JP2004231909A - ポリフェニレンスルフィドフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たるポリエステル樹脂を含んでなるポリフェニレンスルフィドフィルムであり、該ポリフェニレンスルフィドフィルム中で、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と前記ポリエステル樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成していることを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィルム、及びその製造方法。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂の有する優れた耐熱性、機械特性、耐薬品性を有しながら、かつ優れた靱性を有し、ポリフェニレンスルフィド樹脂の使用量を低減させることのできるポリフェニレンスルフィドフィルム、およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、剛性および電気絶縁性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などの用途に使用されている。またPPS樹脂は、上記優れた耐熱性、耐薬品性などの特徴を活かして、耐熱性フィルムとして実用化されているが、PPS樹脂は、その原料の製造工程が煩雑で、また重合工程で用いる重合溶媒の処理工程が必要となるなど、製造が煩雑で高価となり、また比較的脆い欠点があるため、フィルム用途においては、その用途が制限され、さらなる新規用途を開拓する上で障害を生じていた。このような現状から、PPS樹脂の使用量を減じながら、PPS樹脂の特性を失わない、経済性に優れ、かつPPS樹脂の脆さを改良した高靱性PPSフィルムが望まれており、その方法として、他の熱可塑性樹脂を配合しポリマーアロイ化する方法が有望視されている。
【0003】
特許文献1には、PPS樹脂と繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル樹脂を配合した、ブレンドフィルムが開示されている。同文献は、経済性に優れるPPSフィルムを提供することを目的とし、繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル樹脂を、一般に広く利用されている単軸押出機を用いて混合したものであり、本発明のPPSの優れた特性を有し、かつ靱性を向上させるという技術思想は開示されておらず、また同文献には、本発明記載のPPSフィルム中における分散径については全く開示されていない。
【0004】
また特許文献2には、特定の温度域で互いに相溶する部分相溶系のポリマーブレンドを相溶状態で溶融紡糸した繊維を、その後熱処理等でスピノーダル分解あるいは核生成と成長により相分解させ、繊維横断面中に0.001〜0.4μmの分散構造を形成させたポリマーブレンド繊維が記載されている。しかしながら同文献記載の発明では主としてポリエステル系樹脂が使用されており、PPS樹脂の使用は記載されておらず、またフィルムでの使用についても一切言及がない。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−88954号公報(第3−5頁)
【特許文献2】
特開平8−113829号公報(第5−7頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PPS樹脂の有する優れた耐熱性、機械特性、耐薬品性を有しながら、かつ優れた靱性を有し、PPS樹脂の使用量を低減させることができる、経済性に優れるポリフェニレンスルフィドフィルムを提供することをその課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含んでなるポリフェニレンスルフィドフィルムにおいて、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造に構造制御されたポリフェニレンスルフィドフィルムが上記特性を有することを見いだし本発明を完成させるにいたった。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含んでなるポリフェニレンスルフィドフィルムであり、該ポリフェニレンスルフィドフィルム中で、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記ポリエステル樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmに分散構造を形成していることを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィルム、
(2)前記ポリフェニレンスルフィドフィルムにおける両相連続構造または分散構造が、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たるポリエステル樹脂をスピノーダル分解により相分離させて形成されたものであることを特徴とする、上記(1)記載のポリフェニレンスルフィドフィルム、
(3)前記ポリフェニレンスルフィドフィルムが、溶融混練を経て得られたものであることを特徴とする上記(1)〜(2)いずれか1項記載のポリフェニレンスルフィドフィルム、
(4)前記ポリフェニレンスルフィドフィルムが、溶融混練時の剪断下で相溶させた後、吐出後の非剪断下で相分離させて得られたものであることを特徴とする上記(3)記載のポリフェニレンスルフィドフィルム、
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項記載のポリフェニレンスルフィドフィルムを、熱処理しながら延伸した後、さらに熱処理することにより延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムを得ることを特徴とする延伸ポリフェニレンスルフィドフィルム、
(6)該延伸ポリフェニレンスルフィド中でポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成してしていることを特徴とする、上記(5)記載の延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムであり、また
(7)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなるポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法であって、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と前記ポリエステル樹脂をスピノーダル分解により相分離させて、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成させることを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法、
(8)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発することを特徴とする上記(7)記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法、
(9)溶融混練時の剪断下でポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たるポリエステル樹脂を相溶化させた後、吐出後の非剪断下で相分離させることを特徴とする上記(8)記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法、
(10)前記吐出後の非剪断下で所望の構造周期または粒子間距離となるまで相分離させたポリフェニレンスルフィドフィルムを、急冷して構造を固定することを特徴とする上記(9)記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法、(11)上記(7)〜(10)のいずれか1項記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法でポリフェニレンスルフィドフィルムを製造した後、該ポリフェニレンスルフィドフィルムを熱処理しながら延伸した後、さらに熱処理することを特徴とする延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
本発明で用いるPPS樹脂とは、下記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体であり、
【0011】
【化1】
【0012】
耐熱性の点から、上記構造式で示される繰返し単位を70モル%以上、特に90モル%以上を含む重合体であることが好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能である。
【0013】
【化2】
【0014】
