JP2015202618A - 画像形成装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッド駆動回路の消費電力を抑制することができる新規な画像形成装置を提供する。【解決手段】記録用紙の幅方向に複数の印字ヘッドが並設された画像形成装置であって、画像データ500の印字に関与する印字ヘッドのノズルを事前に判定するノズル判定手段と、画像データ500の印字に関与するノズルの中から空吐出を実施するノズルを決定する空吐出実施ノズル決定手段と、空吐出実施ノズル決定手段が決定したノズルの空吐出を画像データ500の印字を実行する前に実施する空吐出実施手段と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、画像形成装置における空吐出の制御に関する。
ライン式インクジェットプリンタは、記録用紙の幅方向に並設された複数の印字ヘッドを同時に駆動することで行単位で印刷を行う画像形成装置である。ライン式インクジェットプリンタは、1つの印字ヘッドを記録用紙の幅方向(主走査方向)に移動させて印字を行うシリアル機と比較してそのヘッドの駆動周波数が低いため、印刷時におけるヘッド駆動回路の消費電力は小さい。
一方、インクジェットプリンタは、印字ヘッドの性能を維持・回復するための維持回復動作として、印刷前あるいは紙間において画像形成に寄与しないインク滴の吐出(空吐出)を行うことで増粘したインクをノズルから排出する。ただし、ライン式インクジェットプリンタの場合、この空吐出を複数の印字ヘッドについて実施しなければならない関係で、空吐出に係るヘッド駆動回路の消費電力が過大になるという問題があった。
この点につき、特開2005−238780号公報(特許文献1)は、ヘッド温度に応じて必要な空吐出の回数を決定することで空吐出の頻度を低減するインクジェット方式画像形成装置を開示する。
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、ヘッド駆動回路の消費電力を抑制することができる新規な画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者は、ヘッド駆動回路の消費電力を抑制することができる新規な画像形成装置につき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、記録用紙の幅方向に複数の印字ヘッドが並設された画像形成装置であって、画像データの印字に関与する印字ヘッドのノズルを事前に判定するノズル判定手段と、前記画像データの印字に関与するノズルの中から空吐出を実施するノズルを決定する空吐出実施ノズル決定手段と、前記空吐出実施ノズル決定手段が決定したノズルの空吐出を前記画像データの印字を実行する前に実施する空吐出実施手段と、を含む画像形成装置が提供される。
上述したように、本発明によれば、ヘッド駆動回路の消費電力を抑制することができる新規な画像形成装置が提供される。
第1実施形態のインクジェット式画像形成装置の内部構成を示す図。 印字ヘッドの配置態様を示す図。 空吐出の実施対象ノズルを決定する方法を説明するための概念図。 空吐出を分割して実施する方法を説明するための概念図。 第1実施形態における空吐出制御を示すフローチャート。 第1実施形態のインクジェット式画像形成装置のシステム構成図。 第1実施形態のインクジェット式画像形成装置の機能ブロック図。 第2実施形態のインクジェット式画像形成装置のシステム構成図。 実施対象ノズル数を低減するための低減係数αを設定するための処理を示すフローチャート。 第2実施形態における空吐出制御を示すフローチャート。 第2実施形態のインクジェット式画像形成装置の機能ブロック図。
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態であるライン式のインクジェット式画像形成装置100の内部構成を示す。図1に示すように、本実施形態のインクジェット式画像形成装置100においては、給紙トレイ102の記録用紙積載部(圧板)上に積載された記録用紙101が、給紙コロ104とこれに対向して付勢した状態で設けられる分離パッド105によって記録用紙積載部から1枚ずつ搬送部に分離給送される。
