JP2004277516A - ポリプロピレン系樹脂用マスターバッチとその利用 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂用マスターバッチとその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】機械物性が低下せず、かつ白スジ、色ムラの無い外観上の優れたポリプロピレン系樹脂成形品を得ることを目的とする。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂(A)、ポリオレフィン系ワックス(B)、二酸化チタン100重量部に対して無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、かつポリオール系有機処理剤0.1〜1.0重量部で表面処理された二酸化チタン顔料(C)、カーボンブラック、鉄黒顔料から選ばれる一種以上の黒色顔料(D)、その他の多成分顔料(E)を含有するポリプロピレン系樹脂用マスターバッチ及びこれを用いて成る成形品。また、ポリプロピレン系樹脂成形品における白スジおよび色ムラの抑制方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂用マスターバッチ、特に自動車部品材料または家電部品材料であるゴム強化ポリプロピレン系樹脂用及び無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂用のマスターバッチ、並びに白スジ、色ムラの無い外観上の優れた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車部品材料には高剛性・高耐衝撃性および寸法安定性が良好であり、かつ薄肉または複雑な射出成形性を有するプロピレン系樹脂を基材とした複合樹脂が多く使用されている。この複合樹脂には物性改良のため、プロピレン系樹脂の他にオレフィン系ゴム成分やタルク等のフィラー成分が配合されていることが多い。
【0003】
そして、これらの複合樹脂に用いられる着色剤としてドライカラー・ペーストカラー・リキッドカラー・マスターバッチ等が用いられている。非汚染性・計量適性・貯蔵安定性等の理由からマスターバッチが主流となっている。マスターバッチはキャリアとなるオレフィン系ベース樹脂を中心に高濃度の顔料・分散剤・安定剤等を配合し、混練機および押出機にてペレット状に作製されたものである。一般に、マスターバッチを未着色の被着色樹脂で20〜100倍に希釈して射出成形等が行われる。
【0004】
また、上記複合樹脂は成形性改善目的で高流動化されているため、これに着色剤を配合して射出成形や押出成形を行った場合、分配性不良で混練に長時間必要であること、成形品に白スジや色ムラ等の外観不良が発生するという問題がある。特に、射出成形において、溶融した複合樹脂が摩擦力またはせん断力を受ける部分、たとえばピンゲート付近や製品の薄肉部に白スジや色ムラを発生する場合が多い。
【0005】
このような白スジおよび色ムラは、黒色顔料のカーボンブラックにより発生するもの、白色顔料の二酸化チタンにより発生するものがある。カーボンブラックに起因する白スジおよび色ムラを解消するために、例えばカーボンブラックの代わりに鉄黒を使用する方法(特許文献1参照)、pH2〜4で、かつ平均粒径15〜25mμmのチャンネルタイプカーボンブラックを使用する方法(特許文献2参照)等がある。また、二酸化チタンに起因する白スジおよび色ムラを解消するために、たとえば未変性のポリエチレングリコールを使用する方法(特許文献3参照)などが提案されている。
しかしながらこれらの方法では白スジや色ムラなどの外観不良の発生を解消するには不十分であった。
【0006】
【特許文献1】
特公昭62−14576号公報
【特許文献2】
特公平6−27236号公報
【特許文献3】
特開2000−327850公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂の他にオレフィン系ゴム成分やタルク等のフィラー成分が配合され、かつ高流動化された複合材料を用いた着色成形品の加工において、白スジや色ムラなどの外観不良発生の問題を解消する着色用マスターバッチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系ワックス、特定の二酸化チタン顔料、黒色顔料、これら以外のその他の他成分顔料からなるマスターバッチを使用することで白スジや色ムラの発生しない成形品が得られることが確認された。
【0009】
すなわち第1の発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)、ポリオレフィン系ワックス(B)、二酸化チタン100重量部に対して無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、かつポリオール系有機処理剤0.1〜1.0重量部で表面処理された二酸化チタン顔料(C)、カーボンブラック、鉄黒顔料から選ばれる一種以上の黒色顔料(D)、その他の多成分顔料(E)を含有するポリプロピレン系樹脂用マスターバッチである。
