JP2018062249A - 車両運用業務支援システム - Google Patents

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和也 弓倉
松本 隆
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Abstract

【課題】当日に運用の変更が行われた場合にも当該変更を速やかに運用ダイヤの画面に反映させることが可能な車両運用業務支援システムを提供する。【解決手段】車両運用データに基づいて車両の運用および作業を管理する車両運用業務支援システムにおいて、列車の運行を線で表した運用ダイヤを編集する運用ダイヤ編集処理手段と、運用ダイヤを表示装置143に表示させる表示処理手段と、運用整理計画を作成する機能を備えた運行管理システムからの運用変更データを受信した場合に、運用ダイヤの運用計画線のうち運用変更データに対応する編成の運用計画線を変更し反映する運用変更反映手段を備える。さらに、編成の位置をリアルタイムで把握する車両追跡システム300からの運用実績データを受信した場合に、運用ダイヤの運用実績データが示す時間帯の運用計画線を、運用実績が反映された運用実績線に切り替える運用ダイヤ実績反映手段を備えるようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、輸送障害が発生した際の運用整理に伴う車両運用の変更や指定作業の設定等を支援する車両運用業務支援システムに関する。
鉄道輸送において列車の安全かつ円滑な運行を行うためには、列車ダイヤに電車などの車両(編成)を割り当てて、列車として運転できるように整備されていることが必要である。このような車両の使用計画のことを車両運用といい、おおむね1日周期で作成されている。基本的にはそれぞれの運用は例えば1か月のような期間で循環して繰り返され、定期的に検査等が実施できるように計画されており、計画運用と呼ばれている。
ところが、車両故障や事故、災害などによって、列車運行に乱れが生じた時には、ダイヤを適切に変更して、列車の運行を正常に戻す運用整理が行われる。この運用整理によって車両運用も計画とは大幅に変更になる。変更の仕方によっては、ダイヤ平復が遅れたりダイヤ平復後の運用戻しに手間取るといったことが発生する。
従来、列車運行に乱れが生じた時に、ダイヤを適切に変更して列車の運行を正常な運行に戻す運用整理に関しては、例えば特許文献1に開示されているような発明が提案されているが、運用整理によって車両運用に変更が生じ、そのままでは所定の期日までに実行しなければならない仕業検査や交番検査が実行できなくなるおそれがある。そのため、ダイヤ平復後に、変更された車両運用を計画運用に戻す必要がある。
ダイヤ平復後に、検査予定車両の未入区や車両形式等の違いによる入線不可車両の入線が当日中に発生する場合は、運用担当指令と車両配置区所等(車両基地)の車両区所当直でチェックして、回避するための車両運用変更を輸送指令に依頼していた。
特許第4670081号公報
従来、上述の運用戻しは、もっぱら手作業によって行われており、多大な労力と時間を要するという課題があった。具体的には、運用戻しは、先ず、車両の運用を担う車両配置区所等(車両基地)で、輸送指令からFAXなどにより送付された運転計画書の内容(運転変更指示)を紙ベースの列車ダイヤ(各列車の移動軌跡を、時間軸を横軸にとってグラフとして示したもの)に記入し、車両の運用、編成を把握することから開始される。その後、車両配置区所は、翌日以降の検査予定等にあわせるため、自区所入区後に車両の差し替えを行うことにより元の月間運用計画へ戻す計画を立てることとなる。ダイヤの乱れ方にもよるが、従来のような手作業に依存した方法の場合には、元の運用計画に戻るのに例えば2週間以上かかることもあった。
本発明者らは、上記課題を解決し車両運用の変更を元の計画運用に戻す作業等を支援するため、従来は紙面上に記載されていた運用表および運用ダイヤや、縦軸に運用番号を記述し横軸に時刻をとって運用のつながりを線(サオ)で表した運用順序表を、液晶ディスプレイのような表示装置に表示させて変更や追加を行えるようにした車両運用業務支援システムを開発し、特許出願を行なった(特願2015-209459)。
さらに、各編成に搭載された無線通信機を介して各編成の走行位置情報をリアルタイムに収集することができる編成位置把握システムから、編成の走行位置情報を取得して運用ダイヤに反映することで、編成の現時点での走行位置を把握できるようにした発明をなし、特許出願を行なった(特願2016-108354)。
しかしながら、先に出願した車両運用業務支援システムにおいては、運用ダイヤの画面には前日までに入力された運用変更の情報しか反映されておらず、当日、列車運行に乱れが生じた時には、ダイヤを適切に変更して列車の運行を正常な運行に戻す運用整理で行われた運用の変更は、FAXで送信された紙ベースの変更情報を見ながら手入力を行うことで反映させるか、編成位置把握システムからの編成の走行位置情報が反映されるのを待つしかなかった。また、編成位置把握システムから取得した編成の走行位置情報は、基本列車運行計画で設定された列車しか実績を反映できない。つまり、臨時列車や延長運転等については、運用ダイヤの画面に位置を表示できなかった。そのため、翌日はもちろん当日の先々の作業計画の立案や見直し、入区場面での車両留置数の見込み判断が遅れたり誤ってしまうおそれがあるという課題があることが明らかとなった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、当日に運用の変更が行われた場合にも当該変更を速やかに運用ダイヤの画面に反映させ、先々の作業計画の立案や見直し、入区場面での車両留置数の見込み判断を迅速かつ正確に行なうことが可能な車両運用業務支援システムを提供することを目的とするものである。
