JP2004268451A - ヘッド制御装置、ヘッド制御方法、ヘッド、記録装置、及び、記録方法 - Google Patents

ヘッド制御装置、ヘッド制御方法、ヘッド、記録装置、及び、記録方法 Download PDF

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Akira Mihara
顕 三原
Kenichi Kawachi
賢一 河内
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Abstract

【課題】印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にする記録装置のヘッド制御装置を提供する
【解決手段】コントローラ504に含まれるタイミング・ジェネレータから、昇温ダミーパルスを印加するタイミング信号が発生されるまで待機し(ステップ530)、タイミング信号が発生されたことが判断されると、ラインバッファ506の印字データをデータ反転バッファ508に送信することにより反転する(ステップ532)。データ反転バッファ508の反転データをデータ転送装置510に送信する(ステップ534)。データ転送装置510は、反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを生成し、ヘッド512に印加する(ステップ536)。
【選択図】 図15

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッド制御装置、ヘッド制御方法、ヘッド、記録装置、及び、記録方法に係り、詳細には、インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置におけるヘッド制御装置及びヘッド制御方法、該ヘッド制御装置を有するヘッド及び記録装置、及び、該記録装置における記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置などの記録装置の印字濃度は温度に影響されやすく、環境温度及びヘッド温度の上昇に伴い、印字濃度は上昇する。
【0003】
印字濃度を適正な濃度とするために、従来のインクジェット記録装置は、環境温度、ヘッド温度、及び印字記録密度を検出し、これらに基づき、印字濃度を制御する(例えば、特許文献1)。しかしながら、インクジェット記録装置の記録が高画質である場合には、印字に使用されたノズルと、印字に使用されなかったノズルと、の温度差、ノズルの位置による温度差(例えば、端部では温度が低い)などの、ヘッド内のノズル間の温度差による濃度ムラを解消することはできない。
【0004】
これに対し、印字に使用されるノズルには、予備加熱パルスと印字パルスとを印加し、印字に使用されないノズルに対しては、予備加熱パルスのみを印加することにより、ノズル間の温度差を解消する予備加熱パルス制御方式のインクジェット記録装置がある(特許文献2)。予備加熱パルス制御方式のインクジェット記録装置とは、印字パルスを印加する前に、インクが吐出されないレベルの予備加熱パルスを印加し、インクを加熱しておくことにより、環境温度やヘッド温度が低い場合にも安定した印字を行うものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−217512号公報
【特許文献2】
特開平6−328722号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、予備加熱パルス制御方式のインクジェット記録装置では、ヘッド温度の上昇に伴い、予備加熱パルスのエネルギーを減少させ、所定の温度以上に上昇すると予備加熱パルスを印加しない。したがって、ヘッドの温度が所定の温度に達した場合には、ノズル間の温度差制御は機能しなくなる。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたもので、ノズル間の温度差を所定の範囲内にするヘッド制御装置、ヘッド制御方法、該ヘッド制御装置を有するヘッド、ノズル間の温度差を所定の範囲内にする記録装置、及び、該記録装置における記録方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のヘッド制御装置は、インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置におけるヘッド制御装置であって、前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する。
【0009】
すなわち、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する、ようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0010】
請求項2に記載されるように、請求項1のヘッド制御装置において、レベルは、ヘッドを所定温度に昇温させるレベルであってよい。
【0011】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載のヘッド制御装置において、レベルは、前記昇温ダミーパルスのパルス幅により調整されてもよい。
【0012】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載のヘッド制御装置において、レベルは、昇温ダミーパルスのパルス数により調整されてもよい。
【0013】
請求項5に記載されるように、請求項3または4に記載のヘッド制御装置は、ヘッドの温度を検出する温度検出手段をさらに有し、レベルは、該温度検出手段により検出された温度に基づいて調整されてもよい。
【0014】
請求項6に記載されるように、請求項1〜5に記載のヘッド制御装置は、第1の印字パルスを印加してから、第2の印字パルスを印加するまでの間に、昇温ダミーパルスを印加してもよい。
【0015】
請求項7に記載されるように、請求項1〜6に記載のヘッド制御装置において、印字パルスは、予備加熱パルスを含んでもよい。
【0016】
請求項8に記載されるように、請求項1〜7のヘッド制御装置において、反転データは、昇温ダミーパルスが印加される直前に印加された印字パルスに使用された印字データを反転して生成されてもよい。
【0017】
請求項9に記載されるように、請求項1〜7に記載のヘッド制御装置において、反転データは、昇温ダミーパルスが印加された直後に印加される印字パルスに使用される印字データを反転して生成されてもよい。
【0018】
請求項10に記載されるように、請求項1〜9のヘッド制御装置は、印字データが、印字パルスを印加するデータを含まない場合、昇温ダミーパルスを印加しなくてもよい。
【0019】
請求項11に記載されるように、請求項1〜10に記載のヘッド制御装置のヘッドは、複数のヘッドをアレイ状に配置したヘッドであってもよい。
【0020】
請求項12に記載の記録装置のヘッドは、請求項1〜11に記載のヘッド制御装置を有する。
【0021】
すなわち、請求項1〜11に記載のヘッド制御装置を有するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0022】
請求項13に記載の記録装置は、請求項1〜11に記載のヘッド制御装置を有する。
【0023】
すなわち、請求項1〜11に記載のヘッド制御装置を有するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0024】
請求項14のヘッド制御方法は、インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置におけるヘッド制御方法であって、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する。
【0025】
すなわち、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0026】
請求項15に記載されるように、請求項14のヘッド制御方法において、レベルは、ヘッドを所定温度に昇温させるレベルであってよい。
【0027】
請求項16に記載されるように、請求項15のヘッド制御方法において、レベルは、昇温ダミーパルスのパルス幅により調整されてよい。
【0028】
請求項17に記載されるように、請求項15のヘッド制御方法において、レベルは、昇温ダミーパルスのパルス数により調整されてよい。
【0029】
請求項18に記載されるように、請求項16または請求項17のヘッド制御方法は、ヘッドの温度を検出し、レベルは、検出された該温度に基づいて調整されてもよい。
