JP2004263208A - 固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金 - Google Patents

固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金 Download PDF

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Abstract

【課題】固体高分子形燃料電池の単位セルを積層させ組立てるために使用する固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用組立て構造部材を提供する。
【解決手段】Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じてMo:0.1〜2%、Fe:0.05〜1.0%およびSi:0.01〜0.1%の内の1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金に関するものであり、また、この発明は、固体高分子形燃料電池の単位セルを積層させ組立てるために使用する固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用組立て構造部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、常温から80℃の低温で作動する固体高分子形燃料電池は、コンパクトにできるところから車載用や携帯用への用途が期待され、その開発が急速に進められている。その固体高分子形燃料電池の構造は図1の概略説明図に示されている。図1において1は水素極、2は酸素極、3、3´は白金触媒、4は固体電解質膜、5は単位セルである。単位セル5は固体電解質膜4の両面に白金触媒3、3´を設け、白金触媒3の外側に水素極1を設け、白金触媒3´の外側に酸素極2を設けることにより形成される。この単位セル5をセパレータ6により隔てて積層させ、固体高分子形燃料電池を形成している。複数の単位セル5をセパレータ6により隔てて積層させ固体高分子形燃料電池を形成するには、少なくとも2枚の支持板7とボルトおよびナットなどの締め付け具8によって複数の単位セル5をセパレータ6により隔てて積層させて固定する。
【0003】
かかる構造を有する固体高分子形燃料電池の単位セル5における発電原理は以下のとおりである。すなわち、天然ガスやメタノールなどから得られる水素を水素極1に供給すると、供給された水素は水素極1側の白金触媒3によって水素イオンと電子に分解され、電子は電気として外部に取り出され、外部負荷回路(図示せず)を流れて酸素極2に達する。一方、水素イオンは水素イオンのみを通過する固体高分子状のイオン交換膜からなる固体電解質膜4を通って酸素極2側に移動し、酸素極2側では白金触媒3´によって水素イオンと電子と酸素が反応して水を作り出す。固体電解質膜4は水素ガスを水素イオンとして透過させる役割があり、そのためには湿潤であることが必要である。酸素極2側は水素イオンと電子と酸素が反応して水が生成されるために固体電解質膜4の湿潤保持についての問題は生じないが、固体電解質膜4で隔てられた水素極1側はそのままでは供給される水がないために乾いてしまう。そこで水素極1側の固体電解質膜の湿潤を確保するために、酸素極2側から排出される水9をマニホールド10に受け、パイプ11を通って、ポンプ12により水素極1側の固体電解質膜4に供給されるようになっている。
【0004】
前述のように、酸素極2側から排出される水9をマニホールド10で受け、パイプ11を通ってポンプ12により水素極1側の固体電解質膜4に供給することにより水素極1側の固体電解質膜の湿潤を確保しているが、通常、固体高分子形燃料電池に使用される固体電解質膜4は、スルフォン化処理が施されていることから、これらに起因して酸素極2側から排出される水9は硫酸酸性となり、弱い腐食性を持つことから、水9を受けるマニホールド10およびパイプ11は耐食性が必要とされる。
また、固体高分子形燃料電池に使用される固体電解質膜は、スルフォン化処理の代わりにフッ化処理が施されている場合があり、これに起因して酸素極2側から排出される水9はフッ酸酸性となり、水9を受けるマニホールド10およびパイプ11は同様に耐食性が必要とされる。
さらに、水素極1および酸素極2には貫通孔(図示せず)が設けられており、酸素極2側から排出される硫酸酸性またはフッ酸酸性の水9は貫通孔(図示せず)を通ってセパレータ6と接触し、また酸素極2側から排出され循環されて水素極1側に至った硫酸酸性またはフッ酸酸性の水9も貫通孔(図示せず)を通ってセパレータ6と接触する。したがって、セパレータ6においても耐食性が求められている。
【0005】
