JP2004170472A - 走査露光用平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、印刷版として高耐刷力で保存安定性に優れた走査露光用平版印刷版を提供することであり、特に青色半導体レーザーを用いた出力機に対して充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ明室下での取り扱いが可能であり、印刷版として高耐刷力で保存安定性が良好な青色半導体レーザー用平版印刷版を提供することにある。
【解決手段】支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層を有する銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子が全ハロゲン化銀中乳剤粒子中のロジウムまたは/及びルテニウム化合物量の90モル%以上を含有するコア部と、全ハロゲン化銀乳剤粒子中のイリジウム化合物の量の30モル%以上を含有するシェル部からなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤を用いることにより達成された。
【選択図】 なし。
【解決手段】支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層を有する銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子が全ハロゲン化銀中乳剤粒子中のロジウムまたは/及びルテニウム化合物量の90モル%以上を含有するコア部と、全ハロゲン化銀乳剤粒子中のイリジウム化合物の量の30モル%以上を含有するシェル部からなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤を用いることにより達成された。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は銀錯塩拡散転写法を利用した走査露光用平版印刷版に関し、特に青色半導体レーザー用平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)によって得られる転写銀画像を直ちにインキ受理性として利用することができる平版印刷版は既に知られている。その1つのタイプは、支持体(例えば、ポリエチレン樹脂を被覆した紙ベース、ポリエチレンテレフタレートベース等)上に少なくともハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷版であり、例えば米国特許第3721559号、同第3490905号、同第3385701号、同第3814603号、同第3454398号、同第3764323号、同第3099209号、特公昭44−27242号、同48−30562号、特開昭53−9603号、同53−21602号、同54−103104号、同56−9750号公報等に記載されている。
【0003】
上記平版印刷版はゼラチンをバインダーとする乳剤層の表面に物理現像核を有し、露光された乳剤層中のハロゲン化銀結晶は、DTR現像により化学現像を生起し黒色の銀となり、ゼラチンを主体とする親水性の非画像部を形成する。一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画像部を形成する。
【0004】
ここで、銀画像部はインキ受理性として、非画像部のゼラチン表面はインキ反発性として印刷に供される。
【0005】
もう1つのタイプは、粗面化及び陽極酸化されたアルミニウム支持体に担持された物理現像核の上にハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版(以降、アルミ平版印刷版と称す)が知られており、例えば特開平5−216236号、同平6−81194号公報等に記載されている。この平版印刷版は露光、現像処理後、ハロゲン化銀乳剤層をウォッシュオフ(水洗除去)して、金属銀膜からなる画像部とアルミ陽極酸化表面からなる非画像部が現れる。
【0006】
上記2つの平版印刷版は構成及び製版方法は異なるが、画像銀をインキ受理性にする点に於いては共通するものである。これらの平版印刷版は、親油性のインキを受理する画像部分と親水性で水を受理する非画像部分とから構成される。従って、通常の平版印刷は水(給湿液)とインキの両方を版面に供給し、画像部分は着色性のインキを、非画像部分は水を選択的に受け入れ、該画像上のインキを例えば紙などの基質に転写させることによってなされる。
【0007】
また、上記した銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版には、カメラ露光タイプと走査露光タイプの平版印刷版が知られている。走査露光タイプの平版印刷版としては、例えば、米国特許第4,501,811号、特開昭59−71055号、同昭59−71056号、同昭60−61752号、同昭60−75838号、同昭60−100148号、同昭60−179744号、同昭60−252352号、同昭61−114235号、同昭63−47756号、同平2−251853号公報等に、ヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザー、発光ダイオード等を光源とする走査露光タイプの平版印刷版が記載されている。これらの走査露光用平版印刷版は、CTP(コンピューター・ツー・プレート)用の平版印刷版として、好適であり脚光を浴びている。
【0008】
極近年、400〜430nmに発振波長を持った青色半導体レーザーを搭載した出力機が開発され出現している。この出力機は上記した従来の出力機に比べ、短波長であるため、レーザーの収束が良好であること、及び出力速度が速いという利点がある。更に、該出力波長に対して実用感度を有し、かつ明室下で取り扱うことができる平版印刷版の開発が要望されている。この出力機に対して、充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ印刷版として耐刷力に優れ、保存安定性が良く、かつ明室下での取り扱いが可能な平版印刷版を提供する手段として、特開2000−338656号明細書には380〜430nmに増感極大を有する分光増感色素を用いる方法が、また特開2001−350267号明細書には青色半導体レーザーに適した分光増感色素が提案されている(特開文献1、2)。 また、特開2001−343751号明細書には、波長400nm〜440nmに20μJ/cm2以下のエネルギーに対し感度を有し、且つ450nm以上に実質的に感度を有さないハロゲン化銀乳剤を用いることが提案されている(特開文献3)。
しかし、こらら従来の方法をもってしても、明室下での取り扱い性を優先して平版印刷版を設計すると感度が低くなって青色半導体レーザー光減のロットによる出力パワーや出力波長の変化への対応が難しかったり、逆に感度を優先させるとセーフライト性の低下の為にセーフライト下に暴露された時間が伸びると製版時のレーザー光の適性光量が変化したり、保存性が低下したりする等の問題を生じ、依然として、感度、明室下での取り扱い性が良く、印刷性に優れた青色半導体レーザー用の平版印刷版の実現が望まれていた。
【0009】
一方、高感度、硬調で保存性の良好な平版印刷版を実現する方法として特開平11−295837号明細書にはコアとシェルとでは配位子の異なるV−VIII族金属錯体を含有するコアシェル型ハロゲン化銀粒子を用いる平版印刷版が提案されている(特開文献4)。また、特開2000−66378号明細書には良好な平版印刷版を実現する方法としてRh、Re、Ru、Cr、Ir、Os等のドーパントを用いる平版印刷版が提案されている(特開文献5)。更に、特開2001−201858号明細書には上記ドーパント、鉄化合物及び含窒素5又は6員環芳香族化合物を用いて青色半導体レーザーを光源とする保存性、印刷性に優れた平版印刷版が提案されている(特開文献6)。しかし、前述したように、単にセーフライト照射後も印刷可能であるというレベルを超えて、明室でのセーフライト下での暴露後も、レーザー感度が変化しない等の実用適性のより向上した平版印刷版が要望されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−338656号公報(第1頁〜第3頁)
