JP2004232845A - 単筒型油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】油温上昇等の温度に起因する内圧上昇が生じ難いガス室の構造を備えた単筒型油圧緩衝器を提供する。
【解決手段】単筒型油圧緩衝器において、シリンダ体21の外側にこのシリンダ体21を覆うアウターカバー41を設けてシリンダ体21とアウターカバー41との間に第二のガス室42を形成し、この第二のガス室42をシリンダ体21内のガス室Gと連通させた。
【選択図】 図1
【解決手段】単筒型油圧緩衝器において、シリンダ体21の外側にこのシリンダ体21を覆うアウターカバー41を設けてシリンダ体21とアウターカバー41との間に第二のガス室42を形成し、この第二のガス室42をシリンダ体21内のガス室Gと連通させた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両のサスペンション装置に使用する単筒型油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の単筒型油圧緩衝器としては、特許文献1に示すものを例示することができる。
【0003】
この単筒型油圧緩衝器は、自動車のサスペンション装置に使用されるものであり、その構造を簡略化して示すと、図4に示すように、シリンダ体1と、このシリンダ体1内に往復動可能に収挿されてシリンダ体内を高圧のガス室Gと油室Oとに分離するフリーピストン2と、同じくシリンダ体1内にピストン体5を介して出没自在に挿入されたロッド体13と、上記油室O内をピストン体5を介して区画したロッド側室11と反ロッド側室12と、シリンダ体1の開口端に設けられて上記ロッド体13を支持するベアリング3と、このベアリング3よりシリンダ体1の開口端側又はロッド側室11側に設けられてロッド体13との間の隙間をシールするオイルシール4とを備えている。
【0004】
又、ピストン体5のロッド側室11側面には圧側ポート6を開閉可能に閉塞する圧側バルブ7が設けられるとともに、ピストン体5の反ロッド側室12側面には伸側ポート8を開閉可能に閉塞する伸側バルブ9が設けられている。
【0005】
従って、ロッド体13の伸び行程時には、加圧されたロッド側室11内の作動油が伸側ポート8を介して伸側バルブ9を押し開き、反ロッド側室12側に流れると同時に伸側の減衰力を発生する。
【0006】
又、ロッド体13の縮み行程時には、加圧された反ロッド側室12内の作動油が圧側ポート6を介して圧側バルブ7を押し開き、ロッド側室11側に流れると同時に圧側の減衰力を発生する。
【0007】
【特許文献1】
実開昭58−69136号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成された単筒型油圧緩衝器においては、次に示すような問題点が考えられる。
【0009】
即ち、シリンダ体1からロッド体13が出没を繰り返す使用状態のうち、特にロッド体13が高速で出没を繰り返す特殊な使用状態では、油室O内の油温が上昇して体積膨張を引き起こすと同時に、この油室Oにフリーピストン2を介して隣接するガス室Gの温度も上昇させ、その内圧を上げる。
【0010】
この内圧の上昇と作動油自体の体積膨張とによってベアリング3とロッド体13との摺動隙間やベアリング3に設けた油戻し孔10を介してオイルシール4に大きな圧力負荷を加えることになる。
【0011】
元来、この種の単筒型油圧緩衝器では、上述したようにロッド体13との摺動隙間や油戻し孔10を介してオイルシール4に圧力が直接加わる構造となっているので、オイルシール4としては高圧下における信頼性の高いものを採用しているが、上述した圧力負荷が頻繁にオイルシール4に加わると、オイルシール4自体の寿命を低下させるという問題点が考えられる。
【0012】
特に、ガス室G内の高圧ガスは温度に対する内圧上昇率が二次曲線的に高くなる性質を持っており、僅かな温度上昇によってガス室Gの内圧が上昇し、上記のオイルシール4に加わる圧力負荷を増大させるので問題となる。
【0013】
