JP2004250673A - ゲル化コロイド結晶前駆体とゲル化コロイド結晶、及びゲル化コロイド結晶の作製方法とその作製装置 - Google Patents

ゲル化コロイド結晶前駆体とゲル化コロイド結晶、及びゲル化コロイド結晶の作製方法とその作製装置 Download PDF

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勉 澤田
Akiko Toyotama
彰子 豊玉
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Junpei Yamanaka
淳平 山中
Kensaku Ito
研策 伊藤
Yoshihiro Takiguchi
義浩 瀧口
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Abstract

【課題】 従来提案されている紫外線照射によるゲル化手段によってゲル化して得られてなるゲル化コロイド結晶は、結晶の深部まで均一にゲル化するには不十分なものであった。また、該紫外線照射に代えて、可視光領域の光源を使用したゲル化手段によってゲル化したゲル化コロイド結晶は、重合開始剤に難があり、気泡の発生を伴う等、問題のあるものであった。本発明は、これら問題のない、結晶内部まで均一にゲル化したコロイド結晶を、再現性を以て提供しようというものである。
【解決手段】 水性液体を分散媒とするコロイド溶液に高分子あるいはマクロマーを配合し、これに重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を添加し、少なくとも400nmから500nmの範囲内の波長成分を含む光を照射することによってゲル化する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、フォトニック結晶としての機能を発揮するゲル化コロイド結晶の前駆体である被ゲル化コロイド結晶と、この被ゲル化コロイド結晶に光照射してゲル化することによって得られてなるゲル化コロイド結晶とそのゲル化コロイド結晶の作製方法及びこの方法を実施する作製装置に関する。すなわち、本発明は、そのままでは流動性のあるコロイド結晶を、高分子ゲルによって固定化してなる、光学品質に優れたゲル化コロイド結晶とその作製方法及びそのためのゲル化装置に関する。
粒径の良く揃った微粒子が水に分散された、いわゆるコロイド分散液において、微粒子の濃度を高めたり、溶媒中のイオン濃度を下げるなどの条件を整えてやると、微粒子が三次元的に周期配列して結晶様の構造を形成する状態をとるようにすることができる。このような状態にあるコロイド分散液のことをコロイド結晶と呼んでいる(非特許文献1参照)。このようなコロイド結晶はいわゆるフォトニック結晶の1種であり、光に対して特異な光学現象を発現することから、光学素子としての応用が考えられ、学術文献にも紹介され、近年注目されている(非特許文献2、非特許文献3参照)。
ところが、上記のコロイド結晶は、液体中に微粒子が分散した状態の、いわば流体であるため、振動や温度変化などの環境からの外乱により粒子配列が乱されやすい。そこで、光学素子としての実用化を考慮して、コロイド結晶の流動性を積極的に抑えること、そのためコロイド結晶全体を高分子ゲルで固定化することが提案され、各種文献に記載されている(例えば、特許文献1ないし4、非特許文献4ないし5を参照)。この提案による高分子ゲル固定化方法は、分散媒中に高分子モノマー(あるいはマクロマー)と架橋剤と光重合開始剤を添加しておき、紫外光照射することで光重合開始剤を励起して重合を開始し、ゲル化させるものである。
東京化学同人、日本化学会編「コロイド化学I」p.119〜123ページ(第7章7.2節コロイド結晶) コロナ社 藤井・井上訳「フォトニック結晶」(発行2000年10月23日) 岩波書店「理化学辞典第5版」(フォトニック結晶の項)(第4刷、発行2000年4月25日) Asher et al.J.Am.Chem.Soc.Vol.116,1994,p.4997−4998 Jethmalaniand Ford,Chem.Mater.Vol.8,1996,p.2138−2149. 米国特許第5、281、370号明細書 米国特許第6、187、599号明細書 米国特許5、898、004号明細書 EP0482394A2
上記紫外線照射によるゲル化については、本発明者らにおいても前記先行技術による提案に基づいて、紫外光を照射してコロイド結晶をゲル化により固定化し、単結晶性の良いコロイド結晶を製作しようと試みたところ、この方法は、以下のような点で多くの問題をはらんでおり、必ずしも優れたゲル化手段とは言えないことが明らかになった。
その第1は、以下(a)、(b)に記載するように材質による紫外光の吸収・散乱にかかわる問題である。
(a)一般に、紫外線領域では、材質の光吸収や光散乱が大きくなり光の透過力が弱くなるので、特に、コロイド結晶が厚くなってくると深部に光が到達しにくくなり均一なゲル化に問題が出てくる。また、光照射のための光学系に使うレンズ、フィルター、光拡散板等の光学素子としてプラスチック製のものを使用できればコストが抑えられて工業的に有利であるが、そのような素子は紫外領域で使用できない場合が多い。さらに、紫外線は人体に有害であるので、作製現場の安全性の観点からも、紫外線を使わずに済ませることができればより望ましい。
(b)コロイド結晶を構成している粒子と分散媒との屈折率差が大きい方が、粒子による光の散乱が強くなり、フォトニック結晶としての種々の特性が強調されることになる(例えば、非特許文献2参照)。屈折率差を大きくするためには、粒子材質としてできるだけ大きな屈折率を有するものを使うことが考えられるが、そのような材質として二酸化チタンが期待されている。しかしながら、二酸化チタンは紫外線によって励起される典型的光触媒であり、これに紫外線を照射すると、ゲル化しようとするコロイド結晶が含む有機高分子成分を分解してしまう不都合が生じ、二酸化チタンの使用は、これを制限せざるを得ないということも生じる。
