JP3704700B2 - ストロボ内蔵カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はストロボ内蔵カメラに係り、特に収納位置と発光位置とに移動することができる可動式のストロボであって、そのストロボ放電管が前後移動して照射角を切り換えることができるストロボが内蔵されたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のストロボ内蔵カメラとして、特開平10−104696号公報に開示されたカメラがある。斯かるカメラのストロボは、撮影レンズ鏡胴の沈胴、繰り出し及びズーム動作に連動して駆動されるように構成されており、撮影レンズ鏡胴の沈胴時、即ち電源がOFFの状態の時にはカメラ本体に収納されている。また、電源がONされて撮影レンズ鏡胴が初期位置に繰り出されると、前記ストロボは、カメラ本体から突出移動されて発光位置に移動され、そして、撮影レンズ鏡胴のズーム動作に連動して、そのストロボ放電管が前後移動することにより、ズーム位置に応じた照射角に切り換えられるように構成されている。
【0003】
ところで、前記ストロボとストロボ放電管の移動機構は、駆動カム、レバー、スライド板、駆動レバー、駆動スプリング、及びコンロッド等の部材から構成されている。前記駆動カムには、ギア列を介して駆動用モータの出力軸が連結されており、このモータの駆動力で駆動カムが回転されると、この駆動カムのカム面に従動される前記レバー、スライド板、駆動レバー、駆動スプリング、及びコンロッド等の動作によってストロボが所定の位置に移動され、そして、ストロボ放電管が所定の照射角位置に移動される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平10−104696号公報のストロボ内蔵カメラは、ストロボとストロボ放電管の移動機構が駆動カム、レバー、スライド板、駆動レバー、駆動スプリング、及びコンロッド等の多数の部材から構成されているので、機構が複雑になるという欠点がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、収納位置と発光位置とに移動することができる可動式のストロボであって、そのストロボ放電管が前後移動して照射角を切り換えることができるストロボが内蔵されたカメラにおいて、ストロボとストロボ放電管とを簡単な移動機構で移動させることができるストロボ内蔵カメラを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、カメラ本体に収納される収納位置とカメラ本体から突出される発光位置とに移動可能な可動式のストロボであって、そのストロボ放電管が前後移動可能な照射角切換式のストロボを内蔵したカメラにおいて、前記ストロボとストロボ放電管とを移動させる移動機構は、カメラ本体に所定の方向に移動自在に配置されるとともに、ストロボを移動させる第1カム面とストロボ放電管を移動させる第2カム面とが形成されたカム部材と、移動されることによりカム部材を前記所定の方向に移動させるカム移動部材と、カム部材の第1カム面に当接される第1カムフォロアと、ストロボに動力を伝達する動力伝達部材とが設けられ、カム部材が第1移動範囲で移動され第1カムフォロアが第1カム面にガイドされて従動されることにより、動力伝達部材からストロボに動力が伝達されて該ストロボを移動させるストロボ移動部材と、カム部材の第2カム面に当接されるとともにストロボ放電管に連結された第2カムフォロアと、該第2カムフォロアを前後方向に移動自在に支持する支持部材とが設けられ、カム部材が前記第1移動範囲を超えた第2移動範囲で移動され第2カムフォロアが第2カム面と前記支持部材とにガイドされて従動されることにより、ストロボ放電管を移動させるストロボ放電管移動部材と、から成り、前記カム部材と前記カム移動部材とはばねを介して連結され、該ばねを介してカム移動部材の動力がカム部材に伝達されてカム部材が移動されるとともに、該ばねによってカム部材に加わる外力を吸収することを特徴とする。
【0007】
また、本発明によれば、前記ストロボ移動部材は、前記カム部材の移動ストロークを倍速させて前記ストロボに動力を伝達する倍速レバーであることを特徴とする。
【0008】
更に、本発明によれば、前記ストロボは、付勢手段によって前記発光位置に向けて付勢されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ストロボとストロボ放電管の移動機構をカム部材、カム移動部材、ストロボ移動部材、及びストロボ放電管移動部材で構成し、部品点数を削減したので、移動機構を簡素化することができる。斯かる移動機構によれば、カメラの電源をONにすると、カム移動部材が所定量移動し、これに連動してカム部材が第1移動範囲で移動する。この第1移動範囲の移動によって、ストロボ移動部材の第1カムフォロアが第1カム面にガイドされて従動し、ストロボ移動部材の動力伝達部材からストロボに動力が伝達されるので、ストロボが収納位置から発光位置に移動する。また、カメラの電源をOFFにすると、先とは逆の動作が行われ、ストロボがカメラ本体の収納位置に移動する。
