JP6594733B2 - 車両運用業務支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、輸送障害が発生した際の運転整理に伴う車両運用の変更を元の計画運用に戻す作業等を支援する車両運用業務支援技術に関する。
鉄道輸送において列車の安全かつ円滑な運行を行うためには、列車ダイヤに電車などの車両(編成)を割り当てて、列車として運転できるように整備されていることが必要である。このような車両の使用計画のことを車両運用といい、例えば1日周期で作成されている。基本的にはそれぞれの運用は例えば1か月のような期間で循環して繰り返され、定期的に検査等が実施できるように計画されており、計画運用と呼ばれている。
ところが、車両故障や事故、災害などによって、列車運行に乱れが生じた時には、ダイヤを適切に変更して、列車の運行を正常に戻す運転整理が行われる。この運転整理によって車両運用も計画とは大幅に変更になる。変更の仕方によっては、ダイヤ平復が遅れたりダイヤ平復後の運用戻しに手間取るといったことが発生する。
従来、列車運行に乱れが生じた時には、ダイヤを適切に変更して列車の運行を正常な運行に戻す運転整理に関しては、例えば特許文献1に開示されているような発明が提案されているが、運転整理によって車両運用に変更が生じ、そのままでは所定の期日までに実行しなければならない仕業検査や交番検査が実行できなくなるおそれがある。そのため、ダイヤ平復後に、変更された車両運用を計画運用に戻す必要がある。
ダイヤ平復後に、検査予定車両の未入区や車両形式等の違いによる入線不可車両の入線が当日中に発生する場合は、運用担当指令と車両配置区所等(車両基地)の車両区所当直とでチェックして、回避するための車両運用変更を輸送指令に依頼していた。1線区に2車種以上存在する線区の場合は、車種を元の計画に戻すための運用変更も必要である。さらに、2箇所以上の車両配置区所等が存在する線区の場合は、それぞれの所属の車両を元の車両配置区所等に戻すための運用変更も必要である。また、当日行う車両運用変更の方法としては、区所入区後の差し替え、折返し駅における折返変更、車両交換等がある。なお、「車種」とは一般的には車両の型の相違を意味するが、本明細書では、車両の連結数などの編成形態が異なるもの(例えば5両編成と10両編成)を指す用語として使用する。また、「編成」とは複数の車両を連結したものを意味し、それらを区別するために付与されるのが編成番号である。また、「運用」は、編成単位の1日の運行スケジュールで、それらを区別するために付与されるのが運用番号である。
特許第4670081号公報
車両運用の管理には、先ず、現状の運用を正しく把握することが肝心である。従来、現状の運用の把握は、車両運用を担う車両配置区所等で、輸送指令からFAXにより送付された運転計画書の内容(運用変更指示)を手作業で列車ダイヤに入力することで行っていた。輸送混乱の際には、多数の運用の変更が一時期に発せられることが多い。このため、全ての車両運用の変更を漏れなく且つ間違いなく入力できたか確認することが難しい場合がある。
一方、現在、無線により編成の位置情報を伝送して編成の走行位置を記録することのできる編成位置把握システムの運用がなされている。このシステムにより、各編成の走行実績を確認することができる。そこで、本発明者らは、編成の走行実績を運用の管理に活用する方法を検討し、新たな活用方法を見出した。
また、車両運用の管理には車両の検査や清掃などの作業を伴わない停車駅や通過駅の情報は重要でなく、それ故、管理する車両運用データには車両が走行する線区の情報について全てが含まれているわけではない。近年、路線は複雑に絡み合う傾向にあり、一部の線区に障害が生じたときに、他の線区に迂回する路線に変更することで、一部の線区のみを運休とし、他の大部分の線区で通常通りの運行を行うような輸送計画の変更が行われることがある。このような運輸計画の変更に対しては、迂回区間の輸送に対して臨時列車番号と臨時運用番号とを割り当てて運用の管理を行うことができる。
しかしながら、このように一部の線区のみが変更されたに過ぎない路線の変更に対して、臨時列車番号と臨時運用番号とを介在させて運用管理を行ってしまうと、通常の列車番号または運用番号に基づく管理操作を、変更後の運用に適用できなくなるといった不都合が生じる。例えば、各編成の走行距離を列車番号に基づいて積算するような管理操作では、途中に臨時列車番号が含まれることで、例外として処理が完了できなくなる。また、編成に割り当てられる運用番号が、一旦、臨時運用番号になることで、担当者は運用の流れが途切れたと認識する。このため、その後に元の運用番号に戻っても、元の運用にある作業計画が、誤って担当者に修正されてしまうというリスクが生じる。
本発明は、編成の運行予定の変更に応じて効率的な車両運用の管理を実現できる車両運用業務支援システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、
演算処理装置および記憶装置と入力装置と表示装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用および作業を管理する車両運用業務支援システムにおいて、
前記演算処理装置は、
縦の欄に運用対象の編成番号が順に記述され、横の欄に日付が順に記述された運用表を編集する運用表編集処理手段と、
縦軸に複数の駅名をとり、横軸に時間をとって各列車の運行を線で表した運用ダイヤを編集する運用ダイヤ編集処理手段と、
縦軸に運用番号をとり、横軸に時間をとって各列車の運行を線で表した運用順序表を編集する運用順序表編集処理手段と、
編成の運行予定に変更があった場合に変更後の運行に適応させて前記車両運用データを変更可能な適応運用変更処理手段と、
を備え