従って、本発明の目的は、油温等の温度上昇に起因する内圧上昇が生じ難いガス室の構造を備えた単筒型油圧緩衝器を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、シリンダ体と、このシリンダ体内に往復動可能に収挿されてシリンダ体内を高圧のガス室と油室とに分離するフリーピストンと、同じくシリンダ体内にピストン体を介して出没自在に挿入されたロッド体と、上記油室内をピストン体を介して区画したロッド側室と反ロッド側室と、シリンダ体の開口端に設けられて上記ロッド体を支持するベアリングと、このベアリングよりシリンダ体の開口端側又はロッド側室側に設けられてロッド体との間の隙間をシールするオイルシールとを備えた単筒型油圧緩衝器において、シリンダ体の外側にこのシリンダ体の全周又は外周の一部を覆うアウターカバーを設けてシリンダ体とアウターカバーとの間に第二のガス室を形成し、この第二のガス室をシリンダ体内のガス室と連通させたことを特徴とする。
【0015】
この場合、アウターカバーは、シリンダ体の全周を覆う筒状に形成され、シリンダ体の基端部から開口端部近傍に亘って形成されているのが好ましい。
【0016】
同じく、アウターカバーがシリンダ体の外周の一部を軸方向に沿って覆う断面半円状又は扇形形状に形成されていても良い。
【0017】
又、シリンダ体の基端部外周にこのシリンダ体を覆うアウターカバーを設けてアウターカバーとシリンダ体との間に第二のガス室を設け、シリンダ体の基端部に穿設した孔部を介してこの第二のガス室とシリンダ体内のガス室とを連通させても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を自動車のサスペンション装置に使用する単筒型油圧緩衝器に具体化した実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
この単筒型油圧緩衝器は、シリンダ体21と、このシリンダ体21内に往復動可能に収挿されてシリンダ体21内を高圧のガス室Gと油室Oとに分離するフリーピストン22と、同じくシリンダ体21内にピストン体28を介して出没自在に挿入されたロッド体23と、上記油室O内をピストン体28を介して区画したロッド側室26と反ロッド側室27と、シリンダ体21の開口端に設けられて上記ロッド体23を支持するベアリング24と、このベアリング24よりシリンダ体21の開口端側又はロッド側室26側に設けられてロッド体23との間の隙間をシールするオイルシール25とを備えており、基本的には従来技術で示したものと同様の構造を有している。
【0020】
又、ピストン体28は、ロッド体23に対してナット29によって固定されると共に、そのピストン体28のロッド側室26側面には圧側ポート30を開閉可能に閉塞する圧側バルブ31が設けられ、ピストン体28の反ロッド側室27側面には伸側ポート32を開閉可能に閉塞する伸側バルブ33が設けられている。
【0021】
そして、本発明の特徴とする構成は、シリンダ体21の外側にこのシリンダ体21の基端部から開口端部近傍を覆う筒状のアウターカバー41を設け、このアウターカバー41の両端縮径部を溶接等によってシリンダ体21に固定するとともに、アウターカバー41とシリンダ体21との間に第二のガス室42を形成している点である。
【0022】
又、シリンダ体21の基端部には二つの孔部43が穿設され、この孔部43を介してこの第二のガス室42とシリンダ体21内のガス室Gとが連通されている。
【0023】
尚、36は、シリンダ体21の底部に溶接固定された取付アイ、37は、フリーピストンに取付けられたOリング、38は、ベアリング24に設けた油戻し孔である。
【0024】
上記のように構成された単筒型油圧緩衝器においては、ロッド体23の伸び行程時には、加圧されたロッド側室26内の作動油が伸側ポート32を介して伸側バルブ33を押し開き、反ロッド側室27側に流れると同時に伸側の減衰力を発生する。
【0025】
又、ロッド体23の縮み行程時には、加圧された反ロッド側室27内の作動油が圧側ポート30を介して圧側バルブ31を押し開き、ロッド側26室に流れると同時に圧側の減衰力を発生する。
【0026】