以上に加えて、第2の問題は、(c)に記載するようにコロイド結晶の構造による紫外光不透過にかかわる問題である。
(c)すなわち、コロイド結晶を光機能素子として利用することを考えるとき、広く普及しているチタンサファイアレーザーが発する800nm付近(700〜1000nm)の波長の光に対して鋭敏に作用するものが産業上非常に重要であり、求められている。800nm付近の波長の光に作用するコロイド結晶は、その結晶の最長のBragg波長が800nm付近に存在する場合において典型的である。フォトニック結晶の理論計算によれば、コロイド結晶は、最長のBragg波長の近辺の波長をもつ光に対して、特異な光学特性を、最も顕著に示すことが知られている(非特許文献2参照)。従って、特定波長を発振するチタンサファイアレーザーに対して作用するコロイド結晶を設計する最も基本的な設計指針としては、コロイド結晶の最長のBragg波長を800nm付近に有するようにコロイド結晶を設計することが求められている。
ここで、最長のBragg波長について説明する。コロイド結晶に限らず、一般に、結晶は、特定の結晶学的方位をもつ格子面群によって電磁波がBragg反射される。特定の方位をもつ格子面群によってBragg反射される電磁波の波長が一番長くなるのが、その格子面群に対して垂直に電磁波が入射して正反射される場合、つまり90度のBragg反射の場合であり、その波長は格子面間隔に比例する。さらに、ひとつの結晶には種々の結晶学的方位をとる異なる格子面群が存在し、例えば面心立方格子であれば111面、体心立方格子では110面といった、格子面間隔が最大となる格子面群による90度のBragg反射の波長が、その結晶における最長のBragg波長である。
そこで、そのようなコロイド結晶の分光特性を調べたところ、図1に例示するように、最長のBragg波長の約半分の波長より短い波長の光に対する透過率が非常に低いことが判明した(なお、この図1において使用した粒子材質はポリスチレン、粒径は173nm、粒子の体積分率濃度は約10%である。)。
最長のBragg波長が800nmの場合に対しては、約400nm以下の波長の光、つまり、紫外線領域の光に対する透過率が非常に低いわけである。このため、チタンサファイアレーザーが発する800nm付近の波長の光に作用するコロイド結晶については、従来の紫外線励起型の重合法では、試料全体に十分照射光を行き渡らせて均一で効率的なゲル化を行うことに支障が生じることとなる。
従来提案されている紫外線照射によるゲル化は、上述したように諸点において問題が残り、光学的に優れた高品質ゲル化コロイド結晶を得るに充分に完成された技術とは言えないものであった。特に今後、コロイド結晶を実用レベルに製品化することを考慮すると、結晶の表面だけでなく深部まで均一にゲル化を確保する必要があり、この目標が達成されずしては製品化に成功したとは言えず、紫外線照射は、その点で克服されるべき課題の多いゲル化手段であった。本発明は、前示問題を克服して安定した再現性のある実用レベルの製品化を可能とするコロイド結晶、すなわち、結晶内部まで均一なゲル化コロイド結晶を提供しようというものであり、そのための作製方法及び作製装置を提供しようというものである。
ここに先行技術において提案されている紫外線照射によるゲル化手段において、上記の三つの問題点(a)(b)(c)は、いずれも紫外線領域の波長を使用することにより生ずることから、該問題を克服するためには紫外線を使用しない方法を講ずること、すなわち、可視光励起の重合開始剤を使用することができれば解決される、と想到するに至った。また、可視光による重合開始が可能となると紫外光を使用する場合よりも、一層適用範囲が広い優れた技術と言うことができる。
しかしながら、水性液体を分散媒とするコロイド結晶をゲル化して光学的に均一な品質に優れたゲル化コロイド結晶を得ようとして光照射を紫外光から可視光へと転換しても、実際には、重合開始剤を可視光に反応するものを選択しなければゲル化は困難なことが分かった。これまでに、光励起型重合開始剤としては、紫外線励起型も含めこれまで多数のものが知られ、提供、使用されているが、実験したところ本発明の目的である均一なゲル化結晶を得るためには、それらが一律に有効であるとは言えないことも明らかとなった。
そこで、重合開始剤の選択指針が必要となるが、以下に示す3つの要件を満たすものでなければならないことが明らかとなった。すなわち、本発明は、特に水性液体を分散媒とするところから、その光重合開始剤は、十分に水溶性があること、厳格に不溶性でないことが必要である。重合開始剤が分子状態で水性液体よりなる分散媒中に溶け込んでいるのでなければ、換言すれば、少しでも不溶分があると、ゲル化後のコロイド結晶に対して光学的な欠陥を含むことになり、無意味に帰するからである。また、重合開始剤は、非イオン性である(あるいはイオン性が弱い)ことも必要であることも明らかとなった。その理由は、コロイド結晶は、溶液中のイオン濃度に対して敏感であり、イオン濃度が少しでも変化したり、高くなると結晶の歪みや崩壊に至り、無意味に帰するからである。イオン性開始剤は、溶液中のイオン濃度を高めることとなり、均一結晶に支障を来す原因となり、ひいては、崩壊させることになるからである。
更にまた、コロイド結晶の大型化と光学的に一層の均一性が求められる場合には、気泡の存在は直接的に光学欠陥の原因となることから、気泡が生じないように配慮すべきである。ところが重合開始剤によっては、後述する例に示すように重合開始剤に起因する気泡の発生を伴うものがあった。
