JP2004296911A - 静電チャック - Google Patents
静電チャック Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004296911A JP2004296911A JP2003088999A JP2003088999A JP2004296911A JP 2004296911 A JP2004296911 A JP 2004296911A JP 2003088999 A JP2003088999 A JP 2003088999A JP 2003088999 A JP2003088999 A JP 2003088999A JP 2004296911 A JP2004296911 A JP 2004296911A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrostatic chuck
- electrostatic
- wafer
- insulating layer
- thickness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Jigs For Machine Tools (AREA)
- Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
Abstract
【課題】静電吸着用電極の絶縁層の絶縁破壊が発生したり、ウエハの表面温度が大きくなりレジスト膜が変色したり破損する。
【解決手段】板状セラミックス体2の一方の主面を、ウエハWを載せる載置面3とし、他方の主面に静電吸着用電極4と、該静電吸着用電極4を覆う絶縁層8を備えた静電チャック部5と、該静電チャック部5の絶縁層表面に接合した導電性ベース部6とを備え、上記絶縁層8がセラミックからなりその厚みを上記板状セラミックス体2の厚みより小さくする。
【選択図】 図2
【解決手段】板状セラミックス体2の一方の主面を、ウエハWを載せる載置面3とし、他方の主面に静電吸着用電極4と、該静電吸着用電極4を覆う絶縁層8を備えた静電チャック部5と、該静電チャック部5の絶縁層表面に接合した導電性ベース部6とを備え、上記絶縁層8がセラミックからなりその厚みを上記板状セラミックス体2の厚みより小さくする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD、PVD、スパッタリング等の成膜装置やエッチング装置などの加工装置において、半導体ウエハ等のウエハを吸着保持する静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスの製造工程では、半導体ウエハ(以下、単にウエハという)に薄膜を形成する成膜装置やエッチング装置等の半導体製造装置が用いられており、このような半導体製造装置には半導体ウエハを保持するために静電チャックが用いられている。
【0003】
例えば、図3は従来の静電チャック51を示す斜視図であり、図4は図3のY−Y線の断面図である。静電チャック51は、板状セラミックス体52の上面を、ウエハWを載せる載置面53とし、板状セラミックス体52の下面に一対の静電吸着用電極54を備えた静電チャック部55と、上記板状セラミックス体52の下面側に接合した導電性ベース部56とからなる。この静電チャック51を用いてウエハWに成膜加工やエッチング加工を施すには、ウエハWを載置面53に載せた後、一対の静電吸着用電極54間に電圧を印加することにより静電気力を発生させ、ウエハWを載置面53に吸着させるとともに、導電性ベース部56と、静電チャック部55の上方に配置される不図示のプラズマ発生用電極との間に高周波電力を印加してプラズマを発生させた状態で、成膜ガスやエッチングガスを供給することにより、ウエハWに対して成膜加工やエッチング加工を施すようになっていた。
【0004】
ところで、このような静電チャック51を形成する静電チャック部55と導電性ベース部56とを接合する手段として、特許文献1には、図4に示すように、静電チャック部55の載置面53と反対側の表面に、静電吸着用電極54を覆うようにゴム状の有機系接着剤層57を塗布しそれを介して、炭化珪素やアルミナ等のフィラーを混入して導電性を高めたシリコンゴムあるいはフッ素ゴム等から成る厚さ0.2〜0.3mm程度の弾性を有する絶縁層58と導電性ベース部56とをゴム状の有機系接着剤層57を介して接着するようにした構造が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、図5に示すように、静電チャック部55の載置面53と反対側の表面に、静電吸着用電極54を覆うようにポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤層59を介して厚み25μm程度のポリイミドフイルムからなる有機系絶縁フィルム60を接着し、さらにこの有機系絶縁フィルム60と導電性ベース部56とをポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤59を介して接着するようにした構造が提案されている。
【0006】
また、図6に示すように、静電吸着用電極54を板状セラミック体52の内部に埋設した静電チャック部55と導電性ベース部56とを直接ポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤59を介して接着するようにした構造が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−283037号公報
【特許文献2】
特開平5−347352号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に開示された図4の構造のように、静電チャック部55と導電性ベース部56とを有機系接着剤層57と弾性を有する絶縁層58とで接合した静電チャック51では、導電性ベース部56に高周波電力を印加してプラズマを発生させると、静電チャック部55の静電吸着用電極と導電性ベース部56の間の十分な絶縁性を保つことができず、繰り返し使用すると短時間の使用で絶縁破壊を起こしてしまうといった課題があった。
【0009】
一方、特許文献2に開示された図5の構造のように、静電チャック部55と導電性ベース部56とを有機系接着剤層59と一層の有機系絶縁フィルム60で接合した静電チャック51では、特許文献1に開示されたものとを比較して高い絶縁性が得られるものの、プラズマを発生させる導電性ベース部56に13.56MHz、500Wもの高周波電力が繰り返し印加されると、図5に示す静電チャック51でも静電吸着用電極54と導電性ベース部56との間の絶縁性を保つことが難しく、繰り返し使用すると短時間で絶縁破壊を起こしてしまうといった課題があった。
【0010】
即ち、有機系絶縁フィルム60と言えども部分的に欠陥を有するとともに、接着工程等での取扱時に傷付き易いため、導電性ベース部56に繰り返し高周波電力を印加すると、有機系絶縁フィルム60中の欠陥や傷が進展し、遂には亀裂が入って絶縁破壊を起こしていた。
【0011】
また、同時に、これら静電チャック51は、ウエハWを吸着することによって、プラズマでのプロセス中で加熱されたウエハWの熱を熱伝導によって冷却し、ウエハW上にマスクとして使用されている有機レジスト膜を焼損から保護する役割を持つが、従来のポリイミドなど有機化合物層を有した静電チャック51では、プラズマ雰囲気で加熱されたウエハWの熱が、これら熱伝導の著しく悪い有機層に阻まれで伝達されず、ウエハWの冷却が阻害され、ウエハW温度上昇や、それに伴うウエハW上のレジスト膜焼損や変色、また、静電チャック51に使われている有機層の損傷が生じるとの問題があった。
【0012】
さらに、プラズマ雰囲気で加熱されたウエハWの熱が、これら熱伝導の著しく悪い有機層に阻まれで伝達されないことから、静電チャック部55も温度が上昇することとなり、温度の上昇に伴って、静電チャック部55材料の体積固有抵抗が変化し、吸着力や、離脱がプラズマプロセス中で変化するという問題が生じていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、板状セラミックス体の一方の主面をウエハを載せる載置面とし、他方の主面に静電吸着用電極と、該静電吸着用電極を覆う絶縁層を備えた静電チャック部と、該静電チャック部の絶縁層の表面に接合したベース部とを備え、上記絶縁層がセラミックからなり、その厚みが上記板状セラミックス体の厚みより小さいことを特徴とする。
