JP2004018444A - 活性酸素の発生方法および発生装置 - Google Patents

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Masayuki Obara
小原 正之
Tatsuo Fujikura
藤倉 達雄
Masahiko Otsuka
大塚 正彦
Hiroshi Fujiwara
藤原 寛
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Abstract

【課題】従来よりも、効率的で安全性の高い方法で活性酸素を発生させる方法と、そのための発生装置を提供する。
【解決手段】リボフラビン含量が0.3mg/kg以上である製剤に、ピーク発光波長470nmの青色発光ダイオードを用いて照射することよりなる活性酸素の発生方法と、前記製剤から活性酸素を発生させるために使用する装置であって、青色発光ダイオードを選択的に前記リボフラビン製剤に照射するための手段を具備することを特徴とする活性酸素の発生装置。本発明は、医療用分野において、例えばメラニン産生抑制、癌細胞抑制、角膜融解抑制あるいは歯の漂白・歯茎の殺菌などのために、安全性が向上した方法として利用可能である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピーク発光波長470nmの青色発光ダイオードをリボフラビン製剤に照射して活性酸素を発生させる方法、および活性酸素の発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ダーオードを用いる疾病の治療装置がいくつか提案されており、患者の体力的負担の少ないことから今後の進展が期待されている。例えば、癌治療は外科手術が主流であるが、一般的に患者にとって手術中、手術後の体力的負担が大きく、また手術自体に耐える身体条件を備えていない患者も多い。そこで、従来の方法に加えて、できるだけ患者の負担が軽くて有効な癌の予防・治療方法の開発が望まれている。その一つとして、光ダイオードを用いた癌治療装置が提案されているが、さらに癌治療以外にも有害細胞の増殖抑制に用いることが報告されている。公知事項としては、次のものが挙げられる。
【0003】
特公平3−41194号公報には、ヘマトポルフィリン誘導体、フタロシアニン系等の腫瘍に親和性のある光感受性物質を予め病巣部に吸収・蓄積させておき、その部分に発光ダイオードまたはレーザダイオード等の光ダイオード光を照射して癌病巣を治療する癌治療装置が開示されている。ここでは、GaAsPよりなる630nm波長の発光ダイオードと、GaPよりなる690nmの発光ダイオードの組合せが好適であるとされている。
【0004】
一方、本願出願人は、癌の予防および治療に有効な癌抑制装置として、波長400〜560nmの可視光を選択的に照射するための手段を備えた癌抑制装置を提案している(特開平11−151309号公報)。また、本願出願人は、シミ、ソバカス、日焼けなどのメラニン異常産生に起因する皮膚のメラニン沈着を予防・治療するために有効なメラニン産生抑制装置として、波長400〜560nmの可視光を選択的に照射するための手段を備えたメラニン産生抑制装置についても提案をしている(特開2002−85575号公報)。
【0005】
上記特許公開公報の癌抑制装置あるいはメラニン産生抑制装置は、波長400〜560nmの可視光を、増殖抑制を必要とする癌細胞あるいはメラニン産生抑制を必要とする細胞に直接照射するために使用するものである。
一方、活性酸素は、酸素分子に電子が1個入ったもの(O ,・O )、ヒドロキシル基(・OH)、一重項酸素()、過酸化水素(H)を含む概念である。これまでに、O を特異的に消費する酵素SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)の発見によって、活性酸素が白血球などの殺菌作用に利用されていることや、酵素反応など、体内での生理作用に関係することが判明されている。また、活性酸素の酸化力で癌細胞を殺傷することも知られている。
【0006】
活性酸素は、光感受性物質に光照射することによって発生するが、該物質の一つとしてリボフラビンが知られており、次のような作用・利用方法が報告されている。Mutation Research, 298(1992) 17−23 には、リボフラビンまたはルミフラビンに、サンランプ光からフィルターにより単離した360〜400nm波長光を照射して活性酸素を発生させ、サルモネラ菌に対する変異原性への関与について報告されている。
【0007】
