JP3820059B2 - 写真撮影装置におけるファインダー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ付きフィルムユニットや写真撮影用カメラのような写真撮影装置に関する。特に本発明は、撮影時に撮影者が撮影レンズを2又はそれ以上の焦点設定位置に選択的に設定できるようにするための撮影レンズのピント設定位置切換機構を備えた写真撮影装置に関する。もっと詳細に述べると、本発明は、例えばレンズ付きフィルムユニットや簡易カメラのような、簡易構造で、しかも撮影機能を持った製品に適用するのに適したファインダー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
撮影レンズ及びシャッタを含む撮影機構が組み込まれ、製造の時点で予め未露光フィルムのロールがユニット本体内に装填されたレンズ付きフィルムユニットは、例えば、実用新案登録掲載公報第2,564,847 号公報に記載されている。このレンズ付きフィルムユニットは、撮影の度ごとに露光済みのフィルムがパトローネ内に巻き込まれていくように構成されており、ユーザは、ユニットを購入して撮影し、撮影終了後にそのままの状態で現像所に現像依頼をすればよく、簡便な撮影機能製品として広く市場に受け入れられている。
【0003】
このレンズ付きフィルムユニットには、構造を簡単にし、製造価格を低く抑制できるようにするために、通常は、撮影レンズとして単玉又は2枚構成レンズが使用される。この撮影レンズは、ユニット本体に固定されて、特定の一点のみにピント合わせされた状態にある。したがって、ピント合わせされた距離にない被写体に対しては、撮影レンズの被写界深度を深くすることによっていわゆるピンぼけ状態を避けるようにする。しかし、最近では、レンズ付きフィルムユニットも、画面サイズや撮影レンズの焦点距離などについて、色々な種類のものが開発されており、多用な機能の製品が求められる状況にある。
【0004】
このように多様化したレンズ付きフィルムユニットにおいては、使用される撮影レンズが長焦点距離のものである場合には、レンズのピント位置を製造時に正確に設定することが求められるようになっており、そのために、レンズの位置設定機構として種々の工夫をすることが必要になる。例えば、特開平7-261069号公報においては、望遠レンズを備えたレンズ付きフィルムユニットの製造段階で撮影レンズのピントを精密に設定し、その設定位置に該レンズを固定保持する機構が開示されている。しかし、このようなピント位置設定機構を備えたレンズ付きフィルムユニットにおいても、ピント位置設定後は、撮影レンズはその設定位置に固定されるため、複数のピント設定位置に撮影レンズを移動させることはできない。このような状況を考慮して、レンズ付きフィルムユニットその他の簡易カメラにおいて、例えば単玉又は2枚構成レンズのような単純な構成の撮影レンズを使用しながら、しかも、接近撮影や標準撮影、遠景撮影などの複数の異なる状況における撮影に適応でき、それぞれの場合において適切にピントが合った写真撮影を行うことができるような構造が望まれる。また、焦点距離が短い撮影レンズを使用して、被写体からの距離が例えば60cm以内といった極めて接近した距離での近接撮影ができるように構成し、近接撮影時には正面側から撮影視野を確認して撮影者が自分自身を視野内に含めた構図で写真撮影ができるようにする反射型ファインダーを前面に出し入れ可能に設けたレンズ付きフィルムユニットも、特開平10-200834号公報により提案されている。しかし、この公開公報に開示されたレンズ付きフィルムユニットは、複数のピント設定位置を持つものではないため、接近撮影や標準撮影、遠景撮影などの複数の異なる状況における撮影に適応できるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、接近撮影や標準撮影、遠景撮影などの複数の異なる状況における撮影に適応でき、しかも近接撮影時には、正面側から撮影視野を確認して撮影者が自分自身を視野内に含めた写真撮影ができるようにする反射ファインダーを備えたレンズ付きフィルムユニットその他の簡易カメラのような写真撮影装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