搬送部は、記録用紙を静電吸着して搬送するための搬送ベルト106と、記録用紙積載部から給送される記録用紙を90°方向転換させて搬送ベルト106上に倣わせるための搬送ガイド107と、押さえ部材で搬送ベルト106側に付勢された先端加圧コロ108と、搬送ベルト106の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ109を備えている。なお、帯電ローラ109は、搬送ベルト106の表層に接触し、搬送ベルト106の回動に従動して回転するように配置されている。
無端状ベルトである搬送ベルト106は、搬送ローラ110とテンションローラ111との間に掛け渡されており、矢線で示すベルト搬送方向に周回するように構成されている。搬送ベルト106の上方には複数の印字ヘッド112が矢線で示すベルト搬送方向の垂直方向(紙面奥行き方向)に並んで配置されており、インク供給管103から供給されたインクが複数の印字ヘッド112から搬送ベルト106上を搬送される記録用紙101に対して一斉に吐出されるように構成されている。
図2は、インクジェット式画像形成装置100に搭載される8つの印字ヘッド112(ヘッド1〜8)の配置態様を示す。図2に示すように、ライン式を採用するインクジェット式画像形成装置100においては、8個の印字ヘッド112が記録用紙の幅方向(用紙搬送方向の垂直方向)に4個ずつ2列に並設されており、8個の印字ヘッド112のそれぞれが固定された位置でインクの吐出を行うことによって行単位の印字を実現するように構成されている。なお、図2に示す態様はあくまで例示であり、印字ヘッドの数は8個に限定されない。ここで、各印字ヘッド112には、図2に拡大して示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインクを吐出するためのノズルが一列ずつ計4列配置されている。なお、図2に示す態様はあくまで例示であり、ノズルの配列は千鳥配列であってもよい。
印字ヘッド112の印写領域に対応する搬送ベルト106の裏側には、図示しないガイド部材が配置されており、当該ガイド部材が搬送ベルト106を押し上げることによって搬送ベルト106の高精度な平面性を維持するように構成されている。
印字ヘッド112から吐出されるインクによって印字された記録用紙101は、分離爪113によって搬送ベルト106から分離され、排紙トレイ114にストックされる。なお、装置本体の背面部に着脱自在に装着される両面給紙ユニット115は、搬送ベルト106の逆方向回転で戻される記録用紙101を取り込んで反転させ再度搬送ベルト106に供給するように構成されている。
以上、本実施形態のインクジェット式画像形成装置100の内部構成について概説したが、次に、本実施形態における空吐出の制御について説明する。
本実施形態のインクジェット式画像形成装置100は、印字ヘッドの性能を維持・回復するための維持回復動作として、印字前や複数ページを連続して印字する場合の紙間において、画像形成に寄与しないインク滴の吐出を行うことで増粘(変質)したインクをノズルから排出する。以下、このようなインク滴の吐出を“空吐出”という。本実施形態では、維持回復動作において、全ての印字ヘッド112の全てのノズルについて一律に空吐出を行うのではなく、画像データの印字に関与しないノズルの空吐出を省略することで空吐出の回数を必要最小限に抑える。加えて、画像データの印字に関与する全てのノズルの空吐出を一斉に行うのでなく、所定数毎に分割して空吐出を行うことで、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力を抑制する。以下、その内容を具体的に説明する。
ここでは、図3に示す画像データ500を印字する直前の期間に実施する空吐出を例にとって説明する。なお、ここでいう直前の期間とは、画像データ500が複数ページからなる印刷データの一部である場合は、画像データ500の直前の他の画像データの印字が終了してから画像データ500の印字が開始される前までの期間(すなわち、紙間)を意味する。
ここで、画像データ500は、その印字に使用されるインクの種類から、記録用紙の幅方向に沿って5つの領域に分割することができる。具体的には、図3に示すように、紙面左側から順番に、全色を使用しない領域(以下、全色不使用領域という)、全色を使用する領域(以下、全色使用領域という)、シアン(C)のみを使用する領域(以下、Cのみ使用領域という)、マゼンタ(M)のみを使用する領域(以下、Mのみ使用領域という)、全色不使用領域の5つの領域に分けることができる。
