JP6603542B2 - 車両運用業務支援装置 - Google Patents
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Description
ところが、車両故障や事故、災害などによって、列車運行に乱れが生じた時には、ダイヤを適切に変更して、列車の運行を正常に戻す運転整理が行われる。この運転整理によって車両運用も計画とは大幅に変更になる。変更の仕方によっては、ダイヤ平復が遅れたりダイヤ平復後の運用戻しに手間取るといったことが発生する。
従来、このような運用戻しは、対象の編成の現在の運用の中から、自車両配置区所等へ入出区する間合いを探し、この間合いで対象の編成と別の編成との差し替えを行うことで実現していた。「差し替え」とは、或る編成と別の対象とが同じ時間帯に同じ場所に存在する場合に、1つの編成に割り当てられている輸送計画を、別の編成に振り替えて行わせることをいう。しかしながら、このような差し替え容易な入出区の間合いはさほど多くなかった。このため、従来では、運用戻しが完了するまでに長い期間がかかったり、時間的に余裕のない状況で差し替えの手配がなされるなどの課題があった。
演算処理装置および記憶装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用を管理する車両運用業務支援装置において、
前記記憶装置は、
現在の車両運用の情報を記憶する車両運用データ記憶部と、
編成の運用を交換する運用変更に関して実行可能な作業が駅別に示された駅別対応情報を予め記憶した駅別対応情報記憶部と、
を備え、
前記演算処理装置は、
前記現在の車両運用の情報と前記駅別対応情報とを用いて、編成の所属する運用とは異なる他所運用から、当該編成の所属する自所運用へ変更するための運用整理案を作成する運用整理案作成手段を備えているように構成したものである。
複数の編成の現在の車両運用に含まれる間合いの中から、前記他所運用から前記自所運用へ変更するための条件に適合する間合いを探索する間合い探索手段を有し、前記間合い探索手段の探索結果に基づいて前記運用整理案を作成するように構成する。
かかる構成によれば、前記他所運用から前記自所運用へ変更するための条件に適合する間合いが探索され、この探索結果に基づいて運用整理案が作成されるので、運用変更の作業に時間を要する場合でも、無理のない余裕を持った作業を行える運用整理案を作成することができる。
かかる構成によれば、他所運用から自所運用へ変更するための条件に適合する間合いの探索処理により生じる装置の負荷を小さくできる。ここで、絞込条件としては、例えば、予備車を有する車両配置区所等の存在する駅の間合いを優先、運用交換の相手となる編成数が最も多い間合いを優先など、適宜な条件を採用できる。
かかる構成によれば、現在の車両運用に存在する間合いと駅別に実行可能な運用の交換に必要な作業とを関係づけて、他所運用から自所運用へ変更するための条件に適合する間合いを抽出することができる。
かかる構成によれば、現在の車両運用の交換により運用戻しが出来ない場合に、臨時列車の計画を含めることで速やかな運用戻しが可能な運用整理案を作成できる。また、現在の車両運用の接続だけでは運用戻しが出来ない場合に限って臨時列車の計画が提案されるので、運用戻しに起因する輸送計画の影響を小さくすることができる。
図1は、本実施形態の車両運用業務支援装置の一実施例を示す。
車両運用業務支援装置100は、CPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置で構成される処理実行制御部110、ROM(リードオンリメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等の記憶装置で構成されるデータ記憶部120、キーボード141やマウス142などの入力操作装置からの入力を処理する入力処理部131、液晶パネル等の表示装置143に画像を表示させる表示処理部132、及びこれらの間でデータの送受信を可能に接続するバス133などからなる。本実施形態では、上記車両運用業務支援装置100と、入力操作装置(141,142)と、表示装置143とによって車両運用業務支援システムが構成されている。
また、データ記憶部120には、上記処理実行制御部110が実行する車両運用整理支援プログラムを格納するプログラム記憶部121、現在の車両運用および未来に計画された車両運用が表わされる車両運用データを格納する車両運用データ記憶部122、編成の運用を交換する運用変更に関して実行可能な作業が駅別に示される駅別対応情報を予め記憶した駅別対応情報記憶部123等が設けられている。
ここで、「編成」とは複数の車両を併結したものを意味し、それらを区別するために付与されるのが編成番号である。また、「列車番号」とは、時刻表上で列車を区別するために付与される番号である。また、「仕業検査」とは、例えば2−6日毎の短い周期で行なわれる検査で、集電装置や台車、ブレーキなど特に運転に必要不可欠な装置の点検を、車両を運用から外さずに行う検査である。また、「交番検査」とは、仕業検査よりも長い周期(例えば1ヶ月)で行われるもので、仕業検査と同じく車両を分解せずに行われる検査であるが、仕業検査よりも詳細な検査が行われる。
