JPH07119078A

JPH07119078A - 新聞用紙用表面サイズ剤および新聞用紙の製造方法

Info

Publication number: JPH07119078A
Application number: JP19695393A
Authority: JP
Inventors: Noriaki Torigoe; 典章鳥越
Original assignee: Arakawa Chemical Industries Ltd
Current assignee: Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority date: 1993-07-13
Filing date: 1993-07-13
Publication date: 1995-05-09

Abstract

(57)【要約】【構成】ケテンダイマー化合物を有効成分としてなる
表面サイズ剤および紙表面加工剤を含有してなる塗工液
を、ゲートロールコーターにより新聞原紙に塗工して新
聞用紙を製造する。【効果】高濃度、高速塗工が可能なゲートロールコー
ターを用いて新聞用紙を製造することが可能になり、操
業性を低下させず、また新聞用紙の品質を悪化させるこ
となく新聞用紙に所望のサイズ性を付与することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は新聞用紙用表面サイズ剤
および新聞用紙の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、新聞印刷方式のオフセット印刷へ
の移行により、湿し水に対する耐水性が新聞用紙にとっ
て重要な要求品質となっている。しかし、紙に耐水性
（サイズ性）を付与する方法として知られている方法、
たとえば、抄紙時に内添サイズ剤を原料パルプスラリー
に添加する方法や、抄紙後の紙に表面サイズ剤を塗工す
る方法は新聞用紙の製造に適用すると種々の問題があ
る。

【０００３】すなわち、一般に新聞用紙が抄造される酸
性抄紙で汎用されている内添サイズ剤であるロジンエマ
ルジョンサイズ剤は、本来水溶性のないマレイン化また
はフマル化ロジンを界面活性剤により水に分散させてい
るため、本質的に泡立ちやすく、新聞抄紙機の様な高速
抄紙機では白水系で泡立ちによるトラブルを引き起こし
やすい。また、新聞用紙はサイズ効果の発現しにくいグ
ランドパルプを原料として多用しているため、内添サイ
ズ剤とともに歩留向上剤が併用される場合には抄紙系内
のピッチ等も紙中に取り込み、新聞用紙の白色度を低下
させ品質悪化の原因になるといった不利もある。

【０００４】また、新聞抄紙機は高速抄紙機であり、オ
ンマシンの表面加工剤の塗工は、サイズプレスのような
低濃度塗工液を塗工する塗工機では紙切れを起こすた
め、塗工液濃度が高く、高速塗工が可能な被膜形成転写
方式によるゲートロールコーターが一般的である。しか
し、表面サイズ剤として知れらているスチレン／マレイ
ン酸共重合体、スチレン／アクリル共重合体、オレフィ
ン／マレイン酸共重合体等のポリマーサイズ剤は、サイ
ズプレスのように低濃度の塗工液で塗工され、紙に浸透
した後に乾燥によりパルプ繊維と結合してサイズ効果を
発現するように設計されているため、ゲートロールコー
ターに適用しても塗工液の紙層への浸透が少なく、ポリ
マーサイズ剤とパルプ繊維の結合が不十分であり、サイ
ズ効果が全く発現しないか、または発現してもその効果
が弱い。

【０００５】このように、公知の表面サイズ剤を新聞用
紙の製造に適用しても十分なサイズ効果が得られないた
め、操業性の低下、品質の悪化にもかかわらず内添サイ
ズ剤を使用しているのが現状である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ゲートロー
ルコーターを用いた新聞用紙の製造に適用でき新聞用紙
に所望のサイズ性を付与しうる表面サイズ剤、および該
表面サイズ剤を用いて新聞用紙を製造する方法を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、前記従来技
術の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、表面サ
イズ剤としてケテンダイマー化合物を用い、該ケテンダ
イマー化合物と澱粉等の紙表面加工剤を併用して新聞用
紙の製造に適用することにより、前記目的が達成される
ことを見出した。本発明はかかる新たな知見に基づき完
成されたものである。

【０００８】すなわち、本発明は、ケテンダイマー化合
物を有効成分としてなる新聞用紙用表面サイズ剤、なら
びに、紙表面加工剤および前記表面サイズ剤を含有して
なる塗工液を、新聞原紙に塗工することを特徴とする新
聞用紙の製造方法に関する。