また、J. Photochem. Photobiol. B: Biol., 24(1994) 179−186には、トリプトファンおよびリボフラビンを強化した培養培地の活性酸素発生に対する可視光(インターフェランスフィルタを装備した150Wスライドプロジェクトランプ光から450nm光を照射)の影響について報告されている。このような可視光による照射は発熱を伴うことから、その影響が無視できないと考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
活性酸素は、医療分野、殺菌への利用や、細胞挙動などを調べるための学術分野における利用が期待されているが、実用化にあたっては従来以上に活性酸素を効率的かつ安全性の高い方法で発生させる方法と、そのためにどのような発生手段を具備すべきかが課題である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これまでに光照射と細胞増殖の関係を調べていたところ、培地の種類によって光照射の影響に大きな差があることを見出し、さらに検討を続けて、ビタミン栄養素としてリボフラビンを含む培地に500nm以下の波長領域の光を照射するときにメラノーマ細胞の増殖が特異的に抑制されるとの結果を得た。そこで、活性酸素を発生させるための光感受性物質としてリボフラビンを利用することとし、効率的で安全性の高い発生方法を検討して、本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の活性酸素の発生方法および発生装置の発明を包含する。
1)リボフラビン含量が0.3mg/kg以上である製剤に、ピーク発光波長470nmの青色発光ダイオード(以下において、「青色LED」と略称することがある)を用いて照射することを特徴とする活性酸素の発生方法。
2)リボフラビンから活性酸素を発生させるために使用する装置であって、ピーク発光波長470nmの青色発光ダイオードを、リボフラビン含量0.3mg/kg以上の製剤に照射するための手段として具備することを特徴とする活性酸素の発生装置。
3)活性酸素をメラニン産生細胞抑制のために発生させる上記2)項に記載の活性酸素の発生装置。
【0011】
4)活性酸素を癌細胞抑制のために発生させる上記2)項に記載の活性酸素の発生装置。
5)活性酸素を角膜融解抑制のために発生させる上記2)項に記載の活性酸素の発生装置。
6)活性酸素を歯の漂白・歯茎の殺菌のために発生させる上記2)項に記載の活性酸素の発生装置。
【0012】
上記のとおり、本発明の活性酸素の発生方法は、活性酸素の発性物質としてリボフラビンを用い、そこに青色LEDという特定波長の可視光を照射することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における活性酸素は、前述したように、酸素分子に電子が1個入ったもの(O ,・O )、ヒドロキシル基(・OH)、一重項酸素()、過酸化水素(H)を含む活性酸素類である。
また、活性酸素を発生させるために用いるリボフラビンは、遊離のビタミンBのほか、エステル類(リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステルナトリウム)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)等での存在が知られており、本発明においてはいずれも用いることができる。
【0014】
青色発光ダイオードを照射するときのリボフラビン剤の形態は、活性酸素を発生し得る状態であれば特に限定されないが、通常は活性酸素をどのように利用するかによって適した剤形を選択すればよい。利用形態としては、(1)活性酸素を作用させるべき部位・箇所にリボフラビン剤を配置しそこに青色発光ダイオードを照射する場合と、(2)リボフラビン剤に青色発光ダイオードの照射により発生した活性酸素を含む剤を適用すべき部位・箇所に配置する場合が挙げられる。
【0015】
上記(1)の利用形態は、青色発光ダイオードを照射することに妨げのない状況で適用されるから、例えば活性酸素をメラニン産生抑制、表層癌細胞抑制や、歯の漂白・歯茎の殺菌などを要する部位に作用させたいときに適する。この場合は、青色可視光を照射することによる併用効果を惹起することもできる。具体例としては、リボフラビンを軟膏基剤と混和したかたちの軟膏剤を、適用部位に塗っておきそこに青色可視光を照射することが挙げられる。