前記運用表編集処理手段、前記運用ダイヤ編集処理手段及び前記運用順序表編集処理手段は、前記適応運用変更処理手段による変更が反映された車両運用データに基づく前記運用表、前記運用ダイヤ及び前記運用順序表をそれぞれ編集可能に構成されている。
上記のような構成によれば、編成の運行予定が変わった場合に、変更後の運行に適応した車両運用データの変更を行って効率的な車両運用の管理を実現することができる。
ここで、望ましくは、前記適応運用変更処理手段は、編成の運行予定が一部の駅を迂回する路線へ変わる運用変更に対応して、運用番号および列車番号を変更前と共通にして路線の途中駅の情報を追加または変更するように前記車両運用データを変更可能な迂回用運用変更処理手段を含んでいるように構成する。
かかる構成によれば、路線の一部の駅を迂回して元の路線に戻るような変更があった場合に、運用番号および列車番号を変えずに途中駅の情報が変更される部分的な運用変更として扱うことができる。これにより、このような変更のあった編成に対しても列車番号に基づく管理操作を適用でき、また、運用の流れが中断されたと誤認されることも回避できることから、効率的な車両運用の管理を行える。
さらに、望ましくは、前記演算処理装置は、
編成の運行予定を一部の駅を迂回する路線へ変更する運用変更に対応して、変更対象の列車番号、迂回開始駅、迂回終了駅、迂回中の途中駅、および前記途中駅の着発時刻を前記入力装置より入力可能とする迂回用入力処理手段を更に備え、
前記迂回用運用変更処理手段は、前記迂回用入力処理手段による入力に基づいて、前記変更対象の列車番号の路線のうち迂回により運休となった区間の運休設定と、迂回走行する区間に前記変更対象の列車番号と同一の列車番号を設定した臨時列車の運用作成と、前記臨時列車の運用番号として前記変更対象の列車番号の運用番号の割当と、前記変更対象の列車番号の運用と前記臨時列車の運用とを前記迂回開始駅および前記迂回終了駅で接続する運用接続とを行うように構成する。
かかる構成によれば、路線の一部の駅を迂回して元の路線に戻るような変更があった場合に、運用番号および列車番号を変えずに途中駅の情報を変更する部分的な運用変更として車両運用データに反映することができる。
また、望ましくは、編成に搭載された位置送信装置から無線により列車番号、編成番号、および走行位置の情報を受信して編成の位置を把握する編成位置把握システムから送信される情報を受信する受信手段をさらに備え、
前記適応運用変更処理手段は、
前記受信手段により受信された情報と前記車両運用データとに基づいて、前記編成の運用に変更があるか判定し、変更有りと判定された場合に、前記車両運用データに含まれる前記編成の運用を変更する実績運用変更処理手段を含むように構成する。
かかる構成によれば、路線の運行予定が変わるような運用変更があった場合に、編成位置把握システムの情報からこの運用変更を判定し、運用変更を車両運用データに反映させることができる。よって、運用変更を手入力する場合と比較して、運用変更の入力の手間が省かれ、運用変更の入力間違いも少なくできる。
さらに、望ましくは、前記実績運用変更処理手段は、前記位置送信装置の通信中断の有無を示す通信中断フラグの設定処理を行い、前記受信手段により受信された情報と前記車両運用データと前記通信中断フラグとに基づいて前記編成の運用に変更があるか判定するように構成する。
かかる構成によれば、通信の中断があってもこれに対応した運行変更の判定を行うことができる。
本発明によれば、編成の運行計画の変更に応じて効率的な車両運用の管理を行える車両運用業務支援システムを提供できるという効果がある。
本実施形態の車両運用業務支援システムを構成する車両運用業務支援装置の一例を示す構成図である。 実施形態の車両運用業務支援装置における運用表画面の一例を示す図である。 実施形態の車両運用業務支援装置における運用ダイヤの画面の一例を示す図である。 実施形態の車両運用業務支援装置における運用順序表の画面の一例を示す図である。 実施形態の車両運用業務支援装置における運用変更機能を実行させる際の入力用サブ画面の一例を示す図である。 迂回線区を利用した輸送計画の変更を説明する図であり、(a)は迂回線区を含む路線の一例の説明図、(b)は臨時番号を用いた例を示す説明図、(c)は実施形態の対応例を示す説明図である。 実施形態の車両運用業務支援装置における迂回変更の入力用サブ画面の一例を示す図である。 実施形態の車両運用業務支援装置の迂回用運用変更処理部により実行される迂回運用変更処理の手順を示すフローチャートである。 迂回線区を利用した輸送計画の変更があった場合の運用表の変化例を示す説明図であり、(a)は臨時番号を用いた場合の例、(b)は実施形態を適用した場合の例である。 迂回線区を利用した輸送計画の変更があった場合の運用順序表の変化例を示す説明図であり、(a)は臨時番号を用いた場合の例、(b)は実施形態を適用した場合の例である。 実績運用変更処理部により実行される運用判定変更処理の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る車両運用業務支援システムの実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の車両運用業務支援システムの一実施例を示す。
車両運用業務支援装置100は、CPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置で構成される処理実行制御部110、ROM(リードオンリメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等の記憶装置で構成されるデータ記憶部120、キーボード141やマウス142などの入力操作装置からの入力を処理する入力処理部131、液晶パネル等の表示装置143に画像を表示させる表示処理部132、編成位置把握システムなどの外部システムと無線または有線により通信を行うための処理を行う通信処理部133、及びこれらの間でデータの送受信を可能に接続するバス134などからなる。本実施形態では、上記車両運用業務支援装置100と、入力操作装置(141,142)と、表示装置143とによって車両運用業務支援システムが構成されている。
