JP2004287260A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】ストロボ発光部を収納位置に付勢するバネの付勢力によってギヤがクリープ変形するのを防止する。
【解決手段】ストッパー24は、スライドカバーが閉じられた時に連動リング40のロック片34を押圧して反時計方向に僅かに回動させる。これにより、連動リング40とリングギヤ39との連係が解除される。発光ユニット48を収納位置に付勢しているリンクバネ44の付勢力は、モータ37とレンズ鏡筒との間を接続するギヤ49にかからなくなるので、プラスチック製のギヤ49の歯がクリープ変形することはない。
【選択図】 図10
【解決手段】ストッパー24は、スライドカバーが閉じられた時に連動リング40のロック片34を押圧して反時計方向に僅かに回動させる。これにより、連動リング40とリングギヤ39との連係が解除される。発光ユニット48を収納位置に付勢しているリンクバネ44の付勢力は、モータ37とレンズ鏡筒との間を接続するギヤ49にかからなくなるので、プラスチック製のギヤ49の歯がクリープ変形することはない。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラに関し、更に詳しくは、レンズ鏡筒の沈胴及び繰出しによってカメラ本体に出入りするストロボ発光部を備えたカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
手軽に夜間撮影や逆光撮影が行えるように、ストロボが内蔵されているカメラが普及している。また、ストロボ発光部の保護や赤目現象の対策のために、カメラの不使用時にはストロボ発光部をカメラ本体内の収納位置に移動させ、撮影時にはストロボ発光部をカメラ本体から突出される発光位置に移動させるようにしたカメラもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ストロボ発光部を移動させる駆動源として、レンズ鏡筒を沈胴及び繰出しする駆動力を利用している。これによれば、カメラの電源が投入されてレンズ鏡筒が沈胴位置から繰り出されると、これに連動してストロボ発光部が収納位置から発光位置に移動する。また、カメラの電源が切られてレンズ鏡筒が沈胴されると、ストロボ発光部が発光位置から収納位置に移動する。
【0004】
ストロボ発光部が収納位置にある時に、ストロボ発光部と収納部の開口との間に隙間が空くと外観品質が悪くなる。また、ストロボ発光部が収納位置でガタつくと品位がない。そのため、外観上のストロボ発光部の収納位置までのストロークよりも、ストロボ発光部を駆動する側のストロークを大きくし、このストロークの差を途中に組み込んだバネによって吸収することが行なわれている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−330168号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
カメラは、不使用状態で保持される時間が長いため、ストロボ発光部を収納位置に付勢するバネの力が、駆動源からレンズ鏡筒へと連ねられた複数のギヤにかかることになる。カメラに使用されるギヤは、コストダウンと小型軽量化のためにプラスチックで形成されているが、プラスチック製のギヤの歯は、長期間の応力集中によってクリープ変形することがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためのもので、ストロボ発光部を収納位置に付勢するバネの付勢力により、ギヤがクリープ変形するのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のカメラは、スライドカバーが不使用位置にあるときに鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を解除し、スライドカバーが使用位置にスライドされた時に鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を復帰させる接続切換手段を設けたものである。また、接続切換手段として、スライドカバーをロックするストッパーを用いたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1(A),(B)は、本発明を実施したカメラの外観形状を示す斜視図である。カメラ2は、135タイプのフイルムパトローネを使用するコンパクトカメラであり、撮影機構を構成する多数の部品が組み込まれた本体基部4(図2参照)と、この本体基部4の前面と背面とに被せられる前カバー5及び後カバー6とから構成されている。このカメラ2は、構成部品のほとんどがプラスチックで形成されており、強度や導電性が必要な部分に金属部品が使用されている。
【0010】
カメラ2の前面中央には、ズーム光学系を構成する撮影レンズ8とシャッタ及び絞りとが組み込まれたレンズ鏡筒9が設けられている。このレンズ鏡筒9は、カメラ2内に収納される沈胴位置と、カメラ2の電源がオンした時に沈胴位置から前方に繰り出されるワイド端位置と、このワイド端位置から更に前方に繰り出されるテレ端位置との間で移動する。
【0011】
レンズ鏡筒9の上部には対物側ファインダ窓11が設けられ、その周囲には、測距用透光窓,測距用受光窓,測光窓,セルフタイマー用発光窓等が配置されている。また、カメラ2の上側の前面角部には、ストロボ発光部12が組み込まれている。このストロボ発光部12は、発光面13をカメラ2内に収納する収納位置と、発光面13が正面を向くように突出される発光位置との間で回動自在とされている。
【0012】
カメラ2の上面には、シャッタボタン15が設けられている。詳しくは図示しないが、カメラ2の背面には、接眼側ファインダ窓と、レンズ鏡筒9をワイド端とテレ端の間で沈胴及び繰り出しさせるズームボタンとが設けられている。
【0013】
前カバー5の前面には、レンズ鏡筒9を隠す不使用位置とレンズ鏡筒9を露呈させる撮影位置との間で左右方向にスライド自在とされたスライドカバー19が取り付けられている。また、後カバー6には、パトローネが収納されるパトローネ室と、パトローネから引き出した写真フイルムを巻き取るフイルムロール室とを開閉する裏蓋と、電池室を開閉する電池蓋とが取り付けられている。
【0014】
図2は、本体基部4と前カバー5とスライドカバー19との分解状態を示す斜視図である。前カバー5の前面には、レンズ鏡筒9を挿通させるための円形の開口5aと、ストロボ発光部12を組み込むための切欠5bとが形成されている。また、前カバー5の前面上下部には、スライドカバー19の上下端縁に形成された突起19aがスライド自在に嵌合されるレール溝5cが形成されている。
【0015】
本体基部4の前面には、本体基部4に組み込まれた各種部品を押さえるカバープレート21が取り付けられている。カバープレート21には、カメラ2の電源スイッチ22と、この電源スイッチ22とスライドカバー19とを連動させるスイッチレバー23と、スライドカバー19のスライドを規制するストッパー24とが取り付けられている。
【0016】