以上述べたように、本発明の意図するゲル化を達成するためには、照射する光を紫外光から可視光に転換するだけにとどまらず、重合開始剤の変更とその選択そのものにも大きな困難性を含み、容易にゲル化を実施することは極めて困難なことが明らかとなった。
ここに、前記重合開始剤に起因する気泡発生問題に関しては、例えばアゾ基を含む開始剤を使うと、光照射により窒素が発生し、この気泡がゲル中に析出し、光学欠陥が生じるおそれがあることが明らかになってきたが、このアゾ基選択による気泡問題については、単に通常の多結晶状態のコロイド結晶を作製する場合には、殆ど気がつかない問題である。これが問題となったきっかけは、今回本発者らおいて、均一性の高いコロイド結晶をゲル化によって固定して得ようということから鋭意探求した結果判明したものであって、通常の多結晶状態のコロイド結晶では、その結晶試料自体の不均一性問題に隠れて、ガス化に由来するとの原因にまで言及し、判明するには至らず、開始剤に起因する気泡発生問題が存在するとの問題認識は全くなかった。さらに述べると、この問題提起は、本発明者らが先に特許出願したコロイド結晶の作製方法(特願2000−217660)を提案したことに端を発して以来であって、この研究を契機にして重合開始剤によって気泡が発生する問題があること、そして光学欠陥となること、といった問題に直面し、その原因を解明した結果導き出されたもので、最新の情報であり、知見である。
本発明は、以上述べた先行技術あるいはそれに関連、付随した一連の実験、研究を前提としてなされたものであり、該前提技術は何れも諸点において問題があることから、問題のないゲル化コロイド結晶とその作製方法及び作製装置を提供しようというものである。そのため本発明者らにおいて、鋭意研究した結果、前示問題のないゲル化コロイド結晶を得ることが出来る条件として、水溶性、非イオン性、無気泡といった要件を全て満たす特定の重合開始剤を選定し、可視光を照射するようにすれば可能であることが分かったものである。すなわち、その条件を満たす重合開始剤としてカンファーキノンあるいはリボフラビンが有効であること、これに特定の光源を組み合わせることによって、何ら問題なくコロイド結晶をゲル化出来ることを知見し、成功したものである。
本発明は、この一連の知見、成功に基づいてなされたものであり、その解決手段は、以下(1)〜(22)に記載する構成を講じてなるものである。
(1) 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤及び光重合開始剤を含み、光照射によってゲル化される被ゲル化コロイド結晶であって、該光重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体が選定使用されていることを特徴とする被ゲル化コロイド結晶。
(2) 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤及び光重合開始剤を含み、光照射によってゲル化されてなるゲル化コロイド結晶であって、該光重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体が選定使用されていることを特徴とするゲル化コロイド結晶。
(3) 該光照射が少なくとも400nmから500nmの範囲内の波長成分を含む光によるものであることを特徴とする前記(2)項に記載のゲル化コロイド結晶。
(4) ゲル化コロイド結晶が二酸化チタンを含んでいる、前記(2)又は(3)項に記載のゲル化コロイド結晶。
(5) 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤及び光重合開始剤を含み、光照射によってゲル化される被ゲル化コロイド結晶であって、該光重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を含んでなる被ゲル化コロイド結晶に、光を照射して該モノマーあるいはマクロマーを重合して、コロイド結晶をゲル化させてゲル化コロイド結晶を得ることを特徴とした、ゲル化コロイド結晶の作製方法。
(6) 該光照射が少なくとも400nmから500nmの範囲内の波長成分を含む光によるものであることを特徴とする前記(5)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(7) 該被ゲル化コロイド結晶の最長のBragg波長が700〜1000nmに設定されていることを特徴とする前記(5)又は(6)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(8) 該被ゲル化コロイド結晶が二酸化チタンを含んでいることを特徴とする、前記(5)ないし(7)の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(9) 該光照射光源が、青色放電灯、青色発光ダイオードであることを特徴とする、前記(5)ないし(8)の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(10) 該光照射光源が、波長400nmから500nmの範囲内に出射波長を有する青色レーザーあるいは波長800nmから1000nmの範囲内に出射波長を有する近赤外レーザーであることを特徴とする前記(5)、(7)、(8)の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(11) 該青色放電灯が、青色ネオン灯、青色蛍光灯、あるいは青色メタルハライドランプである、前記(9)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(12) 