本発明の他の目的は、基本列車運行計画で設定されていない当日の臨時列車や延長運転等についても運用ダイヤの画面に反映させることが可能な車両運用業務支援システムを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、
演算処理装置および記憶装置と表示装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用および作業を管理する車両運用業務支援システムにおいて、
前記演算処理装置は、
前記車両運用データに基づいて、縦軸に複数の駅名をとり、横軸に時間をとって各編成もしくは列車の運行を線で表した運用ダイヤを編集する運用ダイヤ編集処理手段と、
前記運用ダイヤ編集処理手段により編集された前記運用ダイヤを前記表示装置に表示させる表示処理手段と、
車両の運用を変更する機能を備えた運行管理システムからの運用変更データを受信した場合に、前記運用ダイヤの運用計画線のうち、前記運用変更データに対応する車両の変更前の運用計画線を変更後の運用計画線に変える運用変更反映手段と、を備えるようにした。
上記のような構成によれば、運行管理システムからの当日分を含む運用変更データに基づいて運用変更を運用ダイヤの画面に反映させる運用変更反映手段を備えるため、当日に運用の変更が行われた場合にも当該変更を速やかに運用ダイヤの画面に反映させ、先々の作業計画の立案や見直し、入区場面での車両留置数の見込み判断を迅速かつ正確に行うことができる。ここで、運行管理システムとして既設のシステムを利用すれば、既にシステムが導入されている線区の場合、何ら新たな機器や設備を設けることなく適用することができる。
ここで、望ましくは、前記演算処理装置は、
編成の位置をリアルタイムで把握可能な車両追跡システムからの運用実績データを受信した場合に、前記運用ダイヤの運用計画線のうち、前記運用実績データが示す時間帯の運用計画線を運用実績が反映された運用実績線に切り替える運用ダイヤ実績反映手段を備えるようにする。
このような構成によれば、車両追跡システムからの運用実績データに基づいて運用ダイヤの運用計画線を運用実績線に切り替える運用ダイヤ実績反映手段を備えるため、運用ダイヤの表示により、運用の計画と実績との差異を容易に確認することができ、それによって、運用の実績を考慮しながら運用整理計画の立案作業を進めることができる。また、車両追跡システムとしてデジタル列車無線システムを利用すれば、既にデジタル列車無線システムが導入されている線区があるので、そのような線区の場合、何ら新たな機器や設備を設けることなく適用することができる。
また、望ましくは、前記演算処理装置は、前記記憶装置より計画運用データおよび現在の運用実績情報を読み出して、現在の運用を計画運用に戻すための運用整理案を作成する運用整理案作成手段を備えるようにする。
このような構成によれば、システムにより自動的に運用整理案を作成することができるとともに、運行管理システムからの当日分を含む運用変更データに基づいて運用整理案を作成することができるため、担当の負担を減らすとともに乱れたダイヤを短期間に元の計画運用に戻すことが可能となる。また、運用変更情報や実績情報を手で入力する必要がないので、省力化を図ることができる。
さらに、望ましくは、前記演算処理装置は、
前記車両運用データに基づいて、所定の期間内に指定作業が計画されていない編成を抽出する作業未設定編成抽出手段と、
前記車両運用データに基づいて、指定作業を実施可能な間合いを抽出する作業間合い抽出手段と、
前記作業間合い抽出手段により抽出された間合いに、前記作業未設定編成抽出手段により抽出された編成に指定作業を割り当てた作業計画を作成する作業計画提案手段と、
を備えるようにする。
かかる構成によれば、変更後の車両運用について、装置が自動的に指定作業を実施可能な間合いを見つけて指定作業を割り当てた作業計画を作成するため、乱れたダイヤの平復後に、変更された車両運用を、仕業検査等の実施を含む計画運用に戻すための運用変更を短時間に完了することができる。
また、望ましくは、前記演算処理装置は、
前記車両運用データと前記走行実績データとに基づいて所定の留置箇所における運用日最終時点の編成滞留数の予測を行う編成滞留数予測手段と、
前記編成滞留数予測手段が予測した編成滞留数を前記表示装置により表示させる編成滞留数表示処理手段と、を備えるようにする。
このような構成によれば、編成滞留数予測手段を備えるため、運転整理の情報が反映された車両運用データと運用の実績を表わす運用実績データとに基づいて留置箇所における運用日最終時点の編成の滞留数を予測することができ、この予測結果に基づいて、運用日最終時点で収容数を超えていないか判断したり、複数の留置箇所の間で編成の滞留数に偏りが生じていないか容易に判断することができる。
本発明によれば、当日に運用の変更が行われた場合にも当該変更を速やかに運用ダイヤの画面に反映させ、先々の作業計画の立案や見直し、入区場面での車両留置数の見込み判断を迅速かつ正確に行なうことができる。また、当日の基本列車運行計画で設定されていない列車についても運用ダイヤの画面に反映させることができるという効果がある。
