JP2004272025A - 平版印刷版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンデム塗布方式における課題を解決して、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産することできる平版印刷版の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に少なくとも下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する平版印刷版の製造方法であって、前記物理現像核層を塗布した後の乾燥において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することを特徴とする平版刷版の製造方法。
【選択図】 なし。
【解決手段】支持体上に少なくとも下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する平版印刷版の製造方法であって、前記物理現像核層を塗布した後の乾燥において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することを特徴とする平版刷版の製造方法。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀錯塩拡散転写法を応用した平版印刷版の製造方法に関し、特にハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層のタンデム塗布方式における課題、即ち印刷性能の低下及び銀画像の色調の悪化を防止し、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産する製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高い感度を有し、かつスペクトル増感できるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつかの形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許第3721559号、同第3490905号、特公昭48−30562号、米国特許第3385701号、同第3814603号、特公昭44−27242号、特開昭53−21602号、米国特許第3454398号、同第3764323号、同第3099209号、特開昭53−9603号などがある。
【0003】
これらは印刷版の製造方法としては、いくつかのタイプに大別されるけれども、画像銀をインキ受理性にする点に於いては共通するものである。平版印刷版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水を受理する非画線部分とから構成される。従って、通常の平版印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部分は着色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け入れ、該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写させることによってなされる。
【0004】
上記平版印刷版の一般的な製造方法は、支持体上にハレーション防止を兼ねた下塗層とハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、一旦長尺ロール状に巻取り、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層のゼラチン皮膜を印刷に耐えるに十分な皮膜強度にするために加温処理を施した後(硬膜処理)、物理現像核層を塗布し乾燥するのが定法となっている。
【0005】
一方、生産効率の向上を図るために、下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をワンパスで塗布する製造方法が提案されている。即ち、支持体上に下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する方式(タンデム塗布方式)が、特開平11−231543号、特開2002−357906号公報に提案されている(特許文献1、2)。
【0006】
また、特開2000−284485号公報には、物理現像核層の乾燥を速くするのが好ましいことが記載されている(特許文献3)。
【0007】
従来、物理現像核層を塗布した後の乾燥は、30℃以上の高温で乾燥することが一般的であった。しかしながら、本発明が対象とするタンデム塗布方式を用いた製造方法、従来のような高い温度で物理現像核層を乾燥すると、インキ乗り性及び耐刷力が低下し、また銀画像の色調が黒ずむことが判明した。銀画像の黒ずみは、銀画像部の鮮明度を低下させ、その結果非画像部と銀画像部の判別がしにくくなり、印刷版としての見栄えが低下し、画像修正作業がやりにくくなるという不都合が起こる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−231543号公報(第2頁、第7頁)
【特許文献2】
特開2002−357906号公報(第2頁、第6頁)
【特許文献2】
特開2000−284485号公報(第2頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、タンデム塗布方式の課題、即ち、印刷性能の低下及び銀画像の色調の悪化を防止し、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産する製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上に少なくとも下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する平版印刷版の製造方法であって、前記物理現像核層を塗布した後の乾燥において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することを特徴とする平版刷版の製造方法によって達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、前述したようにタンデム塗布方式を用いたものである。このタンデム塗布方式は、従来の一般的な製造方法、即ち、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、一旦巻き取って、加温庫等で、40℃程度の温度で数日間加熱処理した後、物理現像核層を塗布し乾燥する方法とは、基本的に異なる。