本実施形態では、処理実行制御部110は、車両運用データに基づいて運用表を作成したり変更する機能を有する運用表編集処理部111、運用ダイヤ(山ダイヤ)を作成したり変更する機能を有する運用ダイヤ編集処理部112、運用順序表(横棒ダイヤ)を作成したり変更する機能を有する運用順序表編集処理部113、編成の運行予定に変更があった場合に変更後の運行に適応させて運用変更の処理を行う適応運用変更処理部114などの機能部を備える。
適応運用変更処理部114は、路線の一部を迂回する運行の変更に対応して運用変更の処理を行う迂回運用変更処理部115と、編成位置把握システムを利用した走行実績データに基づき各編成の運用の変更を判定して必要な運用変更の処理を自動的に行う実績運用変更処理部116とを含んでいる。
また、データ記憶部120には、上記処理実行制御部110が実行する車両運用整理支援プログラムを格納するプログラム記憶部121、車両運用の基礎となる車両運用データを格納する車両運用データ記憶部122、車両運用データに基づいて生成される運用表データを格納する運用表データ記憶部123等が設けられている。また、データ記憶部120には、実績運用変更処理部116が使用する通信中断フラグ124が設けられていてもよい。
車両運用データは、管理下に置かれている全編成すなわち運用対象の車両基地に属する全編成について、編成単位の1日の運行スケジュール(列車番号、列車種別、行き先、前半運用の列車番号、後半運用の列車番号と、当該列車の駅毎の到着時間、駅出発時間、使用する番線などの情報)を記述したもので、当該車両運用業務支援システムとは別のシステムである車両管理計画システムにより基本運用データが作成され、車両運用データ記憶部122に予め格納される。また、運用の中には、仕業検査や交番検査等の作業も割り当てられている。ここで、「編成」とは複数の車両を連結したものを意味し、それらを区別するために付与されるのが編成番号である。また、「列車番号」とは、時刻表(ダイヤ)上で列車を区別するために付与される番号である。車両運用データ記憶部122に記憶される車両運用データには、各編成のローテーションを設定した基本運用データと、日付をつけて使用予定を設定した計画運用データ(当初の運用)と、輸送混乱等による変更運用データとがあり、これらのデータが上書きされることなくそれぞれ記憶される。
本実施形態では、運用表編集処理部111が車両運用データ記憶部122から車両運用データを読み出して運用表データを作成して運用表データ記憶部123に格納する。また、運用ダイヤ編集処理部112が運用表データ記憶部123から運用表データを読み出して運用ダイヤを作成したり、入力処理部131からの入力に従って車両運用データを変更し、変更後のデータを記憶部122に格納したりする。また、運用順序表編集処理部113が車両運用データ記憶部122や運用表データ記憶部123からデータを読み出して運用順序表を作成したり、入力処理部131からの入力に従って車両運用データを変更し、変更後のデータを記憶部122に格納したりする。
図2には上記運用表編集処理部111により生成される運用表とこの表を表示する画面の構成例が、また図3には上記運用ダイヤ編集処理部112により生成される運用ダイヤとこれを表示する画面の構成例が、さらに図4には上記運用順序表編集処理部113により生成される運用順序表とこれを表示する画面の構成例が、それぞれ示されている。
図2に示されているように、運用表は、左側の縦の欄に運用対象の編成番号A01,A02,A03……が順に記述され、上側の横の欄に日付が順に記述され、縦欄と横欄の交差する位置(マス目)に運用番号が#1,#2,#3……が記述されている。図2は基本となる計画運用表であり、この図から分かるように、運用番号#1,#2,#3……は、各編成に対して例えば1か月のような期間で循環して割り当てられる。
図3に示されているように、運用ダイヤは、縦軸に運用対象路線の駅名を記述し、横軸に時刻をとって1日の全列車の運行スケジュール(行路)を棒線(スジ)で表したものである。
従来の運用ダイヤは、各列車のスジに沿って列車番号のみが表記されていたが、本実施形態では、各列車のスジに沿った列車番号T01U,T02U,T03U……; T01D,T02D,T03D……の他に、各列車のスジの始点と終点すなわち運用開始と運用終了の箇所に、それぞれ運用番号#1,#2,#3……と編成番号A01,A02,A03……が記述されるようになっている。○印は当該列車が車両配置区所等から行路である線路に出る「出区」を意味し、△は当該列車が行路である線路から車両配置区所等へ入る「入区」を意味している。このような運用ダイヤを表示することによって、各列車番号と運用および編成との関係を容易に把握することができる。
図4に示されているように、運用順序表は、縦軸に運用番号が#1,#2,#3……を記述し、横軸に時刻をとって、運用のつながりを線(サオ)で表したものである。また、各運用#1,#2,#3……に該当させる編成の番号A01,A02,A03……を、運用番号#1,#2,#3……の隣に記載してある。さらに、運用のつながりを示す線には、対応する列車番号T11U,T12U,T13U……; T21D,T22D,T23D……が付記してある。このような運用順序表を表示することによって、各運用の相互関係や検査の割り付けを容易に把握することができる。図4においても、○印は当該列車が「出区」であることを意味し、△は当該列車が「入区」であることを意味している。
