JP2004243857A - 乗務員運用整理支援装置及び乗務員運用整理支援方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検出した運行ダイヤの乱れを変更ダイヤとして作成し、運行ダイヤ記憶装置15に記録する変更ダイヤ作成手段21と、運行ダイヤ記憶装置15と通常の乗務員のスケジュールとを参照して、通常の乗務員のスケジュールに問題があった箇所を問題点として検出して提示する問題点検出手段22とを備える。ここで、問題点検出手段22において問題点が検出された場合、通常の乗務員のスケジュールを変更させ、変更された乗務員のスケジュールを乗務員スケジュール記憶装置16に登録する乗務員スケジュール計算手段とを備え、問題点検出手段22は、運行ダイヤ記憶装置15と、乗務員スケジュール記憶装置16を参照して、乗務員スケジュール計算手段23で変更された乗務員のスケジュールに問題があった箇所を問題点として検出して提示する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、乗務員のスケジュールの運用における問題点を検出する乗務員運用整理支援装置及び乗務員運用整理支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
列車やバス、航空機などの交通機関の運行を行うためには、運転、案内等のため、運行ダイヤに従って乗務員が充当されなければならない。例えば、交通機関の走行中の運行及び案内を行うほか、又、列車がホームで待機している場合、事故を防ぐため、乗務員は列車から離れず監視しなければならない。
【0003】
予め定められた運行ダイヤに従って運行ダイヤが稼働している場合、乗務員のスケジュールも運行ダイヤに従って定められており、乗務員は定められたスケジュールに従って任務を遂行すれば良い。又、昨今の交通機関への大量輸送の要望に応えるため、運行ダイヤが複雑化しており、これに伴い、乗務員のスケジュールも複雑化している。
【0004】
一方、天候や事故等の事由により乱れた場合、運行ダイヤは平常復帰するために、変更ダイヤを作成する。作成された変更ダイヤに伴い、その都度乗務員のスケジュールを再計画する必要がある。即ち、乗務員運用整理と呼ばれる乗務員のスケジュールをリアルタイムで再計画する作業を行わなければならない。
【0005】
例えば、乗務員運用整理に関するものとして、自動提案によって運用計画を完成することができる乗務員運用計画支援装置がある(例えば、特許文献1。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−6812
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1においては、様々なルールを設定し、それに適合する乗務員のスケジュールを決定する。従って、必ず配置しなければならない乗務員を配置できない問題が発生する場合がある。又、乗務員を配置できない場合、運行ダイヤを減らす対応などをとらなければならず、乗客に対して満足なサービスを提供できない場合がある。
【0008】
このような状況を踏まえ、運行ダイヤにフレキシブルに対応できる乗務員運用整理が必要とされている。
【0009】
従って本発明の目的は、通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、運行ダイヤに合わせた乗務員のスケジュールの運用を支援する乗務員運用整理支援装置及び乗務員運用整理支援方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、乗務員のスケジュールの運用における問題点を検出する乗務員運用整理支援装置に関する。即ち、本発明の第1の特徴に係る乗務員運用整理支援装置は、検出した運行ダイヤの乱れを反映した変更ダイヤとして作成し、運行ダイヤ記憶装置に記録する変更ダイヤ作成手段と、運行ダイヤ記憶装置と通常の乗務員のスケジュールとを参照して、通常の乗務員のスケジュールに生じた問題点を検出して提示する問題点検出手段とを備える。
【0011】
このような本発明によれば、乗務員の配置と、乱れた運行ダイヤを参照して、問題点を検出ことにより、問題点を解決した、実際の状況を踏まえた乗務員のスケジュールの変更を行うことができる。
【0012】
又、問題点検出手段において問題点が検出された場合、通常の乗務員のスケジュールを変更させ、変更された乗務員のスケジュールを乗務員スケジュール記憶装置に登録する乗務員スケジュール計算手段とを備え、問題点検出手段は、運行ダイヤ記憶装置と、乗務員スケジュール記憶装置を参照して、乗務員スケジュール計算手段で変更された乗務員のスケジュールに問題があった箇所を問題点として検出して提示することが好ましい。
