JP2004263359A5 - - Google Patents

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【特許請求の範囲】
【請求項1】 数平均分子量20,000以下、ASTM D1386に準じて測定された酸価が23〜120 mgKOH/gである酸変性されたポリプロピレン樹脂(化合物a)、ポリオキシ系ではない脂肪族系主鎖を有しエポキシ基を含有する樹脂(化合物b)及びオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(化合物c)を構成成分として含むサイジング剤で収束されたことを特徴とする炭素繊維束。
【請求項2】 サイジング剤総質量に対して、化合物aを35質量%以上、化合物bを30質量%以上、化合物cを20質量%以上含むサイジング剤で収束された請求項1記載の炭素繊維束。
【請求項3】 化合物cが、ASTM D1525−70に準じて測定されたビカット軟化点が120℃以下の化合物である請求項1又は2記載の炭素繊維束。
【請求項4】 エチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマー成分を含む共重合物を構成成分として含むサイジング剤であって、該共重合物をサイジング剤総質量に対し40質量%以上含むサイジング剤で収束されたことを特徴とする炭素繊維束。
【請求項5】 前記共重合物が、エチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマーとの共重合物(化合物d)、若しくはエチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマーとアクリル酸エステルとの共重合物(化合物e)である請求項4記載の炭素繊維束。
【請求項6】 請求項4又は5記載のサイジング剤であり、エチレン或いはプロピレン、アクリル酸エステル及び酸無水基を含有するモノマーとの共重合物(化合物f)を構成成分として含むサイジング剤で収束されたことを特徴とする炭素繊維束。
【請求項7】 請求項4又は5記載のサイジング剤であり、数平均分子量20,000以下、ASTM D1386に準じて測定された酸価が23〜120 mgKOH/gである酸変性されたポリプロピレン樹脂(化合物a)を構成成分として含むサイジング剤で収束されたことを特徴とする炭素繊維束。
【請求項8】 ポリオキシ系ではない脂肪族系主鎖を有しエポキシ基を含有する樹脂(化合物b)が、エチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマーとの共重合物(化合物d)、若しくはエチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマーとアクリル酸エステルとの共重合物(化合物e)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維束。
【請求項9】 サイジング剤が、分子中にエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基、直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤をサイジング剤総質量に対し5質量%以下含む請求項1〜8のいずれか一項に記
載の炭素繊維束。
【請求項10】 請求項1〜9のいずれか一項に記載のサイジング剤が炭素繊維束に付着され、所定長さに切断されてなり、炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量が水以外の成分量で1〜5質量%であるチョップド炭素繊維束。
【請求項11】 炭素繊維束の目付が0.4〜15g/mであると共に、切断時の繊維束幅/厚みが3〜10である請求項10記載のチョップド炭素繊維束。
【請求項12】 請求項1〜9のいずれか一項に記載のサイジング剤を炭素繊維束に付着させ、所定長さに切断した後、乾燥させるチョップド炭素繊維束の製造方法であって、炭素繊維束に対してサイジング剤を水以外の成分量で1〜5質量%付着させ、炭素繊維束の含水率が20〜60質量%の湿潤状態で切断することを特徴とするチョップド炭素繊維束の製造方法。
【請求項13】 サイジング剤を水中に溶解或いは分散させた水系サイジング剤溶液として用いる請求項12記載のチョップド炭素繊維束の製造方法。
【請求項14】 熱可塑性樹脂に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の炭素繊維束又はチョップド炭素繊維束を炭素繊維量で3〜60質量%配合した炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
【請求項15】 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる少なくとも一つである請求項14に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
【請求項16】 請求項14又は15に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるサイジング剤のこれら3種の化合物の組成比率は、サイジング剤総質量に対して、化合物aが35質量%以上、化合物が30質量%以上、化合物cが20質量%以上であることが好ましい。上述したように、それぞれの化合物は、それぞれ重要な役割を担っていることから、その役割の効果的発現させるために、それぞれの最低の存在比率が決定される。
また、本発明の炭素繊維束は、エチレン或いはプロピレンとエポキシ基含有モノマー成分を含む共重合物を構成成分とするサイジング剤であって、この共重合物をサイジング剤総質量に対し40質量%以上含むサイジング剤で収束されたことを特徴とするものである。構成成分のこの共重合物は、ポリオレフィン系樹脂と炭素繊維とのカップリング剤として、非常に効率よく作用する。これは共重合物のポリマーの主骨格が、エチレンユニットやプロピレンユニットより形成されているため、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂との相溶性に非常に優れ、更に分子中エポキシ基を有するため炭素繊維表面と強固な化学的相互作用を形成することが可能であるからである。
これは、既に述べたように、サイジング剤の水分の乾燥工程後の炭素繊維束に良好な集束性を付与できるからである。このような共重合物としては、住友化学(株)製"ボンドファースト"シリーズ、日本ポリオレフィン(株)製レクスパールRAシリーズ等が具体的に挙げられる。これらの共重合物は、サイジング剤総質量に対し40質量%以上、好ましくは50質量%以上含むことが必要である。40質量%未満では、この化合物の界面接着性向上機能を十分に発揮させることができない。
更にまた本発明の炭素繊維束は、第一成分として化合物d或いは化合物eをサイジング剤総質量に対し40質量%以上含み、第二成分としてエチレン或いはプロピレンとアクリル酸エステル及び酸無水基を含有するモノマーとの共重合物(化合物f)を構成成分とするサイジング剤で収束されたことを特徴とするものである。
このような第二成分の共重合物(化合物f)も、ポリオレフィン系樹脂と炭素繊維とのカップリング剤として、非常に効率良く作用するものである。これは、共重合物(化合物f)のポリマーの主骨格が、エチレンユニットやプロピレンユニットより形成されているために、マトリックス樹脂であるポリオレフィン系樹脂との相溶性に非常に優れ、更に分子中に酸基を有するため、炭素繊維表面と強い化学的相互作用を形成することが可能であるからである。好ましいこれらの共重合物(化合物f)としては、ビカット軟化点が120℃以下、好ましくは110℃以下のものである。これは、既に述べたように、サイジング剤の水分の乾燥工程後の炭素繊維束に良好な集束性を付与できるからである。このような共重合物(化合物f)としては、住友化学(株)製"ボンダイン"シリーズ、日本ポリオ
レフィン(株)製レクスパールETシリーズ等が具体的に挙げられる。これらの共重合物(化合物f)は、サイジング剤総質量に対し40質量%以上、好ましくは50質量%以上含むことが必要である。40質量%未満では、この化合物の界面接着性向上機能を十分に発揮させることができない。
また、第一成分として、化合物d或いは化合物eをサイジング剤総質量に対し40質量%以上含み、第二成分として、数平均分子量20,000以下、酸価が30〜100である酸変性されたポリプロピレン樹脂(化合物a)を構成成分とするサイジング剤で収束された炭素繊維束も、ポリオレフィン系樹脂と炭素繊維の界面接着性を良好にすることができる。
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