ここで、図3においては、画像データ500とその印字を担当する8個の印字ヘッド112(ヘッド1〜8)のノズルの位置を対応づけて示している。図3に示す例では、ヘッド1は「全色不使用領域」と「全色使用領域」を印字する予定にあり、ヘッド2とヘッド3は「全色使用領域」を印字する予定にあり、ヘッド4は「全色使用領域」と「Cのみ使用領域」を印字する予定にあり、ヘッド5は「Cのみ使用領域」を印字する予定にあり、ヘッド6は「Cのみ使用領域」と「Mのみ使用領域」を印字する予定にあり、ヘッド7は「Mのみ使用領域」を印字する予定にあり、ヘッド8は「Cのみ使用領域」と「全色不使用領域」を印字する予定にあることが見て取れる。
この場合、本実施形態においては、空吐出の実施対象となるノズルを以下のように決定する。すなわち、ヘッド1においては、「全色不使用領域」を印字する予定の全てのノズルの空吐出を省略し、「全色使用領域」を印字する予定の全てのノズル(4色)を空吐出の対象とする。このことを示すために、図3では、ヘッド1につき、空吐出を省略するノズルを白抜きの円で示し、空吐出の対象とするノズルを吐出するインクの色で塗りつぶした円で示している(以下、他のヘッドについても同様)。
また、ヘッド2およびヘッド3においては、全てのノズル(4色)を空吐出の対象とする。また、ヘッド4においては、「全色使用領域」に関与する全てのノズル(4色)を空吐出の対象とし、「Cのみ使用領域」を担当する予定のノズルのうちシアン(C)のノズルのみを空吐出の対象とする。また、ヘッド5においては、シアン(C)のノズルのみを空吐出の対象とする。また、ヘッド6においては、「Cのみ使用領域」を担当する予定のノズルのうちシアン(C)のノズルのみを空吐出の対象とし、「Mのみ使用領域」を担当する予定のノズルのうちマゼンタ(M)のノズルのみを空吐出の対象とする。また、ヘッド7においては、マゼンタ(M)のノズルのみを空吐出の対象とする。また、ヘッド8においては、「Mのみ使用領域」を担当する予定のノズルのうちマゼンタ(M)のノズルのみを空吐出の対象とし、「全色不使用領域」を担当する予定の全てのノズルの空吐出を省略する。
上述したように、第1実施形態によれば、直後に印字する予定の画像データの印字に使用されるノズルを事前に判定し、それ以外のノズルの空吐出を省略することで、空吐出に係る消費電力を必要最小限に抑えることができる。
加えて、本実施形態においては、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力を抑制するために、空吐出の実施対象とされた全ノズルの空吐出を複数回に分けて時間をずらして実施する。具体的には、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力の許容値を予め決めておき、当該許容値を超えない範囲で同時に空吐出を実施することができるノズル数の最大値[Nmax]を事前に求めておく。その上で、空吐出の実施対象となる全ノズルにつき、順次、[Nmax]個ずつ空吐出を実施する。
仮に、[Nmax]=22とした場合、図3に示したヘッド4の59個の実施対象ノズルは、図4に示すように、3つのノズル群(22個、22個、15個)に分割され、3回に分けて時間をずらして空吐出が実施される。なお、実際には、複数のヘッド112の全実施対象ノズルを[Nmax]に基づいて分割することになるので、例えば、図3に示す例では、8個のヘッド112について決定された実施対象ノズル(合計253個)を[Nmax]=22で分割した場合、22個のノズルからなるノズル群が11個と、11個のノズルからなるノズル群が1個の、合計12個のノズル群が定義される。したがって、2以上のヘッドを跨ってノズル群が定義されることも当然ありうる。
上述したように、第1実施形態によれば、空吐出の実施対象とされた全ノズルの空吐出を複数回に分けて時間をずらして実施するので、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力を抑制することができる。