そして、このロッド体23の伸縮行程が頻繁に繰り返される使用状態のうち、特にロッド体が高速で出没を繰り返す特殊な使用状態では、油室O内の油温が上昇して体積膨張を引き起こすと同時に、この油室Oにフリーピストン22を介して隣接するガス室Gの温度も上昇し、その内圧を上げる。
【0027】
この内圧の上昇と作動油自体の体積膨張とによってベアリング24に設けた油戻し孔38、及びロッド体23との隙間を介してオイルシール25に大きな圧力負荷を加えることになる。
【0028】
ところが、本実施の形態では、シリンダ体21の外側にこのシリンダ体21を覆うアウターカバー41を設けてシリンダ体21とアウターカバー41との間に第二のガス室42を形成し、この第二のガス室42をシリンダ体21内のガス室Gに前記孔部43を介して連通させることによってガス室Gの容積を大きくしているので、その分、上述した温度上昇が起き難く、ガス室Gの内圧上昇を抑制することができる。
【0029】
従って、ガス室Gの内圧上昇によるオイルシール25への圧力負荷を低減でき、ひいては、オイルシール25自体の寿命を延ばすことができる。
【0030】
特に、高圧のガス室Gは、温度に対する内圧上昇率が二次曲線的に高くなる性質を持っているので、上記の構造によって温度上昇に起因する内圧上昇を抑制することは、オイルシール25に加わる圧力負荷を増大させない点で大変有効である。
【0031】
又、シリンダ体21の外周に設けた第二のガス室42の径を大きく設定することによって、シリンダ体21内のガス室Gの軸方向への長さを短くすることができるので、この種の単筒型油圧緩衝器のデメリットである基本長が長くなるという問題点も解決することができる。
【0032】
又、本実施の形態では、アウターカバー41をシリンダ体21の全周を覆う筒状に形成するとともに、シリンダ体21の基端部から開口端部近傍に渡る長さに形成したので、車両の走行中における飛び石等によるシリンダ体21への傷付けを防止する所謂、プロテクタとしての役割も果たすことができる。
【0033】
更には、シリンダ体21の外周部にスプリングシートや、ホースブラケット等を溶接等によって取り付ける場合、取付方法に起因するシリンダ体21の変形によるピストン体28の作動不良を考慮する必要がないので、取付方法、取付位置等の自由度を確保することができる。
【0034】
又、アウターカバー41をシリンダの基端部を覆うように設け、このアウターカバー41とシリンダ体21とで形成された第二のガス室42をシリンダ体41の基端部に穿設した孔部43を介してシリンダ体21内のガス室Gと連通させたので、特別な配管等を設けることなく安価に実施化できる。
【0035】
尚、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように変更して具体化することも可能である。
【0036】
1)アウターカバー41の断面形状を、図2に示すような断面半円弧状や、図3に示すような扇型形状とすること。
【0037】
2)シリンダ体21に対するアウターカバー41の形成位置を、シリンダ体21の軸線方向における任意の位置とし、シリンダ体21とアウターカバー41とで形成される第二のガス室42へはシリンダ体21内のガス室Gから配管等を介して接続すること。
【0038】
3)ベアリンング24よりロッド室26側にオイルシール25が配置されている単筒型油圧緩衝器に具体化すること。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果がある。
【0040】
1)請求項1の発明によれば、シリンダ体の外側にこのシリンダ体の全周又は外周の一部を覆うアウターカバーを設けてシリンダ体とアウターカバーとの間に第二のガス室を形成し、この第二のガス室をシリンダ体内のガス室に前記孔部を介して連通させることによってガス室の容積を大きくしているので、油温等の温度上昇に起因する内圧上昇が起き難く、ガス室の体積膨張を抑制することができる。従って、ガス室の内圧膨張に起因するオイルシールへの圧力負荷を低減でき、ひいては、オイルシール自体の寿命を延ばすことができる。
【0041】
2)請求項2の発明によれば、アウターカバーをシリンダ体の全周を覆う筒状に形成するとともに、シリンダ体の基端部から開口端部近傍に渡る長さに形成したので、車両の走行中における飛び石等によるシリンダ体への傷付けを防止するいわゆるプロテクタとしての役割も果たすことができる。
