JP2016067357A - 粉末食品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶解性を高めることができ、かつ、風味が良好な粉末食品の製造方法、及び、粉末食品を提供する。【解決手段】粉末原料と、糖質と、を前記糖質の溶融開始温度をT℃とした場合、T℃〜90℃に設定された造粒温度まで加熱しながら攪拌する加熱攪拌工程を含んで構成され、加熱攪拌工程において、糖質の少なくとも一部が溶融して、粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末食品及びその製造方法に関するものである。
従来、例えば調整ココア等の粉末食品を水等の液体に溶解すると、ダマが形成されやすく、ダマを形成させずに溶解することが難しいことから、溶解性を高めた粉末食品が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の粉末食品は流動層造粒法により製造される顆粒状ココアパウダーであり、原料であるココアパウダーを攪拌しながら、加水するか又は加温して溶解したバインダー液を噴霧して、ココアパウダーを顆粒状にし、さらに90℃〜120℃の熱風で流動乾燥することにより製造されている。これにより、顆粒状ココアパウダーを溶解するときの溶解性を高めることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の粉末食品の製造方法のように、流動層造粒法を用いる場合、粉末食品の溶解性を高めることはできるが、造粒後にバインダー液(水分)を含んだ顆粒を乾燥させるために熱風を用いて高温で加熱する必要があり、このときに原料の風味が失われやすいという問題があった。
特開平11−69945号公報
従って、本発明は、上記のような問題点に着目し、溶解性を高めることができ、かつ、風味が良好な粉末食品の製造方法、及び、粉末食品を提供することを目的とする。
本発明の粉末食品の製造方法は、粉末原料と、糖質と、を前記糖質の溶融開始温度をT℃とした場合、T℃〜90℃に設定された造粒温度まで加熱しながら攪拌する加熱攪拌工程を含んで構成され、前記加熱攪拌工程において、前記糖質の少なくとも一部が溶融して、前記粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることを特徴とする。
本発明の粉末食品の製造方法においては、前記糖質が、トレハロースを含んで構成されているようにすることができる。
本発明の粉末食品の製造方法においては、前記糖質が、さらに、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリン、のうち少なくとも一種を含んで構成されているようにすることができる。
本発明の粉末食品の製造方法においては、前記粉末原料が、ココアパウダーを含んで構成されているようにすることができる。
本発明の粉末食品の製造方法によれば、加熱攪拌工程により、糖質の少なくとも一部が溶融して、粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることから、製造された粉末食品を液体に溶解させるときに、溶解させやすくすることができる。また、造粒するときに流動層造粒法のように高い温度に加熱することがないことから、風味が失われにくく、風味を良好にすることができる。
本発明の粉末食品によれば、粉末原料と、糖質と、を含み、前記粉末原料同士が、少なくとも一部が溶融された前記糖質により結着されて顆粒が形成されていることから、粉末食品を液体に溶解させるときに、溶解させやすくすることができる。また、造粒するときに高い温度に加熱することがないことから、風味が失われにくく、風味を良好にすることができる。
[粉末食品の製造方法]
本発明の粉末食品の製造方法は、粉末原料と、糖質と、を前記糖質の溶融開始温度をT℃とした場合、T℃〜90℃に設定された造粒温度まで加熱しながら攪拌する加熱攪拌工程を含み、前記加熱攪拌工程により、前記糖質の少なくとも一部が溶融して、前記粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることを特徴とする。なお、本発明において顆粒とは、粉末原料同士が結着されて、粉末原料の粒子同士の間に空気が多く含まれた状態で成形された粒状のものを指す。
