JP2004293011A - 吸湿性芯鞘アクリル系繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】芯鞘アクリル系繊維中の鞘部にポリビニルピロリドン(PVP)を含有することにより、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下で、繊維としての基本特性である、単糸の強度、伸度を保持した吸湿性アクリル系繊維とその製造方法を提供すること。
【解決手段】芯部がアクリル系重合体、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、少なくとも2種類のアクリル系重合体からなる芯鞘型アクリル系繊維であり、該芯部と該鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)が10:90〜90:10であり、該鞘部のポリビニルピロリドンが芯鞘型アクリル系繊維に対し2〜30重量%の含有量であり、単糸の強度が、1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上45%以下であり、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下であることを特徴する吸湿性芯鞘アクリル系繊維。
【選択図】なし
【解決手段】芯部がアクリル系重合体、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、少なくとも2種類のアクリル系重合体からなる芯鞘型アクリル系繊維であり、該芯部と該鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)が10:90〜90:10であり、該鞘部のポリビニルピロリドンが芯鞘型アクリル系繊維に対し2〜30重量%の含有量であり、単糸の強度が、1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上45%以下であり、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下であることを特徴する吸湿性芯鞘アクリル系繊維。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、快適な肌着、レッグ等の素材として最適な高吸湿性アクリル系繊維とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりアクリル系繊維はその優れた風合い、染色性等の特徴を活かし、主に短繊維となされ、肌着、セーター、ジャージ、ニット、レッグ等の衣料分野、ハイパイル、モケット等のインテリア分野、毛布等の寝装分野で幅広く用いられていた。
【0003】
一方、綿や羊毛等に代表される天然繊維はその風合いや着心地の良さが好まれ、特に、肌に直接当たる肌着や中衣には適度な吸湿性を有する綿が多く用いられている。
【0004】
しかし、綿の肌着は、しなやかさ、ドレープ性、光沢感等の審美性に欠けると共に、表面のなめらかなタッチ、着用時のひんやり感等についても不十分であり、特に女性の肌着には不向きであった。
【0005】
これに対し、合成繊維であるアクリル系合成繊維は、染色性などに優れた特性を有するものの、天然繊維に比べ吸湿性が劣っている。そのため、着用により生じた水蒸気は十分吸湿されないので衣服外に放出されず、特に夏の高温多湿時の蒸れ感は大きく不快を感じるものであった。
【0006】
そのため、吸湿性の改善として、ポリビニルピロリドンを含有させたアクリル繊維が提案されているが(特許文献1)、基本的な繊維の特性を保持し実用的なアクリル繊維に至って無く特に繊維残存モノマーであるビニルピロリドンの含有率が高いため、原綿の黄色度b値が高く、衣料分野で使用できる製品まで至ってない。
【0007】
また、異形芯鞘複合繊維中の芯部にポリビニルピロリドンを含有させているものも提案されているが(特許文献2)、このものでは充分な吸湿性が得られているとは言い難いものであった。
【0008】
【特許文献1】特開昭51−37981号公報
【0009】
【特許文献2】特開平8−337926号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、アクリル系繊維の吸湿性を向上すべく鋭意検討したところ本発明に至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、芯鞘アクリル系繊維中の鞘部にポリビニルピロリドン(PVP)を含有することにより、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下で、繊維としての基本特性である、単糸の強度、伸度を保持した吸湿性アクリル系繊維とその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
【0013】
すなわち、本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、芯部がアクリル系重合体、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、少なくとも2種類のアクリル系重合体からなる芯鞘型アクリル系繊維であり、該芯部と該鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)が10:90〜90:10であり、該鞘部のポリビニルピロリドンが芯鞘型アクリル系繊維に対し2〜30重量%の含有量であり、単糸の強度が、1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上45%以下であり、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下である吸湿性芯鞘アクリル系繊維である。
