JP2004248332A - スピンドルモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】抜け止め構造が設けられているモータの組立後、何らかの理由でステータとロータを分離する必要がある場合、ロータやモータ本体を破損することなく分離可能とする。
【解決手段】ロータは、回転軸に固定されるロータヨークと、そのロータヨークに設けられたディスク位置決め部およびディスク載置部が設けられ、さらに前記ロータヨークに開孔された挿通孔から、ディスク位置決め部、ディスク載置部と一体かあるいは別体の、ステータ側へ延びるフックが設けられる。そのフックの先端に形成された係合爪とステータに形成された係止部とが非接触に係合するようにし、前記挿通孔により外方からフックを弾性変形させるよう操作可能に構成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばディスクメディアの駆動に用いられるスピンドルモータの構造に関し、特にロータをステータに対し抜けないようにする抜け止め構造を有するスピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ディスクメディアを駆動するスピンドルモータとして、アウターロータ型ブラシレスモータが用いられている。
ブラシレスモータをスピンドルモータとして利用するにはロータを外転型、いわゆるアウターロータとし、ロータに直接ディスク載置部を設ける構成が用いられている。
このようなスピンドルモータでは、ロータがステータから抜けないように抜け止め構造を設けるのが一般的である。
また、ディスク載置部としては、板状の磁性体をプレス成形で加工したロータに真鍮等の快削鋼を切削加工で加工したターンテーブルを一体化したり、樹脂成形で形成したターンテーブルをモータの回転軸に固着し、ターンテーブルにロータを一体化した構成がある。
【0003】
ロータとディスク載置部を一体にして、かつ抜け止め構造を有する構成の例として特開平11−86427号公報がある。この構成を図5で説明する。
ディスク中心孔と嵌合するボス部11aが形成された樹脂製のロータ保持具11がスピンドル8に圧入固定され、ロータ保持具11の外周に亜鉛メッキ鋼板を加工したロータヨーク9が接着してある。ボス部11aの下方には円板面11bが形成され、その上にSUS材料によるターンテーブル12が取り付けられている。
【0004】
円板面11bの裏面にはステータコア1に設けた突出部3と同心状にロータ抜け防止部11cが設けられ、突出部3との係合によりロータが抜けるのを防止している。
このような構成を開示する公報として、他に特開平11−110897号公報、特開平10−285858号公報、特開2002−176742号公報がある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−86427号公報
【特許文献2】特開2002−176742号公報
【特許文献3】特開平11−110897号公報
【特許文献4】特開平10−285858号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなターンテーブルを一体化したロータを有するスピンドルモータでは、樹脂製のロータ保持具11とスピンドル8が圧入固定され、かつローター保持具11と一体に形成されたロータ抜け防止部11cによりロータの抜け止め構造が構成されている。
ロータの抜け防止部11cは、ロータが軸方向に抜けるのを防止するため、突出部3に対して無接触であるが引っかかり状態である。そのため、モータの不良等でロータをステータと分離する必要が生じた場合に、その引っかかりを無理にはずしてに引き抜くことが必要となる。
【0007】
そのように無理に引き抜いた場合、抜け防止部11cの先端部が破損したり、突出部3が破損する場合がある。
抜け防止部11cの先端部が破損した場合、ロータの主要部を占めるロータ保持具11が使用不能となり、ロータ自体が使用できなくなってしまう。また、突出部3が破損した場合、ステータ(あるいはモータ本体)が使用不能となってしまう。
