JP2006298981A - 粒状白色樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリオレフィン樹脂を主成分とする白色熱可塑性樹脂組成物を成形して自動車に搭載される白色樹脂成形品を製造する際の着色樹脂変形物の形成や固体異物の混入による外観不良の成形物の発生を抑制する技術の提供。
【解決手段】 上記の未使用の熱可塑性樹脂成分とフィラーと白色顔料との混合物に少量の黒色顔料を添加して粒状化した自動車搭載用樹脂成形物製造用の白色樹脂組成物であって、該樹脂組成物から作成したシートの明度(L*)と光透過度との関係が下記式を満足するもの:1300≦(L*×B)≦4000[L*:樹脂組成物から作成した厚み3mmのシートの明度、B:樹脂組成物から作成した厚み50μmのシートの全光線透過率(%)]。
【選択図】 なし

Description

本発明は、白色の自動車バンパー、白色の自動車内装品、そして白色の自動車外装品などの白色の自動車搭載用樹脂成形物の製造に用いる粒状白色樹脂組成物に関する。
白色の自動車バンパー、白色の自動車内装品、そして白色の自動車外装品などの白色の自動車搭載用樹脂成形物は通常、未使用のポリオレフィン樹脂に、エラストマー樹脂、フィラーそして白色顔料などの添加成分を加えて調製した白色ポリオレフィン樹脂(このような未使用の材料からなる原料組成物は通常、バージン材と呼ばれている)の粒状物(例、粉末、ペレット、フレーク、顆粒、粉砕物)を加熱溶融して成形ダイに導入し、ついで冷却することにより製造している。このような粒状物の製造過程や成形物の成形過程において、樹脂溶融物の局部的な過加熱によって着色した樹脂変性物が形成されて成形物に混入することがあり、また空気中に浮遊していたり、あるいは成形機に付着している微細な固形異物が原料樹脂粒状物あるいは樹脂溶融体に混入して、成形物に紛れ込むことがある。これらの樹脂変性物や固体異物が樹脂成形物に一定のレベルを超えて混入すると、その着色樹脂変性物や固体異物の存在が成形物の表面に目に見えて現われるようになる。特に、このような着色樹脂変性物や固体異物は、暗色のものが多いため、白色の樹脂成形物に混入した場合には目立ちやすい。そして、着色樹脂変性物や固体異物の混入が表面に顕在化した白色樹脂成形物を自動車部品として装着した自動車は、商品としての自動車の価値が低くなるため好ましくない。従って、着色樹脂変性物や固体異物の混入が表面に顕在化した白色樹脂成形物をは通常、異物が顕在化した面に塗装を施し、その塗装皮膜によって異物を覆い隠して利用するか、不良品として廃棄処分にされるか、あるいは成形物表面にそのような樹脂変性物や固体異物の混入が顕在化していても問題とならないような樹脂成形物の原料として再利用することが検討されている。
一方、近年の各種材料のリサイクル化の要求が高まり、特に自動車関連材料については高度のリサイクルを要求する法律が制定されたため、自動車の製造メーカー、自動車用品の製造メーカー、自動車用品の材料を供給する材料メーカー、そして自動車用品の廃棄処理を行なう企業などは、自動車用品の各種材料のリサイクルに取り組んでいる。このようなリサイクルの対象物は大別して、前記した樹脂成形品の製造時に発生した不良品(通常、工程不良品と呼ばれる)と、実際に製品として自動車に搭載され、その自動車がユーザーによって使用された後に廃棄処分となった自動車から分離された回収品とに分けられる。
特許文献1には、黒色顔料を含有する熱可塑性樹脂製品の粉砕物、黒色顔料を含有する熱可塑性樹脂製品の粉砕物と有彩色顔料を含有する熱可塑性樹脂製品の粉砕物との混合物、あるいは互いに色相の異なる二種以上の有彩色顔料を含有する熱可塑性樹脂製品の粉砕物に、白色顔料と有彩色顔料とを混合加熱して加熱溶融物を調製し、ついでこの加熱溶融物を固形粒状物に変換することにより有彩色再生樹脂粒状物を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、少量の樹脂硬化物が混在していて、黒色顔料もしくは有彩色顔料を含有する再生対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物に、白色顔料、黒色顔料、有彩色顔料などの光遮蔽性顔料を一種もしくは二種以上混合して、加熱溶融物を調製し、次いでその加熱溶融物を固形粒状物に変換することにより、自動車バンパーなどの被膜付き熱可塑性樹脂製品などを、その表面被膜を除去すること無く、多方面に再利用が可能な再生樹脂粒状物を製造することができる旨の開示がある。
WO 03/095531 A1パンフレット WO 03/089500 A1パンフレット
黒色顔料や有彩色顔料を含む熱可塑性樹脂製品が、その使用後に回収されて粉砕された樹脂製品粉砕物に関しては、上記の特許文献1と2に記載されているような、再生作業の実施の際に光遮蔽性顔料を追加添加して再生する方法を利用することにより再利用が可能であることが判明している。