図2に示されているように、運用表は、左側の縦の欄に運用対象の編成番号A01,A02,A03……が順に記述され、上側の横の欄に日付が順に記述され、縦欄と横欄の交差する位置(マス目)に運用番号が#1,#2,#3……が記述されている。図2は基本となる計画運用表であり、この図から分かるように、運用番号#1,#2,#3……は、各編成に対して例えば1か月のような期間で循環して割り当てられる。
運用変更は、図2の運用表の表示画面や図3に示す運用順序表の画面、或いは、運用ダイヤの画面において可能である。具体的には、各画面の上部のメニュー欄の一番右側に、「機能」ボタンFBが設けられており、マウス142を操作してこのボタンFBにカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックする。
ここで、各項目の意味を簡単に説明すると、「運用接続」は2つの運用を接続し1つの運用にまとめること、「運用分断」は1つの運用を分断して2つの運用を作成することである。また、「併結設定」は新たに2つの編成を併結すること、「分割設定」は併結している編成を2つに分割すること、「運休設定」は列車の運転を取りやめること、「復活設定」は運休している列車(運用)を復活することである。さらに、「臨時作成」は新たに臨時列車運用を設定すること、「延長作成」は運用(運転)区間を延長することである。
駅別対応情報記憶部123には、編成の運用を交換する運用変更に関して駅毎に実行可能な作業を示した駅別対応情報が予め記憶されている。駅別対応情報には、複数の駅と、各駅で実行可能な運用変更の作業を表わす対応情報とが対応づけられたデータテーブルが設けられている。データテーブルには、対応情報として、例えば「差し替え不可」、「併結又は分割作業無しなら差し替え可能」、「分割作業しても差し替え可能」など、実行可能な運用変更の処理が、所定のフラグ値によって示されている(図5(B)を参照)。なお、駅別対応情報には全ての駅毎の対応情報が含まれる必要はなく、例えば編成の留置箇所(車両基地又は留置線)を有さない駅を省くようにしてもよい。ここで、「併結」とは基本編成(10両編成)と付属編成(5両編成)とを併結して1つの列車とすることを意味する。また、「分割」とは、基本編成と付属編成との併結を解くことを意味する。
なお、運用整理案作成部113による運用整理案の作成処理は、図2の運用表画面の作業メニュー欄WMCの左側に設けられている「機能」ボタンFBをマウス142でクリックすると表示されるサブ画面で、「運用整理自動提案」を選択することによって実行される機能である。この「運用整理自動提案」を選択されると、例えば図8に示すような、日付を指定することができる日付指定ボタン(b)や、運用の固定などの条件を設定したり設定済みの仕業検査をクリアしたりするチェックリスト欄CLC、処理を開始させる指示を与える実行ボタン(r)などを含むダイアログボックスCNBが表示される。
そして、作成した運用整理案を反映した運用表(図2)又は運用順序表(図3)を表示する(ステップS6)。このとき表示する運用整理案は、完璧なものでなく仕業検査の割当等が決まっていない状態のものでよい。なお、未決定あるいは矛盾(不整合)等がある場合には、それが分かるように例えば色を変えたり所定のマークを付記したりするなどの処理をして表示する。
ここで、処理実行制御部110は、運用整理案の候補を輸送指令にフィードバックするようにしてもよい(ステップS8)。運用整理案に臨時列車の運用作成などの輸送計画の変更が追加されている場合には、ステップS8のフィードバックに基づいて、輸送指令が輸送計画の変更を検討して運用担当者に検討結果を報告する。
続いて、処理実行制御部110は、運用整理案が採用か否かの入力を待機する。そして、「確定」ボタン(s)または「破棄」ボタン(t)がクリックされたか判定し(ステップS9)、「確定」ボタン(s)がクリックされた場合には、作成された運用整理案のデータを記憶部122に記憶する(ステップS10)。また、「破棄」ボタン(t)がクリックされた場合には、作成された運用整理案のデータを破棄して終了する(ステップS11)。
次に、運用整理案作成部113は、ステップS54で抽出した間合いの中から、差し替えの処理が可能な所定時間以上(例えば1時間以上)の間合いを抽出する(ステップS55)。さらに、運用整理案作成部113は、ステップS55で抽出された間合いの中から、間合いのある駅や交換相手の編成の間合いなどを考慮し、運用の交換が可能な間合いを抽出する(ステップS56)。この処理の具体例は後述する。
間合いを抽出したら、運用整理案作成部113は、対象編成の運用から複数の間合いが抽出されているか判別し(ステップS57)、複数の間合いが抽出されていれば、ステップS58に移行して1つの間合いに絞り込むが、複数の間合いが抽出されていなければ、次のステップS59へジャンプする。ステップS58で1つの間合いに絞り込む条件としては、予備車を有する車両基地の存在する駅の間合いを優先、運用の交換相手の編成数が最も多い間合いを優先など、適宜な条件を採用すればよい。ステップS58の絞込みを行ったら、その後、ステップS59へ移行する。
