JP2004250775A - 電解コンデンサ電極用アルミニウム材およびその製造方法並びに電解コンデンサ - Google Patents
電解コンデンサ電極用アルミニウム材およびその製造方法並びに電解コンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】アルミニウム材は、Al純度が99.9質量%以上で、(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBとしたときに、面積率Aと面積率Bの総和が全結晶方位の面積率に対して90%以上であり、かつA,B各面積率の比が〔A/B〕≦0.40を満足する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの電極材として使用されるアルミニウム材及びその製造方法並びに電解コンデンサに関し、特に低圧用電解コンデンサの陽極材として好適なアルミニウム材及びその製造方法、並びに電解コンデンサに関する。
【0002】
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語はアルミニウムおよびその合金の両者を含む意味で用いられる。またアルミニウム材には、箔とシートの両方が含まれる。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
通常、電解コンデンサの電極材に使用されるアルミニウム材は、拡面率を高めて静電容量を向上させるために電気化学的あるいは化学的エッチング処理がなされる。
【0004】
とりわけ、近年、コンピューター回路基板等に用いられる低圧電解コンデンサには、小型化とそれに伴う大容量化が求められている。
【0005】
従来、低圧電解コンデンサ用陽極材は、99.9質量%以上の高純度アルミニウム箔に交流エッチング処理を施し、圧延箔表面に微細なエッチングピットをスポンジ状に形成するという方法によって製造されている。低圧電解コンデンサの静電容量を高めるためには、このようなエッチングピットを形成し圧延箔の表面積を拡大させることが有効である。
【0006】
一方、交流エッチング処理によってスポンジ状のエッチングピットが深く形成されると、陽極箔の実質的な芯部分が少なくなって、引張強度が低下する。
【0007】
近年求められている小型電解コンデンサの製造に際しては、陽極箔を電解液を含浸させた紙と共に曲率を極力小さく、かつ効率的な製造のために高速で巻回することが行われているが、エッチングによって陽極箔の引張強度が低下していると、前記巻回時に陽極箔が破断し、電解コンデンサの効率的な生産が阻害される。
【0008】
このため、圧延箔厚さに対して、エッチングピットが形成される部分を両表面から1/3程度の厚さとし、残りの1/3程度は芯部分としてエッチングピットを形成させないようにして、エッチングすることが行われている。
【0009】
しかしそれでもなお、部分的にエッチングが厚さ方向に進行することがあり、この部分が強度低下を引き起こすということがあった。
【0010】
このため、圧延箔自体の元素組成を工夫することによって、強度の向上を図る提案(特許文献1〜3)や、焼鈍前後の電気抵抗の変動抑制に関する提案(特許文献4)がなされてきているが、十分ではなかった。
【0011】
また、特許文献5には、エッチングの溶解性を均一化するため、特定の方位に制御する発明も開示されている。特にこの発明においては、(100)方位の面積率と、(110)方位の面積率の比を規定することが特徴であるが、(100)/(110)の規定する比率の上限のみを開示し、下限が明示されておらず、(100)/(110)が0.02未満の場合における、容量均一化に対する新たな技術は開示されていない。更にこの発明は、硬質箔を前提としていることを明記しており、強度及び伸びの両立を目指した新たなコンデンサに求められる技術は詳細には開示されていない。
【0012】
さらに圧延箔厚さに対して、エッチングピットが形成される部分は両表面から1/3程度の厚さとし、残りの1/3程度は芯部分としてエッチングピットを形成させず、部分的にエッチングを厚さ方向に進行させる場合、アルミニウム材の厚さ方向の集合組織分布にも着目する必要があるが、この分布に関する発明の開示は見当たらない。そこで、冷間圧延条件においても表面での剪断応力を支配するロールとの摩擦条件について種々の検討を行う必要が生じている。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−148387号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平7−278712号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平7−192977号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平8−291352号公報
【0017】
【特許文献5】
特許2626845号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題に鑑み、強度に優れた電解コンデンサ電極材殊に低圧用陽極材の必要特性とその製造方法の確立が課題となっていた。