前述したように、運用の中には、仕業検査や交番検査等の作業も割り当てられており、図4においては、これらの作業が、例えば○印の中に「仕」なる文字などが付記された記号が表示され、その時間帯でそれらの作業が計画されていることが示されている。「仕業検査」は、例えば2−6日毎の短い周期で行なわれる検査で、集電装置や台車、ブレーキなど特に運転に必要不可欠な装置の点検を、車両を運用から外さずに行う検査である。また、「交番検査」は、仕業検査よりも長い周期(例えば1ヶ月)で行われるもので、仕業検査と同じく車両を分解せずに行われる検査であるが、仕業検査よりも詳細な検査が行われる。
なお、図2〜図4において、作業メニュー欄WMCに設けられている符号DBが付されているボタンは、表示切替ボタンであって、この表示切替ボタンDBをマウス142でクリックすると、「運用表」、「運用ダイヤ」、「運用順序表」の3つの語が列記されたサブ画面が表示され、3つの中から1つを選択してクリックすると、表示装置143に対応する画面が切替え表示されるように構成されている。
また、図3の運用ダイヤ画面の作業メニュー欄WMCには、「運用グループ切替」ボタンGBまたは「線区切替」ボタンLBが設けられており、「運用グループ切替」ボタンGBをクリックすると複数の「運用グループ」が、また「線区切替」ボタンLBをクリックすると、例えば「X線区」、「Y線区」、「Z線区」など対象エリア内に存在する複数の線区名(路線名)が列記されたサブ画面が表示され、これらの中から1つを選択してクリックすると、表示装置143の表示画面が、選択された運用グループまたは線区(路線もしくはその一部の区間)の運用ダイヤ画面に切り替わるように構成されている。
本実施形態の車両運用業務支援装置100の処理実行制御部110には、上述したような機能の他に、運用変更機能が設けられている。運用変更機能は、図2の運用表の表示画面や図3に示す運用ダイヤの画面および図4に示す運用順序表の画面において出現させることができる。具体的には、各画面の上部のメニュー欄の一番右側に、「機能」ボタンFBが設けられており、マウス142を操作してこのボタンFBにカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックする。
すると、選択可能な機能の一覧を示すサブ画面が表示される。ここで、マウス142を操作して「運用変更」を選択すると、図5に示すような入力用のサブ画面が出現するので、マウス142とキーボード141を使用して「項目」を選択する。そして、列車番号、運用番号または編成番号を入力するとともに、変更の内容(例えば併結の位置等)を入力すると、車両運用データおよび運用表データに変更内容が直ちに反映される。さらに、運用ダイヤの画面(図3)や運用順序表の画面(図4)、運用表画面(図2)へも、変更した運用内容を反映し表示可能に構成されている。
なお、「機能」ボタンFBにより選択可能な機能として、上記「運用変更」の他に、「運用自動提案」機能があり、事故等で乱れたダイヤが平復された後に、運用実績を反映してから、「運用自動提案」をマウスで選択すると、変更された車両運用を計画運用に戻す運用変更案をシステムが提案するように構成されている。
本実施形態における運用変更には、「運用接続」「運用分断」「運休設定」「併結設定」「分割設定」「復活設定」「臨時作成」「延長作成」の項目がある。
ここで、各項目の意味を簡単に説明すると、「運用接続」は2つの運用を接続し1つの運用にまとめること、「運用分断」は1つの運用を分断して2つの運用を作成することである。また、「併結設定」は新たに2つの編成を併結すること、「分割設定」は併結している編成を2つに分割すること、「運休設定」は列車の運転を取りやめること、「復活設定」は運休している列車(運用)を復活することである。さらに、「臨時作成」は新たに臨時列車運用を設定すること、「延長作成」は運用(運転)区間を延長することである。
次に、迂回線区を利用した輸送計画の変更に対応する処理について説明する。
図6は、迂回線区を利用した輸送計画の変更を説明する図であり、(a)は迂回線区を含む路線の一例の説明図、(b)は臨時番号を用いた例を示す説明図、(c)は実施形態の対応例を示す説明図である。
図6(a)の路線に示すように、路線の中には、途中駅(d駅、f駅)を迂回して元の路線に戻ることのできる路線がある。途中駅で不具合等があった場合に、迂回線区を利用することで、一部の線区は運休となるが、始発から終点への輸送を遂行することができる。
図6(b)に示すように、このような迂回線区を利用した輸送計画の変更があった場合、一般に、迂回線区の区間に対して臨時番号(すなわち、臨時の列車番号“T9002U”と臨時の運用番号“#995”)を付けて、列車や運用の管理を行うことができる。
しかしながら、本実施形態においては、このような迂回線区を利用した輸送計画の変更に対して、図6(c)に示すような運用変更の処理を行うようになっている。この運用変更は、迂回線区の走行に対して、迂回しなかった場合と共通の列車番号および運用番号を割り当て、且つ、途中駅の情報を部分的に変更したものである。さらに、本実施形態では、迂回線区を利用した輸送計画の変更があった場合に、簡単な入力により、このような運用変更の処理が可能となっている。続いて、これらの処理の詳細を説明する。
このような運用変更の処理を実現するため、本実施形態の車両運用業務支援装置100の処理実行制御部110には、迂回運用変更入力処理機能が設けられている。迂回運用変更入力処理機能は、例えば運用ダイヤ編集処理部112が有する機能であり、図3に示す運用ダイヤの画面において出現させることができる。具体的には、マウス142を操作して、画面の「機能」ボタンFBにカーソル合わせて、マウス142の左ボタンをクリックする。すると、選択可能な機能の一覧を示すサブ画面が表示される。ここで、マウス142を操作して「迂回変更」を選択すると、図7に示すような、入力用のサブ画面が出現するので、マウス142とキーボード141を使用して必要な項目にデータを入力する。