上記(2)の利用形態は、予めリボフラビンから発生さえた活性酸素を含む剤を適用するものであるから、青色発光ダイオードを照射できない部位やなるべく青色可視光を照射したくない状況(例えば、光過敏症などのアレルギー疾患患者など)において非常に好ましく適用できる。具体例としては、リボフラビンを含む水剤、軟膏剤等に、青色可視光を照射して発生した活性酸素を含む剤を調製することが挙げられる。この調製剤を、必要に応じてさらに適当な剤形(例えば、注射剤、ハップ剤、うがい剤など)としたうえで、所望の部位に適用すればよい。リボフラビン含量は、活性酸素が所望細胞の増殖抑制や殺菌など作用が認められるように選択すればよいが、例えばメラニン産生抑制、癌細胞抑制、角膜融解抑制あるいは歯の漂白・歯茎の殺菌等の場合は、リボフラビンを0.3mg/kg以上を含むリボフラビン製剤を調製し、これに青色発光ダイオードを照射すれば有効量の活性酸素を発生させることができる。リボフラビン含量の上限は、どのように活性酸素を適用するかによっても変わってくるが、一般的に10mg/kg以下でよい。
【0016】
次に、本発明の活性酸素の発生装置は、リボフラビン製剤から活性酸素を発生するために、青色発光ダイオードによる光照射できる手段を具備するものである。青色発光ダイオードは、ピーク発光波長470nmの特定波長光を選択的に発光し、従ってそのまま本発明装置に利用できる。その発光ダイオードの代表例としては、市販の窒化ガリウム系半導体チップを例示できる。そのなかでも、本発明では順方向電流30mAにおける1個当たりの出力が2mW以下である高輝度発光ダイオードの利用が好適である。このような発光ダイオードチップは、通常、特定波長の可視光の有効量を短時間内に照射できるように、本発明装置に複数個組み合わせて利用するのが好ましい。また、上記発光ダイオードは、特定波長領域にエネルギーを集中させることができるので、光源の発熱による弊害を緩和することができる点でも好ましい。
【0017】
本発明装置に用いられる上記機構により照射される光は、波長470nmをピークとするシャープな青色光であることから、赤色光や緑色光等の可視光と、紫外線を排除したかたちで活性酸素を発生させることができるので、人体に対して余分な負担をかけなくても済むことから安全性が高い。
本発明装置は、上記特定波長範囲の可視光を照射できる手段を具備することを必須として、他は特に限定はなく、例えば卓上型、内視鏡やカテーテルに組み込んだタイプ等のこの種光源を利用する公知の各種機器類、光を照射、伝送するための各種装置類と同様のものとすることができる。
【0018】
本発明方法および装置によって発生させた活性酸素は、その既に知られた有効作用を目的として種々の分野で利用することができる。医療用分野においては、既に述べたように、メラニン産生抑制、癌細胞抑制、角膜融解抑制あるいは歯の漂白・歯茎の殺菌等に用いることができる。
メラニン産生抑制は、シミ、ソバカス、日焼けなどの色素の沈着を抑制および改善するものであり、また肌の美白を可能とする。本発明の装置を利用することにより、メラニン産生抑制を必要とする細胞に活性酸素を接触させることにより実施できる。上記細胞は、光の照射が可能な部位、特に皮膚の各種細胞(メラニン産生細胞)であることができる。活性酸素を接触させることにより、細胞のメラニン産生を抑制することができる。このメラニン産生抑制効果は、皮膚における色素沈着の予防のみならず治療にも有効である。すなわち、本発明により発生させた活性酸素は、皮膚における色素沈着を防止して、色白の肌を保つ効果を奏し得ると共に、メラニン色素の過剰産生に起因して色素沈着が認められる肌、例えば老人班、肝班、ソバカス、シミ、日焼けなどに対しては、上記色素の過剰産生を抑制して、これらの肌を色白の肌に改善する効果(美白効果)をも奏し得るのである。本発明の装置を用いるメラニン産生抑制の実施にあたっては、従来知られているメラニン産生抑制の利用による方法と併用することも可能であり、これによって相乗的な効果を奏し得る場合もある。
【0019】
癌細胞抑制に際して本発明の装置を利用することにより、対象細胞に活性酸素を接触させることにより実施できる。本発明の装置により発生させた活性酸素を直接に接触可能であるか、あるいは発生させた活性酸素を含む剤が適用可能である限り、あらゆる部位の各種の癌細胞に対して、その増殖抑制効果を奏することができる。例えば、癌細胞が皮膚癌等の表層癌の場合に、とりわけ有効である。癌の外科的治療の補助としても有効である。この癌細胞の抑制対象となり得る癌には、例えば皮膚癌、口腔癌、舌癌、頸部癌等が包含される。また、肺癌、食道癌、子宮頸癌、胃癌、膀胱癌、陰茎癌等、特にこれらの中でも早期で表層部位のものは、本発明装置の利用により、その抑制が可能である。
【0020】
