JP2004250844A - 新聞印刷用紙 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は適切な範囲の摩擦係数と十分なサイズ性を有する新聞印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
新聞用紙の印刷方式は四色カラーオフセット印刷が主流になってきており、それに伴い、摩擦係数を適切な範囲の値にコントロールすることが重要である。新聞用紙の摩擦係数が上昇すると、印刷時に皺の発生など走行性に問題が生じることがあり、一方、摩擦係数が低下すると紙流れなどが発生し、印刷作業性の点で問題となる。また、四色カラー印刷により湿し水の転移回数が増加することによる断紙、色ずれやテンション低下を防ぐために、湿し水に対する耐水性(サイズ性)が新聞用紙にとって重要な品質要求となっている。
【0003】
近年の新聞用紙への脱墨パルプの高配合化により、相対的に機械パルプの配合量が減少し、機械パルプ中の抽出成分の持ち込み量が減少すること、あるいは中性抄紙化によって填料として炭酸カルシウムを配合することにより、新聞用紙の摩擦係数は上昇する傾向にある
紙の摩擦係数を低下させるには、アルキルケテンダイマー(AKD)やタルクを内添する方法や顔料塗工用の滑剤を塗工する方法が行われている。しかしながら、AKDを内添した場合にはAKDが巻き取り内でマイグレーションすることにより、上巻きの摩擦係数が極端に低下し、印刷時の紙流れを発生させる原因となっている。また、タルクを内添した場合、相対的にホワイトカーボンや炭酸カルシウムなどの比散乱係数の高い填料の配合量が減少し、紙の不透明度が低下してしまうので、これらの方法は、高品質の紙を製造する上で好ましいものとは言えない。一方、ポリエチレンワックス系滑剤(特許文献1参照)やスチレン系滑剤(特許文献2参照)などの顔料塗工用の滑剤は、塗料のpHが7.0以下の場合には、分散安定性が低下して塗工時にシェアがかかるとスカムと呼ばれる凝集物を発生し、操業上大きな問題となる。通常、新聞用紙においては顔料は含まず、澱粉、表面サイズ剤を含むpHが7.0以下の塗料を塗工しているので、この問題が発生する。
【0004】
従って、新聞用紙、特に中性新聞用紙の摩擦係数を適切な範囲にコントロールできる薬品の開発が望まれている。
【0005】
一方、近年の四色カラー印刷の普及により、湿し水の付着量は単色印刷の約4倍になり、そのため新聞用紙からの粘着性物質の溶出量が多くなり、ブランケットに付着する粘着性物質の量が増加する傾向にある。また、DIPの高い配合化や中性抄紙化により、原紙の自己サイズ性は低下し、原紙の表面自由エネルギーが高くなることにより、紙とブランケットの付着仕事が増加し、ネッパリトラブルが発生しやすい傾向にある。
【0006】
また、新聞用紙のサイズ性の付与の方法は、内添と外添の二つの方法が存在する。中性抄紙におけるサイズ剤の内添方法の場合にはアルキルケテンダイマー(以下AKDと称する)やアルケニル無水コハク酸などの反応性サイズ剤が使用されているが、全てのサイズ剤が紙中に歩留まるわけではなく、歩留まらなかったサイズ剤が白水中で加水分解してデポジットを形成し、抄紙機やプレスロールの汚れが問題になっている。また、新聞用紙の様に機械パルプ及び脱墨パルプの配合率が高い抄紙系内ではアニオントラッシュ量が多く、サイズ剤を内添した場合にはカチオン性に乳化されているAKDがパルプ繊維に定着しないで、アニオントラッシュに定着してしまうので、有効なサイズ度を発現させるのに必要なAKDの添加量を増加させる必要があり、また、抄紙系内のアニオントラッシュ量の変動によるサイズ度の変動が発生する。さらに、AKDを内添した場合にはサイズ度が発現するのに時間が掛かり、オンマシンでサイズ度が必要な場合には適切なサイズ度を付与することは出来なかった。
【0007】
そこで、外添、すなわち表面サイズ剤を塗布する方法が検討されている。新聞用紙への表面サイズ剤の塗布方法としては、高速塗工が可能な被膜形成転写方式であるゲートロールコーターにて塗布するのが一般的である。しかしながら、表面サイズ剤として知られているスチレン−マレイン酸系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、オレフィン−マレイン酸系共重合体等のポリマー系サイズ剤は、サイズプレスコーターの様に低濃度の塗工液で塗布され、紙に浸漬した後に乾燥してサイズ効果が発現する様に設計されているので、ゲートロールコーターに適用しても塗工液の紙層内部への浸透性が低いために、ポリマー系サイズ剤とパルプ繊維との結合が不充分であり、サイズ効果が発現し難い。