【0010】
一方、ストロボ放電管の照射角を切り換える場合には、カム移動部材によってカム部材を第2移動範囲で移動する。この第2移動範囲の移動によって、ストロボ放電管移動部材の第2カムフォロアが第2カム面と支持部材とにガイドされて従動し、第2カムフォロアに連結されたストロボ放電管が前後移動するので、ストロボ放電管の照射角を切り換えることができる。
【0011】
また、本発明によれば、カム部材とカム移動部材とをばねを介して連結したので、カム部材に加わる外力をばねで吸収することができる。これにより、カム移動部材には外力が加わらないので、悪戯等の外力から移動機構を保護することができる。特に電動の場合には、外力を吸収しなければ外力がカム移動部材を介してモータに伝達し、モータが故障する場合があるので、外力を構造の簡単なばねで吸収することにより、構造の簡単な外力吸収構造でモータを保護することができる。
【0012】
更に、本発明によれば、ストロボ移動部材を倍速レバーで構成したので、カム部材の移動ストロークを倍速させてストロボに動力を伝達することができる。これにより、本発明は、カム部材の移動ストロークを短くしてストロボを移動させることができるので、移動機構にかかる消費電力を削減することができるとともに、ストロボを瞬時に移動させることができる。
【0013】
また、本発明によれば、付勢手段によってストロボを発光位置に向けて付勢したので、ストロボをガタなくスムーズに発光位置に位置させることができる。また、発光位置に位置されたストロボに収納方向の外力が加わると、ストロボは付勢手段の付勢力に抗して収納されるので、付勢手段によってその外力を吸収することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るストロボ内蔵カメラの好ましい実施の形態を詳述する。
【0015】
図1は、ストロボ10がカメラ本体12に収納された状態を示す断面図であり、図2はストロボ10が発光位置に位置されてストロボ放電管14がWIDE端に位置している状態を示す断面図、図3はストロボ放電管14がTELE端に位置している状態を示す断面図である。
【0016】
これらの図に示すストロボ10は、図2、図3において二点鎖線で示す撮影レンズ鏡胴16の沈胴、繰り出し及びズーム動作に連動して動作されるものであり、撮影レンズ鏡胴16の沈胴時には図1の収納位置に位置され、撮影レンズ鏡胴16が繰り出されてWIDE端(初期位置)に位置された時には図2の発光位置、そして、撮影レンズ鏡胴16がズーム動作されTELE位置に位置された時には図3の位置にそれぞれ位置される。
【0017】
次に、前記ストロボ10及びストロボ放電管14を移動させるための、第1の実施の形態の移動機構18について説明する。
【0018】
移動機構18は図4に示すように、カム板(カム部材に相当)20、カムラック(カム移動部材に相当)22、倍速レバー(ストロボ移動部材に相当)24、及びカムフォロア(ストロボ放電管移動部材の一部である第2カムフォロアに相当)26等から構成される。
【0019】
カム板20の中央部及び下部には、一対の長孔28、28が形成され、これらの長孔28、28は、若干量右方向に傾斜して平行に形成されている。このカム板20は、図1〜図3に示すように前記長孔28、28を、カメラ本体12に突設された一対のガイドピン30、30に嵌合させることによりカメラ本体12に取り付けられる。このように取り付けられたカム板20に上下方向の動力が伝達されると、カム板20は長孔28、28とガイドピン30、30とにガイドされて右斜め上方、及び右斜め下方に斜行移動することができる。
【0020】
また、カム板20には図4に示すように、ストロボ10を移動させる第1カム面32と、ストロボ放電管14を移動させる第2カム面34とが形成されている。これらのカム面32、34については後述する。
【0021】
カムラック22には、上下一対の長孔36、36が鉛直方向に形成され、この長孔36、36を前記ガイドピン30、30(図1〜図3参照)に嵌合させることにより、カムラック22がカメラ本体12に取り付けられる。また、カムラック22の図4上左側面には、ラック38が鉛直方向に形成されている。このラック38には、カメラ本体12に設けられたピニオン40が噛合され、ピニオン40は図示しない駆動モータの出力軸に減速ギアを介して連結されている。したがって、前記駆動モータが駆動されると、その動力がカムラック22に伝達されるので、カムラック22は長孔36、36とガイドピン30、30とにガイドされて上下方向に移動することができる。
【0022】