角膜融解抑制に際しては、本発明の装置を利用することにより、対象細胞に活性酸素を接触させることにより実施できる。本発明の装置により発生させた活性酸素を直接的に角膜に接触可能であるか、あるいは発生させた活性酸素を含む剤を角膜に適用可能である限り、角膜の融解抑制効果を奏することができる。例えば、0.05〜0.3%リボフラビン溶液を目に数滴適用した後に、2〜10mW/cmの照射強度で青色光を15〜60分照射することにより角膜の融解抑制効果を奏する。
【0021】
また、歯の漂白・歯茎の殺菌に際しては、対象細胞に活性酸素を接触させることにより実施できる。本発明の装置により発生させた活性酸素を直接的に歯または歯茎に接触可能であるか、あるいは発生させた活性酸素を含む剤を歯または歯茎に適用可能である限り、歯の漂白・歯茎の殺菌効果を奏することができる。例えば、リボフラビン含有ジェルを歯または歯茎に塗った後、2〜30mW/cmの照射強度で青色光を15〜60分照射することにより歯の漂白・歯茎の殺菌効果を奏する。上記でいう歯および歯茎は、義歯(入れ歯)でもよく、脱着した義歯に対しても、漂白、殺菌を好ましく実施できる。
【0022】
本発明装置を用いて、メラニン産生抑制、癌細胞抑制、角膜融解抑制または歯の漂白・歯茎の殺菌を実施するためには、本発明装置に採用される青色発光ダイオードの照射手段、照射のための出力条件、本発明装置を適用される細胞の種類、抑制の程度等に応じて当業者に適宜決定され、特に限定はない。通常、インビトロにおける実験では、30mAの電流を通電した発光ダイオードによる可視光を、1回当たり約1分1時間程度を、リボフラビン0.3mg/kg以上を含む製剤に照射することで、有効量の活性酸素を発生させることができる。上記青色発光ダイオードによる青色発光ダイオード光の好ましい照射条件としては、照射電力レベル(出力密度)が約1〜30mW/cmである範囲を挙げることができる。青色発光ダイオードによる照射は、通常の可視光に比べて、温度上昇が少なく温度の干渉が少ない点でも極めて有利である。
本発明装置を用いて発生した活性酸素は、上記以外にも例えば、マウスウォッシュ、または歯磨き剤に使用して歯周病、口臭の予防や、歯ブラシ立てに使用して歯ブラシの殺菌にも応用できる。
【0023】
【実施例】
以下において、実施例および実験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
マウスメラノーマB−16細胞 (ヒューマンサイエンス研究資源バンクより購入)を、10%ウシ胎児血清(Gibco BRL)を含む細胞培養液(MEM培地、日本製薬社)にて培養し、安定した増殖能を示した時点で本実験に供した。
【0024】
上記細胞培養液にリボフラビン(Sigma Aldorich)を最終濃度0.1mg/Lおよび0.4mg/Lとなるよう添加して検体とし、それぞれ対照区▲2▼および本発明区とした。
青色発光ダイオード(5.7mW/cm,主発光波長470nm,電流8.0mA、日亜化学工業社製)を、細胞を培養する96穴マイクロプレートのキュベットに合わせて、個々の発光ダイオードが照射できるように配置し、直流電源としてオムロン社製パワーサプライ(Omron S82K− 10024, power supply)を使用して、電流を発光ダイオードチップに供給することにより、波長470nmの可視光を照射するための装置とした。なお、発光ダイオードには、熱的影響を避けるために、その裏面にアルミ製の放熱フィンを設けた。
【0025】
上記の青色発光ダイオード照射装置を用いて、上記の検体にそれぞれ10  細胞/mlのB−16細胞100μlを96穴マイクロプレート (3075, Becton Dickinson) に播種し、炭酸ガスインキュベーター(BL−320, ASTEC)中で24時間培養した後、クリーンベンチ内にて青色発光ダイオードを7分間照射した。さらに48時間培養した後、細胞数をそれぞれ測定した。対照には青色発光ダイオードを照射しなかった。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 2004018444
【0027】
これらの結果は、青色発光ダイオード照射によりB−16細胞の増殖が抑制され、この増殖抑制作用はリボフラビン0.4mg/Lの添加により著しく増強されたことを示す。なお、各対照区のリボフラビン濃度0.1mg/Lは、B−16細胞生育を維持するための栄養素としての添加量である。
【0028】
実施例2
実施例1と同様のB−16細胞用の培養液に、リボフラビン(Sigma Aldorich)を最終濃度0.1mg/Lおよび1.0mg/Lとなるよう添加して検体とした。
【0029】