【0014】
また、上記絶縁層の主成分が、Al2O3、AlN、Si3N4、SiO2およびSiCの少なくとも1種であることを特徴とする。
【0015】
また、上記絶縁層がCVD、溶射及びスパッタリングにより形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、上記絶縁層の厚みが10〜200μmであることを特徴とする。
【0017】
また、上記静電吸着部が、金属接合層を介して導電性ベース部と接合していることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の静電チャックの一例を示す斜視図であり、図2は図1のX−X線の断面図である。
【0020】
この静電チャック1は、板状セラミックス体2の一方の主面をウエハWを載せる載置面3とし、他方の面に一対の静電吸着用電極4を形成し、この静電吸着用電極4を覆う絶縁層8とを備えた静電チャック部5と、該静電チャック部5の載置面3と反対側の面に配置される導電性ベース部6からなる。
【0021】
上記静電吸着用電極4には、給電端子10が接続され、給電端子10に電圧を印加すると静電気力で載置面3上のウエハWを吸着保持することができる。
【0022】
そして、ウエハWにプラズマ雰囲気中で成膜処理やエッチング処理がなされるとウエハWが加熱されるが、ウエハWの熱は載置面3から板状セラミックス体2を伝わり、導電性ベース部6に効率良く熱を伝えることができることから導電性ベース部6に備えた熱媒体を通して外部に熱を放出することができ、ウエハWの温度を高めることがなく均一な成膜処理やエッチング処理が可能となる。
【0023】
静電チャック部5を形成する板状セラミックス体2としては、熱伝導率が9〜150W/m・Kであるアルミナ質焼結体、窒化アルミニウム質燒結体、窒化珪素質燒結体等のセラミック焼結体あるいは単結晶アルミナを用いることができる。これらの中でもアルミナ質焼結体を用いれば安価な静電チャック1を提供することができ、また、高熱伝導性の窒化アルミニウム質焼結体を用いれば、静電チャック部5に吸着保持したウエハWの温度分布をより均一にすることができ、各種加工精度を高めることができ好ましい。また、単結晶アルミナを用いた場合は、単結晶であるが故、無欠陥でボイドの無いウエハ載置面3を形成することが可能であり、また、ウエハWからのパーティクルの発生を抑えることが可能である。
【0024】
なお、板状セラミックス体2の一方の主面に形成する載置面3は、ウエハWを吸着させたときに精度良く保持するため、平面度を20μm以下、表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で3μm以下に仕上げておくことが好ましい。
【0025】
また、板状セラミックス体2の他方の主面に形成する静電吸着用電極4は、Ni、Ti、Ag、Cu、Au、Pt、Mo、Mn等の金属またはこれらの合金あるいはTiN、TiC、WCよりなる厚みが0.1μm以上の導体層からなり、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法、メッキ法、CVD法等の膜形成手段により被着してある。
【0026】
一方、導電性ベース部6は、熱伝導率が200W/m・K程度以上と大きい、アルミニウムやステンレス、コバール、あるいはこれらの金属とセラミック材料からなり、静電吸着用電極4に接続される給電端子10を取り出すために貫通孔7を有している。
【0027】
本発明の静電チャック1は、上記絶縁層8の厚みTdが上記板状セラミックス体2の厚みTpより小さいことを特徴とする。厚みTpは板状セラミックス体2の体積固有抵抗が1012Ω・m以上の場合は0.1〜0.5mm程度であり、体積固有抵抗が106Ω・m〜1012Ω・mの場合は0.5〜5mm程度吸着力が大きく好ましい。このような厚みTpの板状セラミックス体2にウエハWから熱が伝わり、この熱を効率良く導電性ベース部6に熱を伝える必要があるが、板状セラミックス体2と導電性ベース部の間の絶縁層8の厚みTdがTp以上であると熱が効率良く導電性ベース部6に伝わらず、板状セラミックス体2の温度が上昇することがあるからである。
【0028】
特に絶縁層8が耐電圧特性の優れたセラミックスからなると板状セラミックス体2の厚みTpよりTdが小さいと効率良く熱を導電性ベース部6に伝えることができるからである。
【0029】
静電チャックの吸着力に直接関連する板状セラミックス体2の厚みTpは、クーロンタイプ静電チャックなら、500μm程度、ジョンソンラーベックタイプ静電チャックなら最大2mm程度であるのに対し、板状セラミックス体2と導電性ベース部6の間の絶縁層8の厚みTdを、10〜200μmと、Tpに比して充分薄くすることで、冷却水等により熱が装置外へ除去されている導電性ベース部近傍に設置することにより、静電吸着用電極4およびその周辺の板状セラミックス体2部分の温度を、ウエハWによって絶えず加熱され続けるウエハ載置面よりも、充分に低温に安定化させることで、静電吸着用電極4周辺の板状セラミックス体2部分が有する絶縁耐圧特性、体積固有抵抗を安定化させ、ひいては、体積固有抵抗に影響される静電吸着特性を安定に保つことができる。
【0030】
また、この静電チャック1の故障の一つである絶縁破壊が万一生じた場合、板状セラミックス体2の厚みTpより板状セラミックス体2と導電性ベース部6の間の絶縁層8の厚みTdが小さいと、静電吸着用電極4とウエハW間(厚みTp)ではなく、静電吸着用電極4と導電性ベース部6間(厚みTd)で先に絶縁破壊が生じ、静電吸着用電極4とウエハW間での破壊を防ぐことができる。こうすることにより、万が一にも載置面3に載置されているウエハWにダメージを与えない静電チャックを得ることができる。
【0031】
また、絶縁層8は熱伝導の良好な絶縁材で無ければならず、セラミックスとすることが好ましい。しかも、万が一の静電チャック部5破損時に装置内が汚染されることを考慮すると、Al、Si、N、Oからなる複合化合物が望ましく上記絶縁層8はAl2O3、AlN、Si3N4、SiO2およびSiCの少なくとも1種からなることが好ましい。更に、体積固有抵抗値が1014Ω・cm以上であると静電吸着用電極4とウエハWの間で絶縁破壊が生じることが少なく好ましい。
【0032】
また、絶縁層8は、板状セラミックス2上に静電吸着用電極4を挟んでコーティングすると言う観点からは、熱膨張率の差ができるだけ小さい方が望ましいことは言うまでもなく、板状セラミックス2と同組成であることが望ましい。
【0033】
従来使用されていた有機系絶縁フィルムの熱伝導率である0.2〜1.0W/m・Kから、上記のセラミックスからなる絶縁層8の熱伝導率は9〜150W/m・Kと著しく大きく、ウエハWの熱を容易に導電性ベース部6に伝えることができることが可能となり、ウエハWの温度を迅速に冷却することが可能となった。
【0034】
上記絶縁層8は、1014Ω・cm以上の体積固有抵抗や、500V以上の絶縁耐圧を有し、またその使用中にそれを保持することが必要である。そのためには、緻密で絶縁破壊を生じる下原因となるボイド、気孔が生じ難いCVD、溶射およびスパッタリングによる成膜が好ましい。ボイド、気孔の径は、絶縁層8厚みの少なくとも1/2以下の大きさで無ければならず、気孔率も1%以下であることが望ましい。このような絶縁層8とすることで、特許文献2に記載の有機系絶縁フィルムが不要となり、薄く耐食性のある均一な絶縁層8とすることができる。
【0035】
更に、上記の絶縁層8において、静電吸着用電極4が双極型である場合、一対の静電吸着用電極4の間の最小距離Tは0.5mm以上、好ましくは1mm以上とすることが良く、このような距離Tを設けることにより静電吸着用電極4間に印加できる電圧を高くすることができる。
【0036】
また、上記絶縁層8の厚みは10〜200μmであることが好ましい。上記絶縁層8は薄くて欠陥の無いことが望ましく、また、静電チャック使用時に印加される電圧は、500V〜3kVで有ることから、少なくとも500V以上、好適には5kVの絶縁耐圧が必要である。しかし、上記絶縁層8の厚みが10μm未満では静電吸着用電極4間の絶縁性能が不充分で、200μmを越えると、絶縁層8の成膜時間が大きくなり経済的でなく、高価な絶縁層8となり実用的でない。