【０００９】本発明では、新聞用紙の表面サイズ剤とし
てケテンダイマー化合物を用いる。かかるケテンダイマ
ー化合物としては、一般式（１）：

【００１０】

【化１】

【００１１】（式中、Ｒ¹ およびＲ² は同一または相異
なって炭素数８〜３０の飽和または不飽和の炭化水素基
を示す。）で表される脂肪族炭化水素置換ケテンダイマ
ーがあげられる。このＲ¹ 、Ｒ² の炭素数が８未満の場
合には疎水性が不十分であり、サイズ効果が不満足とな
る。また、炭素数が３０を越える場合にはサイズ効果が
更に向上するわけでなく、むしろこのようなケテンダイ
マー化合物の入手は困難である。

【００１２】前記ケテンダイマー化合物の具体例として
は、例えばＲ¹ 、Ｒ² がオクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、エイコシル基、ドコシル基またはテトラコシル基な
どの飽和アルキルケテンダイマー化合物；ヤシ油、パー
ム油、オリーブ油、落花生油、菜種油、牛脂油、ラード
などの天然油脂から調製されたケテンダイマー化合物；
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリ
ン酸、アラキドン酸などから調製された不飽和アルキル
ケテンダイマー化合物などがあげられる。これらケテン
ダイマー化合物は１種を単独でまたは２種以上を併用で
きる。

【００１３】ケテンダイマー化合物は、通常、水性分散
液として用いられる。ケテンダイマー化合物の水性分散
化方法としては特に制限はされず、従来公知の各種方法
をそのまま採用し得る。例えば、高圧ホモジナイザーな
どを使用する高圧乳化法、反転乳化法等があげられる。
また乳化に際しては、必要に応じて、安定なエマルジョ
ンを形成しうるアニオン性、カチオン性、両性またはノ
ニオン性の各種公知の乳化剤や保護コロイドを使用する
ことができる。アニオン性乳化剤としては、例えばアル
キル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ソーダ、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ソーダ、
アルキルスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルリン酸エステル等があげられる。カチ
オン性乳化剤としては、例えばラウリルトリメチルアン
モニウムクロライド、ジヒドロキシエチルステアリルア
ミン等があげられる。両性乳化剤としては、例えばラウ
リルアミノプロピオン酸ソーダ、ステアリルジメチルベ
タイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等があげ
られる。またノニオン性乳化剤としては、例えばポリエ
チレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等お
よびこれらの末端水酸基のアセチル化物等があげられ
る。また保護コロイドとしては、ポリビニルアルコー
ル、酸化澱粉などのノニオン性保護コロイド、ナフタレ
ンスルホン酸ソーダホルムアルデヒド縮合物、リグニン
スルホン酸ソーダホルムアルデヒド縮合物などのアニオ
ン性保護コロイド、カチオン澱粉、ポリエチレンイミン
−エピクロルヒドリン縮合物などのカチオン性保護コロ
イドおよびアニオン性、カチオン性、両性のポリマータ
イプの高分子保護コロイドがあげられる。これらはいず
れも１種を単独でまたは２種以上を組み合わせて使用す
ることができる。

【００１４】該乳化剤及び保護コロイドの使用量は、得
られるエマルジョンの分散安定性を考慮して決定される
が、通常はケテンダイマー化合物に対して０．１〜５０
重量％、好ましくは１〜３０重量％である。乳化剤及び
保護コロイドの使用量が０．１％未満の場合には、得ら
れるエマルジョンの安定性が不良であったり、粘度が高
くなることがある。また、乳化剤及び保護コロイドの使
用量が５０重量％を越える場合は、得られる表面サイズ
剤のサイズ効果が低下し好ましくない。

【００１５】紙表面加工剤としては、通常の紙表面加工
に使用されている各種公知のものがあげられる。たとえ
ば、酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉、りん酸澱粉、カチオ
ン化澱粉などの澱粉類、完全ケン化ポリビニルアルコー
ル、部分ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルア
ルコール類、カルボキシメチルセルロース類、アニオン
性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミ
ド、両性ポリアクリルアミド等のポリアクリルアミド類
等の各種の天然又は合成高分子物質があげられ、これら
の１種を単独でまたは２種以上を組み合わせて使用でき
る。これらの紙表面加工剤は、表面強度の向上、紙粉防
止、印刷適性の改善を目的として塗工されている。

【００１６】前記表面サイズ剤と紙表面加工剤の使用量
は、所望するサイズ性により異なるが、表面サイズ剤が
紙表面加工剤に対して、固形分換算で通常０．１〜５０
重量％、好ましくは０．５〜３０重量％である。０．１
重量％未満では十分なサイズ効果がなく、また５０重量
％を越えて使用した場合は塗工液中の紙表面加工剤の量
が相対的に低下し、所望する紙表面の強度を得るには塗
工液の紙への塗工量を増加する必要が生じコストの上昇
を招くため好ましくない。

