JP2004285845A - ロッカーアーム軸の回り止め装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関のシリンダヘッド4内に1対のロッカーアーム軸26を互いに間隔をへだてて併設し、吸・排気カムと吸・排気弁とをそれぞれ連接する1対のロッカーアームを上記ロッカーアーム軸26によりそれぞれ揺動可能に支持した内燃機関の動弁装置において、上記1対のロッカーアーム軸26の各一部に、互いに向き合う切り欠き部26aを形成し、それら切り欠き部26aの間に、カム軸方向から見た断面が平行でない規制部材40を挿入し、該規制部材40をシリンダヘッドカバー5内面により押圧することを特徴とするロッカーアーム軸の回り止め装置。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置におけるロッカーアーム軸の回り止め装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、ロッカーアーム軸孔に圧入されたロッカーアーム軸の抜け止め用のストッパーは開示されている(例えば特許文献1参照。)。また図8に示されるようなロッカーアーム軸の回り止め装置もあった。これは、2本のロッカーアーム軸026間において、セットプレート040の中央部をシリンダヘッド04に締め付けボルト023によりねじ止めし、そのセットプレート040の左右アーム部の両端部下面に対称的に形成された回り止め部040aを2本のロッカーアーム軸026の切り欠き部026aに当接させ、それらロッカーアーム軸026の回り止めをしていた。なお、図8中の符号018はカム軸、019はカム軸ベアリングをそれぞれ示す。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−329002号公報(段落0041、図6,7)
【解決しようとする課題】
前記従来のロッカーアーム軸の回り止め装置においては、セットプレート040を締め付けボルト023によって締め付ける時に、セットプレート040がその締め付け方向に回転するため、締め付け回転方向の後ろ側(図8では左側)に位置する一方のロッカーアーム軸026の切り欠き部026aとセットプレート040の回り止め部040aとの間に若干の隙間Sが生じる。したがって、内燃機関の運転中に、その隙間Sに起因するロッカーアーム軸026の遊転で打音が発生するという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段および効果】
前記従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、内燃機関のシリンダヘッド内に1対のロッカーアーム軸を互いに間隔をへだてて併設し、吸・排気カムと吸・排気弁とをそれぞれ連接する1対のロッカーアームを上記ロッカーアーム軸によりそれぞれ揺動可能に支持した内燃機関の動弁装置において、上記1対のロッカーアーム軸の各一部に、互いに向き合う切り欠き部を形成し、それら切り欠き部の間に、カム軸方向から見た断面が平行でない規制部材を挿入し、該規制部材をシリンダヘッドカバー内面により押圧することを特徴とするロッカーアーム軸の回り止め装置である。
【0005】
請求項1記載の発明は上記のとおり構成され、ロッカーアーム軸の互いに向き合う切り欠き部の間に、カム軸方向から見た断面が平行でない規制部材を挿入し、該規制部材をシリンダヘッドカバー内面により押圧するので、ロッカーアーム軸と規制部材とを互いにガタなく密着させて固定することができる。したがって、ロッカーアーム軸の遊転による打音の発生や軸受の摩耗を防止することができる。また、シリンダヘッドカバーで規制部材を押圧して固定するので、従来のロッカーアーム軸回り止め装置で必要であった規制部材の締め付けボルト、ねじ穴加工工程、締め付け工程を省略することができ、コスト面でも有利になる。
【0006】
次に請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、上記規制部材がシリンダヘッド内の凸部をカム軸方向に挟み込む形状となっていることを特徴とするものである。
【0007】
このように請求項2記載の発明では、シリンダヘッド内の凸部を挟み込む形状で規制部材のカム軸方向位置を規制するので、ロッカーアーム軸の軸方向のずれによる摩耗も防止することができる。また、規制部材を既存の凸部を用いて固定するので、シリンダヘッド側には特別な加工を施す必要なく、位置を固定できる。
