JP2004249852A - 自動2輪車のカウル構造 - Google Patents

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Abstract

【目的】排気管にフロントカウルを接近させて十分な最大バンク角度及び最低地上高を確保する。
【構成】排気管16がエンジン6の前面から前方へ延出し、エンジン6の下方を通って後方へ延び、リヤスイングアーム24の左右外側方を横切って斜め上がりに延びてマフラー17に接続する。このエンジン6及び排気管16を覆うフロントカウル35の下部カウル44はエンジン6の下部と排気管16を覆い、その後部は別体の金属製部分47をなす。金属製部分47は金属製であり、下部カウル44を含む他の部分は樹脂製にする。金属製部分47は排気管16が高温であるにもかかわらず近接配置でき、十分な最大バンク角度を確保する。また十分な最低地上高も確保する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車のカウル構造に係り、特に排気管へ近接配置できるようにして最大バンク角度を大きくできるか最低地上高を十分な高さにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
排気管をエンジンの前方へ配設する形式の自動2輪車において、エンジン及び排気管を樹脂製のカウルで覆うことが周知である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平4−93717号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カウルは一般に樹脂製のものが使用されているが、排気管は比較的高温になるためこれを覆う樹脂製のカウルはあまり排気管へ接近させることができず、その結果、排気管の周囲部分は側方へ大きく張り出すことになり、これが最大バンク角度を大きくしたり、最低地上高が低くならざるを得なくなる場合がある。そこで本願発明は、排気管を覆うカウルによって十分な最大バンク角度や最低地上高の確保を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る請求項1は、前後輪間に配置されるエンジンと、このエンジンから車体下部を通って車体後方へ延出する排気管と、これらエンジンと排気管を全体として覆うカウルとを備えた自動2輪車において、前記カウルのうち、前記排気管の最大バンク角度近傍まで張り出す部分又は最低地上高近傍まで下がった部分を覆うもののみを金属製とし、他の部分を樹脂製としたことを特徴とする。
【0006】
請求項2は、上記請求項1において、前記金属製部分と前記樹脂製部分の隣接部表面が略面一であることを特徴とする。
【0007】
請求項3は、上記請求項1において、前記金属製部分の内側にリヤスイングアームの左右外側方を斜めに横切るべく左右に分離した複数の前記排気管が配置されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
請求項1によれば、排気管を覆うカウルの一部で車体の最大バンク角度近傍部分へ張り出す部分又は最低地上高近傍高さまで下がっている部分を覆うものを金属製としたので、高温となる排気管に接近させることができ、その結果、カウルの外方に対する張り出しを抑え、十分に大きな最大バンク角度の確保を可能とする。また下方への張り出しも少なくすることができるから、最低地上高に関与する部分であれば、最低地上高もより高くすることができる。
また、カウルのうち金属製以外の部分を樹脂製としたので、カウル全体としては軽量・安価にできる。
【0009】
請求項2によれば、金属製部分と樹脂製部分の隣接部表面を略面一にしたので、空気の整流効果を得られるだけでなく、外観上カウルとしての一体感を維持でき、外観性を向上できる。
【0010】
請求項3によれば、金属製部分の内側に収容した排気管が左右に分離しているが、このような場合でも、金属製部分を各排気管に接近させて最大バンク角度を確保することができる。したがって、リヤスイングアームの左右外側方を横切って通る排気管を左右に分離して収容する場合でも、外側方への張り出しを可及的に少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施形態を説明する。図1は本形態に係る自動2輪車の側面図、図2はフロントカウル後端部分の側面図、図3は最大バンク角度を示す図、図4は図2の4−4線断面図、図6はフロントカウル後端部の平面図である。
【0012】
図1及び図2において、1は前輪、2はフロントフォーク、3はヘッドパイプ、4はハンドル、5はメインフレームである。メインフレーム5は軽合金製の縦長角筒状をなし、ヘッドパイプから左右へ枝分かれして斜め下がりに後方へ延びている。
【0013】
メインフレーム5の下方には、直列4気筒のエンジン6が支持される。支持
点はメインフレーム5の中間部とシリンダ上部の連結する点7及びメインフレーム5の後端とエンジン6のミッションケース8の後端上部との連結点9の2点である。
【0014】
