JP2004288843A - 半導体記憶素子及びこれを用いた半導体記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】情報の記録及び読み出しを容易に行うことができ、比較的簡単な製造方法で容易に製造することができる半導体記憶素子及びこれを用いた半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】第1の電極2及び第2の電極5の間にアモルファス薄膜4が挟まれて構成され、第1の電極2及び第2の電極5の少なくとも一方の電極5がAg又はCuを含み、アモルファス薄膜4がGeとS,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成る半導体記憶素子10を構成する。また、この半導体記憶素子10と、第1の電極2側に接続された配線と、第2の電極5側に接続された配線とを有して、半導体記憶素子10を多数配置して磁気記憶装置を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報を記録することができる半導体記憶素子及びこの半導体記憶素子を用いた半導体記憶装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ等の情報機器においては、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度のDRAMが広く使用されている。
【0003】
しかしながら、DRAMは、電子機器に用いられる一般的な論理回路LSIや信号処理と比較して、製造プロセスが複雑であるため、製造コストが高くなっている。
【0004】
また、DRAMは、電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであり、頻繁にリフレッシュ動作、即ち書き込んだ情報(データ)を読み出し、増幅し直して、再度書き込み直す動作を行う必要がある。
そこで、電源を切っても情報が消えない不揮発性のメモリとして、例えばFeRAM(強誘電体メモリ)やMRAM(磁気記憶素子)等が提案されている。
【0005】
これらのメモリの場合、電源を供給しなくても書き込んだ情報を長時間保持し続けることが可能になる。
また、これらのメモリの場合、不揮発性とすることにより、リフレッシュ動作を不要にして、その分消費電力を低減することができると考えられる。
【0006】
しかしながら、上述の不揮発性のメモリは、各メモリセルを構成するメモリ素子の縮小化を図っていくに従い、記憶素子としての特性を確保することが困難になる。
このため、デザインルールの限界や製造プロセス上の限界まで素子を縮小化することは難しい。
【0007】
そこで、縮小化に適した構成のメモリとして、新しいタイプの記憶素子が提案されている。
この記憶素子は、2つの電極の間に、ある金属を含むイオン導電体を挟んだ構造である。
そして、2つの電極のいずれか一方にイオン導電体中に含まれる金属を含ませることによって、2つの電極間に電圧を印加した場合に、電極中に含まれる金属がイオン導電体中にイオンとして拡散することによって、イオン導電体の抵抗或いはキャパシタンス等の電気特性が変化する。
この特性を利用してメモリデバイスを構成することが可能である(例えば特許文献1、非特許文献1参照。)。
【0008】
具体的には、イオン導電体はカルコゲナイドと金属との固溶体よりなり、さらに具体的には、AsS,GeS,GeSeにAg,Cu或いはZnが固溶された材料からなり、2つの電極のいずれか一方の電極には、Ag,Cu或いはZnを含んでいる(特許文献1参照)。
【0009】
また、この記憶素子の製造方法として、基板上にカルコゲナイドから成るイオン導電体を堆積させた後に、金属を含む電極をイオン導電体上に堆積させ、イオン導電体の光学ギャップ以上のエネルギーを有する光を照射する、或いは熱を加えることによって、金属をイオン導電体中に拡散させて固溶させる方法により、金属を含有するイオン導電体を形成する方法が提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特表2002−536840号公報
【非特許文献1】
日経エレクトロニクス 2003.1.20号(第104頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した構成の記憶素子では、カルコゲナイドと金属との固溶体によりイオン導電体を構成しており、金属即ち例えばAg,Cu,Znが予め固溶されていることにより、金属イオンを拡散させて記録を行うために要する電流が多く必要になってしまう。
【0012】
また、記録の前後の抵抗値の変化量が、比較的小さい。
このため、記録した情報を読み出したときに、情報の内容を判別することが難しくなる。
【0013】
さらに、イオン導電体の光学ギャップ以上のエネルギーを有する光を照射する、或いは熱を加えることによって、金属をイオン導電体中に拡散させて固溶させる製造方法は、製造工程を煩雑にしてしまう。
【0014】
上述した問題の解決のために、本発明においては、情報の記録及び読み出しを容易に行うことができ、比較的簡単な製造方法で容易に製造することができる半導体記憶素子及びこれを用いた半導体記憶装置を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体記憶素子は、第1の電極及び第2の電極の間に、アモルファス薄膜が挟まれて構成され、第1の電極及び第2の電極は、少なくとも一方の電極がAg又はCuを含み、アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成るものである。