【0008】
次に請求項3記載の発明は、前記請求項2記載の発明において、上記規制部材と上記シリンダヘッドカバー内面との間、および上記規制部材と上記凸部との間に弾性部材が配置されたことを特徴とするものである。
【0009】
このように請求項3記載の発明では、弾性部材を挟んで規制部材を固定するので、規制部材を確実に固定することができる。また、シリンダヘッドカバーの振動が弾性部材によって吸収されるので、振動による騒音が低減される。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記請求項2または請求項3いずれか記載の発明において、上記凸部がカム軸ホルダであり、かつ上記規制部材がカム軸ベアリングの外側面に当接していることを特徴とするものである。
【0011】
このように請求項4記載の発明によれば、カム軸ホルダ位置で規制部材を固定するとともに、カム軸ベアリングの位置をも固定するので、カム軸ベアリングのがたつきがなくなり、カム軸ベアリングの耐久性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例が適用された内燃機関をクランク軸線とシリンダ軸線をほぼ通る平面で切断した縦断面図、図2は同じくほぼシリンダ軸線を通りクランク軸線と直交する平面で切断した縦断面図、図3は同じくカムチェーン近傍でクランク軸線と直交する平面で切断した縦断面図、図4は図1の上部を拡大して示す図である。
【0013】
この内燃機関1は、頭上弁式4ストロークサイクル単気筒内燃機関であって、その本体は、左右割の左クランクケース2a、右クランクケース2bと、シリンダブロック3と、シリンダヘッド4と、シリンダヘッドカバー5と、左クランクケースカバー6aと、右クランクケースカバー6bとから成る。左クランクケース2aと右クランクケース2bが互いに合わされ、その上方にシリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5が順次重ねられる。また、左クランクケース2aの左側面に左クランクケースカバー6aが、右クランクケース2bの右側面に右クランクケースカバー6bが、それぞれ合わされる。そして、これら左右のクランクケース2a、2b、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、シリンダヘッドカバー5、左クランクケースカバー6a、右クランクケースカバー6bは、ボルト等で互いに一体に結合される。
【0014】
また図1、図2に示されるように、シリンダブロック3に形成されたシリンダ孔7にピストン8が摺動自在に嵌装されるとともに、左右のクランクケース2a、2bにクランク軸9が回転可能に枢支されている。そして、ピストン8とクランク軸9とに、ピストンピン10とクランクピン11とをそれぞれ介して、コネクティングロッド12の両端が回転可能に枢着されている。こうして、シリンダ孔7頂部の燃焼室13内の混合気の燃焼によりピストン8が往復動すると、クランク軸9が回転駆動されるようになっている。
【0015】
また、シリンダ孔7の頂部の燃焼室13に連通する吸気ポート14および排気ポート15が、シリンダヘッド4に形成されており、それら吸気ポート14および排気ポート15に、それぞれ吸気弁16および排気弁17が開閉自在に設けられている(図2参照)。
【0016】
そして、吸気弁16および排気弁17の頂端に隣接して、カム軸18が配置されている。このカム軸18の一端部(図1、図4では左端部)は、カム軸ベアリング19aを介しシリンダヘッド4とカム軸ホルダ20とに挟まれて回転自在に枢支されており、他端部(図1、図4では右端)は、カム軸ベアリング19bを介してシリンダヘッド4に回転自在に枢支されている。カム軸18の上記一端部には、ドリブンスプロケット21と磁石ホルダー22とが順次重ね合わされてボルト23により一体に装着されている。一方クランク軸9にはドライブスプロケット24が一体に設けられていて、このドライブスプロケット24と上記ドリブンスプロケット21とに無端のカムチェーン25が架装されている。
【0017】
また図2に示されるように、吸気弁16および排気弁17の頂部とカム軸18の上方との中間に、それぞれ1対のロッカーアーム軸26が軸線を水平にして配置され、いずれも両端がシリンダヘッド4とカム軸ホルダ20に嵌合されている。これら1対のロッカーアーム軸26にそれぞれロッカーアーム28が揺動自在に枢支されている。そしてそのロッカーアーム28の一端にはローラ29が枢着されて前記カム軸18のカム山18aに当接しており、また他端は吸気弁16、排気弁17の頂部にそれぞれ当接している。こうして内燃機関1の運転時には、クランク軸9の半分の回転速度でカム軸18が回転駆動され、吸気弁16と排気弁17は、クランク軸9が2回転するごとに、それぞれ1回ずつ開閉駆動されるようになっている。