【0012】
本発明のタンデム方式(Tandem方式)を詳しく説明する。本発明の製造方法の一つの態様は、支持体上に少なくとも下塗り層とハロゲン化銀乳剤層の塗布液を同時にスライドホッパー塗布方式により同時に積層塗布し乾燥し、巻き取らずに、連続して物理現像核層を塗布し乾燥する方式である。
【0013】
上記した製造工程の中で下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後に、物理現像核層を塗布する前に、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面を極短時間(例えば1分以内)、好ましくは20秒以内、乳剤層の表面温度が50℃以上、好ましくは60℃以上になるように加熱処理するのが好ましい。
【0014】
本発明の製造方法の特徴は、物理現像核層の乾燥工程において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することにある。ここで、初期乾燥段階とは、塗布直後から全乾燥時間(塗布してから完全に乾燥するまでの所要時間)の1/3までを意味する。即ち、物理現像核層の全乾燥時間が30秒の場合は、塗布直後から少なくとも10秒間は30℃未満の温度で乾燥することである。本発明において、好ましくは、少なくとも全乾燥時間の1/2を30℃未満の温度で乾燥することである。本発明は、物理現像核層の全乾燥を30℃未満で乾燥することも含む。
【0015】
本発明において、初期乾燥段階の温度は、28℃以下が好ましく、特に25℃以下が好ましく、下限は15℃程度である。ここで、乾燥するときの温度とは、塗布面に吹き付けられる乾燥風の温度である。初期乾燥段階における乾燥風の相対湿度は、10〜50%程度が好ましく、10〜40%程度がより好ましい。
【0016】
本発明において好ましくは、初期乾燥段階で30℃未満の温度で乾燥した後、残りの乾燥を30℃以上(好ましくは35℃以上)の温度で乾燥することである。
【0017】
本発明の平版印刷版に用いられる好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂フィルム、あるいは基紙の両面をポリエチレンのようなポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙がある。
【0018】
上記支持体上に、ハレーション防止層を兼ねる下塗り層とハロゲン化銀乳剤層が、スライドビード塗布装置あるいはスライドカーテン塗布装置のような同時積層塗布が可能な塗布装置で同時に積層塗布され、乾燥される。
【0019】
下塗り層は、通常ハレーション防止の目的でカーボンブラック等の顔料や染料等を含有する。また、平均粒径1〜10ミクロン程度の固形粉末(例えばシリカ粒子)、さらに現像主薬等の写真用添加物、無機硫酸塩等を含むことができる。
【0020】
下塗り層のバインダーとしては、ゼラチンが好ましい。ゼラチン量は、一般に0.5〜5g/m2が適当であり、好ましくは1〜4g/m2である。必要に応じてゼラチンは、その一部を、水溶性ゼラチン、澱粉、デキストリン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性高分子の一種又は二種以上で置換することも出来る。さらに、下塗り層にはポリマーラテックスを含有するのが好ましい。
【0021】
ハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものからなる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−3モルである。ハロゲン化銀の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし14面体粒子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、その平均粒径は0.2〜0.8μmの範囲である。好ましい例の一つとしては、ロジウム塩もしくはイリジウム塩を含む、塩化銀が80モル%以上の単分散もしくは多分散結晶がある。
【0022】
ハロゲン化銀乳剤は、それが製造される時又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素によって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によって、又はこれらの両者の併用など当該技術分野において良く知られた方法で化学的に増感することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤は又、例えばシアニン、メロシアニン等の色素によってポジティブにもネガティブにも増感又は減感され得る。その増感又は減感され得る波長域に特に制限はない。従って、オルソ増感、パンクロ増感、ヘリウム−ネオンレーザー用増感、アルゴンレーザー用増感、LED用増感、半導体レーザー用増感もなし得るし、明室用にUV増感、可視光減感もなし得る。
【0023】
ハロゲン化銀乳剤層のバインダーは主としてゼラチンによって構成されるが、前述した水溶性ポリマーをゼラチンの一部と置換して用いることができる。ハロゲン化銀乳剤層のゼラチン量は、0.3〜2g/m2程度が適当であり、好ましくは0.5〜1.5g/m2の範囲である。
【0024】
下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層は、ゼラチンの硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロートリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を併用して用いることができる。