【特許文献2】
特開2001−350267号公報(第1頁〜第5頁)
【特許文献3】
特開2001−343751号公報(第1頁〜第2頁)
【特許文献4】
特開平11−295837号公報(第1頁〜第6頁)
【特許文献5】
特開2000−66378号公報(第1頁〜第4頁)
【特許文献6】
特開2001−201858号公報(第1頁〜第5頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、印刷版として高耐刷力で保存安定性に優れた走査露光用平版印刷版を提供することであり、特に青色半導体レーザーを用いた出力機に対して充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ明室下での取り扱いが可能であり、印刷版として高耐刷力で保存安定性が良好な青色半導体レーザー用平版印刷版を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀乳剤及び物理現像核層を有する銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子が全ハロゲン化銀中のロジウムまたは/及びルテニウム化合物の90モル%以上を含有するコア部と、全ハロゲン化銀中のイリジウム化合物の30モル%以上を含有するシェル部からなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤粒子を用いることにより達成された。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコアシェル型ハロゲン化銀乳剤は、コア部とシェル部でドーパントであるイリジウム化合物とロジウム化合物あるいはルテニウム化合物の密度の異なるハロゲン化銀粒子が用いられる。コアのハロゲン組成は塩化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀から選択されるが、好ましくは塩化銀または塩臭化銀であり、臭化銀は30モル%以下であり、好ましくは15モル%以下である。シェルのハロゲン組成は塩化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀から選択されるが、好ましくは塩化銀または塩臭化銀であり、臭化銀は10モル%以下であり、好ましくは4モル%以下である。
【0014】
本発明のコアシェル型ハロゲン化銀粒子は立方体または八面体型が用いられるが、立方体結晶を用いることがより好ましい。ハロゲン化銀の平均粒径は0.10〜0.60μmであり、好ましくは0.15〜0.40μmの範囲である。ハロゲン化銀粒子サイズの統計上の変動係数(投影面積を円近似した場合の直径で表した分布において、標準偏差Sを直径dで除した値S/d)が、20%以下である単分散乳剤がとりわけ特に好ましい。コアは沈殿した全ハロゲン化銀70〜90%を含有するのが好ましく、一方、シェルは沈殿した全ハロゲン化銀の10〜30%からなるのが好ましい。
【0015】
本発明に用いられるロジウム化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物として種々のものを用いることが出来るが、ハロゲン化銀沈殿時には配位子を伴う錯体として取り込まれる。即ちドープされる。配位子としては、米国特許4,835,093号、同4,966,272号、同4,945,035号、同4,981,781号、同5,037,732号、特開平3−118135号、同平3−118136号等に記載の、ハロゲン、アコ(H2O)、ニトロシル、チオニトロシル、シアノ、チオシアノ、アジド(N3)、カルボニル、オキソ等の6配位の配位子が挙げられる。これらの配位子は遷移金属との結合が強く、ハロゲン化銀粒子形成時に配位子を結合した状態でハロゲン化銀粒子中に組み込むこと、すなわちドープする事が出来る。以下に本発明のロジウム、ルテニウム、イリジウム錯体の具体例を示す。
【0016】
RhCl6 3−
Rh(H2O)Cl5 2−
Rh(H2O) 2Cl4 −
Rh(NO) 2Cl4 −
Rh(NO)(H2O)Cl4 −
Rh(NS)Cl5 2−
Rh(CN) 6 3−
Rh(SCN) 6 3−
Rh(CO)Cl5 2−
Ru(NO)Cl5 2−
Ru(NO) 2Cl−
Ru(NO)(H2O)Cl4 −
Ru(NO)(CN) 5 2−
Ru(H2O)Cl5−
Ru(CO)Cl2(H2O) 2−
Ru(CO)Cl4(CN) 3−
IrCl6 3−
IrBr6 3−
Ir(H2O) 2Cl−
Ir(CN) 6 3−
Ir(SCN) 6 3−
Ir(CO)Cl5 2−
Ir(CO)3Br3−
【0017】
本発明のコア−シェル型ハロゲン化銀乳剤粒子に含有されるロジウム、ルテニウム、イリジウム化合物の好ましい含有量はハロゲン化銀1モル当たり10−8モル〜10−4モルの範囲であり、コア部とシェル部での含有量の比率は、ロジウムまたはルテニウムはコア部に全量の90モル%以上を含まれ、好ましくは95モル%以上、最も好ましくはコアのみに含まれシェル部に実質的に含まれないものである。イリジウムはシェル部に30モル%以上が含まれ、好ましくは60モル%以上がシェル部に含まれるものであり、シェル部にのみ含まれていても良い。コアとシェルとで配位子が異なっていても良く、同じであっても良い。ロジウムとルテニウム化合物を同時に用いることもできるが、この場合はロジウム及びルテニウム化合物の合計の90モル%以上がコア部に含まれ、好ましくは95モル%以上、最も好ましくはコア部のみに含まれシェル部に実質的に含まれないものである。
【0018】
本発明の平版印刷版に用いられるコア−シェル型ハロゲン化銀粒子の製造はこれまで知られている様々な方法を用いることができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としてはダブルジェット法やシングルジェット法と組み合わせたダブルジェット法などを用いることができる。ダブルジェット法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。また、英国特許第1,535,016号、特公昭48−36890号、同昭52−16364号等に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子形成速度に応じて変化させる方法や、米国特許第4,242,445号、特開昭55−158124号等に記載されているように水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において早く成長させることが好ましい。これらの方法は、再核発生を起こさず、ハロゲン化銀粒子が均一に成長するために好ましく用いられる。
【0019】
本発明のコアシェル型ハロゲン化銀乳剤は、硫黄増感、セレン増感、テルル増感、貴金属増感、還元増感等の化学増感を単独あるいは組み合わせて用いることもできるが、好ましくは金化合物と硫黄化合物とを併用した、金−硫黄増感である。
【0020】
本発明の平版印刷版は走査露光装置、特に、400〜430nmに発振波長を持った青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも呼ばれている)を搭載した走査型露光装置に適した感度を得る為に、例えば特開平13−350267号等に記載の分光増感色素を用いて青色域を分光増感することが出来る。
【0021】
本発明が対象とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版としては、前述したように、2つのタイプがあり、その両者とも本発明の効果を発現することができる。