該青色発光ダイオードがGaN青色発光ダイオードである、前記(9)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(13) 該青色レーザーが、473nmの波長の光を出射するNd:YAGレーザー、青色発振GaNレーザー、458nmあるいは488nmの光を発振するアルゴンレーザー、あるいは、442nmの光を発振するHe−Cdレーザーである、前記(10)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(14) 該近赤外レーザーが946nmの波長の光を発振するNd:YAGレーザー、あるいは、発振波長領域を800nmから1000nmに有するチタンサファイアレーザーである前記(10)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
(15) 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤とカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を光重合開始剤として含む被ゲル化コロイド結晶をゲル化させる装置であって、青色光を照射光源として具備することを特徴とするゲル化コロイド結晶作製装置。
(16) 該照射光源が、青色放電灯、あるいは青色発光ダイオードである前記(15)項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
(17) 該青色放電灯が、青色ネオン灯、青色蛍光灯、あるいは青色メタルハライドランプである、前記(16)項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
(18) 該青色発光ダイオードがGaN青色発光ダイオードである前記(16)項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
(19) 該照射光源が、波長が400nmから500nmの範囲内に出射波長を有する青色レーザー、あるいは、800nmから1000nmの範囲内に出射波長を有する近赤外レーザーである、前記(15)項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
(20) 該青色レーザーが473nmの波長の光を出射するNd:YAGレーザー、青色発振GaNレーザー、458nmあるいは488nmの光を発振するアルゴンレーザー、あるいは、442nmの光を発振するHe−Cdレーザーである、前記(19)項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
(21) 該近赤外レーザーが、946nmの波長の光を発振するNd:YAGレーザー、あるいは、発振波長領域を800nmから1000nmに有するチタンサファイアレーザーである、前記(19)項に記載のゲル化コロイド結晶の作製装置。
(22) レーザー光の照射部位を所定の空間形状で走査する走査手段を備えることを特徴とする、前記(19)ないし(21)の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
本発明は、コロイド結晶に高分子モノマーあるいはマクロマー及び特定成分の重合開始剤を配合しておき、これに可視光領域の青色光を照射することによって、流動性のあるコロイド結晶を均一にゲル化せしめ、固定化することに成功したものであり、これまでの紫外線を照射する場合に比し、得られるゲル化コロイド結晶は、品質が向上し、しかも大型化が可能となったもので、これによって、コロイド結晶の光学素子として利用、実用化に弾みがつき、大きく貢献しえるもので、その意義は極めて大きい。
ここに、本発明の構成は、以下に要約するように、従来技術に対して極めて特有な構成を有しており、その作用効果も特有である。すなわち、コロイド結晶をゲル化するために光照射で重合を開始する技術として従来知られている手法は、専ら紫外光照射によるものであったのに対し、本発明は、可視光領域の青色波長を使用するものである。また、本発明では重合開始剤としてカンファーキノンあるいはリボフラビンを選択し、使用する点で新規性、進歩性を備えている。
カンファーキノンあるいはリボフラビン自体は可視光による重合開始剤として知られているものではある。しかし、カンファーキノンが主として適用されてきた技術分野は、専ら人体に対する配慮から、紫外線を使用することが出来ない歯科材料の分野においてである。また、リボフラビンは電気泳動用のアクリルアミドゲルの作製にしばしば適用されてきた。しかし、これらをコロイド結晶のゲル化の開始剤として選択使用するといった事例、報告はこれまでなかったものである。その理由としては、カンファーキノンあるいはリボフラビンは光の波長460nmの周辺に光吸収帯を持ち、これが光重合開始のための励起波長として利用される所以であるが、これをコロイド結晶に混入するということは、そのできあがったゲル化コロイド結晶にこの波長の吸収帯を作ってしまうことを意味することになり、かかる波長の吸収帯を積極的にもたらす結果となるカンファーキノンあるいはリボフラビンを開始剤として選択し、採用することは考えにくい。