によるレンズ付きフィルムユニットは、ユニット本体にシャッタを含む撮影機構が組み込まれ、該ユニット本体内には、写真フィルムの一端を係止した回転自在なスプール軸を有するパトローネを収納するためのパトローネ収納室と、パトローネから引き出した未露光写真フィルムのロールを収納するためのフィルムロール収納室とが形成され、製造時にパトローネと該パトローネから引き出された未露光写真フィルムのロールがそれぞれパトローネ収納室とフィルムロール収納室に予め装填されており、撮影ごとにスプール軸を回転させて露光済みの写真フィルムをパトローネに巻き込むようにした形式のものであり、撮影レンズのピント設定位置を、予め定められた通常撮影位置と近接撮影位置の間で切り換える切換部材が設けられる。別の構成としては、レンズ付きフィルムユニットは、ユニット本体に対して固定関係にレンズ保持筒と、撮影レンズが固定されておりレンズ保持筒内に回転及び光軸方向の移動が可能なように配置されたレンズ枠と、レンズ保持筒とレンズ枠との間に設けられたカム機構と、予め定められた通常撮影位置と近接撮影位置の間を移動可能なようにカメラ本体に配置され、移動することによってレンズ枠を回転させ、カム機構の作用により該レンズ枠に光軸方向の移動を生じさせる切換部材とを備えるものとすることができる。本発明の特徴によれば、さらに、レンズ付きフィルムユニットには、撮影視野ファインダーが設けられ、該撮影視野ファインダーの前部に、ユニット後方から該ファインダーを通して被写体を視認できるように該被写体からの光の少なくとも一部を透過させる透光性部材が固定配置され、該切換部材が近接撮影位置にある時に透光性部材の背面の輝度を低下させて透光性部材における反射によりユニット前方から撮影視野の確認を容易にするための減光部材が撮影視野枠内に出し入れ可能に配置される。
【0007】
本発明によるこのレンズ付きフィルムユニットにおいては、切換部材を操作することにより、撮影レンズのピント位置を、例えば4m位置と60cm位置の2つの位置に任意に切り換えることができる。また、別の形態としては、ピント設定位置を、例えば無限遠ピント位置と4mピント位置と60cmピント位置の3点に任意選択的に設定できるようになる。そして、近接撮影位置である60cmピント位置では、ユニットの正面から反射ミラーにより撮影視野を確認して、撮影者自身を撮影範囲に含む撮影が可能になる。
【0008】
撮影視野ファインダーの前部に設けられる透光性部材は、通常撮影位置でユニット後方から該ファインダーを通して被写体を視認することができる程度の透光性を有する。本発明の好ましい態様においては、この透光性部材は、透明材料に反射性材料を蒸着したハーフミラーとする。ハーフミラーは、比較的反射率の低いものが本発明の目的にとって好ましく、反射対透過の比率は、0:10ないし5:5とすることが望ましい。反射率が0ということは、透光性部材が透明体であるということを意味するが、このような場合にも、透光性部材の背面に減光部材を挿入することにより該透光性部材において反射を生じさせ、ユニット前面からの撮影視野の確認をすることが可能になる。
【0009】
本発明の別の形態では、切換部材が近接撮影位置にあるとき撮影視野ファインダーに重なって撮影レンズとファインダー視野の視差を補正するための近接撮影視野の範囲を示す近接視野枠が切換部材に一体に設けられ、減光部材はこの近接視野枠に配置される。さらに、本発明によるレンズ付きフィルムユニットにおいては、ユニット本体の前面にストロボ発光部を配置し、切換部材には、該切換部材が近接撮影位置にあるときストロボ発光部の前を少なくとも一部覆ってストロボ装置からの投射光量を制限する光量制限部を一体に形成することもできる。この光量制限部は、切換部材が通常撮影位置にあるとき、反射ミラーの少なくとも一部を覆うように構成することもできる。
【0010】
さらに、本発明は、固定焦点距離の撮影レンズと、シャッタ機構を含む撮影機構と、前記撮影レンズを近接撮影位置と通常撮影位置を含む複数のピント設定位置に切り換える切換部材とを備えた写真カメラを提供するものである。この写真カメラにおいても、撮影視野ファインダーは、前述したレンズ付きフィルムユニットにおけると同様の構成を備えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をレンズ付きフィルムユニットに適用した実施の形態について図面を参照して説明するが、レンズ付きフィルムユニット以外の簡易カメラについても同様に本発明を適用できる。