以上、本実施形態における空吐出の制御の内容について説明してが、本実施形態における空吐出制御の具体的なフローについて、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。以下の説明においては、図6に示すインクジェット式画像形成装置100のシステム構成図を適宜参照するものとする。なお、図6においては、専ら、本発明の要旨に関係する構成要素を示し、その余の構成要素についてはその図示を省略している。
最初に、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力の許容値を超えない範囲で同時に空吐出を実施することができるノズル数の最大値[Nmax]をASIC10にセットする(ステップ101)。
PC300として例示される外部装置から印刷データが画像形成装置100に入力されたことを受けて、ASIC10は、当該印刷データから画像データを抽出してメモリIC12に格納する。その後、ASIC10は、メモリIC12に格納した画像データの内容に基づいて、図3で説明した手順で空吐出の実施対象ノズルを決定し、その数[N]をカウンタにセットする(ステップ102)。
続くステップ103では、ステップ102でセットしたカウンタの値[N]が[Nmax]以下であるか否かが判断され、[N]が[Nmax]以下であると判断した場合は(ステップ103、Yes)、ステップ104に進んで[N]個のノズルからなるノズル群の空吐出を一斉に実施して、処理を終了する。一方、ステップ103において、カウンタの値[N]が[Nmax]以下でないと判断した場合は(ステップ103、No)、処理はステップ105に進む。
ステップ105では、ステップ102で決定した実施対象ノズルの中から、空吐出が済んでいない[Nmax]個のノズルからなるノズル群の空吐出を一斉に実施する。その後、現時点のカウンタの値から[Nmax]を減分してカウンタ値を更新した後(ステップ106)、再び、ステップ103に戻る。上述した一連の処理は、ステップ103において、カウンタの値[N]が[Nmax]以下であると判断されるまで繰り返され、カウンタの値[N]が[Nmax]以下であると判断された時点で(ステップ103、Yes)、[N]個のノズル(すなわち、最後のノズル群)の空吐出を一斉に実施して(ステップ104)、処理を終了する。
上述した一連の処理は、具体的には、以下のように実施される。すなわち、ASIC10は、画像データの内容に基づいて実施対象ノズルを決定し、これらを[Nmax]個ずつ順番に空吐出させるためのヘッド制御信号を生成する。ASIC10は、生成したヘッド制御信号をヘッド駆動波形とともにヘッドドライバ14に送信する。ヘッドドライバ14は、ASIC10から受信したヘッド制御信号とヘッド駆動波形からノズル毎のヘッド駆動波形を生成して印字ヘッド112に出力する。その結果、当該画像データの印字前の期間に、ステップ102で決定した全ノズルについて、[Nmax]個ずつ順番に空吐出が実施される。
図7は、上述した第1実施形態のインクジェット式画像形成装置100における空吐出制御手段を構成する機能ブロックを示す。図7に示すように、第1実施形態のインクジェット式画像形成装置100における空吐出制御手段は、ノズル判定部20と、空吐出実施ノズル決定部22と、空吐出実施部24を含んで構成される。本実施形態においては、ノズル判定部20が画像データの印字に関与する印字ヘッドのノズルを事前に判定し、空吐出実施ノズル決定部22が画像データの印字に関与するノズルの中から空吐出を実施するノズルを決定する。そして、空吐出実施部24は、空吐出実施ノズル決定部22が決定したノズルの空吐出を画像データの印字を実行する前に記憶部25に設定された[Nmax]の値に基づいて分割実施する。なお、上述した各機能部は、図6に示したASIC10、メモリIC12およびヘッドドライバ14の協働によって実現される。
以上、画像データの印字に関与するノズルを空吐出の実施対象ノズルとし、且つ、その空吐出を複数回に分けて実施することによって、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力を抑制する本発明の第1実施形態について説明してきたが、上述した第1実施形態の構成に対して、装置内の温度状態に応じて実施対象ノズルの数を低減するための構成を追加したことを特徴とする本発明の第2実施形態について説明する。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態であるライン式のインクジェット式画像形成装置200の機能ブロックを示す。なお、図8においては、専ら、本発明の要旨に関係する構成要素を示し、その余の構成要素についてはその図示を省略している。
