以下、本発明に係る構成を図1から図16に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(画像形成装置の構成)
図1は本発明に係る画像形成装置の一態様であるインクジェット記録装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図、図2はインクジェット記録装置の機構部の全体構成を説明する平面図である。
図1および図2を参照して、このインクジェット記録装置1の内部構成の概要及び機構部について説明する。フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって同じく図示しないタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、図示したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド34を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、全てのインク吐出口を同時に駆動させる以外に、時間的に分割して駆動させることができる。全てのインク吐出口を同時に駆動させると、各インク吐出口間のクロストークの影響による記録品位の低下や、一時的に大電流が必要になることにより電源の大容量化などの不利益が生じる場合があるが、時分割駆動することでこれらの不利益を避けることができる。
この記録ヘッド34にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)22を介して接続している。
キャリッジ33には、記録ヘッド34に各色のインクを供給するための各色のサブタンク35を搭載している。この各色のサブタンク35には各色のインク供給チューブ36を介して、カートリッジ装填部であるカートリッジホルダ4に装着された各色のインクカートリッジ10k,10c,10m,10y(区別しないときは「インクカートリッジ10」という)から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジホルダ4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ユニット24が設けられ、また、インク供給チューブ36は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに係止部材25にて保持されている。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び該給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、ETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
そして、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。このガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド34側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。
この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによって搬送ローラ52が回転駆動されることによって搬送ベルト51が図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ62と排紙コロ63との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置しており、維持回復機構81の下には廃液タンク90が配置しており維持回復機構81にて回収されたインクを収集する。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という)82a〜82d(区別しないときは「キャップ82」という)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。ここでは、キャップ82aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ82b〜82dは保湿用キャップとしている。
そして、維持回復機構81による維持回復動作で生じる記録液の廃液のうち、キャップ82に排出されたインクは廃液タンク90に排出されて収容され、ワイパーブレード83に付着してワイパークリーナで除去されたインクおよび空吐出受け84に空吐出されたインクはその直下に配置した図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
また、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
さらに、装置本体1の内部後方側にはホストとの間でデータを送受するためのUSBなどの通信回路部(インタフェース)が設けられるとともに、この画像形成装置全体の制御を司る制御部を構成する制御回路基板が設けられている。
このように構成したインクジェット記録装置1においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御回路によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。このときに排出されるインクは、廃液タンク90に蓄積される。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