「迂回変更」のサブ画面では、対象列車番号、迂回開始駅、迂回終了駅、迂回により通る途中駅、各途中駅の着発時刻を入力することができる。対象列車番号とは、迂回する列車の列車番号である。
図8は、迂回運用変更処理部115により実行される迂回運用変更処理の手順を示すフローチャートである。
迂回運用変更処理部115は、上述した迂回変更の入力があった場合に、この輸送計画の変更を車両運用の変更として車両運用データに反映させる。具体的には、図8に示すように、先ず、迂回運用変更処理部115は、「迂回変更」の入力画面に記入されたデータを入力し(ステップS101)、対象列車番号に迂回開始駅から迂回終了駅までを運休として設定し(ステップS102)、入力された途中駅を通る迂回開始駅から迂回終了駅までの臨時列車の運用を作成する(ステップS103)。ここで、臨時列車の列車番号は、対象列車番号と同じ列車番号とする。また、対象列車番号の編成が併結列車であれば併結列車として臨時列車の運用が作成される。
次いで、迂回運用変更処理部115は、ステップS103の臨時列車の運用の運用番号として、対象列車番号の運用番号と同じ番号を割り当てる(ステップS104)。続いて、迂回運用変更処理部115は、対象列車番号の運用と、ステップS103で作成した運用とを迂回開始駅と迂回終了駅とで接続する運用接続の処理を行う(ステップS105、S106)。運用接続の処理は、付属編成があれば付属編成についても行われる。
ステップS102〜106で処理された運用変更の内容は、車両運用データ記憶部122に格納されている車両運用データに反映される。そして、この迂回運用変更処理が終了する。
このような迂回運用変更処理により、図6(c)に示したように、列車番号と運用番号とが迂回変更前の運用のものと共通にされ、途中駅の情報が変更された運用変更が車両運用データに反映される。
続いて、このような形式の車両運用の変更による効果について説明する。
図9は、迂回線区を利用した輸送計画の変更があった場合の運用表の変化例を示す説明図であり、(a)は臨時番号を用いた場合の例、(b)は実施形態を適用した場合の例である。図10は、迂回線区を利用した輸送計画の変更があった場合の運用順序表の変化例を示す説明図であり、(a)は臨時番号を用いた場合の例、(b)は実施形態を適用した場合の例である。
迂回線区の運用に臨時運用番号が付されると、図9(a)に示すように運用表において運用番号の変更が示される(箇所C1を参照)。また、図10(a)に示すように運用順序表に日の途中で異なる運用番号の欄へ移動することを示す破線矢印(箇所C5、C7を参照)と、運休区間を示す破線棒(箇所C6を参照)とが記される。このような表示がなされると、ダイヤ平復後の運用戻しを担う担当者が、この編成に対して途中で運用変更が発生したと認識する。このため、運用戻しの際、担当者は、同一行(箇所C2を参照)に登録されている翌日以降の作業計画を、そのままでは適用できないと誤って認識する可能性がある。これにより、この編成の運用計画に対して不要な作業計画の見直しや修正が行われてしまうという非効率的な作業が生じてしまうことがある。
また、列車番号が臨時の列車番号に変更されていると、列車番号に紐づけて処理されている種々の管理操作が、そのまま実行できなくなるという不都合が生じる。例えば、編成の走行キロ数の積算を行う管理操作は、編成の列車番号に臨時列車番号が含まれていると、例外としてその部分の積算処理を中断する。また、列車番号を指定して列車種別を判別するときに臨時列車番号が付されている編成が見逃される可能性がある。
一方、本実施形態では、迂回線区の運用番号が、変更前のものと共通にされ、且つ、途中駅の情報が部分的に変更される。これにより、図9(b)の運用表に示すように、編成の運用番号が変わることがない(箇所C3を参照)。それ故、担当者は、同一行(箇所C4を参照)に登録されている翌日以降の運用の流れを、このまま適用できると直観的に認識できる。また、図10(b)の運用順序表においても、運用が変更された印象を与えないので、この編成に割り当てられていた作業計画が不必要に見直されることが生じにくい。加えて、運用順序表において、担当者は、途中駅が変更されたことを表示により確認できる(箇所C8を参照)。
また、本実施形態では、迂回線区の運行の列車番号が変更前のものと共通にされるので、列車番号に紐づけて処理されている種々の管理操作を、そのまま適用することができる。例えば、編成の走行キロ数の積算を行う管理操作が、列車番号に基づいて積算処理を行う構成であっても、途中に臨時列車番号が介在していないので、例外処理が発生せずに処理を完了できる。また、列車番号を指定して列車種別を判別したり、列車番号単位で入力されていた運用変更の処理もそのまま適用することができる。
なお、上記のように車両運用業務支援システムで積算した編成の走行キロ数の情報は、輸送管理を行う車両管理計画システムへ送信して各編成の実績管理に利用されるように構成してもよい。
次に、適応運用変更処理部114に含まれる実績運用変更処理部116の機能について説明する。鉄道輸送を管理するシステムの中には、各編成がどこを走行しているか無線通信を用いてリアルタイムで把握する編成位置把握システムがある。編成位置把握システムでは、各編成の走行実績データを編成位置把握システムの管理サーバが受信する。走行実績データには、編成の列車情報と位置情報などが含まれる。
輸送混乱等があると、各編成は輸送指令より列車番号の訂正を受け、これにより編成の運用が変更される。車両運用業務支援装置100では、実績運用変更処理部116が編成位置把握システムからの情報に基づいて各編成の運用の変更がないか判定し、変更有りと判定された場合に、自動的に運用変更の処理を行って、車両運用データ記憶部122に記憶されている車両運用データに反映させるようになっている。