本実施形態の車両運用業務支援システムおよび該システムを構成する車両運用業務支援装置の一例を示す構成図である。 実施形態の車両運用業務支援システムに接続される車両運用変更権限を有する運行管理システムの構成を示す概略構成図である。 実施形態の車両運用業務支援システムに接続される車両追跡システムの一例としての列車無線システムの構成を示す概略構成図である。 実施形態の車両運用業務支援装置における運用ダイヤの画面の一例を示す図である。 車両運用業務支援装置の処理実行制御部によって行われる運用整理自動提案処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図5の運用整理処理のステップS5で行われる運用整理案作成処理の具体的な手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態の車両運用業務支援装置において、図4の運用ダイヤ画面で「運用整理自動提案」機能を選択した際に表示されるダイヤログボックスの一例を示す図である。 実施形態の車両運用業務支援装置の仕業検査等作業管理部による仕業検査計画提案処理の手順の一例を示すフローチャートである。 編成滞留数予測部によって行われる編成滞留数予測処理の手順の一例を示すフローチャートである。 編成滞留数の予測一覧表示のサブ画面の一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る車両運用業務支援システムの実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の車両運用業務支援システムの一実施例を示す。
車両運用業務支援装置100は、CPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置で構成される処理実行制御部110、ROM(リードオンリメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等の記憶装置で構成されるデータ記憶部120、キーボード141やマウス142などの入力操作装置からの入力を処理する入力処理部131、液晶パネル等の表示装置143に画像を表示させる表示処理部132、及びこれらの間でデータの送受信を可能に接続するバス133、外部の運行管理システム200からの当日の運用変更情報等のデータや車両追跡システム300からの各編成の位置情報をネットワークN0を介して受信するデータ受信部134などからなる。本実施形態では、上記車両運用業務支援装置100と、入力操作装置(141,142)と、表示装置143とによって車両運用業務支援システムが構成されている。
処理実行制御部110は、車両運用データに基づいて運用ダイヤ(山ダイヤ)を作成したり運行管理システム200より受信した当日の運用変更に基づいて列車スジを変更する機能を有する運用ダイヤ編集処理部111、車両追跡システム300からの編成位置情報に基づいて各編成の位置を把握し運用ダイヤに運用実績を反映する機能を有する運用ダイヤ実績反映部112、各編成の運用実績に基づいて車両基地等列車を留置可能な箇所における編成滞留数を予測する編成滞留数予測部113、車両運用を計画運用に戻すための運用整理案を作成して提示する機能を有する運用整理案作成部114、仕業検査や交番検査等の作業の実績を管理し作業計画を提案する仕業検査等作業管理部115などの機能部を備える。上記各処理部の機能は、処理実行制御部110のCPUとデータ記憶部120に格納されているプログラムの協働で実現することができる。
ここで、「仕業検査」は、おおむね2−6日毎の短い周期で行なわれる検査で、集電装置や台車、ブレーキなど特に運転に必要不可欠な装置の点検を、車両を運用から外さずに行う検査である。また、「交番検査」は、仕業検査よりも長い周期(例えば30日)で行われるもので、仕業検査と同じく車両を分解せずに行われる検査であるが、仕業検査よりも詳細な検査が行われる。
データ記憶部120には、上記処理実行制御部110が実行する車両運用整理支援プログラムを格納するプログラム記憶部121、車両運用の基礎となる車両運用データを格納する車両運用データ記憶部122、縦の欄に編成番号をとって日付ごとの運用番号を記述した運用表で割り当てられた仕業検査や交番検査等の作業の実績データを格納する作業実績管理データ記憶部123、車両追跡システム300から受信した編成位置情報を記憶する車両追跡情報記憶部124等が設けられている。
車両運用データは、管理下に置かれている全編成すなわち運用対象の車両基地に属する全編成について、編成単位の1日の運行スケジュール(列車番号、列車種別、行き先、前半運用の列車番号、後半運用の列車番号と、当該列車の駅毎の到着時間、駅出発時間、使用する番線などの情報)を記述したもので、当該車両運用業務支援システムとは別のシステムである輸送計画システムにより基本運用データが作成され、車両運用データ記憶部122に予め格納される。また、運用の中には、仕業検査や交番検査等の作業も割り当てられている。車両運用データ記憶部122に記憶される車両運用データには、各編成のローテーションを設定した基本運用データと、日付をつけて使用予定(編成の割当て)を設定した計画運用データ(当初の運用)と、運行管理システム200から受信した当日および翌日以降の運用変更に基づく変更運用データとがあり、これらのデータが上書きされることなくそれぞれ記憶される。
図2に車両運用変更権限を有する運行管理システム200の構成例が示されている。図2に示すように、運行管理システム200は、中央管理装置(線区共通中央装置)210と、線区毎に設けられ中央ネットワークN1を介して中央管理装置210と通信可能に接続された線区別管理装置220と、線区内の各連動駅に設置され運行管理ネットワークN2を介して上記線区別管理装置220と通信可能に接続された複数の駅制御装置230等を備えて構成されている。