しかしながら、上記の公知の方法では、再生対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物の再生作業に際して、その対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物の固体異物による汚染状況を逐一把握しながら、添加する光遮蔽性顔料の種類や添加量を決定しなければならないという煩雑さがある。
本発明の主な目的は、ポリオレフィン樹脂を主成分とする白色熱可塑性樹脂組成物(バージン材)を成形して自動車に搭載される白色樹脂成形品を製造する際に発生する着色樹脂変性物の形成や固体異物の混入により、従来は工程不良品として廃棄処分されていた外観不良の成形物の発生を抑制することのできる技術を提供することにある。
本発明の目的はまた、使用済みのポリオレフィンを主成分とする白色の熱可塑性樹脂製品の粉砕物の再利用に際して、新たな光遮蔽性顔料の添加が必要としないか、あるいは新たな光遮蔽性顔料の添加量の微妙な調整を不必要とする技術を提供することにもある。
本発明の発明者は、通常、ポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む未使用の熱可塑性樹脂成分にフィラーと白色顔料とを添加して調製する粒状白色樹脂組成物を製造する際に、少量の黒色顔料を特定の条件にて存在させることにより、加熱溶融を介して製造される成形物に少量の着色樹脂変性物や固体異物が混入しても、それらの混入が樹脂成形物の表面に顕在化させることを防ぐこと(インビジブル化)が可能となることを見いだし、本発明に到達した。
本発明は、ポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む未使用の熱可塑性樹脂成分、フィラー、白色顔料および黒色顔料を含む粒状白色樹脂組成物であって、該粒状白色樹脂組成物から作成したシートの明度(L*)と光透過度との関係が下記式を満足することを特徴とする自動車搭載用樹脂成形物製造用の粒状白色樹脂組成物にある。

1300≦(L*×B)≦4000

ただし、L*は上記樹脂組成物から作成した厚み3mmのシートの明度であり、Bは上記樹脂組成物から作成した厚み50μmのシートの全光線透過率(%)である。L*は、55〜90の範囲にあることが好ましく、60〜90の範囲にあることがさらに好ましく、また70〜90の範囲にあることがさらに好ましく、80〜90の範囲にあることが特に好ましい。
本発明はまた、上記の粒状白色樹脂組成物を加熱溶融し、次いで成形して得られた自動車搭載用の白色樹脂成形物にもある。
本発明の自動車搭載用樹脂成形物製造用の粒状白色樹脂組成物の好ましい態様は下記の通りである。
(1)本発明の粒状白色樹脂組成物から作成したシートのL*で表わされる明度が55〜90の範囲(さらに好ましくは60〜90の範囲、さらに好ましくは70〜90の範囲、特に好ましくは80〜90の範囲)にある。
(2)本発明の粒状白色樹脂組成物から作成したシートのBで表わされる全光線透過率が15〜60%の範囲(さらに好ましくは18〜55の範囲、さらに好ましくは20〜50の範囲、特に好ましくは25〜48の範囲)にある。
(3)本発明の粒状白色樹脂組成物中の白色顔料の含有量が1質量%以上、20質量%以下(さらに好ましくは1〜20質量%の範囲、さらに好ましくは1.5〜18質量%の範囲、特に好ましくは2〜15質量%の範囲、最も好ましいのは3〜12質量%の範囲)である。
(4)本発明の粒状白色樹脂組成物に含まれる白色顔料が二酸化チタンである。
(5)本発明の粒状白色樹脂組成物中の黒色顔料の含有量が0.01質量%以上、1.0質量%以下(さらに好ましくは、0.05〜0.8質量%の範囲、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲、特に好ましくは0.012〜0.3質量%の範囲)であり、黒色顔料の含有量が白色顔料の含有量よりも少ない。
(6)本発明の粒状白色樹脂組成物に含まれる黒色顔料が鉄黒である。
(7)本発明の粒状白色樹脂組成物から作成される厚み3mmのシートの白色度が55以上(さらに好ましくは65以上、さらに好ましくは75以上、特に好ましくは80以上)である。
(8)(L*×B)が1300以上、4000以下(好ましくは1500〜4000、さらに好ましくは1800〜4000、特に好ましくは2000〜3800)である。
本発明の粒状白色樹脂組成物を用いることによって、従来、粒状白色樹脂組成物(バージン材)を加熱成形して自動車に搭載される白色樹脂成形品を製造する際に着色樹脂変性物の形成や固体異物の混入によって発生し、工程不良品として廃棄処分されていた外観不良の成形物の生成を抑制することが可能となる。
さらに、本発明の粒状白色樹脂組成物を用いて製造した自動車搭載用の白色樹脂成形物は、使用後の該成形物の粉砕物の再利用に際して、新たな光遮蔽性顔料の添加が必要としないか、あるいは新たな光遮蔽性顔料の添加量の微妙な調整が不必要となる。