【0022】
1つのタイプは、ポリエチレン樹脂を被覆した紙ベースやポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルベースに、ハレーション防止層を兼ねた下塗層、ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層を、この順序で塗設した平版印刷版である。
【0023】
2つ目のタイプは、粗面化及び陽極酸化されたアルミニウム支持体上に、物理現像核を担持させ、その上にハロゲン化乳剤層を塗設した平版印刷版である。この平版印刷版は、更に物理現像核とハロゲン化銀乳剤層の間に適宜中間層を設けることができ、またハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けることができる。
【0024】
ハロゲン化銀乳剤層はバインダーとして主にゼラチンが用いられるが、その一部をデキストリン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性高分子の一種又は二種以上で置換することもできる。ハロゲン化銀乳剤層のゼラチン量は、0.5〜4g/m2程度である。
【0025】
本発明において、物理現像核層には物理現像核として、銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶等を含有する。物理現像核層には、親水性バインダーを含んでいてもいなくても良いが、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子又はそのオリゴマーを含むことが出来、その含有量は0.5g/m2以下であることが好ましい。物理現像核層は、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬を含有してもよく、更にホルマリン、ジクロロ−s−トリアジン等の公知の硬膜剤を含んでいてもよい。
【0026】
前者のタイプは、ハロゲン化銀乳剤層の下にハレーション防止層を通常有する。下塗り層はバインダーとしてゼラチンを0.5〜10g/m2、好ましくは1〜6g/m2含有する。下塗り層にはハレーション防止の目的でカーボンブラック等の顔料、染料等を含み得るし、また耐刷力向上のために平均粒径0.1〜10ミクロンの固形粉末(例えばシリカ粒子)を含み得る。さらに現像主薬等の写真用添加物も含むことが出来る。また下塗り層は特開昭48−5503号、同昭48−100203号、同昭49−16507号公報に記載のようなものであってもよい。更に特開平5−80519号、同5−80517号、同5−66564号の下塗り層への非膨潤性ラテックスを含有してもよい。
【0027】
前者のタイプは、下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層等のゼラチン含有層には、硬膜剤を含有させる。後者のタイプは、現像処理後、ハロゲン化銀乳剤層を水洗除去するため、硬膜剤は含有させないか、含有させても水洗除去に支障のない程度の少量とするのが好ましい。ゼラチンの硬膜剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。
【0028】
硬膜剤はすべての層に添加することも出来、幾つか又は一層にのみ添加することも可能である。勿論、拡散性の硬膜剤は二層同時塗布の場合、何れか一層にのみ添加することが可能である。添加方法は乳剤製造時に添加したり、塗布時にインラインで添加することもできる。
【0029】
本発明の平版印刷版において、下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層等の各塗布層には、塗布助剤として、界面活性剤を含んでいてもよいし、カブリ防止剤、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を含むことが出来る。
【0030】
本発明の平版印刷版の現像後の表面銀層は、任意の公知の表面処理剤でインキ受容性に変換ないしは受容性を増強せしめ得る。このような処理液としては、例えば特公昭48−29723号、米国特許第3,721,559号等に記載されている。印刷方法、あるいは使用する不感脂化液、給湿液等は普通に良く知られた方法によることが出来る。
【0031】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
厚み175μmの下引き済みポリエチレンテレフタレートフィルムの片面(裏面)に導電性カーボン(SD10M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2を含む裏塗り第1層、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子を0.1g/m2、硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウムを含有するマット化層(ゼラチン量1g/m2)の第2層を設けた。その反対側の面(表面)をコロナ放電加工後、下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を重層塗布した。
【0033】
下塗り層は、ゼラチン3.5g/m2、カーボンブラック、平均粒径3.5μmのシリカ粉末を1.2g/m2、スチレン−ブタジエンラテックス(日本エーアンドエル株式会社製POL752A)2g/m2、及び硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウムを含有する。
【0034】
(コアシェル乳剤の作成)コントロールダブルジェット法により、平均粒径0.30ミクロンの六面体粒子の塩化銀コアと0.01ミクロンの厚みの塩化銀シェルからなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤を作製した。コアとシェルとに本発明のルテニウム化合物として Ru(NO)Cl5 2−を、イリジウム化合物としてIr(H2O) 2Cl4 −を、表1に記載の様にドーピングしたコアシェル乳剤を作成した。ルテニウム化合物及びイリジウム化合物のドーピング量は、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、3.2×10−7モル及び8.6×10−6モルである。混合終了後、脱塩処理した後、化学増感(金−硫黄増感)を施した。ハロゲン化銀乳剤層は更に、1−フェニル−3−ピラゾリドンを0.1g/m2、化1に示す増感色素をハロゲン化銀1モル当たり1.3×10−3モル、硬膜剤としてN−メチロールエチレン尿素、及び界面活性剤を含有する。該ハロゲン化銀乳剤層は、銀量で1.0g/m2(ゼラチン量0.8g/m2含む)となるように塗布された。
【0035】
【化1】
【0036】
下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布乾燥後、40℃で5日間加温後、特開平8−211614号の実施例1に記載の物理現像核塗布液(ポリマーとしてはP−2を使用)を塗布、乾燥して平版印刷版を作成した。
【0037】
上記のようにして作成した平版印刷版について、40℃−1日加温の試料(フレッシュ)と35℃相対湿度70%の条件下で1ヶ月間強制加温した試料を作り、以下のような試験を行った。
【0038】
青色半導体レーザーを用いた出力機として、ESCHER GRAD社製青色半導体レーザー搭載イメージセッターCobalt8CTP(発振波長410nm)を用いて露光し、下記の銀錯塩拡散転写現像液で30℃20秒間現像処理を行って印刷用平版印刷版を作成した。
【0039】
また、明室下での取り扱い性を評価するため、上記フレッシュの試料について、セーフライトとして約450nmより短波長の光を除去した蛍光灯(NEC社製純黄色蛍光灯FL−40SYF/M)を用いて、200ルクスの光が当たるように試料を置き、その条件下で5分間照射した後に、上記と同様に青色半導体レーザーを用いた出力機で露光し、現像処理した。