運用変更には、基本編成(10両編成)或いは付属編成(5両編成)の単独走行から、基本編成と付属編成とを併結した15両編成の走行へ変更する運用変更が含まれることもある。また、基本編成と付属編成とを併結した15両編成の走行から、基本編成或いは付属編成の単独走行へ変更する運用変更が含まれることもある。
実績運用変更処理部116は、運用変更の判定を行う前に、車両運用データ記憶部122の最新の車両運用データと編成位置把握システムから受信した各編成の走行実績データとを組み合わせて、次の情報を取得する。
・予め設定した運用
・併結している編成の運用
・前回の走行実績データ
・走行した列車サオ
・前回の走行した列車サオ
ここで、「予め設定した運用」とは、運用変更の判定対象となる編成に割り当てられている運用のことであり、走行実績データの列車番号および駅と車両運用データ記憶部122に格納された車両運用データとから特定される。予め設定した運用は、基本編成の走行実績データであれば基本編成の運用となり、付属編成の走行実績データであれば付属編成の運用となる。予め設定した運用が複数見つかる場合には、サオの発駅がその駅となる運用を、予め設定した運用とする。サオとは、運用のつながりを線で示したものであり、列車番号または編成番号が変わるところで分断される。
「併結している編成の運用」は、運用変更の判定対象となる編成の併結相手に割り当てられている運用のことであり、走行実績データの列車番号およびその駅と車両運用データ記憶部122に格納された車両運用データとから特定される。基本編成の走行実績データであれば、併結している編成の運用は付属編成の運用となり、付属編成の走行実績データであれば、併結している編成の運用は基本編成の運用となる。併結している編成の運用が複数見つかる場合には、サオの発駅がその駅となる運用を、併結している編成の運用とする。
「前回の走行実績データ」とは、走行実績データを送ってきた編成から、前回までに送られてきた走行実績データのうち、当日内で最新のものである。
「走行した列車サオ」とは、運用変更の判定対象となる編成に実際に割り当てられているサオのことであり、予め設定した運用と走行実績データに含まれる列車番号とから取得する。
「前回の走行した列車サオ」とは、当日中、運用変更の判定対象となる編成に対して、現在割り当てられているサオの前に割り当てられているサオのことであり、「予め設定した運用」と「走行した列車サオ」に基づき車両運用データから取得する。
実績運用変更処理部116は、上記のような情報を取得したら、これらに基づいて図11の運用判定変更処理を行う。
図11は、実績運用変更処理部により実行される運用判定変更処理の手順を示すフローチャートである。
運用判定変更処理は、編成位置把握システムから通信処理部133を介して取得された個々の走行実績データごとに実行される。実績運用変更処理部116は、1つの走行実績データについて基本編成と付属編成との両方について実行する。基本編成が無い場合または付属編成が無い場合でも両方について実行する。
運用判定変更処理では、実績運用変更処理部116は、取得された走行実績データに対して、運用に供した編成があるか(ステップS201)、予め設定した運用があるか(ステップS202、S207)、走行実績があるか(ステップS203、S212)、連続して走行しているか(ステップS204)、運用開始のサオであるか(ステップS215)、併結している編成の運用があるか(ステップS210)といった必要な条件判定を行う。
ここで、「運用に供した編成」とは、走行実績データを送ってきた編成のことである。基本編成が送ってきた走行実績データに対して、付属編成の運用判定変更処理を行う場合には、運用に供した編成がなしとなる可能性がある。「予め設定した運用」と「前回の走行実績データ」と「併結している編成の運用」は、事前に取得したデータに含まれる。
「連続して走行しているか」の判定(ステップS204)は、次のa〜dの条件に基づいて行われる。a〜dの条件を1つでも満たさない場合に連続して走行していると判定する。
a.前回の走行実績データの列車番号が前回の走行した列車サオと同一
b.前回の走行実績データの駅が前回の走行した列車サオの終了駅と同一
c.走行した列車サオの開始駅が走行実績データの駅と同一
d.前回の走行実績データの駅が今回の走行実績データの駅と同一
「運用開始のサオであるか」の判定(ステップS215)は、次のe、fの条件に基づいて行われる。e、fの何れかを満たせば運用開始のサオでないと判定する。
e.前回の走行した列車サオがある
f.前回の走行した列車サオがなく、走行実績データの駅が、走行した列車サオの開始駅と異なる
ステップS201〜S204の判定結果がYESであれば、運用変更がないと判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、運用変更の処理を行わずに(ステップS205)、対象編成についての運用判定変更処理を終了する。
また、ステップS201、S207の判定結果がNOであれば、対象の編成および運用がない、或いは、入力間違いまたは未反映の延長列車の運用と判定できる。よって、この場合、運用変更できないため、運用変更の処理を行わずに(ステップS209)、運用判定変更処理を終了する。
さらに、ステップS201の判定結果がYES、ステップS202、S210の判定結果がNOであれば、判断を保留とし(ステップS211)、運用判定変更処理を終了する。
ステップS201〜S203の判定結果がYES、ステップS204の判定結果がNOであれば、現在の運用とつながっていない列車の走行実績データが取得されたと判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、運用接続の処理を行う(ステップS206)。運用接続では、運用番号、列車番号、併結している編成の運用番号、相手列車番号および、接続駅を、次のように設定する。
