JP2004283011A - 粉末食品素材の固形化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな食感、風味をもつ固形食品を創製するための製造方法の開発
【解決手段】糖類結晶またはその微粉末と他の粉末食品素材を混合したものを加熱し、溶融した糖の粘性により粉末食品素材を結着させた後、冷却して固形化させることによる粉末食品素材の固形化方法。
【選択図】 なし
【解決手段】糖類結晶またはその微粉末と他の粉末食品素材を混合したものを加熱し、溶融した糖の粘性により粉末食品素材を結着させた後、冷却して固形化させることによる粉末食品素材の固形化方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
糖類を基材とする低水分固形食品製造のための技術であるため、主として製菓技術分野に適用されるものであるが、調味料、インスタント食品、健康食品などの分野および他の工業、医薬品などの技術分野でも応用可能と考えられる。
【0002】
【従来の技術】
本発明の製造方法に関係のある菓子類の例として、「落雁」は粉末食品素材であるところの米粉(みじん粉)と砂糖の混合物を水で加湿して僅かに溶解した砂糖の接着力で固形化してから乾燥したものであり、「角砂糖」はグラニュー糖を少量のショ糖飽和糖液で粘着成型した後乾燥して作られる。「ラムネ菓子」はブドウ糖、有機酸、炭酸塩などの粉末状の原料を高圧でプレス(打錠)して固着させたものである。各種のスナック菓子には、エクストルダーにより粉体原料を膨化させて作られるものがある。
その他、低水分固形食品に類するものは「せんべい」、「あられ」「飴玉」「キャンデー」など様々なものがあるが、本発明の方法により粉末食品素材を固化して製造された菓子、食品などは市場では見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
食生活の多様化により、食品製造業は新たな嗜好に応えるために様々な新製品を開発しており、特に製菓業界では和洋菓子とも伝統的な技術に新たな工夫を加え、あるいは新素材を用いて新製品の開発を競っているが、何れも既存の技術を活用しているため、独特の特長を持った商品の開発に役立つ何か目新しい基本的な技術が求められている。本発明の方法によれば、粉末の粒度特性により様々な食感および各種食品素材の風味を活かした新たな製品の開発が可能であり、また、菓子以外の食品およびその他の製品開発にも役立つことが期待される。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のポイントは、糖類の結晶または糖類の固溶体の粉砕物を他の粉体と混合し、加熱することにより、溶融した糖類がバインダーとなって、他の粉体を接着し、冷却により固形化する性質を利用することである。
この際、粉末食品素材の加熱による食品成分の化学的変化をできるだけ抑制する場合は、約100℃前後の低融点をもつ糖類を使用して短時間加熱を行い、加熱による風味や色調の生成を期待する場合は、加熱時間を長くするか、約150℃以上の糖類を使用して高温加熱するなどの方法によることができる。
この方法による固形化物は、原料素材が低水分含量であり、粉体間に空隙が生ずるため低水分の多孔質組織となる。このため固形化物は口中で唾液を吸収し易く、糖の溶解性が高いので易崩壊性であり、その後の食感は素材の性質により様々な口どけ感を生ずるものとなる。
具体的方法の概要は以下の通りである。固形化しようとする粉末食品素材(デンプン、米粉、黄粉など)に対して適量の糖類(果糖、ブドウ糖、麦芽糖など)の結晶または粉末を混合し、加熱に用いるオーブンの天板上に任意な形状の型枠を置き、その中に混合粉末を盛り付け成型してから、120℃前後で約10分程度または200℃で5分程度加熱後取り出し、室温まで冷却することにより固形化物となる。
この方法により、多孔質で噛み砕けや口どけがよく、適度な甘味をもつ製品を作ることができるため、これまでにない物性や食感あるいは呈味性をもつ食品の開発が可能である。
次に、本発明に使用できる主な糖類結晶の融解温度及び甘味度(ショ糖を1とした場合)は以下の通りである。
上掲のように含水ブドウ糖、トレハロース、果糖および麦芽糖の結晶は融解温度が100℃前後であり、食品成分の熱による化学的変化が少ないため、粉末食品素材の風味を損なう恐れが少ないのでバインダーとして適している。