【0030】
請求項19に記載されるように、請求項14〜18のヘッド制御方法は、第1の印字パルスを印加してから、第2の印字パルスを印加するまでの間に、昇温ダミーパルスを印加してもよい。
【0031】
請求項20に記載されるように、請求項14〜19のヘッド制御方法において、印字パルスは、予備加熱パルスを含んでもよい。
【0032】
請求項21に記載されるように、請求項14〜20のヘッド制御方法において、反転データは、昇温ダミーパルスが印加される直前に印加された印字パルスに使用された印字データを反転して生成されてもよい。
【0033】
請求項22に記載されるように、請求項14〜20のヘッド制御方法において、反転データは、昇温ダミーパルスが印加された直後に印加される印字パルスに使用される印字データを反転して生成されてもよい。
【0034】
請求項23に記載されるように、請求項14〜22のヘッド制御方法は、印字データが、印字パルスを印加するデータを含まない場合、昇温ダミーパルスを印加しなくてもよい。
【0035】
請求項24に記載の記録方法は、インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備え、高画質記録モードを有する、記録装置における記録方法であって、前記高画質記録モードである場合、前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する。
【0036】
すなわち、高画質記録モードである場合、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0037】
請求項25に記載の記録装置は、インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備え、高画質記録モードを有する、記録装置であって、前記高画質記録モードである場合、前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する。
【0038】
すなわち、高画質記録モードである場合、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0039】
請求項26に記載の記録方法は、少なくとも2つの色のインクを吐出するための、該少なくとも2つの色の各々に対応する複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置における記録方法であって、前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを、所定の色についてのみ印加する。
【0040】
すなわち、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを、所定の色についてのみ印加するようにしているので、所定の色について、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる
請求項27に記載の記録装置は、少なくとも2つの色のインクを吐出するための、該少なくとも2つの色の各々に対応する複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置であって、前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを、所定の色についてのみ印加する。
【0041】
すなわち、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを、所定の色についてのみ印加するようにしているので、所定の色について、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態に係る記録装置が適用されたインクジェット記録装置について説明する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
先ず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。
【0043】
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
【0044】
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
【0045】
レジ調整部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
【0046】
記録部20については、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間を用紙が搬送される用紙搬送路が構成されており、用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。記録ヘッド部16とメンテナンス部18は、それぞれユニット化されており、記録ヘッド部16がメンテナンス部18と用紙搬送路を挟んで分離可能に構成されている。したがって、用紙ジャムの場合に、容易にジャムした用紙を取り出すことができる。なお、記録部20については後述するので、詳細な説明を省略する。
【0047】
排紙部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
(記録ヘッド部の構成)
次に、記録ヘッド部16について、図2〜図7を参照して詳細に説明する。図2は、記録ヘッド部16を上側から見た模式図(図8との対応をとりやすくするためにあえて上方から見た平面図とした)である。
【0048】
記録ヘッド部16は、図2に示すように、用紙搬送方向(矢印X方向。以下、搬送方向という場合がある)に対して直交する用紙幅方向(矢印Y方向。以下、幅方向という場合がある)に対して一定の間隔で配置された単位記録ヘッド40が6個配置された記録ヘッドアレイ42が用紙搬送方向に一定間隔で8個配設されることによって基本的に構成されている。
【0049】
単位記録ヘッド40は、図3に示すように、ノズル面40Aにインク吐出するノズル58が一直線上に形成されたものであり、周知のサーマルインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。本第1実施形態では、単位記録ヘッド40はノズル配列密度が800dpiで800ノズルであり、噴射周波数が7.56kHzで、顔料インクを使用するものである。
【0050】
このような単位記録ヘッド40がノズル配列方向が幅方向と一致するように一直線上に後述する共通基板46に6個の単位記録ヘッド40が取り付けられることによって記録ヘッドアレイ42A、42Bが形成されている。
【0051】
記録ヘッドアレイ42A、42Bは、図4に示すように、それぞれ6個の単位記録ヘッド40が一定間隔をおいて配設されたものであり、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは単位記録ヘッド40の配置を幅方向で相互にずらして配置することによって、単位記録ヘッド40のノズル列の一部が記録ヘッドアレイ42A、42B間において重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置されている。このようにオーバーラップ領域OLを設けることによって、印字領域内で印字ができない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドアレイ対42A、42Bの単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴を吐出することによって、用紙に対する一色分の印字を行なうものである。本第1実施形態では、この一対の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせを記録ヘッド44と呼ぶものとする。
【0052】
本第1実施形態の記録ヘッド44では、印字領域が12インチとされており、最大用紙幅PWのA3短手幅(A4長手幅)の297mmよりも広く設定されている。
【0053】
記録ヘッド44は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成であり、必要な場合には該当する記録ヘッドの参照番号にY、M、C、Kの符号を付して(44Y、44M、44C、44Kとして)区別する(図2参照)。以下、他の部材についても同様である。
【0054】
また、図2において、記録ヘッド44Y〜44Kの構成は同一なので、記録ヘッド44Yの構成要素についてのみ参照符号を付し、他の記録ヘッド44M〜44Kの構成要素に対する参照符号を付するのを省略している。