本発明の粉末食品の製造方法は、調整ココア(粉末ココア)、抹茶、紅茶等の粉末茶飲料、粉末スポーツ飲料、粉末プロテイン飲料、育児用ミルク等の粉末飲料、粉末スープ、ゼリーミックス、プリンミックス、ケーキミックス及びその他の粉末食品、すなわち、液体に溶解して喫飲又は喫食に供したり、調理するときに液体に溶解したりする粉末食品に適用することができる。なお、調整ココアとは、熱湯や冷たい牛乳に溶解してココア飲料を調製するための粉末食品を指す。また、ゼリーミックス、プリンミックス、ケーキミックスとは、それぞれ、ゼリー、プリン、ケーキを作るための粉末原料が混合されたものであり、水等の液体に溶解してゼリー、プリン、ケーキに調理するための粉末食品を指す。
本発明における粉末原料は、ココアパウダー、抹茶、塩、糖類、甘味料、香料、乳化剤、小麦粉、プロテイン粉末、油脂類及びその他の粉末食品に用いられる原料を用いることができる。なお、本発明において、ココアパウダーとはカカオマスを粉砕して製造される微粉末状の食品原料を指す。
本発明における糖質には、加熱されることにより少なくとも一部が融解する糖質を用いることができ、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール等を用いることができる。具体的には、果糖、希少糖、アラビノース、グラニュー糖、麦芽糖、乳糖、パラチノース、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、マルトース、グルコース、デキストリン及びその他の糖質を用いることができる。また、糖質は、トレハロースを含んで構成されることが好ましく、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリンのうち少なくとも一種をさらに含んで構成されていることがより好ましい。
本発明における糖質の溶融開始温度とは、前記糖質が溶融し始める温度を指し、具体的には、融点測定装置M−565(日本ビュッヒ社製)で測定したときに、糖質の2.5%が溶融する温度である。
また、本発明における糖質は、溶融開始温度が90℃以下となる組成であることが好ましく、80℃以下となる組成であることがより好ましい。また、本発明における糖質は、溶融開始温度が40℃以上となる組成であることが好ましく、45℃以上となる組成であることがより好ましい。糖質の溶融開始温度が高過ぎると、後述する造粒温度を高く設定する必要があり、粉末食品の製造時に原料の風味が損なわれやすくなる。また、糖質の溶融開始温度が低過ぎると、製造された粉末食品に含まれる糖質が保存中にも溶融して溶解性が低下する恐れがあり、保存性が低下する。
本発明における造粒温度とは、糖質の溶融開始温度をT℃とした場合、T℃〜90℃に設定され、粉末食品の原料を攪拌して造粒可能な温度のことをいう。ここで、造粒温度は、加熱攪拌工程における温度のうち、最も高い温度であり、具体的には40℃〜90℃の範囲から選択され、50℃以上、かつ、80℃及びT+15℃のどちらか低い温度以下とすることが好ましい。造粒温度が高過ぎると、原料の風味が損なわれやすく、また、糖質が溶融しすぎて造粒し難くなり、造粒温度が低過ぎると、糖質の少なくとも一部が溶融し難くなり、造粒効果が得られない。
また、粉末食品の原料としてアスコルビン酸等の酸化防止剤、増粘剤、膨張剤、二酸化ケイ素等の固結防止剤、香料、アセスルファムカリウム等の甘味料等の添加物を用いてもよい。例えば、原料に抹茶等の茶葉粉末を用いた場合、アスコルビン酸を加えることにより葉緑素クロロフィルの酸化を抑制し、茶葉粉末が退色することを抑制することができる。
粉末食品の製造方法において、加熱攪拌工程により、前記糖質の少なくとも一部が溶融して、前記粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることにより、製造された粉末食品を液体に溶解させるときに、溶解させやすくすることができる。また、造粒するときに、流動層造粒法のように高い温度に加熱することがないことから、風味を良好にすることができる。
