JP2004265824A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池10は、電解質膜・電極構造体16と、この電解質膜・電極構造体16を挟持する第1および第2金属セパレータ18、20とを備える。第2金属セパレータ20には、その外周端部を周回して第2シール部材58が一体成形される。この第2シール部材58は、アノード側電極38に対向して第1平面部64を有するとともに、前記第1平面部64には、電解質膜・電極構造体16の外周部を位置決めするための突起部68が複数個所に設けられている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質を一対の電極間に配設した電解質・電極構造体と、セパレータとが積層されるとともに、シール部材が介装される燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極およびカソード側電極を対設した電解質(電解質膜)・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより構成されている。この種の燃料電池は、通常、電解質・電極構造体およびセパレータを所定の数だけ積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
この場合、燃料電池内では、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体を、それぞれ専用の流路に沿って気密(液密)に流す必要がある。従って、通常、電解質・電極構造体とセパレータとの間には、種々のシール部材が介装されている。ところが、電解質・電極構造体とセパレータとを積層する際に、これらの相対位置を正確に位置決めすることは極めて困難である。このため、シール部材が所望の部位に確実に密着されない場合があり、シール性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1の燃料電池は、図11に示すように、燃料電池セル1およびセパレータ2a、2bを備えている。燃料電池セル1は、電解質層1aの両側に電極膜1b、1cを設けるとともに、前記電解質層1aの外周が前記電極膜1b、1cの外周から外方に突出している。電解質層1aの外周端部には、複数の貫通孔3が形成されている。
【0006】
セパレータ2a、2bには、それぞれ電極膜1b、1cに対向して反応ガス用溝4a、4bが形成されるとともに、前記電極膜1b、1cの外周を周回して溝5a、5bが形成されている。この溝5a、5bには、ガスシール体6が配設されている。
【0007】
セパレータ2aの外周端縁部には、複数の段付孔部7aが形成される一方、セパレータ2bには、前記段付孔部7aと同軸的にねじ孔7bが形成される。段付孔部7aから締め付けボルト8が挿入され、この締め付けボルト8は、電解質層1aの貫通孔3を通ってねじ孔7bにねじ込まれる。これにより、燃料電池セル1およびセパレータ2a、2bが一体的に保持されるとともに、前記燃料電池セル1と前記セパレータ2a、2bとは、締め付けボルト8を介して互いに位置決め支持される。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−37012号公報(段落[0027]〜[0029]、図5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1では、燃料電池セル1とセパレータ2a、2bとが、複数本の締め付けボルト8を介して一体的に締め付け保持されるため、特に、多数の燃料電池を積層して燃料電池スタックを構成する際には、前記締め付けボルト8の締め付け作業が相当に繁雑である。これにより、燃料電池の組み立て作業全体に相当に長い時間を要してしまい、効率的な組み付け作業が遂行されないという問題が指摘されている。しかも、多数の締め付けボルト8を用意しなければならず、取り扱い性が低下するとともに、経済的ではないという問題がある。
【0010】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単な構成で、電解質・電極構造体とセパレータとを確実かつ容易に位置決めし、組み立て作業を効率的に行うとともに、所望のシール機能を確保することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、電解質・電極構造体とセパレータとが交互に積層されるとともに、シール部材が介装されている。そして、セパレータまたはシール部材には、電解質・電極構造体の外周部を位置決めするための凸状部または凹状部が設けられている。
【0012】
このため、電解質・電極構造体の外周部を凸状部または凹状部に係合させるだけで、前記電解質・電極構造体をセパレータに対して正確かつ容易に位置決めすることができる。従って、電解質・電極構造体とセパレータとを、例えば、ボルトによって締め付け固定する必要がなく、燃料電池の組み立て作業が効率的に遂行可能になる。しかも、専用の締め付け部品(例えば、ボルト)が不要になり、部品点数が削減されて経済的である。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池では、セパレータは、金属製セパレータであり、前記金属製セパレータにシール部材が一体成形されるとともに、前記シール部材の端部または突起部により凸状部が構成されている。これにより、電解質・電極構造体は、シール部材を介して容易かつ確実に位置決めされるとともに、燃料電池全体の構成が簡素化される。その上、シール部材を成形する際に、同時に凸状部を設けることができ、生産性の向上が図られる。
【0014】