(制御部の構成)
次に、画像形成装置の制御手段としての制御部の概要について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置(インクジェット記録装置)の制御部200の概要を示すブロック図である。なお、制御部200は、以下に述べるように、画像形成装置を制御手段(印刷制御部207等)、設定手段(RAM203、操作パネル216等)、記録ヘッド維持手段(印刷制御部207等)として機能させる。
この制御部200は、記録用紙42の搬送動作及び記録ヘッド34の移動動作に関する制御を司る手段を兼ねた、画像形成装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、制御部200は、ホスト側とのデータ及び信号の送受を行うためのホストI/F206と、記録ヘッド34を駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッド34の圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ208に出力する印刷制御部207と、主走査モータ218を駆動するための主走査モータ駆動部209と、副走査モータ210を駆動するための副走査モータ駆動部211と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、リニアエンコーダ213及びホイールエンコーダ214からの検出パルス、並びにその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O215などを備えている。
さらに、制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル216(表示部)が接続されている。
制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト装置(情報処理装置、外部装置)のプリンタドライバ217が生成した印刷データ等を、ケーブル或いはネットワークを介してホストI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部207に転送し、印刷制御部207から所要のタイミングでヘッドドライバ208に画像データや駆動波形を出力する。
なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えば、ROM202にフォントデータを格納して行っても、ホスト側のプリンタドライバ217で画像データをビットマップデータに展開して画像形成装置に転送するようにしても良い。
印刷制御部207の駆動波形生成部(図示せず)は、ROM202に格納されてCPU201で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成され、1つの駆動パルスあるいは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を、ヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて、印刷制御部207の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、選択的に記録ヘッド34の圧力発生手段に対して印加することで記録ヘッドを駆動する。なお、このヘッドドライバ208は、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の圧力発生手段に印加する。
(画像形成システムの構成) 本実施形態に係る画像形成装置を、図4に示すように情報処理装置としてのパーソナルコンピュータと接続して画像形成システム(印刷システム)を構成することも好ましい。本実施形態では、画像形成システム300は、印刷データ及び当該印刷データを印刷するための印刷条件を含む印刷ジョブを送出するホスト装置である情報処理装置(ホストPC)の一例としてのパーソナルコンピュータ301と、印刷データを印刷する画像形成装置の一例としてのプリンタ装置(プリンタ)302とが、接続手段としてのケーブル303を介して接続されて構築されている。
パーソナルコンピュータ301は、例えば、作成した文書に対応した印刷データ及びこの文書印刷するために設定した印刷条件データ(用紙方向、両面、集約、製本、ステープル、パンチ、拡大/縮小等)を印刷ジョブとしてプリンタ装置302に送出する。
一方、プリンタ装置302は、パーソナルコンピュータ301から送出される印刷ジョブに従って印刷データの印刷を行う。具体的には,プリンタ装置302は,印刷ジョブに含まれる印刷条件データ(例えば、用紙方向、両面、集約、製本、ステープル、パンチ、拡大/縮小等)に従って、印刷ジョブに含まれる印刷データを紙などのメディアに印刷する。