【0014】
また、本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維の製造方法は、芯鞘口金から、芯部がアクリル系重合体からなり、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、芯鞘型アクリル系重合体を凝固浴中に湿式紡糸することを特徴とする吸湿性芯鞘アクリル系繊維の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、吸湿率差△MRが2%以上5%以下の所望の吸湿特性を得るために、まず、芯部にアクリル系重合体、鞘部にポリビニルピロリドン含有アクリル系重合体のそれぞれ異なった少なくとも2種類のアクリル系重合体で構成されたアクリル系重合体を、芯鞘口金を用いて湿式紡糸することで、鞘部のポリビニルピロリドンがアクリル系繊維に対し2〜30重量%含有していることが重要である。
【0016】
本発明において、アクリル系重合体としては、繊維形成性を有するアクリル系ポリマー、すなわち、アクリロニトリルを80重量%以上含有するアクリル系ポリマーおよび共重合ポリマーであれば好ましく、特に限定されるものではないが、製糸性、耐失透性、染色性等の面から、アクリロニトリルを90重量%以上含有し、共重合量が10重量%以下であるものがさらに好ましい。
【0017】
また、このアクリル系重合体における共重合成分には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの低級アルキルエステル類、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、塩化ビニリデン等のビニル系化合物の他に、ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、パラスチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸およびそれらの塩類等の酸性モノマー類の同種または異種を用いることができる。
【0018】
上記アクリル系重合体は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤中で適宜重合または溶解し、ポリマー濃度が10〜25重量%の紡糸原液とするのが好ましい。
【0019】
次に、PVPグラフト重合体を得るためにグラフト重合で使用するPVPは、K値が80〜90と大きいPVPを用いるのが好ましい。
【0020】
K値が80〜90と大きいPVPを使用することで、グラフト重合時のAN、あるいはメチルメタクリレート等との容易な反応性、グラフト重合後のグラフト重合体の耐久性が良い等の効果が上げられる。
【0021】
例えば、K値が80〜90のような大きいPVPの商品としては、BASF社製の市販のもの(BASF社製“LUVITEC”K80,K90POWDER:以下K80、K90と略す)等が好ましい。
【0022】
このPVPにANをグラフト重合させるANの比率は15〜30重量%、PVPにメチルメタクリレートをグラフト重合させる比率は5〜15重量%が好ましい。
【0023】
上記したPVPグラフト重合体は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤中で適宜重合または溶解し、ポリマー濃度が15〜20重量%とするのが好ましい。
【0024】
K値が低い12〜55のPVPはグラフト重合時のAN、あるいはメチルメタクリレート等との反応性の低下、グラフト重合後のグラフト重合体の耐久性が不足するなどの影響が上げられる。
【0025】
高吸湿特性(ΔMR2%以上5%以下)を繊維に付与するために、ポリビニルピロリドンがアクリル系繊維に対し、2〜30重量%含有していることが好ましい。さらに好ましくは、10〜25重量%含有していることが好ましい。芯部と、鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)は10:90〜90:10であることが重要であり、さらに好ましくは、20:80〜40:60が好ましい。
【0026】
芯鞘比率の割合いとして、上述した比率よりも鞘部の比率が、芯部:鞘部=90以上:10未満などと少ない場合はPVPの含有率を高くすることが概して難しく、目標とする吸湿性が得られない。また、芯部と鞘部の芯鞘比率の割合いとして10未満:90以上などと鞘部の比率が多過ぎると、鞘部のPVPの含有率が多くなり、得られた製品はべたつき感が発現し感触不良となり、しかも製糸性が不良となって安定して生産することができなくなる。
【0027】
ここでいう芯部と鞘部の芯鞘比率の割合いとは、繊維断面積の割合い(%)で表す。
【0028】
前記記載の芯部のアクリル系重合体、鞘部のポリビニルピロリドンを含有したアクリル系重合体のそれぞれ異なった2種類のアクリル系重合体を紡糸原液として口金孔から吐出して紡糸するとき、口金の種類は、芯鞘口金を用いるのが好ましい。ここでいう芯鞘口金とは、芯鞘繊維紡糸用の口金のことをいう。ここでいう芯鞘繊維とは、編芯芯鞘でもよい。
【0029】
芯鞘口金の紡糸ノズルの孔径は0.06mmφ〜0.12mmφの孔径が好ましい。
【0030】
本発明の芯鞘吸湿性アクリル系繊維の製造方法で用いる凝固浴は、凝固速度が速いことが重要で、無機溶剤に比して、凝固速度が速い、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)等の有機溶剤を水と混合して用いることができる。
【0031】
中でも、凝固速度が極めて速いDMSOが好ましく使用される。なお、凝固浴の組成としては、好ましくは有機溶剤10〜70重量%/水90〜30重量%、より好ましくは有機溶剤30〜60重量%/水70〜40重量%で使用する。
