重に覆って確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電気接続箱のサブ組立体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】サブ組立体に装着される中間カバーの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】サブ組立体に中間カバーを装着して成る電気接続箱の防水構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】従来の電気接続箱の防水構造の一形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 電気接続箱
2 メインカバー(接続箱本体)
3 回路板組立体
5 中間カバー
6 電子制御ユニット(部品)
7 サブカバー(カバー)
8〜10 周壁
12 膨出部
13 被係止部
14 係止突起(係止部)
15 内側空間
17 開口(型抜き孔)
20 突部

Claims (3)

  1. 接続箱本体の周壁に膨出部が形成され、該膨出部の内側に係止部と係止部成形用の型抜き孔とが設けられ、該係止部にカバーの被係止部が係合する電気接続箱の構造において、前記接続箱本体の周壁の内側に中間カバーが装着され、前記膨出部の内側空間に進入して該内側空間を塞ぐ突部が該中間カバーの外周側に設けられたことを特徴とする電気接続箱の防水構造。
  2. 前記係止部が前記接続箱本体の内側に向けて突出形成されたことを特徴とする請求項1記載の電気接続箱の防水構造。
  3. 前記接続箱本体の内側に回路板組立体が収容され、該回路板組立体の外側に前記中間カバーが装着され、該中間カバーの外側に部品が搭載されると共に該部品を覆う前記カバーが装着されることを特徴とする請求項1又は2記載の電気接続箱の防水構造。
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