【0016】
本発明の半導体記憶装置は、第1の電極及び第2の電極の間にアモルファス薄膜が挟まれて構成され、第1の電極及び第2の電極は、少なくとも一方の電極がAg又はCuを含み、アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成る半導体記憶素子と、第1の電極側に接続された配線と、第2の電極側に接続された配線とを有し、半導体記憶素子が多数配置されて成るものである。
【0017】
上述の本発明の半導体記憶素子の構成によれば、第1の電極及び第2の電極の間にアモルファス薄膜が挟まれ、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方の電極がAg又はCuを含み、アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成ることにより、電極に含まれるAg又はCuがイオンとしてアモルファス薄膜中へ拡散することを利用して情報を記憶することが可能になる。
【0018】
具体的には、Ag又はCuを含む一方の電極側に正電位を印加して素子に正電圧をかけると、電極に含まれるAg又はCuがイオン化してアモルファス薄膜中に拡散し、アモルファス薄膜内の他方の電極側の部分で電子と結合して析出することにより、アモルファス薄膜の抵抗が低くなり、素子の抵抗も低くなるので、これにより情報の記録を行うことが可能になる。そして、この状態から、Ag又はCuを含む一方の電極側に負電位を印加して素子に負電圧をかけると、他方の電極側に析出していたAg又はCuが再びイオン化して、一方の電極側に戻ることにより、アモルファス薄膜の抵抗が元の高い状態に戻り、素子の抵抗も高くなるので、これにより記録した情報の消去を行うことが可能になる。
【0019】
そして、記録する前のアモルファス薄膜に、イオン化するAg又はCuを含めないように構成することにより、記録に要する電流を小さくすることができ、抵抗変化を大きくすることができる。また、記録に要する時間も短くすることができる。
【0020】
上述の本発明の半導体記憶装置の構成によれば、上述の本発明の半導体記憶素子と、第1の電極側に接続された配線と、第2の電極側に接続された配線とを有し、半導体記憶素子が多数配置されて成ることにより、半導体記憶素子に配線から電流を流して、情報の記録や情報の消去を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体記憶素子は、第1の電極及び第2の電極の間に、アモルファス薄膜が挟まれて構成され、第1の電極及び第2の電極は、少なくとも一方の電極がAg又はCuを含み、アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成るものである。
【0022】
また、上記本発明の半導体記憶素子において、Ag又はCuを含む電極が、この電極に含まれるAg又はCuよりもイオン化した場合の価数が大きい元素から成る電極層に接続されている構成を可能とする。
【0023】
また、上記本発明の半導体記憶素子において、第1の電極又は第2の電極が、TiW,Ti,Wのいずれかから成る電極層に接続されている構成を可能とする。
【0024】
また、上記本発明の半導体記憶素子において、アモルファス薄膜が、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素と、さらにSiとから成る構成を可能とする。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態として、半導体記憶素子の概略構成図(断面図)を示す。
この半導体記憶素子10は、高電気伝導度の基板1、例えばP型の高濃度の不純物がドープされた(P++の)シリコン基板上に、下部電極2が形成され、この下部電極2上の絶縁膜3に形成された開口を通じて下部電極2に接続するように、アモルファス薄膜4、上部電極5、電極層6、導電層7の積層膜が形成されて構成されている。
【0026】
下部電極2には、例えばTiW,Ti,Wを用いることができる。
この下部電極2に、例えばTiWを用いた場合には、膜厚を例えば20nm〜100nmの範囲にすればよい。
【0027】
絶縁膜3には、例えばハードキュア処理されたフォトレジスト、半導体装置に一般的に用いられるSiOやSi、その他の材料例えばSiON,SiOF,Al,Ta,HfO,ZrO等の無機材料、フッ素系有機材料、芳香族系有機材料等を用いることができる。
【0028】
アモルファス薄膜4は、Ge(ゲルマニウム)と、S(イオウ),Se(セレン),Te(テルル),Sb(アンチモン)から選ばれる1つ以上の元素とから構成する。このうち、S,Se,Teはカルコゲナイトに属する。
例えば、GeSbTe,GeTe,GeSe,GeS,GeSbSe,GeSbS等を用いることができる。これらの材料は、Ag又はCuに対する、電気的特性や化学的特性が同様である。
また、必要に応じて、アモルファス薄膜4が、Si(シリコン)やその他の元素、例えばGd等の希土類元素、As,Bi等を含んでいてもよい。
このアモルファス薄膜4に、例えばGeSbTeを用いた場合には、膜厚を例えば10nm〜50nmの範囲にすればよい。
【0029】
上部電極5は、Ag又はCuを含んで構成する。
例えばアモルファス薄膜4の組成にAg又はCuを加えた組成の膜、Ag膜、Ag合金膜、Cu膜、Cu合金膜等を用いて上部電極5を構成することができる。
この上部電極5に、例えばGeSbTeAgを用いた場合には、膜厚を例えば10nm〜30nmにすればよい。また、例えばAgを用いた場合には、膜厚を例えば3nm〜20nmにすればよい。