本発明では、敢えてカンファーキノンあるいはリボフラビンを採用したことにより、有害な紫外線を照射することなく可視光領域の光照射でゲル化し光学的に極めて厳密に均一であるゲル化を達成することに成功したものである。また他の重合開始剤では達成することが困難であった問題点を解決することができたものである。さらには、カンファーキノンあるいはリボフラビンを使用したことによる吸収帯の問題も、少量の添加で実用上問題のないことをも見いだしたものである。すなわち、カンファーキノンあるいはリボフラビンは、その光吸収スペクトルが約460nmを極大とした青色の領域(400nm〜500nm)で大きな吸収を示すので、青色の可視光を照射することで重合を開始させることができるものである。なお、カンファーキノンあるいはリボフラビンは、水溶性はそれ程高くないものの、光重合開始剤として有効に働くには十分な水溶性を有し、かつ、重合反応時に気泡を発生せず、光学的欠陥の少ない光学的に優れた品質のゲル化コロイド結晶を作製できることを充分に確認した。また、カンファーキノンあるいはリボフラビンの誘導体も光開始剤としての活性を維持している限り、有効な光開始剤として働き得る。本発明は、カンファーキノンとリボフラビンに関するこのような新たな知見に基づいてなされたものである。
本発明の解決手段中、特に(3)、(6)、(9)ないし(14)、(16)ないし(21)において、照射光ないしはその光源を限定した理由は、カンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体に対してこれらの照射光ないし光源は、特に優れており、紫外線領域の光照射によってゲル化していたこれまでのゲル化技術に比して、大型で、均一なゲル化を達成することができるようになった。すなわち、特定の重合開始剤と特定の光源とが相俟って、大型で優れた品質のゲル化コロイド結晶あるいは任意形状のゲル化コロイド結晶を得ることが可能となり、紫外線領域の光や、他の重合開始剤によっていたゲル化手段に比し、その作用効果は顕著である。 とりわけカンファーキノンあるいはリボフラビンを重合開始剤とする場合、照射光源としては、特に460nm付近の波長成分を強く含む青色光源が、エネルギー効率の観点から望ましい。
そのような光源としては、青色の放電灯(青色ネオン灯、青色蛍光灯、青色メタルハライドランプ)、青色発光ダイオード、青色固体レーザー、青色ガスレーザーが適当であることがわかった。(青色ネオン灯は実際にはネオンガスではなくアルゴンガスと水銀が使用されているが、通称としてネオンの呼び名が使われている。)従って、重合を開始するための励起光として、特に、これらの光源を用いる方法が有利である。青色発光ダイオードとしては、具体的にはGaN発光ダイオード(中心波長約470nm)がある。青色固体レーザーとしては具体的にはNd:YAGレーザー(発振波長946nmの第二高調波である波長473nmの光を出射)及びGaNレーザー(410nm)がある。青色ガスレーザーとしては具体的にはアルゴンレーザー(458nmあるいは488nm)、He−Cdレーザー(442nm)がある。
青色光源の中、とりわけ青色の放電灯と青色発光ダイオードは発散光源であるので、大面積の照射に向いている。青色の放電灯あるいは青色発光ダイオードを光源とすることにより、広い面積を均一な強度で照射することができ、カンファーキノンあるいはリボフラビンを開始剤として含む試料全体を同時に均一にゲル化させることができ、大型ゲル化コロイド結晶を得るのに適している。
これに対して、400nmから500nmの範囲内に出射波長を有する青色レーザーや、いわゆる二光子吸収によって、結果的に青色レーザーと同等の効果を有する該青色レーザー光の二倍の波長800nmから1000nmの範囲内に出射波長を有する近赤外レーザーは、特定の狭い領域をゲル化させるのに適しており、(22)に記載するようにレーザー光を走査手段によって任意の空間形状に走査、照射することによって任意の所定形状にゲル化させることができ、これにより所定形状のゲル化コロイド結晶を得るのに適している。
ここに青色レーザー光の二倍の波長を有する近赤外レーザーが、ゲル化に際して同等の作用効果を有する理由は、以下の通りである。
通常光重合は、光重合のための励起波長帯に該当する波長の光を照射したときに、光重合開始剤が励起され重合が開始し、それ以外の波長の光を照射しても光重合開始剤は励起されないので重合は起こらない。しかし、ちょうど波長が、該励起波長帯の二倍の値をとるような光を極めて強い強度で照射した場合、2光子吸収と呼ばれる特異な現象が起こり光重合開始剤に吸収されてこれを励起し、あたかも励起波長帯の光を照射したのと同様に、重合を開始させうることが知られている(例えば非特許文献6、7、8)。
S.Kawata et al.Nature,Vol.412,16 August 2001,p.697−698. [平成15年1月7日検索]、インターネット<http://biomicro.ikuta.mech.nagoya−u.ac.jp/researches/biochemical−j/2photon.html> [平成15年1月7日検索]、インターネット<http://www.nips.ac.jp/guide/res/cell.html>
カンファーキノンあるいはリボフラビンの励起に用いることができるそのようなレーザーとしては、パルス発振のNd:YAGレーザー(発振波長946nm)、パルス発振のチタンサファイアレーザー(発振波長800nm〜1000nm)がある。
特に、(22)に記載する装置は、その得ようとするゲル化コロイド結晶を単に平板状バルクのゲル化コロイド結晶を得るだけではなく、所定の形状、パターンを得る場合に適した装置を提供するものであり、そのための装置の構成を示すものである。この装置により、ゲル化時に所定形状に光を走査し、照射することにより任意の形状にゲル化することができ、大面積で均一ゲル化した結晶を得、それから所定形状に試料を切り出すといった頻雑な工程を省くことができるので、製造工程において有意義である。そのような目的のためには、上記の青色レーザー光源あるいはその二倍の波長を有する近赤外レーザーより出射される光ビーム、あるいは、その光を絞った光を、空間的に走査しながらカンファーキノンあるいはリボフラビンを開始剤として含む被ゲル化コロイド結晶試料の特定部分のみに照射する装置を組むことにより、光が照射された部位のみゲル化させ、あらかじめ設計した形状のゲル化コロイド結晶を作製することが可能となった。