【0055】
記録ヘッド44を構成する記録ヘッドアレイ42Aは、図5に示すように、用紙幅方向に延在する共通基板46Aに6個の単位記録ヘッド40が所定間隔で取り付けられている。
【0056】
すなわち、単位記録ヘッド40は、図4に示すように、共通基板46Aに取り付けられることによりこのノズル列が幅方向に並ぶことになる。
【0057】
また、記録ヘッド部16では、搬送方向に沿って記録ヘッドアレイ42間、最上流側の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、及び最下流側の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に3つのスターホイール群72A〜72Cが配設されている(図2参照)。スターホイール群72A〜72Cは、幅方向に連続して配置された3本のシャフト74A〜74Cに対し所定間隔をおいてそれぞれ6個のスターホイール70が軸支されているものである。この各シャフト74A〜74Cは、両端でスプリング75によって後述する搬送ロール100側に付勢されている。なお、スターホイール70の搬送ロール100側への変位量は、搬送ロール100の表面よりわずかに食いこむ位置で停止するように、規制部材77が配設されている(図6参照)。
【0058】
ここで、スターホイール70同士の幅方向間隔は、最も広い箇所で25.4mmとした。用紙の局所的な浮き・変形を押さえるために50mm以下が望ましいからである。
【0059】
また、スターホイール70がスプリング75によって搬送ロール100に押圧される力は、1個当たり10gfとされている。これは、押圧力が5gfよりも小さいと用紙を搬送ロール100に十分押さえることができず、30gfよりも大きいとスターホイール70が用紙を傷つけるためである。
【0060】
スターホイール70は、図7(A)に示すように、孔部74が形成された円筒形の樹脂製の保持体76と、保持体76に保持されたステンレス製のホイール78から構成されている。
【0061】
保持体76は、軸方向中央で縮径してホイール挿入可能とした第1部材76Aと、縮径部分に嵌合して第1部材76Aと共にホイール78を挟持する第2部材76Bとから構成されている。ホイール78は、外周に歯79が一定間隔で多数形成されている。歯79の先端形状は、鈍角で先端がR形状とされている(図7(B)参照)が、用紙上の未乾燥のインクと接触するため接触面積が極力小さくされていれば良く、例えば、鋭角(図7(C)参照)でも良い。
【0062】
また、ホイール78の厚みは、本第1実施形態では、0.1mmで先端(歯先)の厚みをテーパー加工により0.01〜0.02mm程度に薄くしたものである。また、ホイール78は、SUS631EH材から両面段差エッチングで外形と先端テーパー形状を同時加工して形成したものであり、表面をフッ素樹脂撥水コートしたものである。
【0063】
また、記録ヘッドアレイ42Aでは、各単位記録ヘッド40の隣りにスターホイール70が配置されている。スターホイール70は、共通基板46に嵌合されている支持部材71の先端に板バネ73を介して弾性的に軸支されている(図6参照)。
(メンテナンス部の構成)
記録部20に対して対向配置されるメンテナンス部18の構成を図8〜図12、図13を参照して説明する。図8は、搬送位置からメンテナンス部18を平面視にしたものである。
【0064】
メンテナンス部18は、記録部20と用紙搬送位置を挟んで対向配置されており、図8に示すように、記録部20の各単位記録ヘッド40と対向する位置にメンテナンス装置81が配置されている。メンテナンス装置81は、キャップ部材80とワイピング部材88から構成されている。
【0065】
キャップ部材80は、図9に示すように、矩形状の深さ8mmの凹部82Aが形成されPBT樹脂から形成された受け部82と、受け部82の上部にシリコーンゴム(硬度40Hs)から形成されたゴム部84と、凹部82Aの底面全体に配設されたポリプロピレンとポリエチレンとからなるインク吸収体86とから構成されている。したがって、後述するダミージェットの際、各単位記録ヘッド40のノズル58からキャップ部材80の開口部84Aを介して凹部82Aの内部にインク滴が吐出され、インク吸収体86に吸収される構成である。
【0066】
また、キャップ部材80は、図10に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した6個のキャップ部材80が共通基板300に取りつけられてユニット化され、昇降機構302によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間可能に構成されている。
【0067】
昇降機構302は、駆動モータ304と、駆動モータ304の駆動軸306に取りつけられ、共通基板300の下面に当接される偏心カム308とから構成されている。したがって、駆動モータ304が駆動されることにより偏心カム308が回転し、偏心カム308が当接された共通基板300が単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間する構成である。
【0068】
なお、キャップ部材80の下側には、ノズル面40Aに圧接する際に圧接力を調整するスプリング87が配設されている(図14参照)。したがって、後述するキャッピング動作時にはキャップ部材80が上昇してゴム部84がノズル面40Aに対して圧接してノズル58を含むノズル面40Aを密閉し、インクの乾燥を抑制すると共にゴミ、埃等の付着を防止する。また、後述するワイピング動作時にはキャップ部材80が下降してワイピング部材88を幅方向に移動可能とするものである。
【0069】
さらに、各キャップ部材80の幅方向において隣接する位置には、各単位記録ヘッド40のノズル面40Aをクリーニングするためのワイピング部材88が配設されている(図9、図10参照)。
【0070】
ワイピング部材88は、図9に示すように、幅方向視において略アーチ型の形状をした保持部材90と、保持部材90の上部に配設され搬送方向に延在するワイパー92とから構成されているものである。
【0071】
ワイパー92は熱可塑性ポリマー樹脂(硬度65Hs)から形成され、幅方向厚さW1が0.8mm、搬送方向長さL1が8mmであり、保持部材90からの高さ(自由長)が6mmである。
【0072】
保持部材90はSUS材から形成されている。
【0073】
なお、ワイピング部材88はキャップ部材80の幅方向端部から1mmの位置に配置した。
【0074】
また、ワイピング部材88は、図10に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88が共通基板310に取りつけられてユニット化され、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間及び幅方向に移動可能に構成されている。
【0075】
移動機構312は、共通基板310を幅方向に移動可能に支持するスライダ314と、スライダ314上で共通基板310を幅方向に移動させる駆動モータ316と、スライダ314を昇降させる駆動モータ318とから基本的に構成される。スライダ314は、搬送方向両端に設けられ幅方向に延在するガイド320を備えており、ガイド320に案内された共通基板310が幅方向に移動可能とされている。また、共通基板310の一側面には、ラック322が形成された凸部324が形成されており、スライダ314に取りつけられた駆動モータ316の駆動ギア326と噛合されている。したがって、駆動モータ316の駆動によって共通基板310がスライダ314上を幅方向に移動可能とされている。
【0076】
また、スライダ314の下側には、上下方向に延在するラック330が設けられた凸部332が形成されており、駆動モータ318の駆動ギア334が噛合されている。したがって、駆動モータ318の駆動によってスライダ314が昇降可能とされている。すなわち、スライダ314に支持された共通基板310、ワイピング部材88が一体的に昇降する構成とされている。
【0077】
このように、ワイピング部材88は移動機構312によってノズル面40Aに対して接近離間(昇降)可能に構成されると共に、幅方向に移動可能とされている。すなわち、ワイピング部材88(ワイパー92)は、ホームポジションでは搬送されてくる用紙と干渉しないようにキャップ部材80よりも低い位置に位置している(図11(A)参照)が、ワイピング時には上昇してホームポジションから下降したキャップ部材80を跨いで搬送方向に移動してワイピングを行なう(図11(C)参照)構成とされている。