【0042】
3)請求項3の発明によれば、シリンダ体の一部のみしかアウターカバーで覆われていないのでシリンダ体からの放熱効果に大きな影響を与えない。
【0043】
4)請求項4の発明によれば、シリンダ体の基端部外周にこのシリンダ体を覆うアウターカバーを設けてアウターカバーとシリンダ体との間に第二のガス室を設け、シリンダ体の基端部に穿設した孔部を介してこの第二のガス室とシリンダ体内のガス室とを連通させたので、特別な配管等を設けることなく安価に実施化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す単筒型油圧緩衝器の断面図である。
【図2】シリンダ体に対するアウターカバーの形成構造の別例を示す断面図である。
【図3】同じく、シリンダ体に対するアウターカバーの形成構造の別例を示す断面図である。
【図4】従来の単筒型油圧緩衝器を示す断面図である。
【符号の説明】
21 シリンダ体
22 フリーピストン
23 ロッド体
24 ベアリング
25 オイルシール
26 ロッド側室
27 反ロッド側室
28 ピストン体
34 フリーピストン部
39 ピストン部
41 アウターカバー
42 第二のガス室
G 高圧のガス室
O 油室
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両のサスペンション装置に使用する単筒型油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の単筒型油圧緩衝器としては、特許文献1に示すものを例示することができる。
【0003】
この単筒型油圧緩衝器は、自動車のサスペンション装置に使用されるものであり、その構造を簡略化して示すと、図4に示すように、シリンダ体1と、このシリンダ体1内に往復動可能に収挿されてシリンダ体内を高圧のガス室Gと油室Oとに分離するフリーピストン2と、同じくシリンダ体1内にピストン体5を介して出没自在に挿入されたロッド体13と、上記油室O内をピストン体5を介して区画したロッド側室11と反ロッド側室12と、シリンダ体1の開口端に設けられて上記ロッド体13を支持するベアリング3と、このベアリング3よりシリンダ体1の開口端側又はロッド側室11側に設けられてロッド体13との間の隙間をシールするオイルシール4とを備えている。
【0004】
又、ピストン体5のロッド側室11側面には圧側ポート6を開閉可能に閉塞する圧側バルブ7が設けられるとともに、ピストン体5の反ロッド側室12側面には伸側ポート8を開閉可能に閉塞する伸側バルブ9が設けられている。
【0005】
従って、ロッド体13の伸び行程時には、加圧されたロッド側室11内の作動油が伸側ポート8を介して伸側バルブ9を押し開き、反ロッド側室12側に流れると同時に伸側の減衰力を発生する。
【0006】
又、ロッド体13の縮み行程時には、加圧された反ロッド側室12内の作動油が圧側ポート6を介して圧側バルブ7を押し開き、ロッド側室11側に流れると同時に圧側の減衰力を発生する。
【0007】
【特許文献1】
実開昭58−69136号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように構成された単筒型油圧緩衝器においては、次に示すような問題点が考えられる。
【0009】
即ち、シリンダ体1からロッド体13が出没を繰り返す使用状態のうち、特にロッド体13が高速で出没を繰り返す特殊な使用状態では、油室O内の油温が上昇して体積膨張を引き起こすと同時に、この油室Oにフリーピストン2を介して隣接するガス室Gの温度も上昇させ、その内圧を上げる。
【0010】
この内圧の上昇と作動油自体の体積膨張とによってベアリング3とロッド体13との摺動隙間やベアリング3に設けた油戻し孔10を介してオイルシール4に大きな圧力負荷を加えることになる。
【0011】
元来、この種の単筒型油圧緩衝器では、上述したようにロッド体13との摺動隙間や油戻し孔10を介してオイルシール4に圧力が直接加わる構造となっているので、オイルシール4としては高圧下における信頼性の高いものを採用しているが、上述した圧力負荷が頻繁にオイルシール4に加わると、オイルシール4自体の寿命を低下させるという問題点が考えられる。