電源スイッチ22は、側面から突出された押圧子22bが本体22a内に押し込まれることでオン/オフが切り換えられる押圧式スイッチである。スイッチレバー23は、電源スイッチ22の近傍に設けられたピン26に回転自在に取り付けられている。スイッチレバー23は、カバープレート21に形成された開口21aに挿入されて押圧子22bを押圧又は押圧解除するスイッチングアーム23aと、前カバー5の前面に形成された長穴5dに挿通されてスライドカバー19の裏面に形成された水平方向のリンク溝28に挿入されるリンクピン23bを備えたリンクアーム23cとからなる。リンク溝28は、スライドカバー19の端縁近傍で下方に屈曲されている。
【0017】
スイッチレバー23のリンクピン23bは、スライドカバー19が不使用位置にある時、または不使用位置から撮影位置に到達する直前まで、リンク溝28の水平部分に収まっている。リンクピン23bが水平部分にある間は、スイッチングアーム23aは電源スイッチ22の押圧子22bを押圧しないため、カメラ2の電源はオフとなる。スライドカバー19が撮影位置にスライドされると、リンクピン23bがリンク溝28の屈曲部に沿って移動し、スイッチレバー23が時計方向に回動する。この回動時にスイッチングアーム23aで電源スイッチ22の押圧子22bが押圧され、カメラ2の電源がオンする。
【0018】
図3及び図4(A)は、ストッパー24の構成を示す分解斜視図、及びスライドカバー19が撮影位置にある際の要部断面図である。ストッパー24は、プラスチックで形成されたストッパー本体30と、金属製の回転軸31及び捩じりバネ32とから構成されている。ストッパー本体30は、先端部30aがカメラの前方に向かって鋭角にされ、後端部30bがカメラ前面に平行な平面とされた略楔形状をしている。ストッパー本体30の一方の面は垂直面とされており、この垂直面側には回転軸31が挿入される略円柱形状の挿通部30cが一体に設けられている。捩じりバネ32は、挿通部30cの略中央部分に形成された切欠30d内に組み込まれ、回転軸31が挿入されることによって挿通部30c内に位置決めされる。
【0019】
カバープレート21には、ストッパー本体30の先端部30aが挿入される開口21bと、挿通部30cの両端面から突出した回転軸31の両端を受ける一対の軸受部21cと、ストッパー本体30がカバープレート21から外れないように挿通部30cの背後を支持する支持片21dとが設けられている。また、本体基部4の前面には、回転軸31の両端を背後から支持する一対の支持突起4aが一体に形成されている。
【0020】
ストッパー本体30の先端部30aは、前カバー5に形成された開口5eに挿通されてスライドカバー19の裏面に当接する。スライドカバー19の裏面で、該スライドカバー19が撮影位置にある時にストッパー本体30に対面する位置には、ストッパー本体30の先端部30aが挿入されるロック穴19bが形成されている。ストッパー本体30は、先端部30aが前カバー5の前面から突出されるロック位置と、図5に示すように、先端部30aが前カバー5内に押し込まれる解除位置との間で回動自在とされ、捩じりバネ32によってロック位置に付勢されている。
【0021】
ストッパー本体30の背後には、本体基部4とストッパー本体30の後端部30bとの間に挿脱されるロック片34が配置されている。図4(A)のA−A断面図である図6に示すように、ロック片34はレンズ鏡筒9が繰り出されている間、後端部30bに当接してストッパー本体30の解除位置への回動を阻止する。そのため、図7(A)に示すように、レンズ鏡筒9が繰り出されている時にスライドカバー19を不使用位置にスライドすると、ストッパー本体30の先端部30aとロック穴19bとが係合し、スライドカバー19のそれ以上のスライドが阻止される。また、レンズ鏡筒9が完全に沈胴されると、図7のC−C断面図である図8に示すように、ロック片34はストッパー本体30の背後から退避し、ストッパー本体30の解除位置への回動を許容する。
【0022】
ストッパー本体30の一方の側面とロック片34の一方の側面とには、それぞれ傾斜面30e,34aが形成されている。図5のB−B断面図である図9に示すように、ストッパー本体30が解除位置に回動すると、ストッパー本体30の傾斜面30eがロック片34の傾斜面34aを押圧して、ロック片34をストッパー本体30から離れる方向に移動させる。なお、ストッパー本体30に設けられている突起30fは、ストッパー本体30を大型化することなく、ストッパー本体30とロック片34との当接状態を安定させるために設けられている。
【0023】
図10は、カバープレート21を取り外した本体基部4の状態を示す分解斜視図である。本体基部4の前面中央にはレンズ鏡筒9が組み込まれる固定筒4bが設けられ、その両側方にはパトローネ室4cとフイルムロール室4dとが設けられている。固定筒4bの中には、レンズ鏡筒9を沈胴及び繰り出しさせる駆動ギヤ36が組み込まれている。この駆動ギヤ36は、固定筒4bの側方に配置された複数枚のギヤにより、本体基部4の前面上部に取り付けられたモータ37の回転が伝達されることによって駆動される。
【0024】
モータ37の回転をストロボ発光部12まで伝達するために、リングギヤ39,連動リング40,引っ張りバネ41,正面回転レバー42,上面回転レバー43,リンクバネ44が設けられている。連動リング40とリングギヤ39とは、固定筒4bの外周で回転可能な内径を有しており、順に固定筒4bの外周に組み付けられる。固定筒4bの外周には、連動リング40を光軸方向で受けるための凹部4kが形成されている。
【0025】
リングギヤ39は、その外周にギヤ49に噛合する歯列39aが形成されている。これにより、レンズ鏡筒9の沈胴及び繰り出しのためにモータ37が回転するとリングギヤ39が一緒に回転する。リングギヤ39の背面には、半径方向の位置が異なっている一対の押圧突起39b,39cが回転対称の位置に形成されている。
【0026】
図11〜13に示すように、連動リング40の前面には、リングギヤ39の押圧突起39b,39cが当接する一対の被押圧突起40b,40cが回転対称の位置に形成されている。これらの被押圧突起40b,40cは突条形状であり、各押圧突起39b,39cに合わせて半径方向の位置が異なっている。
【0027】
連動リング40の外周には、引っ張りバネ41が掛けられるバネ掛けピン40aと、正面回転レバー42に当接する当接部40dと、前述のロック片34とが一体に設けられている。引っ張りバネ41の他端は、本体基部4の前面に形成されたピン4eに掛けられ、連動リング40を図中時計方向に付勢する。本体基部4の前面には、バネ掛けピン40aに当接して連動リング40の時計方向への回転量を規制する規制片4fが設けられている。
【0028】
正面回転レバー42は、略L字形状をした板状レバー部材であり、本体基部4の前面に突設されたピン4gに回動自在に取り付けられている。正面回転レバー42には、連動リング40の当接部40dに当接するリンクアーム42aと、上面回転レバー43と当接する連接部42bと、リンクバネ44の一端が掛けられるバネ掛け部42cとが一体に形成されている。本体基部4の前面には、リンクアーム42aに当接して正面回転レバー42の回転量を規制する一対の規制ピン4hが立設されている。
【0029】
上面回転レバー43は、略L字形状をしており、本体基部4の上面に突設されたピン4jに回動自在に取り付けられる。上面回転レバー43には、本体基部4の前面側に配置されて正面回転レバー42の連接部42bに当接する連接突起43aと、リンクバネ44の他端が掛けられるバネ掛け部43bと、ストロボ発光部12を収納位置と発光位置との間で回動させるストロボ作動アーム43cとが一体に形成されている。