【0010】
第2の発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂=0/100〜95/5である第1の発明に記載のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチである。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明に記載のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチを用いて成る成形品である。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂(A)、ポリオレフィン系ワックス(B)、二酸化チタン100重量部に対して無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、かつポリオール系有機処理剤0.1〜1.0重量部で表面処理された二酸化チタン顔料(C)、カーボンブラック、鉄黒顔料から選ばれる一種以上の黒色顔料(D)、その他の多成分顔料(E)を用いるポリプロピレン系樹脂成形品における白スジおよび色ムラの抑制方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に記載する。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂である。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。
ここでホモポリプロピレンとはプロピレン単独を重合した樹脂であり、ランダムポリプロピレンおよびブロックポリプロピレンは、プロピレンと他のコモノマーとの共重合体である。他のコモノマーとして、エチレン、炭素数4〜6のオレフィン(1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等)が挙げられる。
【0014】
また、ポリプロピレン系樹脂のMFR(ASTM D1238;230℃:単位g/10分)は10〜200が好ましく、特に15〜60が好ましい。10未満ではマスターバッチの被着色樹脂への分配性が悪くなり、MFRが200を超えるとマスターバッチの生産時に加工が困難になる場合がある。
【0015】
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂と相溶するものであれば特に制限を加えるものではないが、MFR(ASTM D1238;190℃:単位g/10分)5〜300が好ましい。5未満では色ムラになる可能性が高いのであまり好ましくない。
【0016】
具体例としてエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、一般にポリプロピレン系樹脂と同程度の耐衝撃改良効果を有する物が好ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を併用することができる。ポリオレフィン系樹脂(A)におけるこれらの比率は、ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂=0/100〜95/5が好ましく、特に0/100〜50/50が好ましい。ポロプロピレン系樹脂単独では特定の二酸化チタンの白スジおよび色ムラ解消の効果が不十分である場合があるため、ポリエチレン系樹脂と併用することが好ましい。
【0018】
本発明のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチにおけるポリオレフィン系樹脂(A)の配合量は、30〜60重量%が好ましく、40〜50重量%が更に好ましい。配合割合が30重量%未満ではマスターバッチの形状をとれないおそれがあり、60重量%を超えて配合すると、相対的に顔料含有量が少なくなるので着色能が低下し、成形品に色ムラが出るおそれがある。
【0019】
本発明で用いられるポリオレフィン系ワックス(B)の例としては、結晶性または非晶性ポリプロピレンワックス、低密度または高密度ポリエチレンワックス、エチレン−プロピレンランダム共重合体ワックス、エチレン−プロピレンブロック共重合体ワックス、αオレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体ワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス等が挙げられる。また、これらは1種、または2種以上の併用系で使用することも出来る。
【0020】
一般に樹脂を着色する場合、所望する色に応じて数種類の顔料が用いられる。そして濃黒色以外は二酸化チタンを用いて着色力を高めている。二酸化チタン顔料(C)と黒色顔料(D)以外の顔料を、本発明では多成分顔料(E)という。
【0021】
本発明で用いられる二酸化チタンは、塩素法、硫酸法いずれの製法によるものでも良い。二酸化チタンの結晶構造についてはルチル型、アナターゼ型いずれでも良いが、耐候性の観点からルチル型の方が好ましい。