また、2種以上の糖類を混合すると結晶の混融点降下の原理により、同一加熱温度においてはより確実に溶融させることができると考えられ、果糖にブドウ糖や麦芽糖を混合することは、果糖の高甘味度を抑える効果もある。
逆に加熱による色づけや風味付け(メイラード反応などによる)が必要なときは加熱温度を高めたり、時間を長くするなど加熱条件を変更することにより可能となる。このような場合には無水ブドウ糖、ショ糖などの比較的高融点の糖類を用いることができる。
本発明による固形化食品の組織の均一性と物理的性質(主として硬度と噛み砕け)を良くするためには、糖類をできるだけ微粉化することが望ましい。
特に果糖結晶は微粉砕しやすく、かさ高なものとなるため、他の粉末との均一混合が容易であり、融点も低いので最も利用し易いものである。また、トレハロースの水2分子を含む結晶も融点が低く、微粉砕し易い上に、非還元糖であるため加熱による褐変反応が起き難く、吸湿性が少ないため、機能性食品成分・生理活性成分などを安定に固形化するなどの特別な利用が考えられる。
糖の種類や配合量などによって他の粉体を結合させる強度や固形物の物性にかなりの影響を与える。
なお、糖結晶または糖結晶粉末の粒度については、粉末食品素材の粒子特性によっては粗い粒子が適している場合もあるので、実験により適度な粒度の選択が必要である。また、糖類は一般的に吸湿性が高く、固形化物が多孔質組織のため、保存には防湿包装などの対策が重要である。
【0005】
【発明実施の形態】
本発明による固形食品の基本的製造条件
基本配合例
果糖結晶の微粉末 1部
ポテトスターチ 3部
上記の原料をよく混合してから、天板上に置いた型枠(例:紙または金属板製の高さ約4ミリメートル、直径約40ミリメートルのリング状のもの)の中に盛り付けて軽く押し固める。これを所定の温度(約120℃前後)に設定されたオーブンに入れ所定時間(約10分程度や)加熱した後、直ちに取り出して室温に放冷することにより完全に固形化する。この際幾分収縮するが、ほぼ型枠の形状(コイン状)の扁平な固形製品が得られる。型枠は円形、ハート型など色々な形状のものが使用できる。また、型物チョコレートのように流し込みの型を使用することもできる。さらに、鋳物分野で使用される雌雄の鋳型のようなものにより複雑な立体形の固形物をつくることも可能である。その他、混合粉末原料をシート状に成型して加熱したものを、熱可塑性のあるうちに葉巻状に整形してから冷却し、固形化するなどの手を加えることにより多様な形状に加工することが可能である。
固形食品の硬さは、糖粉末とポテトスターチの配合比により、かなり大幅に変えることができる。また、ポテトスターチは味が殆ど無いため、これに粉末のコーヒー、ココア、抹茶、各種スパイス等の風味の強い材料を配合することによりそれぞれの特徴ある固形食品が得られる。
水分の多い食品原料を用いる場合はペースト状にしたものをスターチと混合して乾燥してから固形化することができる。
ポテトスターチに替えて、各種の米粉製品(寒梅粉、上南粉、α化うるち米など)やパン粉微粉末などの比較的淡白な味の粉末食品をベース原料とすることもできる。また、普通の食材を乾燥、粉末化することにより新たな材料にすることが可能であり、きな粉、こうせんなどの粉末食品はそのまま糖を加えて固形製品とすることができる。その他、固形化に用いる糖類の配合比が高くすればキャンデー状になり、シュガーパウダー、デキストリン、粉飴などの水溶性食品素材を配合してキャンデー状にすることも可能である。
さらに、せんべい、あられ、クッキーなどの製品屑を粉砕してからこの方法により固化すれば別の付加価値のある製品に出来る可能性があり、資源の有効利用にもつながる。
なお、糖結晶またはその微粉末と粉末食品素材の配合比が同一の場合は、一般的に粉末食品素材の平均粒度が大きいほど固形物の硬さが大きくなる傾向がある。換言すれば、硬さが同一の場合は粉末食品素材の平均粒度が小さいほど糖結晶またはその微粉末の配合比を大きくする必要がある。
以上が本発明の基本的な実施形態の概要である。
以下に具体的な実施例の概要を述べる。
【0006】
【実施例1】
予め微粉砕した果糖の1部に対して、バレイショデンプン3部を混合したものを天板上のリング枠(高さ約4ミリメートル、直径約40ミリメートルのリング状のもの)に盛り付け成型した後、120℃に予熱したオーブンに入れ、10分間後にオーブンからとりだして常温まで放冷した。天板から外し、枠を除いて固形化物が得られた。このものは、適度な硬さで、噛み砕け、口どけも良好であった。ただし、デンプンは殆ど無味、無臭であるため、これに様々な呈味成分を加えることにより、その成分の特長をもつ製品となることが考えられた。糖とデンプンの配合割合の調整により固形化物の硬さを自由に変えることができた。