本発明の粒状白色樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む未使用の熱可塑性樹脂成分、フィラー、白色顔料及び黒色顔料を含む。熱可塑性樹脂成分中のポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂との混合比は通常、質量比で、100:1〜100:80の範囲(好ましくは、100:1〜100:50の範囲、さらに好ましくは100:5〜100:40の範囲)の値とする。
ポリオレフィン樹脂の例としては、結晶性ポリプロピレンなどのポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、そしてこれらの樹脂の混合物をあげることができる。本発明の粒状白色樹脂組成物には、この他の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂に比べて少量にて含まれていてもよい。そのようなポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどのポリフェニルエーテル系樹脂、ポリメタクリル酸メチルのようなポリアクリル酸系樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロン、6・12−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスルホンなどを挙げることができる。
エラストマー樹脂としては、明確な降伏点を有しない熱可塑性の低結晶性エラストマーまたは明確な融点及び降伏点を有しない熱可塑性の非晶性エラストマー樹脂であって、常温でゴム弾性を有するエラストマーまたはゴムを用いることができる。使用できるエラストマーの具体例としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。エラストマー樹脂は単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いることができる。
なお、所望により、本発明の粒状白色樹脂組成物を製造する際に、未使用の熱可塑性樹脂成分(バージン材)に、再生樹脂成分を、相対的に少ない量で混合して用いてもよい。
フィラーとしては、顔料を除く、有機系フィラー及び無機系フィラーを用いることができるが、無機系フィラーが好ましい。これらのフィラーは光遮蔽性のフィラーであることが好ましい。フィラーは、ポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む熱可塑性樹脂成分100質量部に対して1〜40質量部添加するのが好ましく、さらに2〜30質量部添加することが好ましい。特に好ましい添加量は、熱可塑性樹脂成分100質量部に対して5〜30質量部である。
無機系フィラーとしては、タルク、クレー、マイカ、シリカ、ケイソウ土、モスハイジ、ティスモ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ドロマイト、ドーソナイト、ケイ酸塩類、炭素繊維、ガラス繊維、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム(水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、蛙酸カルシウム、硫化モリブテン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなど、あるいは亜鉛、銅、鉄、鉛、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、スズ、白金、タングステン、金、マグネシウム、コバルト、ストロンチウムなどの金属及びこれらの金属酸化物、ステンレス鋼、ハンダ、真鍮などの合金、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化チタンなどの金属系セラミックスなどの粉末、繊維状ウィスカ及び繊維などを用いることが出来る。特に好ましいのは、タルクおよびマイカである。
白色顔料としては、二酸化チタン、鉛白、酸化亜鉛をあげることができる。特に好ましいのは二酸化チタンである。
二酸化チタンとしては、従来より顔料用として用いられているものを使用することができ、例えば塩素法や硫酸法で製造したものを用いることができる。塩素法で製造した物が好ましい。粒子形状は特に制限されないが、正方晶系、ルチル型、アナターゼ型などを用いることができ、特に正方晶系及びルチル型が好ましい。平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.2〜0.3μmの粒子が分散性、取扱性及び作業性に優れている。二酸化チタンのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは5〜40(cc/100g)、さらに好ましくは8〜30(cc/100g)、より好ましくは10〜20(cc/100g)、特に好ましくは12〜18(cc/100g)である。白色顔料は二種類以上を併用することができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、鉄黒などをあげることができる。黒色顔料は、白色樹脂成形物に高い光遮蔽性を付与することができる。黒色顔料も二種類以上を併用することができる。