【0013】
この場合、問題点検出手段で検出された問題点を解決した乗務員のスケジュールの変更を行い、更に、変更した乗務員のスケジュールと、乱れたダイヤとを参照して問題点の検出を行うことにより、変更した乗務員スケジュールの正当性を確認できる。或いは、この処理を繰り返すことにより、最終的に、問題点のない乗務員スケジュールに変更することができる。
【0014】
又、乗務員スケジュール計算手段において、乗務員ごとに、勤務開始時間、勤務終了時間、拘束時間、休憩時間、実働時間及び走行距離のいずれか一つ以上の項目について、実績値及び計画値のいずれか一つ以上を提示することが好ましい。
【0015】
この場合、一人の乗務員についての詳細な勤務状況を知ることができる。
【0016】
又、問題点検出手段において、検出された問題点に対応するダイヤを、変更ダイヤ上に強調して提示することが好ましい。
【0017】
この場合、解決しなければならない問題点を、視覚的に明確にすることができる。
【0018】
本発明の第2の特徴は、通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、乗務員のスケジュールの運用における問題点を検出する乗務員運用整理支援方法に関する。即ち、本発明の第2の特徴に係る乗務員運用整理支援方法は、検出した運行ダイヤの乱れを反映した変更ダイヤとして作成し、運行ダイヤ記憶装置に記録する変更ダイヤ作成ステップと、運行ダイヤ記憶装置と通常の乗務員のスケジュールとを参照して、通常の乗務員のスケジュールに生じた問題点を検出して提示する第1の問題点検出ステップとを備える。
【0019】
又、第1の問題点検出ステップにおいて問題点が検出された場合、通常の乗務員のスケジュールを変更させ、変更された乗務員のスケジュールを乗務員スケジュール記憶装置に登録する乗務員スケジュール計算ステップと、問題点検出手段は、運行ダイヤ記憶装置と、乗務員スケジュール記憶装置を参照して、乗務員スケジュール計算手段で変更された乗務員のスケジュールに問題があった箇所を問題点として検出して提示する第2の問題点検出ステップとを備えることが好ましい。
【0020】
又、乗務員スケジュール計算ステップにおいて、乗務員ごとに、勤務開始時間、勤務終了時間、拘束時間、休憩時間、実働時間及び走行距離のいずれか一つ以上の項目について、実績値及び計画値のいずれか一つ以上を提示することが好ましい。
【0021】
又、第1の問題点検出ステップにおいて、検出された問題点に対応するダイヤを、変更ダイヤ上に強調して提示することが好ましい。
【0022】
又、第2の問題点検出ステップにおいて、検出された問題点に対応するダイヤを、変更ダイヤ上に強調して提示することが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0024】
(最良の実施の形態)
図1を参照して、本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置1を説明する。
【0025】
本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置1は、一般的なコンピュータに所定の処理を行うプログラムを実行して構成されており、運行ダイヤマスタ記憶装置11、勤務表マスタ記憶装置12、運転整理情報記憶装置13、走行実績記憶装置14、運行ダイヤ記憶装置15、乗務員スケジュール記憶装置16、変更ダイヤ作成手段21、問題点検出手段22、乗務員スケジュール計算手段23、表示装置31、入力装置32を備えている。
【0026】
運行ダイヤマスタ記憶装置11は、交通機関の通常の運行ダイヤが記録された記憶装置である。即ち、列車の乱れが発生する以前の運行ダイヤが記録されている。運行ダイヤマスタ記憶装置11は、運行ダイヤの改正の度に更新される。運行ダイヤマスタ記憶装置11に記録された運行ダイヤは、図2に示したように、列車が運行する区間と時刻を対応づけた列車スジが記載されたダイヤ図をデータ化したものである。
【0027】
勤務表マスタ記憶装置12は、交通機関に配置される乗務員の勤務が記録された記憶装置である。即ち、列車の乱れが発生する以前の乗務員の勤務表が記録されている。勤務表マスタ記憶装置12は、運行ダイヤマスタ記憶装置11に記録された運行ダイヤに対応した通常の乗務員のスケジュールが記録されており、運行ダイヤマスタ記憶装置11の更新に伴い、勤務表マスタ記憶装置12も更新される。
【0028】