かかる耐食性を必要とするマニホールド10、パイプ11、セパレータ6などの材料として一般にSUS316Lなどのステンレス鋼が使用されており、さらに酸素極2側で生成された硫酸酸性またはフッ酸酸性の水は支持板7、ボルトおよびナットなどの締め付け具8などに飛散するなどして付着し、これらを腐食させることから、支持板7、ボルトおよびナットなどの締め付け具8にも一般にSUS316Lなどのステンレス鋼が使用されている。すなわち、支持板7、締め付け具8、マニホールド10、パイプ11、セパレータ等の固体高分子形燃料電池を組立てるための単位セル5を除く構造部材(以下、固体高分子形燃料電池用組立て構造部材という)はSUS316Lなどのステンレス鋼が使用されることが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3などを参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−6714号公報
【特許文献2】
特開2000−299121号公報
【特許文献3】
特開2000−331696号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、腐食試験前後での腐食速度(mm/year)が0.1mm/year未満であれば、固体高分子形燃料電池用組立て構造部材としてエクセレントと判定され、ステンレス鋼の耐食性もエクセレントと判定されている。しかし、ステンレス鋼は金属イオンの溶出量が多く、この溶出した金属イオンは固体電解質膜を劣化させるところから固体高分子形燃料電池の寿命を著しく低減させる原因になる。そのために、金属イオンの溶出量が極めて少ない金属材料の開発が求められていた。
【0008】
【課題を解決する手段】
そこで、本発明者らは、固体高分子形燃料電池環境で金属イオンの溶出量が極めて少ない金属材料を得るべく鋭意研究を行った。その結果、質量%(以下、%は質量%を示す)でCr:29〜42%未満含有するNi基合金にTa:1超〜3%と、Mg:0.001〜0.05%と、N:0.001〜0.04%と、Mn:0.05〜0.5%を含有せしめ、さらに、必要に応じてMo:0.1〜2%、Fe:0.05〜1.0%およびSi:0.01〜0.1%を1種または2種以上を含有し、残りがNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物としてのCを0.05%以下に調整した組成を有するNi基合金は、固体高分子形燃料電池環境における腐食試験前後での腐食速度(mm/year)が0.1mm/year未満でありかつ固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいことから、このNi基合金は固体高分子形燃料電池用組立て構造部材としてステンレス鋼などよりも一層優れた効果を有する、という知見を得たのである。
【0009】
この発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、
(1)Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金、
(2)Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにMo:0.1〜2%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金、
(3)Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにFe:0.05〜1.0%およびSi:0.01〜0.1%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金、
(4)Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにMo:0.1〜2%を含有し、さらにFe:0.05〜1.0%およびSi:0.01〜0.1%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有する固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金、
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用組立て構造部材、
(6)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用マニホールド部材、
(7)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用配管部材、
(8)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用締付け具部材、
(9)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用支持板部材、
(10)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなる固体高分子形燃料電池用セパレータ部材、に特徴を有するものである。
【0010】
次に、この発明の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金の合金組成における各元素の限定理由について詳述する.