【0040】
<転写現像液>
水 700ml
水酸化カリウム 8g
水酸化ナトリウム 24g
無水亜硫酸ナトリウム 50g
2−アミノエチル−アミノエタノール 10g
2−メルカプト−5−nヘプチルオキサジアゾール 0.2g
水を加えて1リットルとする。pHは13.4に調整。
【0041】
現像処理後、該原版を2本の絞りローラー間に通し、余分の現像液を除去し、直ちに下記組成を有する中和液で25℃20秒間処理し、絞りローラーで余分の液を除去し室温で乾燥した。
【0042】
<中和液>
水 600ml
リン酸 1.2g
第一リン酸ナトリウム 25g
無水亜硫酸ナトリウム 2.5g
エチレングリコール 5g
2−メルカプト−5−nヘプチルオキサジアゾール 0.1g
ジエタノールアミン 5g
水を加えて1リットルとする。pHは6.0に調整。
【0043】
以上の操作により作成した平版印刷版をオフセット印刷機に装着し、下記の感脂化液を版面にくまなく与え、下記給湿液を用いて印刷を行い、耐刷力を評価した。
【0044】
<感脂化液>
水 600ml
イソプロピルアルコール 400ml
エチレングリコール 50g
3−メルカプト−4−アセトアミド−5−n−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール 1g
【0045】
<給湿液>
o−リン酸 10g
硝酸ニッケル 5g
亜硝酸ナトリウム 5g
エチレングリコール 100g
コロイダルシリカ(20%液) 28g
水を加えて2リットルとする。
【0046】
耐刷力は、リョービ3200CD(リョービK.K社製オフセット印刷機の商標)を使用し、非画像部の地汚れ及び銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。尚インキはABdick3−1012を使用した。印刷試験の結果を表1に示す。ここで、耐刷力の評価は、実用感度及びセーフライト安全性の評価を兼ねている。即ち、実用感度が不足すると、非画像部に析出銀が生じ地汚れの原因となる。また、セーフライト安全性が劣ると、銀画像部の析出銀が不足して画像飛びが生じる。
【0047】
◎:20,000枚以上
○:10,000枚以上〜20,000枚未満
△:5,000枚以上〜10,000枚未満
×:5,000枚未満
【0048】
【表1】
【0049】
上記結果より、本発明の平版印刷版は、青色半導体レーザーを用いた出力機に好適であることが分かる。更に明室条件下での取り扱い性に優れていることが分かる。
【0050】
実施例2
アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は米国特許第5,427,889号公報に記載の方法に従って、平均直径約5μmのプラト−上に直径0.03〜0.30μmのピットを100μm2当たり約5,600個有し、かつ これらのピットの平均直径が0.08μmである厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。このアルミ板は粗面化処理後に陽極酸化したものであり、中心線平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。
【0051】
上記アルミニウム支持体上に、少量の親水性バインダーを含む硫化パラジウムの物理現像核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に含まれるPdS核量は3mg/m2であった。
【0052】
(コアシェル乳剤の作成)コントロールダブルジェット法により、塩化銀85%、臭化銀15%で平均粒径0.20ミクロンの六面体粒子の塩臭化銀コアと塩化銀98%、臭化銀2%で0.01ミクロンの厚みの塩臭化銀シェルからなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤を作製した。コアとシェルとに本発明のロジウム化合物として RhCl6 3−を、イリジウム化合物としてIrCl6 3−を、表2に記載の様にドーピングしたコアシェル乳剤を作成した。ロジウム化合物及びイリジウム化合物のドーピング量は、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1.4×10−6モル及び8.6×10−7モルである。
混合終了後、脱塩処理した後、更に、この乳剤に硫黄金増感を施し、化2に示す増感色素をハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル加えて分光増感した。
【0053】
【化2】
【0054】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に、下記化2のフィルター染料を0.3g/m2と界面活性剤を加え、前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2.5g/m2、ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン)が3g/m2になるように塗布、乾燥して平版印刷材料を得た。
【0055】
上記平版印刷版について、実施例1と同様な方法で評価した。但し、現像処理は、製版用プロセッサー(デュポン社製SLT−85N自動現像機)を用いて処理した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(22℃、15秒間浸漬)、水洗処理工程(33℃の水洗液を12秒間シャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層を剥離する)、仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成されている。用いた現像液、水洗液及び仕上げ液を以下に示す。
【0056】
<現像液>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
モノメチルエタノールアミン 6g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
無水チオ硫酸ナトリウム 6g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g
ポリエチレングリコ−ル(平均分子量400) 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは13.0に調整した。
【0057】
<水洗液>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 20g
重亜硫酸ナトリウム 10g
タンパク質分解酵素 1g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.8に調整した。
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
【0058】
<仕上げ液>
アラビアゴム 10g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 1g
トリエタノールアミン 26g
第1燐酸ナトリウム 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pH6.0に調整した。
【0059】
上記記載の方法で作成された平版印刷版について、実施例1と同様にして印刷し、以下の基準で耐刷力を評価した。その結果を表2に示す。
◎:10万枚以上
○:5万枚以上〜10万枚未満
△:1万枚以上〜5万枚未満
×:1万枚未満
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版は、青色半導体レーザーを用いた出力機に対して充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ明室下での取り扱いが可能であり、印刷版として高耐刷力で保存安定性が良好であり、青色半導体レーザー用平版印刷版としての性能を兼ね備えている。