【0030】
正面回転レバー42及び上面回転レバー43は、リンクバネ44の付勢力によって、それぞれ反時計方向及び時計方向に付勢される。そのため、正面回転レバー42及び上面回転レバー43に何ら負荷がかかっていない時は、正面回転レバー42及び上面回転レバー43はそれぞれ反時計方向及び時計方向に回転し、連接部42bと連接突起43aとが当接する。
【0031】
ストロボ発光部12は、上面回転レバー43の回動を阻害せずに本体基部4の上部に取り付けられるストロボ地板46と、このストロボ地板46に取り付けられる検出スイッチ47と、ストロボ地板46に回動自在に取り付けられる発光ユニット48とからなる。ストロボ地板46には、発光ユニット48を回動自在に支持する一対の軸受部46aと、発光ユニット48を発光位置で停止させる位置決め部46bとが一体に形成されている。
【0032】
検出スイッチ47は、ストロボ回路に接続された一対の金属接片47a,47bと、これらの金属接片47a,47bが接触しないように保持するプラスチック製のホルダ47cとからなる。この検出スイッチ47は、ホルダ47cに形成された穴47dに、ストロボ地板46の上面に設けられたピン46cが挿入されて固定される。ストロボ回路は、検出スイッチ47の両金属接片47a,47bが接触して閉じられた時にストロボ発光を行なう。
【0033】
発光ユニット48は、前面に形成された開口50aに対面するようにストロボ放電管と反射板とを収納し、該開口50aに拡散レンズ51を嵌め込んだ放電管収納部材50と、この放電管収納部材50の上部に取り付けられ、発光ユニット48が収納位置に回動された時に前カバー5の一部を構成するカバー部材52と、金属製の回転軸53及び捩じりバネ54とからなる。回転軸53は、ストロボ地板46の軸受部46aとカバー部材52の軸穴とに挿通され、ストロボ地板46に対して回動自在となるように発光ユニット48をストロボ地板46に取り付ける。捩じりバネ54は、カバー部材52と放電管収納部材50との間に組み込まれ、発光ユニット48を発光位置に向けて付勢する。
【0034】
図14及び15に示すように、カバー部材52には、上面回転レバー43のストロボ作動アーム43cに当接する連動突起52aが一体に設けられている。この連動突起52aは、発光ユニット48が発光位置に回動した時にストロボ地板46の位置決め部46bに当接して、発光ユニット48を発光位置で停止させる。また、連動突起52aは、発光ユニット48が発光位置に回動した際に、検出スイッチ47の一方の金属接片47aを押圧して弾性変形させ、他方の金属接片47bに接触させる。
【0035】
次に、上記実施形態の作用について説明する。図1(A)に示すように、カメラ2の不使用時には、スライドカバー19が不使用位置にスライドされてレンズ鏡筒9を隠している。図2及び図7(B)に示すように、カメラ2の不使用状態では、スライドカバー19のリンク溝28の水平部内にスイッチレバー23のリンクピン23bが位置しているため、電源スイッチ22はオフ状態が維持される。
【0036】
図5及び図9に示すように、電源オフ時にスライドカバー19の裏面に押されて解除位置に回動しているストッパー本体30は、傾斜面30eでロック片34の傾斜面34aを押圧して、連動リング40を図11中の反時計方向に回動させている。図11に示すように、連動リング40の当接部40dは、リンクアーム42aを押圧し、正面回転レバー42を時計方向に回動させている。
【0037】
正面回転レバー42は、リンクバネ44を介して上面回転レバー43を引っ張り、図10中において上面回転レバー43を反時計方向に回動させる。図14に示すように、上面回転レバー43は、ストロボ作動アーム43cで連動突起52aを反時計方向に押圧し、発光ユニット48を収納位置に回動させている。
【0038】
この電源オフ状態では、正面回転レバー42が上面回転レバー43から離れてリンクバネ44がオーバーチャージされるので、発光ユニット48は確実に収納位置に保持される。また、ストッパー本体30が連動リング40を回動させることにより押圧突起39b,39cと被押圧突起40b,40cとが離れ、連動リング40とリングギヤ39との連係が解除されるので、引っ張りバネ41やリンクバネ44,捩じりバネ54等の負荷がギヤに長時間かかることはない。これにより、ギヤの歯がクリープ変形するのを防止することができる。
【0039】
図1(B)に示すように、スライドカバー19を撮影位置に向けてスライドすると、図4(B)に示すように、リンクピン23bがリンク溝28の屈曲部に移動し、スイッチレバー23が図2中において時計方向に回動する。これにより、スイッチングアーム23aが電源スイッチ22の押圧子22bを押圧し、カメラ2の電源がオンする。また、図4(A)に示すように、ストッパー本体30は、ロック位置に回動して先端部30aをスライドカバー19のロック穴19bに挿入する。
【0040】
ストッパー本体30がロック位置に回動すると、図12に示すように、連動リング40は、引っ張りバネ41の付勢力により、図13中において時計方向に回動し、被押圧突起40b,40cをリングギヤ39の押圧突起39b,39cに当接させる。
【0041】
カメラ2の電源オンとともに、モータ37がレンズ鏡筒9を繰り出す方向に回転する。モータ37の回転は、複数枚のギヤを介して駆動ギヤ36に伝達され、レンズ鏡筒9がカメラ2の前方に繰り出される。また、モータ37の回転は、ギヤ49によってリングギヤ39に伝達され、リングギヤ39は時計方向に回動される。リングギヤ39の時計方向への回動に伴い、押圧突起39b,39cによる被押圧突起40b,40cへの押圧が解除されるので、連動リング40は引っ張りバネ41の付勢によって更に時計方向に回動する。
【0042】
図13に示すように、バネ掛けピン40aが規制片4fに当接する位置まで回動すると、図4(A)及び図6に示すように、ロック片34が本体基部4とストッパー本体30との間に入り込み、ストッパー本体30の解除位置への回動を阻止する。これにより、スライドカバー19が撮影位置でロックされる。
【0043】
また、連動リング40の当接部40dによる正面回転レバー42の押圧が解除されるため、正面回転レバー42及び上面回転レバー43は、リンクバネ44の付勢によって反時計方向及び時計方向に回動する。これにより、ストロボ作動アーム43cによる連動突起52aの押圧が解除されるため、図15に示すように、発光ユニット48は捩じりバネ54の付勢力によって発光位置に向けて回動し、連動突起52aがストロボ地板46の位置決め部46bに当接することにより、発光位置に位置決めされる。
【0044】
また、発光位置に回動した発光ユニット48の連動突起52aは、検出スイッチ47の一方の金属接片47aを押圧して他方の金属接片47bに当接させる。これにより、ストロボ回路が閉じられ、発光ユニット48が撮影位置にあることが検出される。
【0045】
このように、発光ユニット48と上面回転レバー43との連係と、発光ユニット48の発光位置での位置決めと、検出スイッチ47のオン/オフの切り換えとを一つの連動突起52aで行なうようにしたので、ストロボ発光部を大型化させることなく、連動突起52aの作用部位を発光ユニット48の回転中心から離れた位置に設けることができる。また、連動突起52aの作用部位を発光ユニット48の回転中心から離れた位置に設けたので、動作精度を向上させることができる。
【0046】