カムラック22とカム板20とは、引張りばね42によって連結されている。即ち、引張りばね42の上端部が、カムラック22の右側部に突設されたフック23に係止され、引張りばね42の下端部がカム板20の右側部に突設されたフック21に係止されている。これにより、カム板20とカムラック22とは、引張りばね42の付勢力によって互いに近づく方向に付勢された状態で連結されている。したがって、カムラック22が上方向に移動すると、カム板20は引張りばね42に引っ張られて上方向に移動する。また、カム板20に下方向の外力が加わると、引張りばね42が伸びることにより前記外力を吸収することができる。これにより、外力がカムラック22に加わってラック38やピニオン40が破損するのを防止することができる。
【0023】
カム板20の左側部にはストッパ片44が突設され、これに対応してカムラック22の左側部にもストッパ片46が突設されている。これらのストッパ片44、46は、引張りばね42の付勢力によって当接されている。したがって、カムラック22が下方向に移動されると、カム板20のストッパ片44がカムラック22のストッパ片46に押下されることにより、カム板20が下方向に移動する。
【0024】
倍速レバー24は、ピン48を介してカメラ本体12に回動自在に取り付けられている。この倍速レバー24の右斜め上方に伸びるアーム25の先端にはピン50(動力伝達部材に相当)が設けられ、このピン50は、ストロボ10を移動(開閉)させるレバー52の長孔54に嵌合されている。レバー52は、軸56に回動自在に支持され、この軸56にストロボ10のストロボケース11が回動自在に支持されている。また、軸56には、図示しないコイルばねが挿入配置され、このコイルばねの付勢力によってストロボ10は閉方向(収納方向)に付勢されている。
【0025】
アーム25の下部には、カムフォロア(第1カムフォロアに相当)58が取り付けられている。カムフォロア58は、引張りばね(付勢手段に相当)60を介してカメラ本体12に支持されているので、この引張りばね60の付勢力によって倍速レバー24は、ピン48を回動支点として反時計回り方向に付勢された状態でカメラ本体12に取り付けられている。また、前記カムフォロア58は図1、図2に示すように、カム板20に形成された第1カム面32に、引張りばね60の付勢力によって押圧当接されている。
【0026】
したがって、倍速レバー24は、カム板20の第1カム面32に従動されるので、図1の状態からカム板20が上方に移動されていくと、カム板20の移動に連動して倍速レバー24がピン48を支点として反時計回り方向に回動していく。つまり、カムフォロア58が引張りばね60によって付勢されているので、カム板20を上昇させれば、引張りばね60の付勢を解く方向、即ち、反時計回り方向に倍速レバー24が回動する。この方向に倍速レバー24が回動していくと、カム板20の移動ストロークが倍速レバー24に倍速されてレバー52に伝達される。これにより、レバー52が軸56を中心に時計回り方向に回動していき、そして、レバー52の上面53が、ストロボケース11の内面に取り付けられた突片62に当接し、ストロボケース11を上方に押圧する。この動作によって、ストロボケース11が軸56を中心に時計回り方向に回動していき、図2に示した発光位置に位置する。よって、ストロボ10は、引張りばね60の付勢力によって発光位置に保持される。なお、図1から図2に示したカム板20の移動範囲が、請求項1に記載の第1移動範囲に相当する。
【0027】
一方、カムフォロア26は、図4の如くロッド(支持部材に相当)64にスライダ(ストロボ放電管移動部材に相当)66を介してスライド移動自在に取り付けられている。ロッド64は、ストロボケース11の下部に水平方向に配設され、これにより、カムフォロア26は前後方向にスライド移動することができる。また、スライダ66には、ストロボ放電管14の反射笠68の下部が連結されているので、カムフォロア26がスライド移動されることにより、ストロボ放電管14が反射笠68とともに前後して照射角が切り換えられる。
【0028】
更に、カムフォロア26は、ロッド64に挿通された圧縮ばね70の先端部に連結されている。この圧縮ばね70の基端部はストロボケース11の後端部に固定されている。したがって、カムフォロア26は、圧縮ばね70の付勢力で前方に付勢されるので、ストロボ放電管14は、WIDE方向に付勢された状態でストロボケース11に取り付けられている。なお、圧縮ばね70に代えて引張りばねを設けてもよい。この場合、引張りばねは、スライダ66とストロボケース11の前部との間に配置する。符号72は、ストロボケース11の前面に取り付けられた透明窓である。
【0029】