【0019】
特に、圧延材の元素組成の改良では、電気抵抗の変動や、析出物によるエッチングピット深さの不均一による静電容量の変動が生じる。さらには、エッチング後の化成処理において、結晶方位の変動が大きい場合、スポンジ状のエッチングピットの深さが不均一となり、容量の変動が生じる上に、高速で小さな曲率に巻き取る場合の破断の起点となる場合があった。
【0020】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、静電容量が均一で高い強度及び伸びを有する電解コンデンサ電極用アルミニウム材、及びその製造方法並びに電解コンデンサの提供を課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の従来技術とは異なる手段で、強度と伸びが優れた電解コンデンサ用アルミニウム材が得られることを見出した。
【0022】
即ち、圧延アルミニウム材の表面層の元素組成や、圧延アルミニウム材自体の元素組成に特に工夫を施すのではなく、圧延アルミニウム材中の結晶組織の方位と、Al以外の金属の不均一な析出等に起因する電気抵抗の変動を抑制するように工夫を施すことにより、高静電容量で強度、伸び共に優れたアルミニウム材が得られることを見出したのである。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0023】
即ち、この発明は、以下の手段を提供する。
(1)Al純度が99.9質量%以上で、(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBとしたときに、面積率Aと面積率Bの総和が全結晶方位の面積率に対して90%以上であり、かつA,B各面積率の比が以下の▲1▼式を満足することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
【0024】
〔A/B〕≦0.40・・・・・▲1▼
(2)(321),(211),(311)の結晶方位の面積率の総和をA´としたときに、面積率A´と面積率Bの総和が全結晶方位の面積率に対して90%以上であり、
かつA´、B各面積率の比が以下の▲1▼´式を満足する前項1に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
【0025】
〔A´/B〕≦0.30・・・・・▲1▼´
(3)〔A´/B〕≦0.20である前項2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材
(4)アルミニウム材の厚さを化学的に減少させた際の任意の厚さにおける(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAaとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBa、(321),(211),(311)の結晶方位の面積率の総和をA´aとしたときに、面積率AaまたはA´aとBaの比率〔Aa/Ba〕、〔A´a/Ba〕と、アルミニウム材の化学的に減少された厚さt(mm)が▲1▼´´式または▲1▼´´´の相関を満足することを特徴とする前項1または2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
【0026】
6×t+0.02≦〔Aa/Ba〕≦6×t+0.20・・・・・・▲1▼´´
6×t+0.02≦〔A´a/Ba〕≦6×t+0.20・・・・・・▲1▼´´´
(5)引張強度をTS(MPa)、伸びをEl(%)とし、箔厚をtμmとしたとき、TS×Elが以下の▲2▼式を満足する前項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
【0027】
TS×EL≧4.5×t+ 50 (MPa・%)・・・・・・・・▲2▼
(6)アルミニウム材は、60〜120μmm厚で、20℃での電気抵抗の平均値が2.70〜2.95×10−2μΩ・mであり、抵抗値の分散標準偏差σが平均値の0.5〜2.0%である前項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
(7)低圧用陽極材として用いられる前項1〜6のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
(8)質量比でSi0.0020〜0.0100%、Fe0.0015〜0.0085%、Cu0.0005〜0.0050%、さらにZn0.0002〜0.0050%、Ga0.0005〜0.0050%、B0.0005〜0.0030%を含有するAl純度99.9質量%のスラブに対して、熱間圧延の開始温度を500〜560℃とし、熱間圧延中、360〜420℃の範囲を式▲3▼に示す冷却速度T℃/秒で冷却し、かつ、ロール入側温度250〜340℃で仕上熱間圧延した後、250℃以下で巻き取り、後工程として冷間圧延を施すことを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
【0028】
2.5・102×√Fe%≦T℃/秒≦1.0・103×√Fe%・・・・・▲3▼