【0037】
また、ウエハW上部に設置された上部電極に対し、導電性ベース部6は下部電極として機能し、その電極間に高周波が印加され、プラズマを励起させることができることから、両電極間に位置する静電チャック部5と静電吸着電極4を絶縁する絶縁層8は、抵抗、インピーダンスとして作用するため30〜100μmと薄いものがより好ましい。
【0038】
さらに、ウエハW内において、均一なプラズマとなるよう、均一なインピーダンス分布がのぞましい。そのため、絶縁層8の厚みTdのばらつきは平均絶縁層厚みの30%以下とする必要がある。
【0039】
また、静電チャック部5と導電性ベース部6とは、エポキシ系、シリコーン系、ゴム系等の有機系接着剤をスクリーン印刷等により5〜30μmの厚みに均一に塗布した接合層9で接着することもできる。
【0040】
接合層9が良好な熱伝導率を得るため、2.6kPa以下の減圧下で有機系接着剤の脱泡処理を行うことによって硬化後の接合層に気泡が残るのを極力抑える。更に、熱を加えて有機系接着剤を硬化させ、気孔率を10%以下とした接合層9を設けることにより、導電性ベース部6と静電セラミック部5との熱伝達を向上させ、プラズマにより加熱されたウエハを効率よく冷却することができる。
【0041】
また、静電チャック部5と導電性ベース部6とは、金属からなる接合層8を介して接合していることがより好ましい。
【0042】
特に、接合層9はインジウムや、アルミニウムなどの低融点金属ロウ材にて接合すると更に好ましい。また接合層9として、Au、Sn、Pb、Al、Zn、Inなどから構成されたロウ材を用いることができる。
この場合、導電性ベース部6の材質は、ロウ付け温度と常温の温度差による残留応力を避けるため、コバール、タングステンなどの板状セラミック体2とできるだけ近い熱膨張率を持つことが望ましい。
【0043】
これらの金属ロウ材を用いた接合では、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの有機系接合剤に比較して、50〜200倍の良好な熱伝導率を有するため、後述するウエハWに発生する熱を効率よく逃がすことができる。
【0044】
また、導電性ベース部6は、CVD、PVD、スパッタリング等の成膜装置やエッチング装置などの真空装置において、プラズマ発生の為の電極として使うことができる。また、熱伝導率の大きな板状セラミックス体2はウエハWの反りを矯正して保持することが可能となり、プラズマ加工等でウエハWに発生する熱の除去を容易とすることができる。
【0045】
また、励起されたプラズマでウエハW表面を加工するが、その際、ウエハW自体が暖められる。ウエハWの加工精度を上げるためには、ウエハWの温度を低温にコントロールする事が必要である。ウエハWの熱は、ウエハWに接触している静電チャック部5と静電吸着電極4の絶縁層8、接合層9、導電性ベース部6を通して、冷却水等により装置外へ除去される。
【0046】
また、吸着されたウエハWは、平面度良くプラズマにさらされることが必要でウエハwを平面度よく吸着すべく、平坦なウエハ載置面3とウエハWの反りを矯正して平坦なウエハ載置面3に倣わせるだけの充分な静電吸着力が必要である。本発明の静電チャック1は、真空装置内で主に用いられるため、ウエハWとウエハ載置面3間の熱伝達に寄与する気体などの熱伝達媒体が少ない場合が多く、ウエハWとウエハ載置面の接触による固体接触での熱伝達による場合が多い。そのため、ウエハWの冷却に対し、静電吸着力やウエハ載置面3の面粗さが大きく影響するため、それらの面内均一性が重要となる。
【0047】
これらの観点から、このような構成を有する静電チャック1を用い、板状セラミックス体2からなる静電チャック部5の載置面3にウエハWを載せ、一対の静電吸着用電極4間に直流電圧を印加すると従来型の静電チャックに比して、均一なプラズマを発生せしめ、均一な静電吸着力を発生させ、ウエハWの熱を均一に除去できる。
【0048】
例えば、静電吸着用電極4を静電チャック部5の内部に埋設した静電チャック1では、その製造工程において、予め静電チャック部5内部に静電吸着電極4を埋設した後、静電チャック部5を熱処理し電極が埋設された焼結体を形成する。前記の熱処理工程においては、反り等の変形は不可避であり、ウエハ載置面3表面から静電吸着電極4までの距離を載置面3全面に渡って均一にすることが困難である。
【0049】
本発明の静電チャック1は、ウエハ載置面3を有する静電チャック部5を板状体としてまず仕上げ、その後ウエハ載置面3でない他方の主面に静電吸着電極4を形成するため、静電チャック部5のセラミック板状体2の厚みをコントロールするだけでウエハ載置面3から静電吸着電極4までの距離を載置面3全面に渡って均一にすることが容易に可能である。静電吸着力は、ウエハ載置面3から静電吸着電極4までの距離の二乗に反比例するため、この距離の均一さは、静電吸着力の均一さに直結する。
【0050】
そして、この状態で成膜ガスやエッチングガスを供給することにより、静電チャック部5に吸着保持したウエハWに対して精度良い成膜加工やエッチング加工を施すことが可能となる。
【0051】
また、高温での成膜やエッチングを行う用途が近年開発されているが、上記の冷却同様、本発明の良好な熱伝導を有する静電チャック1は、均熱が達成しやすく、加熱、冷却のレスポンスが早い。
【0052】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は前述した実施形態だけに限定されるものではなく、例えば、静電チャック部5として双極型の例を示したが、単極型の静電チャック部5を用いることもでき、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で改良や変更したものに適用することができることは言う迄もない。
【0053】
また、上記、静電吸着用電極4が、CVD、溶射およびスパッタリングにより形成されたセラミックスの絶縁層8により被覆された板状セラミックス体2を、金属接合材9にて、導電性ベース部6に接合した場合は、積載面3から導電性ベース部6に至るまで、有機化合物層が存在せず、熱伝導が、8W/m・K以上の良好な熱伝導率のセラミックスおよび金属のみで構成される静電チャック1が得られる。
【0054】
プラズマ雰囲気で加熱されたウエハWの熱は、ウエハWに接触している静電チャック部5と静電吸着電極4の絶縁層8、接合層9、導電性ベース部6を通して、冷却水等により装置外へ除去されるが、絶縁層6や接合層9に熱伝導の著しく悪い有機層が用いられた場合、そこで熱伝達が遮断され、ウエハWのプラズマによる加熱に伴い、静電チャック部5も温度が上昇することとなり、温度の上昇に伴って、静電チャック部5をなす材料の体積固有抵抗が変化し、吸着力や、離脱がプラズマプロセス中で変化するという問題がある。
【0055】
本発明では、静電吸着用電極4をコーティングしている絶縁層8の厚みを上記板状セラミックス体2の厚みより小さくし、静電吸着用電極4をウエハWによって絶えず加熱され続けるウエハ載置面3よりも、冷却水等により熱が装置外へ除去されている導電性ベース部6近傍に設置することにより、静電吸着用電極4およびその周辺の板状セラミックス体2部分の温度を低温に安定化させることで、静電吸着用電極4周辺の板状セラミックス体2部分が有する絶縁耐圧特性、静電吸着特性をプロセス中に安定させることができる。
【0056】
また、静電吸着用電極4をコーティングしている絶縁層8の厚みを静電チャック部5を構成する板状セラミックス体2の厚みより小さくすることで、この静電チャック1の故障の一つである板状セラミックス体2の絶縁破壊が万一生じた場合、静電吸着用電極4とウエハW間ではなく、静電吸着用電極4と導電性ベース部6間で先に生じるようにし、万が一にもウエハWにダメージを与えない静電チャック1を得ることができる。
【0057】
【実施例】
ここで、比較例として図4に示した従来のゴム状の有機系接着剤で静電吸着用電極54を覆った静電チャック部55をシリコン樹脂系の弾性を有する絶縁層8を介して導電性ベース部56と接合した静電チャック51(試料No.1)と、図5に示した従来のポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤層