図8に示すように、本実施形態のインクジェット式画像形成装置200の構成は、装置内の温度を計測するために温度センサ16を備えている点を除き、第1実施形態のインクジェット式画像形成装置100のそれと共通する。
本実施形態においては、温度センサ16によって計測された装置内の温度を示すアナログ信号がASIC10に入力されるように構成されており、ASIC10は、装置内の温度レベルに応じて実施対象ノズルの数を低減するための低減係数α(αは0以上1以下の実数)を設定する。以下、低減係数αを設定するための処理を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明においては、図8に示すシステム構成図を適宜参照するものとする。
ASIC10は、温度センサ16から温度の計測値を取得すると(ステップ201)、取得した計測値に基づいて温度レベルを判定し、判定した温度レベルをメモリIC12に格納する(ステップ202)。
具体的には、ASIC10は、温度センサ16から入力される計測値が30℃以上の場合は、温度レベルを“30℃”と判定し、温度センサ16から入力される計測値が25℃以上30℃未満の場合は、温度レベルを“25℃”と判定し、温度センサ16から入力される計測値が20℃以上25℃未満の場合は、温度レベルを“20℃”と判定し、温度センサ16から入力される計測値が20℃未満の場合は、温度レベルを“15℃”と判定する。そして、ASIC10は、判定した温度レベルをメモリIC12に時系列に蓄積する。
次に、ASIC10は、メモリIC12から最新の温度レベルを読み出した後(ステップ203)、当該温度レベルが“30℃”であるか否かを判断する(ステップ204)。その結果、読み出した温度レベルが“30℃”であった場合は(ステップ204、Yes)、直近の所定期間(例えば、100ms)にメモリIC12に蓄積された温度レベルを読み出し(ステップ205)、読み出した複数の温度レベルの中に“30℃”以外の温度レベルが存在するか否かを判断する(ステップ206)。
その結果、読み出した温度レベルの中に“30℃”以外の温度レベルが存在した場合は(ステップ206、Yes)、低減係数αを「1」に設定して(ステップ207)、処理を終了する。一方、読み出した温度レベルの中に“30℃”以外の温度レベルが存在しない場合は(ステップ206、No)、低減係数αを「0」に設定して(ステップ208)、処理を終了する。
先のステップ204の判断において、読み出した温度レベルが“30℃”でなかった場合は(ステップ204、No)、当該温度レベルが“25℃”であるか否かを判断する(ステップ209)。その結果、読み出した温度レベルが“25℃”であった場合は(ステップ209、Yes)、直近の所定期間(例えば、100ms)にメモリIC12に蓄積された温度レベルを読み出し(ステップ210)、読み出した複数の温度レベルの中に“25℃”以外の温度レベルが存在するか否かを判断する(ステップ211)。
その結果、読み出した温度レベルの中に“25℃”以外の温度レベルが存在した場合は(ステップ211、Yes)、低減係数αを「1」に設定して(ステップ212)、処理を終了する。一方、読み出した温度レベルの中に“25℃”以外の温度レベルが存在しない場合は(ステップ211、No)、低減係数αを「0.25」に設定して(ステップ213)、処理を終了する。
先のステップ209の判断において、読み出した温度レベルが“25℃”でなかった場合は(ステップ209、No)、当該温度レベルが“20℃”であるか否かを判断する(ステップ214)。その結果、読み出した温度レベルが“20℃”であった場合は(ステップ214、Yes)、直近の所定期間(例えば、100ms)にメモリIC12に蓄積された温度レベルを読み出し(ステップ215)、読み出した複数の温度レベルの中に“20℃”以外の温度レベルが存在するか否かを判断する(ステップ216)。