なお、発光位置にある発光ユニット48を無理に収納位置に回動させたり、発光ユニット48を収納位置に押さえつけた状態で電源をオンしても、連動突起52aと上面回転レバー43との連係は断ち切られるので、カメラ2が破損することはない。また、電源オフ状態において発光ユニット48を無理に発光位置に回動させた時には、上面回転レバー43の回転はリンクバネ44によって吸収されて正面回転レバー42に伝わらないので、やはりカメラ2が破損することはない。
【0047】
また、レンズ鏡筒9がワイド端からテレ端へと移動される際にもリングギヤ39は回転するが、リングギヤ39の大きな直径によって減速比も大きくなっているので、リングギヤ39の回転量は少なく、リングギヤ39の押圧突起39b,39cが被押圧突起40b,40cの反対側の端面に突き当たることはない。また、押圧突起39b及び被押圧突起40bと、押圧突起39c及び被押圧突起40cとは、半径方向において異なる位置に配置されているため、リングギヤ39と連動リング40との間を偶力で連係させても、押圧突起39bが被押圧突起40cに突き当たることはない。
【0048】
適宜撮影を終え、スライドカバー19を不使用位置にスライドすると、図7(A)に示すように、ストッパー本体30の先端部30aがロック穴19bに係合し、スライドカバー19のスライドが阻止される。同図(B)に示すように、スライドカバー19がストッパー本体30にロックされている状態では、スイッチレバー23のリンクピン23bがリンク溝28の水平部に移動している。これにより、スライドカバー19がレンズ鏡筒9に干渉しない位置でロックされている間に、カメラ2の電源がオフされてレンズ鏡筒9の沈胴が行なわれる。
【0049】
スライドカバー19を不使用位置に向けてスライドする力のほとんどは、ストッパー本体30の先端部30aに掛かるが、先端部30aは厚みがあり、長さも短い楔形状であるため、ストッパー本体30が破損することはない。また。ストッパー本体30に加えられた力は、連動リング40のロック片34にもかかるが、ロック片34に加えられた力は背後の本体基部4の凹部4kが受けとめるため、連動リング40が破損することはない。更に、ストッパー本体30の後端部30bとロック片34の上面とは、共に平滑面としているため、ストッパー本体30がロック片34に押し付けられても、連動リング40の回動が妨げられることはない。
【0050】
モータ37の回転は、複数枚のギヤによって駆動ギヤ36に伝達され、レンズ鏡筒9が沈胴される。また、リングギヤ39は、ギヤ49によって反時計方向に回動され、押圧突起39b,39cに被押圧突起40b,40cが押圧された連動リング40も同方向に回動する。その際に、当接部40dが正面回転レバー42のリンクアーム42aを押圧し、正面回転レバー42を回転方向に回動させる。正面回転レバー42は、リンクバネ44を介して上面回転レバー43を反時計方向に回動させ、ストロボ作動アーム43cで発光ユニット48の連動突起52aを押圧する。これにより、図14に示すように、発光ユニット48が収納位置に回動する。
【0051】
なお、発光ユニット48の収納は、引っ張りバネ41,リンクバネ44,捩じりバネ54の付勢に抗して行なわなくてはならないため大きな力量が必要となるが、リングギヤ39によって大きな減速比を得ているため、スムースに回動させることができる。また、レンズ鏡筒9の沈胴位置とワイド端との間の移動によるリングギヤ39及び連動リング40の回転量は少ないが、径が大きいため外周部分では大きなストロークを得ることができ、発光ユニット48を確実に連動させることができる。
【0052】
また、連動リング40とストロボ発光部12との間を連係する二つのレバーをカメラ2の正面と上面とにそれぞれ配置したので、スペース効率がよく、カメラの小型化に寄与することができる。更に、二つのレバーの連係に安価な引っ張りバネを用いたので、トグルバネ等を使用する場合よりも僅かなスペースに組み込むことができ、コストダウンを図ることもできる。
【0053】
レンズ鏡筒9の沈胴と発光ユニット48の収納とが完了してモータ37の回転が停止すると、図8に示すように、ロック片34はストッパー本体30の背後から退避し、ストッパー本体30によるスライドカバー19のロックが解除される。スライドカバー19を不使用位置にスライドすると、ストッパー本体30はスライドカバー19の裏面に押されて解除位置に回動する。その際に、図9に示すように、傾斜面30eでロック片34の傾斜面34aを押圧し、図11に示すように連動リング40を反時計方向に回動させる。これにより、引っ張りバネ41,リンクバネ44,捩じりバネ54の負荷がリングギヤ39からストッパー本体30に移る。
【0054】
なお、上記実施形態は、写真フイルムを使用する銀塩カメラを例に説明したが、本発明は、ストロボを備えたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等にも適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカメラによれば、スライドカバーが不使用位置にあるときに、鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を解除するようにしたので、ストロボ発光部を収納位置に向けて付勢するバネの力が鏡筒用伝達機構に伝わることはない。これにより、鏡筒用伝達機構を構成するギヤの歯が、クリープ変形するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したカメラの外観形状を示す斜視図である。
【図2】本体基部及び前カバー及びスライドカバーの構成を示す分解斜視図である。
【図3】ストッパーの構成を示す分解斜視図である。
【図4】スライドカバーが撮影位置にある際のストッパー近傍の状態を示す要部断面図である。
【図5】スライドカバーが不使用位置にスライドされる際のストッパー近傍の状態を示す要部断面図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】スライドカバーをロックしている際のストッパー近傍の状態を示す要部断面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図5のB−B断面図である。
【図10】本体基部に取り付けられる部品の一部を示す分解斜視図である。
【図11】非撮影時のリングギヤから発光ユニットまでの構成部品の状態を示す説明図である。
【図12】スライドカバーの開放直後及び閉鎖直前のリングギヤから発光ユニットまでの構成部品の状態を示す説明図である。
【図13】撮影時のリングギヤから発光ユニットまでの構成部品の状態を示す説明図である。
【図14】収納位置にあるストロボ発光部の状態を示す斜視図である。
【図15】発光位置にあるストロボ発光部の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 カメラ
9 レンズ鏡筒
12 ストロボ発光部
19 スライドカバー
24 ストッパー
30 ストッパー本体
37 モータ
34 ロック片
39 リングギヤ
40 連動リング
42 正面回転レバー
43 上面回転レバー
44 リンクバネ
48 発光ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラに関し、更に詳しくは、レンズ鏡筒の沈胴及び繰出しによってカメラ本体に出入りするストロボ発光部を備えたカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
