JP2004250621A - レーザー溶着用樹脂材料およびそれを用いた複合成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、寸法安定性、レーザー溶着性が均衡して優れたレーザー溶着用樹脂材料およびそれを用いた複合成形体を得ることにより、製品設計自由度を低下させることなく、金属に近い特性を有し、かつ、レーザー光線透過側成形体として適用することのできるレーザー溶着用樹脂材料の取得を課題とする。
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂および(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量%に対して(A)熱可塑性樹脂1〜70重量%および(B)レーザー光を透過するフィラー99〜30重量%を含有してなるレーザー溶着用樹脂材料。レーザー溶着工法の成形体に使用される。
【選択図】なし
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂および(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量%に対して(A)熱可塑性樹脂1〜70重量%および(B)レーザー光を透過するフィラー99〜30重量%を含有してなるレーザー溶着用樹脂材料。レーザー溶着工法の成形体に使用される。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、寸法安定性、レーザー溶着性が均衡して優れたレーザー溶着用樹脂材料およびそれを用いたレーザー溶着用成形品およびそれをレーザー溶着した複合成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デザインの多様化から、成形品の形状の自由度が要求されるようになってきた。しかし、従来、使用していた金属では成形品の自由度に限界がある。そこで、金属代替のため、フィラー強化熱可塑性樹脂で検討が行われている。例えば、熱伝導性、電磁波シールド性、高温時の寸法精度をはじめとする各用途で必要とされる特性が従来のフィラー強化熱可塑性樹脂では満足されず、限りなくフィラー単体に近い特性が要求されるようになってきた。しかし、射出成形品の成形効率は良いが、フィラーの多量添加により、その流動特性などに制限があり、あまり複雑なものは成形が困難である。
【0003】
従来から、製品形状の複雑化に伴う各パーツの接合においては、接着剤による接合、ボルトなどによる機械的接合などが行われてきた。しかしながら、接着剤ではその接着強度が、また、ボルトなどによる機械的接合では、費用、締結の手間、重量増が問題となっている。一方、レーザー溶着、熱板溶着などの外部加熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの摩擦熱溶着に関しては短時間で接合が可能であり、また、接着剤や金属部品を使用しないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染等の問題が発生しないことから、これらの方法による組立が増えてきている。
【0004】
外部加熱溶着のひとつであるレーザー溶着は、例えば、特許文献1に開示されているように重ね合わせた樹脂成形体にレーザー光を照射し、照射した一方を透過させてもう一方で吸収させ溶融、融着させる工法であり、三次元接合が可能、非接触加工、バリ発生が無いなどの利点を利用して、幅広い分野に広がりつつある工法である。
【0005】
当工法において、レーザー光線透過側成形体に適用する樹脂材料においては、レーザー光線を透過する特徴が必須となり、レーザ光線透過率の低い成形体をレーザー光線透過側成形体に用いた場合、レーザー光線入射表面で溶融、発煙するなどの不具合を生じる可能性が十分に考えられる。
【0006】
各種用途に金属代替を目指し、数多く使用されているポリフェニレンスルフィドおよび液晶性樹脂をはじめとする結晶性の熱可塑性樹脂においては、レーザー光線透過率が非常に低く、熱可塑性樹脂をレーザー光線透過側の成形品として用い、レーザー溶着工法を適用する際には、そのレーザー光線透過率の低さから厚み制限が非常に厳しく、接着強度が得られず、レーザー光線透過率の向上のために薄肉化による対応が必要となり、製品設計自由度が小さかった。
【0007】
特許文献2には、レーザー溶着工法においてポリブチレンテレフタレート系共重合体を用いることによる融点のコントロールによって、溶着条件幅を広くすると記載されているが、融点のコントロールだけでは、レーザー光線透過性の大きな向上は望めず、従って成形体の肉厚設計の自由度向上も望めず、また共重合しているために耐熱性が従来より低下し、また、フィラーの添加量が少ないために寸法安定性も十分とは言えないなどの問題がある。
【0008】
特許文献3には、ポリアミドに対し、フィラー強化により、レーザー光線透過率を保持しながら、耐熱性などの他の特性との均衡を試みており、確かにレーザー溶着性は満足するが、フィラーの添加量が少ないために金属との複合化を考慮した場合、寸法安定性が十分とは言えず、成形品の変形・割れなどの問題を生じる場合がある。
【0009】
一方、高充填化を行うことで寸法安定性を向上させる手法として特許文献4にその手法が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭60−214931号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開2001−26656号公報([0008]〜[0024]段落)
【特許文献3】
特開2002−348371号公報(第2頁、実施例)
【特許文献4】
国際公開第02/94529号パンフレット(第3頁、実施例)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、製品設計自由度を低下させることなく、金属に近い特性を有し、かつ、レーザー光線透過側成形体として適用することのできるレーザー溶着用樹脂材料を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0013】
すなわち本発明は、
(1)(A)熱可塑性樹脂および(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量%に対して(A)熱可塑性樹脂1〜30重量%および(B)レーザー光を透過するフィラー99〜70重量%を含有してなるレーザー溶着用樹脂材料、
(2)さらに25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)を、(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量部に対し0.1〜30重量部含有してなる上記(1)記載のレーザー溶着用樹脂材料、
(3)(A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィドおよび/または液晶性樹脂である上記(1)または(2)記載のレーザー溶着用樹脂材料、
(4)レーザー溶着用樹脂材料が、熱可塑性樹脂粉末、レーザー光を透過するフィラーおよび、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練してなる組成物の粉末から選択された一種以上を圧縮成形した錠剤である上記(1)〜(3)いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料、
(5)上記(1)〜(4)いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料からなるレーザー光線透過側成形体であって、レーザー光線による溶着部位のレーザー光線透過部の厚みが3mm以下であるレーザー溶着用成形品、
(6)上記(1)〜(4)いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料からなる成形品をレーザー溶着した複合成形体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0015】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、成形加工できる合成樹脂のことである。その具体例としては、例えば、非液晶性半芳香族ポリエステル、非液晶性全芳香族ポリエステルなどの非液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、液晶性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
【0016】
上記に非液晶性半芳香族ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0017】
また、ポリアミドの具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
【0018】
また、液晶性樹脂とは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドである。
【0019】
上記液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステルアミドのうち、好ましい構造の具体例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0020】
特に好ましいのは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0021】
【化1】
【0022】
(ただし式中のR1は
【0023】
【化2】
【0024】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0025】
【化3】
【0026】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0027】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0028】
【化4】
【0029】
であり、R2が
【0030】
【化5】
【0031】
であるものが特に好ましい。