【0030】
上部電極5上に接続された電極層6には、上部電極5に含まれていたAg又はCuが含まれていない材料を用いる。
また、上部電極5に含まれていたAg又はCuよりもイオン化したときの価数が大きい元素(例えば下部電極2に用いたTiやW等)により電極層6を構成する。
例えば、下部電極2に用いたTiW,Ti,W等を電極層6にも用いることができる。
この電極層6にTiWを用いた場合には、膜厚を例えば20nm〜100nmにすればよい。
【0031】
導電層7は、図示しない配線層と電極層6とを良好に低いコンタクト抵抗で接続するものである。
例えば電極層6にTiWを用いたときには、導電層7にAlSiを用いることが考えられる。
この導電層7にAlSiを用いた場合には、膜厚を例えば100nm〜200nmにすればよい。
【0032】
なお、導電層7が半導体記憶素子10に接続される配線層を兼ねて、配線層が直接電極層6に接続される構成も可能である。
【0033】
本実施の形態の半導体記憶素子10は、次のように動作させて、情報の記憶を行うことができる。
【0034】
まず、Ag又はCuが含まれた上部電極5に正電位(+電位)を印加して、上部電圧5側が正になるように、半導体記憶素子10に対して正電圧を印加する。これにより、上部電極5からAg又はCuがイオン化して、アモルファス薄膜4内を拡散していき、下部電極2側で電子と結合して析出する。
すると、アモルファス薄膜4内にAg又はCuが増えて、アモルファス薄膜4の抵抗が低くなる。アモルファス薄膜4以外の各層は元々抵抗が低いので、アモルファス薄膜4の抵抗を低くすることにより、半導体記憶素子10全体の抵抗も低くすることができる。
【0035】
その後、正電圧を除去して、半導体記憶素子10にかかる電圧をなくすと、抵抗が低くなった状態で保持される。これにより、情報を記録することが可能になる。
【0036】
一方、記録した情報を消去するときには、Ag又はCuが含まれた上部電極5に負電位(−電位)を印加して、上部電極5側が負になるように、半導体記憶素子10に対して負電圧を印加する。これにより、下部電極2側で析出していたAg又はCuがイオン化してアモルファス薄膜4内を移動して、上部電極5側で元に戻る。
すると、アモルファス薄膜4内からAg又はCuが減って、アモルファス薄膜4の抵抗が高くなる。アモルファス薄膜4以外の各層は元々抵抗が低いので、アモルファス薄膜4の抵抗を高くすることにより、半導体記憶素子10全体の抵抗も高くすることができる。
その後、負電圧を除去して、半導体記憶素子10にかかる電圧をなくすと、抵抗が高くなった状態で保持される。これにより、記録された情報を消去することが可能になる。
【0037】
このような過程を繰り返すことにより、半導体記憶素子10に情報の記録(書き込み)と記録された情報の消去を繰り返し行うことができる。
【0038】
そして、例えば、抵抗の高い状態を「0」の情報に、抵抗の低い状態を「1」の情報に、それぞれ対応させると、正電圧の印加による情報の記録過程で「0」から「1」に変え、負電圧の印加による情報の消去過程で「1」から「0」に変えることができる。
【0039】
なお、上述の情報の記録過程及び情報の消去過程において、アモルファス薄膜4はアモルファス(非晶質)状態のままであり、相変化して結晶質になることはない。
言い換えれば、アモルファス薄膜4が相変化させないような電圧条件で、情報の記録及び消去を行うようにする。
【0040】
上述の実施の形態の半導体記憶素子10の構成によれば、アモルファス薄膜4がGeと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから構成され、上部電極5がAg又はCuを含むことにより、上部電極5からAg又はCuをイオンとしてアモルファス薄膜4内に拡散させ移動させることにより、情報の記憶を行うことができる。
そして、半導体記憶素子10の抵抗の変化、特にアモルファス薄膜4の抵抗の変化を利用して情報の記録を行っているため、半導体記憶素子10を微細化していった場合にも、情報の記録や記録した情報の保持が容易になる。
【0041】
また、アモルファス薄膜4がイオンとなるAg又はCuを含んでいないため、情報を記録する前の状態や情報を消去した状態では、Ag又はCuは上部電極5とアモルファス薄膜4との界面付近に集まっており、アモルファス薄膜4内部にAg又はCuがほとんど拡散していないので、アモルファス薄膜4の抵抗を高くすることができる。
これにより、情報を記録する前の状態や情報を消去した状態では素子10の抵抗を高くすることができ、情報を記録した状態における低い抵抗と比較して、抵抗の変化を大きくすることができる。
従って、記録された情報の読み出し・判別が容易になる。
【0042】
さらに、記録に必要な電流も小さくすることができる。これは、アモルファス薄膜4中にAg又はCuが余分に存在していないため、Ag又はCuのイオンの移動がスムーズに行われるからである、とも考えられる。記録に必要な電流を小さくすることができるので、消費電力を低減することができる。
また、記録に要する時間も短くすることができる。
【0043】
また、本実施の形態の半導体記憶素子10によれば、下部電極2、アモルファス薄膜4、上部電極5、電極層6、導電層7を、いずれもスパッタリングが可能な材料で構成することが可能になる。各層の材料に適応した組成からなるターゲットを用いて、スパッタリングを行えばよい。
これにより、高温による熱処理や光照射等の特別な工程(電極から金属を拡散させる工程)を必要としない。
また、同一のスパッタリング装置内で、ターゲットを交換することにより、連続して成膜することも可能である。