【0032】
さらに凝固浴温度は、好ましくは5〜60℃、より好ましくは20〜45℃の範囲に保持する。凝固浴温度が5℃より低いと紡糸性、特に可紡性が低下するので好ましくない。凝固浴温度が60℃より高いと、得られる繊維に失透現象が起き、染色性が低下するので好ましくない。
【0033】
凝固浴より導出された凝固糸条は、水洗処理、水洗と同時に延伸処理、延伸後水洗処理、水洗後延伸処理のいずれかの処理をした後に、乾燥して緻密化させる。その後、機械捲縮を付与し、60〜90℃の熱風で乾燥した後、所定の長さにカットして短繊維集合体を得ることができる。延伸は、3倍以上7倍以下の延伸倍率で行うことが好ましい。これは、糸の強度、伸度をもたらさしめるためである。
【0034】
好ましく製造された本発明のアクリル系合成繊維は、吸湿率差△MRが2%以上5%以下、単糸(単繊維)の強度が1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上、45%以下という特性を有する。このことは、吸湿性をもたらすとともに、従来同様の糸の強さ、柔軟さをもっているので、次工程である紡績工程での通過性についても問題ないという効果をもたらすものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0036】
ここで、本発明における各種特性値の測定方法について述べる。
<K値>PVPを濃度1%の水溶液とし、その相対粘度を測定し、Fikentscherの式により求める。ここでの測定回数は3回として、K値は3回の測定値を平均したものである。
logZ=C[75k2 /(1+1.5kC)+k]
但し、Z:濃度Cの水溶液の相対粘度、k:K値×10−3、C:水溶液濃度(wt%)である。
<吸湿率差;△MR>
得られた原綿の△MRの測定方法は、1回の測定で使用する約3gの試験片をそれぞれ1g毎に分けて3枚準備する。試験片を重さが既知の秤量瓶に入れ60℃に設定した熱風乾燥機に蓋をとって30分間予備乾燥を行う。予備乾燥後、20℃×65%RHに設定した恒温恒湿機内で24時間調湿する。秤量瓶の蓋をした後、恒温恒湿機から取り出し、直ちに重量を測り秤量瓶の重量を差し引き試験片の重量を算出する(小数点以下4桁まで求める。これをW1とする)。次に30℃×90%RHに設定した恒温恒湿機内で秤量瓶の蓋をとって24時間調湿する。
【0037】
秤量瓶の蓋をした後、恒温恒湿機から取り出しただちに重量を測り秤量瓶の重量を差し引き試験片の重量を算出する(小数点以下4桁まで求める。これをW2とする)。105℃で2時間熱風乾燥機で秤量瓶の蓋を取り乾燥し乾燥後、直ちに秤量瓶の蓋をした後、デシケータの中に入れて室温で30分間放冷する。
【0038】
その後デシケータから秤量瓶を取り出し重量を測り秤量瓶の重量を差し引き試験片の絶乾重量を求める(小数点以下4桁まで求める。これをW3とする)。
【0039】
このように求めた絶乾前後の試験片の重さから次の式によって20℃×65%RHと30℃×90%RHの吸湿率差(△MR)を算出し3枚の平均値で表す(小数点以下1桁まで求める)。
【0040】
△MR=MR2−MR1
MR1=(W1−W3)/W3×100(%)
MR2=(W2−W3)/W3×100(%)
実施例1
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0041】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体得た。
【0042】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合した、PVP含有アクリル系重合体の、芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0043】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い40:60で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0044】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、3.2CN/dtex、伸度が20%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0045】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが2.5%であり優れた吸湿率を有するものであった。
実施例2
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0046】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体得た。
【0047】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合したPVP含有アクリル系重合体の芯部と鞘部に使用する、それぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0048】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い30:70で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0049】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、3.0CN/dtex、伸度が18%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0050】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが2.8%であり優れた吸湿率を有するものであった。