この発明の目的は、モータの組立後、何らかの理由でステータとロータを分離する必要がある場合、ロータやモータ本体を破損することなく分離可能とし、再度利用が可能で無駄のないモーターを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、ステータとアウターロータで構成されるブラシレスモータのロータにディスク載置部が設けられたスピンドルモータにおいて、前記ロータは、回転軸に固定されるロータヨークと、そのロータヨークに設けられたディスク位置決め部およびディスク載置部が設けられ、さらに前記ロータヨークに開孔された挿通孔から、ディスク位置決め部、ディスク載置部と一体かあるいは別体の、ステータ側へ延びるフックが設けられる。そのフックの先端に形成された係合爪とステータに形成された係止部とが非接触に係合するようにし、前記挿通孔により外方からフックを弾性変形させるよう操作可能に構成したものである。
このような構成にすることにより、ロータをステータから分離する必要がある場合、フックを弾性変形させることで係合爪と係止部の係合がはずれ、ロータの分離が容易となる。そして、フックの変形が弾性の範囲なので破損することがなく、分離したロータを再度利用できる。
また、本発明はそのフックを所定の傾斜角を持って先端側が上記回転軸方向へ傾斜させたり、フックに操作用の凸部を設けることによりフックを弾性変形させる操作をより容易にすることができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係るスピンドルモータの実施の形態を、図1乃至図7を参照して説明する。
図1において、スピンドルモータMはステータ20とロータ30で構成されている。
ステータ20は、板状のステータベース21、軸受け22が内部に装着された筒状の軸受ハウジング23、その軸受ハウジング23に固定されたコア24およびコア24に取り付けられたコイル25で構成されている。このステータ20の構成は、後述の係止部26以外は周知のもので、その説明は省略する。
【0010】
ロータ30はいわゆるアウターロータとなっており、回転軸31に磁性体であるロータヨーク32が固定されている。ロータヨーク32は円盤形平面部33の周囲に中空円筒状の胴体部34を設けたキャップ状に形成され、胴体部34の内側には全周にマグネット35が取り付けられている。
平面部33の中心には図1上方向に突出させたバーリング部36が設けられ、回転軸31はこのバーリング部36を利用して圧入、接着あるいは溶接等で固定される。このバーリング部36は図面下方へ突出させても良い。
また、回転軸31とロータヨーク32を固定する方法としては、真鍮等のブッシュを用い、そのブッシュを介して固定することもできる。
【0011】
ロータヨーク32にはその平面部33を利用してディスク載置面が構成され、例えばディスクの滑りを防止するため平面部33の外周部にゴム製のリング状シート37が張り付けられる。
ロータヨーク32の中心部には、ディスクをスピンドルモータMへ位置決めする樹脂製のキャップ40が取り付けられる。キャップ40は、ディスクの中央に設けられた取り付け孔をガイドするテーパ部41を有する略円錐台形状で、ディスクチャッキング用のクランパ(図示せず)を吸着するマグネット39を有し、中央に設けられた円筒状の固定部42をロータヨーク32のバーリング部36へ圧入して取り付けられる。
キャップ40のロータヨークへの取り付けは上述以外にも、フック様のもので係止したり、接着剤で取り付ける等種々考えられる。
【0012】
キャップ40には本願の構成の特徴である抜け止め構造を構成するフック45が、回転軸31を中心とする同心上に複数設けられる。フック45はキャップ40をロータヨーク32へ取り付けた際、ロータヨーク32へ設けられた挿通孔38を通りロータ30の内側へ配されることになる。
その数は一つでも良いが、例えばディスクの種類に応じてキャップの大きさが異なるため、その大きさに合わせて適宜決定する。フック45はキャップ40と一体に樹脂成形される。
【0013】
フック45は足部47とその先端に設けられた係合爪48で形成され、係合爪48の内側には突起部49が設けられている。突起部49は軸受ハウジング23の上端部付近に設けられた係止部26に非接触に係合する。
係止部26は、軸受ハウジング23の上端部付近の全周にわたって形成された溝27と係合爪48をスムースに溝27へ係合させるテーパ部28で構成されている。係合爪48は軸受ハウジング23に接することなくその突起部49が溝27へ入り込み係合する。
この係止部26は本実施の形態のように軸受けハウジング23に直接形成したり、別体として樹脂製の係止部を形成し軸受けハウジング23やコア24に取り付けても良い。
【0014】