で静電吸着用電極54を覆い、ポリイミドからなる絶縁フィルムをかぶせた静電チャック部55をポリイミド樹脂からなる硬質接着剤層を介して導電性ベース部56と接合した静電チャック51(試料No.2)と、図6に示した従来型の静電吸着用電極54を板状セラミック体52の内部に埋設し、静電チャック部55を直接、導電性ベース部56とをポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤59を介して接着するようにした構造にて、静電吸着用電極54とウエハ載置面53間の厚みが300μm(試料No.3)と500μm(試料No.4)の2種で、静電吸着用電極54より導電性ベース側56の部分の厚みがそれぞれ1mmの静電チャック51をアルミナにて製作した。
【0058】
一方、本発明実施例として、アルミナからなる板状セラミックス体2の静電吸着用電極4を有する主面にセラミックスをアルミナCVDでコーティングし、ゴム系等の有機系接着剤をスクリーン印刷等により塗布し接着し、良好な熱伝導率を得るため、有機系接着剤の脱泡処理を行うことによって硬化後の接着層に気泡が残るのを極力抑え、気孔率を10%以下とした接合層9を介して導電性ベース部6を接着した静電チャック1(アルミナCVDでコーティングした絶縁層8の厚みが10μmを(試料No.5),100μmを(試料No.6),200μmを(試料No.7)とする)と、アルミナ板状セラミックス体2の静電吸着用電極4を有する主面にアルミナCVDでコーティングし、Au―Snロウ材を介して導電性ベース部6を接着した静電チャック1(アルミナCVDでコーティング層の厚みが10μmを(試料No.8),100μmを(試料No.9),200μmを(試料No.10),1000μm(試料No.11)とする)を製作した。
【0059】
また、上記試料No.9と同じ構成にて、静電吸着用電極4を有する主面のコーティングにSi3N4(窒化珪素)を用いた(試料No.12)、SiO2を用いた(試料No.13)、AlNを用いた(試料No.13)およびSiCを用いた(試料No.14)静電チャック1を製作した。さらに、上記試料No.9と同じ構成にてAlN板状セラミックス体2の静電吸着用電極4を有する主面にAlNCVDでコーティングを施した(試料No.16)の静電チャック1を製作した。
【0060】
そしてそれらを用いて、静電チャック部5にシリコンウエハWを吸着させた状態で、導電性ベース部6にプラズマ高周波電力を運転した時の静電吸着用電極4と導電性ベース部6との間の絶縁性について調べる実験を行った。
【0061】
具体的には、静電チャック1を形成する板状セラミックス体2に、外径が200mm、厚みが2mmの円盤状をしたアルミナ焼結体を用い、一方の主面に一対の半円状をしたNi導体を、円を構成するようにメッキ法にて形成して静電吸着用電極4を形成した。
【0062】
導電性ベース部6はアルミニウムにて形成した静電チャック1をそれぞれ20個ずつ製作した。
【0063】
また、実験に当たっては、各静電チャック1、51をエッチング装置に搭載し、静電チャック1、51の載置面3、53に8インチのシリコンからなるウエハWを載せ、一対の静電吸着用電極4、54間に1kVの電圧を印加して静電吸着力を発生させることにより載置面3、53にウエハWを吸着させた状態で導電性ベース部6、56と、静電チャック1、51の上方に配置するプラズマ発生用電極との間に、周波数13.56Hz、1000Wの高周波電力を5分間印加し、これを100回繰り返した後、絶縁破壊したものが10%以下であったものを良好として判断した。
【0064】
なお、絶縁の有無は、導電性ベース部6への漏れ電流量を電流計によって測定し、その値が3mA以上となったときを絶縁破壊として判断した。また、絶縁破壊したものが10%以下であるものを良好とする判断基準は、本実験の条件で10%以下の破壊率であれば、通常使用ではほとんど不良が発生しないとこによるものである。
【0065】
また、100サイクルのプロセス中に10サイクル毎に、ウエハWの吸着力を吸着面にアルゴンガスを注入しながら、ウエハWがガス圧によって剥がされる導入圧力(torr)を測定することによって吸着力を測定した。この時のウエハWが剥がれた導入圧力(torr)を吸着力とし、10回の吸着力のデータのばらつきを吸着力平均値で除し、吸着力のばらつきとした。通常、このばらつきは、小さいほど好ましいが、50%以下が好適、100%が許容範囲、100%を越えると実際のウエハ処理で問題が生じる。
【0066】
それぞれの結果は、比較例であるNo.1〜4の静電チャック51では、絶縁破壊の発生確率が40%以上であったのに対し、本発明実施例であるNo.5〜16の静電チャック1は、10%以下で良好であった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、板状セラミックス体の一方の主面をウエハを載せる載置面とし、他方の主面に静電吸着用電極と、該静電吸着用電極を覆う絶縁層を備えた静電チャック部と、該静電チャック部の絶縁層の表面に接合したベース部とを備え、上記絶縁層がセラミックからなり、その厚みを上記板状セラミックス体の厚みより小さくすることにより、導電性ベース部に高周波電力を印加してプラズマを発生したとしても、静電吸着用電極との間に絶縁破壊の発生確率を大幅に低下することができ、信頼性の高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】従来の静電チャックを示す斜視図である。
【図4】図3のY−Y線断面図である。
【図5】従来の静電チャックの一例を示す断面図である。
【図6】従来の静電チャックの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:静電チャック
2:板状セラミックス体
3:載置面
4:静電吸着用電極
5:静電チャック部
6:導電性ベース部
7:貫通孔
8:コーティング層
9:接合層
10:リード部
W:ウエハ
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD、PVD、スパッタリング等の成膜装置やエッチング装置などの加工装置において、半導体ウエハ等のウエハを吸着保持する静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスの製造工程では、半導体ウエハ(以下、単にウエハという)に薄膜を形成する成膜装置やエッチング装置等の半導体製造装置が用いられており、このような半導体製造装置には半導体ウエハを保持するために静電チャックが用いられている。
【0003】
例えば、図3は従来の静電チャック51を示す斜視図であり、図4は図3のY−Y線の断面図である。静電チャック51は、板状セラミックス体52の上面を、ウエハWを載せる載置面53とし、板状セラミックス体52の下面に一対の静電吸着用電極54を備えた静電チャック部55と、上記板状セラミックス体52の下面側に接合した導電性ベース部56とからなる。この静電チャック51を用いてウエハWに成膜加工やエッチング加工を施すには、ウエハWを載置面53に載せた後、一対の静電吸着用電極54間に電圧を印加することにより静電気力を発生させ、ウエハWを載置面53に吸着させるとともに、導電性ベース部56と、静電チャック部55の上方に配置される不図示のプラズマ発生用電極との間に高周波電力を印加してプラズマを発生させた状態で、成膜ガスやエッチングガスを供給することにより、ウエハWに対して成膜加工やエッチング加工を施すようになっていた。
【0004】
ところで、このような静電チャック51を形成する静電チャック部55と導電性ベース部56とを接合する手段として、特許文献1には、図4に示すように、静電チャック部55の載置面53と反対側の表面に、静電吸着用電極54を覆うようにゴム状の有機系接着剤層57を塗布しそれを介して、炭化珪素やアルミナ等のフィラーを混入して導電性を高めたシリコンゴムあるいはフッ素ゴム等から成る厚さ0.2〜0.3mm程度の弾性を有する絶縁層58と導電性ベース部56とをゴム状の有機系接着剤層57を介して接着するようにした構造が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、図5に示すように、静電チャック部55の載置面53と反対側の表面に、静電吸着用電極54を覆うようにポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤層59を介して厚み25μm程度のポリイミドフイルムからなる有機系絶縁フィルム60を接着し、さらにこの有機系絶縁フィルム60と導電性ベース部56とをポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤59を介して接着するようにした構造が提案されている。