【0025】
本発明において、物理現像核層は物理現像核を含有する。かかる物理現像核としては銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶であっても良い。さらに物理現像核層には、親水性バインダーを0.5〜50mg/m2程度含有させるのが好ましい。当該バインダーとしては澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、特開昭53−21602記載のビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、同平8−211614記載のアクリルアミドとグアニルチオ尿素類で置換されたメチルスルホンの共重合体などが挙げられる。更にハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬や前記例示の硬膜剤を含んでいてもよい。当該塗布液のpHは弱酸性から酸性領域に設定される。具体的にはpH1.6〜4.0の範囲が妥当である。好ましくは1.6〜3.5の範囲である。
【0026】
下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層等の各塗布層には、塗布助剤として、陰イオン、陽イオンもしくは中性界面活性剤のいくつかを含んでいてもよいし、カブリ防止剤、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を含むことが出来る。
【0027】
下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層が塗布されたウエブ(支持体)は、まずチルゾーンに案内されセットされる。続いて温度湿度が管理された送風乾燥ゾーンで乾燥されるが、乾燥の前半から中後半の過程では(固形分濃度が70〜75%になるまで:恒率乾燥域)乾燥時のウエブ表面温度(ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面の表面温度)が15℃以下、より好ましくは13.5℃以下で乾燥することが好ましい。
【0028】
固形分濃度70〜75%以上に濃縮された段階以後(減率乾燥域)では幾分昇温できる。固形分濃度80%以上の減率乾燥の後半から実質乾燥に至る時点でウエブ表面温度(ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面の表面温度)を40℃以上、好ましくは50℃以上にするとさらに良好な結果を得ることができる(画像コントラスト、インキ乗り、耐刷)。50℃ならば10秒の加熱で十分な効果を得ることができる。70℃以上なら1秒オーダーあるいはそれ以下の時間での処理でも有効である。局所温風処理、ヒートロール接触処理、赤外線過熱処理、遠赤外線加熱処理、マイクロ波加熱処理などの方法が採用できる。
【0029】
乾燥、そして場合によっては加熱処理を施したウエブには物理現像核層の塗布液が塗布される。当該塗布液の湿分塗布量は15g/m2以下が好ましい。塗布方法としてはディップコーティング、スライドコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどにより連続的に塗布される。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
支持体として厚み175μmの下引き済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。この支持体の一方の面に、導電性カーボンブラック(SD10M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2を含む裏塗り第1層、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子を0.1g/m2、ゼラチン1g/m2含有するマット化層の裏塗り第2層を設けた。次に、支持体の反対面に、下記の下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をタンデム方式で塗布した。尚、部とは質量部を表す。
【0032】
<下塗り層塗布液>
ゼラチン 18部
シリカ微粒子 8部
(富士シリシア化学株式会社製SY445;平均粒径2.5μm)
カーボンブラック分散液(固形分32質量%) 8部
スチレン−ブタジエンラテックス 7部
(日本エーアンドエル株式会社製PA9281)
ホルマリン 0.6部
界面活性剤(5%) 4部
pHを5.0に合わせる。
水で全量を400部に合わす。
湿分塗布量は40g/m2である。
【0033】
<ハロゲン化銀乳剤の作製>
アルカリ処理ゼラチンの存在下で、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.33μmの、ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせ、0.2モル%のKI溶液でコンバージョンを行って塩化銀乳剤を作製した。その後、沈殿、水洗、脱水後、再溶解した。さらにこの乳剤を常法により硫黄−金増感を施した後、安定剤を添加しその後、赤色用増感色素を銀1g当たり3mg添加し色素熟成を行い分光増感した。
【0034】
<ハロゲン化銀乳剤層塗布液>
ハロゲン化銀乳剤(硝酸銀換算) 15部
(硝酸銀/ゼラチンに質量比=2/1)
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 0.09部
界面活性剤(5%液) 8部
チオサリチル酸 0.7部
1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.15部
N−メチロールエチレン尿素 0.5部
ホルマリン 0.6部
pHを5.0に合わせる。
全量を150部に合わす。
湿分塗布量は15g/m2である。
【0035】
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0036】
<物理現像核層塗布液>
上記硫化パラジウムゾル 10部
ハイドロキノン 6部