そして、上記駅制御装置230の制御下に連動装置240がそれぞれ設けられ、連動装置240は軌道回路250の信号電流に基づいて、図示しない信号機や転てつ機を制御する。中央管理装置210は、軌道回路250の状態情報を駅制御装置230および線区別管理装置220を介して吸い上げることで、各路線を走行する列車(編成)の位置を把握することができる。
このように、運行管理システム200は、列車の位置を把握することができるので、列車運行に乱れが生じた時には、列車の位置に応じて、ダイヤを適切に変更して列車の運行を正常な運行に戻す運用整理を作成することができる。
運行管理システム200は、列車運行に乱れが生じた時に、ダイヤを適切に変更して列車の運行を正常な運行に戻す運用整理計画を作成し、運行変更情報を運用担当指令へ伝達する役割を有するシステムであり、例えば軌道回路を利用して各列車の位置をリアルタイムで把握して適切な運行変更を行う運行管理システムを使用することができる。また、かかる運行管理システムから運用変更情報を取得することで、基本列車運行計画で設定されていない当日の臨時列車や延長運転等についても運用ダイヤの画面に反映させることができる。
車両追跡システム300としては、各編成にGPS(全地球無線測位システム)受信機および無線通信機を搭載し、編成の位置情報と編成識別情報(例えば編成番号)を、線路に沿って適当な距離をおいて配設された無線基地局を介して無線通信により中央装置で取得可能なデジタル無線通信方式の通信システム(デジタル列車無線システム)を使用することができる。
図3に車両追跡システムとしての列車無線システム300の構成例が示されている。列車無線システム300は、鉄道路線の沿線に所定の距離(2〜3km)をおいて設置された無線基地局310と、各編成Tに搭載されている車載装置320と、指令室(輸送指令)に設けられた中央装置330を備える。車載装置320は、移動局としてのデジタル無線通信装置321と、GPS(全地球無線測位システム)受信機322と、識別情報としての編成番号等を記憶する記憶装置(メモリ)323とを備え、GPS受信機322で受信した位置情報および識別情報としての編成番号を、デジタル無線通信装置321によって無線基地局310を介して中央装置330へ送信する。
なお、GPS受信機を備え受信したGPS情報に基づいて列車の位置情報を指令室の中央装置へ送信する技術については、例えば特開2010−177982号公報に記載されており、本実施形態のシステムにおいても同様な公知技術を用いて列車の位置情報を送信できるので、詳しい説明は省略する。無線基地局310と中央装置330との間は、有線回線で接続される。指令室には、モニタが設けられ、列車の位置がモニタ上に表示される。
また、複数の車両を連結して1編成としたもの(例えば5両編成や10両編成)同士を併結して走らせる路線があるが、その場合にも単独での走行を考慮して編成ごとにGPS受信機と無線通装置を搭載しているので、編成ごとに位置情報を取得してモニタに表示することができる。
図4には、上記運用ダイヤ編集処理部111により生成される運用ダイヤとこれを表示する画面の構成例が示されている。図4に示されているように、運用ダイヤは、縦軸に運用対象路線の駅名を記述し、横軸に時刻をとって1日の全列車の運行スケジュール(行路)を棒線(スジ)で表したものである。
従来の運用ダイヤは、各列車のスジに沿って列車番号のみが表記されていたが、本実施形態では、各列車のスジに沿った列車番号T01U,T02U,T03U……; T01D,T02D,T03D……の他に、各列車のスジの始点と終点すなわち運用開始と運用終了の箇所に、それぞれ運用番号#1,#2,#3……と編成番号A01,A02,A03……が、○もしくは△の図形とともに記述されるようになっている。
なお、「編成」とは複数の車両を連結し連結した状態で運用するものを意味し、それらを区別するために付与されるのが編成番号である。一方、「列車番号」とは、時刻表(ダイヤ)上で列車を区別するために付与される番号である。「運用」は、編成単位の1日の運行スケジュールで、それらを区別するために付与されるのが運用番号である。
図4において、○印は当該列車が車両配置区所等(車両基地)から行路である線路に出る「出区」を意味し、△印は当該列車が行路である線路から車両配置区所等(車両基地)へ入る「入区」を意味している。上記のような運用ダイヤを表示することによって、各列車番号と運用および編成との関係を容易に把握することができる。
また、図4の運用ダイヤの表示画面の上部には、作業メニュー欄WMCに設けられ、この作業メニュー欄WMCには、「運用表」や「運用順序表」など他の表示に切り替えるための「表示切替」ボタンDB、運用グループを切り替えるための「運用グループ切替」ボタンGB、表示を開始する日付を切り替えるための「日付切替」ボタンCB、「運用変更反映」や「運用整理自動提案」、「仕業検査計画提案」、「編成滞留数予測」、「エラー一覧表示」などの機能を選択するための「機能」ボタンFBの他、列車番号を選択する「列車選択」ボタンSB1、運用番号を選択する「運用選択」ボタンSB2、編成番号を選択する「編成選択」ボタンSB3が設けられている。
ここで、「運用グループ」とは、所属する車両基地(A車両基地とB車両基地等)や車種(5両編成または10両編成等)によって編成を分類して、グループ分けしたものを意味する。基本設定(計画運用)では、運用グループごとに運用順序が循環設定される。