実施例3
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0051】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体得た。
【0052】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合した、PVP含有アクリル系重合体の、芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0053】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い20:80で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0054】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、2.7CN/dtex、伸度が16%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0055】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが3.2%であり、優れた吸湿率を有するものであった。
比較例1
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0056】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体を得た。
【0057】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合した、PVP含有アクリル系重合体の、芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0058】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い80:20で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0059】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、1.4CN/dtex、伸度が13%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0060】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが1.8%であり、満足する吸湿率を有するものが得られなかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、芯鞘アクリル系繊維中の鞘部にポリビニルピロリドンを含有させることにより高吸湿化したアクリル系繊維を提供できる。
【0062】
従って、吸湿性に優れ、着用感に優れたアクリル系繊維の衣料用布帛製品とすることができ、特に、吸湿性と供に審美性も要求される各種衣料用アクリル系繊維製品として適用できる。例えば、肌に直接着用されるインナーウェアや靴下として、また、スポーツウェアとして好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、快適な肌着、レッグ等の素材として最適な高吸湿性アクリル系繊維とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりアクリル系繊維はその優れた風合い、染色性等の特徴を活かし、主に短繊維となされ、肌着、セーター、ジャージ、ニット、レッグ等の衣料分野、ハイパイル、モケット等のインテリア分野、毛布等の寝装分野で幅広く用いられていた。
【0003】
一方、綿や羊毛等に代表される天然繊維はその風合いや着心地の良さが好まれ、特に、肌に直接当たる肌着や中衣には適度な吸湿性を有する綿が多く用いられている。
【0004】
しかし、綿の肌着は、しなやかさ、ドレープ性、光沢感等の審美性に欠けると共に、表面のなめらかなタッチ、着用時のひんやり感等についても不十分であり、特に女性の肌着には不向きであった。
【0005】
これに対し、合成繊維であるアクリル系合成繊維は、染色性などに優れた特性を有するものの、天然繊維に比べ吸湿性が劣っている。そのため、着用により生じた水蒸気は十分吸湿されないので衣服外に放出されず、特に夏の高温多湿時の蒸れ感は大きく不快を感じるものであった。
【0006】
そのため、吸湿性の改善として、ポリビニルピロリドンを含有させたアクリル繊維が提案されているが(特許文献1)、基本的な繊維の特性を保持し実用的なアクリル繊維に至って無く特に繊維残存モノマーであるビニルピロリドンの含有率が高いため、原綿の黄色度b値が高く、衣料分野で使用できる製品まで至ってない。
【0007】
また、異形芯鞘複合繊維中の芯部にポリビニルピロリドンを含有させているものも提案されているが(特許文献2)、このものでは充分な吸湿性が得られているとは言い難いものであった。
【0008】
【特許文献1】特開昭51−37981号公報
【0009】
【特許文献2】特開平8−337926号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、アクリル系繊維の吸湿性を向上すべく鋭意検討したところ本発明に至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、芯鞘アクリル系繊維中の鞘部にポリビニルピロリドン(PVP)を含有することにより、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下で、繊維としての基本特性である、単糸の強度、伸度を保持した吸湿性アクリル系繊維とその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