【0022】
本発明で用いられる二酸化チタンの平均粒径は、一般に入手できる範囲(0.1〜0.4μm)のものであれば使用できるが、着色力の観点から0.2〜0.3μmが好ましい。
【0023】
二酸化チタンの表面処理は、一般にはまず無機処理を行い、次いで有機処理を行う。また、無機処理のうち、アルミナ処理とシリカ処理は同時に行うことが好ましい。
【0024】
二酸化チタン顔料(C)は、二酸化チタン100重量部に対して、無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、また、必要に応じてその他の無機処理剤で処理される。上記無機処理剤のそれぞれの処理量が0.3、0.2重量部未満であると白スジおよび色ムラが発生し、10.0重量部を超えると白色顔料としての着色力が著しく低下するので用いられない。尚、本発明における処理とは、二酸化チタンの表面を被覆することをいう。
【0025】
二酸化チタンの無機処理剤による表面処理は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、二酸化チタンのスラリーに無機表面処理剤として水溶性アルミニウム塩および必要に応じて他の水溶性金属塩を加え、引き続きスラリー中のpHを調整することにより難溶性酸化物水和物等で二酸化チタン顔料の表面処理する方法が挙げられる。
【0026】
アルミナとはアルミニウムの酸化物のことであり、水溶性アルミニウム塩が好ましく用いられる。具体例としてはアルミン酸ナトリウム等が挙げられる。硫酸または塩素等を添加することによりアルミナ(Al)を二酸化チタン顔料に表面処理することもできる。
また、シリカの表面処理剤としては、例えばケイ酸ナトリウム等が挙げられ、二酸化チタン顔料にシリカ(SiO)を表面処理することができる。
【0027】
上記の表面無機処理された二酸化チタンは、更に必要に応じてチタン化合物、ジルコニウム(Zr)、亜鉛、マグネシウム等の金属化合物、カルシウム化合物、リン化合物等を任意の量で処理することも出来る。
【0028】
二酸化チタン顔料(C)は上記の無機処理に次いで、更にポリオール系有機処理剤および必要に応じてその他の有機処理剤の合計0.1〜1.0重量部で処理される。0.1重量部未満であると白スジおよび色ムラの発生を抑制することができない。1.0重量部を超えると成型品表面に有機処理剤がブリードし、成型品の意匠性をそこなうため用いることができない。
また、有機処理剤単独で表面処理されただけの二酸化チタンは、白スジおよび色ムラの発生を抑制することができない。
【0029】
有機処理剤としては、トリメチロールプロパンなどのポリオール系の有機処理剤が挙げられる。また、その他の有機処理剤としては、トリエタノールアミンの有機酸塩などのアルカノールアミン系、アルキルクロロシランなどのシリコン系などが挙げられる。
【0030】
ポリオール系の有機処理剤としては、分子内に水酸基を2〜4個含有する炭素元素数10個以下の炭化水素化合物が好ましい。例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の組み合わせで使用できる。アルカノールアミン系有機処理剤としては、トリエタノールアミン、トリメチロールアミン、トリプロパノールアミンの有機酸塩等が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の組み合わせで使用できる。シリコン系としてはジメチルポリシロキサン、H−シロキサン、アルコキシシラン類等が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の組み合わせで使用できる。
【0031】
二酸化チタンの有機処理剤による表面処理は、従来公知の方法を用いることができる。例えば二酸化チタンを粉砕機で粉砕する際、有機処理剤のアルコール溶液を添加し、加熱しながらアルコールを蒸発させ表面処理する方法等が挙げられる。また、簡便な方法としては、二酸化チタン粉末をヘンシェルミキサー等で撹拌・混合しながら有機処理剤のアルコール溶液を滴下・混合し、加熱しながらアルコールを蒸発させ表面処理する方法がある。
【0032】
本発明では、黒色顔料(D)として、一般的にカラー用として平均粒子径が15〜100mμの範囲にあるカーボンブラックまたは鉄黒顔料(酸化鉄)が用いられる。製法に特定はなく一般に購入できるものでよい。
【0033】
本発明で用いられる多成分顔料(E)としては、従来からポリオレフィン系樹脂の着色に使用されている公知の顔料が使用できる。このような顔料の例としては、アゾ系・アントラキノン系・フタロシアニン系・キナクリドン系・イソインドリノン系・ジオキサン系・ペリレン系・キノフタロン系・ペリノン系等の有機顔料や、酸化チタン・チタンイエロー・群青・コバルトブルー・複合系酸化物顔料等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の1種以上、または有機、無機を問わず2種以上の組み合わせが用いられる。
【0034】