手軽に夜間撮影や逆光撮影が行えるように、ストロボが内蔵されているカメラが普及している。また、ストロボ発光部の保護や赤目現象の対策のために、カメラの不使用時にはストロボ発光部をカメラ本体内の収納位置に移動させ、撮影時にはストロボ発光部をカメラ本体から突出される発光位置に移動させるようにしたカメラもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ストロボ発光部を移動させる駆動源として、レンズ鏡筒を沈胴及び繰出しする駆動力を利用している。これによれば、カメラの電源が投入されてレンズ鏡筒が沈胴位置から繰り出されると、これに連動してストロボ発光部が収納位置から発光位置に移動する。また、カメラの電源が切られてレンズ鏡筒が沈胴されると、ストロボ発光部が発光位置から収納位置に移動する。
【0004】
ストロボ発光部が収納位置にある時に、ストロボ発光部と収納部の開口との間に隙間が空くと外観品質が悪くなる。また、ストロボ発光部が収納位置でガタつくと品位がない。そのため、外観上のストロボ発光部の収納位置までのストロークよりも、ストロボ発光部を駆動する側のストロークを大きくし、このストロークの差を途中に組み込んだバネによって吸収することが行なわれている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−330168号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
カメラは、不使用状態で保持される時間が長いため、ストロボ発光部を収納位置に付勢するバネの力が、駆動源からレンズ鏡筒へと連ねられた複数のギヤにかかることになる。カメラに使用されるギヤは、コストダウンと小型軽量化のためにプラスチックで形成されているが、プラスチック製のギヤの歯は、長期間の応力集中によってクリープ変形することがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためのもので、ストロボ発光部を収納位置に付勢するバネの付勢力により、ギヤがクリープ変形するのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のカメラは、スライドカバーが不使用位置にあるときに鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を解除し、スライドカバーが使用位置にスライドされた時に鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を復帰させる接続切換手段を設けたものである。また、接続切換手段として、スライドカバーをロックするストッパーを用いたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1(A),(B)は、本発明を実施したカメラの外観形状を示す斜視図である。カメラ2は、135タイプのフイルムパトローネを使用するコンパクトカメラであり、撮影機構を構成する多数の部品が組み込まれた本体基部4(図2参照)と、この本体基部4の前面と背面とに被せられる前カバー5及び後カバー6とから構成されている。このカメラ2は、構成部品のほとんどがプラスチックで形成されており、強度や導電性が必要な部分に金属部品が使用されている。
【0010】
カメラ2の前面中央には、ズーム光学系を構成する撮影レンズ8とシャッタ及び絞りとが組み込まれたレンズ鏡筒9が設けられている。このレンズ鏡筒9は、カメラ2内に収納される沈胴位置と、カメラ2の電源がオンした時に沈胴位置から前方に繰り出されるワイド端位置と、このワイド端位置から更に前方に繰り出されるテレ端位置との間で移動する。
【0011】
レンズ鏡筒9の上部には対物側ファインダ窓11が設けられ、その周囲には、測距用透光窓,測距用受光窓,測光窓,セルフタイマー用発光窓等が配置されている。また、カメラ2の上側の前面角部には、ストロボ発光部12が組み込まれている。このストロボ発光部12は、発光面13をカメラ2内に収納する収納位置と、発光面13が正面を向くように突出される発光位置との間で回動自在とされている。
【0012】
カメラ2の上面には、シャッタボタン15が設けられている。詳しくは図示しないが、カメラ2の背面には、接眼側ファインダ窓と、レンズ鏡筒9をワイド端とテレ端の間で沈胴及び繰り出しさせるズームボタンとが設けられている。
【0013】
前カバー5の前面には、レンズ鏡筒9を隠す不使用位置とレンズ鏡筒9を露呈させる撮影位置との間で左右方向にスライド自在とされたスライドカバー19が取り付けられている。また、後カバー6には、パトローネが収納されるパトローネ室と、パトローネから引き出した写真フイルムを巻き取るフイルムロール室とを開閉する裏蓋と、電池室を開閉する電池蓋とが取り付けられている。
【0014】
図2は、本体基部4と前カバー5とスライドカバー19との分解状態を示す斜視図である。前カバー5の前面には、レンズ鏡筒9を挿通させるための円形の開口5aと、ストロボ発光部12を組み込むための切欠5bとが形成されている。また、前カバー5の前面上下部には、スライドカバー19の上下端縁に形成された突起19aがスライド自在に嵌合されるレール溝5cが形成されている。
【0015】
本体基部4の前面には、本体基部4に組み込まれた各種部品を押さえるカバープレート21が取り付けられている。カバープレート21には、カメラ2の電源スイッチ22と、この電源スイッチ22とスライドカバー19とを連動させるスイッチレバー23と、スライドカバー19のスライドを規制するストッパー24とが取り付けられている。
【0016】
電源スイッチ22は、側面から突出された押圧子22bが本体22a内に押し込まれることでオン/オフが切り換えられる押圧式スイッチである。スイッチレバー23は、電源スイッチ22の近傍に設けられたピン26に回転自在に取り付けられている。スイッチレバー23は、カバープレート21に形成された開口21aに挿入されて押圧子22bを押圧又は押圧解除するスイッチングアーム23aと、前カバー5の前面に形成された長穴5dに挿通されてスライドカバー19の裏面に形成された水平方向のリンク溝28に挿入されるリンクピン23bを備えたリンクアーム23cとからなる。リンク溝28は、スライドカバー19の端縁近傍で下方に屈曲されている。
【0017】
スイッチレバー23のリンクピン23bは、スライドカバー19が不使用位置にある時、または不使用位置から撮影位置に到達する直前まで、リンク溝28の水平部分に収まっている。リンクピン23bが水平部分にある間は、スイッチングアーム23aは電源スイッチ22の押圧子22bを押圧しないため、カメラ2の電源はオフとなる。スライドカバー19が撮影位置にスライドされると、リンクピン23bがリンク溝28の屈曲部に沿って移動し、スイッチレバー23が時計方向に回動する。この回動時にスイッチングアーム23aで電源スイッチ22の押圧子22bが押圧され、カメラ2の電源がオンする。
【0018】