なお、所定の形状について一例を挙げると、例えば、光フィルターなどに用いられる円形ゲル化コロイド結晶の作製を挙げることができる。大面積の板状の被ゲル化コロイド結晶にゲル化させたい部分のみ円形に光を照射していき、複数の円盤状のゲル化コロイド結晶を作れば、全体をゲル化したものから切り出すよりも効率的に作製できる。このように、使用目的に応じた形状にゲル化することによって、大きなゲル化コロイド結晶から切り出すよりも製造効率を上げることができる。光のあたらない非ゲル化部分は固まらない流体の状態であるので、この部分は、ゲル化操作完了後に洗い流すことができ、ゲル化した部分のみ、固体として取り出すことができる。
次に本発明を、実施例、図面に基づいて説明する。但し、これらの実施例は、あくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示するものであって、本発明をこれによって限定する趣旨ではない。
実施例1;
粒径の揃ったサブミクロン微粒子(ポリスチレンをはじめとする高分子粒子、シリカや二酸化チタンをはじめとする各種酸化物粒子、金属粒子など任意の微粒子)を用意し、このサブミクロン微粒子を水に分散したコロイド分散液を調製した。このコロイド溶液をイオン交換樹脂と共存接触させることにより十分に脱塩したコロイド結晶状態とし、これを溶液1として準備した。
次に、溶液2として、ゲルの網目構造を形成する材質である高分子モノマーの水溶液(例えば、アクリルアミド・モノマーの5M水溶液)を、溶液3として架橋剤水溶液(例えば、メチレンビスアクリルアミドの0.1M水溶液)をそれぞれ準備した。さらに溶液4としてカンファーキノンあるいはリボフラビンの飽和水溶液を準備した。
これら溶液1、2、3、4および純水を混合して(混合比;1.5:0.8:0.3:0.15:0.25の体積比)所定の体積分率のコロイド結晶溶液を調製し、アルゴンガスまたは窒素ガス等の不活性な気体を該混合溶液中に通気して溶液中の溶存酸素を追い出し、組み立て式の石英ガラス製等の透明セルに充填して被ゲル化コロイド結晶試料とした。
次いで、この被ゲル化コロイド結晶にメタルハライドランプやハロゲンランプ等の青色波長成分を含んだ可視光源にて光を照射した。
この照射する光源として好ましい光源は、青色波長を主たる成分とするものがエネルギー効率的に有利であり、そのような光源として、青色ネオン灯、青色蛍光灯、青色メタルハライドランプ(カラーHIDランプとして市販されている)、青色発光ダイオード、青色固体レーザー、青色ガスレーザー等を挙げることができる。
この内、青色発光ダイオードとしてはGaNダイオードが市販されている。あるいは、青色固体レーザーとしては、GaNレーザー(410nm)、Nd:YAGレーザー(473nm)が市販されている。さらに、青色ガスレーザーとしては、アルゴンレーザー(458nmあるいは488nm)、He−Cdレーザー(442nm)が市販されている。
上記した光源による光照射によって、重合反応を開始させると、分散媒中のモノマーあるいはマクロマーは重合して全体的に均一にゲル化し、コロイド結晶をゲル化した流動性のないコロイド結晶とすることが出来た。
得られたゲル化コロイド結晶には重合開始剤に起因する不溶性析出物や、気泡の発生、存在のない、すなわち開始剤に由来する光学欠陥のない、高品質のゲル化したコロイド結晶を得ることが出来た。尚、カンファーキノンあるいはリボフラビンは460nm周辺に光吸収帯をもつので、ゲル化後のコロイド結晶も460nm周辺に吸収帯をもつことになるが、その添加量は少量で良いので、この吸収による影響は、通常の使用には支障のない程度の小さなものであった。
またこの実施例において、溶液1に使用する粒子の粒径と粒子濃度を適切に選ぶことにより、最終的に得られるゲル化コロイド結晶の格子定数、最長のBragg波長を調整する事ができ、最長Bragg波長を800nm程度に設定することも含め、コロイド結晶の特性値を任意の値となるよう設定することが出来る。
特に粒子が二酸化チタンを使用する場合、その光触媒反応を抑えるため、照射光から波長が400nm以下の紫外成分は取り除かなくてはならないが、光源としてそのような紫外成分を含むものを使用する場合は、紫外線カットフィルターを通して紫外線を充分にカットした光を照射することが好ましい。
次に、本発明のゲル化を実施する装置を図面に基づいて説明する。図2においてゲル化を実施する装置は、光照射装置1であり、箱形容器構造に設定され、その内部壁面は光を反射する材料で構成されている。容器内部には青色光源2が設定され、この光源に面して透明なセル容器に収容されてなる被ゲル化コロイド結晶試料3が光拡散板6を介して配置されている。タイマー5を作動させると、光源が点灯し、配置されてなる被ゲル化コロイド結晶試料に光が照射され、試料中に添加配合されたカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体が光によって励起され、同じく試料中に配合されている高分子モノマーないしマクロマーの重合が開始され、コロイド結晶は次第にゲル化し始め、やがてコロイド結晶は流動性を失い固定化されていく。ゲル化時間に合わせて設定されたタイマーがストップすると光源は自動的にオフされ、ゲル化操作が完了する。
上記装置及びこれを使用した操作態様はあくまでも一例を開示したものであって、本発明はこれに限るものではない。光源の種類、光源と試料の配置関係、各機素、部品、それらの配置関係等は、本発明の目的が達成される限り、特に制限はなく、多様な設計態様が考えられ、含まれる。例えば、被ゲル化コロイド結晶試料を中心としてその周囲に複数の光源を配置し、複数の位置から光を照射したり、あるいはまた、試料体と光源の関係を相対的に回転関係に設定し、これによって試料に万遍なく光が照射されるようにする態様も含まれるものである。