(9)冷間圧延後、150〜380℃で1時間以上焼鈍する前項8に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
(10)熱間圧延後において、圧延ロール入り側でのアルミニウム材断面に付加される応力が10〜20N/mm2となるように巻き出し張力を調整し、直径200〜250mmφ、表面平均粗さがRaで0.04〜0.5のロールを用い、かつ動粘度2.0〜3.0cStの鉱物油を用いて冷間圧延することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
(11)表面平均粗さがRaで0.04〜0.25のロールを用いる前項10に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
(12)前項1〜7のいずれかに記載のアルミニウム材が電極材として用いられている電解コンデンサ。
【0029】
電解コンデンサ電極用アルミニウム材及びその製造方法に関し、箔状またはシート状のアルミニウム材の内部組織は、冷間圧延上がりのままで使用される場合、種々の方位を持つ圧延方向に平行に延びる帯状組織となる。また、冷間圧延後に任意の温度で焼鈍される場合、粒状の再結晶組織となる。
【0030】
これら結晶組織を、X線回折の手法の一つである、Cu−kα線を用いたX線回折分析法による積分強度で、各方位の積分強度(面積)から算出して大別すると、(321),(211),(311),(221)の結晶方位と、(110),(320)の結晶方位に分類される。なお、結晶組織の分析は、EBSP法(電子線後方散乱分析法)等によって行っても良い。
【0031】
特に、冷間圧延状態の帯状組織の場合、上記の方位の帯状結晶が集合をなし、交互に配列される場合が多い。また、焼鈍により再結晶した後も、粒状組織を維持しながら、完全にランダムな方位とならず、ある程度近似した方位の再結晶粒が帯状の集合を形成する。このとき、帯状結晶組織を形成する場合、組織の幅は50〜1000μm程度となる。
【0032】
帯状組織は、実態としては圧延方向に繊維状に伸びている。
【0033】
低圧電解コンデンサ電極用アルミニウム材の場合、交流電流でエッチングがなされ、エッチングピットはその周波数に応じてスポンジ状に変化する。一方、本発明者らは、前述したように、箔状またはシート状のアルミニウム材が結晶方位が(321)を中心とした結晶の集合と、(110)を中心とした結晶の集合に大別されることを見出したが、さらにこのように異なる方位がアルミニウム材の中に、任意に存在する場合、エッチングの際の電解液によっては、方位によるピットの進行する速度に若干の差異があることを見出した。
【0034】
このエッチングピットの深さについて、コイルの圧延方向、幅方向における均一性が高まれば、エッチングおよび化成処理されたアルミニウム材が、コンデンサ用電極材として高速で応力が加えられ巻き取られる際に、破断が生じにくくなることを見出した。
【0035】
さらに、このような集合組織は、アルミニウム材の厚さ方向において結晶方位の分布が異なることがある。本発明者らは、本発明に該当するアルミニウム材においても(110)方位の結晶の面積率が、厚さ方向で特定の規則性を持って変動していることを見出し、冷延条件の調整を種々検討し、特定の規則性の中の変動に制御できることを見出した。
【0036】
さらに、コイル内で均一なエッチングピット深さを確保するために、製造したアルミニウム材のコイル内での電位抵抗を均一化することも有効であることを本発明者らは見出した。
【0037】
このように、低圧電解コンデンサ陽極用アルミニウム材として有効な特定の方位結晶粒の比率、コイル内の電気抵抗の均一性、およびその特性を確保するための製造条件について検討した結果、以下の条件に限定するに至った。
【0038】
Al純度は99.9質量%以上とする。これ以下の純度では、製造過程中のFe化合物の析出が増大して、エッチング特性、電気抵抗の均一性が低下する。
【0039】
また、結晶方位において、(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBとしたときに、A,B面積率の比が以下の▲1▼式
〔A/B〕≦0.40・・・・・▲1▼
を満足することとした。
【0040】
(321),(211),(311),(221)の結晶方位と、(110),(320)の結晶方位の2群の方位集団に対して、中間的な方位は非常に少ない。そこで、結晶方位を2群とし、かつ比較的少数である(321),(211),(311),(221)の結晶方位を極力抑制することとした。抑制によるエッチング深さの均一化に効果のある設定値として、上記に規定したAの結晶面積率をBの結晶面積率の0.4以下とする。
【0041】
さらに(321)、(311)、(211)の結晶方位に限定し、その面積率の総和をA´とし、(110),(320)の結晶方位の面積率の総和をBとした場合、
〔A´/B〕≦0.30・・・・・▲1▼´
を満足することにより、さらに、エッチング後の静電容量の不均一の低減、および強度×伸びの高い値が得られることがわかった。更にこの値が低い方がこの特性が優れており、0.2以下にまで低減することが望ましい。
【0042】