図5は、情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ301の概略構成を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ301は、データを入力するための入力部310と、ディスプレイなどの表示部311と、データ通信を行うための通信部312と、装置全体の制御を司る制御手段としてのCPU313と、CPU313のワークエリアとして使用されるRAM314と、記録媒体のデータのリード/ライトを行う記録媒体ドライブ装置315と、CPU313を動作させるための各種プログラム等を記憶した記録媒体316と、音声を出力する音声出力部317とから構成されている。
入力部310は、カーソルキー、数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボード、表示部311の表示画面上でキーの選択等を行うためのマウスやスライスパット等からなり、ユーザがCPU313に操作指示を与えるためや、データを入力するためのユーザインターフェースである。
表示部311は、CRTやLCD等により構成され、CPU313から入力される表示データに応じた表示が行われる。通信部312は、外部とデータ通信するためのものであり、例えば、ケーブル303を介してプリンタ装置302等とデータ通信を行うためのものである。
CPU313は、記録媒体316に格納されているプログラムに従って、装置全体を制御する中央制御ユニットであり、このCPU313には、入力部310、表示部311、通信部312、RAM314、記録媒体ドライブ装置315等が接続されており、データ通信、メモリへのアクセスによるアプリケーションプログラムの読み出しや各種データのリード/ライト、データ/コマンド入力、表示等を制御する。
また、CPU313は、入力部310から入力された印刷データ及び当該印刷データの印刷条件データを印刷ジョブとして通信部312を介してプリンタ装置302に送出する。
RAM314は、指定されたプログラム、入力指示、入力データ及び処理結果等を格納するワークメモリと、表示部311の表示画面に表示する表示データを一時的に格納する表示メモリとを備えている。
記録媒体316は、CPU313が実行可能なOSプログラム(例えば、Microsoft社のオペレーティングシステムWindows(登録商標)XP等)、文書作成用アプリケーションプログラム、プリンタ装置302に対応したプリンタドライバ等の各種プログラムやデータを格納する。なお、記録媒体316としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOやPCカード等の光学的・磁気的・電気的な記録媒体を用いることができる。
各種プログラムは、CPU313が読み取り可能なデータ形態で記録媒体316に格納されている。また、各種プログラムは、予め記録媒体316に記録されている場合やインターネット等の通信回線を介してダウンロードされて記録媒体316に格納される場合等がある。
(キャッピング制御)
次に、本実施形態に係る画像形成装置による乾燥待ち中のキャッピング制御について説明する。先ず、乾燥待ち時間を設定し、2ページ印刷する場合の処理を図6のフローチャートに示す。なお、本実施形態では、乾燥待ち時間は、メンテナンス動作の終了後からカウントが開始されるものではなく、メンテナンス動作と同時に経過(乾燥待ち時間の開始とともにメンテナンス動作も開始)するものである。
先ず、ユーザはプリンタドライバ217に乾燥待ち時間を設定する(S1)。ここで乾燥待ち時間は任意の時間(例えば、秒数)を設定することが可能なものである。なお、本実施形態では、画像形成システム300におけるプリンタドライバ217への設定例について説明するが、画像形成装置本体に直接設定するようにしても良い。この場合、画像形成装置の操作パネル216から同様の設定が可能とすれば良い。
図7〜図10を用いてプリンタドライバ217への乾燥待ち時間の設定の具体例を示す。ユーザはホスト側のパーソナルコンピュータ301からプリンタ302の印刷設定画面を開くと、例えば、図7に示すような印刷設定初期画面が表示部311に表示される。この初期画面から初期設定タグ318を選択すると、例えば、図8に示すような設定画面が表示される。さらに、この設定画面から乾燥待ち時間設定319を選択することにより、例えば、図9に示すような乾燥待ち時間設定画面が表示される。
ここで、従来は乾燥待ち時間の設定は両面印刷時のみ行うものであったが、片面印刷の場合においても、インクが乾燥しにくい環境等においては、乾ききっていない排紙トレイ3の上の用紙42を次の用紙42がこすれることで、先端(コバ面)がインクで汚れる場合がある。そこで本実施形態では、図9に示すように、入力欄320,321への値の入力または選択により片面印刷乾燥待ち時間と両面印刷乾燥待ち時間とをそれぞれ設定可能としている。なお、両面印刷時のみ乾燥待ち時間を設定可能としても良いのは勿論である。また、片面印刷乾燥待ち時間と両面印刷乾燥待ち時間とは、同じ時間(秒)に設定することも可能であるが、両面印刷乾燥待ち時間を多く設定することが好適である。また、片面印刷乾燥待ち時間と両面印刷乾燥待ち時間は、図9及び図10に示す例では、1〜20秒の範囲で設定可能としているがその設定範囲は限られるものではなく、またその値は、使用するインク特性、印刷する用紙の種類等に応じて最適な値を選択すれば良く、特に限られるものではない。
なお、図7〜図9に示す設定画面において、ヘルプボタン322,323を選択することにより、例えば、図10に示すような「乾燥待ち時間設定」の説明が表示されるようにしている(図10の例では両面印刷のみ設定可能とした例を示している)。