なお、図2において光源2と試料3との間に光拡散板6を設置しているが、その意義は、光拡散板によって光が試料に対して万遍なく照射され、均一なゲル化を図るものである。
本発明は、可視光領域の光照射によるゲル化を図るものであり、そのために重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を選択すると共に、それに適した光源を選定、組み合わせた点をも要件事項とするものである。これに適した光源としては、多様な光源を使用することが出来るが、例えば、(1)図2に開示する装置に使用した青色放電灯としては青色ネオン灯、青色蛍光灯、あるいは、青色メタルハライドランプが使用される。これらの光源に、カンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を開始剤として含む被ゲル化コロイド結晶試料を使えば、均一にゲル化された光学品質の高いコロイド結晶ゲルを得ることができる。
また、(2)上記の放電灯の代わりに、GaN青色発光ダイオードを光照射箱の内面の天井や壁の部分に複数個配置して照射光源となし、ゲル化コロイド結晶作製装置を構成することも一つの態様であり、有効な光源の一つである。
以上は、ゲル化装置としての光照射装置を、一つの一体化した容器構造に構成してなるものを示したが、図3に例示するように、(3)発光源7として青色放電管、あるいは、GaN青色発光ダイオードを用いた、光ファイバー照射装置様の青色光照射装置8より、光ファイバイー10を介して所定の位置まで光を誘導し、ハンド型光照射装置とすることも一つの態様であり、極めて手軽なゲル化装置ということができる。
図4は、所定形状のゲル化コロイド結晶を作製する装置に関するものである。 この装置の概要は、コンピューター14によって制御されるXY平面移動機構12に、光ファイバー出射端11を取り付け、青色レーザー(又は近赤外レーザー)9から出射されたレーザー光を光ファイバー10にて出射端11に誘導し、出射端を光軸に垂直な平面内で自在に動かすことが出来るように構成してなるものである。
このようなXY平面移動機構自体は周知であり、市販の電動システムと組み合わせて容易にコンピューター制御型に設定、構成することができる。光ファイバーの出射端11には集光レンズを備え、試料上に光を絞って照射する構成とする。 レーザーと光ファイバーの入射端との間等の光路の途中に、コンピューター制御の光シャッター機構13を設けておく。コンピューター14は与えられた二次元形状のデータに従って試料の対応部分に光が照射されるようにプログラミングし、光ファイバー出射端11の移動と光シャッター13の開閉を行うことによって、所定の形状を光照射していく。試料として、カンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を開始剤として含む被ゲル化コロイド結晶試料3を使えば、所定の形状をもつ光学品質の高いコロイド結晶ゲルを得ることができる。
青色レーザー9の種類としては、出射波長の適切さと取り扱いの容易さの観点から、発振波長946nmの第二高調波である波長473nmの光を出射するNd:YAGレーザーが最も適しているが、上述した青色レーザーのいずれであっても、光源として使用することができる。近赤外レーザーの例としては、パルス発振のNd:YAGレーザー(発振波長946nm)、パルス発振のチタンサファイアレーザー(発振波長800nm〜1000nm)がある。
上記において、光を走査する代わりに、被ゲル化試料3を光軸に垂直な平面内で移動させる方法もありうる。この場合は、図4における試料台15をコンピューター制御のXY電動ステージとし、光シャッター13と連動させて試料を所定形状で照射する態様に設定される。
本発明によって、得られるゲル化コロイド結晶は、品質が向上し、しかも大型化が可能となるもので、これによって、コロイド結晶の光学素子として利用、実用化に弾みがつき、大きく貢献することが予想され、その意義は極めて大きい。
最長のBragg波長が約750nmにある、単結晶性の良いコロイド結晶の光透過率の波長依存性を示す図。 均一なゲル化コロイド結晶を作製する本発明のゲル化を実施する装置の概要説明図。 均一なゲル化コロイド結晶を作製する本発明のゲル化を実施する装置の概要説明図。 所定の形状のゲル化コロイド結晶を作製する装置の概要説明図。
符号の説明
1:光照射箱
2:青色放電管
3:被ゲル化コロイド結晶
4:点灯スイッチ
5:タイマー
6:光拡散板
7:発光源
8:光ファイバー式青色光照射装置
9:青色レーザー(又は近赤外レーザー)
10:光ファイバー
11:光ファイバー出射端
12:XY電動移動機構
13:光シャッター機構
14:制御用コンピューター
15:試料台
16:レーザー光

Claims (22)

  1. 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤及び光重合開始剤を含み、光照射によってゲル化される被ゲル化コロイド結晶であって、該光重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体が選定使用されていることを特徴とする被ゲル化コロイド結晶。
  2. 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤及び光重合開始剤を含み、光照射によってゲル化されてなるゲル化コロイド結晶であって、該光重合開始剤としてカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体が選定使用されていることを特徴とするゲル化コロイド結晶。