本発明のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチにおける分散剤成分であるポリオレフィン系ワックス(B)と、顔料成分である二酸化チタン顔料(C)、黒色顔料(D)、多成分顔料(E)の合計量は40〜70重量%が好ましい。40重量%未満では着色能が低下し、成形品に色ムラが出るおそれがあり、70重量%を超えるとマスターバッチとしての形状がとれないおそれがある。
また、(B):(C)+(D)+(E)の配合比率は1:1〜10が好ましい。
【0035】
本発明のポリオレフィン樹脂用マスターバッチは、一般的な方法で製造することができる。すなわち各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の混練装置で溶融混合して粒状、円柱状、又は角状等に加工される。
尚、本発明のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチには、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて酸化防止剤,紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、補強剤、界面活性剤、カップリング剤、造核剤等の各種の添加剤を添加することもできる。
【0036】
本発明の成形品は、上記のマスターバッチと被着色樹脂を混合して成形される。顔料の含有濃度にもよるが、マスターバッチを未着色のポリプロピレン系被着色樹脂で20〜100倍に希釈するのが望ましい。20倍未満であると成形品の物性低下の恐れがあり、また、100倍を超えると色ムラの恐れがあるので好ましくない。また、必要に応じて酸化防止剤,紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、ゴム等の充填剤、補強剤、界面活性剤、カップリング剤、造核剤等の各種の添加剤を添加することもできる。
【0037】
本発明の成形品としては自動車部品材料、家電部品材料等のプラスチック製品が挙げられる。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明を具体的に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されず幅広い応用範囲を持つものである。尚、実施例中「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ表す。
【0039】
(二酸化チタンの表面処理)
塩素法により得られた平均粒径0.29μmのルチル型二酸化チタン100部に対して、アルミン酸ナトリウム水溶液をアルミナ換算で3.2部、ケイ酸ナトリウム水溶液をシリカ換算で2.1部になるように添加し、30分間撹拌した。これに20%硫酸を徐々に加えpH=7.0に調整し、さらに2時間熟成した。熟成後、上記の含水無機物で表面処理された二酸化チタンのスラリーを濾過し、流水で洗浄後乾燥し、無機処理二酸化チタンを得た。
無機処理二酸化チタンをヘンシェルミキサー中で撹拌しながら、トリメチロールエタン(ポリオール)を0.2部添加して10分間攪拌し、表面処理された二酸化チタンAを得た。
【0040】
尚、アルミナ処理において、用いた酸化チタンが予め1.7%処理されていたため、この分を考慮して3.2部になるように調整した。
二酸化チタンAと同様に、二酸化チタンB〜Lの表面処理を行った。二酸化チタンA〜Lの配合処方を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004277516
【0042】
(マスターバッチの作製)
〔実施例1〕
ポリプロピレン系樹脂1 23%
(ブロックポリプロピレン、MFR:40、密度:0.91)
ポリエチレン系樹脂3 23%
(低密度ポリエチレン、MFR:7、密度:0.92)
ポリエチレンワックス(分子量:4300、密度:0.92) 16.9%
二酸化チタン(Pigment White 6) 23%
(表面処理:アルミナ処理:3.2部、シリカ処理:2.1部、ポリオール処理:0.2部)
カーボンブラック 1%
(平均粒子径:24mμ Pigment Black 7)
赤色酸化鉄(Pigment Red 101) 2%
黄色酸化鉄(Pigment Yellow 119) 11%
フェノール系酸化防止剤(分子量:1178) 0.1%
【0043】
上記配合比率の顔料成分とポリエチレンワックスを高速ミキサーで混合した後、加圧ニーダーにて加熱溶融混練した。次いで加熱三本ロールにて顔料分散処理を行い顆粒状または粉体状の混練物を作製した。この混練物とポロプロピレン系樹脂1、ポリエチレン系樹脂3および酸化防止剤を上記記載の比率で配合し、単軸スクリュー押出機(L/D=25)にて温度210℃で溶融混練を行い、押出されたストランドをペレタイザーにより長さ2〜3mm・直径2〜3mmの円筒状にカッティングして、目的とするマスターバッチを得た。
【0044】
(成形品の作製)