即ち、通常のMOS論理回路の製造プロセスに用いられる材料や製造方法(電極材料のスパッタリングによる成膜、プラズマやRIE等の通常のエッチング工程等)により、半導体記憶素子を製造することが可能である。
従って、比較的簡単な方法で、容易に半導体記憶素子10を製造することができる。
【0044】
図1の半導体記憶素子10は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、電気伝導度の高い基板1、例えば高濃度のP型の不純物がドープされたシリコン基板上に、下部電極2例えばTiW膜を堆積する。
次に、下部電極2を覆って絶縁膜3を形成し、その後下部電極2上の絶縁膜3に開口を形成する。
【0045】
次に、下部電極2の表面の酸化した表面のエッチングを行い、薄い酸化膜皮膜を除去し電気的に良好な表面を得る。
その後に、例えばマグネトロンスパッタリング装置によって、アモルファス薄膜4例えばGeSbTe膜を成膜する。
次に、例えばマグネトロンスパッタリング装置によって、上部電極5例えばGeSbTeAg膜又はAg膜を成膜する。
続いて、例えばマグネトロンスパッタリング装置によって、電極層6例えばTiW膜を成膜し、さらに導電層7例えばAlSi膜またはCu膜を成膜する。
【0046】
なお、これらアモルファス薄膜4、上部電極5、電極層6、導電層7は、材料を選定すれば、同一のマグネトロンスパッタリング装置を用いて、同一の真空状態に保持したままで、スパッタリングのターゲットを交換して、連続して成膜することも可能である。
【0047】
その後、これらアモルファス薄膜4、上部電極5、電極層6、導電層7を、例えばプラズマエッチング等により、パターニングする。プラズマエッチングの他には、イオンミリング、RIE(反応性イオンエッチング)等のエッチング方法を用いてパターニングを行うことができる。
【0048】
このようにして、図1に示した半導体記憶素子10を製造することができる。
【0049】
なお、上述の実施の形態の半導体記憶素子10では、上部電極5にAg又はCuを含み、下部電極2には含まない構成としたが、下部電極のみにAg又はCuを含む構成や、下部電極及び上部電極にAg又はCuを含む構成としてもよい。下部電極にAg又はCuを含む構成としたときには、下部電極と基板との間に、図1の電極層6に相当する電極層(Ag又はCuよりもイオン化したときの価数の大きい元素から構成する)を設けることが好ましい。
【0050】
上述した実施の形態の半導体記憶素子10を、多数マトリクス状に配置することにより、半導体記憶装置(半導体メモリ装置)を構成することができる。
各半導体記憶素子10に対して、その下部電極2側に接続された配線と、その上部電極5側に接続された配線とを設け、例えばこれらの配線の交差点付近に各半導体記憶素子10が配置されるようにすればよい。
【0051】
そして、具体的には、例えば下部電極2を行方向のメモリセルに共通して形成し、導電層7に接続された配線を列方向のメモリセルに共通して形成し、電位を印加して電流を流す下部電極2と配線とを選択することにより、記録を行うべきメモリセルを選択して、このメモリセルの半導体記憶素子10に電流を流して、情報の記録や記録した情報の消去を行うことができる。
【0052】
上述した実施の形態の半導体記憶素子10は、容易に情報の記録や情報の読み出しを行うことができ、消費電力を低減し、記録に要する時間を短くすることができるものである。従って、この半導体記憶素子10を用いて半導体記憶装置を構成することにより、情報の記録や情報の読み出しを容易に行うことができ、半導体記憶装置全体の消費電力を低減すると共に、高速で動作する半導体記憶装置を構成することができる。
また、上述した実施の形態の半導体記憶素子10は、微細化していった場合にも、情報の記録や記録した情報の保持が容易になるため、半導体記憶装置の集積化(高密度化)や小型化を図ることができる。
さらに、上述した実施の形態の半導体記憶素子10が簡便な方法で容易に製造することが可能であるため、半導体記憶装置の製造コストの低減や製造歩留まりの構造を図ることができる。
【0053】
(実施例)
次に、上述した実施の形態の半導体記憶素子10を実際に作製して、特性を調べた。
【0054】
<実験1>
まず、電気伝導度の高い基板1、例えば高濃度のP型の不純物がドープされたシリコン基板上に、スパッタリングにより、下部電極2としてTiW膜を、100nmの膜厚で堆積した。
次に、下部電極2を覆ってフォトレジストを形成し、その後フォトリソグラフィにより、露光と現像を行って下部電極2上のフォトレジストに開口(スルーホール)を形成した。開口(スルーホール)の大きさは縦2μm、横2μmとした。
その後、真空中270℃においてアニールを行ってフォトレジストを変質させて、温度やエッチング等に対して安定なハードキュアレジストとして、絶縁膜3を形成した。なお、絶縁膜3にハードキュアレジストを用いたのは、実験上簡便に形成できるためであり、製品を製造する場合においては、他の材料(シリコン酸化膜等)を絶縁膜3に用いた方がよいことも考えられる。
その後、スルーホールにより露出した下部電極2の表面のエッチングを行い、薄い酸化膜皮膜を除去し、電気的に良好な表面を得た。
続いて、マグネトロンスパッタリング装置によって、アモルファス薄膜4としてGeSbTe膜を25nmの膜厚で成膜した。このGeSbTe膜の組成は、Ge22Sb22Te56(添字は原子%)とした。
さらに、同一のマグネトロンスパッタリング装置において、同一の真空を保ったまま、上部電極5としてGeSbTeAg膜を25nmの膜厚で成膜した。このGeSbTeAg膜の組成は、(Ge22Sb22Te5641Ag59(添字は原子%)とした。