以上のように乾燥待ち時間の設定(S1)がされた状態で、プリンタドライバ217からプリンタ302に印刷ジョブが送信される(S2)と、1枚目の印刷が開始され、排紙が完了したら(S3)、乾燥待ち時間で設定した時間待機した後(S4:乾燥待ち)、2枚目の印刷が開始する(S5)。なお、図6の例では、片面印刷の場合を説明したが、両面印刷の場合は、1枚目が表面、2枚目が裏面に変わるものである。具体的には、表面の印刷が開始され、両面ユニット71への排紙が完了したら、乾燥待ち時間として設定した時間待機した後、裏面の給紙(記録部への再給紙)が開始する。
次に、画像形成装置による乾燥待ち中のキャッピング動作の一例について図11に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、ユーザによって設定された乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間を超えているかどうか判定する(S101)。ここで、アンキャップ許容時間とは、記録ヘッド34のノズルがアンキャップ状態で放置される許容時間をいい、すなわち、アンキャップ許容時間以上、ノズルがアンキャップ状態の場合には、キャッピング動作が開始されるものである。上述のようにノズルの乾燥を防ぐためには、キャッピング状態であることが好ましいが、連続通紙の場合に都度、キャッピング動作とアンキャップ動作を繰り返すことは制御が煩雑となり、印刷の高速化に資さないため、アンキャップ許容時間により、通紙後に次の通紙が行われるかどうかを判断する基準とするものである。すなわち、アンキャップ許容時間が経過する場合は連続給紙されないものと判断してキャッピング動作がされるものである。なお、図11に示す例では、S101の判断は、乾燥待ちが発生する度に実施しているが、アンキャップ許容時間が固定値であって、乾燥待ち時間の設定値に変更がない場合は、最初に一度実施するだけで、以降実施しないようにしても良い。
乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間を超える場合(S101:Yes)は、キャッピングを行う(S102)。なお、ここでいうキャッピング(S102)とは、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングする以外に、キャッピング状態で実施するノズル吸引などの動作も含んだ一連の動作を指すものである。また、キャッピング後は、当該キャッピング状態を維持した状態で、乾燥待ち時間に達するまで待って乾燥待ちを終了する(S103:Yes)。
一方、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間以下の場合(S101:No)は、キャッピングできないほど乾燥待ち時間が短いことを意味するため、キャッピング(S102)はせずに乾燥待ち時間に達するまで待って乾燥待ちを終了する(S103:Yes)。
ここで、キャッピング(S102)の動作時間が長い場合、設定された乾燥待ち時間を超す場合が生じ得る。この場合、ユーザが設定した乾燥待ち時間通りではなく必要以上に待つことになるので、連続印刷中の生産性が低下し、ユーザによって不利益となるという問題が生じる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置は、第1のキャッピング動作と、これよりも短時間で動作完了する第2のキャッピング動作の少なくとも2種類のメンテナンス処理を実行可能とし、乾燥待ち時間が、第1のキャッピング動作時間以上である場合は、第1のキャッピング動作を実行し、第1のキャッピング動作時間未満であって、アンキャップ許容時間よりも長い場合は、第2のキャッピング動作を実行するものである。したがって、第1のキャッピング動作時間が、アンキャップ許容時間を超える場合でも、ユーザが設定した乾燥待ち時間通りに乾燥待ちを実施することができるものである。
第1のキャッピングとは、図11におけるキャッピング(S102)と同じものを指し、狭義のキャッピングやノズル吸引を含む一連の動作を指し、キャッピングとして通常行われるべき動作である。これに対し、第2のキャッピングとは、第1のキャッピングで行われる動作のうち所定の動作を短縮および/または省略することにより、キャッピング動作時間を短縮したものである。第2のキャッピング動作において、省略可能な動作は、記録ヘッド34や使用するインクの特性に依存するものであり、特に限られるものではないが、例えば、キャリッジ33の主走査方向における基準位置確認のためのキャリッジ右突き当て動作(ホーミング動作)の省略や、キャッピング動作前におけるキャップ内吸収動作において、吸収体キャップ内のインクのみの排出を行う等のノズル吸引の吸引時間を短くすること等により全体の動作時間の短縮を図ることができる。また、第1のキャッピング動作で実行する動作から第2のキャッピング動作で実行する動作(または省略する動作)を選択可能とし、画像形成装置に設定可能とすることも好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置の乾燥待ち中のキャッピング動作のフローチャートを図12に示す(第1の実施形態)。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、第1のキャッピング動作時間が16秒、第2のキャッピング動作時間約8秒、アンキャップ許容時間が9秒の場合を例に説明する。また、以下に説明する処理における判定処理(S201,S203)は、CPU201で実行するようにすれば良いが、例えば、ASIC205、プリンタドライバ217で実行するようにしても良い。なお、プリンタドライバ217で判定を行った場合は、その結果をプリンタ側へ送信すれば良い。