【発明の属する技術分野】
本発明は銀錯塩拡散転写法を利用した走査露光用平版印刷版に関し、特に青色半導体レーザー用平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)によって得られる転写銀画像を直ちにインキ受理性として利用することができる平版印刷版は既に知られている。その1つのタイプは、支持体(例えば、ポリエチレン樹脂を被覆した紙ベース、ポリエチレンテレフタレートベース等)上に少なくともハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷版であり、例えば米国特許第3721559号、同第3490905号、同第3385701号、同第3814603号、同第3454398号、同第3764323号、同第3099209号、特公昭44−27242号、同48−30562号、特開昭53−9603号、同53−21602号、同54−103104号、同56−9750号公報等に記載されている。
【0003】
上記平版印刷版はゼラチンをバインダーとする乳剤層の表面に物理現像核を有し、露光された乳剤層中のハロゲン化銀結晶は、DTR現像により化学現像を生起し黒色の銀となり、ゼラチンを主体とする親水性の非画像部を形成する。一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画像部を形成する。
【0004】
ここで、銀画像部はインキ受理性として、非画像部のゼラチン表面はインキ反発性として印刷に供される。
【0005】
もう1つのタイプは、粗面化及び陽極酸化されたアルミニウム支持体に担持された物理現像核の上にハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版(以降、アルミ平版印刷版と称す)が知られており、例えば特開平5−216236号、同平6−81194号公報等に記載されている。この平版印刷版は露光、現像処理後、ハロゲン化銀乳剤層をウォッシュオフ(水洗除去)して、金属銀膜からなる画像部とアルミ陽極酸化表面からなる非画像部が現れる。
【0006】
上記2つの平版印刷版は構成及び製版方法は異なるが、画像銀をインキ受理性にする点に於いては共通するものである。これらの平版印刷版は、親油性のインキを受理する画像部分と親水性で水を受理する非画像部分とから構成される。従って、通常の平版印刷は水(給湿液)とインキの両方を版面に供給し、画像部分は着色性のインキを、非画像部分は水を選択的に受け入れ、該画像上のインキを例えば紙などの基質に転写させることによってなされる。
【0007】
また、上記した銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版には、カメラ露光タイプと走査露光タイプの平版印刷版が知られている。走査露光タイプの平版印刷版としては、例えば、米国特許第4,501,811号、特開昭59−71055号、同昭59−71056号、同昭60−61752号、同昭60−75838号、同昭60−100148号、同昭60−179744号、同昭60−252352号、同昭61−114235号、同昭63−47756号、同平2−251853号公報等に、ヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザー、発光ダイオード等を光源とする走査露光タイプの平版印刷版が記載されている。これらの走査露光用平版印刷版は、CTP(コンピューター・ツー・プレート)用の平版印刷版として、好適であり脚光を浴びている。
【0008】
極近年、400〜430nmに発振波長を持った青色半導体レーザーを搭載した出力機が開発され出現している。この出力機は上記した従来の出力機に比べ、短波長であるため、レーザーの収束が良好であること、及び出力速度が速いという利点がある。更に、該出力波長に対して実用感度を有し、かつ明室下で取り扱うことができる平版印刷版の開発が要望されている。この出力機に対して、充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ印刷版として耐刷力に優れ、保存安定性が良く、かつ明室下での取り扱いが可能な平版印刷版を提供する手段として、特開2000−338656号明細書には380〜430nmに増感極大を有する分光増感色素を用いる方法が、また特開2001−350267号明細書には青色半導体レーザーに適した分光増感色素が提案されている(特開文献1、2)。 また、特開2001−343751号明細書には、波長400nm〜440nmに20μJ/cm2以下のエネルギーに対し感度を有し、且つ450nm以上に実質的に感度を有さないハロゲン化銀乳剤を用いることが提案されている(特開文献3)。
しかし、こらら従来の方法をもってしても、明室下での取り扱い性を優先して平版印刷版を設計すると感度が低くなって青色半導体レーザー光減のロットによる出力パワーや出力波長の変化への対応が難しかったり、逆に感度を優先させるとセーフライト性の低下の為にセーフライト下に暴露された時間が伸びると製版時のレーザー光の適性光量が変化したり、保存性が低下したりする等の問題を生じ、依然として、感度、明室下での取り扱い性が良く、印刷性に優れた青色半導体レーザー用の平版印刷版の実現が望まれていた。
【0009】
一方、高感度、硬調で保存性の良好な平版印刷版を実現する方法として特開平11−295837号明細書にはコアとシェルとでは配位子の異なるV−VIII族金属錯体を含有するコアシェル型ハロゲン化銀粒子を用いる平版印刷版が提案されている(特開文献4)。また、特開2000−66378号明細書には良好な平版印刷版を実現する方法としてRh、Re、Ru、Cr、Ir、Os等のドーパントを用いる平版印刷版が提案されている(特開文献5)。更に、特開2001−201858号明細書には上記ドーパント、鉄化合物及び含窒素5又は6員環芳香族化合物を用いて青色半導体レーザーを光源とする保存性、印刷性に優れた平版印刷版が提案されている(特開文献6)。しかし、前述したように、単にセーフライト照射後も印刷可能であるというレベルを超えて、明室でのセーフライト下での暴露後も、レーザー感度が変化しない等の実用適性のより向上した平版印刷版が要望されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−338656号公報(第1頁〜第3頁)
【特許文献2】
特開2001−350267号公報(第1頁〜第5頁)
【特許文献3】
特開2001−343751号公報(第1頁〜第2頁)
【特許文献4】
特開平11−295837号公報(第1頁〜第6頁)
【特許文献5】
特開2000−66378号公報(第1頁〜第4頁)
【特許文献6】
特開2001−201858号公報(第1頁〜第5頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、印刷版として高耐刷力で保存安定性に優れた走査露光用平版印刷版を提供することであり、特に青色半導体レーザーを用いた出力機に対して充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ明室下での取り扱いが可能であり、印刷版として高耐刷力で保存安定性が良好な青色半導体レーザー用平版印刷版を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀乳剤及び物理現像核層を有する銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子が全ハロゲン化銀中のロジウムまたは/及びルテニウム化合物の90モル%以上を含有するコア部と、全ハロゲン化銀中のイリジウム化合物の30モル%以上を含有するシェル部からなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤粒子を用いることにより達成された。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコアシェル型ハロゲン化銀乳剤は、コア部とシェル部でドーパントであるイリジウム化合物とロジウム化合物あるいはルテニウム化合物の密度の異なるハロゲン化銀粒子が用いられる。コアのハロゲン組成は塩化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀から選択されるが、好ましくは塩化銀または塩臭化銀であり、臭化銀は30モル%以下であり、好ましくは15モル%以下である。シェルのハロゲン組成は塩化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀から選択されるが、好ましくは塩化銀または塩臭化銀であり、臭化銀は10モル%以下であり、好ましくは4モル%以下である。