カムフォロア26は図1〜図3に示すように、カム板20の上部に形成された開口部20A内に配置され、この開口部20Aの左側縁に第2カム面34が形成されている。この第2カム面34は、カム板20の図1から図2に示した第1移動範囲において、カムフォロア26に動力を与えないように、つまり、カムフォロア26を逃がすように左斜め上方向に傾斜して形成されている。したがって、カム板20の第1移動範囲においては、カム面34からカムフォロア26に動力が伝達されないので、ストロボ放電管14はWIDE端の位置で保持される。一方、カム板20が図2から図3に示す第2移動範囲で移動されると、カムフォロア26がカム面34に押され、そして、圧縮ばね70の付勢力に抗して後方に移動する。よって、第2移動範囲の終端位置である図3の位置において、ストロボ放電管14がTELE位置に位置される。
【0030】
次に、前記の如く構成されたストロボ10とストロボ放電管14の移動機構18の作用について説明する。
【0031】
まず、図1のカメラ電源OFFの状態から、カメラの電源をONにすると、モータに電力が供給されてピニオン40が図1上反時計回り方向に回転する。これにより、カムラック22が上方に移動されていくので、カム板20が引張りばね42に引っ張られて右斜め上方に移動されていく。
【0032】
カム板20が前記方向に移動されていくと、カム面32とカムフォロア58と引張りばね60の作用によって、倍速レバー24がピン48を支点として反時計回り方向に回動していく。そして、前記方向に倍速レバー24が回動していくと、カム板20の移動ストロークが倍速レバー24に倍速され、そして、カム板20の動力が倍速レバー24及びピン50を介してレバー52に伝達される。これにより、カム板20の少ない移動ストロークでレバー52が軸56を中心に時計回り方向に大きく回動していき、そして、レバー52の上面53が突片62に当接し、ストロボケース11を上方に押圧する。この動作によって、ストロボ10が図1の収納位置から発光位置に向けて開いていき、そして、カム板20が第1移動範囲の終端まで移動されると、図2の如くストロボ10が発光位置に位置し、ストロボ放電管14がWIDE位置に位置する。この位置で前記モータに供給される電力が一旦停止し、この時、撮影レンズ鏡胴16はWIDE端の初期位置で停止する。また、発光位置において、カムフォロア26は、圧縮ばね70の付勢力で第2カム面34に押圧当接されているので、ストロボ放電管14はWIDE位置に保持される。なお、電源をOFFにすると、前記モータが先とは逆方向に回転駆動され、カムラック22及びカム板20が下方に移動されるので、倍速レバー24が時計回り方向に回動し、ストロボ10が閉じる。これにより、図1の収納位置にストロボ10が戻る。
【0033】
次に、ストロボ放電管14の照射角を切り換える場合には、前記モータに電力を供給し、ピニオン40を図2上反時計回り方向に回転する。これにより、カムラック22が上方に更に移動されていき、そして、カム板20も引張りばね42に引っ張られて右斜め上方に更に移動されていく。
【0034】
カム板20が移動されていくと、カムフォロア26が第2カム面34に押されるとともにロッド64にガイドされて後方に移動していき、そして、カム板20の第2移動範囲の終端位置である図3の位置において、ストロボ放電管14はTELE位置に位置する。
【0035】
また、ストロボ放電管14をTELE位置からWIDE位置に切り換える場合には、前記ピニオン40を図3上時計回り方向に回動させれば良い。これにより、カムフォロア26がカム面34に押圧当接された状態で前方に移動するので、ストロボ放電管14がWIDE位置側に切り換えられる。
【0036】
したがって、カム板20を図2から図3に示した第2移動範囲で移動させることにより、ストロボ放電管14による照射角の切り換えが行われ、そして、これに連動して撮影レンズ鏡胴16によるズーミングも行われる。即ち、ズーミングに対応した照射角にストロボ放電管14の照射角が切り換えられる。
【0037】
図5は、ストロボ10が収納された電源OFF時において、ストロボ10に開方向の外力Fが加えられた時の状態を示す図である。
【0038】
前記外力Fがストロボ10に加わると、ストロボ10は、ストロボ10を閉方向に付勢するコイルばねの付勢力に抗して、軸56を回動中心として開方向に回動していく。この時、カムフォロア26は、カム面34に対向するカム面35に沿って上方に移動されていく。したがって、カムフォロア26の力はカム板20に伝達しない。そして、図5の状態において外力Fを解くと、前記コイルばねの付勢力によってストロボ10が図1の位置に復帰する。したがって、ストロボ10に前記外力Fが加わっても、モータを含む移動機構18は故障せず、また、外力Fを解けばストロボ10は元の収納位置に復帰する。
【0039】
図6は、ストロボ10に閉方向の外力Fを加えた状態で電源をONにした時の説明図である。
【0040】