【0032】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0033】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0034】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0035】
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0036】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0037】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0038】
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0039】
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0040】
本発明に使用する液晶性ポリエステルは、フィラーを高充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性がより優れた材料を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とすることが好ましい。
【0041】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0042】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0043】
上述した熱可塑性樹脂(A)のうち機械的性質、成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく用いることができる。
【0044】
本発明においては上記したなかでも液晶性樹脂および/またはポリフェニレンスルフィドを用いることが特に好ましい。
【0045】
本発明に用いるレーザー光を透過するフィラーとしては、レーザー溶着に用いることから、フィラー単体を、製造する成形品同様の厚みに固めた場合、それにレーザー光を通して受光した場合に光が観測されるものであり、形状としては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、シリカ(破砕状・球状)、石英、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、破砕状ガラス、クレー、二硫化モリブデン、酸化アルミ、酸化亜鉛、水酸化アルミなどの金属水酸化物、窒化アルミ、ポリリン酸カルシウム、金属酸化物などが挙げられる。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー、破砕状などから選択して用いることができる。本発明においては、上記レーザー光を透過するフィラーのうち、レーザー溶着性に必須である赤外光の透過性から、一般に透光性フィラーと呼ばれるものが好ましく、具体的には、Eガラス、Cガラス、Hガラス、透光性アルミナ、酸化亜鉛、透光性窒化アルミ、シリカ、天然石英ガラス、合成石英ガラス、水酸化アルミなどの金属水酸化物の繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状のものなどが挙げられる。
【0046】
また、透光性を損なわない範囲で機械強度、その他を向上させるためにレーザー光を透過しない繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、マイカ、タルク、カオリン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、金属水酸化物、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
【0047】
また、上記フィラーは機械強度と成形品そりのバランスを得るために2種以上を併用して使用することもでき、例えば、ガラス繊維とマイカあるいはガラスフレークとアルミナ、ガラス繊維とガラスビーズ、シリカと破砕状ガラス、ミルドファイバーと破砕状ガラス等が挙げられる。
【0048】
なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他のの表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0049】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとの配合量は、用いる充填剤の特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスのバランスの点から、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーの合計量100重量%に対し、通常、熱可塑性樹脂1〜30重量%、レーザー光を透過するフィラー99〜70重量%であり、熱可塑性樹脂1〜25重量%、レーザー光を透過するフィラー99〜75重量%が好ましく、熱可塑性樹脂2〜23重量%、レーザー光を透過するフィラー98〜77重量%であることがさらに好ましい。
【0050】
また、本発明には、レーザー溶着用材料を錠剤化して用いた場合の形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立を図るためにさらに25〜250℃の温度範囲で力学的に固体の状態から液体または気体に変化する物質(X)を添加することが可能である。
【0051】
本発明に使用される物質(X)とは、すなわち、25〜250℃の温度範囲の中で力学的に固体の状態から流動性に富む液体や気体の状態になる物質であるが、このような物質として、例えば、脂肪酸の一価アルコールエステル、脂肪酸金属塩、多塩基酸の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、エポキシ化合物、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンレジン、フェノール系化合物、ホスフェート系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アミド基含有化合物、シアヌレート化合物、リン酸エステルおよびその塩等で融点または軟化点が40〜250℃のものが挙げられる。
【0052】
具体的には、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ステアレート等のステアリン酸エステル、ミリスチン酸ミリスチルなどのミリスチン酸エステル、モンタン酸エステル、メタクリル酸ベヘニルなどのメタクリル酸エステルなどの脂肪酸の1価アルコールエステルおよびその誘導体、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、フタル酸ジステアリル、トリメリット酸ジステアリルなどの多塩基酸の脂肪酸エステル、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸・ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノ・ジグリセライド、ステアリン酸・オレイン酸・モノ・ジグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどのグリセリンの脂肪酸エステル、ビスフェノール型単官能および多官能エポキシ化合物、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスフェート、ジ(2,4−ジ−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、ビス−(2,6−ジ−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェートなどのホスフェート化合物、ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのホスファイト系化合物、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,2−チオ−ジエチレンビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テルペンフェノール、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンなどのフェノール系化合物、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、ステアリルエルカミドなどのアミド基含有化合物、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、メラミン/シアヌレート塩などのシアヌレート化合物およびその塩、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキソザリル(2))チオフェン、エポキシ基または、メタクリル基または、アミノ基含有あるいは未官能のシリコーンレジン、また、リン酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルなどのリン酸エステルから選ばれ、好ましくは、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【0053】
【化6】
【0054】
まず前記式(1)で表されるリン酸エステルの構造について説明する。前記式(1)の式中nは0以上の整数であり、好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。上限は分散性の点から40以下が好ましい。
【0055】
またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0056】
このようなリン酸エステルの具体例としては、大八化学社製PX−200、PX−201、PX−130、TPPから選ばれる1種または2種以上が使用することができ、中でも好ましくはPX−200、PX−201、TPPから選ばれる1種または2種以上、特に好ましくはPX−200が挙げられる。
【0057】