【0014】
本発明のコアシェル型ハロゲン化銀粒子は立方体または八面体型が用いられるが、立方体結晶を用いることがより好ましい。ハロゲン化銀の平均粒径は0.10〜0.60μmであり、好ましくは0.15〜0.40μmの範囲である。ハロゲン化銀粒子サイズの統計上の変動係数(投影面積を円近似した場合の直径で表した分布において、標準偏差Sを直径dで除した値S/d)が、20%以下である単分散乳剤がとりわけ特に好ましい。コアは沈殿した全ハロゲン化銀70〜90%を含有するのが好ましく、一方、シェルは沈殿した全ハロゲン化銀の10〜30%からなるのが好ましい。
【0015】
本発明に用いられるロジウム化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物として種々のものを用いることが出来るが、ハロゲン化銀沈殿時には配位子を伴う錯体として取り込まれる。即ちドープされる。配位子としては、米国特許4,835,093号、同4,966,272号、同4,945,035号、同4,981,781号、同5,037,732号、特開平3−118135号、同平3−118136号等に記載の、ハロゲン、アコ(H2O)、ニトロシル、チオニトロシル、シアノ、チオシアノ、アジド(N3)、カルボニル、オキソ等の6配位の配位子が挙げられる。これらの配位子は遷移金属との結合が強く、ハロゲン化銀粒子形成時に配位子を結合した状態でハロゲン化銀粒子中に組み込むこと、すなわちドープする事が出来る。以下に本発明のロジウム、ルテニウム、イリジウム錯体の具体例を示す。
【0016】
RhCl6 3−
Rh(H2O)Cl5 2−
Rh(H2O) 2Cl4 −
Rh(NO) 2Cl4 −
Rh(NO)(H2O)Cl4 −
Rh(NS)Cl5 2−
Rh(CN) 6 3−
Rh(SCN) 6 3−
Rh(CO)Cl5 2−
Ru(NO)Cl5 2−
Ru(NO) 2Cl−
Ru(NO)(H2O)Cl4 −
Ru(NO)(CN) 5 2−
Ru(H2O)Cl5−
Ru(CO)Cl2(H2O) 2−
Ru(CO)Cl4(CN) 3−
IrCl6 3−
IrBr6 3−
Ir(H2O) 2Cl−
Ir(CN) 6 3−
Ir(SCN) 6 3−
Ir(CO)Cl5 2−
Ir(CO)3Br3−
【0017】
本発明のコア−シェル型ハロゲン化銀乳剤粒子に含有されるロジウム、ルテニウム、イリジウム化合物の好ましい含有量はハロゲン化銀1モル当たり10−8モル〜10−4モルの範囲であり、コア部とシェル部での含有量の比率は、ロジウムまたはルテニウムはコア部に全量の90モル%以上を含まれ、好ましくは95モル%以上、最も好ましくはコアのみに含まれシェル部に実質的に含まれないものである。イリジウムはシェル部に30モル%以上が含まれ、好ましくは60モル%以上がシェル部に含まれるものであり、シェル部にのみ含まれていても良い。コアとシェルとで配位子が異なっていても良く、同じであっても良い。ロジウムとルテニウム化合物を同時に用いることもできるが、この場合はロジウム及びルテニウム化合物の合計の90モル%以上がコア部に含まれ、好ましくは95モル%以上、最も好ましくはコア部のみに含まれシェル部に実質的に含まれないものである。
【0018】
本発明の平版印刷版に用いられるコア−シェル型ハロゲン化銀粒子の製造はこれまで知られている様々な方法を用いることができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としてはダブルジェット法やシングルジェット法と組み合わせたダブルジェット法などを用いることができる。ダブルジェット法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。また、英国特許第1,535,016号、特公昭48−36890号、同昭52−16364号等に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子形成速度に応じて変化させる方法や、米国特許第4,242,445号、特開昭55−158124号等に記載されているように水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において早く成長させることが好ましい。これらの方法は、再核発生を起こさず、ハロゲン化銀粒子が均一に成長するために好ましく用いられる。
【0019】
本発明のコアシェル型ハロゲン化銀乳剤は、硫黄増感、セレン増感、テルル増感、貴金属増感、還元増感等の化学増感を単独あるいは組み合わせて用いることもできるが、好ましくは金化合物と硫黄化合物とを併用した、金−硫黄増感である。
【0020】
本発明の平版印刷版は走査露光装置、特に、400〜430nmに発振波長を持った青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも呼ばれている)を搭載した走査型露光装置に適した感度を得る為に、例えば特開平13−350267号等に記載の分光増感色素を用いて青色域を分光増感することが出来る。
【0021】
本発明が対象とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版としては、前述したように、2つのタイプがあり、その両者とも本発明の効果を発現することができる。
【0022】
1つのタイプは、ポリエチレン樹脂を被覆した紙ベースやポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルベースに、ハレーション防止層を兼ねた下塗層、ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層を、この順序で塗設した平版印刷版である。
【0023】
2つ目のタイプは、粗面化及び陽極酸化されたアルミニウム支持体上に、物理現像核を担持させ、その上にハロゲン化乳剤層を塗設した平版印刷版である。この平版印刷版は、更に物理現像核とハロゲン化銀乳剤層の間に適宜中間層を設けることができ、またハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けることができる。
【0024】
ハロゲン化銀乳剤層はバインダーとして主にゼラチンが用いられるが、その一部をデキストリン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の親水性高分子の一種又は二種以上で置換することもできる。ハロゲン化銀乳剤層のゼラチン量は、0.5〜4g/m2程度である。
【0025】
本発明において、物理現像核層には物理現像核として、銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶等を含有する。物理現像核層には、親水性バインダーを含んでいてもいなくても良いが、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子又はそのオリゴマーを含むことが出来、その含有量は0.5g/m2以下であることが好ましい。物理現像核層は、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬を含有してもよく、更にホルマリン、ジクロロ−s−トリアジン等の公知の硬膜剤を含んでいてもよい。