【0008】
そこで、AKDを新聞用紙に塗布する方法が検討されたが(特許文献3参照)、一般的な新聞用紙はpHが4.5〜5.5の酸性抄紙で抄造されているため、紙面pHも4.5〜5.5であり、AKDが適切なサイズ度を発現するのに必要なアルカリ度に達していないので、効果的なサイズ度を付与するには、多量のAKDを塗布する必要があり、さらにサイズ度の立上がりに時間が掛かるといった問題が存在した。また、摩擦係数を適切な範囲とするためには防滑剤を同時に塗布する必要があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−137295号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭58−8200号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平7−119078号公報(請求項1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、新聞用紙、とりわけ中性新聞用紙に効果的なサイズ度を付与し、摩擦係数を適切範囲とすることができる表面サイズ剤の開発が望まれている。本発明は、摩擦係数が適切な範囲で、ネッパリ強度が低くく、十分なサイズ性を有する新聞印刷用紙、特に四色カラーオフセット印刷用として最適な新聞印刷用紙を提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、表面サイズ剤として特定のアルケニルケテンダイマーを選択し、このサイズ剤と澱粉などの紙表面加工剤を含有する塗布液を、新聞印刷用紙原紙に塗工、乾燥することにより、静摩擦係数を適切な範囲である0.44〜0.74とし、ネッパリ強度が低く、かつ十分なサイズ性を有する新聞印刷用紙が得られることを見出だした。特に、炭酸カルシウムを填料として使用している中性新聞用紙においても十分なサイズ性を付与できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明では、表面サイズ剤として特定のアルケニルケテンダイマーを用いる。このアルケニルケテンダイマーは、下記一般式(1)で表される化合物を主成分とするものである。
【0013】
【化2】
(ただし、式中、R1、R2は炭素数8〜30の不飽和の炭化水素基を示す。)
【0014】
上記一般式(1)で表されるアルケニルケテンダイマーは、R1、R2が炭素数が14〜22の不飽和炭化水素であることがより好ましい。R1、R2は直鎖状の炭化水素に限定されるものではなく、分岐状ものや環状のものであってもよい。また、このアルケニルケテンダイマーは、5〜50℃の範囲で液体の状態であるのものが好ましい。
【0015】
アルケニルケテンダイマーは各種公知の乳化剤によって、水性分散液として用いてもよい。アルケニルケテンダイマーの水性分散化法としては、従来公知の各種方法で行われる。
【0016】
本発明で使用する紙表面加工剤としては、通常の紙表面処理に使用されている公知のものが挙げられる。例えば、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変成澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カルボキシル変成ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール等の変成アルコール、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル等から選択される少なくとも1種を使用することが可能である。紙表面加工剤を含む水溶液、または水性ラテックスの状態で塗布される。これらの紙表面加工剤は、表面強度の向上、紙粉防止などの目的で使用され、単独、もしくは2種類以上混合して用いられる。
【0017】
本発明で使用する紙表面加工剤は、表面強度向上、特に、紙粉抑制の点では、主体的な役割を果たす。しかしながら、一方で、新聞用紙固有の問題であるネッパリ問題(新聞用紙が大量印刷された際、紙表面加工剤がブランケットに転移、蓄積して引き起こされるトラブル)の原因にもなる。表面強度向上効果、ネッパリ問題とのバランスを考えれば、紙表面加工剤としては、前述の例の中でも澱粉類を好ましく使用でき、その中でも、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の加工澱粉が最も好ましい。