さらに、本発明の請求項3に係る燃料電池では、セパレータは、金属製セパレータであり、前記金属製セパレータに凸状部または凹状部が成形される。このため、金属製セパレータをプレス加工する際に、凸状部または凹状部を設けることができ、燃料電池全体を経済的に製造することが可能になる。
【0015】
さらにまた、本発明の請求項4に係る燃料電池では、セパレータは、金属製セパレータであり、前記金属製セパレータに凸状部である位置決め部材が取り付けられる。従って、セパレータ自体の形状が簡素化するとともに、電解質・電極構造体と前記セパレータとの位置決めが容易になされる。
【0016】
また、本発明の請求項5に係る燃料電池では、セパレータは、カーボン製セパレータであり、前記カーボン製セパレータに凸状部または凹状部が設けられる。このため、金属製セパレータの他、カーボン製セパレータを使用することができ、種々のセパレータに適応可能となって汎用性に優れる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の要部分解斜視説明図であり、図2は、前記燃料電池10の要部断面説明図である。
【0018】
図1に示すように、燃料電池10は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)16が、第1および第2金属セパレータ18、20に挟持されて構成される。第1および第2金属セパレータ18、20は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成されている。
【0019】
燃料電池10の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔30a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔32b、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔34bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0020】
燃料電池10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔34a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔32a、および酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔30bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0021】
電解質膜・電極構造体16は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜36と、前記固体高分子電解質膜36を挟持するアノード側電極38およびカソード側電極40とを備える。アノード側電極38は、カソード側電極40よりも大きな表面積を有している。
【0022】
アノード側電極38およびカソード側電極40は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されてなる電極触媒層とを有する。電極触媒層は、互いに固体高分子電解質膜36を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜36の両面に接合されている。
【0023】
第1金属セパレータ18のカソード側電極40に対向する面18aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通し、例えば、矢印B方向に延在する直線状の酸化剤ガス流路42が設けられる。第2金属セパレータ20のアノード側電極38に対向する面20aには、燃料ガス入口連通孔34aと燃料ガス出口連通孔34bとに連通し、矢印B方向に延在する直線状の燃料ガス流路44が形成される。
【0024】
第1金属セパレータ18の面18bと第2金属セパレータ20の面20bとの間には、冷却媒体入口連通孔32aと冷却媒体出口連通孔32bとに連通する冷却媒体流路46が形成される。この冷却媒体流路46は、矢印B方向に直線状に延在する。
【0025】
第1金属セパレータ18の面18a、18bには、この第1金属セパレータ18の外周端部を周回して第1シール部材50が一体成形される。第1シール部材50は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、またはアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
【0026】
図1〜図3に示すように、第1金属セパレータ18の面18aには、この第1金属セパレータ18の外周端部に近接して第1シール部材50を構成する第1突部56aが一体化される。面18aには、この第1突部56aから内方に所定の距離だけ離間した位置に第1シール部材50を構成する第2突部56bが一体化される。
【0027】
第1および第2突部56a、56bは、先端先細り形状(リップ形状)、台形状または蒲鉾形状等、種々の形状に選択可能である。この第2突部56bは、電解質膜・電極構造体16を構成する固体高分子電解質膜36に直接接触する(図2および図3参照)。
【0028】
図1および図4に示すように、第1および第2突部56a、56bは、酸化剤ガス流路42を囲繞するとともに、前記酸化剤ガス流路42と酸化剤ガス入口連通孔30aおよび酸化剤ガス出口連通孔30bとを連通する。第1金属セパレータ18の面18aには、燃料ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔32a、冷却媒体出口連通孔32bおよび燃料ガス出口連通孔34bを囲繞してシール部材57が設けられる。
【0029】