【0007】
【実施例2】
実施例1におけるバイショデンプンに対してココア粉末を0.1部加えて、実施例1と同様に加工操作を行って、ココア風味のある固形製品が得られた。
【0008】
【実施例3】
実施例1におけるバレイショデンプンに替えて、アルファー化うるち米(デンプンが糊化しているもの)を果糖粉末に対して2部加えて同様に加工操作を行って、米の風味の良い固形製品が得られた。
【0009】
【実施例4】
実施例3におけるアルファー化うるち米の量を果糖粉末に対して1.5部とし、青海苔の粉末を0.1部加えて、同様に加工操作を行って、青海苔の風味のある固形製品が得られた。
【0010】
【実施例5】
炒りゴマ1部に対して、水0.1部を加えてゴマの表面を湿らせてから、果糖粉末とブドウ糖結晶(市販製品のまま)の混合糖を炒りゴマに対して0.3部を加えてよく混合した後、他の実施例と同様な工程によりゴマ粒を透明な糖固形物で固めた製品になった。このものは、ゴマの風味と甘味がマッチしたものであった。
この場合に、少量の水を用いるのは、ゴマの粒度が大きくて糖粉末との均一混合が困難であったため、ゴマ表面の水に溶けた一部の糖の粘着力を利用してゴマと糖の分離を防ぐためである。
【0011】
【実施例6】
果糖粉末と麦芽糖結晶(市販品のまま)を1:1に混合したものの1部に対して、アルファー化うるち米2部を混合したものを他の実施例と同様な工程により、実施例3で得られた固形物よりやや硬く歯応えのあるものが得られた。また、パン粉の微粉末も同様の固形物が得られた。これらは、他の粉末食品素材を固形化する場合の基材として広く利用できると考えられる。
【0012】
【実施例7】パン粉微粉末2部に対して、上白糖微粉末1部を混合し、他の実施例と同様に混合粉末を成型した後、200℃、5分間の加熱処理により、クッキー様の褐色と風味のある噛み砕けのよい固形物になった。
【0013】
【実施例8】
こうせん(麦こがし)1部に対し、果糖粉末と麦芽糖結晶の1:1混合物の1部を混合し、他の実施例と同様の工程により、こうせんの風味が良くソフトな噛みくだけの固形物が得られた。きな粉についても同様であったが、風味が強すぎたためアルファー化した米粉をきな粉と等量加えたものが適度な風味のものとなった。
【0014】
【実施例9】
上白糖10部に対し、トレハロース微粉末1部を加えたものを、直径15ミリメートル高さ15ミリメートルの円筒に充填し、120℃、10分加熱により、いわゆる角砂糖と同じような物性の円柱状固形物となった。
【0015】
【実施例10】
上白糖10部に対しココアパウダー1部、トレハロース結晶微粉末3部を混合してコイン状に固形化したものは、好みにより1カップの熱湯に1〜3個加えて撹拌すると速やかに溶解してココア飲料となった。
このように上白糖をベースにして、コーヒー、抹茶などの様々な応用製品をつくることがでる。
以上の実施例の他にも様々な種類の粉末食品や粉末化し得る食品素材使用して新たな固形食品を作ることができる。特に健康食品素材・栄養剤・機能性成分などを摂取し易い形にしたり、薬事法に則して医薬品の製剤化に応用することも可能であると考えられる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明のように、粉末食品素材を糖類の低融点温度を利用して固形化することにより、粉末食品素材の風味を活かした新たな固形食品の製造が可能となり特に菓子製造分野において新製品の開発手段としての効果が大きい。また、この固形化物は基本的に口中で易崩壊性であることから、老人や摂食障害者のための食品開発にも役立つと考えられる。
【発明の属する技術分野】
糖類を基材とする低水分固形食品製造のための技術であるため、主として製菓技術分野に適用されるものであるが、調味料、インスタント食品、健康食品などの分野および他の工業、医薬品などの技術分野でも応用可能と考えられる。
【0002】
【従来の技術】
本発明の製造方法に関係のある菓子類の例として、「落雁」は粉末食品素材であるところの米粉(みじん粉)と砂糖の混合物を水で加湿して僅かに溶解した砂糖の接着力で固形化してから乾燥したものであり、「角砂糖」はグラニュー糖を少量のショ糖飽和糖液で粘着成型した後乾燥して作られる。「ラムネ菓子」はブドウ糖、有機酸、炭酸塩などの粉末状の原料を高圧でプレス(打錠)して固着させたものである。各種のスナック菓子には、エクストルダーにより粉体原料を膨化させて作られるものがある。