その結果、読み出した温度レベルの中に“20℃”以外の温度レベルが存在した場合は(ステップ216、Yes)、低減係数αを「1」に設定して(ステップ217)、処理を終了する。一方、読み出した温度レベルの中に“20℃”以外の温度レベルが存在しない場合は(ステップ216、No)、低減係数αを「0.5」に設定して(ステップ218)、処理を終了する。
一方、先のステップ214の判断において、読み出した温度レベルが“20℃”でなかった場合は(ステップ214、No)、低減係数αを「1」に設定して(ステップ219)、処理を終了する。
要するに、本実施形態では、最新の温度レベルを直近の所定期間に蓄積された温度レベルに照らした結果、蓄積された温度レベルの中に最新の温度レベル以外の温度レベルが存在する場合には、装置内に温度変化が生じており、その影響でインクが増粘(変質)する蓋然性が高いと推定して、実施対象ノズルの数を低減しないように低減係数αを「1」に設定する。一方、蓄積された温度レベルの中に最新の温度レベル以外の温度レベルが存在しない場合には、装置内に温度変化が生じておらず、インクが増粘(変質)する蓋然性が低いと推定して、低減係数αを現時点の温度レベルに応じた値に設定する。
具体的には、温度レベルが変化した場合、空吐出を実施するノズルの数を低減しないように低減係数αを「1」に設定し、温度レベルが変化しない期間においては、温度レベルが高くなるほど空吐出を実施するノズルの数が低減するような低減係数を設定する。
上述した例では、現時点の温度レベルが“30℃”である場合、低減係数αを「0」に設定しているが、これは、30℃以上の高温に維持されている装置内では、インクが増粘する蓋然性が低いので、空吐出を全面的に省略する趣旨である。さらに、上述した例では、現時点の温度レベルが“25℃”である場合、低減係数αを「0.25」に設定しており、現時点の温度レベルが“20℃”である場合、低減係数αを「0.5」に設定している。これは、装置内の温度が低くなるにつれ、インクが増粘する蓋然性が徐々に高くなるので、それに応じて、低減係数αの値を大きくする(すなわち、実施対象ノズルの数をより低減しないようにする)趣旨である。なお、ステップ214の判断において、読み出した温度レベルが“20℃”でなかった場合(すなわち、読み出した温度レベルが“15℃”であった場合)に低減係数αを「1」に設定しているのは、装置内が20℃未満の低温に維持されている環境では、インクが増粘しやすいので、実施対象ノズルの数を低減しない趣旨である。
なお、ASIC10は、図9に示した処理を一定周期(例えば、1ms毎)で繰り返し実行する。その結果、ASIC10内にセットされる低減係数αの値は、装置内に温度変化に応じて都度変化する。
以上、実施対象ノズルの数を低減するための低減係数αを設定する処理について説明したが、続いて、本実施形態における低減係数αを使用した空吐出制御の具体的なフローについて、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
最初に、空吐出に係るヘッド駆動回路の最大消費電力の許容値を超えない範囲で同時に空吐出を実施することができるノズル数の最大値[Nmax]をASIC10にセットする(ステップ301)。
PC300から印刷データが画像形成装置200に入力されたことを受けて、ASIC10は、当該印刷データから画像データを抽出してメモリIC12に格納した後、メモリIC12に格納した画像データの内容に基づいて空吐出を実施するノズルの候補(以下、候補ノズルという)を選定し、その数[N]をカウンタにセットする(ステップ302)。ここでいう候補ノズルは、第1実施形態における実施対象ノズルに相当し、図3で説明したのと同じ方法で選定する。
続くステップ303では、カウンタにセットされた候補ノズルの数[N]にその時点でセットされている低減係数αを乗じた数(小数点以下は所定の規則に基づいて切り上げまたは切り捨てする)でカウンタの値を更新する。