カーボンブラックとしては、従来より顔料用として用いられているものを使用することができ、例えばファーネス法やチャンネル法で製造したカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどを用いることができる。また、カーボンブラックは酸化処理した物を用いることができる。カーボンブラックとしては、特にファーネス法で製造したファーネスブラックを用いることが、外観の均一性に優れ、分散性に優れ、得られる成形物の黒色度、光沢向上の効果も大きなものとなるので好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜0.3μm、さらに好ましくは0.005〜0.2μm、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に好ましくは0.01〜0.03μmのものが、分散性、取扱性及び作業性に優れ、黒色度、光沢の向上にも高い効果を発揮するため好ましい。
鉄黒としては、焼成法により得られる黒色の酸化鉄を用いることが出来る。鉄黒の粒子形状は、特に制限されないが、八面体などの多面体形、球状などを用いることができ、特に八面体が好ましい。鉄黒の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.05〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.35μm、特に好ましくは0.2〜0.35μmが好ましい。鉄黒のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜80(cc/100g)、さらに好ましくは15〜50(cc/100g)、より好ましくは20〜40(cc/100g)、特に好ましいのは25〜35(cc/100g)の範囲である。鉄黒のpHは、制限されないが、好ましくは9〜11であり、特に9〜10が好ましい。
本発明の粒状白色樹脂組成物に添加する黒色顔料としては、カーボンブラックに比較して黒色が弱い鉄黒が好ましい。すなわち、そのような特性を持つ鉄黒は添加量の微調整により適度の明度と光透過度の調整とが容易に行なえるためである。
本発明の粒状白色樹脂組成物には、所望により、さらに有彩色顔料を微量添加してもよい。
有彩色顔料は、公知のものが使用でき、例えば金属の酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩などの無機顔料;アゾ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ニトロ系、ニトロソ系、アントラキノン系、キナクリドンレッド系、ベンジジン系、縮合多環系等の有機顔料などを挙げることが出来る。また、着色繊維や光沢を有する金属粒子などであってもよい。有彩色顔料の色相については特に制限がなく、黄、青、赤、緑などのいずれのものでも使用することができる。これらの顔料は二種類以上を併用することができる。
本発明の粒状白色樹脂組成物には、所望により、さらに各種の樹脂添加剤(例、ステアリン酸カルシウムなどの分散剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、造核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤)を加えることもできる。
フィラー、白色顔料、黒色顔料、そして所望により添加する他の添加成分は、そのままポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む未使用の熱可塑性樹脂成分に直接添加してもよく、あるいは予め高濃度の顔料を含む樹脂組成物(マスターバッチ)を調製したのち、顔料未添加の樹脂組成物と混合する方法(マスターバッチ化技術)を利用してもよい。各種顔料と樹脂成分とを用いるマスターバッチ化技術は既に知られている。
本発明の粒状白色樹脂組成物の製造方法の例を下記に示す。
(1)ポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む未使用の熱可塑性樹脂成分の粒状物に適量と推定されるフィラー、白色顔料そして黒色顔料を添加し、さらに必要に応じて有彩色顔料や各種の樹脂添加剤を添加して粒状白色樹脂組成物を混合物として得る。
(2)上記混合物を溶融混練し、次いで、直接あるいは粒状物を介して、明度と光透過度の測定用のシート状の試験片をそれぞれ製造する。