その他、低水分固形食品に類するものは「せんべい」、「あられ」「飴玉」「キャンデー」など様々なものがあるが、本発明の方法により粉末食品素材を固化して製造された菓子、食品などは市場では見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
食生活の多様化により、食品製造業は新たな嗜好に応えるために様々な新製品を開発しており、特に製菓業界では和洋菓子とも伝統的な技術に新たな工夫を加え、あるいは新素材を用いて新製品の開発を競っているが、何れも既存の技術を活用しているため、独特の特長を持った商品の開発に役立つ何か目新しい基本的な技術が求められている。本発明の方法によれば、粉末の粒度特性により様々な食感および各種食品素材の風味を活かした新たな製品の開発が可能であり、また、菓子以外の食品およびその他の製品開発にも役立つことが期待される。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のポイントは、糖類の結晶または糖類の固溶体の粉砕物を他の粉体と混合し、加熱することにより、溶融した糖類がバインダーとなって、他の粉体を接着し、冷却により固形化する性質を利用することである。
この際、粉末食品素材の加熱による食品成分の化学的変化をできるだけ抑制する場合は、約100℃前後の低融点をもつ糖類を使用して短時間加熱を行い、加熱による風味や色調の生成を期待する場合は、加熱時間を長くするか、約150℃以上の糖類を使用して高温加熱するなどの方法によることができる。
この方法による固形化物は、原料素材が低水分含量であり、粉体間に空隙が生ずるため低水分の多孔質組織となる。このため固形化物は口中で唾液を吸収し易く、糖の溶解性が高いので易崩壊性であり、その後の食感は素材の性質により様々な口どけ感を生ずるものとなる。
具体的方法の概要は以下の通りである。固形化しようとする粉末食品素材(デンプン、米粉、黄粉など)に対して適量の糖類(果糖、ブドウ糖、麦芽糖など)の結晶または粉末を混合し、加熱に用いるオーブンの天板上に任意な形状の型枠を置き、その中に混合粉末を盛り付け成型してから、120℃前後で約10分程度または200℃で5分程度加熱後取り出し、室温まで冷却することにより固形化物となる。
この方法により、多孔質で噛み砕けや口どけがよく、適度な甘味をもつ製品を作ることができるため、これまでにない物性や食感あるいは呈味性をもつ食品の開発が可能である。
次に、本発明に使用できる主な糖類結晶の融解温度及び甘味度(ショ糖を1とした場合)は以下の通りである。
上掲のように含水ブドウ糖、トレハロース、果糖および麦芽糖の結晶は融解温度が100℃前後であり、食品成分の熱による化学的変化が少ないため、粉末食品素材の風味を損なう恐れが少ないのでバインダーとして適している。
また、2種以上の糖類を混合すると結晶の混融点降下の原理により、同一加熱温度においてはより確実に溶融させることができると考えられ、果糖にブドウ糖や麦芽糖を混合することは、果糖の高甘味度を抑える効果もある。
逆に加熱による色づけや風味付け(メイラード反応などによる)が必要なときは加熱温度を高めたり、時間を長くするなど加熱条件を変更することにより可能となる。このような場合には無水ブドウ糖、ショ糖などの比較的高融点の糖類を用いることができる。
本発明による固形化食品の組織の均一性と物理的性質(主として硬度と噛み砕け)を良くするためには、糖類をできるだけ微粉化することが望ましい。
特に果糖結晶は微粉砕しやすく、かさ高なものとなるため、他の粉末との均一混合が容易であり、融点も低いので最も利用し易いものである。また、トレハロースの水2分子を含む結晶も融点が低く、微粉砕し易い上に、非還元糖であるため加熱による褐変反応が起き難く、吸湿性が少ないため、機能性食品成分・生理活性成分などを安定に固形化するなどの特別な利用が考えられる。
糖の種類や配合量などによって他の粉体を結合させる強度や固形物の物性にかなりの影響を与える。
なお、糖結晶または糖結晶粉末の粒度については、粉末食品素材の粒子特性によっては粗い粒子が適している場合もあるので、実験により適度な粒度の選択が必要である。また、糖類は一般的に吸湿性が高く、固形化物が多孔質組織のため、保存には防湿包装などの対策が重要である。