また、「機能」ボタンFBにより選択可能な機能には、運行管理システム200から受信した運用変更を運用ダイヤの表示画面に反映させるための「運用変更反映」と、列車の運用整理案を提案させるための「運用整理案自動提案」と、仕業検査の計画を提案させるための「仕業検査計画提案」、管理対象線区内にある滞留箇所における任意の時点での滞留編成数を予測する「編成滞留数予測」、後述の運用整理案作成処理等で発生したエラーを一覧表の形式で表示させる「エラー一覧表示」などがある。
運用ダイヤの表示画面の作業メニュー欄WMCに設けられている「列番検索」ボタンSB1または「運用検索」ボタンSB2、「編成検索」ボタンSB3のいずれかに、マウス142を操作してカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックすると、番号を入力するサブ画面が出現するので、キーボード141を使用して、列車番号または運用番号または編成番号を入力する。すると、図4の運用ダイヤの画面上で、例えば選択された番号の「スジ」が太線等で強調表示されるようになっている。これにより、検索対象の列車や運用、編成の内容をいち早く把握することができる。
また、図4の運用ダイヤの画面上で、マウス142を操作していずれかの「スジ」にカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックすると、選択された「スジ」とそれに対応した列車番号、運用番号、編成番号が、太字等により強調表示されるように構成されている。
さらに、「機能」ボタンFBの操作により「運用変更反映」が選択されると、運用ダイヤの画面上で、変更前の運用に対応する列車のスジが消去されて変更前の運用に対応する列車のスジが追加、すなわちスジが移動するような処理が実行される。
また、本実施形態においては、処理実行制御部110の運用ダイヤ実績反映部112の処理によって、データ受信部134を介して刻々と受信される編成位置情報を反映して、図4の運用ダイヤに示すように、編成位置情報のある時間帯の運用計画線(列車スジ)の表示が、走行実績を表わす運用実績線(破線)に切り替えられて行く。図4の運用ダイヤにおいて、運用実績線に切り替えられた部分を範囲C0に示している。▲印は、現在時刻を示している。また、運用計画線(実線)と運用実績線(破線)は、一方を黒線に他方を青線にするなど、異なる態様で表示される。
次に、運用整理案作成部114による運用整理自動提案処理について、図5および図6のフローチャートを用いて説明する。このうち、図5は運用整理自動提案の全体の流れを、図6は図5のフローチャート中の「運用整理案作成処理(ステップS5)の具体的な手順の一例が示されている。
なお、運用整理案作成部114による運用整理案の作成処理は、図4の運用ダイヤや図示しない運用表の画面の作業メニュー欄WMCに設けられている「機能」ボタンFBをマウス142でクリックすると表示されるサブ画面で、「運用整理自動提案」を選択することによって実行される機能である。この「運用整理自動提案」を選択されると、例えば図7(A)に示すような、日付を指定することができる日付指定ボタン(b)や、運用の固定などの条件を設定したり設定済みの仕業検査をクリアしたりするチェックリスト欄CLC、処理を開始させる指示を与える実行ボタン(r)などを含むダイヤログボックスCNBが表示される。
このダイヤログボックスCNBで条件を設定してから実行ボタン(r)をクリックすると、運用整理案作成処理が開始される。なお、この運用整理案作成処理を開始させる前に、運行管理システム200から受信した運用変更データを一括して取り込んで車両運用データ記憶部122へ記憶させてから、運用実績として運用ダイヤの画面に反映させる処理(図5のステップS1,S2)が行なわれる。
図5のステップS1,S2の運用変更反映は、図4の運用ダイヤの画面もしくは図示しない運用表の画面の作業メニュー欄WMCに設けられている「機能」ボタンFBをマウス142でクリックすると表示されるサブ画面で、「運用反映」を選択することによって実行され、運用ダイヤ画面に反映されることとなる。
その後、運用整理案作成部114は、「運用整理自動提案」が選択されたか否か判定し(ステップS3)、選択された(Yes)と判定するとステップS4へ進み、運用表データ(計画運用データおよびステップS2で入力された運用変更データ)を記憶部120から読み出した後、運用整理案作成部116による運用整理案の作成処理(ステップS5)を実行する。このとき、ダイヤログボックスCNBの表示は、図7(B)のように変わる。
そして、作成した運用整理案を反映した運用ダイヤまたは運用表を表示する(ステップS6)。このとき表示する運用整理案は、完璧なものでなく仕業検査の割当等が決まっていない状態のものでよい。なお、未決定あるいは矛盾(不整合)等がある場合には、それが分かるように例えば色を変えたり所定のマークを付記したりするなどの処理をして表示する。
ステップS6の後、条件の変更および実行ボタン(r)のクリックが行なわれたか否か判定し(ステップS7)、条件の変更および実行ボタン(r)のクリックが行なわれなかった場合(ステップS7:No)は、ステップS5へ戻って上記処理を繰り返す。一方、ステップS7で、「Yes」と判定した時は、ステップS8へ進んで、「確定」ボタン(s)または「破棄」ボタン(t)がクリックされたか判定し、「確定」ボタン(s)がクリックされた場合には、作成された運用整理案のデータを記憶部120に記憶する(ステップS9)。また、「破棄」ボタン(t)がクリックされた場合には、作成された運用整理案のデータを破棄して終了する(ステップS10)。