図2および図4に示すように、第1金属セパレータ18の面18bには、この第1金属セパレータ18の外周端部に近接して第3突部56cが設けられ、この第3突部56cから内方に所定の距離だけ離間して第4突部56dが設けられる。第3および第4突部56c、56dは、上記の第1および第2突部56a、56bと同様の形状を有している。
【0030】
図1、図2および図5に示すように、第2金属セパレータ20の面20a、20bには、この第2金属セパレータ20の外周端部を周回して第2シール部材58が一体成形される。この第2シール部材58は、上記の第1シール部材50と同一の材料で構成される。第2金属セパレータ20の面20aには、第2金属セパレータ20の外周端部に近接して第2シール部材58を構成する第1平面部64が一体化される。第2金属セパレータ20の面20bには、第1平面部64よりも長尺な第2平面部66が一体化される。
【0031】
第1平面部64は、第1シール部材50の第1突部56aと密着するとともに、この第1平面部64の内方側端部には、電解質膜・電極構造体16の外周部を位置決めするための突起部(凸状部)68が複数個所に設けられる(図1参照)。第2平面部66は、第1シール部材50の第3および第4突部56c、56dと密着可能である。
【0032】
第1平面部64は、電解質膜・電極構造体16の外周端部に摺接する位置を周回する一方、第2平面部66は、アノード側電極38に所定の範囲にわたって重合する位置を周回する。図1に示すように、第1平面部64は、燃料ガス入口連通孔34aおよび燃料ガス出口連通孔34bを燃料ガス流路44に連通する。第2平面部66は、図5に示すように、冷却媒体入口連通孔32aと冷却媒体出口連通孔32bとを連通する。
【0033】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0034】
まず、図1に示すように、燃料ガス入口連通孔34aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス入口連通孔30aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔32aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
【0035】
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔30aから第1金属セパレータ18の酸化剤ガス流路42に導入され、矢印B方向に移動しながら電解質膜・電極構造体16を構成するカソード側電極40に供給される。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔34aから第2金属セパレータ20の燃料ガス流路44に導入され、矢印B方向に移動しながら電解質膜・電極構造体16を構成するアノード側電極38に供給される。
【0036】
従って、電解質膜・電極構造体16では、カソード側電極40に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極38に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0037】
次いで、アノード側電極38に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔34bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、カソード側電極40に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔30bに沿って矢印A方向に排出される。
【0038】
また、冷却媒体入口連通孔32aに供給された冷却媒体は、第1および第2金属セパレータ18、20間の冷却媒体流路46に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体16を冷却した後、冷却媒体出口連通孔32bから排出される。
【0039】
この場合、第1の実施形態では、図1および図2に示すように、第2金属セパレータ20の外周端部を周回して第2シール部材58が設けられるとともに、この第2シール部材58を構成する第1平面部64には、突起部68が複数個所に設けられている。このため、燃料電池10を組み立てる際に、電解質膜・電極構造体16の外周部、すなわち、固体高分子電解質膜36およびアノード側電極38の外周端面を突起部68の端面に当接させるだけで、電解質膜・電極構造体16を第2金属セパレータ20に対して正確かつ容易に位置決めすることができる。
【0040】
従って、電解質膜・電極構造体16と第2金属セパレータ20とを、例えば、ボルトによって締め付け固定する必要がなく、燃料電池10の組み立て作業が効率的に遂行可能になる。しかも、専用の締め付け部品が不要になり、部品点数が削減されて、燃料電池10全体を経済的に得ることができる。
【0041】
さらに、電解質膜・電極構造体16は、外周部を複数の突起部68により位置決め支持されるため、燃料電池10を積層してスタックを構成する際、前記燃料電池10の取り扱い作業時に前記電解質膜・電極構造体16に位置ずれが発生することがない。このため、電解質膜・電極構造体16と第1および第2金属セパレータ18、20との相対位置決め精度が有効に向上し、組み立て作業性に優れるとともに、所望のシール機能を確保して高品質な燃料電池スタックを得ることが可能になるという効果がある。
【0042】
なお、第1の実施形態では、第1平面部64に突起部68を設け、この突起部68を電解質膜・電極構造体16の位置決め用凸状部として構成しているが、例えば、前記第1平面部64を比較的肉厚に構成し、この第1平面部64の端面自体を位置決め用凸状部として構成してもよい。