電源をONにすると、カム板20が上昇するので、カム板20の開口部20Aの下面35Aがカムフォロア26に当接する。これによって、カム板20の上昇移動は停止され、カムラック22のみが上昇移動し、引張りばね42が伸ばされていく。したがって、モータの動力は引張りばね42に吸収され、カム板20に伝達しない。一方、引張りばね42の復元力は、カム板20にかかるので、図6の状態において外力Fを解くと、引張りばね42の復元力でカム板20が上昇し、よって、ストロボ10が発光位置に位置する。したがって、ストロボ10に前記外力Fを加えた状態で電源をONにしても、モータを含む移動機構18は故障せず、また、外力Fを解けばストロボ10は開放し、発光位置に位置する。
【0041】
以上の如く構成された移動機構18によれば、ストロボ10を移動させる第1カム面32とストロボ放電管14を移動させる第2カム面34とが形成されたカム板20によって、ストロボ10とストロボ放電管14とを規則的に移動させるように構成したので、移動機構18の構造を簡素化することができる。
【0042】
また、移動機構18の全体構造は、カム板20、カムラック22、倍速レバー24、及びカムフォロア26等で構成され、全体として部品点数が削減されているので構造が簡単になる。
【0043】
また、前記移動機構18によれば、カム板20とカムラック22とを引張りばね42を介して連結したので、ストロボ10からカム板20に加わる外力F(図5参照)、及び外力Fに起因するモータの動力(図6参照)を引張りばね42で吸収することができる。これにより、悪戯等の外力Fからモータを含む移動機構18の各部材を保護することができる。
【0044】
更に、移動機構18によれば、倍速レバー24を用いたので、カム板20の移動ストロークを倍速させてストロボ10側に動力を伝達することができる。これにより、前記移動機構18は、カム板20の移動ストロークを短くしてストロボ10を移動させることができるので、移動機構18にかかる消費電力を削減することができるとともに、ストロボ10を瞬時に開閉させることができる。
【0045】
また、移動機構18によれば、引張りばね60の付勢力によってストロボ10を発光位置に向けて付勢したので、ストロボ10をガタなくスムーズに発光位置に位置させることができる。また、引張りばね60は、図2のストロボ10に加えられた閉方向の外力Fを吸収することができる。
【0046】
図7は、第2の実施の形態の移動機構によってストロボ10がカメラ本体12に収納された状態を示す断面図であり、図8はストロボ10が発光位置に位置されてストロボ放電管14がWIDE端に位置している状態を示す断面図、図9はストロボ放電管14がTELE端に位置している状態を示す断面図である。なお、第2の実施の形態を説明するに当たり、図1〜図6に示した第1の実施の形態と同一若しくは類似の部材については同一の符号を付して説明する。
【0047】
図7〜図9に示すストロボ10及びストロボ放電管14は、図8、図9において二点鎖線で示す撮影レンズ鏡胴16の沈胴、繰り出し及びズーム動作に連動して動作されるものであり、撮影レンズ鏡胴16の沈胴時には図7の収納位置に位置され、撮影レンズ鏡胴16が繰り出されてWIDE端(初期位置)に位置された時には図8の発光位置、そして、撮影レンズ鏡胴16がズーム動作されTELE位置に位置された時には図9の位置にそれぞれ位置される。
【0048】
次に、第2の実施の形態の移動機構100について説明する。
【0049】
移動機構100は図10、図11に示すように、カムラック(カム移動部材に相当)102、カム板(カム部材に相当)104、倍速レバー24、及びカム溝106とカムピン108からなるカム機構(カム手段に相当)を主な構成としている。
【0050】
カムラック102には、上下一対の長孔110、112が鉛直方向に形成され、この長孔110、112には、図11のカメラ本体12の側面に締結されるガイドピン114、116が嵌合され、これにより、カムラック102がカメラ本体12の側面に取り付けられる。また、カムラック102の図11上右側面には、ラック118が鉛直方向に形成されている。このラック118には、カメラ本体12の全面に回動自在に設けられたピニオン120が噛合され、ピニオン120は図示しない駆動モータの出力軸に減速ギア122、124を介して連結されている。したがって、前記駆動モータが正転/逆転駆動されると、その動力がカムラック102に伝達されるので、カムラック102は長孔110、112とガイドピン114、116とにガイドされて上下方向に移動する。
【0051】
また、カムラック102のラック118の上部には、カムピン108が突設部103を介して取り付けられ、カムピン108はカム板104のカム溝106に係合される。このカム板104については後述する。更に、カムラック102の上端部には、折曲形状の爪部126が形成される。爪部126は、倍速レバー24の下部に形成された係合部128に係合される。また、爪部126は、カムラック102の図7に示した沈胴位置から図8に示したWIDE端位置までの移動時において、係合部128との係合状態が保持されるとともに、図8から図9に示すTELE方向の移動時においては、係合部128から退避移動されて係合状態が解除される。