【0012】
図1は、本発明を実施したレンズ付きフィルムユニット1の一例を示す分解斜視図である。レンズ付きフィルムユニット1は、本体部3aと前カバー3bと裏蓋3cとからなるユニット本体3を備える。図2に示すように、本体部3aと裏蓋3cの間には、両端部にそれぞれパトローネ収納室5とフィルムロール収納室7が形成される。本体部3aには、中央部に露光開口9が形成されている。
【0013】
レンズ付きフィルムユニット1の製造段階において、パトローネ11入りの写真フィルムが用意され、パトローネ11から未露光のフィルム11aが引き出されてフィルムロール11bが形成される。未露光フィルム11aのパトローネ側の端は、該パトローネ11内に回転自在に配置されたスプール軸11cに固定される。
【0014】
パトローネ11はパトローネ収納室5内に収納され、フィルムロール11bはフィルムロール収納室7に収納される。その後で、裏蓋3cが本体部3aの裏側に取り付けられ、光密に固定される。別の実施形態としては、フィルムロール室7に巻き取り軸(図示せず)を設け、フィルムパトローネ11をパトローネ室5内に装填した後、フィルム11aのリーダー部を該巻き取り軸に取り付けて裏蓋3cを閉じ、ユニット本体3の組立後に巻き取り軸を駆動回転させて、フィルムパトローネ11から未露光フィルム11aを引き出し、巻き取り軸にロール状に巻き取るようにしてもよい。裏蓋3cの内面には、露光開口9の後側に対応する位置にフィルム受け部3dが設けられ、パトローネ11とフィルムロール11bの中間位置にある未露光フィルム11aは、本体部3aの裏側に形成されたフィルム支持部3eとこのフィルム受け部3dの間で保持される。
本体部3aの前面には、レンズ保持筒13aを有するレンズホルダー13が固定される。レンズ保持筒13aは、本体部3aに形成した露光開口9と同軸に配置される。レンズホルダー13と本体部3aの間には、シャッタ機構を構成するセクター羽根15が配置される。このセクター羽根15を含むシャッタ機構は、フィルム11aの巻き上げ操作によりチャージされ、ユニット本体3の上面に設けられるシャッタレリーズボタンを押すことでレリーズされる。このシャッタ機構及びその作動機構はレンズ付きフィルムユニットの分野で周知であるので、詳細な説明は省略する。パトローネ11へのフィルムの巻き上げのために、本体部3aの上面には、パトローネ収納室5の上方位置にフィルム巻き上げノブ11dが回転自在に設けられ、このフィルム巻き上げノブ11dがパトローネ11のスプール軸11cに結合される。
【0015】
レンズ保持筒13aは円筒形であり、レンズホルダー13と一体にプラスチック材料により成型される。レンズ保持筒13a内には、レンズ保持枠17が回転及び軸方向移動自在に配置される。レンズ保持枠17には、撮影レンズ19が固定される。このレンズ19は、単玉又は2枚構成の固定焦点距離レンズである。レンズ保持枠17内には、レンズ19より後側に、固定第1絞り21が設けられる。本例では、撮影レンズ19は焦点距離が135mmフィルム換算で30mm程度の標準レンズであり、固定絞り21は、標準撮影用のF10程度の絞り値を有する。
【0016】
図示した実施態様のレンズ付きフィルムユニット1は、ストロボ装置を内蔵する形式である。ストロボ装置23は、ストロボ発光部23aと該ストロボ発光部23aの発光を制御する制御回路を備えたプリント基板23bと充電用コンデンサ23cを備える。ストロボ発光部23aと充電用コンデンサ23cは、プリント基板23b上に支持される。本体部3aには、露光開口9の上方にファインダー用対物レンズ25が嵌め込まれたファインダー窓27が形成されており、前側から本体部3aを見たときストロボ発光部23aがファインダー窓27より右側に位置するような関係で、プリント基板23bが本体部3aに固定される。
【0017】