【0078】
また、記録部20において用紙搬送時にキャップ部材80の凹部82Aに用紙が突入しないように、各キャップ部材80の幅方向両側にガイド部材94が配設されている(図9参照)。ガイド部材94はSUS材から形成され、図9に示すように、搬送方向に延在する水平部94Aと、水平部94Aの両端部から垂直下方に延在する2本の垂直部94Bと、水平部94Aの搬送方向両端部から搬送方向斜め下方に延在するガイド部94C、94Dとから構成される。
【0079】
なお、このガイド部材94の水平部94Aは、単位記録ヘッド間に配設されたスターホイール70と対向配置されている(図2、図8及び図6参照)。したがって、搬送される用紙が、搬送方向における印字位置でスターホイール70によってガイド部材94(水平部94A)に当接され、インク付着などによって変形する用紙をノズル面40Aに対して一定の距離に保つ構成である(図6参照)。
【0080】
続いて、メンテナンス装置81を構成する各部材の本第1実施形態におけるホームポジション(画像印字中で単位記録ヘッド40に対するメンテナンスを行っていない状態における位置)について説明する。
【0081】
キャップ部材80は、記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてゴム部84が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの全体を覆うように、また、平面視においてゴム部84の開口部84A内に単位記録ヘッド40の全ノズル58が位置するように配置されている。
【0082】
ワイピング部材88は、ワイパー92の先端が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてワイパー92の長手(搬送)方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aの搬送方向幅をカバーできる位置で、ワイパー92が単位記録ヘッド40の幅方向端部から1mm離れた位置(記録ヘッドの短手幅方向に対し、清掃できる位置)に配置されている。
【0083】
ガイド部材94は、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてガイド部材94の水平部94Aの搬送方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aをカバーできる位置で、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40の幅方向端部から2mm離れた位置に配設されている。
【0084】
続いて、メンテナンス装置81と単位記録ヘッド40の間に用紙を搬送する構成について説明する。
【0085】
用紙に駆動力を伝達して搬送する搬送ロール100が、メンテナンス部18において搬送方向両端と搬送方向で隣接するキャップ部材80の間にそれぞれ配設されている(図8参照)。搬送用ロール100は、用紙搬送位置を挟んでスターホイール群72A〜72Cの配設位置に対応して配置されており(図6参照)、搬送用ロール100側にスプリング75によって弾性的に押圧されているスターホイール群72A〜72Cのスターホイール70によって搬送用ロール100に用紙が当接され、搬送ロール100から駆動力が伝達されるように構成されている。
【0086】
搬送ロール100は、ケーシング102に軸支される小径部100Aと、小径部100Aよりも径が大きくスターホイール70が当接する大径部100Bとから構成されている(図5参照)。搬送ロール100は、大径部100Bを介して用紙に駆動力を伝達するものであり、摩擦係数が大きくかつ磨耗しにくいものが良い。本第1実施形態では、搬送ロール100は直径10mmの金属(SUS303)ロール表面にアルミナを主成分とするセラミック微粉末をスプレーコートして燒結したものであり、上記条件を満たしている。この加工は、搬送ロール100の大径部100Bにおいて用紙が当接する印字領域のみならず、平ベルト104が張架される非印字領域も同様の加工が施される。
【0087】
なお、搬送ロール100の表面にスターホイール70が接触して刃先が変形することを防止するために、搬送ロール100のスターホイール70に対向する部分には、幅2mm、深さ2mmの周回する溝101(図6参照)を設けている。また、この溝101内へのスターホイール70の進入量が増加することによって、用紙搬送抵抗が増加することを防止するために、スターホイール70の進入量を規制する規制部材77(図6参照)が設けられている。
【0088】
搬送ロール100を駆動する駆動機構は、図12に示すように、単一のモータ106の駆動軸108からアイドラロール110、112を介して全ての搬送ロール100に平ベルト104が巻きかけられているものである。隣接する搬送ロール100間には、アイドラロール114が配設されており、各搬送ロール100(大径部100B)に対する平ベルトの巻きつけ角度を稼いでいる。
【0089】
また、搬送ロール100は、図13に示すように、搬送される用紙が当接される大径部100Bにおいて印字領域外の非印字領域に平ベルト104が巻きかけられている。
【0090】
ここでモータ106を単一とするのは、駆動源が複数存在すると、各モータの駆動速度・変動特性を厳密に均一にするのが困難であり、結果的に用紙速度に各種速度変動成分が重畳し、各モータの速度変動が十分小さくても各速度変動の重畳によって用紙の速度変動が問題になるためである。すなわち、単一の駆動源(モータ106)で複数の搬送ロール100を駆動することによって、用紙の搬送速度を均一にして高画質な印字を達成するものである。
【0091】
平ベルト104は、搬送ロール100に対して歯の噛合い無しで(摩擦力で)駆動伝達するので、特に歯毎の周期的な速度変動などがなく好適である。
【0092】
また、本第1実施形態の平ベルト104は、ポリエステル繊維を織った基材の表面(片面)にポリウレタンを薄膜コートした厚さ0.4mmのものであり、機械的強度と高摩擦性を両立させている。
【0093】
このように、記録部20が構成されることにより、本第1実施形態ではノズル面−用紙間隔が1.5mmに設計され、その間を水平方向に用紙が搬送されるものである。また、印字対象となる最大記録領域(最大用紙幅PW)は、A3短手(A4長手)とされている。また、記録部20のプロセス速度は240mm/sであり、印字解像度=800×800dpi、記録速度が毎分60枚(A4LEF(Long Edge Feed)の場合)とされている。
【0094】
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について説明する。
【0095】
以下、印字動作、メンテナンス動作(ダミージェット、ワイピング、キャッピング)について順次説明する。
【0096】
先ず、印字動作について説明する。
【0097】
印字動作を行なう場合には、用紙供給部12から用紙が供給され、レジ調整部14で用紙の姿勢やタイミングが制御されて記録部20に搬送される。
【0098】
一方、記録部20ではモータ106が駆動され、平ベルト104を介して全搬送ロール100に駆動力が伝達される。
【0099】
したがって、記録部20に到達した用紙は、最も搬送方向上流側にある搬送ローラ100とスターホイール群72A〜72Cの間に挿入される。この際、スプリング75で付勢されたスターホイール群72A〜72Cのスターホイール70が搬送ロール100に用紙を押し付けるため、搬送ロール100から用紙に搬送力が確実に伝達され、一定速度で単位記録ヘッド40の下部に挿入される。以下、記録ヘッドアレイ42間に配設された搬送ロール100から順次、駆動力が伝達されて搬送されていく。
【0100】
この際、全ての搬送ロール100が単一のモータ106で駆動されているため、複数の駆動源で駆動される場合のように複数の駆動源の速度変動が重畳して用紙搬送速度の変動に影響を与えることが回避され、用紙がより一定速度で搬送される。また、画像上で視認しやすい画像欠陥の原因である周期的な速度変動は歯の加工精度等によって生ずることが多いが、平ベルト104を介して(歯の噛合等を介さずに)駆動力が伝達されているため,上記画像欠陥の発生も防止される。さらに、搬送ロール100の用紙が当接される大径部100Bの非印字領域に平ベルト104が巻き掛けられているため、搬送ロール100の加工精度や保持方法(ベアリング等)に起因する芯振れがあっても周期的な速度変動は発生せず、平ベルト104の移動速度(一定速度)で用紙が搬送される。平ベルト104の巻き付け角を稼ぐためにアイドラーロール114を配置する構成では、厳密に言えば、アイドラーロール114の加工精度や保持方法に起因する周期的速度変動が発生するが、アイドラーロール114は比較的小型であり単一材料でよいので安価でかつ高精度に加工することは容易である。一方搬送ロール100はサイズが大きく、構成も例えば芯金と被覆材という複数の材料構成となるので、高精度の加工が困難である。あるいは非常に高価な部品になってしまう。平ベルト104による表面摩擦駆動方式は、搬送ロール100の半径や回転中心が多少ばらついていてもそこに起因する周期的変動は発生しないという効果がある。