このとき、前述した面積率A、および面積率Bの総和が全結晶方位の面積率に対して90%を下回ると、焼鈍を施した後の伸びが低下することから、A,Bの総和を90%以上とした。望ましくは、A´、Bの面積率の総和を90%以上とするのがよい。
【0043】
さらにこれらの総和は高いほうが静電容量、強度×伸びの値が高く、99%まで上昇すると更に良好な特性が得られる。
【0044】
アルミニウム材の厚みを化学的に減少させた際の任意の厚さにおける(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAaとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBa、(321),(211),(311)の結晶方位の面積率の総和をA´aとしたときに、面積率AaまたはA´aとBaの比率〔Aa/Ba〕、〔A´a/Ba〕と、アルミニウム材の化学的に減少された厚さt(mm)が▲1▼´´式または▲1▼´´´の相関を満足することとした。
【0045】
6×t+0.02≦〔Aa/Ba〕≦6×t+0.20・・・・・・▲1▼´´
6×t+0.02≦〔A´a/Ba〕≦6×t+0.20・・・・・・▲1▼´´´
〔Aa/Ba〕または〔A´a/Ba〕が、6×t+0.02を下回ると、箔の内部まで(110)方位の面積率が増大するが、圧延において剪断応力を抑制する必要があり、圧延速度の低減など経済的負担をともなう。このため、6×t+0.02≦〔Aa/Ba〕または6×t+0.02≦〔A´a/Ba〕とした。
【0046】
一方、〔Aa/Ba〕または〔A´a/Ba〕が、6×t+0.20を上回ると、箔の内部で(110)方位の面積率が低い。このため、アルミニウム材内部のスポンジ状のエッチングピットの方位が変動し、静電容量の低下や、耐折強度の低下をもたらす場合がある。
【0047】
このため、〔Aa/Ba〕≦6×t+0.20または〔A´a/Ba〕≦6×t+0.20とした。
【0048】
電解コンデンサ用アルミニウム材は、伸びの必要に応じて焼鈍がなされるが、エッチング、化成処理後のアルミニウム材が高速で巻かれてコンデンサとなる際に、破断強度も確保する必要がある。このため、伸びと強度を兼備する必要があり、本発明では、引張強度と伸びの積を、TS×El≧500(MPa・%)とする。
【0049】
本発明に係る電解コンデンサ用アルミニウム材は、一般にはコイルとして製造される。このコイルをエッチングに供する際に、コイル内の電気抵抗を均一化することがエッチング・化成処理後の容量の均一性にも有効である。
【0050】
この均一性が良好に確保される条件として、0.08〜0.12mm厚のアルミニウム材において、20℃の平均電気抵抗が2.70〜2.95×10−2μΩ・mであることとした。平均電気抵抗が2.95×10−2μΩ・mを超えるとエッチングピットの深さが減少して静電容量が低下するほか、コイル内等アルミニウム材の各部でのエッチングピット深さが不均一になり、従って静電容量も不均一となる。一方、平均電気抵抗が2.70×10−2μΩ・m未満とすると、素材の純度を高める必要があり、製造コストが増大する。このため、平均電気抵抗の下限を2.70×10−2μΩ・mとした。
【0051】
また、抵抗値の分散標準偏差σが平均値の0.5〜2.0%であることとした。抵抗値の分散標準偏差σが2.0%を超えると、エッチングピットの深さが例えばコイル位置により不均一となり、静電容量が不均一となる。抵抗値の分散標準偏差σは、極力低減することが望ましいが、0.5%未満とするには、焼鈍、圧延による幅端部の変動がこの範囲を超えるため、品質維持において歩留まりが低下する。このため抵抗値の分散標準偏差σを平均値の0.5〜2.0%とした。
【0052】
また、アルミニウム材の製造に際して、質量比でSi0.0020〜0.0100%、Fe0.0015〜0.0085%、Cu0.0005〜0.0050%、さらにZn0.0002〜0.0050%、Ga0.0005〜0.0050%、B0.0005〜0.0030%を含有するAl純度99.9質量%のスラブを用いるものとした。
【0053】
各組成が上限値を超えると静電容量が低下する。一方、下限値未満とすると製造コストが上昇する。このため各組成の成分範囲を上記のごとく規定した。
【0054】
この発明に係る製造方法においては、熱間圧延の開始温度を500〜560℃とした。また、熱間圧延中、360〜420℃の範囲を式▲3▼に示す冷却速度T℃/secで冷却することとした。
【0055】
このとき、冷却におけるFe系析出物の析出を抑制するために、冷却速度T℃/secはFeによって制約される。冷却速度T℃/secが式▲3▼の上限値を超えると、過度の冷却により素材が硬化し、後工程の冷間圧延における加工性を阻害する。また、冷却速度T℃/secが式▲3▼の下限値を下回ると、Fe系析出物が微細に析出し、素材の電気抵抗が本発明範囲から外れる。
【0056】
2.5・102×√Fe%≦T℃/sec≦1.0・103×√Fe%・・・・・▲3▼
なお、▲3▼式において、「√Fe%」は、Feの含有量(質量%)の平方根を示す。
【0057】
また、これらアルミニウム材は、ロール入側温度250〜340℃で仕上熱間圧延した後、250℃以下で巻き取ることとした。仕上熱間圧延温度がロール入側温度で340℃を超えると、コイルの後部(アルミニウム材の後部)が緩冷却になる場合があり、操業上前述の冷却温度範囲における冷却速度が確保できなくなる。また、仕上熱間圧延温度がロール入側温度で250℃未満では、素材が硬化し、後工程の冷間圧延における加工性を阻害する。