【0006】
また、図6に示すように、静電吸着用電極54を板状セラミック体52の内部に埋設した静電チャック部55と導電性ベース部56とを直接ポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤59を介して接着するようにした構造が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−283037号公報
【特許文献2】
特開平5−347352号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に開示された図4の構造のように、静電チャック部55と導電性ベース部56とを有機系接着剤層57と弾性を有する絶縁層58とで接合した静電チャック51では、導電性ベース部56に高周波電力を印加してプラズマを発生させると、静電チャック部55の静電吸着用電極と導電性ベース部56の間の十分な絶縁性を保つことができず、繰り返し使用すると短時間の使用で絶縁破壊を起こしてしまうといった課題があった。
【0009】
一方、特許文献2に開示された図5の構造のように、静電チャック部55と導電性ベース部56とを有機系接着剤層59と一層の有機系絶縁フィルム60で接合した静電チャック51では、特許文献1に開示されたものとを比較して高い絶縁性が得られるものの、プラズマを発生させる導電性ベース部56に13.56MHz、500Wもの高周波電力が繰り返し印加されると、図5に示す静電チャック51でも静電吸着用電極54と導電性ベース部56との間の絶縁性を保つことが難しく、繰り返し使用すると短時間で絶縁破壊を起こしてしまうといった課題があった。
【0010】
即ち、有機系絶縁フィルム60と言えども部分的に欠陥を有するとともに、接着工程等での取扱時に傷付き易いため、導電性ベース部56に繰り返し高周波電力を印加すると、有機系絶縁フィルム60中の欠陥や傷が進展し、遂には亀裂が入って絶縁破壊を起こしていた。
【0011】
また、同時に、これら静電チャック51は、ウエハWを吸着することによって、プラズマでのプロセス中で加熱されたウエハWの熱を熱伝導によって冷却し、ウエハW上にマスクとして使用されている有機レジスト膜を焼損から保護する役割を持つが、従来のポリイミドなど有機化合物層を有した静電チャック51では、プラズマ雰囲気で加熱されたウエハWの熱が、これら熱伝導の著しく悪い有機層に阻まれで伝達されず、ウエハWの冷却が阻害され、ウエハW温度上昇や、それに伴うウエハW上のレジスト膜焼損や変色、また、静電チャック51に使われている有機層の損傷が生じるとの問題があった。
【0012】
さらに、プラズマ雰囲気で加熱されたウエハWの熱が、これら熱伝導の著しく悪い有機層に阻まれで伝達されないことから、静電チャック部55も温度が上昇することとなり、温度の上昇に伴って、静電チャック部55材料の体積固有抵抗が変化し、吸着力や、離脱がプラズマプロセス中で変化するという問題が生じていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、板状セラミックス体の一方の主面をウエハを載せる載置面とし、他方の主面に静電吸着用電極と、該静電吸着用電極を覆う絶縁層を備えた静電チャック部と、該静電チャック部の絶縁層の表面に接合したベース部とを備え、上記絶縁層がセラミックからなり、その厚みが上記板状セラミックス体の厚みより小さいことを特徴とする。
【0014】
また、上記絶縁層の主成分が、Al2O3、AlN、Si3N4、SiO2およびSiCの少なくとも1種であることを特徴とする。
【0015】
また、上記絶縁層がCVD、溶射及びスパッタリングにより形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、上記絶縁層の厚みが10〜200μmであることを特徴とする。
【0017】
また、上記静電吸着部が、金属接合層を介して導電性ベース部と接合していることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の静電チャックの一例を示す斜視図であり、図2は図1のX−X線の断面図である。
【0020】
この静電チャック1は、板状セラミックス体2の一方の主面をウエハWを載せる載置面3とし、他方の面に一対の静電吸着用電極4を形成し、この静電吸着用電極4を覆う絶縁層8とを備えた静電チャック部5と、該静電チャック部5の載置面3と反対側の面に配置される導電性ベース部6からなる。
【0021】
上記静電吸着用電極4には、給電端子10が接続され、給電端子10に電圧を印加すると静電気力で載置面3上のウエハWを吸着保持することができる。
【0022】
そして、ウエハWにプラズマ雰囲気中で成膜処理やエッチング処理がなされるとウエハWが加熱されるが、ウエハWの熱は載置面3から板状セラミックス体2を伝わり、導電性ベース部6に効率良く熱を伝えることができることから導電性ベース部6に備えた熱媒体を通して外部に熱を放出することができ、ウエハWの温度を高めることがなく均一な成膜処理やエッチング処理が可能となる。
【0023】
静電チャック部5を形成する板状セラミックス体2としては、熱伝導率が9〜150W/m・Kであるアルミナ質焼結体、窒化アルミニウム質燒結体、窒化珪素質燒結体等のセラミック焼結体あるいは単結晶アルミナを用いることができる。これらの中でもアルミナ質焼結体を用いれば安価な静電チャック1を提供することができ、また、高熱伝導性の窒化アルミニウム質焼結体を用いれば、静電チャック部5に吸着保持したウエハWの温度分布をより均一にすることができ、各種加工精度を高めることができ好ましい。また、単結晶アルミナを用いた場合は、単結晶であるが故、無欠陥でボイドの無いウエハ載置面3を形成することが可能であり、また、ウエハWからのパーティクルの発生を抑えることが可能である。
【0024】
なお、板状セラミックス体2の一方の主面に形成する載置面3は、ウエハWを吸着させたときに精度良く保持するため、平面度を20μm以下、表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で3μm以下に仕上げておくことが好ましい。
【0025】
また、板状セラミックス体2の他方の主面に形成する静電吸着用電極4は、Ni、Ti、Ag、Cu、Au、Pt、Mo、Mn等の金属またはこれらの合金あるいはTiN、TiC、WCよりなる厚みが0.1μm以上の導体層からなり、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法、メッキ法、CVD法等の膜形成手段により被着してある。
【0026】
一方、導電性ベース部6は、熱伝導率が200W/m・K程度以上と大きい、アルミニウムやステンレス、コバール、あるいはこれらの金属とセラミック材料からなり、静電吸着用電極4に接続される給電端子10を取り出すために貫通孔7を有している。
【0027】
本発明の静電チャック1は、上記絶縁層8の厚みTdが上記板状セラミックス体2の厚みTpより小さいことを特徴とする。厚みTpは板状セラミックス体2の体積固有抵抗が1012Ω・m以上の場合は0.1〜0.5mm程度であり、体積固有抵抗が106Ω・m〜1012Ω・mの場合は0.5〜5mm程度吸着力が大きく好ましい。このような厚みTpの板状セラミックス体2にウエハWから熱が伝わり、この熱を効率良く導電性ベース部6に熱を伝える必要があるが、板状セラミックス体2と導電性ベース部の間の絶縁層8の厚みTdがTp以上であると熱が効率良く導電性ベース部6に伝わらず、板状セラミックス体2の温度が上昇することがあるからである。
【0028】
特に絶縁層8が耐電圧特性の優れたセラミックスからなると板状セラミックス体2の厚みTpよりTdが小さいと効率良く熱を導電性ベース部6に伝えることができるからである。