【0052】
倍速レバー24は、図11の如くピン48を介してカメラ本体12の側面に回動自在に取り付けられる。この倍速レバー24の図10上で右斜め上方に伸びるアーム25の先端にはピン50が設けられ、このピン50は、ストロボ10を移動(開閉)させるレバー52の長孔54に嵌合される。レバー52は、軸56に回動自在に支持される。また、ストロボ10は、軸56に挿入されたコイルばね130に係合され、このコイルばね130の付勢力によってストロボ10は、軸56を中心に図10上反時計回り方向(ストロボ10の閉方向)に付勢されている。
【0053】
前記軸56には、図11の如く上ケース11Aと下ケース11Bとからなるストロボ10のストロボケース11が回動自在に支持される。また、倍速レバー24は、圧縮ばね(付勢手段に相当)132を介してカメラ本体12に支持されているので、この圧縮ばね132の付勢力によって倍速レバー24は、ピン48を回動支点として図10上反時計回り方向に付勢された状態でカメラ本体12に取り付けられる。
【0054】
斯かる構成によって、カムラック102が図7の位置から上昇移動されると、爪部126が係合部128に対して離間する上方向に逃げていくので、倍速レバー24は、図8の如く圧縮ばね132の付勢力によってピン48を支点として反時計回り方向に回動していく。この方向に倍速レバー24が回動していくと、カムラック102の移動ストロークが倍速レバー24に倍速されて前記レバー52に伝達される。これにより、レバー52が軸56を中心に時計回り方向に回動していき、そして、レバー52の上面53が、ストロボケース11の内面に取り付けられた突片62に当接し、ストロボケース11を上方に押圧する。この動作によって、ストロボケース11が、コイルばね130の付勢力に抗して軸56を中心に時計回り方向に回動していき、図8に示した発光位置に位置する。よって、ストロボ10は、圧縮ばね132の付勢力によって発光位置に保持される。なお、図7から図8のカムラック102の移動範囲が、請求項1に記載の第1移動範囲に相当し、図8から図9のカムラック102の移動範囲が、請求項1に記載の第2移動範囲に相当する。
【0055】
一方、カム板104は、図10の如く略円板状に形成されたカム板本体134、及びこのカム板本体134から上方に突出形成されたレバー部136から構成される。また、カム板本体134は、その略中央部が、前記ガイドピン114に軸支されている。
【0056】
カム板本体134の図10上左側方にカム溝106が形成され、このカム溝106は、鉛直方向に伸びる第1カム溝(第1カム面に相当)138と、この第1カム溝138の上端に連設された、左斜め上方に伸びる第2カム溝(第2カム面に相当)140とから構成される。
【0057】
これらのカム溝138、140にカムラック102のカムピン108が係合されるわけであるが、このカムピン108は、カムラック102の第1移動範囲(図7から図8までの移動範囲)において第1カム溝138内で上下に移動される。したがって、第1移動範囲では、カムラック102からの動力がカム板104に伝達されない。一方、カムピン108は、カムラック102の第2移動範囲(図8から図9までの移動範囲)において第2カム溝140内で移動される。したがって、第2移動範囲では、カムラック102からの動力がカム板104に伝達される。これにより、カム板104は、ガイドピン114を回動中心として図8の位置から図9の位置に向けて時計回り方向に所定角度回動する。よって、レバー部136の摺動面136Aに当接されているカムフォロア26が、レバー部136に押されて右方向に移動されるので、カムフォロア26に連結されているストロボ放電管14が反射笠68とともに後方に移動して照射角が切り換えられる。
【0058】
なお、ストロボ放電管14の支持機構は、図4に示した第1の実施の形態と同一なので、ここではその説明を省略する。また、図11に示したカメラ本体12の構造について概説すると、カメラ本体12の中央部には、矩形状の露光開口部150が形成され、この露光開口部150の全面にレンズ鏡胴16が配置される。また、露光開口部150を挟んで図11上左側には、フイルムカートリッジの収納室152が形成されるとともに、右側にはフイルムの巻取室154が形成される。巻取室154は、カバー156によって側方開口部が閉塞され、このカバー156の外側に移動機構100が配置される。また、巻取室154の上部には、電池収納室158が取り付けられ、この電池収納室158の上部にストロボ10が配置されている。
【0059】
次に、前記の如く構成された移動機構100の作用について説明する。
【0060】