次に、10  細胞/mlのB−16細胞100μlを96穴マイクロプレート(3075, Becton Dickinson) に播種し、炭酸ガスインキュベーター(BL−320, ASTEC)中で24時間培養した。一方、別のマイクロプレートに上記の各検体を100μl注入した後、実施例1におけると同様の装置を用いて、青色発光ダイオードを7分間照射し、直ちに培養上清0.8mlと置換した。さらに48時間培養した後、それぞれの細胞数を測定した。対照には青色発光ダイオードを照射しなかった。その結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 2004018444
【0031】
これらの結果は、リボフラビン(1.0mg/L)が存在する細胞培養液に、青色LEDを照射することにより、当該培養液はB−16細胞増殖抑制作用を有する培地に変化していることを示している。リボフラビン(0.1mg/L)程度では、この抑制作用は認められていない。これらのことから、培養液中のリボフラビンに青色LEDが照射されたことにより活性酸素が産生され、その液にB−16細胞が接触することにより増殖が抑制されることを示している。すなわち、B−16細胞に直接に青色LEDを照射しなくても、リボフラビンを所要量含む製剤に青色LEDを照射することによりその製剤にB−16細胞の増殖抑制作用を付与することができる。
【0032】
実施例3
実施例1と同様のB−16細胞の培養液に波長の異なる可視光を照射するために、赤色発光ダイオード(2.27 mW/cm,主発光波長634 nm,電流32.0 mA、日亜化学工業社製)、緑色発光ダイオード(2.26 mW/cm,主発光波長518 nm,電流30.5 mA、日亜化学工業社製)および青色発光ダイオード(2.24 mW/cm,主発光波長470 nm,電流8.0 mA、日亜化学工業社製)をそれぞれ用いた。直流電源としてオムロン社製パワーサプライ(Omron S82K− 10024, power supply)を使用して、電流を発光ダイオードチップに供給した。尚、発光ダイオードには、熱的影響を避けるために、その裏面にアルミ製の放熱フィンを設けた。B−16細胞培養液にはリボフラビン(Sigma Aldorich)を最終濃度0.3mg/Lとなるよう添加して検体とした。
【0033】
50細胞/mlのB−16細胞5mlを直径6 cmのシャーレ(Corning 430166) に播種し、炭酸ガスインキュベーター(BL−320, ASTEC)中で24時間培養した。一方、別のシャーレに検体を5ml注入した後、赤色、緑色、青色発光ダイオードを20分間照射し、直ちに培養上清4.5mlと置換した。さらに11日間培養した後、5mlのリン酸緩衝生理食塩液で洗浄し、5mlの70%エタノールで10 分間固定し、ギムザ液にて30分間染色した。この標本について、コロニーの数を画像解析ソフト(Win Roof Version3.1; MITANI CORPORATION)を使用して測定した。対照には発光ダイオードを照射しなかった。それらの結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
Figure 2004018444
【0035】
これらの結果、青色LEDを照射したリボフラビン培養液にB−16細胞の増殖抑制作用が特異的に付与され、赤色LEDおよび緑色LEDを照射してもこの抑制作用は認められていない。この細胞増殖抑制作用は、リボフラビンの存在下に青色LEDを照射することによる特有の作用であるといえる。
【0036】
実験例1
実施例1において、青色発光ダイオード照射装置を用いて、10  細胞/mlのB−16細胞100μlを96穴マイクロプレート (3075, Becton Dickinson) に播種し、炭酸ガスインキュベーター(BL−320, ASTEC)中で24時間培養した後、
カタラーゼ(200U/ml,Wako 190−08771)を10μl加えよく混和した。一方、別のマイクロプレートに各検体を100μl注入した後、青色発光ダイオードを7分間照射し、直ちに培養上清と置換した。さらに48時間培養した後、細胞数を測定した(試験区▲3▼)。一方、カタラーゼの代わりに培養液10μlを加え、青色LEDの照射した区(試験区▲2▼)と、無照射区(試験区▲1▼)を設けた。その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
Figure 2004018444
【0038】
表4おいて、試験区▲2▼と試験区▲3▼との比較結果から明らかなように、リボフラビンに青色LEDを照射したときの細胞増殖抑制作用は、カタラーゼを添加することにより抑制されることから、活性酸素類が関与することが確認できた。