1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.4部
ポリマー 0.05部
(アクリルアミド(97)とビニルイミダゾール(3)共重合体;平均分子量10万)
界面活性剤(5%液) 0.02部
ホルマリン(37質量%水溶液) 1部
全量を100部に調整する。
湿分塗布量は10g/m2である。
【0037】
上記下塗り層塗布液とハロゲン化銀乳剤層塗布液をスライドビード塗布装置により同時重層塗布し乾燥した。下塗り層及び乳剤層を乾燥するための乾燥工程は、5ゾーンに分割されており、それぞれ温度湿度の調節が可能である。第1のゾーンは0℃に設定し冷却、セットの為に使用した。第2、第3のゾーンは大略恒率乾燥部として利用し、その部位ではウエブの温度(乳剤層の表面温度)は最高14℃で乾燥された。第4のゾーンではウエブの温度を30℃まで上昇させ、第5のゾーンでは40℃まで上昇させた。乾燥後、加熱ロールで乳剤層の表面温度が70℃になるように加熱した。加熱時間は2秒間である。続いてディップ/ワイヤーバースクイーズ法で物理現像核層塗布液を塗布し、以下に示す条件で乾燥した。
【0038】
物理現像核層塗布液の全乾燥時間が20秒になるように乾燥風の風量及び塗布速度を調整した。以下に乾燥条件を示す。
(乾燥1);全乾燥時間を25℃相対湿度20%の乾燥風で乾燥した。
(乾燥2);前半の10秒間を25℃相対湿度20%の乾燥風で乾燥し、後半を35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥した。
(乾燥3);前半の10秒間を20℃相対湿度20%の乾燥風で乾燥し、後半を35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥した。
(乾燥4);全乾燥時間を30℃相対湿度25%の乾燥風で乾燥した。
【0039】
上記のようにして作製した平版印刷版を大日本スクリーン製造(株)社製の赤色LDレーザー搭載のFT−R5055を用いて走査露光し、三菱製紙(株)社製の自動現像装置P−510Rで現像処理して製版した。現像液はSLM−AC、安定液はSLM−STIII(両者とも三菱製紙(株)社製)を用いた。
【0040】
上記のようにして作製した印刷版の銀画像部(銀ベタ画像)の色調、及び実際に印刷したときのインキ乗り性と耐刷力を以下に示す方法及び基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0041】
<銀ベタ画像の色調>
○;きれいな銀色であり、黒ずみは全くない。
×;黒ずんでいる。
【0042】
<インキ乗り性及び耐刷力>
印刷機としてハマダ印刷機(株)社製のハマダH234C、インキとして大日本インキ(株)社製のニュウチャンピオン85墨N、及び三菱製紙(株)社製のSLM−OH(エッチ液)、同社製の給湿液(SLM−OD30;水で30に希釈)を用いて印刷試験を行った。インキ乗り性は、印刷開始から正常な印刷物が得られるまでの印刷枚数で評価した(少ない程良好である)。耐刷力は、正常な印刷物が得られなくなった印刷枚数で以下の基準で評価した。
◎;2万枚以上
○;1万5千〜2万枚未満
△;1万〜1万5千枚未満
×;1万枚未満
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
上記結果から明らかなように、本発明によれば、タンデム塗布方式における課題、即ち印刷性能の低下及び銀画像の色調の悪化を防止し、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産することが可能になる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀錯塩拡散転写法を応用した平版印刷版の製造方法に関し、特にハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層のタンデム塗布方式における課題、即ち印刷性能の低下及び銀画像の色調の悪化を防止し、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産する製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高い感度を有し、かつスペクトル増感できるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつかの形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許第3721559号、同第3490905号、特公昭48−30562号、米国特許第3385701号、同第3814603号、特公昭44−27242号、特開昭53−21602号、米国特許第3454398号、同第3764323号、同第3099209号、特開昭53−9603号などがある。
【0003】
これらは印刷版の製造方法としては、いくつかのタイプに大別されるけれども、画像銀をインキ受理性にする点に於いては共通するものである。平版印刷版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水を受理する非画線部分とから構成される。従って、通常の平版印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部分は着色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け入れ、該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写させることによってなされる。
【0004】
上記平版印刷版の一般的な製造方法は、支持体上にハレーション防止を兼ねた下塗層とハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、一旦長尺ロール状に巻取り、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層のゼラチン皮膜を印刷に耐えるに十分な皮膜強度にするために加温処理を施した後(硬膜処理)、物理現像核層を塗布し乾燥するのが定法となっている。
【0005】