【0013】
すなわち、本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、芯部がアクリル系重合体、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、少なくとも2種類のアクリル系重合体からなる芯鞘型アクリル系繊維であり、該芯部と該鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)が10:90〜90:10であり、該鞘部のポリビニルピロリドンが芯鞘型アクリル系繊維に対し2〜30重量%の含有量であり、単糸の強度が、1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上45%以下であり、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下である吸湿性芯鞘アクリル系繊維である。
【0014】
また、本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維の製造方法は、芯鞘口金から、芯部がアクリル系重合体からなり、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、芯鞘型アクリル系重合体を凝固浴中に湿式紡糸することを特徴とする吸湿性芯鞘アクリル系繊維の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、吸湿率差△MRが2%以上5%以下の所望の吸湿特性を得るために、まず、芯部にアクリル系重合体、鞘部にポリビニルピロリドン含有アクリル系重合体のそれぞれ異なった少なくとも2種類のアクリル系重合体で構成されたアクリル系重合体を、芯鞘口金を用いて湿式紡糸することで、鞘部のポリビニルピロリドンがアクリル系繊維に対し2〜30重量%含有していることが重要である。
【0016】
本発明において、アクリル系重合体としては、繊維形成性を有するアクリル系ポリマー、すなわち、アクリロニトリルを80重量%以上含有するアクリル系ポリマーおよび共重合ポリマーであれば好ましく、特に限定されるものではないが、製糸性、耐失透性、染色性等の面から、アクリロニトリルを90重量%以上含有し、共重合量が10重量%以下であるものがさらに好ましい。
【0017】
また、このアクリル系重合体における共重合成分には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの低級アルキルエステル類、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、塩化ビニリデン等のビニル系化合物の他に、ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、パラスチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸およびそれらの塩類等の酸性モノマー類の同種または異種を用いることができる。
【0018】
上記アクリル系重合体は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤中で適宜重合または溶解し、ポリマー濃度が10〜25重量%の紡糸原液とするのが好ましい。
【0019】
次に、PVPグラフト重合体を得るためにグラフト重合で使用するPVPは、K値が80〜90と大きいPVPを用いるのが好ましい。
【0020】
K値が80〜90と大きいPVPを使用することで、グラフト重合時のAN、あるいはメチルメタクリレート等との容易な反応性、グラフト重合後のグラフト重合体の耐久性が良い等の効果が上げられる。
【0021】
例えば、K値が80〜90のような大きいPVPの商品としては、BASF社製の市販のもの(BASF社製“LUVITEC”K80,K90POWDER:以下K80、K90と略す)等が好ましい。
【0022】
このPVPにANをグラフト重合させるANの比率は15〜30重量%、PVPにメチルメタクリレートをグラフト重合させる比率は5〜15重量%が好ましい。
【0023】
上記したPVPグラフト重合体は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤中で適宜重合または溶解し、ポリマー濃度が15〜20重量%とするのが好ましい。
【0024】
K値が低い12〜55のPVPはグラフト重合時のAN、あるいはメチルメタクリレート等との反応性の低下、グラフト重合後のグラフト重合体の耐久性が不足するなどの影響が上げられる。
【0025】
高吸湿特性(ΔMR2%以上5%以下)を繊維に付与するために、ポリビニルピロリドンがアクリル系繊維に対し、2〜30重量%含有していることが好ましい。さらに好ましくは、10〜25重量%含有していることが好ましい。芯部と、鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)は10:90〜90:10であることが重要であり、さらに好ましくは、20:80〜40:60が好ましい。
【0026】
芯鞘比率の割合いとして、上述した比率よりも鞘部の比率が、芯部:鞘部=90以上:10未満などと少ない場合はPVPの含有率を高くすることが概して難しく、目標とする吸湿性が得られない。また、芯部と鞘部の芯鞘比率の割合いとして10未満:90以上などと鞘部の比率が多過ぎると、鞘部のPVPの含有率が多くなり、得られた製品はべたつき感が発現し感触不良となり、しかも製糸性が不良となって安定して生産することができなくなる。
【0027】