【0043】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池80の要部断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第5の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0044】
燃料電池80は、電解質膜・電極構造体16を挟持する第1および第2金属セパレータ18、82を備える。第2金属セパレータ82の外周端部を周回して第2シール部材84が一体成形されるとともに、前記第2金属セパレータ82には、凹状部86が、例えば、プレス成形される。凹状部86は、第2金属セパレータ82に電解質膜・電極構造体16を周回して設けられており、前記凹状部86を構成する端面88は、前記電解質膜・電極構造体16の外周部に係合して該電解質膜・電極構造体16を位置決め支持する。
【0045】
このように構成される第2の実施形態では、第2金属セパレータ82に電解質膜・電極構造体16の外周部を位置決めするための端面88が凹状部86を介して形成されている。このため、簡単な作業および構成で、電解質膜・電極構造体16を所望の位置に確実に位置決め支持することができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0046】
なお、第2金属セパレータ82には、凹状部86に代替して凸状部を形成し、この凸状部を介して電解質膜・電極構造体16の位置決め支持を行うように構成してもよい。
【0047】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池100の要部断面説明図である。
【0048】
燃料電池100を構成する第2金属セパレータ20には、その外周端部を周回して第2シール部材102が一体成形される。この第2金属セパレータ20の面20aには、電解質膜・電極構造体16の外周部を位置決め支持するために位置決め部材(凸状部)104が、接着あるいは溶接等によって取り付けられる。
【0049】
この位置決め部材104は、例えば、第1の実施形態に係る燃料電池10を構成する突起部68と同様に、複数個所に設けられていればよく、また、その材質は金属あるいは樹脂等、種々のものが使用可能である。
【0050】
これにより、第3の実施形態では、第2金属セパレータ20に位置決め部材104を取り付けるだけでよく、前記第2金属セパレータ20の形状が簡素化するとともに、電解質膜・電極構造体16と前記第2金属セパレータ20との位置決めが容易かつ確実に遂行される等、第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
図8は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池120の要部分解斜視説明図であり、図9は、前記燃料電池120の要部断面説明図である。
【0052】
燃料電池120は、電解質膜・電極構造体16を挟持する第1および第2セパレータ122、124を備え、この第1および第2セパレータ122、124は、例えば、カーボンセパレータにより構成される。
【0053】
燃料電池120の矢印B方向の一端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔30aおよび燃料ガス出口連通孔34bが設けられるとともに、矢印B方向の他端縁部には、燃料ガス入口連通孔34aおよび酸化剤ガス出口連通孔30bが設けられる。
【0054】
燃料電池120の矢印C方向一端縁部(下端縁部)には、冷却媒体入口連通孔32aが設けられる一方、矢印C方向他端縁部(上端縁部)には、冷却媒体出口連通孔32bが設けられる。なお、冷却媒体入口連通孔32aおよび冷却媒体出口連通孔32bは、それぞれ2分割に構成してもよい。
【0055】
第1セパレータ122のカソード側電極40に対向する面122aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通し、矢印B方向に、例えば、1往復半折り返すサーペンタイン状の酸化剤ガス流路126が設けられる。第1セパレータ122の面122bには、冷却媒体入口連通孔32aと冷却媒体出口連通孔32bとに連通するサーペンタイン状または直線状の冷却媒体流路128が形成される。
【0056】
第1セパレータ122の面122aには、酸化剤ガス流路126を囲繞する内側シール部材130と、酸化剤ガス入口連通孔30a、燃料ガス出口連通孔34b、燃料ガス入口連通孔34a、酸化剤ガス出口連通孔30b、冷却媒体入口連通孔32aおよび冷却媒体出口連通孔32bを囲繞する外側シール部材132とが設けられる。第1セパレータ122の面122bには、外側シール部材132に対応して外側シール部材134が設けられる。
【0057】
第2セパレータ124のアノード側電極38に対向する面124aには、燃料ガス入口連通孔34aと燃料ガス出口連通孔34bとに連通し、矢印B方向に、例えば、1往復半折り返すサーペンタイン状の燃料ガス流路136が設けられる。この面124aには、燃料ガス流路136を囲繞し、電解質膜・電極構造体16の外周部を位置決めするための凹状部138が形成される。
【0058】
このように構成される第4の実施形態では、電解質膜・電極構造体16が第2セパレータ124の凹状部138に収容される。その際、凹状部138を構成する端面140が、電解質膜・電極構造体16を構成する固体高分子電解質膜36およびアノード側電極38の外周面に係合し、前記電解質膜・電極構造体16が位置決めされる。さらに、第1セパレータ122の内側シール部材130が固体高分子電解質膜36に密着するとともに、外側シール部材132が第2セパレータ124の面124aに密着して燃料電池120が組み立てられる。