ストロボ装置23のプリント基板23bの前方には、ストロボ充電用スイッチ板29が配置される。スイッチ板29は、受け板29bを介してプリント基板23b上に配置される。スイッチ板29は、上下方向に摺動的に動くことができ、充電スイッチつまみ29aが一体に設けられ、このスイッチつまみ29aを充電位置に置くことによってストロボ装置23のコンデンサ23cが充電される。コンデンサ充電用の電池30は、レンズ付きフィルムユニットの技術分野で周知のように、図3に示すユニット本体3の下部に収納される。
【0018】
本体部3aの前面には、前カバー3bが取り付けられる。前カバー3bは、本体部3aの前面のほぼ全体を覆うように形成されており、本体部3aのファインダ−窓27に重なるファインダー窓27aと、ストロボ発光部23aを前面に露出させるためのストロボ窓23dと、スイッチ板29上のスイッチつまみ29aをそのストローク範囲でユニット本体3の前面に露出させるためのストロボスイッチ開口29cと、レンズホルダー13のレンズ保持筒13aを通すためのレンズ開口13bとを有する。図2及び図3に示すように、レンズ保持筒13aは、前カバー3bのレンズ開口13bを通って前方に延びる。
【0019】
前カバー3bの前面には外カバー31が取り付けられる。外カバー31には、前カバー3bのファインダー窓27aと重なる位置にファインダー窓27bが形成される。外カバー31に形成したファインダー窓27bには、図3に示すようにハーフミラー32が固定される。このハーフミラー32は、表又は裏面のいずれか一方に反射性材料を蒸着した構成で、反射対透過の比率は、0:10ないし5:5とする。また、外カバー31は、レンズ保持筒13aの前端を受け、撮影光を通すためのレンズ開口13cを有する。外カバー31と前カバー3bの間に横方向に移動可能な切換枠部材33が配置される。図4は、この実施形態によるレンズ付きフィルムユニット1を正面からみた外観図である。
【0020】
図5及び図6に、本発明を実施した撮影レンズのピント設定位置切換機構の詳細を示す。レンズホルダー13から前方に延びるレンズ保持筒13aは、前面側に向いたカム面35を有する。図示した実施態様では、このカム面35は、レンズ19の引っ込み位置を定める第1面35aと、レンズ19の突出位置を定める第2面35b、及び第1面35aと第2面35bの間を結ぶ斜面35cとから構成される。カム面35の前方には、該カム面35から所定の間隔をおいて押さえ部37が形成されている。したがって、カム面35と押さえ部37の間には、カム溝39が形成される。カム溝39は、レンズ保持筒13aの周方向に複数個所(例えば3個所)等間隔に形成される。一つのカム溝39を形成している押さえ部37の周方向の一端と、これに隣接するカム溝39を形成する押さえ部37の周方向の隣接端との間には、所定幅の光軸方向の溝41が形成される。
【0021】
レンズ枠17には、複数の個所(例えば、図示したように周方向に等間隔に3本)のカム従動ピン17aが半径方向外向きに突出するように設けられる。このカム従動ピン17aは、溝41からカム溝39に挿入される。レンズ保持筒13aの押さえ部37は弾性を有し、カム従動ピン17aを弾性的にカム面35に押し付ける。図5に、カム従動ピン17aがカム溝39に係合する状態を示す。
【0022】
図5に示すように、切換部材33は、中央に横長の開口33aを有する枠部材として構成される。切換部材33は、レンズ保持筒13aが開口33a内に挿入される状態で、該外カバー31と前カバー3bの間に配置される。切換部材33は、その後方に突出する一対のレンズ駆動ピン33bを有し、このレンズ駆動ピン33bの間にレンズ枠17上のカム従動ピン17aが挟まれる。切換部材33の下部には切換つまみ33cが形成されており、この切換つまみ33cが図4に示すように外カバー31に形成したスリット31aから前方に突出する。したがって、この切換つまみ33cを操作することによって切換部材33を横方向に移動させることができる。切換部材33が横方向に移動すると、該切換部材33上のレンズ駆動ピン33bがレンズ枠17上のカム従動ピン17aに係合してレンズ枠17を回転させる。このレンズ枠17の回転により、カム従動ピン17aがカム面35上を摺動してカム作用を受け、レンズ枠13aが光軸方向に移動する。
【0023】