上記マスターバッチ3部と、被着色樹脂としてタルク20%を含有するエチレン−プロピレンブロック共重合体100部(MFR:25、密度:1.04)とをタンブラーで混合し、射出成形機(フルフライトスクリュー、L/D=24,100トン)にて以下の(1)、(2)の成形条件で成形した。
【0045】
(1)白スジおよび色ムラ評価用の成形品の成形条件
通常の成形条件よりも過酷な条件(高温+滞留)で成形を行った。成形温度250℃、背圧10kg/cm にてプレート(152mm×152mm×厚み3mm、サイドゲート)の連続成形を開始し、20ショット分のプレートを成形(連続成形:色ムラ評価)した。
次に、成形作業を30分間停止(材料は充填状態、温度は250℃を維持)し、その後、停止前と同一条件で連続成形を再開して成形開始後1〜5ショット目までの5枚のプレートを成形(滞留後成形:白スジ評価)した。
(2)機械物性評価用の成形品の成形条件
成形温度220℃、背圧10kg/cmにてプレートを連続成形で作製した。
【0046】
〔実施例2〜実施例6、比較例1〜比較例5〕
実施例1と同様に、表2及び表3に記載の配合割合でマスターバッチ及び成形品を作製した。
用いた材料の詳細については表5に示す。
【0047】
【表2】
Figure 2004277516
【0048】
【表3】
Figure 2004277516
【0049】
(評価)
[色ムラの評価]
連続成形したプレート表面の色ムラの状態を目視観察し、以下に示す3段階の基準で評価した。
◎ : 色ムラが全く発生しない。
○ : 僅かに色ムラ有り
× : 全体に色ムラ有り
○以上を合格とした。
【0050】
[白スジの評価]
滞留後成形したプレート各5枚について、表面の白スジ発生状態を目視観察し、以下に示す3段階の基準で評価して5枚の平均値を求めた。
◎ : 全く白スジが発生しない。
○ : 小さな白スジが僅かに発生。
× : 大きな白スジが発生。
○以上を合格とした。
【0051】
[機械物性評価]
上記で得られた成形品について、曲げ試験をASTM D790に準じた試験方法で行った。また、アイゾット試験をASTM D256に準じた試験方法で行った。
同様に、マスターバッチ未添加の被着色樹脂のみで成形した、いわゆるナチュラルにおける上記機械物性の値を100%としたときの保持率を求め、各々95%以上を合格とした。
【0052】
【表4】
Figure 2004277516
【0053】
【表5】
Figure 2004277516
【0054】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチは、ポリオレフィン系樹脂(A)、ポリオレフィン系ワックス(B)、二酸化チタン100重量部に対して無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、かつポリオール系有機処理剤0.1〜1.0重量部で表面処理された二酸化チタン顔料(C)、カーボンブラック、鉄黒顔料から選ばれる一種以上の黒色顔料(D)、その他の多成分顔料(E)を含有するので、ポリオレフィン系樹脂以外のオレフィン系ゴム成分やタルク等のフィラー成分が配合され、かつ高流動化している複合樹脂材料であるにも関わらず、白スジ、色ムラが発生せず良好な外観を有する成形品を得ることができる。
【0055】
上記のマスターバッチを用いると、ポリプロピレン系樹脂成形品製造の際に白スジ、色ムラを抑制できるので、生産効率が高く、また、外観が良好な成形品を得ることができる。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)、ポリオレフィン系ワックス(B)、二酸化チタン100重量部に対して無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、かつポリオール系有機処理剤0.1〜1.0重量部で表面処理された二酸化チタン顔料(C)、カーボンブラック、鉄黒顔料から選ばれる一種以上の黒色顔料(D)、その他の多成分顔料(E)を含有するポリプロピレン系樹脂用マスターバッチ。
  2. ポリオレフィン系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂=0/100〜95/5である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチ。
  3. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂用マスターバッチを用いて成る成形品。
  4. ポリオレフィン系樹脂(A)、ポリオレフィン系ワックス(B)、二酸化チタン100重量部に対して無機処理剤としてアルミナ0.3〜10.0重量部およびシリカ0.2〜10.0重量部、かつポリオール系有機処理剤0.1〜1.0重量部で表面処理された二酸化チタン顔料(C)、カーボンブラック、鉄黒顔料から選ばれる一種以上の黒色顔料(D)、その他の多成分顔料(E)を用いるポリプロピレン系樹脂成形品における白スジおよび色ムラの抑制方法。
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