先ず、ユーザによって設定された乾燥待ち時間が第1のキャッピング動作時間以上か判定する(S201)。乾燥待ち時間が第1のキャッピング動作時間以上の場合(S201:Yes)は、第1のキャッピングを実施し(S202)、乾燥待ち時間に達するまで待って乾燥待ちを終了する(S205:Yes)。
これに対し、乾燥待ち時間が第1のキャッピング動作時間未満の場合(S201:No)は、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間より大きいか否か、即ち、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間から第1のキャッピング動作時間までの間か判定する(S203)。
乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間より大きい場合(S203:Yes)は、第2のキャッピングを実施し(S204)、乾燥待ち時間に達するまで待って乾燥待ちを終了する(S205:Yes)。この場合に、仮に、第1のキャッピングを実施することとすると、第1のキャッピング動作時間の方が乾燥待ち時間より長いため、ユーザは乾燥待ち時間以上に待つことになってしまうが、第2のキャッピングを実施することにより乾燥待ち時間通りに待つことが可能となる。
一方、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間以下の場合(S203:No)は、キャッピングは実施せず、乾燥待ち時間に達するまで待って乾燥待ちを終了する(S205:Yes)。
ここで、乾燥待ち時間通りの待ち時間となるためには、第2のキャッピング動作時間は、乾燥待ち時間以下であることが好ましく、さらにすべての乾燥待ち時間において時間通りの待ち時間となるためには、アンキャップ許容時間以下であることが条件となるため、第2のキャッピング動作時間は、アンキャップ許容時間以下であること好ましい。しかしながら、第2のキャッピング動作時間が、乾燥待ち時間やアンキャップ許容時間以上であって、乾燥待ち時間中にキャッピング動作を実行(S203がNoの場合も第2のキャッピングを実行)したとしても、乾燥待ち時間以上に待つ時間そのものの短縮は可能である。なお、第1のキャッピング動作から多くの動作を省けば省くほど、第2のキャッピング動作時間は短縮できるが、キャッピング動作としての実効を図る必要があるため、第2のキャッピング動作の処理内容は、動作時間と、キャッピング動作としての実効とのバランスを考慮して決定すれば良い。
なお、本実施形態では、上記判断(S201,S203)を乾燥待ちが発生する度に実施するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、乾燥待ち時間やアンキャップ許容時間が変更された場合にのみ実施し、判定結果をRAM203やNVRAM204等に記憶させ、乾燥待ち発生時にこれを読み出すようにしてもよい。また、RAM203やNVRAM204等には、判定結果ではなく、実施すべきキャッピング動作の種別を示す情報を記憶させるようにしても良い。
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
第2の実施形態に係る画像形成装置の乾燥待ち中のキャッピング動作のフローチャートを図13に示す。また、以下に説明する処理における判定処理(S301,S303)は、CPU201で実行するようにすれば良いが、例えば、ASIC205、プリンタドライバ217で実行するようにしても良い。
図13は、図12と比較してS303の処理を除き同じである。本実施形態では、乾燥待ち時間が第2のキャッピング動作時間以上であるか、即ち、第2のキャッピング動作時間から第1のキャッピング動作時間までの間であるか否かを判定する(S303)。なお、本実施形態では、第2のキャッピング動作時間は、アンキャップ許容時間よりも短いことを前提としている。
乾燥待ち時間が第2のキャッピング動作時間以上の場合(S303:Yes)は、第2のキャッピングが実施される(S304)。したがって、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間よりも短く設定された場合であっても、第2のキャッピング動作時間以上であれば、第2のキャッピングがされることになる。
記録ヘッド34のノズル部分のインク増粘を考慮すると、なるべくキャッピング動作を実施した方が望ましいため、本実施形態によれば、実際の乾燥待ちの時間に影響しない範囲でキャッピングを実施することによりノズル部分のインク増粘を抑えることができる。以上、第2の実施形態によれば、乾燥待ち時間をより少ない値に設定しても、乾燥待ち時間通りの待ち時間を実現できる。
(第3の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態について説明する。なお、第1〜2の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