また、その他成分(X)として、分解発泡剤のように25℃以下で固体で、25〜250℃の温度範囲で気体に変化する物質も挙げられる。そのような物質として具体的には、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
【0058】
本発明において物質(X)として上記の物質のいずれか1種、または2種以上の混合物であってもよい。
【0059】
本発明に用いる物質(X)は、ハンドリング性、溶融可塑化特性の点から25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化することが必須であり、好ましくは、40〜230℃、より好ましくは、50〜220℃、さらに好ましくは、60〜200℃で固体から液体または気体に変化することが好ましい。
【0060】
本発明においては、錠剤を製造する際には物質(X)は固体で存在し、錠剤型材料を溶融成形する際には液体または気体に変化することができる。本発明においては、このような物質(X)を用いることにより、錠剤としての形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立が図れるものと推察される。
【0061】
上記物質(X)の添加量は、(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーの合計量100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜25重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは0.8〜15重量部である。なかでも1〜10重量部が、特に好ましい。
【0062】
物質(X)の添加量が本発明の範囲より多すぎる場合、得られた成形品表面にブリードアウトしてくると共に、それによって(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーとの界面の剥離を引き起こし、機械物性が低下する傾向にあり、少なすぎる場合、添加による成形時の圧壊による計量安定性付与効果が小さい。
【0063】
本発明におけるレーザー溶着用樹脂材料には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0064】
本発明において、錠剤とは、粉末状の原料を含む原料を固相状態で押し固めた粒状物をいうが、かかる錠剤は粉末状の原料を含む原料を固相状態で圧縮成形することにより得ることができる。なお、上記において固相状態とは、原料に含まれる熱可塑性樹脂成分が溶融していない状態であることを意味する。圧縮成形には、打錠機(ロータリー、単発式、2連式、3連式)あるいはブリケットマシンなどの圧縮ロールを有する成形機を用いることが好ましい。上記粉末状の原料としては、樹脂材料中に含有せしめるべき、熱可塑性樹脂の粉末(熱可塑性樹脂粉末)、レーザー光を透過するフィラーなどが挙げられるが、予め熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練して得られる組成物の粉末を用いることもでき、これらの一種以上を所望の組成となるよう適宜選択して用いることができる。
【0065】
本発明のレーザー溶着用樹脂材料の製造方法は、たとえば熱可塑性樹脂粉末およびレーザー光を透過するフィラーをバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することにより得ることができる。また、熱可塑性樹脂およびレーザー光を透過するフィラーとをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンドしないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機あるいはブリケットマシンにより錠剤(タブレット)化することも可能である。この場合、溶融混練に供する熱可塑性樹脂としては、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状でも特に制限はないが、レーザー光を透過するフィラーの分散不良による特性のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であることが好ましい。また、単軸もしくは2軸押出機を用いて、予め溶融混練した材料を粉末状とする場合、レーザー光を透過するフィラーの使用量が多いと、流動性が悪化するため、ダイからの押出ができずペレット化が困難になる場合があるが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出すことも可能である。レーザー光を透過するフィラーが多量である場合、フレーク状の材料が得られることもある。本発明においてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレットもしくはフレーク状の材料を必要により、冷却粉砕して粉末状とした後、錠剤化する。また、これらの方法を組み合わせて錠剤化することも可能である。すなわち、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーを溶融混練してなる材料と、熱可塑性樹脂および/又はレーザー光を透過するフィラーとを、所望の含有量となるよう調整し、錠剤化することも可能である。上記方法のうち、工程が簡素である点で、熱可塑性樹脂粉末およびレーザー光を透過するフィラーを固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機あるいはブリケットマシンにより錠剤(タブレット)化する方法が好ましい。
【0066】
上記熱可塑性樹脂粉末としては、通常、粉末状で入手できるものの他、ペレットを常温あるいは冷凍粉砕することによっても得ることができる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいは石臼型の粉砕機により行うことができる。本発明において用いる熱可塑性樹脂粉末としては、得られる錠剤間の組成の均一化および得られた錠剤のハンドリング性を良好にする点から、レーザー回折式粒度分布測定法に基づき測定した場合の粒子の最大長径の数平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。かかる粒径を有する粉末を得るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いてふるい分けすればよい。
【0067】
また、レーザー光を透過するフィラーについても溶融加工性、得られる成形品の表面外観等を考慮した場合、レーザー光を透過するフィラーのサイズは、JIS−K0069に基づく篩分け試験法に基づき測定した場合、1000μmに相当する篩を通過するものであることが好ましく、より好ましくは800μmに相当する篩を通過するもの、特に500μmに相当する篩を通過するものであることが好ましい。また、下限については、0.05μm以上であることが生産性、取り扱い性の点から、好ましい。
【0068】
かかるレーザー光を透過するフィラーは市販されているものから選択してもよいし、また、篩を用いて分級し、必要なサイズのものを取り出し使用することも可能である。
【0069】
さらに、必要特性によっては、異なった粒子径のものを2種以上併用しても良い。
【0070】
本発明において、必要に応じて配合し得る他の成分を配合する場合、その配合方法に特に制限はなく、予め(A)熱可塑性樹脂に溶融混練した熱可塑性樹脂組成物の粉末を熱可塑性樹脂粉末として用いてもよいし、(A)熱可塑性樹脂粉末および(B)レーザー光を透過するフィラーを固相状態で均一にブレンドする際に、かかる他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。また、予め熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練した組成物の粉末を用いる場合には、その溶融混練の際に他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。さらには錠剤のまわりに付着せしめることにより添加してもよい。
【0071】
本発明のレーザー溶着用樹脂材料の錠剤化形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。
【0072】
また、錠剤の錠剤サイズとしては、底面15mm直径以下×長さ20mm以下が好ましく、なかでも底面の直径または長さ(高さ)の最大値が15mm未満であることが好ましく、最小値が1mm以上であることが好ましい。なお、底面が円状でないものに関して、最大径、最小径の規定方法としては、外接円の最大直径で特定する場合、その最大直径が15mm未満、1mm以上であることが好ましく、更に好ましくは12mm以下、1.5mm以上であるのがよい。
【0073】
また、輸送時等の形状を安定に保つために、錠剤における打錠面の側面もしくは圧縮ロールでの圧縮面に対し、垂直に圧力をかけた時の圧縮破壊強度値(圧壊強度値)が、好ましくは5〜100N、より好ましくは15〜80Nである。好ましい圧壊強度値を得るための方法としては、例えば、例えば、原料組成によるところが最も大きく、上記物質(X)を添加することにより、あるいは錠剤化工程において、原料供給ポケットに均一に原料を供給する方法、圧縮ロールの回転数を下げ圧縮ロール上での材料への加圧時間を延ばす方法、ホッパー内にフィードスクリューを用い、そのスクリューによりロール圧縮前において効果的な脱気と予備圧縮する方法などにより、高い錠剤密度が得られ、高い圧壊強度が得られる。なお、圧壊強度値の測定は、ロードセルなどの歪ゲージの上に錠剤を置き、その上から圧子を低速(好ましくは0.1〜2.0mm/sec)で降下させ、錠剤の圧縮破壊時に歪ゲージが示す圧力を測定する方法を用い行うことができる。
【0074】
かかる方法を用いることにより、従来、成し得なかったレーザー溶着用樹脂材料を得ることが可能となる。
【0075】
かくして得られたレーザー溶着用樹脂材料は、射出あるいはプレスなどの溶融成形、なかでも射出成形方法(一般射出成形、射出圧縮成形、2色成形、サンドイッチ成形など、なかでも一般射出成形、射出圧縮成形が好ましい。)により、成形品を取得することが可能である。
【0076】