エンジン6の吸気ポート10には、メインフレーム5に支持されたエアクリーナ11からダウンドラフトで吸気される。12はインジェクタである。エアクリーナ11は燃料タンク13の前部底面側に上方へ凸に形成された凹部内に収容されている。
【0015】
排気ポート15からは排気管16が前方へ延出し、エンジン6の下方を通って後方へ延び、左右一対のマフラー17へ接続している。左右のマフラー17は後輪18の両側に配設される。19はエンジン6の前方に配置されたラジエタである。
【0016】
メインフレーム5の後端部からは斜め上がり後方へ左右一対のシートレール20が設けられ、その周囲を囲んでリヤカウル21が設けられ、その上にシート22が設けられる。
【0017】
ミッションケース8の後端上下方向中間部にはピボット軸23によりリヤスイングアーム24の前端部を上下方向へ揺動自在に支持している。リヤスイングアーム24の後端には後輪18が支持される。
【0018】
符号25はリヤクッション、26はステップブラケット、27は折りたたみ自在に設けられたメインステップ、28はシートレール20側から車体の左右両側に下方へ延出して設けられるピニオンステップホルダ、29はその下端に設けられるピニオンステップであり、ピニオンステップホルダ28の下端はマフラー17を支持している。符号30はサイドスタンド、31はメインスタンド、32は出力スプロケット、33はチェーン、34は従動スプロケットである。さらに、車体の前面から左右両側面までをフロントカウル35で覆っている。
【0019】
図1及び図5に示すように、フロントカウルは前面先端にヘッドライト等の灯火容器36が設けられ、その近傍で若干後方側へ下がった位置左右にダクト37が斜め前方下向きに開口する。ダクト37の開口はフロントフェンダ38の先端方を指向する。ダクト37はフロントカウル35の内側を斜め上がり後方に延びてエアクリーナ11内へ開口する。
【0020】
フロントカウル35の左右側面でラジエタ19近傍かつ後ろ側に排風ダクト39が開口する。また、フロントカウル35上部には、側面視でヘッドパイプ3の前方からエアクリーナ11の側方を燃料タンク13とメインフレーム5との境界部近傍に沿って覆う上部延長部40が設けられ、その中間部は燃料タンク13の前面から上面中央部までを覆う上方張り出し部41をなしている。上部延長部40の後端部はフロントカウル35の本体部分と別れてメインフレーム5の上面に沿って後方へ延出する後方延出部42になっている。
【0021】
フロントカウル35の側面は、クランク部穴43の部分で斜め上下方向に分割され、下部カウル44はエンジンの下部側面及び底面並びに排気管16を覆う。下部カウル44の底部中央には切り欠き部45が形成され、ここから排気管16の集合部46の一部が外部下方へ出ている。
【0022】
集合部46は4本の排気管16を左右2本に集合する部分であり、エンジンの最低部と同程度の高さであり、ここから後方へは左右2本となって配管される。下部カウル44のうち、集合部46部分の後方は金属製部分47をなす。金属製部分47は集合部46より後方かつメインスタンド31の軸着部近傍部分までの左右の排気管16を覆う部材である。
【0023】
図2及び図5に示すように、金属製部分47は側面前部が下方に湾曲するサイドスタンド30の逃げ凹部48が形成され、中央部は最も上方へ張り出してメインスタンド31の回動軸49及びその近傍となる基部側部分を覆う。メインスタンド31は先端側から枝分かれするペダル部50から回動軸49部分までが金属製部分47の内側で起倒自在に回動する。金属製部分47の後部側からは斜め上方かつ後方へ向かって排気管16が延出し、その上方にステップブラケット26及びメインステップ27が位置する。
【0024】
図3は車体後方から金属製部分47部分における最大バンク角度の関係を示す図である。排気管16は車体左右に分離配置され、最大バンク角度αに沿うように斜めに配置されている。この場合、最大バンク角度αはピニオンステップ29の先端及び排気管16の一部となっている。
【0025】
但し車体左側ではメインスタンド31の収納状態における一部が最大バンク角度γをなす。αとγは若干相違することがある。収納状態のサイドスタンド30も最大バンク角度γの近傍となる。
車体の左右とも、メインステップ27の先端に設けられるタッチピン51の先端がαより若干小さいバンク角βをなすが、メインステップ27は収納自在であり、最大バンク角度αを制約しない。
【0026】
最大バンク角度α及びγ上に沿って金属製部分47が配置され、排気管16の最大バンク角度α近傍となる部分の外方を覆っている。すなわち、図4にも明らかなように、金属製部分47は最大バンク角度α及びγの近傍となる位置に設けられている。図4中の線L1〜L3は各種のバンク角を示す線であり、L1は最大バンク角度γに相当し、この線L1に沿いかつこのL1の線上よりも若干バンク角が大きくなる方向へずれるように金属製部分47が配置されている。
【0027】
図5に示すように、フロントカウル35は金属製部分47のみを金属製とし、下部カウル44を含む他の部分は樹脂製となっている。材料樹脂はポリカーボネートなど公知の適宜樹脂を使用できる。金属製部分47はアルミ合金など適宜な金属材料を使用できる。