運転整理情報記憶装置13は、ダイヤ乱れ時に発生する運転整理情報が記録された記憶装置である。運転整理情報記憶装置13は、例えば、運転整理を行った操作入力時刻、運転整理を行う対象列車番号、対象駅、運行振替や、運転休止などの運転整理項目などの項目を備えた運転整理情報が関連づけられて記録されている。路線や電鉄会社等によって異なるが、60種類以上の運転整理項目がある場合もある。
【0029】
ここで、A駅からE駅を運行する列車A及び列車Bで発生する運転整理の一例を説明する。「運行振替」とは、列車Aと列車BをC駅で折り返す変更を行う運転整理である。「延長運転」とは、例えば列車AをB駅からE駅まで延長する運転整理である。この場合、B駅の発車時刻、C駅及びD駅の着発時刻、E駅の着時刻も運転整理項目として運転整理情報記憶装置13に記録される。「運転休止」とは、列車AをC駅からE駅まで運転を休止する運転整理である。
【0030】
走行実績記憶装置14は、現在の列車の走行している状態を記録した記憶装置である。走行実績記憶装置14は、車両編成番号と列車番号とが記録されているのが好ましい。ここで、車両編成番号とは車両を識別する番号で、列車番号とは車両編成番号に割り当てられた運行ダイヤ上での列車を識別する番号である。従って、折り返し運転を行う場合、車両編成番号は同じで列車番号が異なる場合がある。
【0031】
走行実績記憶装置14に記録される情報は、例えば、「車両編成Xが列車AとしてB駅とC駅の間を走行中」、「車両編成Yが列番BとしてD駅に停車中」などの情報である。
【0032】
運行ダイヤ記憶装置15は、現在の運行ダイヤが記録された記憶装置である。ここで記録される運行ダイヤは、列車走行実績が、通常のダイヤから遅れている場合、その遅れを考慮したものである。
【0033】
乗務員スケジュール記憶装置16は、運行整理情報を考慮して作成された運行ダイヤ記憶装置15に対応して配置された現在の乗務員のスケジュールが記録された記憶装置である。乗務員スケジュール記憶装置16に記録された乗務員のスケジュールは、図3(a)に示したような1乗務員あたりの勤務状況を示した表や、図3(b)に示したような1乗務員の作業を示した箱ダイヤ図を、データ化したものである。
【0034】
変更ダイヤ作成手段21は、検出した運行ダイヤの乱れを反映した変更ダイヤを作成し、運行ダイヤ記憶装置15に記録する手段である。変更ダイヤ作成手段21は、運行ダイヤマスタ記憶装置11と、ダイヤ乱れ時に都度発生する運転整理情報記憶装置13を参照して、該当運転整理前の運行ダイヤから新しい運行ダイヤとなる現在の運行ダイヤを、運行ダイヤ記憶装置15に記録する。運行ダイヤ記憶装置15に記録された現在の運行ダイヤは、図2に示したようなダイヤ図の形式で、表示装置31に提示されるのが好ましい。このとき、運行ダイヤマスタ記憶装置11に記録された通常の運行ダイヤと、運転整理により都度変更される現在の運行ダイヤが表示され、通常のダイヤと現在のダイヤの違い、現在のダイヤの運行状況、運転整理の進度状況を把握することができる。
【0035】
問題点検出手段22は、現在の運行ダイヤと乗務員スケジュールとを参照して、乗務員スケジュールに生じた問題点を検出する手段である。このとき、運行ダイヤにおける問題点も検出しても良い。問題点検出手段22が参照するデータベースは、問題点検出手段22が実行される状況に応じて以下の様に変更する。
【0036】
(a)運行ダイヤに乱れが発生し運行整理が行われた場合、問題点検出手段22は、運行ダイヤ記憶装置15と、勤務表マスタ記憶装置12を参照して問題点を検出する。
【0037】
(b)乗務員のスケジュールを変更した場合、問題点検出手段22は、運行ダイヤ記憶装置15と乗務員スケジュール記憶装置16を参照して問題点を検出する。
【0038】
又、問題点検出手段22は、検出された問題点に対応するダイヤ(列車スジ)を、変更ダイヤ上に強調して提示し、視覚的に問題点を把握できるのが好ましい。更に、問題点がある場合、現在発生している問題点をリストアップして表示装置31に提示するのが好ましい。
【0039】
乗務員スケジュール計算手段23は、問題点検出手段22において問題点が検出された場合、乗務員のスケジュールを変更させ、変更された乗務員のスケジュールを乗務員スケジュール記憶装置16に登録する手段である。乗務員スケジュール計算手段23は、問題点検出手段22で検出された問題点を参照して乗務員スケジュールを変更する。このとき、問題点が検出された前後の運行ダイヤも考慮して乗務員スケジュールを変更できるように、更に運行ダイヤ記憶装置15を参照するのが好ましい。乗務員スケジュール計算手段23が参照する乗務員スケジュールのデータベースは、乗務員スケジュール計算手段23が実行される状況に応じて以下のように変更する。