【0018】
アルケニルケテンダイマーと紙表面加工剤の好ましい配合比は、表面加工剤に対してアルケニルケテンダイマーが1〜30重量%である。アルケニルケテンダイマーが1重量%未満ではサイズ度の向上の効果が不十分で、30重量%を超えて配合してもサイズ度がレベルオフするために配合する意味があまり無くなる。紙表面加工剤の好ましい塗布量の範囲は0.1〜1.0g/m2である。
【0019】
本発明において、新聞用紙原紙に特定の構造のアルケニルケテンダイマー及び紙表面加工剤を含有する塗布液を塗布することにより、十分なサイズ性を有しながら、摩擦係数の低下が少ない新聞用紙が得られる。通常、アルキルケテンダイマーを塗布すると摩擦係数が顕著に低下してしまうので、防滑剤を使用する必要があるが、本発明のアルケニルケテンダイマーを塗布すると、防滑剤を使用しなくても適切な範囲の摩擦係数を有し、かつ十分なサイズ性を有する新聞印刷用紙である。
【0020】
本発明の新聞印刷用紙の静摩擦係数は、0.44〜0.74の範囲にある必要がある。静摩擦係数が0.44未満の場合、紙流れの問題、印刷テンション低下の問題が起きる恐れがある。他方、静摩擦係数が0.74より高い場合、用紙の走行性悪化の問題などが懸念される。
【0021】
さらに、ソフトカレンダー、マシンカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置で新聞用紙原紙に本発明のアルケニルケテンダイマー及び紙表面加工剤を含有する塗布液を塗布した面を処理することにより、サイズ度を効果的に発現させることが出来る。カレンダーの表面温度は50℃以上が望ましい。
【0022】
本発明の新聞印刷用紙の吸水抵抗性(サイズ性)は、製品に求められる仕様により、適宜決定されればよく、特に限定されるものではない。点滴吸水度法(Japan TAPPI No.33に準拠した方法(紙面に水1μlを滴下し、水滴が紙面に吸収されるまでの時間を測定する方法))であえて限定すれば、点滴吸水度が10〜1000秒の範囲であればよく、さらに好ましくは15〜800秒の範囲である。また、特開平8−232193号公報、あるいは特開平11−140791号公報に記載されているような水滴の接触角による方法(紙面に水滴を落下して所定時間後の接触角)で限定するとすれば、5μlの水滴を紙面に落下して0.1秒後の接触角が90度以上110度以下であることが好ましい。点滴吸水度法は、どちらかと言うと、静的サイズ性の評価であるのに対し、接触角による方法は、動的サイズ性の評価であると考えられる。点滴吸水度法は、例えば、用紙がオフセット輪転機で湿し水が付着してから、印刷物として排出されるまでの間の時間における用紙の挙動、接触角による方法は、例えば、サテライト印刷機のようなカラー印刷機の胴と胴の間での時間における用紙の挙動に対応するものであり、異なる事象を評価していると考えられる。従って、カラー印刷適性を向上させるためには、両方の性質を兼ね備えている必要がある。そのため、本発明の新聞印刷用紙は、点滴吸水度が10〜1000秒の範囲で、かつ5μlの水滴を滴下して0.1秒後の接触角が90度以上110度以下であることが好ましい。
【0023】
本発明において、炭酸カルシウムを填料として含有する中性新聞用紙原紙を原紙として用いることが好ましい。炭酸カルシウムを使用することによりアルケニルケテンダイマーのサイズ性に必要なアルカリ度を充分に供給することが出来る。炭酸カルシウムとしては平均粒子径1.0〜4.0μmの軽質炭酸カルシウムを使用することがさらに好ましい。填料としての炭酸カルシウムの含有率は紙重量当たり1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
【0024】
アルケニルケテンダイマー及び表面加工剤を含有する塗布液を新聞用紙原紙へ塗布するための塗工装置としては、特に限定されるものではなく、例えば、サイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアーナイフコーター等、一般に公知公用の塗工装置が適宜使用される。
【0025】