フック45の付け根部分、キャップ40の天面43には透通孔46が形成されている。これは、フック45の先端に設けられた係止爪48の突起部49を形成するためのものである。
樹脂製のキャップ40のような形状のものを射出成形によって作成する場合、そのための金型構成は一般に天面43側をキャビティとし、係合爪48側をコアとする。係止爪48の突起部49のような形状を設ける場合、スライド金型を用いることも考えられるが、金型の構成はできるだけ簡単にするのが好ましい。キャップ40の天面43の形状に比較的自由度があり、この部分に通孔ができても問題ないことから、キャビティ側から突起部49の部分まで突き出しピンを設け、スライド金型を構成せず係止爪48を形成する。
【0015】
図2および図3はフック45の他の実施例を示すフック50およびフック55の拡大図である。図4は図3のフック55の矢印A側から見た矢視図である。
図1と同一の構成は同一の符号を用いてその説明を省略する。
図2において、フック50の足部51は回転軸31に対して所定角度α度を持って係止部26側に傾斜して形成されている。そのときの透通孔46は、金型の構成上足部51が内側へ傾いている分やはり内側へ大きく形成される。
一方挿通孔38は係合爪48の突起部49が通るよう形成されていれば、足部51の弾性を利用することで、足部51の傾斜分を大きくする必要はない。
【0016】
図3に示すフック55は、フック45と同様キャップ40に対して傾きを考慮しないが、回転軸31の側にテーパー部57を有する凸状部56が設けてある。
この凸状部56は突き出し量が突起部49と同じかやや少なく設定され、図4に示すように、分割された突起部49の間隙と同じ幅で形成される。
このような形状にすれば、他の実施例と同様キャップ40を形成する金型にスライド構造を設ける必要が無い。
図5には、フック45をキャップ40の周縁部に形成し、かつ係合爪48の突起部49を外方へ向けて形成した例を示す。
キャップ40をこのように形成し係止部26をステータ20のコア24へ形成すると、金型にスライド形状を設ける必要がなく、キャップ40へ透通孔46を設ける必要が無くなるので金型構成がさらに簡単になる。また、キャップ40の天面43の形状が自由に形成できるため、強度や精度に関し有利になる等の効果が出る。
【0017】
図6にはさらに他の実施の形態として、キャップとフックを別体に設けた構成を示す。
ロータヨーク32の挿通孔38にはキャップ60と別体に構成された係合部材61が取り付けられている。係合部材61はフック45、取り付け爪64およびそれらを根元で固定する鍔部62で構成され、鍔部62は挿通孔38の周囲に掛かる形状となっている。
係合部材61はこの鍔部62と取り付け爪64によってロータヨーク32の挿通孔38へ固定されている。
キャップ60はその天面43にクランパ吸着用の磁性板65が固定され、その天面43および磁性板65には、同位置に通孔66、67が設けられている。
フック45と取り付け爪64の根元部には透通孔63が構成されている。
図7には係合部材61をロータヨークへ複数設ける例を示す。係合部材61を複数、回転軸31に対して同心上などに設ける場合、鍔部62で係合部材61同士を接続すると、複数の係合部材61が挿通孔38で一体に固定されるため取り付け爪64が不要にできる。このとき透通孔63は特に設けることなく挿通孔38からフック45を操作可能である。
この場合も、係合部材の取り付け位置や係合爪48を外方へ向けてもよい。
【0018】
以上の構成によるモータMで、ロータ30をステータ20から分離させるには、透通孔46から挿通孔38を通して細いマイナスドライバや軸等を挿入し、フック45、50、55、を溝27から離す方向へ押し曲げながら弾性変形させてロータ30をステータ20から引き抜く。
透通孔あるいは挿通孔の大きさを係合爪48程度の大きさとしておけば、フック45、50、55、を必要以上に大きく撓ませずにすみ、フックが変形して破損することがない。
図6、7による実施例の場合、磁性板65およびキャップ60に設けた通孔66、67を通し細いマイナスドライバや軸等を透通孔46(挿通孔38)へ向かわせることになる。
フック45、50、55、を溝27から離す方向へ弾性変形させる操作により係合爪48が溝27から離れ、ロータ30をステータ20から容易に分離することが可能となる。また、無理に引き抜くことがないため、係止部26やフック45、50、55を破損することがない。
【0019】