【0040】
(a)運行ダイヤに乱れが発生し運行整理が行われたときに、問題検出手段22が運行ダイヤ記憶装置15と、勤務表マスタ記憶装置12を参照して問題点を検出した場合、乗務員スケジュール計算手段23は、勤務表マスタ記憶装置12を参照して通常の乗務員のスケジュールを変更させる。
【0041】
(b)乗務員の配置を変更したときに、問題点検出手段が運行ダイヤ記憶装置15と乗務員スケジュール記憶装置16を参照して問題点を検出した場合、乗務員スケジュール計算手段23は、乗務員スケジュール記憶装置16を参照して前回変更した乗務員のスケジュールを更新させ、問題点を解決した現在の乗務員スケジュールを乗務員スケジュール記憶装置16に上書きする。
【0042】
乗務員スケジュール記憶装置16は、現在の乗務員スケジュールのみ記録されていても良いし、履歴管理を行い、過去の乗務員スケジュールを全て記録しても良い。又、このとき、乗務員スケジュール記憶装置16に記録された乗務員スケジュールは問題点検出手段22によって検出された問題と対応づけられるのが好ましい。更に、問題点検出手段22によって問題点が検出されなかった現在の乗務員スケジュール、即ち、決定した現在の乗務員スケジュールを明記するのが好ましい。
【0043】
乗務員スケジュール計算手段23が変更する現在の乗務員のスケジュールは、入力装置32を介して入力されても良い。乗務員スケジュール計算手段23は、図3(a)に示すように、乗務員ごとに、勤務開始時間、勤務終了時間、拘束時間、休憩時間、実働時間及び走行距離などの項目について、実績値及び計画値を算出し、乗務員一覧表として提示する。ここで、図3(a)に示した「計画」欄に記載されたデータは、ダイヤの乱れが発生していない通常時のデータ、即ち運行ダイヤマスタ記憶装置11と勤務表マスタ記憶装置12に記録されたデータである。一方、「実績+計画」欄に記載されたデータは、運行整理が行われたデータであって、「実績」データについては走行実績記憶装置14から取得する。このとき、乗務員のスケジュールの実績は、運行ダイヤの実績に対応した乗務員のスケジュールから取得される。一方、「計画」データについては、運転整理のみ行われ乗務員スケジュールに変更がない場合、運行ダイヤ記憶装置15及び勤務表マスタ記憶装置12から取得し、運転整理が行われ乗務員スケジュールが変更された場合、運行ダイヤ記憶装置15及び乗務員スケジュール記憶装置16から取得する。
【0044】
更に、乗務員スケジュール計算手段23は、図3(b)に示すように、1乗務員のこれまでの実績と、これからの予定スケジュール等が記録された箱ダイヤと呼ばれる行路表として提示する。このとき、図示しないが図3(a)に示したような一人の乗務員の勤務時間の内訳も提示するのが好ましい。
【0045】
表示装置31は、乗務員運用整理支援装置1が提示する画面を表示する装置であって、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイなどである。
【0046】
入力装置32は、乗務員運用整理支援装置1に対して入力を行う装置であって、キーボード、マウスなどである。
【0047】
本発明の最良の実施の形態の乗務員運用整理支援装置1の問題点検出手段22について詳述する。問題点検出手段22が検出する問題は、(A)乗務員スケジュール接続問題、(B)乗務員スケジュール非連続問題、(C)乗務員スケジュール超過問題、(D)乗務員未配置列車問題、(E)乗務員未配置作業問題などである。
【0048】
(A)乗務員スケジュール接続問題は、列車走行実績を取得することで、現在の列車ダイヤの該当列車に配置されている乗務員の現在スケジュール終了予測時刻を求め、次のスケジュール開始予定時刻までの余裕時間が所定の時間以上確保できない問題である。このとき、現在のスケジュールと次のスケジュールを連続して実施できないと判断し、問題点として検出する。ここで、次のスケジュール開始予定時刻までに確保される「所定の時間」は、乗務員の移動、準備等に必要な時間のことで、状況に応じた時間が予め記録されているのが好ましい。又、「終了予測時刻」とは、列車走行実績を取得した地点からスケジュール終了地点までに要する時間を定めたものを、列車走行実績を取得した時刻に加えた時刻である。
【0049】