【0058】
さらに、必要に応じて、アルミニウム材を所定の厚さに冷間圧延した後、軟質化を目的として、150〜380℃で1h以上の焼鈍を行うこととした。150℃未満の温度では伸びが十分得られず、コンデンサの製造において巻き取り作業に制約が生じる。一方、380℃を超えると、強度が過度に低下して同じくコンデンサ製造において巻き取り作業の能率に制約が生じる他、Fe系析出物が微細に析出することにより、本発明の電気抵抗値の範囲を外れる場合が生じる。このため、焼鈍温度の上限を380℃とした。
【0059】
前述の焼鈍条件により得られたアルミニウム材は、引張強度TS、伸びELのバランスにおいて、▲4▼式の範囲を満足することとした。本発明におけるアルミニウム材をエッチング、化成処理した後コンデンサに製造する場合には、TS×ELの値が大きいほどコンデンサを小型化でき、さらには高能率で製造ができる。このときアルミニウム材の厚さをtとすると、TS×ELの値は大きい方が望ましい。しかし、焼鈍条件を前述のように限定した場合、上述の製造条件の範囲で製造されたアルミニウム材のTS×ELの値は▲4▼式を下回ることはない。
【0060】
TS×EL≧4.5×t+ 50 (MPa・%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・▲4▼
本発明において深さ方向の結晶方位の面積率条件を確保するには、熱間圧延後の冷間圧延における剪断応力を制御することが有効である。そこで、本発明では種々の圧延条件を検討した結果、圧延ロール入り側でアルミニウムに付加される巻き出し張力と、ロール径、ロール粗さ、および圧延油の動粘度に最適条件を規定した。
【0061】
アルミニウム材に対する巻き出し張力は、断面に付加される応力で10〜20N/mm2と規定した。この上限を超えると圧延時に破断が生じる場合がある。また、この下限を下回ると剪断応力が増大して結晶方位に関する面積率が確保できない場合がある。
【0062】
ロール径は、直径200〜250mmφとした。この上限を超えると剪断応力が増大する。また、下限を下回ると、圧延時の荷重が増大し、能率の低下など経済的な負担が増大する。
【0063】
表面平均粗さは、平均粗さRaで0.04〜0.5とした。好適範囲としては平均粗さRaで0.04〜0.25と規定した。この上限を超えると、表面粗さが増大し、エッチングでのピットの形成が不均一になるなど特性上の弊害が生じる。また、下限を下回ると、剪断応力が増大し、厚さ方向の方位密度分布において本発明で規定した条件が確保できない場合がある。
【0064】
圧延油は、一般的に圧延用途に用いられる鉱物油を用いるが、その動粘度を2.0〜3.0cStとした。この上限を上回ると、圧延後の脱脂洗浄の能率が低下し、経済的な負担を生じる。また、下限を下回ると剪断応力が増大し、厚さ方向の方位密度分布において本発明で規定した条件が確保できない場合がある。
【0065】
この発明に係るアルミニウム材、あるいはこの発明によって製造したアルミニウム材は、その後拡面率向上のためにエッチングが施される。望ましくは交流エッチングによってスポンジ状のピットを形成し、電解コンデンサの低圧用陽極材として用いるのがよい。
【0066】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1−1に示した化学組成からなる10種類のアルミニウムスラブを連続鋳造により製造した。そして、550〜600℃の温度で10h均熱処理し、冷却した後、再度550℃へ加熱して均熱した後、開始温度を520℃、仕上熱間圧延温度250℃以下とし、180℃で巻き取り、引き続き冷間圧延を実施することにより、表1−1の所定の箔厚の長さ3000mのコイルとした。
【0067】
このコイルを再度巻き直すことにより、最外周と、長さ中央部、最内周の長手方向3点で、幅方向両端および幅方向中央位置からサンプルを抽出して、種々の評価に供した。
【0068】
結晶方位面積率は、Cu−kα線を用いたスリット角=1°、スリット幅=0.3mm、管電圧=40kV、管電流=20mAでX線積分強度を測定することにより求めた。表中、「(321)他」の項目は、(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和Aを示し、これは、(311)、(321)、(211),(221)方位の積分強度の総和で換算した。一方、表中の「(110)他」の項目は、(110),(320)の結晶方位の面積率の和Bを示し、これは各面の積分強度で換算した。また、その他の方位としては(111)、(100)方位の積分強度の総和で換算した。
【0069】
また、(321),(211),(311)の結晶方位の面積率の総和A´を測定したところ、試料No1−4〜6,8、9は〔A´/B〕≦0.20の条件を満足していたが、試料No1−1は〔A´/B〕≦0.30の条件を満足しておらず、試料No1−3は〔A´/B〕≦0.30の条件を満足しているが、〔A´/B〕≦0.20の条件を満足していなかった。
【0070】