図6には、図5のステップS5の「運用整理案の作成処理」の具体的な手順が示されている。この「運用整理案の作成処理」では、先ず、図7のダイヤログボックスCNBのチェックリスト欄CLCで、運用を戻す範囲日数や仕業検査を割り付けるか否か、交番検査を割り付けるか否かなど、運用整理案作成実行の条件を設定する(ステップS51)。条件設定後、実行ボタン(r)がクリックされると、チェックリスト欄CLCの「運用固定」チェックボックス(e)にチェックマーク「v」が付されている場合には、交番検査を計画しているなどの制約から運用を変えられないものを固定する(ステップS52)。
次に、チェックリスト欄CLCの「仕業検査クリア」チェックボックス(j)にチェックマークが付されていると、その時点で設定されている仕業検査計画を一旦破棄する(ステップS53)。これにより、運用整理の際の制約を緩めることができる。
続いて、チェックリスト欄CLCの「運用割当て提案」チェックボックス(k)にチェックマークが付されていると、自由度の低いものから順に運用を割り当てて行く処理を行なう(ステップS54)。具体的には、例えば先ず自由度の低い滞泊運用の割り当てを行い、次に自由度の高い日帰り運用の割り当てを行う。また、夜間の滞泊時間帯に同じ車両基地に存在する編成の翌日の運用を交換することを優先して判断し、次に昼間の同じ時間帯に同じ場所(車両基地,留置線)に存在する編成の運用の交換(差し替え)を判断する。
その後、所定仕業検査設定を意味する「所定」チェックボックス(o)にチェックマークが付されていると、仕業検査計画の基本設定すなわち所定(基本運用)で仕業検査可能なすべての運用に対して仕業検査の設定を行う(ステップS55)。それから、所定仕業検査以外の仕業検査設定を意味する「その他」チェックボックス(p)にチェックマークが付されていると、所定仕業検査が設定されている編成以外で仕業検査の回帰エラーが発生している編成に対して、入区から出区までの間合い時間を見て、可能な間合いに対して仕業検査を割り当てる処理を行う(ステップS56)。続いて、未決定あるいは矛盾(不整合)した項目がないかチェックし、あればそれらを抽出してエラー一覧を作成するとともに、一覧表の当該エラー表示の箇所の色を変えたり、運用表において該当箇所にアンダーラインを付記するなど注意喚起(ワーニング)の表示をさせる(ステップS57)。
なお、上記各ステップS51〜S56は、それぞれ対応するチェックボックスのチェックを外すことで飛ばすことができる。また、ステップS57で作成したエラー一覧表は、図4の運用ダイヤ画面等において、作業メニュー欄の「機能」ボタンFBをクリックして機能を表示させ、「エラー一覧表示」を選択することで表示させることができる。
従って、「所定仕業検査設定」チェックボックス(o)にチェックマークを付さずに運用整理案作成処理を実行すると、仕業検査計画の基本設定すなわち所定(基本運用)で仕業検査の設定がなされていない場合、注意喚起(ワーニング)の表示がされることとなる。
次に、仕業検査等作業管理部115による仕業検査計画提案機能について、図8のフローチャートを用いて説明する。
仕業検査計画提案は、例えば運用表の画面において、マウス142を操作して上部のメニュー欄側に設けられて「機能」ボタンFBにカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックすると、選択可能な機能の一覧を示すサブ画面が表示される。ここで、マウス142を操作して「仕業検査計画提案」を選択することで開始されるように構成することができる。
この仕業検査計画提案処理においては、図8に示すように、先ず作業実績管理データ記憶部123から仕業検査の実績をデータ読み込む(ステップS31)。そして、前回の仕業検査の実施日からの経過日数を算出し、所定日数X(例えば6日)を経過している編成を抽出する(ステップS32)。
続いて、車両運用データ記憶部122から設定済みの「仕業検査」を読み込む(ステップS33)。そして、当該設定済みの「仕業検査」は計画運用で設定されている仕業検査であるか判定する(ステップS34)。ここで、計画運用の仕業検査である(Yes)と判定すると、ステップS37へ移行する。一方、ステップS34で、計画運用の仕業検査でない(No)と判定すると、ステップS35へ進み、運用内の間合い(長時間の停留)を見つけて、入区時刻や出区時刻等からその間合いが仕業検査を実施可能な時間長さ(例えば1〜2時間)であるか否か判定する(ステップS36)。
そして、ステップS36で、仕業検査を実施可能な間合いでない(No)と判定すると、ステップS35へ戻って次の間合いを見つける。また、ステップS36で、仕業検査を実施可能な間合いである(Yes)と判定すると、次のステップS37で、その間合いに「仕業検査」を充当する。なお、間合い自体がないあるいは間合いの時間が不足する場合には、その仕業検査を5日目の日に充当するようにするとよい。
その後、運用表内のすべての「仕業検査」について設定を完了したか否か判定する(ステップS43)。そして、すべての「仕業検査」について設定を完了していない(No)と判定すると、ステップS44へ移行して、判断対象の「仕業検査」を、前回仕業検査からX−1日(以降、X−2日、X−3日……と遡る)を経過しているものに変更してからステップS33へ戻って上記処理を繰り返す。一方、ステップS43で、すべての「仕業検査」について設定を完了した(Yes)と判定すると、ステップS45へ進み、仕業検査計画提案を作成して出力し、終了する。
上述したように、本実施形態の車両運用業務支援装置は、自動的に仕業検査計画提案を作成して出力する機能を備えるため、乱れたダイヤの平復後に、変更された車両運用を、仕業検査計画を含んだ計画運用に戻す運用戻しを短時間に完了することができる。