かくして得られる成形品は、レーザー溶着性を保持し、さらに耐熱性、寸法安定性を付与し、かつ溶融成形可能であることを生かし、レーザー溶着して用いられる成形品、好ましくはレーザー光線透過側成形体に用いられ、他の部材とレーザー溶着することにより、実用的な複合成形品を与えることができる。例えば、電気・電子用途、自動車用途、一般雑貨用途、建築部材等に有用であり、具体的には、パソコン、液晶プロジェクター、モバイル機器、携帯電話等の電子部品ケースおよびスイッチ類のモジュール品、リモコン内部接合部品、電装部品のモジュール品、エンジンルーム内のモジュール部品、インテークマニホールド、アンダーフード部品、ラジエター部品、インパネなどに用いるコックピットモジュール部品、あるいは筐体、その他情報通信分野において電磁波などの遮蔽性を必要とする設置アンテナなどの部品、あるいは建築部材で高寸法精度を必要とする用途、特に軽量化等で金属代替が熱望されている自動車部品用途、電気・電子部品用途等のレーザー溶着して用いられる成形品に有用であり、特にレーザー溶着強度の観点から、各種用途の樹脂成形体のレーザ溶着接合のレーザー光線透過側成形体でかつ、レーザ光線による溶着部位のレーザー透過部の溶着部位の厚みが3mm以下である成形体であっても良好な接着強度が得られ、特に2.5mm以下である場合に優れた接着強度が得られる。なお、実質的な成形品の強度および生産性を得るうえで下限厚みは0.1mmであることが好ましい。
【0077】
【実施例】
参考例1 熱可塑性樹脂
PPS(ポリフェニレンスルフィド樹脂):M3910(東レ社製)を、篩にて60メッシュパスのものを使用した。
【0078】
LCP(液晶性ポリエステル):p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧し、さらに約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなり、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した、324℃における溶融粘度15Pa・sであるペレットを得た。得られたペレットを液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて80メッシュパス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径150μmのものを得た。
【0079】
PA(ポリアミド樹脂):ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩900重量部、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩100重量部、純水300重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、1.96MPaで2時間制圧し、1時間で常圧まで戻し、さらに30分間窒素ブローを行い、最終到達温度を290℃として重合を行った結果、相対粘度(98%硫酸法)が2.25のペレットが得られた。得られたペレットを液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて80メッシュパス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径130μmのものを得た。
【0080】
なお、上記において数平均粒子径は島津社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
【0081】
参考例2 レーザー光を透過するフィラー
ガラス繊維(GF):EPDM70M10A(繊維状フィラー、日本電気硝子社製)Eガラス、ミルドファイバー、篩にて65メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均繊維長70μm
ガラスフレーク(GFL):REFG311(板状フィラー、SNGペトロテックス)Eガラス、篩にて65メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均粒径60μm
Hガラス破砕品(HF):試験粉砕品(不定形状フィラー、日本電気硝子社製、篩にて60メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均粒径150μm)
なお、平均粒径はIS−K0069に基づく篩分け試験法により測定した数平均である。
【0082】
参考例3 25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)(篩にて42メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均粒径150μm)
HWE:モンタン酸エステルワックス
リコワックス(クラリアントジャパン社製)融点78℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)
PX:“PX−200”(大八化学工業社製粉末状芳香族縮合リン酸エステル、CAS No. 139189−30−3)融点95℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)。
【0083】
実施例1〜9
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したレーザー光を透過するフィラーおよび参考例3に示した添加剤をヘンシェルミキサーで表1に示す量でブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂材料)(最大値7mm、最小値3mm)を得た。ついで100℃の真空乾燥機で8時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
【0084】
比較例1〜4
実施例と同様の処方で参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したレーザー光を透過するフィラーおよび参考例3に示した添加剤をヘンシェルミキサーで表1に示す量でブレンドし、3ホールストランドダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄鋼社製)にて表1に示す樹脂温で溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで100℃の真空乾燥機で8時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
【0085】
(1)圧壊強度測定
ロードセルの上に錠剤を打錠面を横にして置き、その上から圧縮面が16mmφの平面である圧子を0.4mm/secで降下させ、錠剤の圧縮破壊時にロードセルが示す圧力を測定した。なお、使用した圧壊強度測定器について以下に示す。
圧力印加部:リニアモーション(オリエンタルモーター社製)、6RK60RGK−AM、60W(モーター部)、6LF13−1A(リニアヘッド部)、MAX140kgf、降下速度0.8〜13.0mm/sec
ロードセル:LC4204−K300(A&D社製)、MAX300kgf
表示器:ASG−156A−42−17−1(アサヒ計器社製)、0.1〜300kgf、分解能1/3000
(2)耐熱性
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で12.7mm×127mm×3.2mm厚の試験片を作成し、ASTM D648に準拠し、1.82MPa荷重下の荷重たわみ温度を評価した。
【0086】
(3)線膨張率(寸法安定性)
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で成形した80mm×80mm×2mm厚の成形品の中央部から樹脂の流れ方向を長手方向とする長さ10mm×幅1mm×2mm厚の角柱成形品を切り出し、TMA(セイコー電子社製)を用い、30℃〜70℃(5℃/分)で測定した。
【0087】
(4)レーザー溶着強度評価
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で80mm×80mm×3mm厚のレーザー光線透過性評価試験片を作成し、さらに試験片を流れ方向を長手方向として、その中心部分を幅24mm×長さ70mm×3mm厚に切削加工し、下記透過用試料と吸収側試料の先端部分を重ね合わせ長さ(L)を30mmとした。ついで、レーザー溶着させる部分(レーザー溶着距離)は20mmとして、レーザー溶着を行い、引張破断強度を測定した。
【0088】
なお、溶着条件および溶着強度測定条件は以下の通りである。
【0089】
ライスター社のMODULAS Cを用い、レーザー溶着条件は、出力15〜35W範囲および、レーザ走査速度1〜50mm/secの範囲で最も良好な溶着強度が得られる条件で行った。尚、焦点距離は38mm、焦点径は0.6mm固定で実施した。また、溶着強度測定には一般的な引張試験器(AG−500B)を用い、該試験片の両端を固定し、溶着部位には引張剪断応力が発生するように引張試験を行った。強度測定時の引張速度は1mm/min、スパンは40mmである。溶着強度は溶着部位が破断したときの応力とした。尚、レーザ光線透過試料には本発明の熱可塑性樹脂材料を用い、レーザ光線吸収側試料へは、参考例1のPPS90重量部にエチレン/グリシジルメタクリレート=88/12重量%のオレフィン系共重合体10重量部、およびガラス繊維43重量部添加し、更にカーボンブラックを0.4部添加した材料を用いた。成形加工は、実施例1と同様な条件で行った。
【0090】
実施例10
成形品厚み1.5mmにした以外は実施例2と同様にして、レーザー溶着強度を測定した結果、42MPaとさらに良好であった。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