本発明で用いられる新聞用紙原紙は、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、セミケミカルパルプなどのメカニカルパルプ(MP)、クラフトパルプ(KP)に代表されるケミカルパルプ(CP)、これらのパルプを含む古紙を脱墨して得られる脱墨パルプ(DIP)、及び抄紙工程からの損紙を離解して得られる回収パルプなどを、単独、あるいは任意の比率で混合し、一般に公知公用の抄紙機によって抄紙されたものである。DIPの配合率は、最近のDIPの高配合化の流れからすると、50〜100重量%の範囲がより好ましい。しかしながら、DIPの高配合化により、相対的に機械パルプの配合比率が減少し、機械パルプ中の抽出成分の持ち込み量が減少することにより、新聞印刷用紙の摩擦係数は上昇する傾向にある。本発明では、特定の構造のアルケニルケテンダイマーを使用することより、静摩擦係数を0.44〜0.74の範囲に調整することをも可能としたのである。
【0026】
本発明で使用する新聞用紙原紙は、必要に応じて、一般に公知公用の製紙用填料、抄紙用薬品を適宜使用することができる。填料としては、炭酸カルシウム以外に、ホワイトカーボン、クレー、シリカ、タルク、酸化チタン、合成樹脂填料(塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体系樹脂など)などを使用してもよい。また、抄紙用薬品としては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド−アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合物などのろ水性/歩留まり向上剤、ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、紫外線防止剤、退色防止剤、消泡剤などの助剤などを含有してもよい。また、新聞用紙原紙の坪量としては、特に限定されるものではないが、34〜50g/m2程度である。この新聞用紙原紙の物性は、オフセット印刷機で印刷可能である必要があり、通常の新聞用紙程度の引張り強度、引裂き強度、伸びなどの物性を有するものであればよい。
【0027】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれ等の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の%、部は各々重量%、重量部を表す。
【0028】
[実施例1]
TMP25部、DIP70部及びNBKP5部(何れも乾燥パルプ重量)から成る混合パルプスラリーを調整し、この混合パルプ100部に対して硫酸アルミニウムを1.3部、炭酸カルシウム(商品名:オプチカルHP、イメリス社製、平均粒子径1.5μm)を5部となるように添加し、ツインワイヤー型抄紙機にて、坪量43g/m2、厚さ68μm、灰分9%の中性新聞用紙原紙を製造した。ヒドロキシルエチル化澱粉(商品名:ETHYLEX2025、STALEY社製)を蒸煮したものを濃度8.0%に、更にサイズ剤としてアルケニルケテンダイマー(商品名:AS−1163、日本PMC(株)製)を濃度0.8%になるように調整して塗布液を作成し、ゲートロールコーターを用いて、880m/分の速度で、前記新聞用紙原紙の両面に塗布量が1.0g/m2(両面当たり)になる様に塗布した。なお、塗布量、摩擦係数、ネッパリ強度、点滴吸水度を表1に示す。
【0029】
[実施例2]
TMP25部、DIP70部及びNBKP5部(何れも乾燥パルプ重量)から成る混合パルプスラリーを調整し、この混合パルプ100部に対して硫酸アルミニウムを1.3部、炭酸カルシウム(商品名:オプチカルHP、イメリス社製、平均粒子径1.5μm)を10部となるように添加し、ツインワイヤー型抄紙機にて、坪量43g/m2、厚さ66μm、灰分15%の中性新聞用紙原紙を製造した。ヒドロキシルエチル化澱粉(商品名:ETHYLEX2025、STALEY社製)を蒸煮したものを濃度8.0%に、更にサイズ剤としてアルケニルケテンダイマー(商品名:AS−1163、日本PMC(株)製)を濃度0.48%になるように調整して塗布液を作成し、ゲートロールコーターを用いて、880m/分の速度で、前記新聞用紙原紙の両面に塗布量が0.8g/m2(両面当たり)になる様に塗布した。
【0030】
[実施例3]
実施例1と同様のパルプ配合の混合パルプスラリーを用い、この混合パルプ100部に対して硫酸アルミニウムを2.1部、クレー(商品名:44クレー、大春工業所製)を8部となるように添加し、ツインワイヤー型抄紙機にて、坪量43.2g/m2、厚さ67μm、灰分3.9%の酸性新聞用紙原紙を製造した。この原紙は軽量酸性新聞用紙原紙としては一般的なものである。この新聞用紙原紙を使用した以外は、実施例1と同様にして新聞印刷用紙を作成した。