・運用番号:「前回の走行実績データ」の運用番号
・列車番号:「前回の走行実績データ」の列車番号
・併結している編成の運用番号:「予め設定した運用」の運用番号
・相手列車番号:「走行した列車」の列車番号
・接続駅:走行実績データの駅
ステップS201の判定結果がNO、ステップS207の判定結果がYESであれば、併結で走行予定の列車から単独の走行実績データが取得されたと判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、分割設定の処理を行う(ステップS208)。分割設定では、運用番号、列車番号、分割駅を、次のように設定する。
・運用番号:「併結している編成の運用」の運用番号
・列車番号:「走行した列車」の列車番号
・分割駅:走行実績データの駅
ステップS201の判定結果がYES、ステップS202の判定結果がNO、ステップS210、ステップS212の判定結果がYESであれば、単独で走行予定の列車から併結した編成の走行実績データが取得されたと判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、併結設定と運用接続の処理を行う(ステップS213)。
併結設定では、運用番号、列車番号、併結駅、新車両運用番号、運用グループ、併結位置を、次のように設定する。
・運用番号:「併結している編成の運用」の運用番号
・列車番号:「走行した列車」の列車番号
・併結駅:走行実績データの駅
・新車両運用番号:任意の未使用の番号
・運用グループ:「運用に供した編成」の運用グループ
・併結位置:「走行した列車」の方向と運用グループから特定される位置
運用接続では、運用番号、列車番号、接続駅、併結している編成の運用番号、相手列車番号を、次のように設定する。
・運用番号:「前回の走行実績データ」の車両運用
・列車番号:「前回の走行実績データ」の列車番号
・接続駅:走行実績データの駅
・併結している編成の運用番号:併結設定の新車両運用番号
・相手列車番号:「走行した列車」の列車番号
ステップS201の判定結果がYES、ステップS202の判定結果がNO、ステップS210の判定結果がYES、ステップS212の判定結果がNOであれば、単独で走行予定の列車駅について未走行の編成が併結した走行実績データが取得されたと判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、併結設定と運用割当の処理を行う(ステップS214)。運用割当とは、編成に新規に運用を割り当てることである。
併結設定では、運用番号、列車番号、併結駅、新車両運用番号、運用グループ、併結位置を、次のように設定する。
・運用番号:「併結している編成の運用」の運用番号
・列車番号:「走行した列車」の列車番号
・接続駅:走行実績データの駅
・新車両運用番号:任意の未使用の番号
・運用グループ:「運用に供した編成」の運用グループ
・併結位置:「走行した列車」の方向と運用グループから特定される位置
運用割当では、運用番号と編成番号を、次のように設定する。
・運用番号:併結設定の新車両運用番号
・編成番号:「運用に供した編成」の編成番号
ステップS201、S202の判定結果がYES、ステップS203の判定結果がNO、ステップS215の判定結果がYESであれば、編成が運用の先頭から走行した走行実績データが取得され、運用計画と同一または異なる編成の場合があると判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、運用割当の処理を行う(ステップS216)。運用割当では、運用番号と編成番号とを次のように設定する。
・運用番号:「予め設定した運用」の運用番号
・編成番号:「運用に供した編成」の編成番号
ステップS201、S202の判定結果がYES、ステップS203、S215の判定結果がNOであれば、特別運行等により新編成が運用の途中から走行していると判定できる。よって、この場合、実績運用変更処理部116は、運用分断と運用割当との処理を行う(ステップS217)。
運用分断では、運用番号、列車番号、分断駅を、次のように設定する。
・運用番号:「予め設定した運用」の運用番号
・列車番号:「走行した列車」の列車番号
・分断駅:走行実績データの駅
運用割当では、運用番号と編成番号とを次のように設定する。
・運用番号:運用分断後の運用番号
・編成番号:「運用に供した編成」の編成番号
このような処理により、走行実績データに即した運用変更の処理が自動的に行われる。
場合により、メンテナンス等のため編成の走行実績データを受信できない時間帯(以下、「停止時間帯」と呼ぶ)がある。また、走行実績データの送受信が可能な地域から編成が外れた場合にも走行実績データが受信できなくなる。よって、実績運用変更処理部116は、編成が送信した走行実績データを受信できていないことを示す通信中断フラグ124の設定処理を行って、通信中断フラグ124の値を運用判定変更処理において利用するようにしてもよい。
通信中断フラグ124の設定方法としては、毎日の停止時間帯の終了時に「無効(未受信でない)」の設定を行い、例えば1時間以上新しい走行実績データが取得できない場合に、停止時間帯になったと判定して「有効(未受信中)」に設定する方法を採用できる。
運用判定変更処理では、ステップS215の「運用開始のサオであるか」の判定条件の一つとして、通信中断フラグ124の値を利用することができる。通信中断フラグ124が有効の場合、実績運用変更処理部116は、運用開始のサオか否かを示す他の条件の結果に依らずに、ステップS215の判定結果をYESとしてステップS216に処理を移行すればよい。
なお、実績運用変更処理部116は、編成位置把握システムが停止している時間帯に運用変更はなかったものとして処理し、この間の運用変更は手入力で対応すればよい。