図4を参照して、(A)乗務員スケジュール接続問題が発生する例を説明する。図4(a)の太線に示すように、ある乗務員のスケジュールが、列車1の駅1乃至駅3の運転と、駅3で列車2から列車4への折り返し作業と、列車4の駅3乃至駅1の運転の3つのスケジュールが計画されているとする。このスケジュールに従って列車は走行し、図4(b)に示すように、乗務員運用整理支援装置1は、列車1が駅2に到着した列車走行実績を取得し、運行ダイヤマスタ記憶装置11を参照して、スケジュールされたダイヤと列車走行実績との差分である遅延時間t1だけ、走行が遅れていることを判定する。スケジュール通り運行した場合の列車1の駅3の到着時刻に遅延時間t1を加えた時刻を列車1の運転スケジュールの予測終了時刻T1とする。この時刻が、次のスケジュールである駅3での折り返し作業の開始時刻に対して余裕時間を確保できないため、問題点として検出される。
【0050】
(B)乗務員スケジュール非連続問題は、現在の乗務員スケジュールに対して、前スケジュールの終了場所と次スケジュールの開始場所が異なっている場合、そのスケジュールを連続して実施することができない問題である。乗務員スケジュール非連続問題は、例えば、入力装置32からの新しい乗務員スケジュールを登録した場合、運転整理情報乗務員スケジュールを列車に配置した場合、列車作業が削除された場合等に発生する。
【0051】
図5を参照して、(B)乗務員スケジュール接続問題が発生する例を説明する。図5(a)に示すように、ある乗務員のスケジュールが、列車1の駅1乃至駅3の運転と、駅3で列車2から列車4への折り返し作業と、列車4の駅3乃至駅1の運転の3つのスケジュールが計画されているとする。このスケジュールに従って列車は走行していたが、列車4の駅3乃至駅2までの列車を運転休止にする運行整理情報を取得したとする。この場合、該当乗務員のスケジュールは駅3で列車1の運転を行った後、駅2で列車4の運転を開始するスケジュールとなり、連続してスケジュールを実施できないため、問題点として検出される。
【0052】
(C)乗務員スケジュール超過問題は、入力装置32から新しい乗務員スケジュールが登録される場合、予め定められた勤務時間、休憩時間等の各種の時間の上限を越えている場合、望ましくないスケジュールとなる問題である。
【0053】
(D)乗務員未配置列車問題、(E)乗務員未配置作業問題は、運転整理情報により現在の列車ダイヤにない列車が増えた場合、又、乗務員が行う作業を加えた場合、その列車、又は作業を実施する乗務員がいない問題である。
【0054】
図6を参照して、本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援方法を説明する。
【0055】
まず、ステップS101において、乗務員運用整理支援装置1は、運転整理情報記憶装置13を参照して、ダイヤの乱れの発生を検知すると、ステップS102において、変更ダイヤ作成手段21により、運行ダイヤマスタ記憶装置11を参照して、ダイヤの乱れに対応できる変更ダイヤを作成する。
【0056】
次に、ステップS103において、ステップS102で作成された変更ダイヤと、勤務表マスタ記憶装置12に記録された通常の乗務員のスケジュールを参照して、問題点検出手段22によって、乗務員の運用上の問題点を検出する。
【0057】
ステップS104において、ステップS103で問題点が検出されなかった場合、そのまま処理を終了する。
【0058】
次に、ステップS104において、ステップS103で問題点が検出された場合、ステップS105において、乗務員スケジュール計算手段23によって、通常の乗務員スケジュールを取得し、ステップS106において、現在の乗務員スケジュールを作成する。ここで、ステップS103において通常の乗務員のスケジュールを参照して問題点を検出した場合、ステップS105においては、通常の乗務員スケジュールを取得する。
【0059】
次に、ステップS103において、ステップS102で作成された列車ダイヤと、ステップS106で作成された現在の乗務員スケジュールを参照して、問題点検出手段22によって、問題点を検出し、ステップS104において、問題点がなくなるまで、ステップS105乃至ステップS106及びステップS103の処理を繰り返す。ステップS103において現在の乗務員スケジュールを参照して問題点を検出した場合、ステップS105において、ステップS106で直前に作成された現在の乗務員スケジュールを取得し、ステップS106において、問題点を解決した現在の乗務員スケジュールを作成し、上書きする。
【0060】
図7を参照して、本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置1の運用例を説明する。図7において、(a)、(c)及び(e)は、列車の運行ダイヤで、(b)、(d)、(f)及び(g)は、乗務員スケジュールであって、左斜め上から右斜め下への斜線は、同一車両において乗務員が交代する位置を示している。