【0101】
さらに、スターホイール群72A〜72Cを幅方向で三つに分割し、それぞれのシャフト74A〜74Cの長さを短くしたため、シャフト74A〜74Cの撓みを防止できて、スプリング75で付勢された複数のスターホイール70が均等に用紙を抑える。したがって、用紙に駆動力を均等に伝達することができる。
【0102】
特に、スターホイール70によって用紙を搬送ロール100に押圧しているため、用紙に駆動力が確実に伝達され、一定速度で搬送することができる。特に、静電吸着方式を採用していないため、用紙の厚さや材質などに拘らず安定して搬送することができる。
【0103】
また、幅方向において単位記録ヘッド40間にスターホイール70を配設し、これと対向する位置にガイド部材94を配設しているため、搬送方向における印字(記録ヘッドアレイ42)位置においても、用紙の浮きあがり等を防止して、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
【0104】
逆にいえば、このようにスターホイール70を配置することによって、単位記録ヘッド40に対向する位置にキャップ部材80等のメンテナンス装置81を配置しても、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
【0105】
一方、記録ヘッド部16に対して装置の制御部から印字信号が各単位記録ヘッド40に入力されると、印字信号に応じて該当するノズルの発熱素子が発熱し、ノズル面40Aに対して一定距離とされつつ搬送される用紙に対して、当該ノズルからインク滴が吐出されていく。
【0106】
したがって、記録ヘッドアレイ42Aで印字が行なわれ、続いて記録ヘッドアレイ42Bで印字が行なわれることにより、用紙の当該部分における一色分の印字が終了する。したがって、記録部20で用紙が搬送されるにつれて、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kの順で印字され、フルカラーの印字が行われる。
【0107】
このように、平面性(ノズル面に対する一定距離)が確保され、一定速度で搬送される用紙に対して印字を行なうことにより、高画質な画像を形成することができる。特に、記録部20の搬送中、スターホイール70によって常時平面性が確保されるため、各種厚みの用紙に対して印字中に生ずる用紙の変形を良好に矯正でき、ノズル面40Aに対する距離を一定に維持して高画質な印字を達成できる。
【0108】
特に、記録部20において、搬送ロール100が記録ヘッドアレイ42間に配設され、また最上流の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側及び最下流の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に配設されていると共に、複数の搬送ロ−ル100が単一の駆動源で駆動されるため、用紙が一定速度で確実に搬送され、高画質な印字を達成することができる。
【0109】
次に、ダミージェットの動作について説明する。
【0110】
ダミージェットは、非印字時、あるいは複数の用紙を連続印字中に所定枚数の印字が終了する度に、後続の用紙先端が到達する前に行なう。すなわち、記録ヘッド44Y〜44Kを構成する全単位記録ヘッド40のうち、任意のノズルからキャップ部材80に向かってインク滴の吐出(いわゆるダミージェット)が行なわれる。ダミージェットを行なうのは、全単位記録ヘッド40の全ノズルでも良いし、選択された単位記録ヘッド40、あるいは記録ヘッドアレイ42の全ノズル58でも良いし、さらには所定時間インク滴の吐出を行なっていないノズル58のみでも良い。
【0111】
例えば、複数枚数の用紙連続印字時のダミージェット時におけるノズル面40Aとキャップ部材80の上面との距離を3mmに設定し、30頁(A4)毎に先行する用紙通過後で後続の用紙先端到達前のタイミングで全ノズルから500ドロップ吐出する。
【0112】
この際、キャップ部材80の凹部82Aの底面にインク吸収部材86が配設されているため、吐出されたインクが凹部82Aからあふれたり飛び散ったりすることはない。
【0113】
例えば、単位記録ヘッド40の全ノズルからインク滴の吐出(ダミージェット)を行なうことによって、インク(特に水性インク、溶剤インク)の乾燥による吐出性能の変化を初期化することができる。また、インクがほとんど乾燥しない油性インク、ソリッドインクであっても、印字によってヘッド内部のインク流路等に付着した気泡の排除、あるいはノズル面に付着したゴミの除去を行なうことができ、ノズルのインク滴の吐出性能を初期化することができる。
【0114】
本第1実施形態のように、連続して印字する(搬送されてくる)複数の用紙印字中に、記録ヘッド44やキャップ部材80を移動させることなくダミージェットを行なうことができるため、印字速度(生産性)の向上が達成される。また、ダミージェットによって記録ヘッド44の印字性能が一定に維持され、高画質な印字が可能になる。
【0115】
次にワイピング動作について説明する。
【0116】
ワイピング動作は、印字開始前等に行なう。メンテナンス部18のワイピング部材88によって記録ヘッド40(ノズル面40A)のワイピングが行なわれる。具体的な動作を図11に示す模式図に基づいて説明する。
【0117】
先ず、図10に示す昇降機構302の駆動モータ304が駆動され、偏心カム306の回転によって共通基板300が下降する。また、移動機構312の駆動モータ318が駆動され、スライダ314及びスライダ314に支持された共通基板310が上昇する。すなわち、共通基板300に取りつけられた6個のキャップ部材80がホームポジションから下降(記録ヘッド40から離間する方向に移動)すると共に、共通基板310に取りつけられた6個のワイピング部材88がホームポジションから上昇する(記録ヘッド40のノズル面40A側に移動する)(図11(A)→(B)参照)。
【0118】
本第1実施形態では、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aから6mmの位置まで下降すると共に、ワイピング部材88のワイパー92の先端(上端)がノズル面40Aよりも1.5mm高い位置(以下、当接量1.5mmという)まで上昇する。
【0119】
この結果、ワイピング部材88の保持部材90がキャップ部材80を跨いで幅方向に移動可能になる。また、ワイピング部材88のワイパー92が記録ヘッド40のノズル面40Aと上下方向(図11、矢印Z方向)においてオーバーラップする状態となる(図11(B)参照)。
【0120】
この状態で、図10に示す移動機構312の駆動モータ316を駆動することによって、駆動ギア326に噛合されたラック322を介してスライダ314上を共通基板310が幅方向に移動する。したがって、共通基板310に取り付けられたワイピング部材88が幅方向に移動し、先端がノズル面40Aよりも高い位置とされたワイピング部材88のワイパー92が単位記録ヘッド40のノズル面40Aを摺接しながら移動する。この結果、ノズル面40Aに付着した埃や乾燥したインク等を除去する(図11(C)参照)。この際、ワイピング部材88は、下降したキャップ部材80を跨ぐようにして移動することになる。
【0121】
本第1実施形態では、ワイパー92が当接量1.5mmを維持したままノズル面40Aを摺接するため、ノズル面40Aに付着した汚れを確実に除去する。
【0122】
さらに、ワイピング部材88がノズル面40Aの下部から脱け出して、ワイピング部材88及びガイド部材94の幅方向への移動を完了する(図11(D)参照)。続いて、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわちワイピング部材88を下降させ、ホームポジションの高さまで移動させる(図11(E)参照)。
【0123】