さらに、同一のマグネトロンスパッタリング装置において、同一の真空を保ったまま、電極層6としてTiW膜を100nmの膜厚で成膜し、続いて導電層7としてAlSi膜を100nmの膜厚で成膜した。TiW膜及びAlSi膜の組成は、それぞれTi5050及びAl97Si(添字は原子%)とした。
その後、フォトリソグラフィにより、プラズマエッチング装置を用いて、ハードキュアレジストから成る絶縁膜3上に堆積した、アモルファス薄膜4・上部電極5・電極層6・導電層7の各層を、50μm×50μmの大きさにパターニングを行った。
このようにして、図1に示した構造の半導体記憶素子10を作製して、試料1の半導体記憶素子10とした。
【0055】
この試料1の半導体記憶素子10に対して、上部電極5側の導電層7に正電位(+電位)を加え、基板1の裏面側を接地電位(グランド電位)に接続した。
そして、導電層7に印加する正電位を0Vから増加させて、電流の変化を測定した。ただし、電流が0.5mAに達した所で電流リミッタが動作するように設定しておいて、それ以上は導電層7に印加する正電位即ち素子10に加わる電圧が増加しないように設定した。
また、電流が0.5mAに達して電流リミッタが動作した状態から、導電層7に印加する正電位を0Vまで減少させていき、電流の変化を測定した。
得られたI−V特性のグラフを図2Aに示す。
【0056】
図2Aより、初期は抵抗が高く、半導体記憶素子10がOFF状態にあり、電圧が増加することにより、ある閾値電圧Vth以上のところで急激に電流が増加する、即ち抵抗が低くなりON状態へと遷移することがわかる。これにより、情報が記録されることがわかる。
一方、その後、電圧を減少させることにより、電流も減少するが、電流の減少の方が大きく、少しずつ抵抗が高くなっていくものの、最終的には初期の抵抗値よりも充分低い抵抗値であり、ON状態が保たれ、記録された情報が保持されることがわかる。
この試料1の場合、電圧V=0.1Vの所での抵抗値は、OFF状態で約2MΩ、ON状態で約1kΩであった。
【0057】
また、図2Aの特性図にはないが、逆極性の電圧V、即ち上部電極5側の導電層7に負電位(−電位)を印加し、基板1の裏面側を接地電位(グランド電位)に接続して、導電層7にV=−1Vの負電位を印加した後に、導電層7の電位を0Vにすることにより、抵抗が初期のOFF状態の高抵抗の状態に戻ることが確認された。即ち半導体記憶素子10に記録した情報を、負電圧の印加により消去すできることがわかる。
【0058】
<実験2>
アモルファス薄膜4のGeSbTeにAgを添加して、特性を調べた。
まず、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5681Ag19(添字は原子%、以下同様とする)の組成のGeSbTeAg膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料2とした。
次に、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5670Ag30の組成のGeSbTeAg膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料3とした。
次に、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5658Ag42の組成のGeSbTeAg膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料4とした。
【0059】
これら試料2〜試料4の各半導体記憶素子のI−V特性を測定した。試料2の測定結果を図2Bに示し、試料3の測定結果を図3Cに示し、試料4の測定結果を図3Dに示す。
図2B、図3C、図3Dに示すように、銀Agの含有量が増加すると共に、電圧を増加させたときの閾値電圧Vthが大きくなっていき、また閾値電圧Vthを越した後のI−Vの傾きdI/dV即ち抵抗の変化割合が緩やかになってくることがわかる。
これは、抵抗が変化するメカニズムが、例えば、上部電極5に含有されるAgイオンの電界に負電極側への移動に伴い、局所的にAg濃度が高く抵抗の低い細い電流パスが形成されたものとすると、GeSbTeへのAgの添加によって、電流パスが形成される電圧が若干高くなり、かつ電流パスの形成速度が遅くなる、或いは多数本の電流パスが形成される電圧のバラツキが大きくなるためと考えることができる。
また、図3Cと図3D、即ち試料3及び試料4については、電流リミッタを0.5mAとした場合には、電流を0Vに戻したときに抵抗値も元に戻ってしまい、記録が保持できない、という結果となったため、電流リミッタの値を1mAに設定して測定した結果を示している。
さらに、記録前後での抵抗変化の割合は、図2Aの試料1では400倍であったのに対し、図2Bの試料2では80倍、図3Cの試料3及び図3Dの試料4では7倍となった。
即ち、記録時に閾値電圧以上の電圧を印加したときには、いずれの試料も比較的小さな抵抗になっているが、印加する電圧を減少させていくのに伴って再び抵抗が増加する割合が大きくなることに起因して、抵抗変化の割合が減少していることがわかる。
つまり、Agの含有量が増加することにより、記録されたON状態を保持することが困難になっていくと推測される。
【0060】
以上の結果より、アモルファス薄膜4のGeSbTeにAgをあらかじめ含有させることは、記録電圧や記録電流の増大を招き、これにより、記録電圧のバラツキ、或いは記録速度の低下の何れかの問題を生じること、さらには、抵抗変化量の割合の減少即ち記録を読み出したときの信号レベルの減少を来たすと共に、記録データの保持特性を弱めてしまうという問題を生じることが判った。