上述したように、本発明の熱可塑性樹脂材料は、従来得られなかったレーザー溶着接合性と耐熱性、寸法安定性が均衡して優れる成形体の取得が可能となり、この利点を活かして、電気・電子関連機器、精密機械関連機器、事務用機器、自動車・車両関連部品、建材、包装材、家具、日用雑貨などの各種用途の樹脂成形体のレーザー溶着接合に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、寸法安定性、レーザー溶着性が均衡して優れたレーザー溶着用樹脂材料およびそれを用いたレーザー溶着用成形品およびそれをレーザー溶着した複合成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デザインの多様化から、成形品の形状の自由度が要求されるようになってきた。しかし、従来、使用していた金属では成形品の自由度に限界がある。そこで、金属代替のため、フィラー強化熱可塑性樹脂で検討が行われている。例えば、熱伝導性、電磁波シールド性、高温時の寸法精度をはじめとする各用途で必要とされる特性が従来のフィラー強化熱可塑性樹脂では満足されず、限りなくフィラー単体に近い特性が要求されるようになってきた。しかし、射出成形品の成形効率は良いが、フィラーの多量添加により、その流動特性などに制限があり、あまり複雑なものは成形が困難である。
【0003】
従来から、製品形状の複雑化に伴う各パーツの接合においては、接着剤による接合、ボルトなどによる機械的接合などが行われてきた。しかしながら、接着剤ではその接着強度が、また、ボルトなどによる機械的接合では、費用、締結の手間、重量増が問題となっている。一方、レーザー溶着、熱板溶着などの外部加熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの摩擦熱溶着に関しては短時間で接合が可能であり、また、接着剤や金属部品を使用しないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染等の問題が発生しないことから、これらの方法による組立が増えてきている。
【0004】
外部加熱溶着のひとつであるレーザー溶着は、例えば、特許文献1に開示されているように重ね合わせた樹脂成形体にレーザー光を照射し、照射した一方を透過させてもう一方で吸収させ溶融、融着させる工法であり、三次元接合が可能、非接触加工、バリ発生が無いなどの利点を利用して、幅広い分野に広がりつつある工法である。
【0005】
当工法において、レーザー光線透過側成形体に適用する樹脂材料においては、レーザー光線を透過する特徴が必須となり、レーザ光線透過率の低い成形体をレーザー光線透過側成形体に用いた場合、レーザー光線入射表面で溶融、発煙するなどの不具合を生じる可能性が十分に考えられる。
【0006】
各種用途に金属代替を目指し、数多く使用されているポリフェニレンスルフィドおよび液晶性樹脂をはじめとする結晶性の熱可塑性樹脂においては、レーザー光線透過率が非常に低く、熱可塑性樹脂をレーザー光線透過側の成形品として用い、レーザー溶着工法を適用する際には、そのレーザー光線透過率の低さから厚み制限が非常に厳しく、接着強度が得られず、レーザー光線透過率の向上のために薄肉化による対応が必要となり、製品設計自由度が小さかった。
【0007】
特許文献2には、レーザー溶着工法においてポリブチレンテレフタレート系共重合体を用いることによる融点のコントロールによって、溶着条件幅を広くすると記載されているが、融点のコントロールだけでは、レーザー光線透過性の大きな向上は望めず、従って成形体の肉厚設計の自由度向上も望めず、また共重合しているために耐熱性が従来より低下し、また、フィラーの添加量が少ないために寸法安定性も十分とは言えないなどの問題がある。
【0008】
特許文献3には、ポリアミドに対し、フィラー強化により、レーザー光線透過率を保持しながら、耐熱性などの他の特性との均衡を試みており、確かにレーザー溶着性は満足するが、フィラーの添加量が少ないために金属との複合化を考慮した場合、寸法安定性が十分とは言えず、成形品の変形・割れなどの問題を生じる場合がある。
【0009】
一方、高充填化を行うことで寸法安定性を向上させる手法として特許文献4にその手法が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭60−214931号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開2001−26656号公報([0008]〜[0024]段落)
【特許文献3】
特開2002−348371号公報(第2頁、実施例)
【特許文献4】
国際公開第02/94529号パンフレット(第3頁、実施例)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、製品設計自由度を低下させることなく、金属に近い特性を有し、かつ、レーザー光線透過側成形体として適用することのできるレーザー溶着用樹脂材料を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0013】
すなわち本発明は、
(1)(A)熱可塑性樹脂および(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量%に対して(A)熱可塑性樹脂1〜30重量%および(B)レーザー光を透過するフィラー99〜70重量%を含有してなるレーザー溶着用樹脂材料、
(2)さらに25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)を、(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量部に対し0.1〜30重量部含有してなる上記(1)記載のレーザー溶着用樹脂材料、
(3)(A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィドおよび/または液晶性樹脂である上記(1)または(2)記載のレーザー溶着用樹脂材料、
(4)レーザー溶着用樹脂材料が、熱可塑性樹脂粉末、レーザー光を透過するフィラーおよび、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練してなる組成物の粉末から選択された一種以上を圧縮成形した錠剤である上記(1)〜(3)いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料、
(5)上記(1)〜(4)いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料からなるレーザー光線透過側成形体であって、レーザー光線による溶着部位のレーザー光線透過部の厚みが3mm以下であるレーザー溶着用成形品、
(6)上記(1)〜(4)いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料からなる成形品をレーザー溶着した複合成形体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0015】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、成形加工できる合成樹脂のことである。その具体例としては、例えば、非液晶性半芳香族ポリエステル、非液晶性全芳香族ポリエステルなどの非液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、液晶性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
【0016】
上記に非液晶性半芳香族ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0017】
また、ポリアミドの具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
【0018】
また、液晶性樹脂とは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドである。
【0019】
上記液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステルアミドのうち、好ましい構造の具体例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0020】
特に好ましいのは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0021】
【化1】
【0022】
(ただし式中のR1は
【0023】
【化2】
【0024】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0025】
【化3】
【0026】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0027】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0028】
【化4】
【0029】
であり、R2が
【0030】
【化5】
【0031】
であるものが特に好ましい。
【0032】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0033】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0034】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0035】
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0036】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0037】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0038】
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0039】
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0040】
本発明に使用する液晶性ポリエステルは、フィラーを高充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性がより優れた材料を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とすることが好ましい。
【0041】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0042】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0043】