続いて、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわち、ワイピング部材88を一緒に幅方向反対側に移動させ、ホームポジションに復帰させる(図11(F)参照)。さらに、昇降機構302の駆動モータ304を駆動してキャップ部材80を上昇させて記録ヘッド40のノズル面40Aと近接したホームポジションに復帰させることによってワイピング動作を完了する(図11(G)参照)。
【0124】
続いて、キャッピング動作について説明する。
【0125】
キャッピング動作は、非印字状態が長時間継続する場合、あるいは電源OFF時等に行なうものである。具体的には、図10に示す昇降機構302の駆動モータ304を駆動することによって共通基板300を上昇させ、共通基板300に取りつけられたキャップ部材80のゴム部84を記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接させる(図14(A)→(B)参照)。この結果、ノズル面40(ノズル58)の気密性が確保され、インクの増粘、乾燥が防止されると共に、ゴミの付着を防止する。
【0126】
さらに、本第1実施形態の記録ヘッド44は、図4に示すように、短尺の単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることによって構成しているため、大量に生産される安価なデバイス(記録ヘッド)と共通化が可能となり、低価格で全幅印字可能な記録ヘッド40を構成できる。
【0127】
また、記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることにより各記録ヘッドアレイ42A、42Bの構成が簡略化し、製作も高精度調整もより簡易になる。さらに、メンテナンス部(キャップ部材80、ワイピング部材88)の構成も短尺の記録ヘッドで使用されているものと共通化できるというメリットがある。さらにまた、幅方向における単位記録ヘッド間の間隙(空間)を利用して、ノズル面40Aと用紙間の距離を一定にする手段(本第1実施形態のスターホイール70等)を配置可能になる、あるいはキャップ部材80等の配置の設計自由度を増大するという利点がある。
【0128】
さらに、本第1実施形態では、単位記録ヘッド40に対応してキャップ部材80を設けたが、複数の単位記録ヘッド40に対して1つのキャップ部材80を対応させても良い。
【0129】
図15に示すように、記録装置であるインクジェット記録装置10の第1実施形態に関連する部分は、印字するデータを記憶するメモリ502、メモリ502のデータを1ライン分記憶するラインバッファ506、ラインバッファ506のデータを反転して記憶するデータ反転バッファ508、ラインバッファ506及びデータ反転バッファ508のデータをヘッド512へ転送するデータ転送装置510、及び、メモリ502、ラインバッファ506、データ反転バッファ508、データ転送装置510を制御するヘッド制御装置としてのコントローラ504である。
【0130】
ユーザがインクジェット記録装置10を操作し、所定のデータの印字を指示することにより、図16の処理が開始される。なお、文字データだけでなく、画像データのプリントも含めて、プリントを印字と表現する。ステップ522で、コントローラ504の制御により、メモリ502からラインバッファ506に1ライン分の印字データが入力される。ステップ524で、コントローラ504に含まれるタイミング・ジェネレータから、印字パルスを印加するタイミング信号が発生されるまで待機する。タイミング信号が発生されたことが判断されると、ステップ526で、ラインバッファ506の印字データがデータ転送装置510に送信される。データ転送装置は、印字データに基づいて印字パルスを生成し、ヘッド512に印加する。
【0131】
すなわち、図17(B)の区間Aに示されるような印字パルスがヘッド512に印加され、図17(A)の破線A上に示されるような印字が印字データに基づいて行われる。黒丸で示されるドット542が、印字パルスを印加されたヘッド512のノズルから吐出されたインクによる印字を示す。
【0132】
ステップ530で、コントローラ504に含まれるタイミング・ジェネレータから、昇温ダミーパルスを印加するタイミング信号が発生されるまで待機し、タイミング信号が発生したことが判断されると、ステップ532で、ラインバッファ506の印字データをデータ反転バッファ508に送信することにより反転する。ステップ534で、データ反転バッファ508の反転データをデータ転送装置510に送信する。ステップ536で、データ転送装置は、反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを生成し、ヘッド512に印加する。
【0133】
すなわち、図17(B)の区間Bに示されるような昇温ダミーパルスがヘッド512に印加され、図17(A)の破線B上に示されるようなヘッド512の昇温が反転データに基づいて行われる。白丸で示されるドット544が、昇温ダミーパルスを印加されたヘッド512のノズルの昇温を示す。
【0134】
ステップ538で、すべての印字データが印字されたか否かが判断され、すべてのデータが印字されていないと判断された場合には、ステップ522〜538の処理が繰り返される。すべてのデータが印字されたと判断された場合には処理は終了する。
【0135】
すなわち、複数のノズルにインクを吐出させるために、印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0136】
したがって、印字を行った後に、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加することにより、印字に使用されなかったノズル、すなわち、ステップ528において、印字パルスが印加されず、印字に使用されたノズルより温度が低いノズルの温度を上昇させる。
【0137】
昇温ダミーパルスのレベルは、印字に使用されたノズルの温度と、印字に使用されなかったノズルの温度との差が所定の範囲内になるようなレベル、すなわち、ヘッドの温度が所定の温度になるようなレベルであってよい。昇温ダミーパルスのレベルは、図17(B)の区間Bの昇温ダミーパルスのように区間Aの印字パルスよりも幅を短くすることにより、すなわち、パルス幅により調整されてもよく、図17(C)の区間Bの昇温ダミーパルスのようにパルス数により調整されてもよい。
【0138】
インクジェット記録装置が予備加熱パルス方式である場合には、図17(B)及び(C)の区間Aの印字パルスが印字される前に予備加熱パルスが印加される。
【0139】
インクジェット記録装置がヘッドの温度を検出する温度検出手段を有している場合、ヘッド温度が所定の温度である場合には、昇温ダミーパルスのレベルは、検出されたヘッド温度に基づいて調整されてもよい。ヘッド温度が所定の温度を越える場合には、昇温ダミーパルスを印加しないようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に、図18及び図19を参照して、第2実施形態の作用を説明する。第2実施形態の構成は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、作用に関しても、第1実施形態と同様の部分については、図16及び図17と同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0140】
第2実施形態は、印字データに基づいて印字パルスが印加される前に、該印字データの反転データに基づいて昇温ダミーパルスが印加される点で、第1実施形態と異なる。
【0141】
ステップ552で、コントローラ504に含まれるタイミング・ジェネレータから、昇温ダミーパルスを印加するタイミング信号が発生されるまで待機し、タイミング信号が発生されことが判断されると、ステップ554で、ラインバッファ506の印字データをデータ反転バッファ508に送信することにより反転する。ステップ556でデータ反転バッファ508の反転データをデータ転送装置510に送信する。ステップ558で、データ転送装置510は、反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを生成し、ヘッド512に印加する。このように、昇温ダミーパルスは、該昇温ダミーパルスが印加された直後に印加される印字パルスに使用される印字データを反転して生成される。
【0142】
すなわち、図19(B)の区間Bに示されるような昇温ダミーパルスがヘッド512に印加され、図19(A)の破線B上に示されるようなヘッド512の昇温が反転データに基づいて行われる。白丸で示されるドット544が、昇温ダミーパルスを印加されたヘッド512のノズルの昇温を示す。
【0143】