【0029】
静電チャックの吸着力に直接関連する板状セラミックス体2の厚みTpは、クーロンタイプ静電チャックなら、500μm程度、ジョンソンラーベックタイプ静電チャックなら最大2mm程度であるのに対し、板状セラミックス体2と導電性ベース部6の間の絶縁層8の厚みTdを、10〜200μmと、Tpに比して充分薄くすることで、冷却水等により熱が装置外へ除去されている導電性ベース部近傍に設置することにより、静電吸着用電極4およびその周辺の板状セラミックス体2部分の温度を、ウエハWによって絶えず加熱され続けるウエハ載置面よりも、充分に低温に安定化させることで、静電吸着用電極4周辺の板状セラミックス体2部分が有する絶縁耐圧特性、体積固有抵抗を安定化させ、ひいては、体積固有抵抗に影響される静電吸着特性を安定に保つことができる。
【0030】
また、この静電チャック1の故障の一つである絶縁破壊が万一生じた場合、板状セラミックス体2の厚みTpより板状セラミックス体2と導電性ベース部6の間の絶縁層8の厚みTdが小さいと、静電吸着用電極4とウエハW間(厚みTp)ではなく、静電吸着用電極4と導電性ベース部6間(厚みTd)で先に絶縁破壊が生じ、静電吸着用電極4とウエハW間での破壊を防ぐことができる。こうすることにより、万が一にも載置面3に載置されているウエハWにダメージを与えない静電チャックを得ることができる。
【0031】
また、絶縁層8は熱伝導の良好な絶縁材で無ければならず、セラミックスとすることが好ましい。しかも、万が一の静電チャック部5破損時に装置内が汚染されることを考慮すると、Al、Si、N、Oからなる複合化合物が望ましく上記絶縁層8はAl2O3、AlN、Si3N4、SiO2およびSiCの少なくとも1種からなることが好ましい。更に、体積固有抵抗値が1014Ω・cm以上であると静電吸着用電極4とウエハWの間で絶縁破壊が生じることが少なく好ましい。
【0032】
また、絶縁層8は、板状セラミックス2上に静電吸着用電極4を挟んでコーティングすると言う観点からは、熱膨張率の差ができるだけ小さい方が望ましいことは言うまでもなく、板状セラミックス2と同組成であることが望ましい。
【0033】
従来使用されていた有機系絶縁フィルムの熱伝導率である0.2〜1.0W/m・Kから、上記のセラミックスからなる絶縁層8の熱伝導率は9〜150W/m・Kと著しく大きく、ウエハWの熱を容易に導電性ベース部6に伝えることができることが可能となり、ウエハWの温度を迅速に冷却することが可能となった。
【0034】
上記絶縁層8は、1014Ω・cm以上の体積固有抵抗や、500V以上の絶縁耐圧を有し、またその使用中にそれを保持することが必要である。そのためには、緻密で絶縁破壊を生じる下原因となるボイド、気孔が生じ難いCVD、溶射およびスパッタリングによる成膜が好ましい。ボイド、気孔の径は、絶縁層8厚みの少なくとも1/2以下の大きさで無ければならず、気孔率も1%以下であることが望ましい。このような絶縁層8とすることで、特許文献2に記載の有機系絶縁フィルムが不要となり、薄く耐食性のある均一な絶縁層8とすることができる。
【0035】
更に、上記の絶縁層8において、静電吸着用電極4が双極型である場合、一対の静電吸着用電極4の間の最小距離Tは0.5mm以上、好ましくは1mm以上とすることが良く、このような距離Tを設けることにより静電吸着用電極4間に印加できる電圧を高くすることができる。
【0036】
また、上記絶縁層8の厚みは10〜200μmであることが好ましい。上記絶縁層8は薄くて欠陥の無いことが望ましく、また、静電チャック使用時に印加される電圧は、500V〜3kVで有ることから、少なくとも500V以上、好適には5kVの絶縁耐圧が必要である。しかし、上記絶縁層8の厚みが10μm未満では静電吸着用電極4間の絶縁性能が不充分で、200μmを越えると、絶縁層8の成膜時間が大きくなり経済的でなく、高価な絶縁層8となり実用的でない。
【0037】
また、ウエハW上部に設置された上部電極に対し、導電性ベース部6は下部電極として機能し、その電極間に高周波が印加され、プラズマを励起させることができることから、両電極間に位置する静電チャック部5と静電吸着電極4を絶縁する絶縁層8は、抵抗、インピーダンスとして作用するため30〜100μmと薄いものがより好ましい。
【0038】
さらに、ウエハW内において、均一なプラズマとなるよう、均一なインピーダンス分布がのぞましい。そのため、絶縁層8の厚みTdのばらつきは平均絶縁層厚みの30%以下とする必要がある。
【0039】
また、静電チャック部5と導電性ベース部6とは、エポキシ系、シリコーン系、ゴム系等の有機系接着剤をスクリーン印刷等により5〜30μmの厚みに均一に塗布した接合層9で接着することもできる。
【0040】
接合層9が良好な熱伝導率を得るため、2.6kPa以下の減圧下で有機系接着剤の脱泡処理を行うことによって硬化後の接合層に気泡が残るのを極力抑える。更に、熱を加えて有機系接着剤を硬化させ、気孔率を10%以下とした接合層9を設けることにより、導電性ベース部6と静電セラミック部5との熱伝達を向上させ、プラズマにより加熱されたウエハを効率よく冷却することができる。
【0041】
また、静電チャック部5と導電性ベース部6とは、金属からなる接合層8を介して接合していることがより好ましい。
【0042】
特に、接合層9はインジウムや、アルミニウムなどの低融点金属ロウ材にて接合すると更に好ましい。また接合層9として、Au、Sn、Pb、Al、Zn、Inなどから構成されたロウ材を用いることができる。
この場合、導電性ベース部6の材質は、ロウ付け温度と常温の温度差による残留応力を避けるため、コバール、タングステンなどの板状セラミック体2とできるだけ近い熱膨張率を持つことが望ましい。
【0043】
これらの金属ロウ材を用いた接合では、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの有機系接合剤に比較して、50〜200倍の良好な熱伝導率を有するため、後述するウエハWに発生する熱を効率よく逃がすことができる。
【0044】
また、導電性ベース部6は、CVD、PVD、スパッタリング等の成膜装置やエッチング装置などの真空装置において、プラズマ発生の為の電極として使うことができる。また、熱伝導率の大きな板状セラミックス体2はウエハWの反りを矯正して保持することが可能となり、プラズマ加工等でウエハWに発生する熱の除去を容易とすることができる。
【0045】
また、励起されたプラズマでウエハW表面を加工するが、その際、ウエハW自体が暖められる。ウエハWの加工精度を上げるためには、ウエハWの温度を低温にコントロールする事が必要である。ウエハWの熱は、ウエハWに接触している静電チャック部5と静電吸着電極4の絶縁層8、接合層9、導電性ベース部6を通して、冷却水等により装置外へ除去される。
【0046】
また、吸着されたウエハWは、平面度良くプラズマにさらされることが必要でウエハwを平面度よく吸着すべく、平坦なウエハ載置面3とウエハWの反りを矯正して平坦なウエハ載置面3に倣わせるだけの充分な静電吸着力が必要である。本発明の静電チャック1は、真空装置内で主に用いられるため、ウエハWとウエハ載置面3間の熱伝達に寄与する気体などの熱伝達媒体が少ない場合が多く、ウエハWとウエハ載置面の接触による固体接触での熱伝達による場合が多い。そのため、ウエハWの冷却に対し、静電吸着力やウエハ載置面3の面粗さが大きく影響するため、それらの面内均一性が重要となる。
【0047】
これらの観点から、このような構成を有する静電チャック1を用い、板状セラミックス体2からなる静電チャック部5の載置面3にウエハWを載せ、一対の静電吸着用電極4間に直流電圧を印加すると従来型の静電チャックに比して、均一なプラズマを発生せしめ、均一な静電吸着力を発生させ、ウエハWの熱を均一に除去できる。
【0048】
例えば、静電吸着用電極4を静電チャック部5の内部に埋設した静電チャック1では、その製造工程において、予め静電チャック部5内部に静電吸着電極4を埋設した後、静電チャック部5を熱処理し電極が埋設された焼結体を形成する。前記の熱処理工程においては、反り等の変形は不可避であり、ウエハ載置面3表面から静電吸着電極4までの距離を載置面3全面に渡って均一にすることが困難である。
【0049】