【0005】
【発明実施の形態】
本発明による固形食品の基本的製造条件
基本配合例
果糖結晶の微粉末 1部
ポテトスターチ 3部
上記の原料をよく混合してから、天板上に置いた型枠(例:紙または金属板製の高さ約4ミリメートル、直径約40ミリメートルのリング状のもの)の中に盛り付けて軽く押し固める。これを所定の温度(約120℃前後)に設定されたオーブンに入れ所定時間(約10分程度や)加熱した後、直ちに取り出して室温に放冷することにより完全に固形化する。この際幾分収縮するが、ほぼ型枠の形状(コイン状)の扁平な固形製品が得られる。型枠は円形、ハート型など色々な形状のものが使用できる。また、型物チョコレートのように流し込みの型を使用することもできる。さらに、鋳物分野で使用される雌雄の鋳型のようなものにより複雑な立体形の固形物をつくることも可能である。その他、混合粉末原料をシート状に成型して加熱したものを、熱可塑性のあるうちに葉巻状に整形してから冷却し、固形化するなどの手を加えることにより多様な形状に加工することが可能である。
固形食品の硬さは、糖粉末とポテトスターチの配合比により、かなり大幅に変えることができる。また、ポテトスターチは味が殆ど無いため、これに粉末のコーヒー、ココア、抹茶、各種スパイス等の風味の強い材料を配合することによりそれぞれの特徴ある固形食品が得られる。
水分の多い食品原料を用いる場合はペースト状にしたものをスターチと混合して乾燥してから固形化することができる。
ポテトスターチに替えて、各種の米粉製品(寒梅粉、上南粉、α化うるち米など)やパン粉微粉末などの比較的淡白な味の粉末食品をベース原料とすることもできる。また、普通の食材を乾燥、粉末化することにより新たな材料にすることが可能であり、きな粉、こうせんなどの粉末食品はそのまま糖を加えて固形製品とすることができる。その他、固形化に用いる糖類の配合比が高くすればキャンデー状になり、シュガーパウダー、デキストリン、粉飴などの水溶性食品素材を配合してキャンデー状にすることも可能である。
さらに、せんべい、あられ、クッキーなどの製品屑を粉砕してからこの方法により固化すれば別の付加価値のある製品に出来る可能性があり、資源の有効利用にもつながる。
なお、糖結晶またはその微粉末と粉末食品素材の配合比が同一の場合は、一般的に粉末食品素材の平均粒度が大きいほど固形物の硬さが大きくなる傾向がある。換言すれば、硬さが同一の場合は粉末食品素材の平均粒度が小さいほど糖結晶またはその微粉末の配合比を大きくする必要がある。
以上が本発明の基本的な実施形態の概要である。
以下に具体的な実施例の概要を述べる。
【0006】
【実施例1】
予め微粉砕した果糖の1部に対して、バレイショデンプン3部を混合したものを天板上のリング枠(高さ約4ミリメートル、直径約40ミリメートルのリング状のもの)に盛り付け成型した後、120℃に予熱したオーブンに入れ、10分間後にオーブンからとりだして常温まで放冷した。天板から外し、枠を除いて固形化物が得られた。このものは、適度な硬さで、噛み砕け、口どけも良好であった。ただし、デンプンは殆ど無味、無臭であるため、これに様々な呈味成分を加えることにより、その成分の特長をもつ製品となることが考えられた。糖とデンプンの配合割合の調整により固形化物の硬さを自由に変えることができた。
【0007】
【実施例2】
実施例1におけるバイショデンプンに対してココア粉末を0.1部加えて、実施例1と同様に加工操作を行って、ココア風味のある固形製品が得られた。
【0008】
【実施例3】
実施例1におけるバレイショデンプンに替えて、アルファー化うるち米(デンプンが糊化しているもの)を果糖粉末に対して2部加えて同様に加工操作を行って、米の風味の良い固形製品が得られた。
【0009】
【実施例4】
実施例3におけるアルファー化うるち米の量を果糖粉末に対して1.5部とし、青海苔の粉末を0.1部加えて、同様に加工操作を行って、青海苔の風味のある固形製品が得られた。
【0010】
【実施例5】
炒りゴマ1部に対して、水0.1部を加えてゴマの表面を湿らせてから、果糖粉末とブドウ糖結晶(市販製品のまま)の混合糖を炒りゴマに対して0.3部を加えてよく混合した後、他の実施例と同様な工程によりゴマ粒を透明な糖固形物で固めた製品になった。このものは、ゴマの風味と甘味がマッチしたものであった。
この場合に、少量の水を用いるのは、ゴマの粒度が大きくて糖粉末との均一混合が困難であったため、ゴマ表面の水に溶けた一部の糖の粘着力を利用してゴマと糖の分離を防ぐためである。
