JP2947260B2 - 中性紙の製造方法 - Google Patents
中性紙の製造方法Info
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物を用いた製紙用サイズ剤組成物、及び製紙用表面サイ
ジング方法に係わり、さらに詳しくは、熱及び機械的衝
撃に対して極めて安定である製紙用サイズ剤組成物、及
び抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることができ
る製紙用表面サイジング方法に関する。
れらの紙にサイズ性、防水性、耐水性等の機能を付与す
るためにサイジングガ行われている。このサイジング方
法としては、カルボキシル基を有するロジンサイズ剤と
硫酸バンドを用いて、pH4.5〜6.5の酸性域でサ
イジングする酸性サイジングが行われてきた。これに対
して、近年、填料として安価な炭酸カルシウムの利用、
炭酸カルシウムを含む損紙あるいは古紙の利用、抄紙用
水のクローズド化、紙の永久保存付与等を目的として中
性サイズ剤を用いて、pH6.5〜9.0の中性ないし
弱アルカリ性域でサイジングする、いわゆる中性サイジ
ング方法が注目されてきている。現在市販されている中
性サイズ剤としては、ケテンダイマー系化合物、置換環
状ジカルボン酸無水物、カチオン性モノマーと疎水性モ
ノマーとの共重合体、カチオン化石油樹脂、カチオン化
脂肪酸アミド等が知られているが、これらのうちケテン
ダイマー系化合物がサイズ効果の点から多用されてい
る。
系化合物は、澱粉、特にカチオン化澱粉を含む水性連続
相に分散せしめられた水性分散液として市販され、使用
されている。しかし、ケテンダイマー系化合物は、本来
水と反応しやすく、安定な水性分散液を得ることは難し
い。特に熱及び機械的衝撃が加えられると分散系が均一
性を失い、ケテンダイマー系化合物あるいはその分解物
による析出物を生じる。さらには、サイズ性、防水等の
効果も減少するという問題点を有する。特に、表面サイ
ジングに用いられる表面サイズ剤には、この熱及び機械
的衝撃に対する安定性が要求される。すなわち、一般
に、通常の紙又は板紙の製造工程において表面サイジン
グを行う場合には、紙層形成後の紙表面に表面サイズ剤
を、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレー
ドコーター或いはキャレンダー等を用いて塗工し、必要
により乾燥する。この表面サイジングには、紙にサイズ
性を付与する以外に、紙に表面強度あるいは印刷適性等
を向上させる機能を付与することが含まれる場合があ
る。これらの機能を付与するために、酸化澱粉、リン酸
エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシルメチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子物質
が使用されるが、これらの物質は予め高温でクッキング
処理を行い糊化状態にして用いなければならない。これ
らの水溶性高分子物質と表面サイズ剤を併用する場合、
両者の水溶液を混合して用いることになる。この際、水
溶性高分子物質はクッキング処理により高温度に保持さ
れた状態にあり、両者の水溶液の混合によって表面サイ
ズ剤も高温下に保持される。この時の温度は通常40〜
60℃の高温となる。したがって、表面サイズ剤は室温
から高温までの広い温度範囲に耐えられる熱安定性を必
要とされる。
溶性高分子物質と表面サイズ剤を混合した塗工液は循環
して用いられることにより、塗工時に繰り返し機械的衝
撃が加えられるため、これに耐えられる必要がある。こ
のように、表面サイジングに用いられる物質には、熱及
び機械的衝撃が加えられ、その安定性が乏しい場合には
その凝集物を生じ、これが粕となってロール等の抄紙機
部品に汚れを生じさせる原因となる。ケテンダイマー系
化合物を含む水性分散液を表面サイズ剤として用いた場
合にも、ケテンダイマー系化合物及びその分解物を含む
粕が発生し、この汚れが抄紙作業時間の経過と共に増大
して、紙の表面を傷つけたり、甚だしい場合には紙切れ
を起こすこともあり、さらにひどくなると、抄紙機を止
めて洗浄しなければならなくなるなど、操業上のトラブ
ルを引き起こすこととなって、製紙業界では深刻な問題
となっている。本発明の目的は、熱及び機械的安定性に
きわめて優れたケテンダイマー系製紙用サイズ剤組成
物、及び抄紙装置の汚れを軽減し操業性を高めることの
できる製紙用サイジング方法を提供することにある。
点を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、ケテンダ
イマー系化合物の融点が前記問題点に多く係わっている
ことをつきとめ、その融点とサイズ剤の使用時の温度と
の間には従来着想されることがなかった新規かつ重要な
関係があることを見い出し、本発明をするに至ったもの
である。本発明は、填料として炭酸カルシウムを含有す
る中性紙の製造方法において、融点が40℃以下である
ケテンダイマー系化合物及びアニオン性分散剤を少なく
とも含有する水性分散液からなる製紙用サイズ剤組成物
を用い、かつその使用温度が少なくとも40℃であるサ
イジング工程を有する中性紙の製造方法、及びそのサイ
ジング工程が表面サイジング工程である中性紙の製造方
法を提供するものである。
用するケテンダイマー系化合物は、下記一般式〔化1〕
で示される化合物であって、その融点が40℃以下のも
のである。
素基を示す。この炭化水素基としては、例えば、デシ
ル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデ
シル、エイコデシル等のアルキル基、テトラデセニル、
ヘキサデセニル、オクタデセニル等のアルケニル基、オ
クチルフェニル、ノニルフェニル等のアルキル置換フェ
ニル基、ノニルシクロヘキシル等のアルキル置換シクロ
アルキル基、フェニルエチル等のアラルキル基等が例示
できる。これらのケテンダイマー系化合物は、1種単独
または2種以上混合して用いられるが、その融点は40
℃以下でなければならない。この融点を40℃以下にす
るには、他の添加物を併用しても良く、これにはパラフ
ィンオイル、ショ糖エステル、トリメリット酸トリエス
テル、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸アミド等が挙げ
られる。この際、製紙用サイズ剤組成物は水性分散液と
して提供されるので、エマルジョンの乳化安定性、及び
サイズ効果に悪影響を及ぼさない程度の添加量にするこ
とが好ましい。なお、ここで融点とは、上昇融点を言
い、キャピラリー法で測定した値である。
熱及び機械的衝撃に対する安定性が要求されるが、これ
には一般的なケテンダイマー系化合物としては牛脂を原
料とした炭素数16、18の直鎖飽和脂肪酸の混合物か
ら製造したものを用いているため、これは融点が48℃
前後であり、この化合物を用いた表面サイズ剤の塗工液
温度がこの化合物の融点以上の温度である時は、粕の発
生は少ないが、融点以下になると、おじただしい量の粕
が発生し、抄紙装置の汚れを生じ、操業上の問題を起こ
している。然るに、融点が40℃以下であるケテンダイ
マー系化合物を含有する本発明の製紙用サイズ剤組成物
は、室温から高温の塗工液温度までの広い温度範囲にわ
たって、熱及び機械的安定性が優れているため、本発明
の製紙用サイズ剤組成物を用いる製紙用表面サイジング
方法は、広い温度範囲にわたって粕等の発生も極めて少
なく、抄紙装置の汚れを軽減させることができ操業性を
高めることができるものである。
知の方法により製造することができる。例えば、前記一
般式〔化1〕で示されるケテンダイマー系化合物の融点
以上の温度でケテンダイマー系化合物と保護コロイド及
び/又は分散剤とを水性溶媒中に混合し、ホモミキサ
ー、高圧吐出型ホモジナイザー、超音波乳化機等の各種
公知の乳化機で均一に分散させることにより得られる。
さらに保護コロイド及び/又は分散剤は、公知のものを
使用することができる。例えば、カチオン化澱粉等のカ
チオン性分散剤、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアル
デヒド縮合物、リグニンスルホン酸塩等のアニオン性分
散剤、ソルビタンエステル等のノニオン性分散剤、或い
はカチオン性、アニオン性、両性のアクリルアミド系ポ
リマー等の高分子保護コロイドを挙げることができる。
これらは、1種或いは2種以上併用して用いることがで
きる。かくして得られる本発明の製紙用サイズ剤組成物
は、内添サイズ剤、表面サイズ剤のいずれにも用いられ
るが、ケテンダイマー系化合物の濃度が10〜30重量
%、分散相の粒子系が10μ以下であることが好まし
い。
紙用表面サイジング方法について説明する。本発明の製
紙用サイズ剤組成物は、従来公知の方法によって用いる
ことができる。すなわち、紙又は板紙の製造工程におい
て、紙層形成後に塗工又は含浸させることによっても用
いられる。具体的には、サイズプレス、ゲートロールコ
ーター、ビルブレード、キャレンダー等で塗布する表面
塗工液に、本発明の製紙用サイズ剤組成物を、紙表面に
0.005〜0.5g/m2 (乾燥重量)、好ましくは
0.01〜0.2g/m2 塗布されるように添加すれば
よい。この際、本発明の製紙用サイズ剤組成物は、単独
でも、あるいは前記の水溶性高分子物質、染料等の表面
加工剤と同一塗工液中で混合して使用することができ
る。本発明において、表面サイジング方法を施す原紙に
ついては、特に限定されない。通常のパルプ原料を用い
た紙、すなわち、クラフトパルプ、サルファイトパルプ
等の晒或いは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パル
プ、サーモメカニカルパルプ等の晒或いは未晒高収率の
パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙、脱墨古紙
等の古紙パルプを用いた紙のいずれも使用することがで
きる。さらに、この原紙において、填料、染料、内添サ
イズ剤、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、歩留り向上
剤などの内添薬品の有無は関係しない。
するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるもので
はない。なお、以下実施例、比較例において%とあるの
は、特に断りのない限り固形分重量%を意味し、又、部
とあるのは重量部を意味する。 実施例1 融点が34℃であるケテンダイマー系化合物(ミリスチ
ン酸50%、パルミチン酸18%、およびステアリン酸
32%の混合物を原料としたもの)100部、予め90
℃で1時間糊化された5%のカチオン化澱粉水溶液(3
級アンモニウム塩で窒素原子0.2%含有したカチオン
化ポテト澱粉)500部、及びナフタレンスルホン酸ナ
トリウム−ホルムアルデヒド縮合物の40%水溶液4部
を70℃に加熱し、ホモミキサーにて予備分散させた
後、同温度に保ちながら高圧吐出型ホモジナイザーに2
50Kg/cm2 の剪断圧力で2回通して均一に分散さ
せた。これにイオン交換水を適宜加えて冷却した後、3