  3. 該光照射が少なくとも400nmから500nmの範囲内の波長成分を含む光によるものであることを特徴とする請求項2記載のゲル化コロイド結晶。
  4. ゲル化コロイド結晶が二酸化チタンを含んでいる、請求項2又は3記載のゲル化コロイド結晶。
  5. 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤及び光重合開始剤を含み、光照射によってゲル化される被ゲル化コロイド結晶であって、該光重合開始剤がカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を含んでなる被ゲル化コロイド結晶に、光を照射して該モノマーあるいはマクロマーを重合して、コロイド結晶をゲル化させてゲル化コロイド結晶を得ることを特徴とした、ゲル化コロイド結晶の作製方法。
  6. 該光照射が少なくとも400nmから500nmの範囲内の波長成分を含む光によるものであることを特徴とする請求項5記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  7. 該被ゲル化コロイド結晶の最長のBragg波長が700〜1000nmに設定されていることを特徴とする、請求項5または6記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  8. 該被ゲル化コロイド結晶が二酸化チタンを含んでいることを特徴とする、請求項5ないし7の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  9. 該光照射光源が、青色放電灯、青色発光ダイオードであることを特徴とする、請求項5ないし8の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  10. 該光照射光源が、波長400nmから500nmの範囲内に出射波長を有する青色レーザーあるいは波長800nmから1000nmの範囲内に出射波長を有する近赤外レーザーであることを特徴とする請求項5、7、8の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  11. 該青色放電灯が、青色ネオン灯、青色蛍光灯、あるいは青色メタルハライドランプである、請求項9記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  12. 該青色発光ダイオードがGaN青色発光ダイオードである、請求項9記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  13. 該青色レーザーが、473nmの波長の光を出射するNd:YAGレーザー、青色発振GaNレーザー、458nmあるいは488nmの光を発振するアルゴンレーザー、あるいは、442nmの光を発振するHe−Cdレーザーである、請求項10記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  14. 該近赤外レーザーが、946nmの波長の光を発信するNd:YAGレーザー、あるいは、発振波長領域を800nmから1000nmに有するチタンサファイアレーザーである、請求項10記載のゲル化コロイド結晶の作製方法。
  15. 水性液体を分散媒とし、少なくとも高分子モノマーあるいはマクロマーと架橋剤とカンファーキノン、リボフラビンあるいはそれらの誘導体を光重合開始剤として含む被ゲル化コロイド結晶をゲル化させる装置であって、青色光を照射光源として具備することを特徴とするゲル化コロイド結晶作製装置。
  16. 該照射光源が、青色放電灯、あるいは青色発光ダイオードである、請求項15記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
  17. 該青色放電灯が、青色ネオン灯、青色蛍光灯、あるいは青色メタルハライドランプである、請求項16記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
  18. 該青色発光ダイオードがGaN青色発光ダイオードである、請求項16記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
  19. 該照射光源が、波長が400nmから500nmの範囲内に出射波長を有する青色レーザー、あるいは、800nmから1000nmの範囲内に出射波長を有する近赤外レーザーである、請求項15記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
  20. 該青色レーザーが473nmの波長の光を出射するNd:YAGレーザー、青色発振GaNレーザー、458nmあるいは488nmの光を発振するアルゴンレーザー、あるいは、442nmの光を発振するHe−Cdレーザーである、請求項19記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
  21. 該近赤外レーザーが、946nmの波長の光を発振する、Nd:YAGレーザー、あるいは、発振波長領域を800nmから1000nmに有するチタンサファイアレーザーである、請求項19記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
  22. レーザー光の照射部位を所定の空間形状で走査する走査手段を備えることを特徴とする、請求項19ないし21の何れか1項に記載のゲル化コロイド結晶作製装置。
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