【0061】
図7(a)に示すように、運行ダイヤが乱れていない場合、乗務員運用整理支援装置1において、列車走行実績を反映して現在の列車ダイヤを更新する。現在の列車ダイヤでは、車両番号Xは、列車1として駅1乃至駅3を運行し、駅3で折り返し運転をした後、列車4として駅3乃至駅1を運行し、駅1で折り返し運転をした後、列車7として駅1乃至駅3を運行する。又、車両番号Yは、列車2として駅1乃至駅3を運行し、駅3で折り返し運転をした後、列車5として駅3乃至駅1を運行する。又、車両番号Zは、列車3として駅1乃至駅3を運行し、駅3で折り返し運転をした後、列車6として駅3乃至駅1を運行する。
【0062】
乗務員運用整理支援装置1は、更新された現在の列車ダイヤの情報を、逐次、表示装置に提示し、乗務員運用整理支援装置1の管理者に通知する。このとき、ダイヤは乱れていないため、運行ダイヤマスタ記憶装置11に記録された通りに運行されており運転整理情報はないので、本発明の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置1による乗務員運用整理は実施されない。
【0063】
図7(a)の運行ダイヤの場合の乗務員の配置を図7(b)に示す。運行ダイヤが乱れていないので、図7(b)に示すように、乗務員も計画されたスケジュールで配置されている。現在の乗務員スケジュールにおいて、○○太郎は、駅1乃至駅3の列車1の運行、駅3における列車1から列車4への折り返し運転、駅3乃至駅1の列車4の運行、駅1における列車4から列車7への折り返し運転を行う。○○次郎は、駅1乃至駅3の列車2の運行、駅3における列車3から列車6への折り返し運転、駅3乃至駅1の列車6の運行を行う。○○三郎は、駅1乃至駅3の列車3の運行を行う。○○四郎は、駅3における列車2から列車5への折り返し運転、駅3乃至駅1の列車5の運行を行う。
【0064】
ここで、図7(c)に示すように、列車1に遅延が発生し、列車1の駅3の到着時刻が遅れる事象が発生する。
【0065】
図7(c)の運行ダイヤの場合の乗務員の配置を図7(d)に示す。図7(d)に示すように、運行ダイヤは乱れているが、乗務員の配置は変更されない。
【0066】
一方、列車の運行を監視制御する司令所において、運行ダイヤの遅延に対応する運転整理が行われる。その結果、図7(e)に示すように、運転運休や運行の振替等が行われている。図7(e)に示す様に、駅3において列車1から列車4に折り返し運転をするところ、列車1から列車5に折り返し運転を行う運行振替を行い、駅3において列車2から列車5に折り返し運転をするところ、列車2から列車6に折り返し運転を行う運行振替を行い、列車4を全区間において運転休止にする運行整理が行われた。
【0067】
更に、問題点検出手段22によって、この変更された運行ダイヤについて、図7(d)に示したような乗務員の配置をした場合の問題点を検出し、図7(f)に示すように、問題の箇所を警告として提示する。即ち、問題点検出手段22は、乗務員が決まっていない、又は計画された乗務員が実施できない作業及び列車を抽出して、その結果を提示する。
【0068】
具体的に問題の箇所は、駅3における列車1から列車5への折り返し運転を担当する乗務員の未設定、駅3における列車2から列車6への折り返し運転を担当する乗務員の未設定を検出する。これらの問題の箇所点は、乗務員スケジュールに関する問題ではなく、乗務員が未設定で運行できない虞のある列車運行に関する問題である。更に、○○太郎が、駅1における折り返し運転と駅1乃至駅3の列車7の運転を行うにあたり、○○太郎が折り返し運転を行う時刻に駅1に到着できない乗務員スケジュール不連増問題を検出する。これは、列車運行に関する問題ではなく、○○太郎のスケジュール上の問題点である。ここで検出された問題の箇所は、「警告」として提示される。
【0069】
次に、図7(d)で示したような問題点を回避する新しい乗務員のスケジュールを登録する。図7(e)に示すように、問題点を検出し、新しい乗務員の計画とともに表示装置31に提示する。
【0070】
具体的には、駅3における列車2から列車6への折り返し運転を○○次郎が担当し、駅1における折り返し運転と駅1乃至駅3の列車7の運行を○○五郎が担当するスケジュールが登録されている。
【0071】
図7(g)に示した現在の乗務員スケジュールと、図7(e)に示した現在の運行ダイヤを参照して、問題点検出手段22によって問題点を検出すると、駅3における列車1乃至列車5への折り返し運転を担当する乗務員が未設定なままなので、この箇所が「警告」として提示される。