上述した熱可塑性樹脂(A)のうち機械的性質、成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく用いることができる。
【0044】
本発明においては上記したなかでも液晶性樹脂および/またはポリフェニレンスルフィドを用いることが特に好ましい。
【0045】
本発明に用いるレーザー光を透過するフィラーとしては、レーザー溶着に用いることから、フィラー単体を、製造する成形品同様の厚みに固めた場合、それにレーザー光を通して受光した場合に光が観測されるものであり、形状としては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、シリカ(破砕状・球状)、石英、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、破砕状ガラス、クレー、二硫化モリブデン、酸化アルミ、酸化亜鉛、水酸化アルミなどの金属水酸化物、窒化アルミ、ポリリン酸カルシウム、金属酸化物などが挙げられる。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー、破砕状などから選択して用いることができる。本発明においては、上記レーザー光を透過するフィラーのうち、レーザー溶着性に必須である赤外光の透過性から、一般に透光性フィラーと呼ばれるものが好ましく、具体的には、Eガラス、Cガラス、Hガラス、透光性アルミナ、酸化亜鉛、透光性窒化アルミ、シリカ、天然石英ガラス、合成石英ガラス、水酸化アルミなどの金属水酸化物の繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状のものなどが挙げられる。
【0046】
また、透光性を損なわない範囲で機械強度、その他を向上させるためにレーザー光を透過しない繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、マイカ、タルク、カオリン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、金属水酸化物、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
【0047】
また、上記フィラーは機械強度と成形品そりのバランスを得るために2種以上を併用して使用することもでき、例えば、ガラス繊維とマイカあるいはガラスフレークとアルミナ、ガラス繊維とガラスビーズ、シリカと破砕状ガラス、ミルドファイバーと破砕状ガラス等が挙げられる。
【0048】
なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他のの表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0049】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとの配合量は、用いる充填剤の特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスのバランスの点から、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーの合計量100重量%に対し、通常、熱可塑性樹脂1〜30重量%、レーザー光を透過するフィラー99〜70重量%であり、熱可塑性樹脂1〜25重量%、レーザー光を透過するフィラー99〜75重量%が好ましく、熱可塑性樹脂2〜23重量%、レーザー光を透過するフィラー98〜77重量%であることがさらに好ましい。
【0050】
また、本発明には、レーザー溶着用材料を錠剤化して用いた場合の形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立を図るためにさらに25〜250℃の温度範囲で力学的に固体の状態から液体または気体に変化する物質(X)を添加することが可能である。
【0051】
本発明に使用される物質(X)とは、すなわち、25〜250℃の温度範囲の中で力学的に固体の状態から流動性に富む液体や気体の状態になる物質であるが、このような物質として、例えば、脂肪酸の一価アルコールエステル、脂肪酸金属塩、多塩基酸の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、エポキシ化合物、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンレジン、フェノール系化合物、ホスフェート系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アミド基含有化合物、シアヌレート化合物、リン酸エステルおよびその塩等で融点または軟化点が40〜250℃のものが挙げられる。
【0052】
具体的には、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ステアレート等のステアリン酸エステル、ミリスチン酸ミリスチルなどのミリスチン酸エステル、モンタン酸エステル、メタクリル酸ベヘニルなどのメタクリル酸エステルなどの脂肪酸の1価アルコールエステルおよびその誘導体、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、フタル酸ジステアリル、トリメリット酸ジステアリルなどの多塩基酸の脂肪酸エステル、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸・ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノ・ジグリセライド、ステアリン酸・オレイン酸・モノ・ジグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどのグリセリンの脂肪酸エステル、ビスフェノール型単官能および多官能エポキシ化合物、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスフェート、ジ(2,4−ジ−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、ビス−(2,6−ジ−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェートなどのホスフェート化合物、ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのホスファイト系化合物、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,2−チオ−ジエチレンビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テルペンフェノール、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンなどのフェノール系化合物、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、ステアリルエルカミドなどのアミド基含有化合物、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、メラミン/シアヌレート塩などのシアヌレート化合物およびその塩、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキソザリル(2))チオフェン、エポキシ基または、メタクリル基または、アミノ基含有あるいは未官能のシリコーンレジン、また、リン酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルなどのリン酸エステルから選ばれ、好ましくは、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【0053】
【化6】
【0054】
まず前記式(1)で表されるリン酸エステルの構造について説明する。前記式(1)の式中nは0以上の整数であり、好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。上限は分散性の点から40以下が好ましい。
【0055】
またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0056】
このようなリン酸エステルの具体例としては、大八化学社製PX−200、PX−201、PX−130、TPPから選ばれる1種または2種以上が使用することができ、中でも好ましくはPX−200、PX−201、TPPから選ばれる1種または2種以上、特に好ましくはPX−200が挙げられる。
【0057】
また、その他成分(X)として、分解発泡剤のように25℃以下で固体で、25〜250℃の温度範囲で気体に変化する物質も挙げられる。そのような物質として具体的には、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
【0058】
本発明において物質(X)として上記の物質のいずれか1種、または2種以上の混合物であってもよい。
【0059】
本発明に用いる物質(X)は、ハンドリング性、溶融可塑化特性の点から25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化することが必須であり、好ましくは、40〜230℃、より好ましくは、50〜220℃、さらに好ましくは、60〜200℃で固体から液体または気体に変化することが好ましい。
【0060】
本発明においては、錠剤を製造する際には物質(X)は固体で存在し、錠剤型材料を溶融成形する際には液体または気体に変化することができる。本発明においては、このような物質(X)を用いることにより、錠剤としての形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立が図れるものと推察される。
【0061】
上記物質(X)の添加量は、(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーの合計量100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜25重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは0.8〜15重量部である。なかでも1〜10重量部が、特に好ましい。