ここで、フック50のように足部51を所定角度を持って回転軸側へ傾けると、ドライバや軸等を透通孔46側から差し込む操作だけで、特にフック50を回転軸31に対し横方向へ押圧することなく、係合爪48を弾性変形させ溝27から離すことが可能となり作業がより容易となる。
フック55のように凸状部56を設けても、このテーパー部57で案内されながらこの凸状部56にドライバや軸等を当てることにより、フック50の場合と同様に、係合爪48を溝27から離すことが可能となり、ロータ30をステータ20から容易に分離することが可能となる。
【0020】
また、本実施の形態はロータヨーク32が回転軸31に固定され、フック45、50、55が形成されたキャップ40、係合部材61がロータヨーク32に取り付けられる構成から、仮にフック45、50、55が破損した場合でも、キャップ40や係合部材61をロータヨーク32に対し交換するだけでよく、モーターMを構成する主要部分であるロータ30を無駄にしないですむ。
また、樹脂で構成するキャップ部40は略円錐台形状でディスクの位置だしに用いられるが、樹脂部を円盤形平面部33へ拡張しディスク載置部を一体に形成したものでも良い。
さらに、上述樹脂製のディスク載置部とキャップ40を別体とし、ディスク載置部と係合部材61を一体としても同様の効果が得られる。
【0021】
図により説明した実施の形態では、突起部49を回転軸31側へ向けて形成したが、回転軸31と反対側すなわち外側へ向け、軸受けハウジング23に設けた係止部26をコア側へ形成してもよい。その際透通孔46はフック45、50、55、60の外側に形成される。
また、図6、7では係合部材61をキャップ60の下方に位置させたが、ロータヨーク32の平面部33でキャップ60の外方に位置させてもよい。この位置ではキャップ60や磁性板60に通孔66、67を設ける必要が無くなり、形状等の自由度が高まるし、係合爪48が破損したときなど係合部材だけを取り替えればよく、キャップが無駄にならない。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に記載された本発明によれば、抜け止め機構が設けられたモータで、ロータとステータを分離させる必要が生じた場合でも、容易に分離可能である。
また、分離されたロータが破損することなく再利用可能となる。
さらに、フックの構成を請求項2および3に記載の様にすることにより、ロータとステータを分離するための操作がより一層容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピンドルモータの実施例を示す側面要部断面図である。
【図2】本発明の要部の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の要部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図4】図3における矢印Aの矢視図である。
【図5】第1図の他の構成による本発明の実施の形態を示す側面要部断面図である。
【図6】さらに他の構成による本発明の実施の形態を示す側面要部断面図である。
【図7】図6他の構成による本発明の実施の形態を示す側面要部断面図である。
【図8】従来の抜け止め構造を説明する側面断面図である。
【符号の説明】
M モータ
20 ステータ
23 軸受けハウジング
26 係止部
30 ロータ
31 回転軸
38 挿通孔
40 キャップ
45、50、55 フック
46 透通孔
48 係合爪
56 凸状部

Claims (3)

  1. ステータとアウターロータで構成されるブラシレスモータのロータにディスク載置部が設けられたスピンドルモータにおいて、前記ロータは、回転軸に固定されるロータヨークと、そのロータヨークに設けられたディスク位置決め部およびディスク載置部が設けられ、さらに前記ロータヨークに開孔された挿通孔からステータ側へ延びるフックが設けられ、そのフックの先端に形成された係合爪とステータに形成された係止部とが非接触に係合するとともに、前記挿通孔により外方からフックを弾性変形させるよう操作可能としたことを特徴とするスピンドルモータ。
  2. 前記フックは所定の傾斜角を持って先端側が上記係止部方向へ傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
  3. 前記フックは操作用の凸部を有することを特徴とする請求項1記載のスピンドルモータ。
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