【0011】
【実施例6】
果糖粉末と麦芽糖結晶(市販品のまま)を1:1に混合したものの1部に対して、アルファー化うるち米2部を混合したものを他の実施例と同様な工程により、実施例3で得られた固形物よりやや硬く歯応えのあるものが得られた。また、パン粉の微粉末も同様の固形物が得られた。これらは、他の粉末食品素材を固形化する場合の基材として広く利用できると考えられる。
【0012】
【実施例7】パン粉微粉末2部に対して、上白糖微粉末1部を混合し、他の実施例と同様に混合粉末を成型した後、200℃、5分間の加熱処理により、クッキー様の褐色と風味のある噛み砕けのよい固形物になった。
【0013】
【実施例8】
こうせん(麦こがし)1部に対し、果糖粉末と麦芽糖結晶の1:1混合物の1部を混合し、他の実施例と同様の工程により、こうせんの風味が良くソフトな噛みくだけの固形物が得られた。きな粉についても同様であったが、風味が強すぎたためアルファー化した米粉をきな粉と等量加えたものが適度な風味のものとなった。
【0014】
【実施例9】
上白糖10部に対し、トレハロース微粉末1部を加えたものを、直径15ミリメートル高さ15ミリメートルの円筒に充填し、120℃、10分加熱により、いわゆる角砂糖と同じような物性の円柱状固形物となった。
【0015】
【実施例10】
上白糖10部に対しココアパウダー1部、トレハロース結晶微粉末3部を混合してコイン状に固形化したものは、好みにより1カップの熱湯に1〜3個加えて撹拌すると速やかに溶解してココア飲料となった。
このように上白糖をベースにして、コーヒー、抹茶などの様々な応用製品をつくることがでる。
以上の実施例の他にも様々な種類の粉末食品や粉末化し得る食品素材使用して新たな固形食品を作ることができる。特に健康食品素材・栄養剤・機能性成分などを摂取し易い形にしたり、薬事法に則して医薬品の製剤化に応用することも可能であると考えられる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明のように、粉末食品素材を糖類の低融点温度を利用して固形化することにより、粉末食品素材の風味を活かした新たな固形食品の製造が可能となり特に菓子製造分野において新製品の開発手段としての効果が大きい。また、この固形化物は基本的に口中で易崩壊性であることから、老人や摂食障害者のための食品開発にも役立つと考えられる。
Claims (2)
- ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの約150℃以下の融点をもつ糖類を加熱溶融させてバインダーとする粉末食品素材の固形化方法
【請求硬2】ショ糖、乳糖などの約150℃以上の融点をもつ糖類を加熱溶融させてバインダーとする粉末食品素材の固形化方法 - 請求項1および請求項2の記載による固形化方法において、使用する糖類は、微細な結晶またはそれらを微粉化して用いることを特徴とする方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003075277A JP2004283011A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 粉末食品素材の固形化方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008245634A (ja) * | 2007-03-02 | 2008-10-16 | Meiji Seika Kaisha Ltd | 固形食品およびその製造方法 |
JP2012039963A (ja) * | 2010-08-20 | 2012-03-01 | Meiji Co Ltd | 膨化食品 |
JP2016067357A (ja) * | 2014-10-01 | 2016-05-09 | 片岡物産株式会社 | 粉末食品及びその製造方法 |
JP2018046813A (ja) * | 2016-09-20 | 2018-03-29 | 池田食研株式会社 | 固形食品の製造方法 |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003075277A patent/JP2004283011A/ja active Pending
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