電気抵抗は、4端子法を用い、20℃の大気中で、測定電流=10A、電圧測定端子間距離=40mm、測定回数=5回で行った。
【0071】
引き続き、 エッチングを行った。エッチングは、塩酸:5%+リン酸:0.3%+硝酸:0.14%を含む液組成で液温55℃の混合水溶液に浸漬した後、電流密度A.C.0.5A/cm2、周波数60Hz、時間=箔圧(μm)×6secで実施した。
【0072】
このエッチンッグ処理後、洗浄、乾燥を行い、EIAJ規格RC2364法に準拠して化成処理し、静電容量を測定した。その結果を表1−2に示す。
【0073】
表1の特性においては、静電容量の(最大値−最小値)/最大値が5%未満を静電容量変動の許容範囲とした。
【0074】
【表1】
【0075】
上記表1−2の結果からわかるように、本発明範囲内の結晶方位面積率比〔A/B〕を有する試料No1−1、No1−3〜6、No1−8、No1−9は、静電容量変動の小さいものであった。ただ、電気抵抗の平均値が大きい試料No1−3は、他のものに較べて容量変動がやや大きかった。
【0076】
これに対して、試料No1−2、No1−7、No1−10は結晶方位面積率比〔A/B〕が本発明範囲を外れているため、静電容量の変動が大きかった。
【0077】
また、試料No1−8のように、Si,Fe,Cuの組成を過度に低減しても電気抵抗、容量変動を抑制する効果は小さいものであった。
(実施例2)
表2−1に示した化学組成からなる10種類のアルミニウムスラブを連続鋳造により製造した。そして、550〜600℃の温度で10h均熱処理し、冷却した後、再度550℃へ加熱して均熱した後、開始温度を520℃、仕上熱間圧延温度250℃以下とし、180℃で巻き取り、引き続き冷間圧延を実施することにより、表2−1の所定の箔厚の長さ3000m以上のコイルとし、さらに200℃以上の窒素雰囲気中で1時間以上保持する焼鈍を行った。
【0078】
このコイルを再度巻き直すことにより、最外周と、長さ中央部、最内周の長手方向3点で、幅方向両端および幅方向中央位置からサンプルを抽出して、種々の評価に供した。
【0079】
結晶方位の面積率、および電気抵抗については、実施例1と同じ方法で測定、算出した。なお、試料No2−9は〔A´/B〕≦0.30の条件を満足していなかった。
【0080】
次いで、実施例1と同じ条件でエッチングを行い、実施例1と同じ条件でエッチング後の静電容量を測定した。
【0081】
その結果を表2−2に示す。表2−2においても、静電容量の(最大値−最小値)/最大値が5%未満を静電容量変動の許容範囲とした。
【0082】
【表2】
【0083】
上記表2−2の結果からわかるように、本発明範囲内の結晶方位面積率比〔A/B〕を有する試料No2−1、No2−4〜6、No2−8、No2−9は、静電容量変動が小さく、TS×ELの値が大きいものであった。
【0084】
これに対して、試料No2−3、No2−10は結晶方位面積率比〔A/B〕が本発明範囲を外れているため、静電容量の変動が大きかった。
【0085】
また、試料No2−2は、「(321)他」及び「(110)他」以外の方位の比率が高く、電気抵抗変動も大きく、静電容量の変動が大きかった。
【0086】
また、試料No2−7は、「(321)他」及び「(110)他」以外の方位の比率が高く、TS×ELの値が小さかった。
(実施例3)
表3−1に示した化学組成からなる12種類のアルミニウムスラブを連続鋳造により製造した。
【0087】
そして、箔厚を表3−1のようにした以外は実施例2と同じ条件でコイルとした。
【0088】
このコイルを再度巻き直すことにより、最外周と、長さ中央部、最内周の長手方向3点で、幅方向両端および幅方向中央位置からサンプルを抽出して、種々の評価に供した。
【0089】
結晶方位面積率、および電気抵抗については、実施例1と同じ方法で測定、算出した。
【0090】
次いで、実施例1と同じ条件でエッチングを行い、実施例1と同じ条件でエッチング後の静電容量を測定した。
【0091】
その結果を表3−2に示す。表3−2においても、静電容量の(最大値−最小値)/最大値が5%未満を静電容量変動の許容範囲とした。
【0092】
【表3】
【0093】
上記表3−2の結果からわかるように、各試料はいずれも本発明範囲内の結晶方位面積率比〔A/B〕を有しており、容量変動も許容範囲であったが、試料No3−3、3−4、3−7、3−8は電気抵抗の偏差が大きく、従って、容量変動もやや大きいものであった。
【0094】
なお、試料No3−3はSiが、No3−4はFeが、No3−7はGaが、No3−8はBがそれぞれ好適含有量の範囲を超えて含有されたものであった。
(実施例4)
表4−1に示した化学組成からなるアルミニウムスラブを用い、表4−1に示す圧延条件にて圧延コイルを製造した。
【0095】
なお、本発明に係る製造方法に関し、熱間圧延開始温度について試料No4−1が下限を、No4−4は上限を外れる。冷却速度についてNo4−5、4−13は下限を、No4−8、4−16は上限を外れる。仕上げ熱間圧延温度についてNo4−9,No4−16は下限を、No4−12は上限を外れる。巻取温度についてNo4−17は上限を外れる。
【0096】
熱間圧延後、引き続き冷間圧延を行って、表4−1の箔厚の長さ6000mのコイルとした。さらに200℃の窒素雰囲気中で4時間保持する焼鈍を行った。