図3及び図4(A)は、ストッパー24の構成を示す分解斜視図、及びスライドカバー19が撮影位置にある際の要部断面図である。ストッパー24は、プラスチックで形成されたストッパー本体30と、金属製の回転軸31及び捩じりバネ32とから構成されている。ストッパー本体30は、先端部30aがカメラの前方に向かって鋭角にされ、後端部30bがカメラ前面に平行な平面とされた略楔形状をしている。ストッパー本体30の一方の面は垂直面とされており、この垂直面側には回転軸31が挿入される略円柱形状の挿通部30cが一体に設けられている。捩じりバネ32は、挿通部30cの略中央部分に形成された切欠30d内に組み込まれ、回転軸31が挿入されることによって挿通部30c内に位置決めされる。
【0019】
カバープレート21には、ストッパー本体30の先端部30aが挿入される開口21bと、挿通部30cの両端面から突出した回転軸31の両端を受ける一対の軸受部21cと、ストッパー本体30がカバープレート21から外れないように挿通部30cの背後を支持する支持片21dとが設けられている。また、本体基部4の前面には、回転軸31の両端を背後から支持する一対の支持突起4aが一体に形成されている。
【0020】
ストッパー本体30の先端部30aは、前カバー5に形成された開口5eに挿通されてスライドカバー19の裏面に当接する。スライドカバー19の裏面で、該スライドカバー19が撮影位置にある時にストッパー本体30に対面する位置には、ストッパー本体30の先端部30aが挿入されるロック穴19bが形成されている。ストッパー本体30は、先端部30aが前カバー5の前面から突出されるロック位置と、図5に示すように、先端部30aが前カバー5内に押し込まれる解除位置との間で回動自在とされ、捩じりバネ32によってロック位置に付勢されている。
【0021】
ストッパー本体30の背後には、本体基部4とストッパー本体30の後端部30bとの間に挿脱されるロック片34が配置されている。図4(A)のA−A断面図である図6に示すように、ロック片34はレンズ鏡筒9が繰り出されている間、後端部30bに当接してストッパー本体30の解除位置への回動を阻止する。そのため、図7(A)に示すように、レンズ鏡筒9が繰り出されている時にスライドカバー19を不使用位置にスライドすると、ストッパー本体30の先端部30aとロック穴19bとが係合し、スライドカバー19のそれ以上のスライドが阻止される。また、レンズ鏡筒9が完全に沈胴されると、図7のC−C断面図である図8に示すように、ロック片34はストッパー本体30の背後から退避し、ストッパー本体30の解除位置への回動を許容する。
【0022】
ストッパー本体30の一方の側面とロック片34の一方の側面とには、それぞれ傾斜面30e,34aが形成されている。図5のB−B断面図である図9に示すように、ストッパー本体30が解除位置に回動すると、ストッパー本体30の傾斜面30eがロック片34の傾斜面34aを押圧して、ロック片34をストッパー本体30から離れる方向に移動させる。なお、ストッパー本体30に設けられている突起30fは、ストッパー本体30を大型化することなく、ストッパー本体30とロック片34との当接状態を安定させるために設けられている。
【0023】
図10は、カバープレート21を取り外した本体基部4の状態を示す分解斜視図である。本体基部4の前面中央にはレンズ鏡筒9が組み込まれる固定筒4bが設けられ、その両側方にはパトローネ室4cとフイルムロール室4dとが設けられている。固定筒4bの中には、レンズ鏡筒9を沈胴及び繰り出しさせる駆動ギヤ36が組み込まれている。この駆動ギヤ36は、固定筒4bの側方に配置された複数枚のギヤにより、本体基部4の前面上部に取り付けられたモータ37の回転が伝達されることによって駆動される。
【0024】
モータ37の回転をストロボ発光部12まで伝達するために、リングギヤ39,連動リング40,引っ張りバネ41,正面回転レバー42,上面回転レバー43,リンクバネ44が設けられている。連動リング40とリングギヤ39とは、固定筒4bの外周で回転可能な内径を有しており、順に固定筒4bの外周に組み付けられる。固定筒4bの外周には、連動リング40を光軸方向で受けるための凹部4kが形成されている。
【0025】
リングギヤ39は、その外周にギヤ49に噛合する歯列39aが形成されている。これにより、レンズ鏡筒9の沈胴及び繰り出しのためにモータ37が回転するとリングギヤ39が一緒に回転する。リングギヤ39の背面には、半径方向の位置が異なっている一対の押圧突起39b,39cが回転対称の位置に形成されている。
【0026】
図11〜13に示すように、連動リング40の前面には、リングギヤ39の押圧突起39b,39cが当接する一対の被押圧突起40b,40cが回転対称の位置に形成されている。これらの被押圧突起40b,40cは突条形状であり、各押圧突起39b,39cに合わせて半径方向の位置が異なっている。
【0027】
連動リング40の外周には、引っ張りバネ41が掛けられるバネ掛けピン40aと、正面回転レバー42に当接する当接部40dと、前述のロック片34とが一体に設けられている。引っ張りバネ41の他端は、本体基部4の前面に形成されたピン4eに掛けられ、連動リング40を図中時計方向に付勢する。本体基部4の前面には、バネ掛けピン40aに当接して連動リング40の時計方向への回転量を規制する規制片4fが設けられている。
【0028】
正面回転レバー42は、略L字形状をした板状レバー部材であり、本体基部4の前面に突設されたピン4gに回動自在に取り付けられている。正面回転レバー42には、連動リング40の当接部40dに当接するリンクアーム42aと、上面回転レバー43と当接する連接部42bと、リンクバネ44の一端が掛けられるバネ掛け部42cとが一体に形成されている。本体基部4の前面には、リンクアーム42aに当接して正面回転レバー42の回転量を規制する一対の規制ピン4hが立設されている。
【0029】
上面回転レバー43は、略L字形状をしており、本体基部4の上面に突設されたピン4jに回動自在に取り付けられる。上面回転レバー43には、本体基部4の前面側に配置されて正面回転レバー42の連接部42bに当接する連接突起43aと、リンクバネ44の他端が掛けられるバネ掛け部43bと、ストロボ発光部12を収納位置と発光位置との間で回動させるストロボ作動アーム43cとが一体に形成されている。
【0030】
正面回転レバー42及び上面回転レバー43は、リンクバネ44の付勢力によって、それぞれ反時計方向及び時計方向に付勢される。そのため、正面回転レバー42及び上面回転レバー43に何ら負荷がかかっていない時は、正面回転レバー42及び上面回転レバー43はそれぞれ反時計方向及び時計方向に回転し、連接部42bと連接突起43aとが当接する。
【0031】
ストロボ発光部12は、上面回転レバー43の回動を阻害せずに本体基部4の上部に取り付けられるストロボ地板46と、このストロボ地板46に取り付けられる検出スイッチ47と、ストロボ地板46に回動自在に取り付けられる発光ユニット48とからなる。ストロボ地板46には、発光ユニット48を回動自在に支持する一対の軸受部46aと、発光ユニット48を発光位置で停止させる位置決め部46bとが一体に形成されている。
【0032】
検出スイッチ47は、ストロボ回路に接続された一対の金属接片47a,47bと、これらの金属接片47a,47bが接触しないように保持するプラスチック製のホルダ47cとからなる。この検出スイッチ47は、ホルダ47cに形成された穴47dに、ストロボ地板46の上面に設けられたピン46cが挿入されて固定される。ストロボ回路は、検出スイッチ47の両金属接片47a,47bが接触して閉じられた時にストロボ発光を行なう。