従って、アモルファス薄膜4には、上部電極5に含有させているAgやCuを含まないようにして半導体記憶素子10を作製することが望ましい。
【0061】
<実験3>
次に、アモルファス薄膜4のGeSbTe膜のGeの含有量を変えて、特性を調べた。
まず、下部電極2及び電極層6として、TiW膜の代わりに、Ti膜を膜厚100nmで成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料5とした。
次に、アモルファス薄膜4として、Ge31Sb19Te50(添字は原子%、以下同様とする)の組成のGeSbTe膜を成膜し、その他は試料5と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料6とした。
次に、アモルファス薄膜4として、Ge38Sb17Te45の組成のGeSbTe膜を成膜し、その他は試料5と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料7とした。
次に、アモルファス薄膜4として、Ge49Sb15Te37の組成のGeSbTe膜を成膜し、その他は試料5と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料8とした。
【0062】
これら試料5〜試料8の各半導体記憶素子のI−V特性を測定した。試料5の測定結果を図4Aに示し、試料6の測定結果を図4Bに示し、試料7の測定結果を図5Cに示し、試料8の測定結果を図5Dに示す。
図4A〜図5Dに示すように、これらの広いGe組成範囲において、記録と記録の保持を正しく行うことができることが確認された。
なお、図5C及び図5Dから、Geの含有量が増えると、閾値電圧以上の電圧を印加しているときのdI/dVが緩やかになっていくことがわかる。メモリの記録特性から考えると、Geの含有量が少ないほど記録が容易になっていくが、Geの含有量を多くすると、半導体記憶素子の熱的安定性が向上するという利点もある。従って、必要な特性に応じて、Ge含有量を制御すればよい。
【0063】
<実験4>
次に、下部電極2及び電極層6の材料を変更して、特性を調べた。
下部電極2及び電極層6として、TiW膜の代わりに、W膜を膜厚100nmで成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料9とした。
この試料9の半導体記憶素子のI−V特性を測定した。その測定結果を図6に示す。
図6より、図2A等と同様に、良好なI−V特性が得られ、容易に記録を行うことができることがわかる。
【0064】
また、下部電極2及び電極層6を、Ti5050以外の組成のTiW膜、Ti/TiWの積層膜、TiW/Tiの積層膜、TiW/Wの積層膜、W/TiWの積層膜に変えた試料をそれぞれ作製して測定を行ったが、試料1等と同様に良好なI−V特性が得られた。
さらに、導電層7をCu膜に代えた場合にも、同様に試料を作製して測定を行ったところ、試料1等と同様に良好なI−V特性が得られた。
【0065】
<実験5>
次にAgを含有する上部電極5として、GeSbTeAg膜の代わりにAg膜を用いて、特性を調べた。
上部電極5として、GeSbTeAg膜の代わりにAg膜を膜厚6nmで成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料10とした。
この試料10の半導体記憶素子のI−V特性を測定した。その測定結果を図7に示す。
図7より、図2A等と同様に、良好なI−V特性が得られ、容易に記録を行うことができることがわかる。特に、図2Aと比較して、記録時のdI/dVが非常に急峻になっていることがわかる。
そして、図7の結果と、図2A〜図3Dの結果とを考慮すると、上部電極5に含有されるAgやCuの濃度と、アモルファス薄膜4に含有されるAgやCuの濃度との差が大きいほど、記録時のdI/dVが急峻で、良好な記録特性が得られることがわかる。
【0066】
なお、Ag膜の膜厚を変更して試料を作製し、同様の測定を行ったところ、膜厚が3nm以上であれば、ほぼ同様のI−V特性が得られた。
【0067】
<実験6>
アモルファス薄膜4に、イオン媒介となるAgやCuとは異なる不純物金属、具体的には希土類金属であるGdを添加して、特性を調べた。
まず、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5689Gd11(添字は原子%、以下同様とする)の組成のGeSbTeGd膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料11とした。
次に、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5682Gd18の組成のGeSbTeGd膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料12とした。
これら試料11及び試料12の各半導体記憶素子のI−V特性を測定した。試料11の測定結果を図8Aに示し、試料12の測定結果を図8Bに示す。
図8A及び図8Bに示すように、この場合も、記録と記録の保持を正しく行うことができることが確認された。
また、希土類元素Gdの添加によって、記録前の抵抗値が高くなり、1MΩ以上となり、さらに、高い温度下に経過された後にも、抵抗値が安定しているという効果があり、試料11及び試料12のいずれの試料も、270℃・1時間のアニールに対して、抵抗値がほとんど変化しなかった。