【0072】
ダイヤの乱れが発生した場合、図7(c)乃至図7(g)が繰り返され、問題点を抽出し、抽出された問題点が解決された乗務員の運用を適用する。
【0073】
図7において、列車運行の可否判断は、乗務員の乗り継ぎ時間、乗務員の担当交代の場合は引継時間に依存する。ここで乗り継ぎ時間は、階段の位置を考慮した駅の計上、駅混雑度、乗換番線、列車長等により求められる。又、車庫からの出入りがある場合は出入庫時間を、車両の増減作業が発生する場合は増減車時間なども考慮される。乗務員スケジュールの可否判断は、勤務時間、乗務員のスキルなどに依存する。具体的には、乗務員の拘束時間、勤務時間、食事時間、休憩時間が所定の時間に適合しているか、求められる運転資格を保持しているか、などに依存する。
【0074】
図7においては、計画通りのスケジュールの運行ダイヤ、運行の実績、運転休止、乗務員の配置における警告などを、線種で区別しているが、色を変更することによって区別しても良い。
【0075】
又、ダイヤ図を表示装置31に提示する場合、図7(b)、(d)、(f)及び(g)に示すように、列車スジの側面に乗務員名称を記載するのが好ましい。これにより、どの乗務員がどの列車に配置されているかの計画及び実績を、ダイヤ図上で判断することができる。
【0076】
更に、表示装置31に提示された列車スジを、入力装置32によって選択されることにより、その列車に配置されている乗務員の情報として、これまでのスケジュールや今後のスケジュールを、更に提示するのが好ましい。これにより、配置された乗務員の状況を詳細に知ることができる。
【0077】
本発明の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置は、勤務表等から乗務員のスケジュールを取得し、事前に保持する列車ダイヤへの展開を行うことで、各乗務員が乗車する予定の列車を把握し、更に、列車箕田レジに都度行われる運転整理と列車走行実績を考慮する。従って、乗務員運用整理支援装置によれば、列車を運転するための問題点の発見や、各乗務員のこれまでの実績、今後のスケジュールを把握できるため、効率的かつ迅速に乗務員の再計画を立てることができる。
【0078】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の最良の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0079】
例えば、時刻を指定して、所定の時刻に、所定の場所に存在している(或いは、未来の時刻が指定された場合、存在する予定の)乗務員の一覧を表示するのが好ましい。このように、乗務員の一覧において、どの乗務員が、所定の時刻に所定の場所に存在しているかを提示することにより、より的確な乗務員運用整理を支援することができる。
【0080】
又、乗務員に情報端末を携帯させても良い。この場合、乗務員が携帯する情報端末は、携帯電話機、PHS、PDA等の情報端末で、通信機能と情報処理機能の両方を備えている。
【0081】
乗務員運用整理支援装置1によって乗務員の配置が決定された場合、乗務員運用整理支援装置1は、情報端末にメール等で、決定された乗務員の配置を通知する。更に、乗務員は情報端末を介して通知された配置に了承することを乗務員運用整理支援装置1に対して通知する。一方、乗務員が了承できない場合、その理由を記載して通知するのが好ましい。
【0082】
又、乗務員が携帯している情報端末を介して、乗務員運用整理支援装置1に対して、例えば、「駅1で列車1を待機中」などの現在の作業の状況を通知させても良い。これにより、乗務員運用整理支援装置1は、乗務員の実際の状況を確認できるので、より実際の運用に基づいた乗務員の配置を行うことができる。
【0083】
更に、情報端末にGPSが搭載されている場合、GPSによって得られた位置情報に基づいて、乗務員の配置を行っても良い。
【0084】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、運行ダイヤに合わせた乗務員のスケジュールの運用を支援する乗務員運用整理支援装置及び乗務員運用整理支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の最良の実施の形態に係る運行ダイヤマスタ記憶装置に記録されたデータのイメージ図である。
【図3】本発明の最良の実施の形態に係る乗務員スケジュール記憶装置に記録されたデータのイメージ図である。
【図4】本発明の最良の実施の形態に係る問題点検出手段によって検出される乗務員スケジュール接続問題を説明する図である。