一方、間合いが抽出されていなければ、臨時列車の輸送計画を運用整理案に追加する運用変更を設定する(ステップS61)。
続いて、運用整理案作成部113は、差し替えを要する全ての編成について、上記の差し替えを設定するための処理を終えたか判別する(ステップS62)。その結果、全ての編成について処理を終えていなければ、ステップS54に戻って、次の対象編成について差し替えを行うための処理を繰り返し、終わっていれば、次のステップS63へ移行する。
なお、上記各ステップS51、S52、S63、S64は、それぞれ対応するチェックボックスのチェックを外すことで飛ばすことができる。
図9には、輸送混乱により運用戻しが必要となった一例の運行グラフが示されている。図10には、車両運用業務支援装置の運用整理案作成部によって提案される運用戻しの一例を示す運行グラフが示されている。運行グラフにおいては、列車スジの一端の三角形により車両基地への入区を表わし、列車スジの一端の円により車両基地からの出区を表わしている。
図9の例では、列車番号31M、32M、33Mが割り当てられている自所編成(A201)が、当該編成の所属するA車両基地と異なるE車両基地に戻る運用となっており、A車両基地へ戻す運用戻しが必要になっている。また、列車番号21Mの列車が、他所編成(E105)と、自所編成(A215)とを併結した編成となっており、これらのうち他所編成(E105)を分割してE車両基地に戻す運用戻しが必要になっている。
そして、差し替えを設定する間合いとして、上記の間合いが選ばれた場合、運用整理案作成部113は、ステップS60の差し替え設定処理で、この間合いを利用した差し替えの設定を行う。具体的には、列車番号21Mの他所編成(E105)と自所編成(A215)とをA駅で分割設定し、自所編成(A201)の列車番号32M、33Mの運用を運休設定し、他所編成(E105)の列車番号21Mの運用を、A駅で、列車番号32M、33Mの運用の始端に接続する運用接続を行って、運用整理案に追加する。
このような運用変更を含んだ運用整理案によれば、図10に示すように、自所編成(A201)を、差し替えによりA車両基地に戻すことができ、他所編成(E105)をE車両基地に戻すことができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、運用表編集処理部111、運用順序表編集処理部112、および運用整理案作成部113を、1つのCPUで構成しているが、これらの機能部を複数のCPUで構成するようにしても良い。
110 処理実行制御部
111 運用表編集処理部
112 運用順序表編集処理部
113 運用整理案作成部
120 データ記憶部
121 車両運用業務支援プログラム記憶部
122 車両運用データ記憶部
123 駅別対応情報記憶部
131 入力処理部
132 表示処理部
Claims (5)
- 演算処理装置および記憶装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用を管理する車両運用業務支援装置において、
前記記憶装置は、
現在の車両運用の情報を記憶する車両運用データ記憶部と、
編成の運用を交換する運用変更に関して実行可能な作業が駅別に示された駅別対応情報を予め記憶した駅別対応情報記憶部と、
を備え、
前記演算処理装置は、
前記現在の車両運用の情報と前記駅別対応情報とを用いて、編成の所属する運用とは異なる他所運用から、当該編成の所属する自所運用へ変更するための運用整理案を作成する運用整理案作成手段を備えていることを特徴とする車両運用業務支援装置。 - 前記運用整理案作成手段は、
複数の編成の現在の車両運用に含まれる間合いの中から、前記他所運用から前記自所運用へ変更するための条件に適合する間合いを探索する間合い探索手段を有し、前記間合い探索手段の探索結果に基づいて前記運用整理案を作成することを特徴とする請求項1記載の車両運用業務支援装置。 - 前記間合い探索手段は、複数の編成の現在の車両運用に含まれる所定時間以上の間合いの中から別の編成の運用と交換できる間合いを抽出し、1つの編成の運用の中に複数の抽出された間合いがある場合に、所定の絞込条件に基づいて1つの間合いを選択して、前記他所運用から前記自所運用へ変更するための条件に適合する間合いを決定することを特徴とする請求項2記載の車両運用業務支援装置。
- 前記間合い探索手段は、前記駅別対応情報に基づき、前記現在の車両運用に含まれる間合いが生じる駅で前記編成の運用の交換が可能か判定し、この判定結果を用いて前記他所運用から前記自所運用へ変更するための条件に適合する間合いの抽出を行うことを特徴とする請求項3記載の車両運用業務支援装置。
- 前記運用整理案作成手段は、前記間合い探索手段が前記他所運用から前記自所運用へ変更するための条件に適合する間合いを探索できない場合に、前記他所運用が割り当てられている編成を前記自所運用へ戻すための臨時列車の計画を含んだ運用整理案を作成可能であることを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の車両運用業務支援装置。
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