即ち、希土類元素の添加によって、結晶化温度が上昇し、アモルファス状態が安定に保たれているものと推測される。
また、希土類元素の添加によって、閾値電圧が増大するので、例えば、再生(読み出し)のときの電圧を高く設定したい場合等に有効である。
希土類元素は、最外殻電子構造が同じであるため、元素によらず電気的には同等の特性を有するので、Gdに限らず、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Erのいずれの元素を用いても同様の効果が期待される・
【0068】
<実験7>
アモルファス薄膜4に、不純物元素、具体的にはSiを添加して、特性を調べた。
まず、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5693Si(添字は原子%、以下同様とする)の組成のGeSbTeSi膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料13とした。
次に、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5685Si15の組成のGeSbTeSi膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料14とした。
次に、アモルファス薄膜4として、(Ge22Sb22Te5677Si23の組成のGeSbTeSi膜を成膜し、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料15とした。
これら試料13〜試料15の各半導体記憶素子のI−V特性を測定した。試料13の測定結果を図9Aに示し、試料14の測定結果を図9Bに示し、試料15の測定結果を図9Cに示す。
図9A及び図9Bより、Siの添加量が15原子%程度以下までは、ほとんどI−V特性は変化せず、記録と記録の保持を正しく行うことができることが確認された。
これに対して、図9Cに示すように、Siの添加量が23原子%としたときには、閾値電圧が増大し、0.5mAでの記録は困難となり1mA程度の電流を要する。
なお、アモルファス薄膜4のGeSbTeにSiを添加することにより、熱的安定性が増すことが期待できる。これは、Si−Siの有する共有結合エネルギーが高いため、Si単体の融点が高く、Si−Ge合金組成でSiの組成が多いほど融点が上昇することから、GeSbTeにSiを添加したときにも、同様にSiの添加により共有結合性が高くなって融点の上昇、並びに結晶化温度の上昇等が期待されることに起因する。
【0069】
<実験8>
アモルファス薄膜4の膜厚を変更して、特性を調べた。
まず、下部電極2を膜厚20nmのTi膜とし、アモルファス薄膜4のGeSbTe膜の膜厚を14nmとして、その他は試料1と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料16とした。
次に、アモルファス薄膜4のGeSbTe膜の膜厚を25nmとして、その他は試料16と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料17とした。
なお、この試料17は、アモルファス薄膜4のGeSbTe膜の膜厚が試料1と同じである。
次に、アモルファス薄膜4のGeSbTe膜の膜厚を38nmとして、その他は試料16と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料18とした。
次に、アモルファス薄膜4のGeSbTe膜の膜厚を51nmとして、その他は試料16と同様にして半導体記憶素子を作製し、試料19とした。
【0070】
これら試料16〜試料19の各半導体記憶素子のI−V特性を測定した。試料16の測定結果を図10Aに示し、試料17の測定結果を図10Bに示し、試料18の測定結果を図11Cに示し、試料19の測定結果を図11Dに示す。
図10A〜図11Dに示すように、これらの広い膜厚範囲において、記録と記録の保持を正しく行うことができることが確認された。
なお、最も膜厚の薄い試料16(図10A)では、閾値電圧が約0.1Vと低くなっているが、その他は膜厚によってはそれほど閾値電圧が変化せず、いずれも約0.17Vとなっている。
【0071】
なお、上述の実施の形態の半導体記憶素子10では、基板1に導電率の高い高不純物濃度のシリコン基板を用いて、基板1の裏面側に接地電位(グランド電位)を印加したが、下部電極側に電圧を印加するための構成は、その他の構成も可能である。
例えば、基板表面に形成され、かつ、シリコン基板とは電気的に絶縁された電極を用いてもよい。
また、基板として、シリコン以外の半導体基板、或いは絶縁基板例えばガラスや樹脂から成る基板を用いてもよい。
【0072】
本発明の半導体記憶素子を用いて、半導体記憶素子を多数、例えば列状やマトリクス状に配列することにより、半導体記憶装置(半導体メモリ装置)を構成することができる。
また、各半導体記憶素子に、必要に応じて、素子の選択用のMOSトランジスタ或いはダイオードを接続してメモリセルを構成する。
さらに、配線を介して、センスアンプ、アドレスレコーダー、記録・消去・読み出し回路等に接続する。
【0073】
本発明の半導体記憶素子は、各種の半導体メモリ装置に適用することができる。例えば、一度だけ書き込みが可能な、いわゆるPROM(プログラマブルROM)、電気的に消去が可能なEEPROM(Electrically Erasable ROM)、或いは、高速に記録・消去・再生が可能な、いわゆるRAM(ランダムアクセスメモリ)等、いずれのメモリ形態でも適用することが可能である。