【0026】
前者のタイプは、ハロゲン化銀乳剤層の下にハレーション防止層を通常有する。下塗り層はバインダーとしてゼラチンを0.5〜10g/m2、好ましくは1〜6g/m2含有する。下塗り層にはハレーション防止の目的でカーボンブラック等の顔料、染料等を含み得るし、また耐刷力向上のために平均粒径0.1〜10ミクロンの固形粉末(例えばシリカ粒子)を含み得る。さらに現像主薬等の写真用添加物も含むことが出来る。また下塗り層は特開昭48−5503号、同昭48−100203号、同昭49−16507号公報に記載のようなものであってもよい。更に特開平5−80519号、同5−80517号、同5−66564号の下塗り層への非膨潤性ラテックスを含有してもよい。
【0027】
前者のタイプは、下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層等のゼラチン含有層には、硬膜剤を含有させる。後者のタイプは、現像処理後、ハロゲン化銀乳剤層を水洗除去するため、硬膜剤は含有させないか、含有させても水洗除去に支障のない程度の少量とするのが好ましい。ゼラチンの硬膜剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。
【0028】
硬膜剤はすべての層に添加することも出来、幾つか又は一層にのみ添加することも可能である。勿論、拡散性の硬膜剤は二層同時塗布の場合、何れか一層にのみ添加することが可能である。添加方法は乳剤製造時に添加したり、塗布時にインラインで添加することもできる。
【0029】
本発明の平版印刷版において、下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層等の各塗布層には、塗布助剤として、界面活性剤を含んでいてもよいし、カブリ防止剤、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を含むことが出来る。
【0030】
本発明の平版印刷版の現像後の表面銀層は、任意の公知の表面処理剤でインキ受容性に変換ないしは受容性を増強せしめ得る。このような処理液としては、例えば特公昭48−29723号、米国特許第3,721,559号等に記載されている。印刷方法、あるいは使用する不感脂化液、給湿液等は普通に良く知られた方法によることが出来る。
【0031】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
厚み175μmの下引き済みポリエチレンテレフタレートフィルムの片面(裏面)に導電性カーボン(SD10M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2を含む裏塗り第1層、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子を0.1g/m2、硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウムを含有するマット化層(ゼラチン量1g/m2)の第2層を設けた。その反対側の面(表面)をコロナ放電加工後、下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層を重層塗布した。
【0033】
下塗り層は、ゼラチン3.5g/m2、カーボンブラック、平均粒径3.5μmのシリカ粉末を1.2g/m2、スチレン−ブタジエンラテックス(日本エーアンドエル株式会社製POL752A)2g/m2、及び硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウムを含有する。
【0034】
(コアシェル乳剤の作成)コントロールダブルジェット法により、平均粒径0.30ミクロンの六面体粒子の塩化銀コアと0.01ミクロンの厚みの塩化銀シェルからなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤を作製した。コアとシェルとに本発明のルテニウム化合物として Ru(NO)Cl5 2−を、イリジウム化合物としてIr(H2O) 2Cl4 −を、表1に記載の様にドーピングしたコアシェル乳剤を作成した。ルテニウム化合物及びイリジウム化合物のドーピング量は、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、3.2×10−7モル及び8.6×10−6モルである。混合終了後、脱塩処理した後、化学増感(金−硫黄増感)を施した。ハロゲン化銀乳剤層は更に、1−フェニル−3−ピラゾリドンを0.1g/m2、化1に示す増感色素をハロゲン化銀1モル当たり1.3×10−3モル、硬膜剤としてN−メチロールエチレン尿素、及び界面活性剤を含有する。該ハロゲン化銀乳剤層は、銀量で1.0g/m2(ゼラチン量0.8g/m2含む)となるように塗布された。
【0035】
【化1】
【0036】
下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を塗布乾燥後、40℃で5日間加温後、特開平8−211614号の実施例1に記載の物理現像核塗布液(ポリマーとしてはP−2を使用)を塗布、乾燥して平版印刷版を作成した。
【0037】
上記のようにして作成した平版印刷版について、40℃−1日加温の試料(フレッシュ)と35℃相対湿度70%の条件下で1ヶ月間強制加温した試料を作り、以下のような試験を行った。
【0038】
青色半導体レーザーを用いた出力機として、ESCHER GRAD社製青色半導体レーザー搭載イメージセッターCobalt8CTP(発振波長410nm)を用いて露光し、下記の銀錯塩拡散転写現像液で30℃20秒間現像処理を行って印刷用平版印刷版を作成した。
【0039】
また、明室下での取り扱い性を評価するため、上記フレッシュの試料について、セーフライトとして約450nmより短波長の光を除去した蛍光灯(NEC社製純黄色蛍光灯FL−40SYF/M)を用いて、200ルクスの光が当たるように試料を置き、その条件下で5分間照射した後に、上記と同様に青色半導体レーザーを用いた出力機で露光し、現像処理した。
【0040】
<転写現像液>
水 700ml
水酸化カリウム 8g
水酸化ナトリウム 24g
無水亜硫酸ナトリウム 50g
2−アミノエチル−アミノエタノール 10g
2−メルカプト−5−nヘプチルオキサジアゾール 0.2g
水を加えて1リットルとする。pHは13.4に調整。
【0041】
現像処理後、該原版を2本の絞りローラー間に通し、余分の現像液を除去し、直ちに下記組成を有する中和液で25℃20秒間処理し、絞りローラーで余分の液を除去し室温で乾燥した。
【0042】
<中和液>
水 600ml
リン酸 1.2g
第一リン酸ナトリウム 25g
無水亜硫酸ナトリウム 2.5g
エチレングリコール 5g
2−メルカプト−5−nヘプチルオキサジアゾール 0.1g
ジエタノールアミン 5g
水を加えて1リットルとする。pHは6.0に調整。
【0043】
以上の操作により作成した平版印刷版をオフセット印刷機に装着し、下記の感脂化液を版面にくまなく与え、下記給湿液を用いて印刷を行い、耐刷力を評価した。
【0044】
<感脂化液>
水 600ml
イソプロピルアルコール 400ml
エチレングリコール 50g
3−メルカプト−4−アセトアミド−5−n−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール 1g
【0045】
<給湿液>
o−リン酸 10g
硝酸ニッケル 5g
亜硝酸ナトリウム 5g
エチレングリコール 100g
コロイダルシリカ(20%液) 28g
水を加えて2リットルとする。
【0046】