第3の実施形態に係る画像形成装置の乾燥待ち中のキャッピング動作のフローチャートを図14に示す。また、以下に説明する処理における判定処理(S401,S403)は、CPU201で実行するようにすれば良いが、例えば、ASIC205、プリンタドライバ217で実行するようにしても良い。
図14は、図13と比較してS404の処理を除き同じである。本実施形態では、乾燥待ち時間が第2のキャッピング動作時間以上である場合(S403:Yes)、第1のキャッピング動作の前回実施からの経過時間が閾値より短いか否かを判定する(S404)。
第1のキャッピング動作の前回実施からの経過時間が閾値より短い場合(S404:Yes)、第2のキャッピングを実施し(S405)、これに対し、第1のキャッピング動作の前回実施からの経過時間が閾値以上であれば(S404:No)、第1のキャッピングを実施する(S402)ものである。
第2のキャッピングは、上述のように、通常実施すべき第1のキャッピングの動作を短縮または省略したものであるため、第2のキャッピング動作のみを続け第1のキャッピング動作を実行しない状態が継続することは好ましくなく、例えば、多ページ印刷で連続的に乾燥待ちが発生する場合に第2のキャッピングのみを実施すればノズルの状態を最適に保ちづらい。このため、本実施形態のように、所定間隔で第1のキャッピングを実施するようにすることにより、ノズル状態を最適に保つことができる。
なお、本実施形態における閾値は、固定値でもよいし、ユーザが任意に設定可能としてもよい。また、前回の第1のキャッピング動作からの経過時間ではなく、第2のキャッピングの実施回数を判定基準として、閾値を設定しても良い。また、閾値は、RAM203やROM202等に記憶して必要に応じて読み出すものであれば良い。また、RAM203に記憶したときは、電源投入後の初回の乾燥待ちの時には、判定結果によらず第1のキャッピング動作をすれば良い。
(第4の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第4の実施形態について説明する。なお、第1〜3の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
第4の実施形態に係る画像形成装置の乾燥待ち中のキャッピング動作のフローチャートを図15に示す。また、図16に乾燥待ち時間を時間軸で示し、乾燥待ち時間の大小によって図15のいずれの制御が実行されるかを示した模式図を示す。また、以下に説明する処理における判定処理(S501,S503,S504)は、CPU201で実行するようにすれば良いが、例えば、ASIC205、プリンタドライバ217で実行するようにしても良い。なお、プリンタドライバ217で判定を行った場合は、その結果をプリンタ側へ送信すれば良い。
図15は、図14と比較してS503及びS504の処理を除き同じである。本実施形態では、乾燥待ち時間が第1のキャッピング動作時間未満である場合(S501:No)、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間より大きいか否か、即ち、アンキャップ許容時間から第1のキャッピング動作時間までの間であるかを判定する(S503)。これは、図14におけるS403の判定式から第2のキャッピング動作時間〜アンキャップ許容時間の時間を除いたものと同等である。
乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間以下の場合(S503:No)、乾燥待ち時間が第2のキャッピング動作時間以上であるか否か、即ち、第2のキャッピング動作時間からアンキャップ許容時間までの間であるかを判定する(S504)。
乾燥待ち時間が第2のキャッピング動作時間以上の場合(S504:Yes)、第2のキャッピングを実施する(S506)。この場合は、乾燥待ち時間がアンキャップ許容時間よりも短いので、元々はキャッピングが不要である。したがって、閾値との比較により第1のキャッピングを実施しなくともノズル状態を最適に保つことができる。このようにすることにより、第1のキャッピングを実施することによって乾燥待ち時間よりも長く待つことを防ぐことができる。
ここで、乾燥待ち時間は、排紙応答から給紙要求(または再給紙要求)までの時間をいうものであるので、乾燥待ち時間の終了と同時に印刷動作が開始されるとしても、実際に、アンキャップ動作、キャリッジの所定位置への移動動作等がされ記録ヘッド34からインクが吐出開始されるまでにはタイムラグが生じる。そこで上記いずれの実施形態においても、乾燥待ち時間の終了の所定秒前(例えば、1〜2秒前)から、印刷動作を開始することも好ましい。このようにすることにより、乾燥待ち時間の経過から実際のインク吐出開始までの所要時間の短縮を図ることが可能となる。なお、当該制御を行うか否か、乾燥待ち時間終了前に印刷動作を開始する所定秒数は、ユーザが任意に設定可能とすることも好ましい。
以上説明した画像形成装置によるキャッピング制御は、プログラム(画像形成プログラム)で実行することもできる。当該画像形成プログラムは、例えば、プリンタドライバ217で実行する構成とすることが好ましい。また、例えばインターネット上からのダウンロードによって提供し、情報処理装置301から画像形成装置302にインストールすることも好ましい。また、画像形成プログラムを画像形成装置302で実行可能に記録した記録媒体(画像形成プログラムを記録した記録媒体)の態様にも適用される。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。