また、仕業検査等作業管理部115により仕業検査計画提案を作成する際の変更運用データは、運行管理システム200から受信した運用変更が反映されたものであるため、従来のように予め変更された運用を手でいちいち入力する必要がないので、速やかに仕業検査計画を立てることができる。
さらに、本実施形態の車両運用業務支援装置100には、編成滞留数予測部113が設けられているため、各留置箇所における編成滞留数の予測が簡単に行なえる。
図9には、編成滞留数予測部113により実行される編成滞留数予測処理のフローチャートを示す。このフローチャートに従った編成滞留数予測処理は、図4の運用ダイヤまたは図示しない運用表の画面の作業メニュー欄WMCに設けられている「機能」ボタンFBをマウス142でクリックすると表示されるサブ画面で、「編成滞留数予測」を選択することによって実行される。
図9の編成滞留数予測処理が開始されると、編成滞留数予測部113は、先ず、その運用日に受信されて車両追跡情報記憶部124に格納されている編成位置情報を読み出す(ステップS11)。
次に、編成滞留数予測部113は、読み出した編成位置情報の中から、順に、個々の編成の編成位置情報を抽出して車両運用データ記憶部122の本運用日の計画運用データと照合する(ステップS12)。照合の結果、計画運用データの中に編成位置情報に示された列車番号に対応づけられた運用番号があるか否か判定し(ステップS13)、運用番号があると判定すると、計画運用データに示された留置箇所が、本運用日の最終時点の留置箇所を判断する(ステップS14)。
その後、編成滞留数予測部113は、計画運用データから現時刻の状態が入区中か否か判別し(ステップS15)、入区中であれば入区している車両基地を現時刻の留置箇所であると判断する(ステップS16)。なお、ステップS16において、当該編成が当初運用計画と異なり、車両基地に入区している場合には、この編成のその後の輸送が運休であると判断する。そして、運休と判断した場合には、この編成について、ステップS14で行った最終時点の留置箇所の判断を訂正し、現時刻の留置箇所を最終時点の留置箇所と判断する。
続いて、編成滞留数予測部113は、ステップS11で読み出した編成位置情報に含まれる全編成の位置情報についてステップS12の照合処理が完了したか否か判別し(ステップS17)、未完了であれば、次の編成の位置情報についてステップS12からの処理を繰り返す。このようなステップS12〜S17の繰り返し処理により、編成位置情報に含まれる全編成について留置箇所の判断が行われる。
編成位置情報に含まれる全編成について処理が完了すると、編成滞留数予測部113は、オーバーホール等のために工場に入場している編成、輸送用の編成の予備として運用番号が付されずに車両基地に留置されている編成(「無番予備編成」と言われる)を、運用表から抽出して、これらの編成の留置箇所を判断する(ステップS18)。
運用表は、左側の縦の欄に運用対象の編成番号が順に記述され、上側の横の欄に日付が順に記述され、縦欄と横欄の交差する表示欄に編成に付与された運用番号が記述される表である。運用表には、工場に入場している編成、無番予備編成などの運用番号が付与されていない編成も登録されており、ステップS18においては、編成滞留数予測部113が、これらの編成の留置箇所について確認する。
続いて、ステップS16の判断結果に基づいて現時点の各留置箇所における編成の滞留数を集計する(ステップS19)。その後、編成滞留数予測部113は、ステップS14、S16、S18の判断結果に基づいて、各留置箇所におけるその運用日の最終時点の編成の滞留数を集計する(ステップS20)。なお、この集計は、各留置箇所における留置線の種別ごとに行われる。留置種別としては、例えば、駅留置、ホーム留置、車両基地への入区などを採用できる。
次に、編成滞留数予測部113は、各停留箇所における編成の留置計画数と、修正された編成の滞留数とを比較して、正常の範囲を外れていないかエラーチェックを行う(ステップS21)。なお、エラーチェックは、各留置箇所における留置線の種別ごとに行われるとよい。
続いて、編成滞留数予測部113は、各留置箇所の編成の滞留数を予測した一覧表を作成し(ステップS22)、これを表示処理部132へ出力して表示装置143に表示させ(ステップS23)、編成滞留数予測処理が終了する。
図10には、編成滞留数予測処理のステップS22で作成される編成滞留数の予測一覧表示の一例が示されている。
図10の予測一覧表示には、他の表示内容に切り替えるための機能ボタンFCBと、予測編成数を表示する運用グループを選択する運用グループ選択欄WUGと、留置箇所に滞留する編成数の予測数が表示される一覧表示欄WRYとが含まれる。
運用グループ選択欄WUGでは、一覧表示欄WRYに表示する編成の運用グループの選択および解除を行うことができる。
一覧表示欄WRYには、留置箇所ならびに留置線の種別毎に、その運用日の最終時点における編成の計画留置数と予測滞留数とが表示される。留置線の種別は「留置種別」の列に示されている。「留置種別」の列には、さらに、計画ダイヤに無い運休や臨時列車等で滞留した編成数を表わす「未設定」の項目と、運用番号の付かない予備割当で滞留する編成数を表わす「無番予備」の項目とが設けられている。
「選択運用計画本数」の列には、運用グループ選択欄WUGで選択された編成について、予め計画運用で計画されている編成の留置数が示される。
また、一覧表示欄WRYの「選択編成実績見込本数」の列には、運用グループ選択欄WUGで選択された編成について、編成滞留数予測処理で予測されたその運用日の最終時点の編成の滞留数が示される。また、「選択編成実績見込本数」の列に示された編成の予測滞留数が、計画された編成の留置数と異なる場合には、エラーと判断され、例えば、枠内や文字が異なる色で表示されるなどのエラー表示が行われる。