【0033】
発光ユニット48は、前面に形成された開口50aに対面するようにストロボ放電管と反射板とを収納し、該開口50aに拡散レンズ51を嵌め込んだ放電管収納部材50と、この放電管収納部材50の上部に取り付けられ、発光ユニット48が収納位置に回動された時に前カバー5の一部を構成するカバー部材52と、金属製の回転軸53及び捩じりバネ54とからなる。回転軸53は、ストロボ地板46の軸受部46aとカバー部材52の軸穴とに挿通され、ストロボ地板46に対して回動自在となるように発光ユニット48をストロボ地板46に取り付ける。捩じりバネ54は、カバー部材52と放電管収納部材50との間に組み込まれ、発光ユニット48を発光位置に向けて付勢する。
【0034】
図14及び15に示すように、カバー部材52には、上面回転レバー43のストロボ作動アーム43cに当接する連動突起52aが一体に設けられている。この連動突起52aは、発光ユニット48が発光位置に回動した時にストロボ地板46の位置決め部46bに当接して、発光ユニット48を発光位置で停止させる。また、連動突起52aは、発光ユニット48が発光位置に回動した際に、検出スイッチ47の一方の金属接片47aを押圧して弾性変形させ、他方の金属接片47bに接触させる。
【0035】
次に、上記実施形態の作用について説明する。図1(A)に示すように、カメラ2の不使用時には、スライドカバー19が不使用位置にスライドされてレンズ鏡筒9を隠している。図2及び図7(B)に示すように、カメラ2の不使用状態では、スライドカバー19のリンク溝28の水平部内にスイッチレバー23のリンクピン23bが位置しているため、電源スイッチ22はオフ状態が維持される。
【0036】
図5及び図9に示すように、電源オフ時にスライドカバー19の裏面に押されて解除位置に回動しているストッパー本体30は、傾斜面30eでロック片34の傾斜面34aを押圧して、連動リング40を図11中の反時計方向に回動させている。図11に示すように、連動リング40の当接部40dは、リンクアーム42aを押圧し、正面回転レバー42を時計方向に回動させている。
【0037】
正面回転レバー42は、リンクバネ44を介して上面回転レバー43を引っ張り、図10中において上面回転レバー43を反時計方向に回動させる。図14に示すように、上面回転レバー43は、ストロボ作動アーム43cで連動突起52aを反時計方向に押圧し、発光ユニット48を収納位置に回動させている。
【0038】
この電源オフ状態では、正面回転レバー42が上面回転レバー43から離れてリンクバネ44がオーバーチャージされるので、発光ユニット48は確実に収納位置に保持される。また、ストッパー本体30が連動リング40を回動させることにより押圧突起39b,39cと被押圧突起40b,40cとが離れ、連動リング40とリングギヤ39との連係が解除されるので、引っ張りバネ41やリンクバネ44,捩じりバネ54等の負荷がギヤに長時間かかることはない。これにより、ギヤの歯がクリープ変形するのを防止することができる。
【0039】
図1(B)に示すように、スライドカバー19を撮影位置に向けてスライドすると、図4(B)に示すように、リンクピン23bがリンク溝28の屈曲部に移動し、スイッチレバー23が図2中において時計方向に回動する。これにより、スイッチングアーム23aが電源スイッチ22の押圧子22bを押圧し、カメラ2の電源がオンする。また、図4(A)に示すように、ストッパー本体30は、ロック位置に回動して先端部30aをスライドカバー19のロック穴19bに挿入する。
【0040】
ストッパー本体30がロック位置に回動すると、図12に示すように、連動リング40は、引っ張りバネ41の付勢力により、図13中において時計方向に回動し、被押圧突起40b,40cをリングギヤ39の押圧突起39b,39cに当接させる。
【0041】
カメラ2の電源オンとともに、モータ37がレンズ鏡筒9を繰り出す方向に回転する。モータ37の回転は、複数枚のギヤを介して駆動ギヤ36に伝達され、レンズ鏡筒9がカメラ2の前方に繰り出される。また、モータ37の回転は、ギヤ49によってリングギヤ39に伝達され、リングギヤ39は時計方向に回動される。リングギヤ39の時計方向への回動に伴い、押圧突起39b,39cによる被押圧突起40b,40cへの押圧が解除されるので、連動リング40は引っ張りバネ41の付勢によって更に時計方向に回動する。
【0042】
図13に示すように、バネ掛けピン40aが規制片4fに当接する位置まで回動すると、図4(A)及び図6に示すように、ロック片34が本体基部4とストッパー本体30との間に入り込み、ストッパー本体30の解除位置への回動を阻止する。これにより、スライドカバー19が撮影位置でロックされる。
【0043】
また、連動リング40の当接部40dによる正面回転レバー42の押圧が解除されるため、正面回転レバー42及び上面回転レバー43は、リンクバネ44の付勢によって反時計方向及び時計方向に回動する。これにより、ストロボ作動アーム43cによる連動突起52aの押圧が解除されるため、図15に示すように、発光ユニット48は捩じりバネ54の付勢力によって発光位置に向けて回動し、連動突起52aがストロボ地板46の位置決め部46bに当接することにより、発光位置に位置決めされる。
【0044】
また、発光位置に回動した発光ユニット48の連動突起52aは、検出スイッチ47の一方の金属接片47aを押圧して他方の金属接片47bに当接させる。これにより、ストロボ回路が閉じられ、発光ユニット48が撮影位置にあることが検出される。
【0045】
このように、発光ユニット48と上面回転レバー43との連係と、発光ユニット48の発光位置での位置決めと、検出スイッチ47のオン/オフの切り換えとを一つの連動突起52aで行なうようにしたので、ストロボ発光部を大型化させることなく、連動突起52aの作用部位を発光ユニット48の回転中心から離れた位置に設けることができる。また、連動突起52aの作用部位を発光ユニット48の回転中心から離れた位置に設けたので、動作精度を向上させることができる。
【0046】
なお、発光位置にある発光ユニット48を無理に収納位置に回動させたり、発光ユニット48を収納位置に押さえつけた状態で電源をオンしても、連動突起52aと上面回転レバー43との連係は断ち切られるので、カメラ2が破損することはない。また、電源オフ状態において発光ユニット48を無理に発光位置に回動させた時には、上面回転レバー43の回転はリンクバネ44によって吸収されて正面回転レバー42に伝わらないので、やはりカメラ2が破損することはない。
【0047】
また、レンズ鏡筒9がワイド端からテレ端へと移動される際にもリングギヤ39は回転するが、リングギヤ39の大きな直径によって減速比も大きくなっているので、リングギヤ39の回転量は少なく、リングギヤ39の押圧突起39b,39cが被押圧突起40b,40cの反対側の端面に突き当たることはない。また、押圧突起39b及び被押圧突起40bと、押圧突起39c及び被押圧突起40cとは、半径方向において異なる位置に配置されているため、リングギヤ39と連動リング40との間を偶力で連係させても、押圧突起39bが被押圧突起40cに突き当たることはない。
【0048】