【0018】
また図1および図4に示されるように、カム軸18の一端(図の左端)に一体に装着された前記磁石ホルダー22は、ドリブンスプロケット21の内径側に位置した個所では小径の円筒状に形成され、更にその外方個所では大径の円筒状に形成されている。そしてその大径円筒状部の内周面に周方向に亘って等間隔に複数の永久磁石35が一体に装着されている。
【0019】
さらに、カム軸18の外方(図1および図4で左方)に冷却水ポンプ30が配設されている。この冷却水ポンプ30のポンプカバー31がシリンダヘッド4の側壁に形成された開口に嵌着されており、このポンプカバー31にはポンプボディー32の基端が密に嵌合されている。そのポンプボディー32の円筒状部は、磁石ホルダー22の大径円筒状部に対して一定の間隔を存するように形成されている。またカム軸18の回転軸線上にポンプ軸33が配され、その両端がポンプカバー31とポンプボディー32に回転自在に嵌合されている。このポンプ軸33にロータ34が嵌着されており、そのロータ34の円筒状部には、前記磁石ホルダー22に一体に装着された永久磁石35に相対する位置に、永久磁石36が一体に装着されている。またロータ34の円筒状部よりも外方(図4の左方)に位置して、ベーン37が一体に形成されている。こうして、ドリブンスプロケット21が回転駆動されると、これと一体の磁石ホルダー22が回転し、冷却水ポンプ30のロータ34に一体に装着された永久磁石36が、磁石ホルダー22とともに回転する永久磁石35の磁力によってつれ回りし、冷却水ポンプ30が回転駆動されることになる。
【0020】
次に図5はシリンダヘッドカバー5を取外してシリンダヘッド4を上方から見た図、図6は図5のVI−VI矢視断面図、図7は図4、図6のVII−VII矢視断面図である。
【0021】
本実施例においては、1対のロッカーアーム軸26の一端部(図5で左端、図7では下端)に互いに向き合う切り欠き部26aが形成されている。そしてそれら切り欠き部26aの間に、図6に示されるように、カム軸18方向から見た断面が平行でない(図6では下すぼまりのテーパー付き)セットプレート40が、規制部材として上方から挿入されている。このセットプレート40は、図4および図6に示されるように、下端はカム軸ベアリング19aのアウターリング外側面に当接しており、また上部は水平に折れ曲がってシリンダヘッド4内の凸部であるカム軸ホルダ20の上方へ延び、更に今度は下方へ折れ曲がって、そのカム軸ホルダ20を挟み込む形状となっている。また、セットプレート40とカム軸ホルダ20との間、およびセットプレート40とシリンダヘッドカバー5内面との間には、例えばゴムのような弾性部材42が配置され、シリンダヘッドカバー5によって押圧されている。なお、図6中の一転鎖線42Aは、弾性部材42の自由時形状を示し、シリンダヘッドカバー5を取付けると押圧されて、図4に示される形状になるのである。また、図5および図7中の符号27は、ロッカーアーム28の軸方向位置がずれないようにするために配されたカラーである。
【0022】
このような内燃機関1において、燃焼室13に供給された燃料・空気混合気に点火すると、燃料が燃焼して燃焼室13の圧力が上昇し、ピストン8を押下げる。吸気弁16および排気弁17を作動させ所定の順序・タイミングで給排気と点火を繰返すことにより、ピストン8が往復動する。ピストン8のこの運動はコネクティングロッド12を介してクランク軸9の回転となり、更に図示しない車輪等に伝達される。クランク軸9の回転はまたドライブスプロケット24、カムチェーン25、ドリブンスプロケット21を介してカム軸18に伝達され、更にカム山18a、ロッカーアーム28を介して、前記吸気弁16、排気弁17を所定の順序・タイミングで開閉することになる。
【0023】
本実施例では、1対のロッカーアーム軸26の一端部に互いに向き合う切り欠き部26aを形成し、それら切り欠き部26aの間にカム軸18方向から見た断面が平行でない(テーパー付き)セットプレート40を挿入するとともに、このセットプレート40をシリンダヘッドカバー5の内面によって押圧するので、ロッカーアーム軸26とセットプレート40とを互いにガタなく密着させて固定することができる。したがってロッカーアーム軸26の遊転による打音の発生や軸受の摩耗を防止することができる。またシリンダヘッドカバー5によりセットプレート40を押圧して固定するので、従来のロッカーアーム軸の回り止め装置で必要であったセットプレートの締め付けボルト、ねじ穴加工工程、締め付け工程を省略することができ、コスト面でも有利になる。