まず、図7のカメラ電源OFFの状態から、カメラの電源をONにすると、モータに電力が供給されて図11のピニオン120が反時計回り方向に回転する。これにより、カムラック102が上方に移動されていくので、倍速レバー24が図7から図8の如く、圧縮ばね132の付勢力でピン48を支点として反時計回り方向に回動していく。そして、前記方向に倍速レバー24が回動していくと、カムラック102の移動ストロークが倍速レバー24に倍速され、ピン50を介してレバー52に伝達される。これにより、カムラック102の少ない移動ストロークでレバー52が軸56を中心に時計回り方向に大きく回動していき、そして、レバー52の上面53が突片62に当接し、ストロボケース11を上方に押圧する。この動作によって、ストロボ10が図7の収納位置から図8の発光位置に向けて開いていき、そして、カムラック102が第1移動範囲の終端まで移動されると、図8に示すようにストロボ10が発光位置に位置し、ストロボ放電管14がWIDE位置に位置する。この位置で前記モータに供給される電力が一旦停止し、この時、撮影レンズ鏡胴16はWIDE端の初期位置で停止する。また、前記発光位置において、カムフォロア26が圧縮ばね70の付勢力で、カム板104のレバー部136の摺動面136Aに押圧当接されているので、ストロボ放電管14はWIDE位置に保持される。なお、電源をOFFにすると、前記モータが先とは逆方向に回転駆動され、カムラック102が下方に移動されるので、爪部126が係合部128を押下し、そして、倍速レバー24が時計回り方向に回動し、ストロボ10が閉じる。これにより、図7の収納位置にストロボ10が戻る。
【0061】
次に、図8に示したストロボ放電管14の照射角を切り換える場合には、前記モータに電力を供給し、図11のピニオン40を反時計回り方向に回転する。これにより、カムラック102が第1移動範囲を超えて第2移動範囲を移動していくので、カム板104がカムピン108に押されて図8から図9の如く時計回り方向に回動していく。
【0062】
カム板104が前記方向に回動してくと、カムフォロア26がレバー部136に押されるとともにロッド64にガイドされて後方に移動していき、そして、カムラック102の第2移動範囲の終端位置である図9の位置において、ストロボ放電管14がTELE位置に位置する。
【0063】
また、ストロボ放電管14をTELE位置からWIDE位置に切り換える場合には、前記ピニオン40を図11上時計回り方向に回動させれば良い。これにより、カムフォロア26がレバー部136に押圧当接された状態で前方に移動するので、ストロボ放電管14がWIDE位置側に切り換えられる。
【0064】
したがって、カムラック102を図8から図9に示した第2移動範囲で移動させることにより、ストロボ放電管14による照射角の切り換えが行われ、そして、これに連動して撮影レンズ鏡胴16によるズーミングも行われる。即ち、ズーミングに対応した照射角にストロボ放電管14の照射角が切り換えられる。
【0065】
図12は、ストロボ10が収納された電源OFF時において、ストロボ10に開方向の外力Fが加えられた状態を示す図である。
【0066】
前記外力Fがストロボ10に加わると、ストロボ10はコイルばね130の付勢力に抗して軸56を回動中心に開方向に回動していく。この時、カムフォロア26は、レバー部136の摺動面136Aに沿って上方に移動されていくので、カムフォロア26の力はレバー部136に伝達されない。そして、外力Fを解くと、コイルばね130の付勢力がストロボ10に伝達され、ストロボ10が図7の位置に戻る。したがって、閉状態のストロボ10に前記外力Fが加わっても、モータを含む移動機構100は故障せず、また、外力Fを解けばストロボ10は元の収納位置に復帰する。
【0067】
図13は、図9に示した発光位置のストロボ10に、閉方向の外力Fを加えた状態を示す図である。
【0068】
前記外力Fがストロボ10に加わると、倍速レバー24はストロボ10に押下されることにより、圧縮ばね132の付勢力に抗してピン48を支点として図13上時計回り方向に回動していく。この時、カムフォロア26は、レバー部136の摺動面136Aに沿って下方に移動されていくので、カムフォロア26の力はレバー部136に伝達されない。そして、外力Fを解くと、圧縮ばね132の付勢力によって倍速レバー24が元の位置に戻り、これによって、ストロボ10がレバー52に押されて開放する。したがって、発光位置のストロボ10に前記外力Fが加わっても、モータを含む移動機構100は故障せず、また、外力Fを解けばストロボ10は元の発光位置に位置する。なお、この作用は、図8に示した発光位置にあるストロボ10に、閉方向の外力を加えた場合にも同様に行われる。
【0069】