ステップ560で、コントローラ504に含まれるタイミング・ジェネレータから、印字パルスを印加するタイミング信号が発生されるまで待機し、タイミング信号が発生されたことが判断されると、ステップ562で、ラインバッファ506の印字データがデータ転送装置510に送信される。ステップ564で、データ転送装置は、印字パルスに基づいて印字パルスを生成し、ヘッド512に印加する。
【0144】
すなわち、図19(B)の区間Aに示されるような印字パルスがヘッド512に印加され、図19(A)の破線A上に示されるような印字が印字データに基づいて行われる。黒丸で示されるドット542が、印字パルスを印加されたヘッド512のノズルから吐出されたインクによる印字を示す。
【0145】
このように、複数のノズルにインクを吐出させるために、印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0146】
したがって、印字を行う前に、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加することにより、印字に使用されないノズル、すなわち、ステップ564において、印字パルスが印加されず、印字の後では、印字に使用されたノズルより温度が低くなるであろうノズルの温度を上昇させる。
【0147】
昇温ダミーパルスのレベルは、印字に使用されるノズルの温度と、印字に使用されないノズルの温度との差が所定の範囲内になるようなレベル、すなわち、ヘッドの温度が所定の温度になるようなレベルであってよい。昇温ダミーパルスのレベルは、図19(B)の区間Bの昇温ダミーパルスのように区間Aの印字パルスよりも幅を短くすることにより、すなわち、パルス幅により調整されてもよく、図19(C)の区間Bの昇温ダミーパルスのようにパルス数により調整されてもよい。
【0148】
インクジェット記録装置が予備加熱パルス方式である場合には、図19(B)及び(C)の区間Aの印字パルスが印字される前に予備加熱パルスが印加される。
【0149】
インクジェット記録装置がヘッドの温度を検出する温度検出手段を有している場合、ヘッド温度が所定の温度である場合には、昇温ダミーパルスのレベルは、検出されたヘッド温度に基づいて調整されてもよい。ヘッド温度が所定の温度を越える場合には、昇温ダミーパルスを印加しないようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、図20を参照して、第3実施形態の作用を説明する。第3実施形態の構成は、第1及び第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、作用に関しても、第2実施形態と同様の部分については、図18と同様の参照符号を付して説明を省略する。
【0150】
第3実施形態は、印字データが印字パルスを印加させないデータであるか否かを判断し、印字パルスを印加させないデータである場合には、ステップ554〜558の昇温ダミーパルスを印加するための処理を行わない点で、第2実施形態と異なる。
【0151】
ステップ552で、コントローラ504に含まれるタイミング・ジェネレータから、昇温ダミーパルスを印加するタイミング信号が発生されるまで待機し、ステップ572で、印字データの全コラムが白を示すデータであるか否かを判断する。印字データの全コラムが白を示すデータではない、すなわち、印字パルスを印加させるデータである場合は、ステップ554〜558の昇温ダミーパルスを印加するための処理を行う。
【0152】
印字データの全コラムが白を示すデータである、すなわち、印字パルスを印加させないデータである場合は、ステップ554〜558の昇温ダミーパルスを印加するための処理を行わない。
【0153】
すなわち、複数のノズルにインクを吐出させるために、印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【0154】
したがって、印字を行う前に、印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加することにより、印字に使用されなかいノズル、すなわち、ステップ564において、印字パルスが印加されず、印字の後では、印字に使用されたノズルより温度が低くなるであろうノズルの温度を上昇させる。
【0155】
さらに、印字データの全コラムが白を示すデータである、すなわち、印字パルスを印加させないデータである場合は、印字パルスによってヘッド512の温度が上昇することがないので、ステップ554〜558の昇温ダミーパルスを印加する処理を行わないことにより、印字時間を短縮することができる。
【0156】
インクジェット記録装置がヘッドの温度を検出する温度検出手段を有している場合、ヘッド温度が所定の温度である場合には、昇温ダミーパルスのレベルは、検出されたヘッド温度に基づいて調整されてもよい。ヘッド温度が所定の温度を越える場合には、昇温ダミーパルスを印加しないようにしてもよい。
【0157】
なお、第3実施形態は、第2実施形態において、印字データが印字パルスを印加させないデータであるか否かを判断し、印字パルスを印加させないデータである場合には、ステップ554〜558の昇温ダミーパルスを印加するための処理を行わないものであるが、本発明はこれに限定されず、第1実施形態において、印字データが印字パルスを印加させないデータであるか否かを判断し、印字パルスを印加させないデータである場合には、ステップ532〜536の昇温ダミーパルスを印加するための処理を行わないようにしてもよい。
【0158】
なお、本発明の第1〜第3実施形態は、プログラムなどのソフトウェアにより実施されてもよいし、集積回路素子などのハードウェアにより実施されてもよい。また、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実施されてもよい。
【0159】
インクジェット記録装置が高画質モードを有する場合には、高画質モードでの印字が指示された場合にのみ、第1〜第3実施形態における昇温ダミーパルスを印加する処理が行われてもよい。
【0160】
ヘッド512は、単位記録ヘッド40、記録ヘッド44、記録ヘッドアレイ42、または記録ヘッド部16、及び、これらのバリエーションなどであってよいが、インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドであればこれらに限定されるものではない。
【0161】
インクジェット記録装置が少なくとも2つの色のインクを吐出するための、該少なくとも2つの色の各々に対応する複数のノズルを有するヘッドを備えている場合、すなわち、記録ヘッド部16である場合などには、所定の色についてのみ、第1〜第3実施形態における昇温ダミーパルスを印加する処理が行われてもよい。例えば、ヘッドがイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのインクを吐出するための複数のノズルを有する場合、マゼンダ、シアン、ブラックについてのみ、第1〜第3実施形態における昇温ダミーパルスを印加する処理を行うようにしてもよい。イエローは、他の色に比べて色ムラが目立たないため、イエロー以外の色に昇温ダミーパルスを適用することにより画質を向上させることができるとともに、全色に昇温ダミーパルスを適用しないことにより印字時間を短くすることができる。
【0162】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のヘッド制御装置は、複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するようにしているので、印字に使用されるノズルと印字に使用されないノズルとの間の温度差を所定の範囲内にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る記録ヘッド部の概略平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る単位記録ヘッドの平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドアレイの構成説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る記録部の縦断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る記録部の要部側面図である。