また、例えば、粉末原料の一つとしてココアパウダーを用いて、粉末食品として調整ココアを製造した場合には、製造するときに風味が損なわれ難く、製造された調整ココアの風味を良好にすることができることから、流動層造粒法等の高温で加熱する工程を含む方法により製造する場合と同量のココアパウダーを用いても、調整ココアの風味を良くすることができる。また、本発明の粉末食品は、風味が損なわれ難いことから、原料として添加する香料等の使用量を削減することができる。(以下、当該香料削減効果は、風味向上効果と表裏の関係であることから言及を省略するが、風味向上効果のみ言及した場合には、勿論、香料削減効果についても期待することができる。)
糖質が、トレハロースを含んで構成されることにより、溶融開始温度が低くなり、粉末食品を製造するときの造粒温度を低くすることができることから、風味が損なわれ難くなり、粉末食品の風味を良好にすることができる。また、糖質がトレハロースと、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリンのうち少なくとも一種と、を含んで構成されることにより、溶融開始温度がより低くなり、粉末食品を製造するときの造粒温度をより低くすることができることから、より風味が損なわれ難くなり、粉末食品の風味をより良好にすることができる。
溶融開始温度を90℃以下とすることにより、従来粉末食品を製造するときに用いられる高温で加熱する工程を含む流動層造粒法等において加熱される温度よりも造粒温度を低くすることができ、風味が損なわれ難くなり、粉末食品の風味を良好にすることができる。
[粉末食品]
本発明は、調整ココア(粉末ココア)、抹茶、紅茶等の粉末茶飲料、粉末スポーツ飲料、粉末プロテイン飲料、育児用ミルク等の粉末飲料、粉末スープ、ゼリーミックス、プリンミックス、ケーキミックス及びその他の粉末食品、すなわち、液体に溶解して喫食に供したり、調理するときに液体に溶解したりする粉末食品に適用することができる。
本発明の粉末食品は、本発明の粉末食品の製造方法により製造されたことを特徴とする。前記粉末食品は、粉末原料と、糖質と、を含み、前記粉末原料同士が、少なくとも一部が溶融された前記糖質により結着されて顆粒が形成されている。
本発明における粉末原料及び前記糖質には、粉末食品の製造方法において説明した原料及び糖質と同様のものを用いることができる。
次に、本発明の粉末食品の製造方法の一例である実施形態の製造方法を説明する。なお、以下の方法は、用いる原料や製造する粉末食品の種類等により、手順及び工程を適宜変更することができる。
本実施形態の粉末食品の製造は、加熱しながら攪拌可能である加熱攪拌機等(例えば、半球形レオニーダー KQS−1E、株式会社カジワラ製)を用いて行う。まず、粉末原料を加熱攪拌機に供給し、30回転/分(rpm)程度の速度で攪拌しながら20℃程度の室温から造粒温度まで加熱する。造粒温度まで達したら、加熱及び攪拌を停止する。このようにして造粒した粉末食品を室温程度まで放冷し、容器等に充填する。以上により、本実施形態の粉末食品の製造が完了する。なお、造粒温度まで達したのち、十分に造粒させるために、造粒温度に保ちながら、あるいは造粒温度に到達後、加熱を停止し、攪拌を継続してもよい。攪拌を継続する時間は、10分以下とすることが好ましく、5分以下とすることがより好ましい。攪拌を継続する時間が長すぎると、設定された造粒温度にも依るが、糖質の溶融が過度に進行して、形成された顆粒同士が凝集して塊となってしまう場合がある。
本発明の粉末食品の製造方法によれば、加熱攪拌工程により、糖質の少なくとも一部が溶融して、粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることから、製造された粉末食品を液体に溶解させるときに、溶解させやすくすることができる。また、造粒するときに高い温度に加熱することがないことから、風味が失われにくく、風味を良好にすることができる。