【0028】
図2に示すように、金属製部分47の前端部と下部カウル44の後端部は、間隙52を介して隣接し、その隣接部外表面は図中の拡大断面に示すように略面一をなし、外観上フロントカウル35としての一体感を出している。すなわちフロントカウル35は、別体の金属製部分47を含む全体が一つのカウルをなしてエンジン6や排気管16を覆う。
【0029】
金属製部分47の前方下端部からは排気管16の1本に集合した部分が下方へ出ており、側面視ではその一部上半側を覆っている。このため図6に示すように、底部53の中央部には前方側へ開放された切り欠き部54が形成され、ここから排気管16が下方へ延出している。また本図により明らかなように、金属製部分47は左右対称ではなく間隙52等が左右で食い違っている。
【0030】
金属製部分47の後半部内には、2本に集合された排気管16が左右へ並んで通される。この集合排気管16はそれぞれ、金属製部分47の前部までは最低部近傍に位置するが、金属製部分47の後半部側からはそれぞれ左右へ大きく別れてリヤスイングアーム24の左右側面外方を斜めに横切って斜め上がりに延びる。金属製部分47は横並をなす2本の排気管16を配管できるように比較的幅広になっている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。まず、排気管16を覆うフロントカウル18の一部である側面最後部を別体の金属製部分47とした。この部分は排気管16が、車体の最大バンク角度α及びγとなる部分近傍へ張り出す部分であり、ここを覆うものが金属製のため、高温となる排気管16に接近させることができる。
【0032】
その結果、金属製部分47は最大バンク角を減少させる方向である外方への張り出しを抑えるので、樹脂製のカウルの場合と比べて十分に大きな最大バンク角度の確保を可能とする。また、カウルのうち金属製以外の部分を樹脂製としたので、カウル全体としては軽量・安価にできる。
【0033】
さらに、金属製部分47と樹脂製部分である下部カウル44の後端部との隣接部表面を略面一にしたので、空気の整流効果を得られるだけでなく、外観上フロントカウル18としての一体感を維持でき、外観性を向上できる。
【0034】
また、金属製部分47の内側に収容した排気管16が左右に分離配置されているため、バンク角を小さくする傾向にあるが、このような場合でも、金属製部分47を各排気管16に接近させるため、最大バンク角度を確保することができる。したがって、リヤスイングアーム24の左右外側方を横切って通る排気管16を左右に分離して収容する場合でも、外側方への張り出しを可及的に少なくすることができる。
【0035】
なお、本願発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、フロントカウル35に限定されず、側面のみを覆うサイドカウルのようなものでもよい。また、最低地上高近傍高さまで下がっている部分を覆う対象としてもよい。このようにしても、排気管への近接配置によって下方への張り出しを少なくすることができるから、覆う相手が最低地上高に関与する部分であれば、最低地上高をより高くすることができる。そのうえ、カウルの一部のみを金属製とすることにより、カウル全体を金属製としたものと比較して、軽量・安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本形態に係る自動2輪車の側面図
【図2】フロントカウル後端部分の側面図
【図3】最大バンク角度を示す図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】フロントカウルの側面図
【図6】同上平面図
【符号の説明】
16:排気管、17:マフラー、24:リヤスイングアーム、26:ステップブラケット、27:メインステップ、28:ピニオンステップホルダ、29:ピニオンステップ、31:メインスタンド、35:フロントカウル、47:金属製部分

Claims (3)

  1. 前後輪間に配置されるエンジンと、このエンジンから車体下部を通って車体後方へ延出する排気管と、これらエンジンと排気管を全体として覆うカウルとを備えた自動2輪車において、
    前記カウルのうち、前記排気管の最大バンク角度近傍まで張り出す部分又は最低地上高近傍まで下がった部分を覆うもののみを金属製とし、他の部分を樹脂製としたことを特徴とする自動2輪車のカウル構造。
  2. 前記金属製部分と前記樹脂製部分の隣接部表面が略面一であることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車のカウル構造。
  3. 前記金属製部分の内側にリヤスイングアームの左右外側方を斜めに横切るべく左右に分離した複数の前記排気管が配置されていることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車のカウル構造。
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