【0012】
特に、ガス室G内の高圧ガスは温度に対する内圧上昇率が二次曲線的に高くなる性質を持っており、僅かな温度上昇によってガス室Gの内圧が上昇し、上記のオイルシール4に加わる圧力負荷を増大させるので問題となる。
【0013】
従って、本発明の目的は、油温等の温度上昇に起因する内圧上昇が生じ難いガス室の構造を備えた単筒型油圧緩衝器を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、シリンダ体と、このシリンダ体内に往復動可能に収挿されてシリンダ体内を高圧のガス室と油室とに分離するフリーピストンと、同じくシリンダ体内にピストン体を介して出没自在に挿入されたロッド体と、上記油室内をピストン体を介して区画したロッド側室と反ロッド側室と、シリンダ体の開口端に設けられて上記ロッド体を支持するベアリングと、このベアリングよりシリンダ体の開口端側又はロッド側室側に設けられてロッド体との間の隙間をシールするオイルシールとを備えた単筒型油圧緩衝器において、シリンダ体の外側にこのシリンダ体の全周又は外周の一部を覆うアウターカバーを設けてシリンダ体とアウターカバーとの間に第二のガス室を形成し、この第二のガス室をシリンダ体内のガス室と連通させたことを特徴とする。
【0015】
この場合、アウターカバーは、シリンダ体の全周を覆う筒状に形成され、シリンダ体の基端部から開口端部近傍に亘って形成されているのが好ましい。
【0016】
同じく、アウターカバーがシリンダ体の外周の一部を軸方向に沿って覆う断面半円状又は扇形形状に形成されていても良い。
【0017】
又、シリンダ体の基端部外周にこのシリンダ体を覆うアウターカバーを設けてアウターカバーとシリンダ体との間に第二のガス室を設け、シリンダ体の基端部に穿設した孔部を介してこの第二のガス室とシリンダ体内のガス室とを連通させても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を自動車のサスペンション装置に使用する単筒型油圧緩衝器に具体化した実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
この単筒型油圧緩衝器は、シリンダ体21と、このシリンダ体21内に往復動可能に収挿されてシリンダ体21内を高圧のガス室Gと油室Oとに分離するフリーピストン22と、同じくシリンダ体21内にピストン体28を介して出没自在に挿入されたロッド体23と、上記油室O内をピストン体28を介して区画したロッド側室26と反ロッド側室27と、シリンダ体21の開口端に設けられて上記ロッド体23を支持するベアリング24と、このベアリング24よりシリンダ体21の開口端側又はロッド側室26側に設けられてロッド体23との間の隙間をシールするオイルシール25とを備えており、基本的には従来技術で示したものと同様の構造を有している。
【0020】
又、ピストン体28は、ロッド体23に対してナット29によって固定されると共に、そのピストン体28のロッド側室26側面には圧側ポート30を開閉可能に閉塞する圧側バルブ31が設けられ、ピストン体28の反ロッド側室27側面には伸側ポート32を開閉可能に閉塞する伸側バルブ33が設けられている。
【0021】
そして、本発明の特徴とする構成は、シリンダ体21の外側にこのシリンダ体21の基端部から開口端部近傍を覆う筒状のアウターカバー41を設け、このアウターカバー41の両端縮径部を溶接等によってシリンダ体21に固定するとともに、アウターカバー41とシリンダ体21との間に第二のガス室42を形成している点である。
【0022】
又、シリンダ体21の基端部には二つの孔部43が穿設され、この孔部43を介してこの第二のガス室42とシリンダ体21内のガス室Gとが連通されている。
【0023】
尚、36は、シリンダ体21の底部に溶接固定された取付アイ、37は、フリーピストンに取付けられたOリング、38は、ベアリング24に設けた油戻し孔である。
【0024】
上記のように構成された単筒型油圧緩衝器においては、ロッド体23の伸び行程時には、加圧されたロッド側室26内の作動油が伸側ポート32を介して伸側バルブ33を押し開き、反ロッド側室27側に流れると同時に伸側の減衰力を発生する。