(3)シート状の試験片の明度と光透過度を測定し、その測定結果を前記数式に示した条件と比較して白色顔料と黒色顔料の種類や添加量の適否を判断する。試験片の明度と光透過度(%)の積が、4000を越えている場合、あるいは1300に満たない場合は、白色顔料と黒色顔料の種類や添加量の適宜変更して、上記(1)の工程に戻る。試験片の明度と光透過度(%)との積が、1300以上で4000以下となった場合、本発明に従う粒状白色樹脂組成物として利用する。
上記の操作を行なうことにより、所望の色調、外観そして物性を有する成形に用いることのできる粒状白色樹脂組成物を製造することが出来る。
本発明では、未使用の熱可塑性樹脂成分の粒状物と各添加成分との混合方法、混合装置、混合設備については特に制限はなく、公知の単軸押出機(混練機)、二軸押出機(混練機)、二軸押出機と単軸押出機(混練機)を直列に接続したタンデム型混練装置、カレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどの混合及び/又は混練装置などを用いることができる。
本発明の粒状白色樹脂組成物は、押出成形、シート成形、射出成形、射出圧縮成形、ガス注入射出成形、プロー成形、真空成形など公知の成形や成形方法を用いて、バンパー、モール、ドアトリム、インストルメントパネル、トリム、コンソールボックスなどの車用内外装部品、バッテリートレイ、エアクリーナケースなどのエンジンルーム内部品などの自動車搭載部品に用いられる白色樹脂成形物として使用することができる。
また、本発明の粒状白色樹脂組成物からは、光沢面を有する成形物、絞などの凹凸や模様を有する成形物、あるいは滑らかな凹凸や模様を有する成形物などの任意の表面状態の成形物を得ることができる。なお、本発明の粒状白色樹脂組成物の白色とは、通常、アイボリーあるいはライトグレーなどと呼ばれる白色系の有彩色をも含む意味で用いられている。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)白色度及び色相の測定
白色樹脂ペレットを型締力130トンの射出成形機を用い、金型:角板(100mm×100mm×3mm;片面:皮紋形状、片面:鏡面)、成形温度:C1−C2−C3−C4=180−190−200−210℃、射出圧力:P1−P2−P3−P4=108−98−88−78MPa、射出速度:V1−V2−V3−V4=30−30−20−20%、スクリュウ背圧:フリー、スクリュウ回転数:60%、金型温度:40℃、サイクル:射出10秒、冷却20秒の射出条件で試験片(厚み:3mm)を成形した。この試験片の絞面側をスガ試験機(株)のSM−4測色計を用いて、L、a、b、L、a、bを測定し、周知の方法で白色度、明度、そして色相を得た。
(2)光透過度の測定
型締め力40トンのホットプレス成形機を用い、白色樹脂ペレットを写真用フェロタイプ板に挟み(スペーサ:70×50×0.05mmt)加熱板温度230℃、余熱時間2分、脱泡処理時間1分、加圧時間1分(圧力:100kg/cm2)、冷却温度20℃、冷却時間2分の成形条件で50±3μmのフィルムを作成し、全光線透過率測定用試験片とした。
この試験片を濁度計(日本電色工業社製 濁度計NDH2000)を用い全光線透過率を測定し、全光線透過率(%)を光透過度(%)とした。光源はハロゲンランプ定格5V9W、入光部開口径は20mmφを用い、フィルムの5点の個所を測定、平均した。
(3)試験片の調製と絞面の外観評価方法
白色樹脂ペレット100質量部に平均粒径0.3mmの鉄粉を0.05質量部添加し、プラテック社製タンブラーを用いて5分間かけてドライブレンドした。次いで、上記の射出成形条件にて試験片(100mm×100mm×3mm、一方の表面が皮紋形状、他方の表面が鏡面)を成形し、得られた試験片について、その表面における固体異物(鉄粉)の存在が外観上目立つか、否かを目視により判定した。目視観察結果は下記の基準に従って三段階で評価した。
1:鏡面と皮絞面の双方において固形異物の存在が日立つ(不合格)
2:鏡面では固形異物の存在が日立つが、皮絞面では固形異物の存在が殆ど見えない(合格)
3:鏡面と皮絞面の双方において固形異物の存在が見えない(合格)
[実施例1〜4、比較例1〜2]
<使用材料>
(1)ポリオレフィン樹脂:結晶性ポリプロピレン(バージン樹脂、MFR=70g/10分、エチレン含有量が7質量%のエチレン/プロピレン共重合物)65質量部
(2)エラストマー樹脂:エチレン−プロピレン共重合樹脂(バージン材、ムーニー粘度:MI1+4(100℃)=35、エチレン含有量:72質量%)20質量部
(3)フィラー:タルク(含水けい酸マグネシウム、平均粒子径:2.7μm)15質量部
(4)白色顔料:二酸化チタン(添加量は上記(1)、(2)そして(3)の成分の合計量に対する質量%としては表1に記載)
(4)黒色顔料:鉄黒(添加量は上記(1)、(2)そして(3)の成分の合計量に対する質量%としては表1に記載)
(5)着色顔料:チタンイエローおよび弁柄(添加量は上記(1)、(2)そして(3)の成分の合計量に対する質量%としては表1に記載)