【0031】
[比較例1]
実施例1で使用したアルケニルケテンダイマーの代りに、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SKレジン、日本PMC(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして新聞印刷用紙を作成した。
【0032】
[比較例2]
実施例1で使用したアルケニルケテンダイマーの代りに、サイズ剤としてスチレン・アクリル酸系共重合体(商品名:KN−520、ハリマ化成(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして新聞印刷用紙を作成した。
【0033】
[比較例3]
アルケニルケテンダイマー系の替わりに、サイズ剤としてスチレン系表面サイズ剤(商品名:KN−520、ハリマ化成(株)製)を濃度0.8%に成るようにして塗布液を調整したこと以外は、実施例2と同様にして新聞印刷用紙を作成した。
【0034】
[比較例4]
実施例3で使用した酸性新聞用紙原紙を使用し、アルケニルケテンダイマーの代りに、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SKレジン、日本PMC(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして新聞印刷用紙を作成した。
【0035】
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた新聞印刷用紙について、静摩擦係数、動摩擦係数、ネッパリ強度、点滴吸水度、接触角について以下に記載した方法にて測定し、結果を表1に示した。
・静摩擦係数及び動摩擦係数の測定:ISO15359に準拠し、μMeasurement社のAmontons IIで測定した。
・ネッパリ強度の測定:オフセット印刷用新聞用紙を4×6cmに2枚切り取り、塗工面を温度20℃の水に5秒間浸漬後、塗工面同士を密着させた。外側両面に、薄濾紙を重ね、50kg/m2の圧力でロールに通し、25℃、60%RHで24時間調湿した。3×6cmの試料片とした後、引っ張り試験機で、引っ張り速度30mm/分の条件で測定を行った。測定値が大きいほど、剥がれにくい(逆の言い方をすると、粘着性が強い)ことを意味する。本発明では、ネッパリ強度が880mN/3cm以下のものを、“剥離性が良好である”とした。
・点滴吸水度の測定:Japan TAPPI No.33(吸収性の紙の吸水速度試験方法)に準じて、滴下水量1μlで測定した。
・接触角の測定:フェルト面(F面)について、Fibro社のDynamic Absorption Testerで5μlの水滴を滴下し、0.1秒後の接触角を測定した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示されるように、実施例1〜3の本発明のアルケニルケテンダイマーをサイズ剤として塗工した新聞印刷用紙は、摩擦係数が適切な範囲であり、ネッパリ強度も低く、特に中性新聞用紙を原紙とした実施例1、2は十分なサイズ性を有していた。一方、比較例1及び比較例4のアルキルケテンダイマーをサイズ剤として塗工した新聞印刷用紙は摩擦係数が顕著に低下し、比較例2及び比較例3のスチレン・アクリル酸系共重合体をサイズ剤として塗工した新聞印刷用紙はネッパリ強度が高く、印刷作業性の低下が懸念される。
Claims (4)
- 新聞用紙原紙が填料として炭酸カルシウムを含有する中性新聞用紙原紙である請求項1記載の新聞印刷用紙。
- 新聞用紙原紙の脱墨パルプの配合率が50重量%以上である請求項1ないし2記載の新聞印刷用紙
- 新聞用紙原紙が填料として平均粒子径が1.0〜4.0μmの軽質炭酸カルシウムを含有する中性新聞用紙原紙である請求項2ないし3記載の新聞印刷用紙。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003045182A JP4063104B2 (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 新聞印刷用紙 |
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