切換部材33が被写体に向かって右側の位置に設定されると、カム従動ピン17aがカム面35の第1面35aに係合するようになり、カム従動ピン17aがこの位置にあるときには、レンズ枠17及び撮影レンズ19が後方位置に置かれ、撮影レンズ19は、遠距離、例えば4mの距離にピント設定がされた通常撮影のためのピント位置にある。逆に、切換部材33が被写体に向かって左側の位置に設定され、カム従動ピン17aがカム面35の第2面35b上にあるときには、レンズ枠17及び撮影レンズ19が前方位置に前進させられ、近距離、例えば60cmの距離にピント設定された近接撮影のためのピント位置になる。
【0024】
図5に示すように、被写体に向かって切換部材33の右側には、開口33a内に横向きに延びるように絞りアーム33dが形成され、この絞りアーム33dの先端に第2絞り33eが形成されている。第2絞り33eは、レンズ枠17に設けられる第1絞り21より小さい絞り開口を有する。切換部材33が被写体に向かって左方向に動かされ、撮影レンズ19が前方に繰り出されるとき、切換部材33の絞りアーム33dがレンズ保持筒13aに形成されたスリット39aを通って撮影レンズ19の後方位置に挿入される。このとき、絞りアーム33dの先端の第2絞り33eが撮影レンズ19の光軸上に位置する。このため、撮影用絞り開口は、第1絞りによるものよりも小さくなり、焦点深度が深くなる。その結果、接近撮影の場合のピンぼけ状態が回避される。
本発明の図示した実施形態では、図1及び図5に示すように、切換部材33の上部にファインダー枠43が一体に形成されている。ファインダー枠43は、横方向のほぼ中央部に、切換部材33が被写体に向かって右側位置にある通常撮影状態でユニット本体3の本体部3aのファインダー窓27に重なる位置にくる開口43aを有する。被写体に向かって開口43aの右側には、近接撮影時の撮影視野を示すための近接視野枠43bが形成されている。本発明のこの実施の形態では、図3及び図4に示すように、ファインダー枠43の近接視野枠43bに、例えばNDフィルタのような減光部材44が固定配置される。
【0025】
開口43aを挟んで近接視野枠43bの反対側は光量制限部43cである。このファインダー枠43は、切換部材33の横方向移動に伴ってユニット本体3の前カバー3bと外カバー31の間を前カバー3bの前面に沿って横方向に移動する。
【0026】
切換部材33が通常撮影位置にあるとき、ファインダー枠43の開口43aが前カバー3bのファインダー窓27aに重なり、撮影者は、本体部3aのファインダー窓27に固定したファインダー用対物レンズ25、接眼レンズ及び外カバー31のファインダー窓27bに固定したハーフミラー32を通して被写体を見て撮影の構図を定めることができる。このときは、ファインダー枠43の光量制限部43cはストロボ発光部23aとファインダー窓27の間にあり、ストロボ発光部23aは、全体が前面に露出された状態にある。また、ファインダー枠43の近接視野枠43bと該近接視野枠43bに固定して配置した減光部材44は、ファインダー窓27から横方向に退避した位置にある。したがって、撮影視野ファインダーを通る被写体からの光は減光部材44により遮られることがなく、十分な明るさで被写体を視認することができる。
【0027】
ここで、切換部材33を被写体に向かって左側方向に動かすと、前述したように撮影レンズ19が前方に繰り出されて近接撮影状態となり、同時に、ファインダー枠43が同方向に移動し、図4に示す状態になる。この位置では、近接視野枠43bがファインダー窓27b内にあり、撮影者はこの近接視野枠43bを介して近接撮影時の撮影範囲を確認することができる。同時に、該近接視野枠43bに固定配置した減光部材44がファインダー窓27の前部に固定配置されたハーフミラー32の背後に挿入されるので、該ハーフミラー32の背後の輝度が低下し、前面側から見た状態での見かけ上の反射率が高くなる。したがって、撮影者が自分を撮影範囲に入れて撮影しようとする場合には、レンズ付きフィルムユニット1の前面側から該ハーフミラー32により撮影範囲を確認することができる。ハーフミラー32の取り付け位置と取り付け角度及びミラー面の形状は、ハーフミラー32をこのように反射ファインダーとして使用する場合のパララックスを補正できるように定めることが好ましい。さらに、この近接撮影位置では、ファインダー枠43に形成された光量制限部43cが前カバー3bのストロボ窓23dの前面にあり、ストロボ発光部23aを覆うようになるので、ストロボ装置からの光は光量制限部43cの両脇を通ってしか前方に射出されず、ストロボ光の光量が制限される。したがって、この構成により、近接撮影時の露出過剰状態を回避できる。なお、光量制限部43cは図示例のように光量制限部の大きさをストロボ窓23dの一部を覆う形状とせず、小孔を設けた構成としてもよい。