(6)他の添加剤:分散剤(ステアリン酸カルシウム、添加量は上記(1)、(2)そして(3)の成分の合計量に対して0.1質量%)、Irgafos168:0(添加量は上記(1)、(2)そして(3)の成分の合計量に対して0.1質量%)、Irganox1010(添加量は上記(1)、(2)そして(3)の成分の合計量に対して0.1質量%)
<白色樹脂ペレットの製造>
各成分をプラテック社製タンブラーを用いてドライブレンドした後、二軸混練機(UME40−48T、宇部興産(株)製)を用いて、バレル温度220℃、処理量60kg/時の条件で溶融混練し、白色樹脂ペレットを得た。
表1
────────────────────────────────────
比較例 実施例
1 2 1 2 3 4
────────────────────────────────────
<顔料添加量)
チタンイエロー 0.03 -- 0.108 0.16 0.23 --
鉄黒 0.01 0.01 0.034 0.05 0.08 0.05
二酸化チタン 1.2 1.2 4.20 6.20 9.20 6.2
弁柄 -- -- -- -- 0.002 --
────────────────────────────────────
色調 L* 86.5 87.21 86.82 86.79 86.61 87.67
* -1.13 -0.84 -1.19 -1.18 -0.91 -0.89
* 4.31 -0.74 4.5 4.54 4.47 -1.29
L 84.1 84.65 84.34 84.45 84.29 85.44
a -1.79 -1.15 -1.87 -1.91 -1.54 -1.36
b 4.01 -1.24 4.22 4.27 4.23 -1.76
白色度 W 83.5 84.55 83.69 83.76 83.65 85.27
────────────────────────────────────
光透過性(%) 63.7 65.9 44.9 36.2 27.3 37.1
────────────────────────────────────
*×光透過性 5310 5747 3894 3143 2368 3253
────────────────────────────────────
外観評価 1 1 2 2〜3 3 2〜3
────────────────────────────────────
表1に記載された結果から、本発明の粒状白色樹脂組成物は、その樹脂組成物から成形した成形物の内部に混入した固体異物の光遮蔽能力が高く、従って自動車搭載用の白色樹脂成形物の製造に適していることが分る。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン樹脂とエラストマー樹脂とを含む未使用の熱可塑性樹脂成分、フィラー、白色顔料および黒色顔料を含む粒状白色樹脂組成物であって、該粒状白色樹脂組成物から作成したシートの明度(L*)と光透過度との関係が下記式を満足することを特徴とする自動車搭載用樹脂成形物製造用の粒状白色樹脂組成物:

    1300≦(L*×B)≦4000

    [L*は上記樹脂組成物から作成した厚み3mmのシートの明度であり、Bは上記樹脂組成物から作成した厚み50μmのシートの全光線透過率(%)である]。
  2. 粒状白色樹脂組成物から作成したシートが55以上の白色度を示す請求項1に記載の粒状白色樹脂組成物。
  3. 粒状白色樹脂組成物から作成したシートのL*で表わされる明度が55〜90の範囲にある請求項1もしくは2に記載の粒状白色樹脂組成物。
  4. 粒状白色樹脂組成物から作成したシートのBで表わされる全光線透過率が15〜60%の範囲にある請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の粒状白色樹脂組成物。
  5. 粒状白色樹脂組成物中の白色顔料の含有量が1質量%以上で、20質量%以下である請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の粒状白色樹脂組成物。
  6. 白色顔料が二酸化チタンである請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の粒状白色樹脂組成物。
  7. 上記樹脂組成物中の黒色顔料の含有量が0.01質量%以上、1.0質量%未満である請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の粒状白色樹脂組成物。
  8. 黒色顔料が鉄黒である請求項1乃至7のうちのいずれかの項に記載の粒状白色樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のうちのいずれかの項に記載の粒状白色樹脂組成物を加熱溶融し、次いで成形して得られた自動車搭載用の白色樹脂成形物。
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