【００１７】紙表面加工剤と表面サイズ剤を、新聞原紙
に塗布する方法は特に制限はされないが、通常は、紙表
面加工剤の水溶液を紙表面に塗布する際に、該水溶液中
に表面サイズ剤を混合添加し、該混合液を新聞原紙に塗
布する方法を採用することができる。また、前記表面加
工剤の水溶液を前記方法により新聞原紙に予め表面加工
した後、改めて表面サイズ剤を塗布する方法等を採用し
てもよい。

【００１８】また、紙表面加工剤と前記表面サイズ剤を
含有してなる塗工液、または紙表面加工剤もしくは前記
表面サイズ剤を含有してなる塗工液の塗布はゲートロー
ルコーターを用いる。ゲートロールコーターは、塗工液
を高速、高濃度で塗工でき、紙層表面への歩留まりが高
く、乾燥熱量が少なくてすみ、異種類の表面加工剤を用
いて両面同時塗工が可能なこと、平滑性、白色度、光
沢、インキ受理性等の印刷適性の改善ができること、更
には高濃度塗工が可能なため紙層中への水分移動が少な
く塗工中の紙切れ、シワの発生が少ないこと等の利点が
あり新聞用紙の製造に適する。

【００１９】紙表面加工剤と前記表面サイズ剤を含有し
てなる塗工液、または紙表面加工剤もしくは前記表面サ
イズ剤を含有してなる塗工液を、新聞原紙表面に塗工す
る際の濃度および粘度は特に制限はされないが、いずれ
の塗工液も、通常はそれぞれ不揮発分０．５〜２０重量
％程度、好ましくは１〜１５重量％、粘度１０００ｃｐ
ｓ程度（２５℃）以下、好ましくは２００ｃｐｓ（２５
℃）以下とされる。また、塗工液の塗布量は、新聞原紙
に塗布された紙表面加工剤と前記表面サイズ剤の固形分
付着量の合計量が、通常０．００５〜５．０ｇ／ｍ² 程
度、好ましくは０．０１〜２．０ｇ／ｍ² の範囲となる
よう調節するのがよい。

【００２０】

【発明の効果】本発明の表面サイズ剤によれば、高濃
度、高速塗工が可能なゲートロールコーターを用いて新
聞用紙を製造することが可能になり、操業性を低下させ
ず、また新聞用紙の品質を悪化させることなく新聞用紙
に所望のサイズ性を付与することができる。

【００２１】

【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、各例中の％は重量％を表す。

【００２２】実施例１冷却管、撹拌機のついたフラスコに酸化澱粉（王子コー
ンスターチ（株）製、王子エースＡ）及び水を仕込み、
撹拌、加熱し１０％濃度の酸化澱粉水溶液を得た。ま
た、硬化牛脂油から製造されたケテンダイマー化合物１
８部、１０％濃度のカチオン化澱粉（窒素含有率０．５
％以上）水溶液２０部および脱イオン水６２部を仕込み
ホモミキサーで予備分散させた後、同温度にて３００ｋ
ｇ／ｃｍ²の条件下にホモジナイザーに２回通して分散
させ、直に冷却し２０％濃度の水性分散液を得た。次い
で、前記１０％濃度の酸化澱粉水溶液５０部に、水４
９．５部および前記２０％濃度のケテンダイマー化合物
の水性分散液０．５部を混合し塗工液を調製した。該塗
工液を、ゲートロールコーターにて新聞原紙（坪量４３
ｇ／ｍ² ）に塗工し、回転ドライヤーを用いて１００℃
で１分間乾燥させて新聞用紙を得た。なお、塗工量は表
１に示す。

【００２３】実施例２実施例１において、硬化牛脂油から製造されたケテンダ
イマー化合物の代わりにステアリン酸から製造されたケ
テンダイマー化合物を使用した他は、実施例１と同様に
して１５％濃度のケテンダイマー化合物の水性分散液を
得た。次いで、実施例１で得た１０％濃度の酸化澱粉水
溶液５０部、水４９．３部および前記１５％濃度のケテ
ンダイマー化合物の水性分散液０．７部を混合し塗工液
を調製した。また、実施例１と同様にして新聞用紙を得
た。なお、塗工量は表１に示す。