【0097】
このコイルを再度巻き直すことにより、最外周と、長さ中央部、最内周の長手方向3点で、幅方向両端および幅方向中央位置からサンプルを抽出して、種々の評価に供した。
【0098】
これらの試料について、結晶方位比率、電気抵抗、TS×ELの値を測定した。結晶方位比率、電気抵抗については、実施例1と同じ方法で測定、算出した。
【0099】
次いで、実施例1と同じ条件でエッチングを行い、実施例1と同じ条件でエッチング後の静電容量を測定した。
【0100】
その結果を表4−2に示す。表4−2においても、静電容量の(最大値−最小値)/最大値が5%未満を静電容量変動の許容範囲とした。
【0101】
【表4】
【0102】
表4−2において、本発明に係る製造方法の条件を満たす試料No4−2、No4−3、No4−6、No4−7、No4−10、No4−11、No4−14、No4−15、No4−18〜20は、いずれも結晶方位面積率比〔A/B〕が0.4以下であり、静電容量変動の許容範囲を満たしており、またTS×ELの値も大きいものであった。
【0103】
これに対し、熱間圧延開始温度の下限を外れる試料No4−1、上限を外れるNo4−4は、本発明範囲内の結晶方位面積率比〔A/B〕を外れており、容量変動が大きかった。
【0104】
冷却速度について、下限を外れるNo4−5、4−13は、電気抵抗の偏差が大きく、容量変動が許容範囲を満たしてはいるがやや大きかった。また、上限を外れるNo4−8、4−16は、TS×ELの値が小さかった。
【0105】
巻き取り温度について、上限を超える温度で巻き取っている試料No4−17は、本発明範囲内の結晶方位面積率比〔A/B〕を外れており、しかもTS×ELの値も小さいものであった。
【0106】
なお、No4−20は、巻き取り温度が150℃で本発明範囲であるが、過度に低い場合その後の冷間圧延での変形抵抗の増大等、弊害を伴う恐れがある。
(実施例5)
表5−1に示した化学組成からなるアルミニウムスラブを用いて、表5−1に示す圧延条件にてコイルを作成し、箔厚を90μmとした。このとき、冷間圧延後の焼鈍条件を表5−2のように種々変化させた。他の条件は実施例2と同じとした。
【0107】
このコイルを再度巻き直すことにより、最外周と、長さ中央部、最内周の長手方向3点で、幅方向両端および幅方向中央位置からサンプルを抽出して種々の評価に供した。
【0108】
結晶方位面積率、および電気抵抗については、実施例1と同じ方法で測定、算出した。
【0109】
次いで、実施例1と同じ条件でエッチングを行い、実施例1と同じ条件でエッチング後の静電容量を測定した。
【0110】
その結果を表5−2に示す。表5−2においても、静電容量の(最大値−最小値)/最大値が5%未満を静電容量変動の許容範囲とした。
【0111】
【表5】
【0112】
焼鈍温度が本発明の範囲である試料No5−2〜4、No5−6、No5−7は、いずれも静電容量変動が小さく、またTS×ELの値も大きいものであった。
【0113】
これに対し、焼鈍温度の下限を外れている試料No5−1は、TS×ELの値が比較的小さく、上限を外れているNo5−5は容量変動が比較的大きい。
【0114】
また、No5−7は保持時間が30時間と長いが、他の条件と比べて特に高い特性は得られなかった。
(実施例6)
表6−1に示した化学組成からなるアルミニウムスラブを用いて、表6−1及び表6−2に示す条件にてコイルを作成し、箔厚を100μmとした。なお、このコイルの冷間圧延での最終パスの条件を表6−2のように各種に設定した。他の条件は実施例2と同じとした。
【0115】
また、50℃の50g/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、各コイルにおける表層から20μmの厚さを化学的に除去して実施例1と同じ条件で結晶方位の面積率を測定した。また、実施例1と同じ条件で電気抵抗、引張強度を測定するとともに、実施例1と同じ条件でエッチングを行い、実施例1と同じ条件でエッチング後の静電容量を測定した。
【0116】
その結果を表6−2に示す。表6−2においても、静電容量の(最大値−最小値)/最大値が5%未満を静電容量変動の許容範囲とした。
【0117】
なお、静電容量比は各コイルの最大値について、試料No6−1を100とした相対比較にて示した。
【0118】
【表6】
【0119】
表6からわかるように、試料No6−1は、冷間圧延の最終パス時の負荷応力が、「10〜20N/mm2」の下限値を外れ、このため〔Aa/Ba〕が▲1▼´´式で示される厚さ方向の方位密度パラメータの条件を外れる。試料No6−4は、前記負荷応力の上限値を外れ、製造能率が低い。
【0120】
試料No6−5は、ロール径「直径200〜250mmφ」の下限値を外れ、製造能率が低い。試料No6−8は、ロール径の上限値を外れ、▲1▼´´式で示される厚さ方向の方位密度パラメータの条件を外れる。
【0121】
試料No6−9は、ロール粗度「Raで0.04〜0.5」の下限値を外れ、▲1▼´´式で示される厚さ方向の方位密度パラメータの条件を外れる。試料No6−13は、ロール粗度の上限値を外れ、静電容量が低く容量変動も大きい。
【0122】