ここでいう芯部と鞘部の芯鞘比率の割合いとは、繊維断面積の割合い(%)で表す。
【0028】
前記記載の芯部のアクリル系重合体、鞘部のポリビニルピロリドンを含有したアクリル系重合体のそれぞれ異なった2種類のアクリル系重合体を紡糸原液として口金孔から吐出して紡糸するとき、口金の種類は、芯鞘口金を用いるのが好ましい。ここでいう芯鞘口金とは、芯鞘繊維紡糸用の口金のことをいう。ここでいう芯鞘繊維とは、編芯芯鞘でもよい。
【0029】
芯鞘口金の紡糸ノズルの孔径は0.06mmφ〜0.12mmφの孔径が好ましい。
【0030】
本発明の芯鞘吸湿性アクリル系繊維の製造方法で用いる凝固浴は、凝固速度が速いことが重要で、無機溶剤に比して、凝固速度が速い、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)等の有機溶剤を水と混合して用いることができる。
【0031】
中でも、凝固速度が極めて速いDMSOが好ましく使用される。なお、凝固浴の組成としては、好ましくは有機溶剤10〜70重量%/水90〜30重量%、より好ましくは有機溶剤30〜60重量%/水70〜40重量%で使用する。
【0032】
さらに凝固浴温度は、好ましくは5〜60℃、より好ましくは20〜45℃の範囲に保持する。凝固浴温度が5℃より低いと紡糸性、特に可紡性が低下するので好ましくない。凝固浴温度が60℃より高いと、得られる繊維に失透現象が起き、染色性が低下するので好ましくない。
【0033】
凝固浴より導出された凝固糸条は、水洗処理、水洗と同時に延伸処理、延伸後水洗処理、水洗後延伸処理のいずれかの処理をした後に、乾燥して緻密化させる。その後、機械捲縮を付与し、60〜90℃の熱風で乾燥した後、所定の長さにカットして短繊維集合体を得ることができる。延伸は、3倍以上7倍以下の延伸倍率で行うことが好ましい。これは、糸の強度、伸度をもたらさしめるためである。
【0034】
好ましく製造された本発明のアクリル系合成繊維は、吸湿率差△MRが2%以上5%以下、単糸(単繊維)の強度が1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上、45%以下という特性を有する。このことは、吸湿性をもたらすとともに、従来同様の糸の強さ、柔軟さをもっているので、次工程である紡績工程での通過性についても問題ないという効果をもたらすものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0036】
ここで、本発明における各種特性値の測定方法について述べる。
<K値>PVPを濃度1%の水溶液とし、その相対粘度を測定し、Fikentscherの式により求める。ここでの測定回数は3回として、K値は3回の測定値を平均したものである。
logZ=C[75k2 /(1+1.5kC)+k]
但し、Z:濃度Cの水溶液の相対粘度、k:K値×10−3、C:水溶液濃度(wt%)である。
<吸湿率差;△MR>
得られた原綿の△MRの測定方法は、1回の測定で使用する約3gの試験片をそれぞれ1g毎に分けて3枚準備する。試験片を重さが既知の秤量瓶に入れ60℃に設定した熱風乾燥機に蓋をとって30分間予備乾燥を行う。予備乾燥後、20℃×65%RHに設定した恒温恒湿機内で24時間調湿する。秤量瓶の蓋をした後、恒温恒湿機から取り出し、直ちに重量を測り秤量瓶の重量を差し引き試験片の重量を算出する(小数点以下4桁まで求める。これをW1とする)。次に30℃×90%RHに設定した恒温恒湿機内で秤量瓶の蓋をとって24時間調湿する。
【0037】
秤量瓶の蓋をした後、恒温恒湿機から取り出しただちに重量を測り秤量瓶の重量を差し引き試験片の重量を算出する(小数点以下4桁まで求める。これをW2とする)。105℃で2時間熱風乾燥機で秤量瓶の蓋を取り乾燥し乾燥後、直ちに秤量瓶の蓋をした後、デシケータの中に入れて室温で30分間放冷する。
【0038】
その後デシケータから秤量瓶を取り出し重量を測り秤量瓶の重量を差し引き試験片の絶乾重量を求める(小数点以下4桁まで求める。これをW3とする)。
【0039】
このように求めた絶乾前後の試験片の重さから次の式によって20℃×65%RHと30℃×90%RHの吸湿率差(△MR)を算出し3枚の平均値で表す(小数点以下1桁まで求める)。
【0040】
△MR=MR2−MR1
MR1=(W1−W3)/W3×100(%)
MR2=(W2−W3)/W3×100(%)
実施例1
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0041】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体得た。
【0042】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合した、PVP含有アクリル系重合体の、芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0043】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い40:60で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0044】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、3.2CN/dtex、伸度が20%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0045】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが2.5%であり優れた吸湿率を有するものであった。
実施例2
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0046】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体得た。