以上の如く構成された移動機構100によれば、カムラック102とカム板104とをカム機構を介して連結し、カムラック102の第1移動範囲でストロボ10を移動させるとともに、カムラック102の第2移動範囲でカム板104を回動させてストロボ放電管14を移動させるようにしたので、即ち、カム板104をカムラック102で連動させる機構を採用したので、カムラック102及びカム板104を独立して移動させる機構よりも、その構造を簡素化することができる。また、カムラック102とカム板104とはカムによる連動構造なので、各々別個に駆動する機構よりも、カムラック102に対するカム板104の動作タイミングを容易に設定することができる。
【0070】
更に、移動機構100によれば、圧縮ばね132の付勢力によってストロボ10を発光位置に向けて付勢したので、ストロボ10をスムーズに発光位置に位置させることができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るストロボ内蔵カメラによれば、ストロボを移動させる第1カム面とストロボ放電管を移動させる第2カム面とが形成されたカム部材を備え、このカム部材を第1移動範囲で移動させてストロボを移動させ、カム部材を第2移動範囲で移動させてストロボ放電管を移動させるように構成したので、ストロボとストロボ放電管の移動機構を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の移動機構を備えたストロボ内蔵カメラのストロボが収納位置に位置している状態を示すカメラ本体の断面図
【図2】 図1のストロボが発光位置のWIDE端に位置している状態を示すカメラ本体の断面図
【図3】 図1のストロボが発光位置のTELE端に位置している状態を示すカメラ本体の断面図
【図4】 第1の実施の形態の移動機構を構成する構成部材の説明図
【図5】 図1のストロボに開方向の外力を加えた時の説明図
【図6】 図1のストロボに閉方向の外力を加えた状態で電源をONにした時の説明図
【図7】 第2の実施の形態の移動機構を備えたストロボ内蔵カメラのストロボが収納位置に位置している状態を示すカメラ本体の断面図
【図8】 図7のストロボが発光位置のWIDE端に位置している状態を示すカメラ本体の断面図
【図9】 図7のストロボが発光位置のTELE端に位置している状態を示すカメラ本体の断面図
【図10】 第2の実施の形態の移動機構を構成する構成部材の説明図
【図11】 カメラ本体に対する図7の移動機構の組立斜視図
【図12】 図7のストロボに開方向の外力を加えた時の説明図
【図13】 図9のストロボに閉方向の外力を加えた時の説明図
【符号の説明】
10…ストロボ、12…カメラ本体、14…ストロボ放電管、18、100…移動機構、20…カム板(カム部材)、22…カムラック(カム移動部材)、24…倍速レバー(ストロボ移動部材)、26…カムフォロア、32、34…カム面、58…カムフォロア、102…カムラック、104…カム板、106…カム溝、108…カムピン
Claims (3)
- カメラ本体に収納される収納位置とカメラ本体から突出される発光位置とに移動可能な可動式のストロボであって、そのストロボ放電管が前後移動可能な照射角切換式のストロボを内蔵したカメラにおいて、
前記ストロボとストロボ放電管とを移動させる移動機構は、
カメラ本体に所定の方向に移動自在に配置されるとともに、ストロボを移動させる第1カム面とストロボ放電管を移動させる第2カム面とが形成されたカム部材と、
移動されることによりカム部材を前記所定の方向に移動させるカム移動部材と、
カム部材の第1カム面に当接される第1カムフォロアと、ストロボに動力を伝達する動力伝達部材とが設けられ、カム部材が第1移動範囲で移動され第1カムフォロアが第1カム面にガイドされて従動されることにより、動力伝達部材からストロボに動力が伝達されて該ストロボを移動させるストロボ移動部材と、
カム部材の第2カム面に当接されるとともにストロボ放電管に連結された第2カムフォロアと、該第2カムフォロアを前後方向に移動自在に支持する支持部材とが設けられ、カム部材が前記第1移動範囲を超えた第2移動範囲で移動され第2カムフォロアが第2カム面と前記支持部材とにガイドされて従動されることにより、ストロボ放電管を移動させるストロボ放電管移動部材と、から成り、
前記カム部材と前記カム移動部材とはばねを介して連結され、該ばねを介してカム移動部材の動力がカム部材に伝達されてカム部材が移動されるとともに、該ばねによってカム部材に加わる外力を吸収することを特徴とするストロボ内蔵カメラ。 - 前記ストロボ移動部材は、前記カム部材の移動ストロークを倍速させて前記ストロボに動力を伝達する倍速レバーであることを特徴とする請求項1記載のストロボ内蔵カメラ。
- 前記ストロボは、付勢手段によって前記発光位置に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1又は2記載のストロボ内蔵カメラ。
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