【0028】
以上は、製造段階で予め未露光フィルムがユニット内に装填された形式のレンズ付きフィルムユニットに本発明のファインダー装置を実施した実施の形態についての説明であるが、本発明は、このようなレンズ付きフィルムユニットへの適用に限らず、使用者がフィルムを装填する形式の写真カメラにも同様に適用できる。
【0029】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、近接撮影に適したピント設定位置を含む複数のピント設定位置をもち、撮影者が前面に位置して自分を被写体の一部として撮影を行うことを可能にする写真撮影装置のためのファインダー装置を得ることができる。また、透光性部材を反射率が十分に低い構成とする実施形態では、撮影者が前面に位置して自分を被写体の一部として撮影しようとする場合に、ピント設定が近接撮影位置にない状態であれば、透光性部材における反射が少ないため、撮影者はピント設定が適切でないことを知ることができ、ピンぼけ状態の写真が撮影される可能性を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施したレンズ付きフィルムユニットの全体を示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示すレンズ付きフィルムユニットの水平断面図である。
【図3】 図1に示すレンズ付きフィルムユニットの垂直断面図である。
【図4】 図1に示すレンズ付きフィルムユニットの近接撮影状態における正面図である。
【図5】 本発明の一実施形態における撮影レンズのピント設定位置切換機構を示す分解斜視図である。
【図6】 本発明の一実施形態における撮影レンズのピント設定位置切換機構における切換部材の配置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
3・・・ユニット本体、3a・・・本体部、3b・・・前カバー、
3c・・・裏蓋、5・・・パトローネ室、7・・・フィルムロール室、
9・・・露光開口、11・・・フィルムパトローネ、
13・・・レンズホルダー、13a・・・レンズ保持筒、
17・・・レンズ枠、19・・・撮影レンズ、21・・・第1絞り、
25・・・ファインダー対物レンズ、32・・・ハーフミラー、
33・・・切換部材、33a・・・開口、33b・・・レンズ駆動ピン、
33e・・・第2絞り、35・・・カム面、39・・・カム溝、
43b・・・近接視野枠、43c・・・光量制限部、44・・・減光部材
Claims (6)
- 固定焦点距離の撮影レンズを備え、ユニット本体にシャッタを含む撮影機構が組み込まれ、前記ユニット本体内には、写真フィルムの一端を係止した回転自在なスプール軸を有するパトローネを収納するためのパトローネ収納室と、前記パトローネから引き出して形成した未露光写真フィルムのロールを収納するためのフィルムロール収納室とが形成され、製造時にパトローネと該パトローネから引き出された未露光写真フィルムのロールがそれぞれ前記パトローネ収納室と前記フィルムロール収納室に予め装填されており、撮影ごとに前記スプール軸を回転させて露光済みの写真フィルムをパトローネに巻き込むようにしたレンズ付きフィルムユニットであって、
前記撮影レンズのピント設定位置を、予め定められた通常撮影位置と近接撮影位置の間で切り換える切換部材と、
撮影視野ファインダーと、
が設けられ、
前記撮影視野ファインダーの前部に、ユニット後方から該ファインダーを通して被写体を視認できるように該被写体からの光の少なくとも一部を透過させ、反射対透過の比率が0:10ないし5:5の間にある透明体又はハーフミラーからなる透光性部材が固定配置され、