【0025】
又、ロッド体23の縮み行程時には、加圧された反ロッド側室27内の作動油が圧側ポート30を介して圧側バルブ31を押し開き、ロッド側26室に流れると同時に圧側の減衰力を発生する。
【0026】
そして、このロッド体23の伸縮行程が頻繁に繰り返される使用状態のうち、特にロッド体が高速で出没を繰り返す特殊な使用状態では、油室O内の油温が上昇して体積膨張を引き起こすと同時に、この油室Oにフリーピストン22を介して隣接するガス室Gの温度も上昇し、その内圧を上げる。
【0027】
この内圧の上昇と作動油自体の体積膨張とによってベアリング24に設けた油戻し孔38、及びロッド体23との隙間を介してオイルシール25に大きな圧力負荷を加えることになる。
【0028】
ところが、本実施の形態では、シリンダ体21の外側にこのシリンダ体21を覆うアウターカバー41を設けてシリンダ体21とアウターカバー41との間に第二のガス室42を形成し、この第二のガス室42をシリンダ体21内のガス室Gに前記孔部43を介して連通させることによってガス室Gの容積を大きくしているので、その分、上述した温度上昇が起き難く、ガス室Gの内圧上昇を抑制することができる。
【0029】
従って、ガス室Gの内圧上昇によるオイルシール25への圧力負荷を低減でき、ひいては、オイルシール25自体の寿命を延ばすことができる。
【0030】
特に、高圧のガス室Gは、温度に対する内圧上昇率が二次曲線的に高くなる性質を持っているので、上記の構造によって温度上昇に起因する内圧上昇を抑制することは、オイルシール25に加わる圧力負荷を増大させない点で大変有効である。
【0031】
又、シリンダ体21の外周に設けた第二のガス室42の径を大きく設定することによって、シリンダ体21内のガス室Gの軸方向への長さを短くすることができるので、この種の単筒型油圧緩衝器のデメリットである基本長が長くなるという問題点も解決することができる。
【0032】
又、本実施の形態では、アウターカバー41をシリンダ体21の全周を覆う筒状に形成するとともに、シリンダ体21の基端部から開口端部近傍に渡る長さに形成したので、車両の走行中における飛び石等によるシリンダ体21への傷付けを防止する所謂、プロテクタとしての役割も果たすことができる。
【0033】
更には、シリンダ体21の外周部にスプリングシートや、ホースブラケット等を溶接等によって取り付ける場合、取付方法に起因するシリンダ体21の変形によるピストン体28の作動不良を考慮する必要がないので、取付方法、取付位置等の自由度を確保することができる。
【0034】
又、アウターカバー41をシリンダの基端部を覆うように設け、このアウターカバー41とシリンダ体21とで形成された第二のガス室42をシリンダ体41の基端部に穿設した孔部43を介してシリンダ体21内のガス室Gと連通させたので、特別な配管等を設けることなく安価に実施化できる。
【0035】
尚、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように変更して具体化することも可能である。
【0036】
1)アウターカバー41の断面形状を、図2に示すような断面半円弧状や、図3に示すような扇型形状とすること。
【0037】
2)シリンダ体21に対するアウターカバー41の形成位置を、シリンダ体21の軸線方向における任意の位置とし、シリンダ体21とアウターカバー41とで形成される第二のガス室42へはシリンダ体21内のガス室Gから配管等を介して接続すること。
【0038】
3)ベアリンング24よりロッド室26側にオイルシール25が配置されている単筒型油圧緩衝器に具体化すること。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果がある。
【0040】
1)請求項1の発明によれば、シリンダ体の外側にこのシリンダ体の全周又は外周の一部を覆うアウターカバーを設けてシリンダ体とアウターカバーとの間に第二のガス室を形成し、この第二のガス室をシリンダ体内のガス室に前記孔部を介して連通させることによってガス室の容積を大きくしているので、油温等の温度上昇に起因する内圧上昇が起き難く、ガス室の体積膨張を抑制することができる。従って、ガス室の内圧膨張に起因するオイルシールへの圧力負荷を低減でき、ひいては、オイルシール自体の寿命を延ばすことができる。