一方、生産効率の向上を図るために、下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をワンパスで塗布する製造方法が提案されている。即ち、支持体上に下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する方式(タンデム塗布方式)が、特開平11−231543号、特開2002−357906号公報に提案されている(特許文献1、2)。
【0006】
また、特開2000−284485号公報には、物理現像核層の乾燥を速くするのが好ましいことが記載されている(特許文献3)。
【0007】
従来、物理現像核層を塗布した後の乾燥は、30℃以上の高温で乾燥することが一般的であった。しかしながら、本発明が対象とするタンデム塗布方式を用いた製造方法、従来のような高い温度で物理現像核層を乾燥すると、インキ乗り性及び耐刷力が低下し、また銀画像の色調が黒ずむことが判明した。銀画像の黒ずみは、銀画像部の鮮明度を低下させ、その結果非画像部と銀画像部の判別がしにくくなり、印刷版としての見栄えが低下し、画像修正作業がやりにくくなるという不都合が起こる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−231543号公報(第2頁、第7頁)
【特許文献2】
特開2002−357906号公報(第2頁、第6頁)
【特許文献2】
特開2000−284485号公報(第2頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、タンデム塗布方式の課題、即ち、印刷性能の低下及び銀画像の色調の悪化を防止し、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産する製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上に少なくとも下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する平版印刷版の製造方法であって、前記物理現像核層を塗布した後の乾燥において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することを特徴とする平版刷版の製造方法によって達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、前述したようにタンデム塗布方式を用いたものである。このタンデム塗布方式は、従来の一般的な製造方法、即ち、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、一旦巻き取って、加温庫等で、40℃程度の温度で数日間加熱処理した後、物理現像核層を塗布し乾燥する方法とは、基本的に異なる。
【0012】
本発明のタンデム方式(Tandem方式)を詳しく説明する。本発明の製造方法の一つの態様は、支持体上に少なくとも下塗り層とハロゲン化銀乳剤層の塗布液を同時にスライドホッパー塗布方式により同時に積層塗布し乾燥し、巻き取らずに、連続して物理現像核層を塗布し乾燥する方式である。
【0013】
上記した製造工程の中で下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後に、物理現像核層を塗布する前に、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面を極短時間(例えば1分以内)、好ましくは20秒以内、乳剤層の表面温度が50℃以上、好ましくは60℃以上になるように加熱処理するのが好ましい。
【0014】
本発明の製造方法の特徴は、物理現像核層の乾燥工程において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することにある。ここで、初期乾燥段階とは、塗布直後から全乾燥時間(塗布してから完全に乾燥するまでの所要時間)の1/3までを意味する。即ち、物理現像核層の全乾燥時間が30秒の場合は、塗布直後から少なくとも10秒間は30℃未満の温度で乾燥することである。本発明において、好ましくは、少なくとも全乾燥時間の1/2を30℃未満の温度で乾燥することである。本発明は、物理現像核層の全乾燥を30℃未満で乾燥することも含む。
【0015】
本発明において、初期乾燥段階の温度は、28℃以下が好ましく、特に25℃以下が好ましく、下限は15℃程度である。ここで、乾燥するときの温度とは、塗布面に吹き付けられる乾燥風の温度である。初期乾燥段階における乾燥風の相対湿度は、10〜50%程度が好ましく、10〜40%程度がより好ましい。
【0016】
本発明において好ましくは、初期乾燥段階で30℃未満の温度で乾燥した後、残りの乾燥を30℃以上(好ましくは35℃以上)の温度で乾燥することである。
【0017】
本発明の平版印刷版に用いられる好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂フィルム、あるいは基紙の両面をポリエチレンのようなポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙がある。
【0018】
上記支持体上に、ハレーション防止層を兼ねる下塗り層とハロゲン化銀乳剤層が、スライドビード塗布装置あるいはスライドカーテン塗布装置のような同時積層塗布が可能な塗布装置で同時に積層塗布され、乾燥される。
【0019】
下塗り層は、通常ハレーション防止の目的でカーボンブラック等の顔料や染料等を含有する。また、平均粒径1〜10ミクロン程度の固形粉末(例えばシリカ粒子)、さらに現像主薬等の写真用添加物、無機硫酸塩等を含むことができる。
【0020】
下塗り層のバインダーとしては、ゼラチンが好ましい。ゼラチン量は、一般に0.5〜5g/m2が適当であり、好ましくは1〜4g/m2である。必要に応じてゼラチンは、その一部を、水溶性ゼラチン、澱粉、デキストリン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性高分子の一種又は二種以上で置換することも出来る。さらに、下塗り層にはポリマーラテックスを含有するのが好ましい。
【0021】
ハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものからなる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−3モルである。ハロゲン化銀の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし14面体粒子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、その平均粒径は0.2〜0.8μmの範囲である。好ましい例の一つとしては、ロジウム塩もしくはイリジウム塩を含む、塩化銀が80モル%以上の単分散もしくは多分散結晶がある。
【0022】
ハロゲン化銀乳剤は、それが製造される時又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素によって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によって、又はこれらの両者の併用など当該技術分野において良く知られた方法で化学的に増感することが好ましい。ハロゲン化銀乳剤は又、例えばシアニン、メロシアニン等の色素によってポジティブにもネガティブにも増感又は減感され得る。その増感又は減感され得る波長域に特に制限はない。従って、オルソ増感、パンクロ増感、ヘリウム−ネオンレーザー用増感、アルゴンレーザー用増感、LED用増感、半導体レーザー用増感もなし得るし、明室用にUV増感、可視光減感もなし得る。
【0023】
ハロゲン化銀乳剤層のバインダーは主としてゼラチンによって構成されるが、前述した水溶性ポリマーをゼラチンの一部と置換して用いることができる。ハロゲン化銀乳剤層のゼラチン量は、0.3〜2g/m2程度が適当であり、好ましくは0.5〜1.5g/m2の範囲である。
【0024】
下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層は、ゼラチンの硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロートリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を併用して用いることができる。
【0025】
本発明において、物理現像核層は物理現像核を含有する。かかる物理現像核としては銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶であっても良い。さらに物理現像核層には、親水性バインダーを0.5〜50mg/m2程度含有させるのが好ましい。当該バインダーとしては澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、特開昭53−21602記載のビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、同平8−211614記載のアクリルアミドとグアニルチオ尿素類で置換されたメチルスルホンの共重合体などが挙げられる。更にハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬や前記例示の硬膜剤を含んでいてもよい。当該塗布液のpHは弱酸性から酸性領域に設定される。具体的にはpH1.6〜4.0の範囲が妥当である。好ましくは1.6〜3.5の範囲である。
【0026】
下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層等の各塗布層には、塗布助剤として、陰イオン、陽イオンもしくは中性界面活性剤のいくつかを含んでいてもよいし、カブリ防止剤、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を含むことが出来る。
【0027】
下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層が塗布されたウエブ(支持体)は、まずチルゾーンに案内されセットされる。続いて温度湿度が管理された送風乾燥ゾーンで乾燥されるが、乾燥の前半から中後半の過程では(固形分濃度が70〜75%になるまで:恒率乾燥域)乾燥時のウエブ表面温度(ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面の表面温度)が15℃以下、より好ましくは13.5℃以下で乾燥することが好ましい。
【0028】
固形分濃度70〜75%以上に濃縮された段階以後(減率乾燥域)では幾分昇温できる。固形分濃度80%以上の減率乾燥の後半から実質乾燥に至る時点でウエブ表面温度(ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面の表面温度)を40℃以上、好ましくは50℃以上にするとさらに良好な結果を得ることができる(画像コントラスト、インキ乗り、耐刷)。50℃ならば10秒の加熱で十分な効果を得ることができる。70℃以上なら1秒オーダーあるいはそれ以下の時間での処理でも有効である。局所温風処理、ヒートロール接触処理、赤外線過熱処理、遠赤外線加熱処理、マイクロ波加熱処理などの方法が採用できる。
【0029】
乾燥、そして場合によっては加熱処理を施したウエブには物理現像核層の塗布液が塗布される。当該塗布液の湿分塗布量は15g/m2以下が好ましい。塗布方法としてはディップコーティング、スライドコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどにより連続的に塗布される。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
支持体として厚み175μmの下引き済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。この支持体の一方の面に、導電性カーボンブラック(SD10M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2を含む裏塗り第1層、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子を0.1g/m2、ゼラチン1g/m2含有するマット化層の裏塗り第2層を設けた。次に、支持体の反対面に、下記の下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をタンデム方式で塗布した。尚、部とは質量部を表す。