【0059】
従って、第4の実施形態では、電解質膜・電極構造体16を第2セパレータ124の凹状部138に配置するだけで、前記電解質膜・電極構造体16を容易かつ確実に位置決め保持することができ、取り扱い作業性に優れる等の効果が得られる。
【0060】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池160の要部断面説明図である。
【0061】
燃料電池160は、電解質膜・電極構造体162と、この電解質膜・電極構造体162を挟持する、例えば、カーボンセパレータである第1および第2セパレータ164、166とを備える。電解質膜・電極構造体162は、固体高分子電解質膜36と、この固体高分子電解質膜36の両面全面に設けられるアノード側電極38およびカソード側電極40aとを備える。
【0062】
アノード側電極38およびカソード側電極40aの外周縁部には、シール部材168a、168bが取り付けられる。第1セパレータ164には、カソード側電極40aに対向する面164aに酸化剤ガス流路126が形成される。第2セパレータ166は、アノード側電極38に対向する面166aに燃料ガス流路136が設けられるとともに、電解質膜・電極構造体162を収容して前記電解質膜・電極構造体162を位置決め支持するための凹状部138が形成される。この凹状部138を構成する端面140には、電解質膜・電極構造体162を構成する固体高分子電解質膜36、アノード側電極38およびカソード側電極40aの外周端面が係合する。第2セパレータ166の面166bには、冷却媒体流路128が形成される。
【0063】
このように構成される第5の実施形態では、電解質膜・電極構造体162を第2セパレータ166の凹状部138に収容するだけで、前記電解質膜・電極構造体162の位置決め支持が容易に行われる等、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、電解質・電極構造体の外周部を、セパレータまたはシール部材に設けられた凸状部または凹状部に係合させるだけで、前記電解質・電極構造体を前記セパレータに対して正確かつ容易に位置決めすることができる。従って、電解質・電極構造体とセパレータとを、例えば、ボルトによって締め付け固定する必要がなく、燃料電池の組み立て作業が効率的に遂行可能になる。しかも、専用の締め付け部品(例えば、ボルト)が不要になり、部品点数が削減されて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池を積層する燃料電池スタックの要部断面説明図である。
【図3】前記燃料電池の一部断面斜視説明図である。
【図4】前記燃料電池を構成する第1金属セパレータの正面説明図である。
【図5】前記燃料電池を構成する第2金属セパレータの正面説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の要部断面説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の要部断面説明図である。図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。
【図9】前記燃料電池の要部断面説明図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池の要部断面説明図である。
【図11】特許文献1の燃料電池の断面説明図である。
【符号の説明】
10、80、100、120、160…燃料電池
16、162…電解質膜・電極構造体 18、20、82…金属セパレータ
36…固体高分子電解質膜 38…アノード側電極
40、40a…カソード側電極 42、126…酸化剤ガス流路
44、136…燃料ガス流路 46、128…冷却媒体流路
50、58、84、102、168a、168b・・・シール部材
56a、56b、56c、56d…突部 64、66…平面部
68…突起部 86、138…凹状部
88、140…端面 104…位置決め部材
122、124、164、166…セパレータ
130…内側シール部材 132、134…外側シール部材
Claims (5)
- 電解質を一対の電極間に配設した電解質・電極構造体と、セパレータとが交互に積層されるとともに、シール部材が介装される燃料電池であって、
前記セパレータまたは前記シール部材には、前記電解質・電極構造体の外周部を位置決めするための凸状部または凹状部が設けられることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記セパレータは、金属製セパレータであり、
前記金属製セパレータに前記シール部材が一体成形されるとともに、該シール部材の端部または突起部により前記凸状部が構成されることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記セパレータは、金属製セパレータであり、
前記金属製セパレータに前記凸状部または前記凹状部が成形されることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記セパレータは、金属製セパレータであり、
前記金属製セパレータに前記凸状部である位置決め部材が取り付けられることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記セパレータは、カーボン製セパレータであり、
前記カーボン製セパレータに前記凸状部または前記凹状部が設けられることを特徴とする燃料電池。
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