【0024】
本実施例ではまた、セットプレート40がカム軸ホルダ20を挟み込む形状になっており、セットプレート40のカム軸18方向位置を規制するので、ロッカーアーム軸26の軸方向のずれによる摩耗も防止される。また、セットプレート40を既存のカム軸ホルダ20を用いて固定するので、シリンダヘッド4側には特別な加工を施すことなく、位置を固定できる。
【0025】
また本実施例では、セットプレート40とカム軸ホルダ20との間、およびセットプレート40とシリンダヘッドカバー5内面との間に、ゴムのような弾性部材42が配置されているので、セットプレート40を確実に固定することができる。また、シリンダヘッドカバー5の振動が弾性部材42によって吸収されるので、振動による騒音が低減される。
【0026】
更に本実施例では、セットプレート40の下端がカム軸ベアリング19aのアウターリング外側面に当接しているので、カム軸ベアリング19aは、がたつきがなくなり、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例が適用された内燃機関をクランク軸線とシリンダ軸線をほぼ通る平面で切断した縦断面図である。
【図2】図2は同じくほぼシリンダ軸線を通りクランク軸線と直交する平面で切断した縦断面図である。
【図3】図3は同じくカムチェーン近傍でクランク軸線と直交する平面で切断した縦断面図である。
【図4】図4は図1の上部を拡大して示す図である。
【図5】図5はシリンダヘッドカバーを取外してシリンダヘッドを上方から見た図である。
【図6】図6は図5のVI−VI矢視断面図である。
【図7】図7は図4、図6のVII−VII矢視断面図である。
【図8】図8は従来のロッカアーム軸の回り止め装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…内燃機関、2a…左クランクケース、2b…右クランクケース、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、5…シリンダヘッドカバー、6a…左クランクケースカバー、6b…右クランクケースカバー、7…シリンダ孔、8…ピストン、9…クランク軸、10…ピストンピン、11…クランクピン、12…コネクティングロッド、13…燃焼室、14…吸気ポート、15…排気ポート、16…吸気弁、17…排気弁、18…カム軸、18a…カム山、19a、19b…カム軸ベアリング、20…カム軸ホルダ、21…ドリブンスプロケット、22…磁石ホルダー、23…ボルト、24…ドライブスプロケット、25…カムチェーン、26…ロッカーアーム軸、26a…切り欠き部、28…ロッカーアーム、29…ローラ、30…冷却水ポンプ、31…ポンプカバー、32…ポンプボディー、33…ポンプ軸、34…ロータ、35、36…永久磁石、37…ベーン、40…セットプレート、42…弾性部材。
Claims (4)
- 内燃機関のシリンダヘッド内に1対のロッカーアーム軸を互いに間隔をへだてて併設し、吸・排気カムと吸・排気弁とをそれぞれ連接する1対のロッカーアームを上記ロッカーアーム軸によりそれぞれ揺動可能に支持した内燃機関の動弁装置において、
上記1対のロッカーアーム軸の各一部に、互いに向き合う切り欠き部を形成し、それら切り欠き部の間に、カム軸方向から見た断面が平行でない規制部材を挿入し、該規制部材をシリンダヘッドカバー内面により押圧することを特徴とするロッカーアーム軸の回り止め装置。 - 上記規制部材がシリンダヘッド内の凸部をカム軸方向に挟み込む形状となっていることを特徴とする請求項1記載のロッカーアーム軸の回り止め装置。
- 上記規制部材と上記シリンダヘッドカバー内面との間、および上記規制部材と上記凸部との間に弾性部材が配置されたことを特徴とする請求項2記載のロッカーアーム軸の回り止め装置。
- 上記凸部がカム軸ホルダであり、かつ上記規制部材がカム軸ベアリングの外側面に当接していることを特徴とする請求項2または請求項3いずれか記載のロッカーアーム軸の回り止め装置。
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