上述したように、本実施形態の車両運用業務支援装置100は、路線の一部の駅を迂回して元の路線に戻るような輸送計画の変更があった場合、迂回運用変更処理部115により、この変更に適した運用変更の処理を行って車両運用データに反映することができる。よって、このような変更に対して、効率的な運用管理の処理を行うことができる。
さらに、本実施形態の車両運用業務支援装置100は、実績運用変更処理部116により、編成位置把握システムの情報を利用して運用変更の判定を行い、運用変更の処理を自動的に行うことができる。よって、運用変更の大部分を自動的に車両運用データに反映させることができ、運用変更の入力処理の手間が大幅に削減できる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、運用表編集処理部111と運用ダイヤ編集処理部112と運用棒編集処理部113と適応運用変更処理部114を、1つのCPUで構成しているが、これらの機能部を複数のCPUで構成するようにしても良い。
100 車両運用業務支援装置
110 処理実行制御部
111 運用表編集処理部
112 運用ダイヤ編集処理部
113 運用棒編集処理部
114 適応運用変更処理部
115 迂回運用変更処理部
116 実績運用変更処理部
120 データ記憶部
121 車両運用業務支援プログラム記憶部
122 車両運用データ記憶部
123 運用表データ記憶部
124 通信中断フラグ
131 入力処理部

Claims (4)

  1. 演算処理装置および記憶装置と入力装置と表示装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用および作業を管理する車両運用業務支援システムにおいて、
    前記演算処理装置は、
    縦の欄に運用対象の編成番号が順に記述され、横の欄に日付が順に記述された運用表を編集する運用表編集処理手段と、
    縦軸に複数の駅名をとり、横軸に時間をとって各列車の運行を線で表した運用ダイヤを編集する運用ダイヤ編集処理手段と、
    縦軸に運用番号をとり、横軸に時間をとって各列車の運行を線で表した運用順序表を編集する運用順序表編集処理手段と、
    編成の運行予定に変更があった場合に変更後の運行に適応させて前記車両運用データを変更可能な適応運用変更処理手段と、
    を備え
    前記適応運用変更処理手段は、
    編成の運行予定が一部の駅を迂回する路線へ変わる運用変更に対応して、運用番号および列車番号を変更前と共通にして路線の途中駅の情報を追加または変更するように前記車両運用データを変更可能な迂回用運用変更処理手段を含み、
    前記運用表編集処理手段、前記運用ダイヤ編集処理手段及び前記運用順序表編集処理手段は、前記適応運用変更処理手段による変更が反映された前記車両運用データに基づく前記運用表、前記運用ダイヤ及び前記運用順序表をそれぞれ編集可能であることを特徴とする車両運用業務支援システム。
  2. 前記演算処理装置は、
    編成の運行予定を一部の駅を迂回する路線へ変更する運用変更に対応して、変更対象の列車番号、迂回開始駅、迂回終了駅、迂回中の途中駅、および前記途中駅の着発時刻を前記入力装置より入力可能とする迂回用入力処理手段を更に備え、
    前記迂回用運用変更処理手段は、前記迂回用入力処理手段による入力に基づいて、前記変更対象の列車番号の路線のうち迂回により運休となった区間の運休設定と、迂回走行する区間に前記変更対象の列車番号と同一の列車番号を設定した臨時列車の運用作成と、前記臨時列車の運用番号として前記変更対象の列車番号の運用番号の割当と、前記変更対象の列車番号の運用と前記臨時列車の運用とを前記迂回開始駅および前記迂回終了駅で接続する運用接続とを行うことを特徴とする請求項1記載の車両運用業務支援システム。
  3. 演算処理装置および記憶装置と入力装置と表示装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用および作業を管理する車両運用業務支援システムにおいて、
    前記演算処理装置は、
    縦の欄に運用対象の編成番号が順に記述され、横の欄に日付が順に記述された運用表を編集する運用表編集処理手段と、
    縦軸に複数の駅名をとり、横軸に時間をとって各列車の運行を線で表した運用ダイヤを編集する運用ダイヤ編集処理手段と、
    縦軸に運用番号をとり、横軸に時間をとって各列車の運行を線で表した運用順序表を編集する運用順序表編集処理手段と、
    編成の運行予定に変更があった場合に変更後の運行に適応させて前記車両運用データを変更可能な適応運用変更処理手段と、
    編成に搭載された位置送信装置から無線により列車番号、編成番号、および走行位置の情報を受信して編成の位置を把握する編成位置把握システムから送信される情報を受信する受信手段と、
    を備え
    前記適応運用変更処理手段は、
    前記受信手段により受信された情報と前記車両運用データとに基づいて、前記編成の運用に変更があるか判定し、変更有りと判定された場合に、当該編成の運用の変更を前記車両運用データに反映させる実績運用変更処理手段を含み、
    前記運用表編集処理手段、前記運用ダイヤ編集処理手段及び前記運用順序表編集処理手段は、前記適応運用変更処理手段による変更が反映された前記車両運用データに基づく前記運用表、前記運用ダイヤ及び前記運用順序表をそれぞれ編集可能であることを特徴とする車両運用業務支援システム。
  4. 前記実績運用変更処理手段は、前記位置送信装置の通信中断の有無を示す通信中断フラグの設定処理を行い、前記受信手段により受信された情報と前記車両運用データと前記通信中断フラグとに基づいて前記編成の運用に変更があるか判定することを特徴とする請求項3記載の車両運用業務支援システム。
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