【図5】本発明の最良の実施の形態に係る問題点検出手段によって検出される乗務員スケジュール非連続問題を説明する図である。
【図6】本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援方法の処理を示したフローチャートである。
【図7】本発明の最良の実施の形態に係る乗務員運用整理支援装置による実際の運用例を示した図である。
【符号の説明】
1…乗務員運用整理支援装置
11…運行ダイヤマスタ記憶装置
12…勤務表マスタ記憶装置
13…運転整理情報記憶装置
14…走行実績記憶装置
15…運行ダイヤ記憶装置
16…乗務員スケジュール記憶装置
21…変更ダイヤ作成手段
22…問題点検出手段
23…乗務員スケジュール計算手段
31…表示装置
32…入力装置
Claims (9)
- 通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、乗務員のスケジュールの運用における問題点を検出する乗務員運用整理支援装置において、
検出した前記運行ダイヤの乱れを反映した変更ダイヤとして作成し、運行ダイヤ記憶装置に記録する変更ダイヤ作成手段と、
前記運行ダイヤ記憶装置と通常の前記乗務員のスケジュールとを参照して、前記通常の乗務員のスケジュールに生じた問題点を検出して提示する問題点検出手段と
を備えることを特徴とする乗務員運用整理支援装置。 - 前記問題点検出手段において前記問題点が検出された場合、前記通常の乗務員のスケジュールを変更させ、変更された前記乗務員のスケジュールを乗務員スケジュール記憶装置に登録する乗務員スケジュール計算手段とを備え、
前記問題点検出手段は、前記運行ダイヤ記憶装置と、前記乗務員スケジュール記憶装置を参照して、前記乗務員スケジュール計算手段で変更された前記乗務員のスケジュールに問題があった箇所を問題点として検出して提示する
ことを特徴とする請求項1に記載の乗務員運用整理支援装置。 - 前記乗務員スケジュール計算手段において、前記乗務員ごとに、勤務開始時間、勤務終了時間、拘束時間、休憩時間、実働時間及び走行距離のいずれか一つ以上の項目について、実績値及び計画値のいずれか一つ以上を提示する
ことを特徴とする請求項2に記載の乗務員運用整理支援装置。 - 前記問題点検出手段において、検出された問題点に対応するダイヤを、前記変更ダイヤ上に強調して提示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗務員運用整理支援装置。 - 通常の運行ダイヤに乱れが発生したときに、乗務員のスケジュールの運用における問題点を検出する乗務員運用整理支援方法において、
検出した前記運行ダイヤの乱れを反映した変更ダイヤとして作成し、運行ダイヤ記憶装置に記録する変更ダイヤ作成ステップと、
前記運行ダイヤ記憶装置と通常の前記乗務員のスケジュールとを参照して、前記通常の乗務員のスケジュールに生じた問題点を検出して提示する第1の問題点検出ステップと
を備えることを特徴とする乗務員運用整理支援方法。 - 前記第1の問題点検出ステップにおいて前記問題点が検出された場合、前記通常の乗務員のスケジュールを変更させ、変更された前記乗務員のスケジュールを乗務員スケジュール記憶装置に登録する乗務員スケジュール計算ステップと、
前記問題点検出手段は、前記運行ダイヤ記憶装置と、前記乗務員スケジュール記憶装置を参照して、前記乗務員スケジュール計算手段で変更された前記乗務員のスケジュールに問題があった箇所を問題点として検出して提示する第2の問題点検出ステップと
を備えることを特徴とする請求項5に記載の乗務員運用整理支援方法。 - 前記乗務員スケジュール計算ステップにおいて、前記乗務員ごとに、勤務開始時間、勤務終了時間、拘束時間、休憩時間、実働時間及び走行距離のいずれか一つ以上の項目について、実績値及び計画値のいずれか一つ以上を提示する
ことを特徴とする請求項6に記載の乗務員運用整理支援方法。 - 前記第1の問題点検出ステップにおいて、検出された問題点に対応するダイヤを、前記変更ダイヤ上に強調して提示する
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の乗務員運用整理支援方法。 - 前記第2の問題点検出ステップにおいて、検出された問題点に対応するダイヤを、前記変更ダイヤ上に強調して提示する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の乗務員運用整理支援方法。
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