【図7】(A)はスターホイールの断面図であり、(B)は側面図、(C)は他の例に係る側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るメンテナンス部の概略平面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るメンテナンス部の要部を説明するための斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係るメンテナンス部の昇降機構及び移動機構の説明図である。
【図11】(A)〜(G)は、本発明の第1実施形態に係る記録装置におけるワイピング動作説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る記録装置の駆動機構説明図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図14】(A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る記録装置におけるキャッピング動作説明図である。
【図15】インクジェット記録装置の構成の本発明の第1実施形態にかかる部分を示す図である。
【図16】本発明の第1実施形態の作用を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第1実施形態の印字パルス及び昇温ダミーパルスを示す図である。
【図18】本発明の第2実施形態の作用を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第2実施形態の印字パルス及び昇温ダミーパルスを示す図である。
【図20】本発明の第3実施形態の作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
502 メモリ
504 コントローラ
506 ラインバッファ
508 データ反転バッファ
510 データ転送装置
512 ヘッド

Claims (27)

  1. インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置におけるヘッド制御装置であって、
    前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するヘッド制御装置。
  2. 前記レベルは、前記ヘッドを所定温度に昇温させるレベルである請求項1に記載のヘッド制御装置。
  3. 前記レベルは、前記昇温ダミーパルスのパルス幅により調整される請求項2に記載のヘッド制御装置。
  4. 前記レベルは、前記昇温ダミーパルスのパルス数により調整される請求項2に記載のヘッド制御装置。
  5. 前記ヘッドの温度を検出する温度検出手段をさらに有し、
    前記レベルは、前記温度検出手段により検出された温度に基づいて調整される、
    請求項3または4に記載のヘッド制御装置。
  6. 第1の印字パルスを印加してから、第2の印字パルスを印加するまでの間に、前記昇温ダミーパルスを印加する請求項1〜5のいずれか1項に記載のヘッド制御装置。
  7. 前記印字パルスは、予備加熱パルスを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のヘッド制御装置。
  8. 前記反転データは、前記昇温ダミーパルスが印加される直前に印加された前記印字パルスに使用された印字データを反転して生成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のヘッド制御装置。
  9. 前記反転データは、前記昇温ダミーパルスが印加された直後に印加される前記印字パルスに使用される印字データを反転して生成される、請求項1〜7に記載のヘッド制御装置。
  10. 前記印字データが、前記印字パルスを印加するデータを含まない場合、前記昇温ダミーパルスを印加しない請求項1〜9のいずれか1項に記載のヘッド制御装置。
  11. 前記ヘッドは、複数のヘッドをアレイ状に配置したヘッドである請求項1〜10のいずれか1項に記載のヘッド制御装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のヘッド制御装置を有する記録装置のヘッド。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のヘッド制御装置を有する記録装置。
  14. インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置におけるヘッド制御方法であって、
    前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加するとともに、前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、該印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加するヘッド制御方法。
  15. 前記レベルは、前記ヘッドを所定温度に昇温させるレベルである請求項14に記載のヘッド制御方法。
  16. 前記レベルは、前記昇温ダミーパルスのパルス幅により調整される請求項15に記載のヘッド制御方法。
  17. 前記レベルは、前記昇温ダミーパルスのパルス数により調整される請求項15に記載のヘッド制御方法。
  18. 前記ヘッドの温度を検出し、
    前記レベルは、検出された前記温度に基づいて調整される、
    請求項16または17に記載のヘッド制御方法。
  19. 第1の印字パルスを印加してから、第2の印字パルスを印加するまでの間に、前記昇温ダミーパルスを印加する請求項14〜18のいずれか1項に記載のヘッド制御方法。
  20. 前記印字パルスは、予備加熱パルスを含む請求項14〜19のいずれか1項に記載のヘッド制御方法。
  21. 前記反転データは、前記昇温ダミーパルスが印加される直前に印加された前記印字パルスに使用された印字データを反転して生成される、請求項14〜20のいずれか1項に記載のヘッド制御方法。
  22. 前記反転データは、前記昇温ダミーパルスが印加された直後に印加される前記印字パルスに使用される印字データを反転して生成される、請求項14〜20に記載のヘッド制御方法。
  23. 前記印字データが、前記印字パルスを印加するデータを含まない場合、前記昇温ダミーパルスを印加しない請求項14〜22のいずれか1項に記載のヘッド制御方法。
  24. インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備え、高画質記録モードを有する、記録装置における記録方法であって、
    前記高画質記録モードである場合、
    前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、
    前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する、
    記録方法。
  25. インクを吐出するための複数のノズルを有するヘッドを備え、高画質記録モードを有する、記録装置であって、
    前記高画質記録モードである場合、
    前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、
    前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを印加する、
    記録装置。
  26. 少なくとも2つの色のインクを吐出するための、該少なくとも2つの色の各々に対応する複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置における記録方法であって、
    前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、
    前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを、所定の色についてのみ印加する、
    記録方法。
  27. 少なくとも2つの色のインクを吐出するための、該少なくとも2つの色の各々に対応する複数のノズルを有するヘッドを備えた記録装置であって、
    前記複数のノズルにインクを吐出させるために、該印字データに基づいて、印字パルスを印加し、
    前記複数のノズルの各ノズルの温度差が所定範囲内になるように、前記印字データを反転して生成された反転データに基づきインクを吐出させないレベルの昇温ダミーパルスを、所定の色についてのみ印加する、
    記録装置。
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