【0074】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0075】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、半導体記憶素子への記録に要する電流を低減すると共に、記録の前後の素子の抵抗変化を大きくすることができる。
これにより、素子に情報を記録する際の消費電力を低減することができると共に、情報の読み出しを容易に行うことができる。
また、記録に要する時間も短くすることもできる。
【0076】
さらに、素子の抵抗の変化、特にアモルファス薄膜の抵抗の変化を利用して情報の記録を行っているため、素子を微細化していった場合にも、情報の記録や記録した情報の保持が容易になる利点を有している。
【0077】
従って、本発明により、情報の記録及び情報の読み出しを容易に行うことができ、消費電力が低減され、高速に動作する半導体記憶装置を構成することができる。また、半導体記憶装置の集積化(高密度化)や小型化を図ることができる。
【0078】
さらに、本発明の半導体記憶素子は、通常のMOS論理回路の製造プロセスに用いられる材料や製造方法により、製造することが可能であり、即ち例えば高温熱処理、光照射等特別な工程を必要としないで製造することが可能になる。
即ち、比較的簡単な方法により、容易に半導体記憶素子を製造することができる。
従って、本発明により、半導体記憶素子及び半導体記憶装置を安いコストで製造することができ、安価な半導体記憶装置を提供することが可能になる。また、半導体記憶装置の製造歩留まりの向上を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体記憶素子の一実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図2】A 図1の半導体記憶素子の試料のI−V特性の測定結果を示す図である。B アモルファス薄膜にAgを添加した試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図3】C、D アモルファス薄膜にAgを添加した試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図4】A、B アモルファス薄膜のGeの含有量を変化させた試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図5】C、D アモルファス薄膜のGeの含有量を変化させた試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図6】下部電極及び電極層にWを用いた試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図7】アモルファス薄膜をAg膜とした試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図8】A、B アモルファス薄膜にGdを添加した試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図9】A〜C アモルファス薄膜にSiを添加した試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図10】A、B アモルファス薄膜のGeSbTe膜の膜厚を変化させた試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【図11】C、D アモルファス薄膜のGeSbTe膜の膜厚を変化させた試料のI−V特性の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 基板、2 下部電極、4 アモルファス薄膜、5 上部電極、6 電極層、7 導電層、10 半導体記憶素子

Claims (5)

  1. 第1の電極及び第2の電極の間に、アモルファス薄膜が挟まれて構成され、
    前記第1の電極及び前記第2の電極は、少なくとも一方の電極がAg又はCuを含み、
    前記アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成る
    ことを特徴とする半導体記憶素子。
  2. Ag又はCuを含む電極が、前記電極に含まれるAg又はCuよりもイオン化した場合の価数が大きい元素から成る電極層に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶素子。
  3. 前記第1の電極又は前記第2の電極が、TiW,Ti,Wのいずれかから成る電極層に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶素子。
  4. 前記アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素と、さらにSiとから成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶素子。
  5. 第1の電極及び第2の電極の間に、アモルファス薄膜が挟まれて構成され、前記第1の電極及び前記第2の電極は、少なくとも一方の電極がAg又はCuを含み、前記アモルファス薄膜は、Geと、S,Se,Te,Sbから選ばれる1つ以上の元素とから成る半導体記憶素子と、
    前記第1の電極側に接続された配線と、
    前記第2の電極側に接続された配線とを有し、
    前記半導体記憶素子が多数配置されて成る
    ことを特徴とする半導体記憶装置。
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