続くステップ304では、ステップ302で選定した候補ノズルの中から、カウンタにセットされた値[N]の数だけ候補ノズルを選出し、これを空吐出の実施対象ノズルとして決定する。例えば、ステップ303で使用される低減係数αが「0」である場合、N=0となり、この場合、実施対象ノズル数は0となるので、ステップ302で選定した全ての候補ノズルを実施対象ノズルとして決定しない(つまり空吐出を全面的に省略する)。ステップ303で使用される低減係数αが「0.25」であった場合、ステップ302で選定した候補ノズルから、所定の規則に基づいて、その3/4に相当する数のノズルを間引き、残りの1/4に相当する数のノズルを実施対象ノズルとして決定する。同様に、ステップ303で使用される低減係数αが「0.5」であった場合、ステップ302で選定した候補ノズルから、所定の規則に基づいて、その1/2に相当する数のノズルを間引き、残りの1/2に相当する数のノズルを実施対象ノズルとして決定する。なお、ステップ303で使用される低減係数αが「1」である場合は、ステップ302で選定した候補ノズルの全てを実施対象ノズルとして決定する。
続くステップ305では、ステップ303で更新したカウンタの値[N]が[Nmax]以下であるか否かが判断され、[N]が[Nmax]以下であると判断した場合は(ステップ305、Yes)、ステップ306に進んでステップ304で決定された実施対象ノズルのうち、[N]個のノズルからなるノズル群の空吐出を一斉に実施して、処理を終了する。一方、ステップ305において、カウンタの値[N]が[Nmax]以下でないと判断した場合は(ステップ305、No)、処理はステップ307に進む。
ステップ307では、ステップ304で決定した実施対象ノズルの中から、空吐出が済んでいない[Nmax]個のノズルからなるノズル群の空吐出を一斉に実施する。その後、現時点のカウンタの値から[Nmax]を減分してカウンタ値を更新した後(ステップ308)、再び、ステップ305に戻る。上述した一連の処理は、ステップ305において、カウンタの値[N]が[Nmax]以下であると判断されるまで繰り返され、カウンタの値[N]が[Nmax]以下であると判断された時点で(ステップ305、Yes)、[N]個のノズル(すなわち、最後のノズル群)の空吐出を一斉に実施して(ステップ306)、処理を終了する。
上述したように、第2実施形態によれば、直後に印字する予定の画像データの印字に関与しないノズルの空吐出を省略することに加え、画像データの印字に関与するノズルについても、装置内の温度状態に応じて、適宜、その一部または全部の空吐出の省略を決定するため、空吐出に係る消費電力を必要最小限に抑えることができる。
図11は、上述した第2実施形態のインクジェット式画像形成装置200における空吐出制御手段を構成する機能ブロックを示す。図11に示すように、第2実施形態のインクジェット式画像形成装置200における空吐出制御手段は、ノズル判定部20と、空吐出実施ノズル決定部22と、空吐出実施部24と、低減係数設定部26と、温度レベル判定部28を含んで構成される。本実施形態においては、ノズル判定部20が画像データの印字に関与する印字ヘッドのノズルを事前に判定し、空吐出実施ノズル決定部22が画像データの印字に関与するノズルの中から空吐出を実施するノズルを決定する。一方、低減係数設定部26は、温度レベル判定部28が温度センサ16の計測値に基づいて判定した装置内の温度レベルに応じて空吐出を実施するノズルの数を低減するための低減係数αを設定し、空吐出実施ノズル決定部22は、設定された低減係数αに基づいて画像データの印字に関与するノズルの一部または全部の空吐出の省略を決定する。そして、空吐出実施部24は、空吐出実施ノズル決定部22が決定したノズルの空吐出を画像データの印字を実行する前に記憶部25に設定された[Nmax]の値に基づいて分割実施する。なお、上述した各機能部は、図8に示したASIC10、メモリIC12およびヘッドドライバ14の協働によって実現される。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、空吐出制御手段を構成する機能をASIC10、メモリIC12およびヘッドドライバ14の協働によって実現する構成について説明してきたが、本発明においては、上述した各機能を、C、C++、C#、Java(登録商標)などで記述された装置実行可能なプログラムによって実現することもでき、当該プログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
10…ASIC
12…メモリIC
14…ヘッドドライバ
16…温度センサ