【0041】
2)請求項2の発明によれば、アウターカバーをシリンダ体の全周を覆う筒状に形成するとともに、シリンダ体の基端部から開口端部近傍に渡る長さに形成したので、車両の走行中における飛び石等によるシリンダ体への傷付けを防止するいわゆるプロテクタとしての役割も果たすことができる。
【0042】
3)請求項3の発明によれば、シリンダ体の一部のみしかアウターカバーで覆われていないのでシリンダ体からの放熱効果に大きな影響を与えない。
【0043】
4)請求項4の発明によれば、シリンダ体の基端部外周にこのシリンダ体を覆うアウターカバーを設けてアウターカバーとシリンダ体との間に第二のガス室を設け、シリンダ体の基端部に穿設した孔部を介してこの第二のガス室とシリンダ体内のガス室とを連通させたので、特別な配管等を設けることなく安価に実施化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す単筒型油圧緩衝器の断面図である。
【図2】シリンダ体に対するアウターカバーの形成構造の別例を示す断面図である。
【図3】同じく、シリンダ体に対するアウターカバーの形成構造の別例を示す断面図である。
【図4】従来の単筒型油圧緩衝器を示す断面図である。
【符号の説明】
21 シリンダ体
22 フリーピストン
23 ロッド体
24 ベアリング
25 オイルシール
26 ロッド側室
27 反ロッド側室
28 ピストン体
34 フリーピストン部
39 ピストン部
41 アウターカバー
42 第二のガス室
G 高圧のガス室
O 油室
Claims (4)
- シリンダ体と、このシリンダ体内に往復動可能に収挿されてシリンダ体内を高圧のガス室と油室とに分離するフリーピストンと、同じくシリンダ体内にピストン体を介して出没自在に挿入されたロッド体と、上記油室内をピストン体を介して区画したロッド側室と反ロッド側室と、シリンダ体の開口端に設けられて上記ロッド体を支持するベアリングと、このベアリングよりシリンダ体の開口端側又はロッド側室側に設けられてロッド体との間の隙間をシールするオイルシールとを備えた単筒型油圧緩衝器において、シリンダ体の外側にこのシリンダ体の全周又は外周の一部を覆うアウターカバーを設けてシリンダ体とアウターカバーとの間に第二のガス室を形成し、この第二のガス室をシリンダ体内のガス室と連通させたことを特徴とする単筒型油圧緩衝器。
- アウターカバーはシリンダ体の全周を覆う筒状に形成され、シリンダ体の基端部から開口端部近傍に亘って形成されている請求項1記載の単筒型油圧緩衝器。
- アウターカバーがシリンダ体の外周の一部を軸方向に沿って覆う断面半円状又は扇形形状に形成されている請求項1記載の単筒型油圧緩衝器。
- シリンダ体の基端部外周にこのシリンダ体を覆うアウターカバーを設けてアウターカバーとシリンダ体との間に第二のガス室を設け、シリンダ体の基端部に穿設した孔部を介してこの第二のガス室とシリンダ体内のガス室とを連通させたことを特徴とする請求項1記載の単筒型油圧緩衝器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7540480B2 (en) | 2007-03-12 | 2009-06-02 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Hydraulic shock absorber |
EP2165863A1 (en) | 2008-09-22 | 2010-03-24 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Hydraulic damper |
-
2003
- 2003-02-03 JP JP2003025624A patent/JP2004232845A/ja active Pending
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