本発明の静電チャック1は、ウエハ載置面3を有する静電チャック部5を板状体としてまず仕上げ、その後ウエハ載置面3でない他方の主面に静電吸着電極4を形成するため、静電チャック部5のセラミック板状体2の厚みをコントロールするだけでウエハ載置面3から静電吸着電極4までの距離を載置面3全面に渡って均一にすることが容易に可能である。静電吸着力は、ウエハ載置面3から静電吸着電極4までの距離の二乗に反比例するため、この距離の均一さは、静電吸着力の均一さに直結する。
【0050】
そして、この状態で成膜ガスやエッチングガスを供給することにより、静電チャック部5に吸着保持したウエハWに対して精度良い成膜加工やエッチング加工を施すことが可能となる。
【0051】
また、高温での成膜やエッチングを行う用途が近年開発されているが、上記の冷却同様、本発明の良好な熱伝導を有する静電チャック1は、均熱が達成しやすく、加熱、冷却のレスポンスが早い。
【0052】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は前述した実施形態だけに限定されるものではなく、例えば、静電チャック部5として双極型の例を示したが、単極型の静電チャック部5を用いることもでき、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で改良や変更したものに適用することができることは言う迄もない。
【0053】
また、上記、静電吸着用電極4が、CVD、溶射およびスパッタリングにより形成されたセラミックスの絶縁層8により被覆された板状セラミックス体2を、金属接合材9にて、導電性ベース部6に接合した場合は、積載面3から導電性ベース部6に至るまで、有機化合物層が存在せず、熱伝導が、8W/m・K以上の良好な熱伝導率のセラミックスおよび金属のみで構成される静電チャック1が得られる。
【0054】
プラズマ雰囲気で加熱されたウエハWの熱は、ウエハWに接触している静電チャック部5と静電吸着電極4の絶縁層8、接合層9、導電性ベース部6を通して、冷却水等により装置外へ除去されるが、絶縁層6や接合層9に熱伝導の著しく悪い有機層が用いられた場合、そこで熱伝達が遮断され、ウエハWのプラズマによる加熱に伴い、静電チャック部5も温度が上昇することとなり、温度の上昇に伴って、静電チャック部5をなす材料の体積固有抵抗が変化し、吸着力や、離脱がプラズマプロセス中で変化するという問題がある。
【0055】
本発明では、静電吸着用電極4をコーティングしている絶縁層8の厚みを上記板状セラミックス体2の厚みより小さくし、静電吸着用電極4をウエハWによって絶えず加熱され続けるウエハ載置面3よりも、冷却水等により熱が装置外へ除去されている導電性ベース部6近傍に設置することにより、静電吸着用電極4およびその周辺の板状セラミックス体2部分の温度を低温に安定化させることで、静電吸着用電極4周辺の板状セラミックス体2部分が有する絶縁耐圧特性、静電吸着特性をプロセス中に安定させることができる。
【0056】
また、静電吸着用電極4をコーティングしている絶縁層8の厚みを静電チャック部5を構成する板状セラミックス体2の厚みより小さくすることで、この静電チャック1の故障の一つである板状セラミックス体2の絶縁破壊が万一生じた場合、静電吸着用電極4とウエハW間ではなく、静電吸着用電極4と導電性ベース部6間で先に生じるようにし、万が一にもウエハWにダメージを与えない静電チャック1を得ることができる。
【0057】
【実施例】
ここで、比較例として図4に示した従来のゴム状の有機系接着剤で静電吸着用電極54を覆った静電チャック部55をシリコン樹脂系の弾性を有する絶縁層8を介して導電性ベース部56と接合した静電チャック51(試料No.1)と、図5に示した従来のポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤層
で静電吸着用電極54を覆い、ポリイミドからなる絶縁フィルムをかぶせた静電チャック部55をポリイミド樹脂からなる硬質接着剤層を介して導電性ベース部56と接合した静電チャック51(試料No.2)と、図6に示した従来型の静電吸着用電極54を板状セラミック体52の内部に埋設し、静電チャック部55を直接、導電性ベース部56とをポリイミド系樹脂からなる硬質接着剤59を介して接着するようにした構造にて、静電吸着用電極54とウエハ載置面53間の厚みが300μm(試料No.3)と500μm(試料No.4)の2種で、静電吸着用電極54より導電性ベース側56の部分の厚みがそれぞれ1mmの静電チャック51をアルミナにて製作した。
【0058】
一方、本発明実施例として、アルミナからなる板状セラミックス体2の静電吸着用電極4を有する主面にセラミックスをアルミナCVDでコーティングし、ゴム系等の有機系接着剤をスクリーン印刷等により塗布し接着し、良好な熱伝導率を得るため、有機系接着剤の脱泡処理を行うことによって硬化後の接着層に気泡が残るのを極力抑え、気孔率を10%以下とした接合層9を介して導電性ベース部6を接着した静電チャック1(アルミナCVDでコーティングした絶縁層8の厚みが10μmを(試料No.5),100μmを(試料No.6),200μmを(試料No.7)とする)と、アルミナ板状セラミックス体2の静電吸着用電極4を有する主面にアルミナCVDでコーティングし、Au―Snロウ材を介して導電性ベース部6を接着した静電チャック1(アルミナCVDでコーティング層の厚みが10μmを(試料No.8),100μmを(試料No.9),200μmを(試料No.10),1000μm(試料No.11)とする)を製作した。
【0059】
また、上記試料No.9と同じ構成にて、静電吸着用電極4を有する主面のコーティングにSi3N4(窒化珪素)を用いた(試料No.12)、SiO2を用いた(試料No.13)、AlNを用いた(試料No.13)およびSiCを用いた(試料No.14)静電チャック1を製作した。さらに、上記試料No.9と同じ構成にてAlN板状セラミックス体2の静電吸着用電極4を有する主面にAlNCVDでコーティングを施した(試料No.16)の静電チャック1を製作した。
【0060】
そしてそれらを用いて、静電チャック部5にシリコンウエハWを吸着させた状態で、導電性ベース部6にプラズマ高周波電力を運転した時の静電吸着用電極4と導電性ベース部6との間の絶縁性について調べる実験を行った。
【0061】
具体的には、静電チャック1を形成する板状セラミックス体2に、外径が200mm、厚みが2mmの円盤状をしたアルミナ焼結体を用い、一方の主面に一対の半円状をしたNi導体を、円を構成するようにメッキ法にて形成して静電吸着用電極4を形成した。
【0062】
導電性ベース部6はアルミニウムにて形成した静電チャック1をそれぞれ20個ずつ製作した。
【0063】
また、実験に当たっては、各静電チャック1、51をエッチング装置に搭載し、静電チャック1、51の載置面3、53に8インチのシリコンからなるウエハWを載せ、一対の静電吸着用電極4、54間に1kVの電圧を印加して静電吸着力を発生させることにより載置面3、53にウエハWを吸着させた状態で導電性ベース部6、56と、静電チャック1、51の上方に配置するプラズマ発生用電極との間に、周波数13.56Hz、1000Wの高周波電力を5分間印加し、これを100回繰り返した後、絶縁破壊したものが10%以下であったものを良好として判断した。
【0064】
なお、絶縁の有無は、導電性ベース部6への漏れ電流量を電流計によって測定し、その値が3mA以上となったときを絶縁破壊として判断した。また、絶縁破壊したものが10%以下であるものを良好とする判断基準は、本実験の条件で10%以下の破壊率であれば、通常使用ではほとんど不良が発生しないとこによるものである。
【0065】
また、100サイクルのプロセス中に10サイクル毎に、ウエハWの吸着力を吸着面にアルゴンガスを注入しながら、ウエハWがガス圧によって剥がされる導入圧力(torr)を測定することによって吸着力を測定した。この時のウエハWが剥がれた導入圧力(torr)を吸着力とし、10回の吸着力のデータのばらつきを吸着力平均値で除し、吸着力のばらつきとした。通常、このばらつきは、小さいほど好ましいが、50%以下が好適、100%が許容範囲、100%を越えると実際のウエハ処理で問題が生じる。
【0066】