上記のような機能を有する編成滞留数予測部113を備えることにより、実施形態の車両運用業務支援装置100は、輸送混乱が生じたときに、その運用日の最終時点で収容数を超えないか判断したり、複数の留置箇所の間に編成の滞留数に偏りが生じていないか容易に判断することができる。
しかも、編成滞留数予測部113により編成滞留数予測を行う際の変更運用データは、運行管理システム200から受信した運用変更が反映されたものであるため、従来のように予め変更された運用を手でいちいち入力する必要がないので、速やかに編成滞留数予測を行うことができる。なお、運行管理システム200から受信した情報の中に、入区や出区に関する情報が含まれていない場合には、その先の延長運転などの情報に基づいて入区中止などを判断することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、一覧表示で区別される留置線の種別は、上記の例に限られず、例えば、引上げ線や副本線など、より細かな種別を設定してもよい。また、図10にはその運用日の最終時点における編成の滞留数を示す予測一覧表示の例を示したが、機能ボタンFCBの選択を変更することで、現時刻の編成の滞留数を表示するように構成してもよい。また、編成数が計画数と異なる場合にエラーと判断されるのではなく、編成を留置可能な正常な範囲を外れる場合にエラーと判断するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、車両追跡システムとしてデジタル列車無線システムを利用しているが、他のシステムであっても良い。例えば、軌道回路を利用した運行管理システムでも列車位置情報を取得できるので、その情報と、列車と編成との関係を示す情報とから編成の位置を把握するようにしても良い。
さらに、前記実施形態では、運用ダイヤ編集処理部111と運用ダイヤ実績反映部112と編成滞留数予測部113と運用整理案作成部114と仕業検査等作業管理部115を、1つのCPUで構成しているが、これらの機能部を複数のCPUで構成するようにしても良い。
100 車両運用業務支援装置
110 処理実行制御部
111 運用ダイヤ編集処理部
112 運用ダイヤ実績反映部
113 編成滞留数予測部
114 運用整理案作成部
115 仕業検査等作業管理部
120 データ記憶部
121 車両運用業務支援プログラム記憶部
122 車両運用データ記憶部
123 作業実績管理データ記憶部
124 車両追跡情報記憶部
134 データ受信部
143 表示装置

Claims (5)

  1. 演算処理装置および記憶装置と表示装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用および作業を管理する車両運用業務支援システムであって、
    前記演算処理装置は、
    前記車両運用データに基づいて、縦軸に複数の駅名をとり、横軸に時間をとって各編成もしくは列車の運行を線で表した運用ダイヤを編集する運用ダイヤ編集処理手段と、
    前記運用ダイヤ編集処理手段により編集された前記運用ダイヤを前記表示装置に表示させる表示処理手段と、
    車両の運用を変更する機能を備えた運行管理システムからの運用変更データを受信した場合に、前記運用ダイヤの運用計画線のうち、前記運用変更データに対応する車両の変更前の運用計画線を変更後の運用計画線に変える運用変更反映手段と、
    を備えていることを特徴とする車両運用業務支援システム。
  2. 前記演算処理装置は、
    編成の位置をリアルタイムで把握可能な車両追跡システムからの運用実績データを受信した場合に、前記運用ダイヤの運用計画線のうち、前記運用実績データが示す時間帯の運用計画線を運用実績が反映された運用実績線に切り替える運用ダイヤ実績反映手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両運用業務支援システム。
  3. 前記演算処理装置は、前記記憶装置より計画運用データおよび現在の運用実績情報を読み出して、現在の運用を計画運用に戻すための運用整理案を作成する運用整理案作成手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両運用業務支援システム。
  4. 前記演算処理装置は、
    前記車両運用データに基づいて、所定の期間内に指定作業が計画されていない編成を抽出する作業未設定編成抽出手段と、
    前記車両運用データに基づいて、指定作業を実施可能な間合いを抽出する作業間合い抽出手段と、
    前記作業間合い抽出手段により抽出された間合いに、前記作業未設定編成抽出手段により抽出された編成に指定作業を割り当てた作業計画を作成する作業計画提案手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両運用業務支援システム。
  5. 前記演算処理装置は、
    前記車両運用データと前記走行実績データとに基づいて所定の留置箇所における運用日最終時点の編成滞留数の予測を行う編成滞留数予測手段と、
    前記編成滞留数予測手段が予測した編成滞留数を前記表示装置により表示させる編成滞留数表示処理手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両運用業務支援システム。
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