【0047】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合したPVP含有アクリル系重合体の芯部と鞘部に使用する、それぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0048】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い30:70で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0049】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、3.0CN/dtex、伸度が18%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0050】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが2.8%であり優れた吸湿率を有するものであった。
実施例3
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0051】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体得た。
【0052】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合した、PVP含有アクリル系重合体の、芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0053】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い20:80で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0054】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、2.7CN/dtex、伸度が16%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0055】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが3.2%であり、優れた吸湿率を有するものであった。
比較例1
アクリロニトリル(以下、ANという)94重量%、アクリル酸メチル5.5重量%、およびメタクリルスルホン酸ソーダ0.5重量%をDMSO中で溶液重合し、アクリル系重合体を得た。
【0056】
K値が80のポリビニルピロリドン(以下PVPという)(BASF社製“LUVITEC”K80 POWDER:以下K80と略す)を用い、このPVPをジメチルスルホオキサイト(DMSO)に溶解し、ANをPVPに対して24%、メチルメタクリレートをPVPに対して6%入れ、シュウ酸2水和物、純水、ドデシルメルカプタン、過硫酸アンモニウムを入れ、55℃で11時間重合したPVPグラフト重合体を得た。
【0057】
芯部に使用するアクリル系重合体、鞘部に使用するPVPグラフト重合体を、アクリル系重合体に対し、PVPが40重量%になるように混合した、PVP含有アクリル系重合体の、芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を作成した。
【0058】
この芯部と鞘部に使用するそれぞれ異なった2種類の紡糸原液を紡糸ノズル孔径0.08mmφからなる芯鞘口金を用いて芯部と鞘部の芯鞘比率割合い80:20で凝固浴中に湿式紡糸して凝固糸条を作製した。
【0059】
この凝固糸条を98℃の熱水中で5.5倍に延伸し、この延伸糸条を温水で十分洗浄した後、160℃で乾燥緻密化した。次にこの糸条を75℃で予熱し、機械捲縮を付与した後、80℃の熱風で乾燥し、単繊維繊度3.3dtex、単糸の強度が、1.4CN/dtex、伸度が13%のアクリル系繊維の繊維集合体を得た。
【0060】
こうして得られた本発明の吸湿性芯鞘アクリル系繊維は、△MRが1.8%であり、満足する吸湿率を有するものが得られなかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、芯鞘アクリル系繊維中の鞘部にポリビニルピロリドンを含有させることにより高吸湿化したアクリル系繊維を提供できる。
【0062】
従って、吸湿性に優れ、着用感に優れたアクリル系繊維の衣料用布帛製品とすることができ、特に、吸湿性と供に審美性も要求される各種衣料用アクリル系繊維製品として適用できる。例えば、肌に直接着用されるインナーウェアや靴下として、また、スポーツウェアとして好適である。
Claims (2)
- 芯部がアクリル系重合体、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、少なくとも2種類のアクリル系重合体からなる芯鞘型アクリル系繊維であり、該芯部と該鞘部の芯鞘比率の割合い(繊維断面積の割合い)が10:90〜90:10であり、該鞘部のポリビニルピロリドンが芯鞘型アクリル系繊維に対し2〜30重量%の含有量であり、単糸の強度が、1.5CN/dtex以上5.5CN/dtex以下、伸度が15%以上45%以下であり、吸湿率差ΔMRが2%以上5%以下であることを特徴する吸湿性芯鞘アクリル系繊維。
- 芯鞘口金から、芯部がアクリル系重合体からなり、鞘部がポリビニルピロリドンを含有するアクリル系重合体からなる、芯鞘型アクリル系重合体を凝固浴中に湿式紡糸することを特徴とする吸湿性芯鞘アクリル系繊維の製造方法。
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