【0032】
<下塗り層塗布液>
ゼラチン 18部
シリカ微粒子 8部
(富士シリシア化学株式会社製SY445;平均粒径2.5μm)
カーボンブラック分散液(固形分32質量%) 8部
スチレン−ブタジエンラテックス 7部
(日本エーアンドエル株式会社製PA9281)
ホルマリン 0.6部
界面活性剤(5%) 4部
pHを5.0に合わせる。
水で全量を400部に合わす。
湿分塗布量は40g/m2である。
【0033】
<ハロゲン化銀乳剤の作製>
アルカリ処理ゼラチンの存在下で、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.33μmの、ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせ、0.2モル%のKI溶液でコンバージョンを行って塩化銀乳剤を作製した。その後、沈殿、水洗、脱水後、再溶解した。さらにこの乳剤を常法により硫黄−金増感を施した後、安定剤を添加しその後、赤色用増感色素を銀1g当たり3mg添加し色素熟成を行い分光増感した。
【0034】
<ハロゲン化銀乳剤層塗布液>
ハロゲン化銀乳剤(硝酸銀換算) 15部
(硝酸銀/ゼラチンに質量比=2/1)
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 0.09部
界面活性剤(5%液) 8部
チオサリチル酸 0.7部
1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.15部
N−メチロールエチレン尿素 0.5部
ホルマリン 0.6部
pHを5.0に合わせる。
全量を150部に合わす。
湿分塗布量は15g/m2である。
【0035】
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0036】
<物理現像核層塗布液>
上記硫化パラジウムゾル 10部
ハイドロキノン 6部
1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.4部
ポリマー 0.05部
(アクリルアミド(97)とビニルイミダゾール(3)共重合体;平均分子量10万)
界面活性剤(5%液) 0.02部
ホルマリン(37質量%水溶液) 1部
全量を100部に調整する。
湿分塗布量は10g/m2である。
【0037】
上記下塗り層塗布液とハロゲン化銀乳剤層塗布液をスライドビード塗布装置により同時重層塗布し乾燥した。下塗り層及び乳剤層を乾燥するための乾燥工程は、5ゾーンに分割されており、それぞれ温度湿度の調節が可能である。第1のゾーンは0℃に設定し冷却、セットの為に使用した。第2、第3のゾーンは大略恒率乾燥部として利用し、その部位ではウエブの温度(乳剤層の表面温度)は最高14℃で乾燥された。第4のゾーンではウエブの温度を30℃まで上昇させ、第5のゾーンでは40℃まで上昇させた。乾燥後、加熱ロールで乳剤層の表面温度が70℃になるように加熱した。加熱時間は2秒間である。続いてディップ/ワイヤーバースクイーズ法で物理現像核層塗布液を塗布し、以下に示す条件で乾燥した。
【0038】
物理現像核層塗布液の全乾燥時間が20秒になるように乾燥風の風量及び塗布速度を調整した。以下に乾燥条件を示す。
(乾燥1);全乾燥時間を25℃相対湿度20%の乾燥風で乾燥した。
(乾燥2);前半の10秒間を25℃相対湿度20%の乾燥風で乾燥し、後半を35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥した。
(乾燥3);前半の10秒間を20℃相対湿度20%の乾燥風で乾燥し、後半を35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥した。
(乾燥4);全乾燥時間を30℃相対湿度25%の乾燥風で乾燥した。
【0039】
上記のようにして作製した平版印刷版を大日本スクリーン製造(株)社製の赤色LDレーザー搭載のFT−R5055を用いて走査露光し、三菱製紙(株)社製の自動現像装置P−510Rで現像処理して製版した。現像液はSLM−AC、安定液はSLM−STIII(両者とも三菱製紙(株)社製)を用いた。
【0040】
上記のようにして作製した印刷版の銀画像部(銀ベタ画像)の色調、及び実際に印刷したときのインキ乗り性と耐刷力を以下に示す方法及び基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0041】
<銀ベタ画像の色調>
○;きれいな銀色であり、黒ずみは全くない。
×;黒ずんでいる。
【0042】
<インキ乗り性及び耐刷力>
印刷機としてハマダ印刷機(株)社製のハマダH234C、インキとして大日本インキ(株)社製のニュウチャンピオン85墨N、及び三菱製紙(株)社製のSLM−OH(エッチ液)、同社製の給湿液(SLM−OD30;水で30に希釈)を用いて印刷試験を行った。インキ乗り性は、印刷開始から正常な印刷物が得られるまでの印刷枚数で評価した(少ない程良好である)。耐刷力は、正常な印刷物が得られなくなった印刷枚数で以下の基準で評価した。
◎;2万枚以上
○;1万5千〜2万枚未満
△;1万〜1万5千枚未満
×;1万枚未満
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
上記結果から明らかなように、本発明によれば、タンデム塗布方式における課題、即ち印刷性能の低下及び銀画像の色調の悪化を防止し、優れた性能の平版印刷版を効率よく生産することが可能になる。
Claims (1)
- 支持体上に少なくとも下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥した後、巻取らずに連続して物理現像核層を塗布する平版印刷版の製造方法であって、前記物理現像核層を塗布した後の乾燥において、少なくとも初期乾燥段階を30℃未満の温度で乾燥することを特徴とする平版刷版の製造方法。
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