Cr、Ta:
微量なフッ酸が混入する固体高分子形燃料電池環境では、CrとTaが同時に含有することにより耐食性が著しく向上する。その場合、Crは29%以上含有することが必要であるが、しかし42%以上含有するとTaとの組合せにおいて単一相化が困難になり、金属イオンの溶出量が増大するので好ましくないところからCr含有量を29〜42%未満に定めた。一層好ましくは、35〜41%である。
同様にTaは1%を越えて含有することが必要であるが、3%を超えて含有するとCrとの組合せにおいて相安定性が劣化し、金属イオンの溶出量が増大するので好ましくない。したがって、Taの含有量を1超〜3%(一層好ましくは1.1〜2.5%未満)に定めた。
【0011】
N、MnおよびMg:
N、MnおよびMgを共存させることにより、相安定性を向上させることができる。すなわち、N、MnおよびMgは母相であるNi−fcc相を安定化させ、Crの固溶化を促進し、第2相を析出しにくくする効果がある。しかし、Nの含有量が0.001%未満では相安定化の効果はなく、一方、0.04%を超えて含有すると窒化物を形成し固体高分子形燃料電池環境における金属イオンの溶出量が増大するため、Nの含有量を0.001〜0.04%(一層好ましくは、0.005〜0.03%)とした。
同様に、Mnの含有量が0.05%未満では相安定化の効果はなく、一方、0.5%を超えて含有すると固体高分子形燃料電池環境における金属イオンの溶出量が増大するため、Mnの含有量を0.05〜0.5%(一層好ましくは、0.1%〜0.4%)とした。
また、同様に、Mgの含有量が0.001%未満では相安定化の効果はなく、一方、0.05%を超えて含有すると固体高分子形燃料電池環境における金属イオンの溶出量が増大するため、Mgの含有量を0.001〜0.05%(一層好ましくは、0.002%〜0.04%)とした。
【0012】
Mo:
Moは、特に微量な硫酸が含まれる固体高分子形燃料電池環境で硫酸濃度が上がった場合の金属イオンの溶出量が増大するするのを抑制する効果があるので必要に応じて添加するが、その場合、0.1%以上含有することで効果を示すが、2%を超えて含有すると相安定性が劣化し、Cr−bcc相の固溶化を困難にしてしまうため、母相であるNi−fcc相とCr−bcc相との間でミクロ電池を形成し、結果的に金属イオンの溶出量を増大させるので好ましくない。従って、この発明のNi基合金に含まれるMoは0.1〜2%に定めた。一層好ましい範囲は0.1超〜0.5%未満である。
【0013】
FeおよびSi:
FeおよびSiは強度を向上させる効果があるので必要に応じて添加するが、Feは0.05%以上含有することで効果を示すものの、1%を超えて含有すると固体高分子形燃料電池環境における金属イオンの溶出量が増大するため、Feの含有量を0.05%〜1%(一層好ましくは、0.1〜0.5%未満)とした。
同様にSiは0.01%以上含有することで効果を示すものの、0.1%を超えて含有すると固体高分子形燃料電池環境における金属イオンの溶出量が増大するため、Siの含有量を0.01%〜0.1%(一層好ましくは、0.02〜0.05%)とした。
【0014】
C:
Cは不可避不純物として含まれるが、Cが大量に含まれると結晶粒界近傍でCrと炭化物を形成し、金属イオンの溶出量を増大させる。そのため、Cの含有量は少ないほど好ましく、不可避不純物に含まれるCの含有量の上限を0.05%と定めた。
【0015】
【発明の実施の形態】
いずれもC含有量の少ない原料を用意し、これらを通常の高周波溶解炉を用いて溶解し鋳造して厚さ:12mmを有するNi基合金インゴットを作製した。これらインゴットに1230℃で10時間保持の均質化熱処理を施し、1000〜1230℃の範囲内に保持しながら、1回の熱間圧延で1mmの厚さを減少させつつ、最終的に5mm厚とし、さらに1200℃で30分間保持し水焼入れすることにより固溶化処理を施したのち、表面をバフ研磨することにより、表1〜2に示される成分組成を有する本発明Ni基合金板1〜20、比較Ni基合金板1〜10を作製した。
同様にC含有量の少ない原料を通常の高周波溶解炉を用いて溶解し鋳造して厚さ:5mmを有するNi基合金精密鋳造インゴットを作製し、このインゴットに1230℃で10時間保持の均質化熱処理を施したのち水焼入れすることにより表2に示される成分組成を有する本発明Ni基合金板21を作製した。
さらに、厚さ:5mmを有するSUS304ステンレス鋼板からなる従来合金板1およびSUS316Lステンレス鋼板からなる従来合金板2を用意した。
【0016】
これら本発明Ni基合金板1〜21、比較Ni基合金板1〜10および従来合金板1〜2をそれぞれ縦:10mm、横:50mmの寸法に切断して試験片を作製し、これら試験片を耐水エメリー紙#400仕上げの表面研摩したのち、アセトン中超音波振動状態に5分間保持し脱脂した。
【0017】
さらに、固体高分子形燃料電池環境で発生する硫酸酸性の水に模擬した試験液として1000ppmHSO溶液および500ppmHSO溶液を調液することにより作製し、さらに固体高分子形燃料電池環境で発生するフッ酸酸性の水に模擬した試験液として500ppmHF溶液および50ppmHF溶液を調液することにより作製した。さらにポリプロピレン製試験容器を用意した。