前記切換部材が前記近接撮影位置にある時に前記透光性部材の背面の輝度を低下させて前記透光性部材における反射によりユニット前方から撮影視野の確認を容易にするための減光部材が前記撮影視野枠内に出し入れ可能に配置された、
ことを特徴とするレンズ付きフィルムユニット。 - ユニット本体にシャッタを含む撮影機構が組み込まれ、前記ユニット本体内には、写真フィルムの一端を係止した回転自在なスプール軸を有するパトローネを収納するためのパトローネ収納室と、前記パトローネから引き出して形成した未露光写真フィルムのロールを収納するためのフィルムロール収納室とが形成され、製造時にパトローネと該パトローネから引き出された未露光写真フィルムのロールがそれぞれ前記パトローネ収納室と前記フィルムロール収納室に予め装填されており、撮影ごとに前記スプール軸を回転させて露光済みの写真フィルムをパトローネに巻き込むようにしたレンズ付きフィルムユニットであって、
前記ユニット本体に対して固定関係に配置されたレンズ保持筒と、
撮影レンズが固定されており、前記レンズ保持筒内に回転及び光軸方向の移動が可能なように配置されたレンズ枠と、
前記レンズ保持筒と前記レンズ枠との間に設けられたカム機構と、
予め定められた通常撮影位置と近接撮影位置の間を移動可能なようにカメラ本体に配置され、移動することによって前記レンズ枠を回転させ、前記カム機構の作用により該レンズ枠に光軸方向の移動を生じさせる切換部材と、
撮影視野ファインダーと、
が設けられ、
前記撮影視野ファインダーの前部に、ユニット後方から該ファインダーを通して被写体を視認できるように該被写体からの光の少なくとも一部を透過させ、反射対透過の比率が0:10ないし5:5の間にある透明体又はハーフミラーからなる透光性部材が固定配置され、
前記切換部材が前記近接撮影位置にある時に前記透光性部材の背面の輝度を低下させて前記透光性部材における反射によりユニット前方から撮影視野の確認を容易にするための減光部材が前記撮影視野枠内に出し入れ可能に配置された、
ことを特徴とするレンズ付きフィルムユニット。 - 固定焦点距離の撮影レンズと、シャッタ機構を含む撮影機構と、前記撮影レンズを近接撮影位置と通常撮影位置を含む複数のピント設定位置に切り換える切換部材と、撮影視野ファインダーとを備えた写真撮影用カメラであって、
前記撮影視野ファインダーの前部に、ユニット後方から該ファインダーを通して被写体を視認できるように該被写体からの光の少なくとも一部を透過させ、反射対透過の比率が0:10ないし5:5の間にある透明体又はハーフミラーからなる透光性部材が固定配置され、
前記切換部材が前記近接撮影位置にある時に前記透光性部材の背面の輝度を低下させてユニット前方から撮影視野の確認を容易にするための減光部材が前記撮影視野枠内に出し入れ可能に配置された、
ことを特徴とする写真撮影用カメラ。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載したレンズ付きフィルムユニット又は写真撮影用カメラであって、
前記切換部材が近接撮影位置にあるとき前記撮影視野ファインダーに重なって近接撮影の範囲を示す視差補正近接視野枠が前記切換部材に一体に設けられ、
前記減光部材は前記近接視野枠に設けられたことを特徴とするレンズ付きフィルムユニット又は写真撮影用カメラ。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載したレンズ付きフィルムユニット又は写真撮影用カメラであって、
前記減光部材は、ユニット後方から該ファインダーを通した被写体の視認を可能にする程度の透光性を有することを特徴とするレンズ付きフィルムユニット又は写真撮影用カメラ。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載したレンズ付きフィルムユニット又は写真撮影用カメラであって、ユニット本体には前面にストロボ発光部が配置され、前記切換部材には、該切換部材が近接撮影位置にあるとき前記ストロボ発光部の前を少なくとも一部覆ってストロボ装置からの投射光量を制限する光量制限部が一体に形成されたことを特徴とするレンズ付きフィルムユニット又は写真撮影用カメラ。
Priority Applications (3)
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