本発明の粉末食品によれば、粉末原料と、糖質と、を含み、前記粉末原料同士が、少なくとも一部が溶融された前記糖質により結着されて顆粒が形成されていることから、粉末食品を液体に溶解させるときに、溶解させやすくすることができる。また、造粒するときに高い温度に加熱することがないことから、風味が失われにくく、風味を良好にすることができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
≪通常タイプの調整ココア≫
(実施例1)
本実施例においては、粉末食品として、調整ココア(本実施例においては、熱湯に溶解してココア飲料を調製するための粉末食品を指す)を例示する。
<調整ココアの製造>
原料として以下のものを用いた。また、原料の割合は、質量割合を示している。
[表1]
・ココアパウダー(ハイファットタイプ) 15%
・全脂粉乳 5%
・クリーミングパウダー 10%
・麦芽糖 12%
・エリスリトール 3%
・グラニュー糖 41%
・トレハロース 10%
・食塩 1.4%
・香料 0.7%
・カルボキシメチルセルロース 1%
・酵母エキス 0.2%
・アセスルファムK 0.1%
・食用加工油脂(エマテックS−500、理研ビタミン株式会社) 0.6%
調整ココアの製造に先立ち、上記原料のうち、糖質である麦芽糖(18.2質量%)、エリスリトール(4.5質量%)、グラニュー糖(62.1質量%)、及び、トレハロース(15.2質量%)を、それぞれ括弧内の配合量で混合し、その溶融開始温度測定(T(℃))を後述の方法で測定した結果、80℃であった。
調整ココアの製造は、加熱攪拌機(半球形レオニーダー KQS−1E、株式会社カジワラ製)を用いて行った。攪拌速度は30回転/分(rpm)とした。まず、上記原料のうち、食塩、香料、カルボキシメチルセルロース、酵母エキス、アセスルファムK、食用加工油脂以外の原料を加熱攪拌機に供して攪拌し、食塩、香料、カルボキシメチルセルロース、酵母エキス、アセスルファムKを添加後さらに攪拌し、食用加工油脂を滴下しながら攪拌した。次に、攪拌しながら造粒温度(80℃)まで加熱した。造粒温度まで達した後、加熱及び攪拌を停止した。このようにして造粒した調整ココアを室温程度まで放冷し、容器に充填した。以上により、本実施例の調整ココア1を得た。なお、この調整ココア1の平均粒径(レーザー解析式粒度分布計によって測定された50%体積平均径。以下、同じ。)は250μmであった。
(比較例1)
比較例1として、流動層造粒法で製造された調整ココア(リッチテイストココア、片岡物産株式会社)を用い、これを調整ココア2とした。この調整ココア2の平均粒径は237μmであった。
<溶解時間測定>
調整ココア1、2を用いて溶解時間の測定を行った。200mL(ミリリットル)容量のビーカーに調整ココア1〜3を各16g入れ、90℃の熱湯140gを注いで攪拌後、調整ココア1、2がそれぞれ完全に分散、溶解するまでの時間(秒)を測定した。その結果、調整ココア1は3.9秒、調整ココア2は7.2秒であった。
<官能評価>
調整ココア1、2を用いて評価者14名の官能による評価を行った。ココアの風味を指標とし、風味が良好である(3点)、風味がやや良好である(2点)、風味が悪い(1点)の3段階で評価し、14名の評価における評価点の平均をそれぞれ算出した。その結果、調整ココア1は2.8点、調整ココア2は2.0点という結果であった。
<結果の考察>
以上の評価結果より、本発明の例示的態様である実施例1においては、溶解性を高めることができ、かつ、風味が良好な調整ココアを製造することができた。
(実施例2)
本実施例においては、粉末食品として、調整ココア(本実施例においては、10℃程度の冷たい牛乳に溶解してココア飲料を調製するための粉末食品を指す)を例示する。
<調整ココアの製造>
原料として以下のものを用いた。また、原料の割合は、質量割合を示している。
[表2]
・ココアパウダー(ローファットタイプ) 24%
・デキストリン 2%
・エリスリトール 6%
・グラニュー糖 47%
・無水ブドウ糖 6%
・トレハロース 10%