【0039】
実験例2
リボフラビンを含む細胞培養液に、40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)と青色LEDをそれぞれ照射したときの細胞増殖抑制作用を次のとおり比較した。
【0040】
細胞培養液: 実施例1の細胞培養液に、リボフラビン(Sigma Aldorich)を0.4mg/Lとなるように添加したものを用いた。
光照射装置: 青色LEDは、実施例1と同様の装置を用いた。一方、40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)としては、アーム型スタンドライトに40Wタングステンランプ(TOSHIBA)をセットし、450±10nmのフィルタを付けた装置を用いた。
【0041】
照射方法: 10細胞/mlのマウスメラノーマB−16細胞を96穴マイクロプレート(3075, Becton Dickinson)に播種し、炭酸ガスインキュベーター(BL−320,ASTEC)中で24時間培養した。一方、別のマイクロプレートに上記と同様の検体を100μl注入した後、40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)からの光を7分間照射し、直ちに培養上清と置換し、さらに48時間培養した後、細胞数を測定した(対照区)。また、もう一つ別のマイクロプレートに上記と同様の検体を100μl注入した後、青色LEDを7分間照射し、直ちに培養上清と置換し、さらに48時間培養した後、細胞数を測定した(本発明区)。
試験結果:上記試験による細胞数の測定結果を表5に示す。
【0042】
【表5】
Figure 2004018444
【0043】
この結果、40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)からの光を上記の条件下で照射しても、光を無照射区と同様の細胞数であり、マウスメラノーマB−16細胞の増殖抑制作用は認められなかった。これに対して、本発明によって青色LEDを照射することにより(本発明区)では、顕著な増殖抑制作用を示した。
【0044】
実験例3
40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)照射と青色LED照射の作用効果をさらに比較するために、実験例3においてリボフラビンと共にトリプトファンを添加した細胞培養液を用いてマウスメラノーマB−16細胞の増殖抑制作用の比較試験を行った。その結果、40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)使用の場合、リボフラビン濃度38mg/Lにおいてトリプトファン濃度816mg/Lとして、180分間照射することによって漸くマウスメラノーマB−16細胞の増殖抑制作用が認められた。すなわち、40Wタングステンランプ(青色フィルタ付)使用の場合、細胞の増殖抑制のためには、高濃度のリボフラビン添加下でトリプトファンを共存させ、しかも長時間の照射時間を要した。
【0045】
【発明の効果】
上述のとおり、本発明方法によると、リボフラビンが比較的に低含量である製剤と青色発光ダイオードの照射という特定の組合せによって、効率的で安全性の高い方法で活性酸素を発生させることができる。よって、活性酸素の作用を利用する各種分野において、実用上の価値が高いといえる。

Claims (6)

  1. リボフラビンを0.3mg/kg以上含有する製剤に、ピーク発光波長470nmの青色発光ダイオードを用いて照射することを特徴とする活性酸素の発生方法。
  2. リボフラビンから活性酸素を発生させるために使用する装置であって、ピーク発光波長470nmの青色発光ダイオードを、リボフラビン含量0.3mg/kg以上の製剤に照射するための手段として具備することを特徴とする活性酸素の発生装置。
  3. 活性酸素をメラニン産生細胞抑制のために発生させる請求項2に記載の活性酸素の発生装置。
  4. 活性酸素を癌細胞抑制のために発生させる請求項2に記載の活性酸素の発生装置。
  5. 活性酸素を角膜融解抑制のために発生させる請求項2に記載の活性酸素の発生装置。
  6. 活性酸素を歯の漂白・歯茎の殺菌のために発生させる請求項2に記載の活性酸素の発生装置。
JP2002174555A 2002-06-14 2002-06-14 活性酸素の発生方法および発生装置 Withdrawn JP2004018444A (ja)

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