試料No6−14は、圧延油の動粘度「2.0〜3.0cSt」の下限値を外れ、▲1▼´´式で示される厚さ方向の方位密度パラメータの条件を外れる。試料No6−17は、圧延油の動粘度の上限値を外れ、製造能率が低い。
【0123】
【発明の効果】
この発明に係る電解コンデンサ電極用アルミニウム材は、コイル内での電気抵抗の変動を抑制し、かつ、静電容量の向上、均一化に有効で、ピットの深さも均一となるような特定の結晶方位の占有率を高めることにより、静電容量と強度を均一化した強度と伸びの優れた電解コンデンサ用アルミニウム材となし得る。
【0124】
また、この発明に係る製造方法では、上記のような電解コンデンサ電極用アルミニウム材を安定して製造することができる。
【0125】
また、この発明に係る電解コンデンサは、均一な静電容量を有するものとなる。
Claims (12)
- Al純度が99.9質量%以上で、(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBとしたときに、面積率Aと面積率Bの総和が全結晶方位の面積率に対して90%以上であり、かつA,B各面積率の比が以下の▲1▼式を満足することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
〔A/B〕≦0.40・・・・・▲1▼ - (321),(211),(311)の結晶方位の面積率の総和をA´としたときに、面積率A´と面積率Bの総和が全結晶方位の面積率に対して90%以上であり、
かつA´、B各面積率の比が以下の▲1▼´式を満足する請求項1に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
〔A´/B〕≦0.30・・・・・▲1▼´ - 〔A´/B〕≦0.20である請求項2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
- アルミニウム材の厚さを化学的に減少させた際の任意の厚さにおける(321),(211),(311),(221)の結晶方位の面積率の総和をAaとし、(110),(320)の結晶方位の面積率の和をBa、(321),(211),(311)の結晶方位の面積率の総和をA´aとしたときに、面積率AaまたはA´aとBaの比率〔Aa/Ba〕、〔A´a/Ba〕と、アルミニウム材の化学的に減少された厚さt(mm)が▲1▼´´式または▲1▼´´´の相関を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
6×t+0.02≦〔Aa/Ba〕≦6×t+0.20・・・・・・▲1▼´´
6×t+0.02≦〔A´a/Ba〕≦6×t+0.20・・・・・・▲1▼´´´ - 引張強度をTS(MPa)、伸びをEl(%)とし、箔厚をtμmとしたとき、TS×Elが以下の▲2▼式を満足する請求項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
TS×EL≧4.5×t+ 50 (MPa・%)・・・・・・・・▲2▼ - アルミニウム材は、60〜120μmm厚で、20℃での電気抵抗の平均値が2.70〜2.95×10−2μΩ・mであり、抵抗値の分散標準偏差σが平均値の0.5〜2.0%である請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
- 低圧用陽極材として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材。
- 質量比でSi0.0020〜0.0100%、Fe0.0015〜0.0085%、Cu0.0005〜0.0050%、さらにZn0.0002〜0.0050%、Ga0.0005〜0.0050%、B0.0005〜0.0030%を含有するAl純度99.9質量%のスラブに対して、熱間圧延の開始温度を500〜560℃とし、熱間圧延中、360〜420℃の範囲を式▲3▼に示す冷却速度T℃/秒で冷却し、かつ、ロール入側温度250〜340℃で仕上熱間圧延した後、250℃以下で巻き取り、後工程として冷間圧延を施すことを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
2.5・102×√Fe%≦T℃/秒≦1.0・103×√Fe%・・・・・▲3▼ - 冷間圧延後、150〜380℃で1時間以上焼鈍する請求項8に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
- 熱間圧延後において、圧延ロール入り側でのアルミニウム材断面に付加される応力が10〜20N/mm2となるように巻き出し張力を調整し、直径200〜250mmφ、表面平均粗さがRaで0.04〜0.5のロールを用い、かつ動粘度2.0〜3.0cStの鉱物油を用いて冷間圧延することを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
- 表面平均粗さがRaで0.04〜0.25のロールを用いる請求項10に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のアルミニウム材が電極材として用いられている電解コンデンサ。
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