耐刷力は、リョービ3200CD(リョービK.K社製オフセット印刷機の商標)を使用し、非画像部の地汚れ及び銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。尚インキはABdick3−1012を使用した。印刷試験の結果を表1に示す。ここで、耐刷力の評価は、実用感度及びセーフライト安全性の評価を兼ねている。即ち、実用感度が不足すると、非画像部に析出銀が生じ地汚れの原因となる。また、セーフライト安全性が劣ると、銀画像部の析出銀が不足して画像飛びが生じる。
【0047】
◎:20,000枚以上
○:10,000枚以上〜20,000枚未満
△:5,000枚以上〜10,000枚未満
×:5,000枚未満
【0048】
【表1】
【0049】
上記結果より、本発明の平版印刷版は、青色半導体レーザーを用いた出力機に好適であることが分かる。更に明室条件下での取り扱い性に優れていることが分かる。
【0050】
実施例2
アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は米国特許第5,427,889号公報に記載の方法に従って、平均直径約5μmのプラト−上に直径0.03〜0.30μmのピットを100μm2当たり約5,600個有し、かつ これらのピットの平均直径が0.08μmである厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。このアルミ板は粗面化処理後に陽極酸化したものであり、中心線平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。
【0051】
上記アルミニウム支持体上に、少量の親水性バインダーを含む硫化パラジウムの物理現像核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に含まれるPdS核量は3mg/m2であった。
【0052】
(コアシェル乳剤の作成)コントロールダブルジェット法により、塩化銀85%、臭化銀15%で平均粒径0.20ミクロンの六面体粒子の塩臭化銀コアと塩化銀98%、臭化銀2%で0.01ミクロンの厚みの塩臭化銀シェルからなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤を作製した。コアとシェルとに本発明のロジウム化合物として RhCl6 3−を、イリジウム化合物としてIrCl6 3−を、表2に記載の様にドーピングしたコアシェル乳剤を作成した。ロジウム化合物及びイリジウム化合物のドーピング量は、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1.4×10−6モル及び8.6×10−7モルである。
混合終了後、脱塩処理した後、更に、この乳剤に硫黄金増感を施し、化2に示す増感色素をハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル加えて分光増感した。
【0053】
【化2】
【0054】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に、下記化2のフィルター染料を0.3g/m2と界面活性剤を加え、前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2.5g/m2、ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン)が3g/m2になるように塗布、乾燥して平版印刷材料を得た。
【0055】
上記平版印刷版について、実施例1と同様な方法で評価した。但し、現像処理は、製版用プロセッサー(デュポン社製SLT−85N自動現像機)を用いて処理した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(22℃、15秒間浸漬)、水洗処理工程(33℃の水洗液を12秒間シャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層を剥離する)、仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成されている。用いた現像液、水洗液及び仕上げ液を以下に示す。
【0056】
<現像液>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
モノメチルエタノールアミン 6g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
無水チオ硫酸ナトリウム 6g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g
ポリエチレングリコ−ル(平均分子量400) 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは13.0に調整した。
【0057】
<水洗液>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 20g
重亜硫酸ナトリウム 10g
タンパク質分解酵素 1g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.8に調整した。
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
【0058】
<仕上げ液>
アラビアゴム 10g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 1g
トリエタノールアミン 26g
第1燐酸ナトリウム 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pH6.0に調整した。
【0059】
上記記載の方法で作成された平版印刷版について、実施例1と同様にして印刷し、以下の基準で耐刷力を評価した。その結果を表2に示す。
◎:10万枚以上
○:5万枚以上〜10万枚未満
△:1万枚以上〜5万枚未満
×:1万枚未満
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版は、青色半導体レーザーを用いた出力機に対して充分に焼けるだけの実用感度を有し、かつ明室下での取り扱いが可能であり、印刷版として高耐刷力で保存安定性が良好であり、青色半導体レーザー用平版印刷版としての性能を兼ね備えている。
Claims (2)
- 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核層を有する銀錯塩拡散転写法を利用する平版印刷版において、前記感光性ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子が全ハロゲン化銀中乳剤粒子中のロジウムまたは/及びルテニウム化合物量の90モル%以上を含有するコア部と、全ハロゲン化銀乳剤粒子中のイリジウム化合物の量の30モル%以上を含有するシェル部からなるコアシェル型ハロゲン化銀乳剤粒子であることを特徴とする走査露光用平版印刷版。
- 前記平版印刷版が青色半導体レーザー用である請求項1に記載の走査露光用平版印刷版。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008116447A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-22 | Global Nuclear Fuel Americas Llc | 原子炉のエネルギー出力を向上するための方法、燃料バンドルのための天然ウランブランケット層を決定するための方法、および可変ブランケット層を有する燃料バンドル |
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2002
- 2002-11-18 JP JP2002332970A patent/JP2004170472A/ja active Pending
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