25メッシュの金網にて濾過して、水性分散液である製
紙用サイズ剤組成物E−1を得た。この製紙用サイズ剤
組成物E−1は、不揮発分20.2%、25℃、毎分6
0回転で測定したブルック・フィールド粘度(以下、粘
度という)14.6センチポイズ(以下、cpsとい
う)、pH3.5であった。
え、保護コロイド及び/又は分散剤の種類、配合比率を
表2に示すように変えて、実施例1と同様の操作を行う
ことにより、製紙用サイズ剤組成物E−2〜E−7を得
た。なお、表1に使用したケテンダイマー系化合物の融
点及び原料脂肪酸組成を、表2に保護コロイド及び/又
は分散剤の種類、配合比率、及び得られた製紙用サイズ
剤組成物の物性を示す。
−1〜RE−4を得た。得られた製紙用サイズ剤組成物
RE−1〜RE−4の配合比率及び物性を表2に示す。
記載した原料脂肪酸組成からなり、これらはケテンダイ
マー系化合物純分80〜90%のもの、カチオン化澱粉
は3級アンモニウム塩で窒素原子0.2%含有したカチ
オン化ポテト澱粉で、所定の濃度で90℃、1時間糊化
したもの、ポリマーはアクリル酸、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、アクリルアミドを5:1:94のモ
ル比で重合させたもので20重量%水溶液の粘度が24
0cpsであるもの(但し、実施例4と比較例3につい
ては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリ
ルアミドを8:2:90のモル比で重合させたもので2
0重量%水溶液の粘度が190cpsであるもの)、ア
ニオン性分散剤はナフタレンスルホン酸ナトリウム−ホ
ルムアルデヒド縮合物(但し、実施例5と比較例4につ
いてはリグニンスルホン酸ナトリウム)を使用した。次
に、上記で得た製紙用サイズ剤組成物を用いて、熱・機
械的安定性試験、及び表面サイジングによるサイズ効果
試験を行った。
定度試験において、20Kg/cm2 の荷重下、回転速
度1000rpmで10分間攪拌し、この時生じた、1
00メッシュ金網不通過の固形分重量を測定した。な
お、試験開始温度は、室温を想定した25℃と、表面サ
イジングにおいて汚れが問題となる温度である40℃で
行った。この重量が多い程、粕発生が多いこととなり、
熱・機械的安定性が不良である事を示す。 サイズ効果試験 上記で得た製紙用サイズ剤組成物と酸化澱粉の混合液
を、中性で抄紙された弱サイズ紙にラボラトリー・サイ
ズプレス機(熊谷理機工業社製)にて塗工し、サイズ効
果を調べた。
サイズ剤組成物は、広い温度範囲にわたって熱・機械的
安定製に極めて優れ、かつ、これら実施例の製紙用サイ
ズ剤組成物を用いて表面サイジングを行った後の紙のサ
イズ効果も良好であることが明らかである。
ウムを含有する中性紙の製造方法において、融点が40
℃以下であるケテンダイマー系化合物及びアニオン性分
散剤を少なくとも含有する水性分散液からなる製紙用サ
イズ剤組成物を用い、かつその使用温度が少なくとも4
0℃であるサイジング工程を有する中性紙の製造方法、
及びそのサイジング工程が表面サイジング工程である中
性紙の製造方法を提供することができるため、広い温度
範囲にわたって熱及び機械的安定性に極めて優れたケテ
ンダイマー系製紙用サイズ剤組成物を用いた中性紙の製
造方法を提供でき、さらに抄紙装置の汚れを軽減し、操
業性を高めることができる表面サイジング工程を有する
中性紙の製造方法を提供することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 填料として炭酸カルシウムを含有する中
性紙の製造方法において、融点が40℃以下であるケテ
ンダイマー系化合物及びアニオン性分散剤を少なくとも
含有する水性分散液からなる製紙用サイズ剤組成物を用
い、かつその使用温度が少なくとも40℃であるサイジ
ング工程を有する中性紙の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のサイジング工程が表面サ
イジング工程である中性紙の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP9519398A JP2947260B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 中性紙の製造方法 |
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JP17913088A Division JPH0233392A (ja) | 1988-07-20 | 1988-07-20 | 製紙用サイズ剤組成物、及び製紙用表面サイジング方法 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP9519398A Expired - Lifetime JP2947260B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 中性紙の製造方法 |
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JP5161824B2 (ja) * | 2009-03-25 | 2013-03-13 | 三菱製紙株式会社 | 印刷用紙 |
-
1998
- 1998-03-25 JP JP9519398A patent/JP2947260B2/ja not_active Expired - Lifetime
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