【0062】
物質(X)の添加量が本発明の範囲より多すぎる場合、得られた成形品表面にブリードアウトしてくると共に、それによって(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーとの界面の剥離を引き起こし、機械物性が低下する傾向にあり、少なすぎる場合、添加による成形時の圧壊による計量安定性付与効果が小さい。
【0063】
本発明におけるレーザー溶着用樹脂材料には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0064】
本発明において、錠剤とは、粉末状の原料を含む原料を固相状態で押し固めた粒状物をいうが、かかる錠剤は粉末状の原料を含む原料を固相状態で圧縮成形することにより得ることができる。なお、上記において固相状態とは、原料に含まれる熱可塑性樹脂成分が溶融していない状態であることを意味する。圧縮成形には、打錠機(ロータリー、単発式、2連式、3連式)あるいはブリケットマシンなどの圧縮ロールを有する成形機を用いることが好ましい。上記粉末状の原料としては、樹脂材料中に含有せしめるべき、熱可塑性樹脂の粉末(熱可塑性樹脂粉末)、レーザー光を透過するフィラーなどが挙げられるが、予め熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練して得られる組成物の粉末を用いることもでき、これらの一種以上を所望の組成となるよう適宜選択して用いることができる。
【0065】
本発明のレーザー溶着用樹脂材料の製造方法は、たとえば熱可塑性樹脂粉末およびレーザー光を透過するフィラーをバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することにより得ることができる。また、熱可塑性樹脂およびレーザー光を透過するフィラーとをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンドしないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機あるいはブリケットマシンにより錠剤(タブレット)化することも可能である。この場合、溶融混練に供する熱可塑性樹脂としては、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状でも特に制限はないが、レーザー光を透過するフィラーの分散不良による特性のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であることが好ましい。また、単軸もしくは2軸押出機を用いて、予め溶融混練した材料を粉末状とする場合、レーザー光を透過するフィラーの使用量が多いと、流動性が悪化するため、ダイからの押出ができずペレット化が困難になる場合があるが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出すことも可能である。レーザー光を透過するフィラーが多量である場合、フレーク状の材料が得られることもある。本発明においてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレットもしくはフレーク状の材料を必要により、冷却粉砕して粉末状とした後、錠剤化する。また、これらの方法を組み合わせて錠剤化することも可能である。すなわち、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーを溶融混練してなる材料と、熱可塑性樹脂および/又はレーザー光を透過するフィラーとを、所望の含有量となるよう調整し、錠剤化することも可能である。上記方法のうち、工程が簡素である点で、熱可塑性樹脂粉末およびレーザー光を透過するフィラーを固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機あるいはブリケットマシンにより錠剤(タブレット)化する方法が好ましい。
【0066】
上記熱可塑性樹脂粉末としては、通常、粉末状で入手できるものの他、ペレットを常温あるいは冷凍粉砕することによっても得ることができる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいは石臼型の粉砕機により行うことができる。本発明において用いる熱可塑性樹脂粉末としては、得られる錠剤間の組成の均一化および得られた錠剤のハンドリング性を良好にする点から、レーザー回折式粒度分布測定法に基づき測定した場合の粒子の最大長径の数平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。かかる粒径を有する粉末を得るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いてふるい分けすればよい。
【0067】
また、レーザー光を透過するフィラーについても溶融加工性、得られる成形品の表面外観等を考慮した場合、レーザー光を透過するフィラーのサイズは、JIS−K0069に基づく篩分け試験法に基づき測定した場合、1000μmに相当する篩を通過するものであることが好ましく、より好ましくは800μmに相当する篩を通過するもの、特に500μmに相当する篩を通過するものであることが好ましい。また、下限については、0.05μm以上であることが生産性、取り扱い性の点から、好ましい。
【0068】
かかるレーザー光を透過するフィラーは市販されているものから選択してもよいし、また、篩を用いて分級し、必要なサイズのものを取り出し使用することも可能である。
【0069】
さらに、必要特性によっては、異なった粒子径のものを2種以上併用しても良い。
【0070】
本発明において、必要に応じて配合し得る他の成分を配合する場合、その配合方法に特に制限はなく、予め(A)熱可塑性樹脂に溶融混練した熱可塑性樹脂組成物の粉末を熱可塑性樹脂粉末として用いてもよいし、(A)熱可塑性樹脂粉末および(B)レーザー光を透過するフィラーを固相状態で均一にブレンドする際に、かかる他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。また、予め熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練した組成物の粉末を用いる場合には、その溶融混練の際に他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。さらには錠剤のまわりに付着せしめることにより添加してもよい。
【0071】
本発明のレーザー溶着用樹脂材料の錠剤化形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。
【0072】
また、錠剤の錠剤サイズとしては、底面15mm直径以下×長さ20mm以下が好ましく、なかでも底面の直径または長さ(高さ)の最大値が15mm未満であることが好ましく、最小値が1mm以上であることが好ましい。なお、底面が円状でないものに関して、最大径、最小径の規定方法としては、外接円の最大直径で特定する場合、その最大直径が15mm未満、1mm以上であることが好ましく、更に好ましくは12mm以下、1.5mm以上であるのがよい。
【0073】
また、輸送時等の形状を安定に保つために、錠剤における打錠面の側面もしくは圧縮ロールでの圧縮面に対し、垂直に圧力をかけた時の圧縮破壊強度値(圧壊強度値)が、好ましくは5〜100N、より好ましくは15〜80Nである。好ましい圧壊強度値を得るための方法としては、例えば、例えば、原料組成によるところが最も大きく、上記物質(X)を添加することにより、あるいは錠剤化工程において、原料供給ポケットに均一に原料を供給する方法、圧縮ロールの回転数を下げ圧縮ロール上での材料への加圧時間を延ばす方法、ホッパー内にフィードスクリューを用い、そのスクリューによりロール圧縮前において効果的な脱気と予備圧縮する方法などにより、高い錠剤密度が得られ、高い圧壊強度が得られる。なお、圧壊強度値の測定は、ロードセルなどの歪ゲージの上に錠剤を置き、その上から圧子を低速(好ましくは0.1〜2.0mm/sec)で降下させ、錠剤の圧縮破壊時に歪ゲージが示す圧力を測定する方法を用い行うことができる。
【0074】
かかる方法を用いることにより、従来、成し得なかったレーザー溶着用樹脂材料を得ることが可能となる。
【0075】
かくして得られたレーザー溶着用樹脂材料は、射出あるいはプレスなどの溶融成形、なかでも射出成形方法(一般射出成形、射出圧縮成形、2色成形、サンドイッチ成形など、なかでも一般射出成形、射出圧縮成形が好ましい。)により、成形品を取得することが可能である。
【0076】
かくして得られる成形品は、レーザー溶着性を保持し、さらに耐熱性、寸法安定性を付与し、かつ溶融成形可能であることを生かし、レーザー溶着して用いられる成形品、好ましくはレーザー光線透過側成形体に用いられ、他の部材とレーザー溶着することにより、実用的な複合成形品を与えることができる。例えば、電気・電子用途、自動車用途、一般雑貨用途、建築部材等に有用であり、具体的には、パソコン、液晶プロジェクター、モバイル機器、携帯電話等の電子部品ケースおよびスイッチ類のモジュール品、リモコン内部接合部品、電装部品のモジュール品、エンジンルーム内のモジュール部品、インテークマニホールド、アンダーフード部品、ラジエター部品、インパネなどに用いるコックピットモジュール部品、あるいは筐体、その他情報通信分野において電磁波などの遮蔽性を必要とする設置アンテナなどの部品、あるいは建築部材で高寸法精度を必要とする用途、特に軽量化等で金属代替が熱望されている自動車部品用途、電気・電子部品用途等のレーザー溶着して用いられる成形品に有用であり、特にレーザー溶着強度の観点から、各種用途の樹脂成形体のレーザ溶着接合のレーザー光線透過側成形体でかつ、レーザ光線による溶着部位のレーザー透過部の溶着部位の厚みが3mm以下である成形体であっても良好な接着強度が得られ、特に2.5mm以下である場合に優れた接着強度が得られる。なお、実質的な成形品の強度および生産性を得るうえで下限厚みは0.1mmであることが好ましい。
【0077】
【実施例】
参考例1 熱可塑性樹脂
PPS(ポリフェニレンスルフィド樹脂):M3910(東レ社製)を、篩にて60メッシュパスのものを使用した。
【0078】