【0018】
前記本発明Ni基合金板1〜21、比較Ni基合金板1〜10および従来合金板1〜2からなる試験片および前記作製した試験液:200mlをポリプロピレン製試験容器にそれぞれ入れ、グローブボックス中で減圧脱気し、水素雰囲気中で上蓋を閉めることにより密封した。かかる密封したポリプロピレン製試験容器を80℃に設定した恒温槽中に入れ、500時間保持した後ポリプロピレン製試験容器を取り出して冷却し、HSO溶液およびHF溶液中に溶出した元素の定量分析(ICP発光分析による)をし、試験片から溶出した金属イオンの総量を測定し、この溶出した金属イオンの総量を試験片の表面積で割ることにより単位面積当りの溶出量を算出し、その結果を表3〜4に示した。
【0019】
【表1】
Figure 2004263208
【0020】
【表2】
Figure 2004263208
【0021】
【表3】
Figure 2004263208
【0022】
【表4】
Figure 2004263208
【0023】
表1〜4に示された結果から、本発明Ni基合金板1〜21は、従来合金板1および2に比べて試験片の単位面積当たりの金属イオンの溶出量が格段に少ないことが分かる。しかし、この発明から外れた比較Ni基合金板1〜10の試験片は金属イオンの溶出量がやや多かったり板に加工する途中で割れが発生するものもあった。
【0024】
【発明の効果】
上述のように、この発明のNi基合金は固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さい特性を有するので、この発明のNi基合金からなる部材を用いて固体高分子形燃料電池を組立てることにより、固体電解質膜の劣化を抑えることができ、一層長寿命の固体高分子形燃料電池を提供できるので産業上優れた効果をもたらすものである。
なおこの発明のNi基合金は、上述の如く硫酸やフッ酸を含む固体高分子形燃料電池環境下で使用することが最も有効であるが、これに限定されるものでなく蟻酸を含む固体高分子形燃料電池環境でも金属イオンの溶出量が極めて小さく、それ故、固体高分子形燃料電池のみならず、金属イオンの溶出を嫌う医薬品製造装置部材としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子形燃料電池の構造を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
1 水素極、
2 酸素極、
3、3´ 白金触媒、
4 固体電解質膜、
5 単位セル、
6 セパレータ、
7 支持板、
8 締め付け具、
9 水、
10 マニホールド10、
11 パイプ、
12 ポンプ

Claims (10)

  1. 質量%で、Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金。
  2. 質量%で、Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにMo:0.1〜2%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金。
  3. 質量%で、Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにFe:0.05〜1.0%およびSi:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金。
  4. 質量%で、Cr:29〜42%未満、Ta:1超〜3%、Mg:0.001〜0.05%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%を含有し、さらにMo:0.1〜2%を含有し、さらにFe:0.05〜1.0%およびSi:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金。
  5. 請求項1、2、3または4記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用組立て構造部材。
  6. 請求項1、2、3または4記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用マニホールド部材。
  7. 請求項1、2、3または4記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用配管部材。
  8. 請求項1、2、3または4記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用締付け具部材。
  9. 請求項1、2、3または4記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用支持板部材。
  10. 請求項1、2、3または4記載の固体高分子形燃料電池環境でイオン溶出量が著しく小さいNi基合金からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用セパレータ部材。
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