適宜撮影を終え、スライドカバー19を不使用位置にスライドすると、図7(A)に示すように、ストッパー本体30の先端部30aがロック穴19bに係合し、スライドカバー19のスライドが阻止される。同図(B)に示すように、スライドカバー19がストッパー本体30にロックされている状態では、スイッチレバー23のリンクピン23bがリンク溝28の水平部に移動している。これにより、スライドカバー19がレンズ鏡筒9に干渉しない位置でロックされている間に、カメラ2の電源がオフされてレンズ鏡筒9の沈胴が行なわれる。
【0049】
スライドカバー19を不使用位置に向けてスライドする力のほとんどは、ストッパー本体30の先端部30aに掛かるが、先端部30aは厚みがあり、長さも短い楔形状であるため、ストッパー本体30が破損することはない。また。ストッパー本体30に加えられた力は、連動リング40のロック片34にもかかるが、ロック片34に加えられた力は背後の本体基部4の凹部4kが受けとめるため、連動リング40が破損することはない。更に、ストッパー本体30の後端部30bとロック片34の上面とは、共に平滑面としているため、ストッパー本体30がロック片34に押し付けられても、連動リング40の回動が妨げられることはない。
【0050】
モータ37の回転は、複数枚のギヤによって駆動ギヤ36に伝達され、レンズ鏡筒9が沈胴される。また、リングギヤ39は、ギヤ49によって反時計方向に回動され、押圧突起39b,39cに被押圧突起40b,40cが押圧された連動リング40も同方向に回動する。その際に、当接部40dが正面回転レバー42のリンクアーム42aを押圧し、正面回転レバー42を回転方向に回動させる。正面回転レバー42は、リンクバネ44を介して上面回転レバー43を反時計方向に回動させ、ストロボ作動アーム43cで発光ユニット48の連動突起52aを押圧する。これにより、図14に示すように、発光ユニット48が収納位置に回動する。
【0051】
なお、発光ユニット48の収納は、引っ張りバネ41,リンクバネ44,捩じりバネ54の付勢に抗して行なわなくてはならないため大きな力量が必要となるが、リングギヤ39によって大きな減速比を得ているため、スムースに回動させることができる。また、レンズ鏡筒9の沈胴位置とワイド端との間の移動によるリングギヤ39及び連動リング40の回転量は少ないが、径が大きいため外周部分では大きなストロークを得ることができ、発光ユニット48を確実に連動させることができる。
【0052】
また、連動リング40とストロボ発光部12との間を連係する二つのレバーをカメラ2の正面と上面とにそれぞれ配置したので、スペース効率がよく、カメラの小型化に寄与することができる。更に、二つのレバーの連係に安価な引っ張りバネを用いたので、トグルバネ等を使用する場合よりも僅かなスペースに組み込むことができ、コストダウンを図ることもできる。
【0053】
レンズ鏡筒9の沈胴と発光ユニット48の収納とが完了してモータ37の回転が停止すると、図8に示すように、ロック片34はストッパー本体30の背後から退避し、ストッパー本体30によるスライドカバー19のロックが解除される。スライドカバー19を不使用位置にスライドすると、ストッパー本体30はスライドカバー19の裏面に押されて解除位置に回動する。その際に、図9に示すように、傾斜面30eでロック片34の傾斜面34aを押圧し、図11に示すように連動リング40を反時計方向に回動させる。これにより、引っ張りバネ41,リンクバネ44,捩じりバネ54の負荷がリングギヤ39からストッパー本体30に移る。
【0054】
なお、上記実施形態は、写真フイルムを使用する銀塩カメラを例に説明したが、本発明は、ストロボを備えたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等にも適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカメラによれば、スライドカバーが不使用位置にあるときに、鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を解除するようにしたので、ストロボ発光部を収納位置に向けて付勢するバネの力が鏡筒用伝達機構に伝わることはない。これにより、鏡筒用伝達機構を構成するギヤの歯が、クリープ変形するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したカメラの外観形状を示す斜視図である。
【図2】本体基部及び前カバー及びスライドカバーの構成を示す分解斜視図である。
【図3】ストッパーの構成を示す分解斜視図である。
【図4】スライドカバーが撮影位置にある際のストッパー近傍の状態を示す要部断面図である。
【図5】スライドカバーが不使用位置にスライドされる際のストッパー近傍の状態を示す要部断面図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】スライドカバーをロックしている際のストッパー近傍の状態を示す要部断面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図5のB−B断面図である。
【図10】本体基部に取り付けられる部品の一部を示す分解斜視図である。
【図11】非撮影時のリングギヤから発光ユニットまでの構成部品の状態を示す説明図である。
【図12】スライドカバーの開放直後及び閉鎖直前のリングギヤから発光ユニットまでの構成部品の状態を示す説明図である。
【図13】撮影時のリングギヤから発光ユニットまでの構成部品の状態を示す説明図である。
【図14】収納位置にあるストロボ発光部の状態を示す斜視図である。
【図15】発光位置にあるストロボ発光部の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 カメラ
9 レンズ鏡筒
12 ストロボ発光部
19 スライドカバー
24 ストッパー
30 ストッパー本体
37 モータ
34 ロック片
39 リングギヤ
40 連動リング
42 正面回転レバー
43 上面回転レバー
44 リンクバネ
48 発光ユニット
Claims (2)
- カメラ本体内に収納される沈胴位置と、カメラ本体から前方に繰り出される繰り出し位置との間で移動自在とされたレンズ鏡筒と、
レンズ鏡筒の沈胴及び繰り出しに連動して、カメラ本体内に収納される収納位置と、カメラ本体外に露呈される発光位置との間で移動自在とされたストロボ発光部と、
ストロボ発光部を収納位置に向けて付勢するバネと、
レンズ鏡筒を隠す不使用位置と、レンズ鏡筒を露呈させる撮影位置との間でスライド自在とされたスライドカバーと、
レンズ鏡筒とストロボ発光部との移動に用いられる駆動源と、
この駆動源からレンズ鏡筒へと駆動力を伝達する鏡筒用伝達機構と、
鏡筒用駆動力伝達機構からストロボ発光部へと駆動力を伝達するストロボ用伝達機構とを備えたカメラにおいて、
前記スライドカバーが不使用位置にあるときに鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を解除し、スライドカバーが使用位置にスライドされた時に鏡筒用伝達機構とストロボ用伝達機構との連係を復帰させる接続切換手段を設けたことを特徴とするカメラ。 - 前記接続切換手段は、レンズ鏡筒の沈胴が完了するまでスライドカバーの不使用位置へのスライドをロックするストッパーからなることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
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