それぞれの結果は、比較例であるNo.1〜4の静電チャック51では、絶縁破壊の発生確率が40%以上であったのに対し、本発明実施例であるNo.5〜16の静電チャック1は、10%以下で良好であった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、板状セラミックス体の一方の主面をウエハを載せる載置面とし、他方の主面に静電吸着用電極と、該静電吸着用電極を覆う絶縁層を備えた静電チャック部と、該静電チャック部の絶縁層の表面に接合したベース部とを備え、上記絶縁層がセラミックからなり、その厚みを上記板状セラミックス体の厚みより小さくすることにより、導電性ベース部に高周波電力を印加してプラズマを発生したとしても、静電吸着用電極との間に絶縁破壊の発生確率を大幅に低下することができ、信頼性の高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】従来の静電チャックを示す斜視図である。
【図4】図3のY−Y線断面図である。
【図5】従来の静電チャックの一例を示す断面図である。
【図6】従来の静電チャックの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:静電チャック
2:板状セラミックス体
3:載置面
4:静電吸着用電極
5:静電チャック部
6:導電性ベース部
7:貫通孔
8:コーティング層
9:接合層
10:リード部
W:ウエハ
Claims (5)
- 板状セラミックス体の一方の主面をウエハを載せる載置面とし、他方の主面に静電吸着用電極と、該静電吸着用電極を覆う絶縁層を備えた静電チャック部と、該静電チャック部の絶縁層の表面に接合したベース部とを備え、上記絶縁層がセラミックからなり、その厚みが上記板状セラミックス体の厚みより小さいことを特徴とする静電チャック。
- 上記絶縁層の主成分が、Al2O3、AlN、Si3N4、SiO2およびSiCの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
- 上記絶縁層がCVD、溶射及びスパッタリングにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
- 上記絶縁層の厚みが10〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の静電チャック。
- 上記静電吸着部が、金属接合層を介して導電性ベース部と接合していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の静電チャック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003088999A JP2004296911A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 静電チャック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003088999A JP2004296911A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 静電チャック |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004296911A true JP2004296911A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33402983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003088999A Pending JP2004296911A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 静電チャック |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004296911A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011077303A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 静電チャック装置 |
JP2015162481A (ja) * | 2014-02-26 | 2015-09-07 | 京セラ株式会社 | 試料保持具 |
KR102024528B1 (ko) * | 2019-01-22 | 2019-09-25 | (주)코리아스타텍 | 소결 합착척 및 이의 제조방법 |
CN110770891A (zh) * | 2017-10-30 | 2020-02-07 | 日本碍子株式会社 | 静电卡盘及其制法 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088999A patent/JP2004296911A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011077303A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 静電チャック装置 |
JP2015162481A (ja) * | 2014-02-26 | 2015-09-07 | 京セラ株式会社 | 試料保持具 |
CN110770891A (zh) * | 2017-10-30 | 2020-02-07 | 日本碍子株式会社 | 静电卡盘及其制法 |
CN110770891B (zh) * | 2017-10-30 | 2023-04-07 | 日本碍子株式会社 | 静电卡盘及其制法 |
KR102024528B1 (ko) * | 2019-01-22 | 2019-09-25 | (주)코리아스타텍 | 소결 합착척 및 이의 제조방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4031732B2 (ja) | 静電チャック | |
JP4942471B2 (ja) | サセプタおよびこれを用いたウェハの処理方法 | |
JP5633766B2 (ja) | 静電チャック | |
JP4034145B2 (ja) | サセプタ装置 | |
JP6380177B2 (ja) | 静電チャック装置 | |
JP4943086B2 (ja) | 静電チャック装置及びプラズマ処理装置 | |
JP4943085B2 (ja) | 静電チャック装置及びプラズマ処理装置 | |
JP4369765B2 (ja) | 静電チャック | |
JP2003258065A (ja) | ウエハ載置ステージ | |
JPH10284475A (ja) | 処理方法 | |
JP2007251124A (ja) | 静電チャック | |
JP2003168725A (ja) | ウエハ支持部材及びその製造方法 | |
JP3978011B2 (ja) | ウエハ載置ステージ | |
JP2004296911A (ja) | 静電チャック | |
JP3767719B2 (ja) | 静電吸着装置 | |
JP2005150370A (ja) | 静電チャック | |
JPH10209257A (ja) | 静電チャック装置およびその製造方法 | |
TW202218038A (zh) | 陶瓷接合體、靜電卡盤裝置及陶瓷接合體的製造方法 | |
JP2005175179A (ja) | セラミックチャック | |
JP3370489B2 (ja) | 静電チャック | |
JP4439102B2 (ja) | 静電チャック | |
JP3854145B2 (ja) | ウエハ支持部材 | |
JP2007142456A (ja) | 静電チャック | |
JP2005072286A (ja) | 静電チャック | |
JP2004259805A (ja) | 静電チャック |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070529 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070727 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080129 |