20…ノズル判定部
22…空吐出実施ノズル決定部
24…空吐出実施部
25…記憶部
26…低減係数設定部
28…温度レベル判定部
100,200…インクジェット式画像形成装置
101…記録用紙
102…給紙トレイ
103…インク供給管
104…給紙コロ
105…分離パッド
106…搬送ベルト
107…搬送ガイド
108…先端加圧コロ
109…帯電ローラ
110…搬送ローラ
111…テンションローラ
112…印字ヘッド
113…分離爪
114…排紙トレイ
115…両面給紙ユニット
500…画像データ
特開2005−238780号公報

Claims (10)

  1. 記録用紙の幅方向に複数の印字ヘッドが並設された画像形成装置であって、
    画像データの印字に関与する印字ヘッドのノズルを事前に判定するノズル判定手段と、
    前記画像データの印字に関与するノズルの中から空吐出を実施するノズルを決定する空吐出実施ノズル決定手段と、
    前記空吐出実施ノズル決定手段が決定したノズルの空吐出を前記画像データの印字を実行する前に実施する空吐出実施手段と、
    を含む画像形成装置。
  2. 前記空吐出実施手段は、前記空吐出実施ノズル決定手段が決定した複数のノズルの空吐出を所定数毎に分割して実施する、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記所定数として、該所定数のノズルの空吐出を同時に実施したときの印字ヘッドの最大消費電力が予め決められた許容値を超えないノズル数が設定される、
    請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 装置内の温度レベルを判定する温度レベル判定手段と、
    前記温度レベルに応じて空吐出を実施するノズルの数を低減するための低減係数を設定する低減係数設定手段とを含み、
    前記空吐出実施ノズル決定手段は、
    設定された前記低減係数に基づいて前記画像データの印字に関与するノズルの一部または全部の空吐出の省略を決定する、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記低減係数設定手段は、
    前記温度レベルが高くなるほど空吐出を実施するノズルの数が低減するような前記低減係数を設定する、
    請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記低減係数設定手段は、
    前記温度レベルが変化した場合に空吐出を実施するノズルの数を低減しないように前記低減係数を設定する、
    請求項4または5に記載の画像形成装置。
  7. 記録用紙の幅方向に複数の印字ヘッドが並設された画像形成装置を制御するためのコンピュータを、
    画像データの印字に関与する印字ヘッドのノズルを事前に判定するノズル判定手段、
    前記画像データの印字に関与するノズルの中から空吐出を実施するノズルを決定する空吐出実施ノズル決定手段、
    前記空吐出実施ノズル決定手段が決定したノズルの空吐出を前記画像データの印字を実行する前に実施する空吐出実施手段、
    として機能させるためのコンピュータ実行可能なプログラム。
  8. 前記空吐出実施手段は、前記空吐出実施ノズル決定手段が決定した複数のノズルの空吐出を所定数毎に分割して実施する、
    請求項7に記載のプログラム。
  9. 前記所定数として、該所定数のノズルの空吐出を同時に実施したときの印字ヘッドの最大消費電力が予め決められた許容値を超えないノズル数が設定される、
    請求項8に記載のプログラム。
  10. 前記コンピュータを、さらに、
    装置内の温度レベルを判定する温度レベル判定手段、
    前記温度レベルに応じて空吐出を実施するノズルの数を低減するための低減係数を設定する低減係数設定手段、
    として機能させるプログラムであって、
    前記空吐出実施ノズル決定手段は、
    設定された前記低減係数に基づいて前記画像データの印字に関与するノズルの一部または全部の空吐出の省略を決定する、
    請求項7〜9のいずれか一項に記載のプログラム。
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