・食塩 0.5%
・粉末レシチン(レシオンP、理研ビタミン株式会社) 0.1%
・パーム油 2%
・食用加工油脂(エマテックS−500、理研ビタミン株式会社) 2.4%
調整ココアの製造に先立ち、上記原料のうち、糖質であるデキストリン(2.8質量%)、エリスリトール(8.4質量%)、グラニュー糖(66.2質量%)、無水ブドウ糖(8.5質量%)、及び、トレハロース(14.1質量%)をそれぞれ括弧内の配合量で混合し、その溶融開始温度測定(T(℃))を後述の方法で測定した結果、65℃であった。
調整ココアの製造は、加熱攪拌機(半球形レオニーダー KQS−1E、株式会社カジワラ製)を用いて行った。まず、上記原料のうち、米胚芽油、食用加工油脂以外の原料を加熱攪拌機に供して攪拌し、米胚芽油、食用加工油脂を滴下しながら攪拌した。次に、攪拌しながら造粒温度(88℃)まで加熱した。造粒温度まで達したら、加熱を停止して1分間攪拌した。このようにして造粒した調整ココアを室温程度まで放冷し、容器に充填した。以上により、本実施例の調整ココア3を得た。この調整ココア3の平均粒径は304μmであった。
(比較例2)
比較例として、流動層造粒法で製造された冷たい牛乳に溶解してココア飲料を調製するための市販の調整ココアを使用した。比較例2の調整ココア4として、牛乳でつくるアイスココア(片岡物産株式会社 平均粒径:174μm)を用いた。
<沈降時間測定>
調整ココア3、4を用いて沈降時間の測定を行った。冷たい牛乳に溶解してココア飲料を調製するための調整ココアは、熱湯に溶解する調整ココアと比較して、溶解時間がかなり長くなる傾向があり、かつ、終点が判断しにくいことから、溶解時間を測定するのではなく、牛乳の液面から調整ココアが完全に沈降して消失するまでの時間を、沈降時間として測定することとした(沈降時間が短い調整ココアは概ね、溶解時間も短い傾向にある)。即ち、200mL容量のビーカーに牛乳(10℃)150mLを注ぎ、さらに調整ココア3、4を各12g加えて、調整ココア3、4がそれぞれ液面から完全に消失するまでの時間(秒)を測定した。その結果、調整ココア3は19.1秒、調整ココア4は70.8秒であった。
<結果の考察>
以上の評価結果より、本発明の例示的態様である実施例2においては、溶解性が高い調整ココアを製造することができた。
(実施例3〜9)
<糖質の溶融開始温度測定>
本実施例においては、糖質の組成を種々変更し、溶融開始温度を測定した。各実施例の糖質の組成は表1に示した通りである。表1に示す原料の割合は、質量割合である。なお、糖質として用いた材料は以下のものを用いた。・グラニュー糖(グラニュー糖細粒、日新製糖)・トレハロース(トレハロース、株式会社林原)・エリスリトール(エリスリトールT、三菱化学フーズ株式会社)・ソルビトール(LTS−P50M、三菱商事フードテック株式会社)・デキストリン(パインデックス3、松谷化学工業)
次に、溶融開始温度の測定方法を説明する。まず、糖質をそれぞれ乳鉢で細かくすり潰し、10mg程度をガラスキャピラリに充填して融点測定に供した。融点測定は、融点測定装置M−565(日本ビュッヒ社製)を用いて、開始温度を45℃とし、1分間に10℃ずつ180〜200℃まで昇温させて行った。糖質の2.5%が溶融した温度を溶融開始温度とし、3回測定した平均値をその糖質の溶融開始温度とした。結果は表3に示した通りである。
Figure 2016067357
トレハロースを含む実施例3〜9においては、溶融開始温度が56.9℃〜90.0℃であった。また、実施例3〜6に示すように、甘味を付与するために一般的に用いられるグラニュー糖にトレハロース、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリンを添加した場合の溶融開始温度は、61.6℃〜90.0℃であり、グラニュー糖単独での溶融開始温度(120℃)よりも、溶融開始温度が大幅に低かった。また、実施例7〜9に示すように、トレハロースと、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリンのうち少なくとも一種と、を混合した場合の溶融開始温度は、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリンそれぞれ単独での溶融開始温度よりも低いことが示された。