【００２４】実施例３実施例１において、硬化牛脂油から製造されたケテンダ
イマー化合物の代わりにベヘニン酸から製造されたケテ
ンダイマー化合物を使用した他は、実施例１と同様にし
て２０％濃度のケテンダイマー化合物の水性分散液を得
た。次いで、実施例１で得た１０％濃度の酸化澱粉水溶
液５０部、水４９．５部および前記２０％濃度のケテン
ダイマー化合物の水性分散液０．５部を混合し塗工液を
調製した。また、実施例１と同様にして新聞用紙を得
た。なお、塗工量は表１に示す。

【００２５】実施例４冷却管、撹拌機のついたフラスコにポリビニルアルコー
ル（（株）クラレ製、ＰＶＡ１１７）および水を仕込
み、撹拌、加熱し１０％濃度のポリビニルアルコール水
溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液５０部
に、水４９．５部および実施例１で得た２０％濃度のケ
テンダイマー化合物の水性分散液０．５部を混合し塗工
液を調製した。また、実施例１と同様にして新聞用紙を
得た。なお、塗工量は表１に示す。

【００２６】実施例５２０％濃度のアニオン性ポリアクリルアミド（荒川化学
工業（株）製、ポリマセット３０５）２５部に、水７
４．５部および実施例３で得た２０％濃度のケテンダイ
マー化合物の水性分散液０．５部を混合し塗工液を調製
した。また、実施例１と同様にして新聞用紙を得た。な
お、塗工量は表１に示す。

【００２７】比較例１１０％濃度の酸化澱粉水溶液を濃度５％に希釈して塗工
液として使用した他は、実施例１と同様にして新聞用紙
を得た。なお、塗工量は表１に示す。

【００２８】比較例２１０％濃度のポリビニルアルコール（（株）クラレ製、
ＰＶＡ１１７）水溶液を濃度５％に希釈し塗工液として
使用した他は、実施例１と同様にして新聞用紙を得た。
なお、塗工量は表１に示す。

【００２９】比較例３２０％濃度のアニオン性ポリアクリルアミド（荒川化学
工業（株）製、ポリマセット３０５）水溶液を濃度５％
に希釈し塗工液として使用した他は、実施例１と同様に
して新聞用紙を得た。なお、塗工量は表１に示す。

【００３０】比較例４１０％濃度の酸化澱粉水溶液５０部、水４９．６部およ
び２５％濃度のスチレン／マレイン酸共重合体アンモニ
ウム塩（スチレン／マレイン酸＝５０／５０（モル
％），粘度２５００ｃｐｓ（２５℃），ｐＨ９．５）水
溶液０．４部を混合して塗工液として使用した他は、実
施例１と同様にして新聞用紙を得た。なお、塗工量は表
１に示す。

【００３１】比較例５１０％濃度のポリビニルアルコール（（株）クラレ製、
ＰＶＡ１１７）水溶液５０部、水４９．６部および２５
％濃度のスチレン／アクリル共重合体ソーダ塩（スチレ
ン／メタクリル酸ブチル／メタクリル酸＝４０／２０／
４０（モル％），粘度８００ｃｐｓ（２５℃），ｐＨ１
０．０）水溶液０．４部を混合して塗工液として使用し
た他は、実施例１と同様にして新聞用紙を得た。なお、
塗工量は表１に示す。

【００３２】比較例６２０％濃度のアニオン性ポリアクリルアミド（荒川化学
工業（株）製、ポリマセット３０５）水溶液２５部、水
７４．６部および２５％オレフィン／マレイン酸共重合
体アンモニウム塩（１−オクテン／マレイン酸＝５０／
５０（モル％），粘度１８００ｃｐｓ，ｐＨ９．２）水
溶液０．４部を混合して塗工液として使用した他は、実
施例１と同様にして新聞用紙を得た。なお、塗工量は表
１に示す。

【００３３】（評価方法）実施例および比較例で得られ
た新聞用紙を恒温恒湿（２０℃、６５％Ｒ．Ｈ．）の環
境下で１日調湿した後に、Ｊ．ＴａｐｐｉＮｏ．３３
（吸収性の紙の吸水速度試験）に準じ、１マイクロリッ
トルの脱イオン水が吸収されるまでの時間を測定した。
結果を表１に示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】いずれの実施例も比較例にくらべ良好なサ
イズ効果を示すことがわかる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ケテンダイマー化合物を有効成分として
なる新聞用紙用表面サイズ剤。
【請求項２】紙表面加工剤および請求項１記載の表面
サイズ剤を含有してなる塗工液を、ゲートロールコータ
ーにより新聞原紙に塗工することを特徴とする新聞用紙
の製造方法。