LCP(液晶性ポリエステル):p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧し、さらに約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなり、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した、324℃における溶融粘度15Pa・sであるペレットを得た。得られたペレットを液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて80メッシュパス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径150μmのものを得た。
【0079】
PA(ポリアミド樹脂):ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩900重量部、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩100重量部、純水300重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、1.96MPaで2時間制圧し、1時間で常圧まで戻し、さらに30分間窒素ブローを行い、最終到達温度を290℃として重合を行った結果、相対粘度(98%硫酸法)が2.25のペレットが得られた。得られたペレットを液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて80メッシュパス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径130μmのものを得た。
【0080】
なお、上記において数平均粒子径は島津社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
【0081】
参考例2 レーザー光を透過するフィラー
ガラス繊維(GF):EPDM70M10A(繊維状フィラー、日本電気硝子社製)Eガラス、ミルドファイバー、篩にて65メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均繊維長70μm
ガラスフレーク(GFL):REFG311(板状フィラー、SNGペトロテックス)Eガラス、篩にて65メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均粒径60μm
Hガラス破砕品(HF):試験粉砕品(不定形状フィラー、日本電気硝子社製、篩にて60メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均粒径150μm)
なお、平均粒径はIS−K0069に基づく篩分け試験法により測定した数平均である。
【0082】
参考例3 25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)(篩にて42メッシュパス、400メッシュオンしたものを使用:平均粒径150μm)
HWE:モンタン酸エステルワックス
リコワックス(クラリアントジャパン社製)融点78℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)
PX:“PX−200”(大八化学工業社製粉末状芳香族縮合リン酸エステル、CAS No. 139189−30−3)融点95℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)。
【0083】
実施例1〜9
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したレーザー光を透過するフィラーおよび参考例3に示した添加剤をヘンシェルミキサーで表1に示す量でブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂材料)(最大値7mm、最小値3mm)を得た。ついで100℃の真空乾燥機で8時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
【0084】
比較例1〜4
実施例と同様の処方で参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したレーザー光を透過するフィラーおよび参考例3に示した添加剤をヘンシェルミキサーで表1に示す量でブレンドし、3ホールストランドダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄鋼社製)にて表1に示す樹脂温で溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで100℃の真空乾燥機で8時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
【0085】
(1)圧壊強度測定
ロードセルの上に錠剤を打錠面を横にして置き、その上から圧縮面が16mmφの平面である圧子を0.4mm/secで降下させ、錠剤の圧縮破壊時にロードセルが示す圧力を測定した。なお、使用した圧壊強度測定器について以下に示す。
圧力印加部:リニアモーション(オリエンタルモーター社製)、6RK60RGK−AM、60W(モーター部)、6LF13−1A(リニアヘッド部)、MAX140kgf、降下速度0.8〜13.0mm/sec
ロードセル:LC4204−K300(A&D社製)、MAX300kgf
表示器:ASG−156A−42−17−1(アサヒ計器社製)、0.1〜300kgf、分解能1/3000
(2)耐熱性
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で12.7mm×127mm×3.2mm厚の試験片を作成し、ASTM D648に準拠し、1.82MPa荷重下の荷重たわみ温度を評価した。
【0086】
(3)線膨張率(寸法安定性)
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で成形した80mm×80mm×2mm厚の成形品の中央部から樹脂の流れ方向を長手方向とする長さ10mm×幅1mm×2mm厚の角柱成形品を切り出し、TMA(セイコー電子社製)を用い、30℃〜70℃(5℃/分)で測定した。
【0087】
(4)レーザー溶着強度評価
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で80mm×80mm×3mm厚のレーザー光線透過性評価試験片を作成し、さらに試験片を流れ方向を長手方向として、その中心部分を幅24mm×長さ70mm×3mm厚に切削加工し、下記透過用試料と吸収側試料の先端部分を重ね合わせ長さ(L)を30mmとした。ついで、レーザー溶着させる部分(レーザー溶着距離)は20mmとして、レーザー溶着を行い、引張破断強度を測定した。
【0088】
なお、溶着条件および溶着強度測定条件は以下の通りである。
【0089】
ライスター社のMODULAS Cを用い、レーザー溶着条件は、出力15〜35W範囲および、レーザ走査速度1〜50mm/secの範囲で最も良好な溶着強度が得られる条件で行った。尚、焦点距離は38mm、焦点径は0.6mm固定で実施した。また、溶着強度測定には一般的な引張試験器(AG−500B)を用い、該試験片の両端を固定し、溶着部位には引張剪断応力が発生するように引張試験を行った。強度測定時の引張速度は1mm/min、スパンは40mmである。溶着強度は溶着部位が破断したときの応力とした。尚、レーザ光線透過試料には本発明の熱可塑性樹脂材料を用い、レーザ光線吸収側試料へは、参考例1のPPS90重量部にエチレン/グリシジルメタクリレート=88/12重量%のオレフィン系共重合体10重量部、およびガラス繊維43重量部添加し、更にカーボンブラックを0.4部添加した材料を用いた。成形加工は、実施例1と同様な条件で行った。
【0090】
実施例10
成形品厚み1.5mmにした以外は実施例2と同様にして、レーザー溶着強度を測定した結果、42MPaとさらに良好であった。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
上述したように、本発明の熱可塑性樹脂材料は、従来得られなかったレーザー溶着接合性と耐熱性、寸法安定性が均衡して優れる成形体の取得が可能となり、この利点を活かして、電気・電子関連機器、精密機械関連機器、事務用機器、自動車・車両関連部品、建材、包装材、家具、日用雑貨などの各種用途の樹脂成形体のレーザー溶着接合に有用である。
Claims (6)
- (A)熱可塑性樹脂および(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量%に対して(A)熱可塑性樹脂1〜30重量%および(B)レーザー光を透過するフィラー99〜70重量%を含有してなるレーザー溶着用樹脂材料。
- さらに25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)を、(A)熱可塑性樹脂と(B)レーザー光を透過するフィラーの合計100重量部に対し0.1〜30重量部含有してなる請求項1記載のレーザー溶着用樹脂材料。
- (A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィドおよび/または液晶性樹脂である請求項1または2記載のレーザー溶着用樹脂材料。
- レーザー溶着用樹脂材料が、熱可塑性樹脂粉末、レーザー光を透過するフィラーおよび、熱可塑性樹脂とレーザー光を透過するフィラーとを溶融混練してなる組成物の粉末から選択された一種以上を圧縮成形した錠剤である請求項1〜3いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料。
- 請求項1〜4いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料からなるレーザー光線透過側成形体であって、レーザー光線による溶着部位のレーザー光線透過部の厚みが3mm以下であるレーザー溶着用成形品。
- 請求項1〜4いずれか記載のレーザー溶着用樹脂材料からなる成形品をレーザー溶着した複合成形体。
Priority Applications (1)
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