<結果の考察>
以上の評価結果より、本発明の例示的態様である実施例3〜9においては、溶融開始温度が56.9℃〜90.0℃であり、このような本発明の糖質を用いた場合、粉末食品を製造する際に、例えば流動層造粒法等のように高温で加熱する必要が無いことが示された。
≪ココアリッチタイプの調整ココア≫
上記の実施例1及び実施例2の通常タイプの調整ココアに代えて、ココアリッチタイプの調整ココアについて、その造粒温度について検討した。
原料として以下のものを用いた。また、原料の割合は、質量割合を示している。
[表4]
ココアパウダー(ハイファットタイプ) 30%
クリーミングパウダー 18%
エリスリトール 2%
果糖 6%
グラニュー糖 30%
トレハロース 10%
食塩 1%
香料 0.5%
デキストリン(パインデックス3、松谷化学工業株式会社製) 1%
カルボキシメチルセルロース 0.5%
食用加工油脂(エマテックS−500、理研ビタミン株式会社製) 1%
調整ココアの製造に先立ち、上記原料のうち、糖質であるエリスリトール(4.2質量%)、果糖(12.5質量%)、グラニュー糖(62.5質量%)、及び、トレハロース(20.8質量%)をそれぞれ括弧内の配合量で混合し、その溶融開始温度測定(T(℃))を測定した結果、65℃であった。
調整ココアの製造は、蒸気加熱攪拌機(レオニーダーKH、缶体容量:300L(リットル)、株式会社カジワラ製)を用いて行った。攪拌速度は35回転/分(rpm)とした。
上記原料のうち、まず、グラニュー糖、食用加工油脂を攪拌機に投入して攪拌混合した後、残りの原料をすべて投入して攪拌混合しながら表4に示す所定の造粒温度まで、それぞれ加熱した。造粒温度に達した後、加熱を停止し、蒸気をブローしてそのまま10分間、攪拌しつつ放冷し、10分経過後に攪拌を停止した。このようにして造粒した調整ココアをさらに55℃まで冷却した。得られた4種類の調整ココアについて、その溶解時間、及び、平均粒子径を調べるとともに、15人の評価者による官能評価を行った。これらの結果を表5に合わせて記載する。なお、官能評価では、風味について、評価者に具体的なコメントを求め、過半数の評価者のコメントが内容的に同じものであったときに、そのコメントを表5に記載した。
Figure 2016067357
造粒温度が40℃では造粒できず、このため、良好な風味が得られるものの、溶解時間は長くなった。75℃で造粒した調整ココアでは溶解時間も2.9秒と十分に短く、かつ、さらに良好な風味が得られた。85℃で造粒した調整ココアでは溶解時間は2.5秒とさらに短くなるものの風味が多少失われる結果となった。そして、90℃を越えた温度である92℃で造粒された調整ココアでは、焦げた風味や苦みが感じられた。

Claims (4)

  1. 粉末原料と、糖質と、を前記糖質の溶融開始温度をT℃とした場合、T℃〜90℃に設定された造粒温度まで加熱しながら攪拌する加熱攪拌工程を含んで構成され、
    前記加熱攪拌工程において、前記糖質の少なくとも一部が溶融して、前記粉末原料同士が結着されて顆粒が形成されることを特徴とする粉末食品の製造方法。
  2. 前記糖質が、トレハロースを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の粉末食品の製造方法。
  3. 前記糖質が、さらに、エリスリトール、ソルビトール及びデキストリン、のうち少なくとも一種を含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の粉末食品の製造方法。
  4. 前記粉末原料が、ココアパウダーを含んで構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の粉末食品の製造方法。
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