本発明で用いられるPPS樹脂は、例えば通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法或いは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することも可能であり、さらに、これらの処理を2種類以上行うことももちろん可能である。
また、これらの処理を行ったPPS樹脂を、2種類以上の混合で使用することももちろん可能であり、2種類以上の混合で使用する場合の具体的方法として、空気中加熱により架橋したPPS樹脂と熱処理を行っていないPPS樹脂の混合、酸水溶液による洗浄を行ったPPS樹脂と有機溶媒による洗浄を行ったPPS樹脂の混合、有機溶媒で洗浄したPPS樹脂と有機溶媒で洗浄を行っていないPPS樹脂の混合などが例示できる。
【0015】
本発明で用いられるPPS樹脂の分子量については、特に制限はないが、後述のスピノーダル分解する際の条件に関連するため、適宜選択する必要があり、この分子量に関するパラメーターである溶融粘度については、通常5〜1,000Pa・s(320℃、剪断速度1000sec−1)のものが使用されるが、中でも10〜500Pa・sのものが好ましく用いられる。
【0016】
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃であり、時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この加熱処理温度と時間を適宜コントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は減圧仕様、またはシール性の高い仕様の通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0017】
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は静置型の加熱装置でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0018】
PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用することもできる。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。
【0019】
また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0020】
PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
【0021】
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。
【0022】
すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0023】
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂(以下PET樹脂と略す場合がある)は、ポリエチレンテレフタレート樹脂のホモポリマが最も好ましいが、テレフタル酸成分の一部をイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の一種またはそれ以上で置換したものでもよく、また、エチレングリコールの一部を1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の一種またはそれ以上で置換したものでもよい。この場合、共重合率は15モル%以下の範囲とするのが望ましく、さらには5モル%以下の範囲とするのがより望ましい。
【0024】
本発明で用いられるPET樹脂の分子量については、特に制限がないが、後述のスピノーダル分解する際の条件に関連するため、適宜選択する必要があり、この分子量に関するパラメーターである極限粘度については、通常は0.6以上(25℃、オルソクロロフェノール溶液)のものが使用されるが、中でも0.7以上のものが好ましく用いられる。上限としては1.5以下であることが好ましい。
【0025】
本発明のポリフェニレンスルフィドフィルムは、PPS樹脂とポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含んでなるものであり、かつ該ポリフェニレンスルフィドフィルムは、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と前記ポリエステル樹脂が構造周期0.001μm〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001μm〜2μmの分散構造を形成していることが必要である。かかる構造となるポリフェニレンスルフィドフィルムを得る方法としては、後述のスピノーダル分解を利用する方法が好ましく、さらには後述の剪断場依存型相溶解・相分解を利用する方法が、さらなる微細な構造制御を容易にすることからより好ましく用いられる。
【0026】
以下、一般に2成分の樹脂からなるポリマーアロイにおける構造制御方法を説明する。2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる、部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
【0027】
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
【0028】
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
【0029】
またかかるバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
【0030】
ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。
相溶しているか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki,hanser Publishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
【0031】
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速に変化させた場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
【0032】
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]−1/2
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
ここで本発明でいうところの両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
【0033】
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行する。
【0034】
ここで本発明にいうところの分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
【0035】
一方、上述の準安定領域での相分離である核生成と成長では、その初期から海島構造である不規則な分散構造が形成されてしまい、それが成長するため最終的に均一な分散構造が得られにくい。
【0036】
またこれらの両相連続構造もしくは分散構造が、スピノーダル分解によって形成されたものかを確認するためには、規則的な周期構造を有しているかを確認することが有効である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が必要である。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
【0037】
ここでPPS樹脂とPET樹脂からなるポリマーアロイにおいて、スピノーダル分解を実現させるためには、PPS樹脂とPET樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とする。
【0038】
まずこのPPS樹脂とPET樹脂で相溶状態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キャスト法や、溶解度パラメータの差の小さいPPS樹脂とPET樹脂ではその分子量を選ぶことにより溶融混練で相溶化するため、それを利用した溶融混練法が挙げられる。中でも溶媒を用いないドライプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ましく用いられる。
【0039】
なお、PPS樹脂とPET樹脂とを溶融混練する場合、用いる樹脂のいずれもが繊維や三次元成形品などの成形用途に通常用いられるような程度の分子量を有する場合には、高度の剪断下で行うことにより相溶化することができ、いずれか一方もしくは両方の分子量を低下させることにより、より低剪断下で相溶化させることができる。
【0040】
溶融混練により相溶化させるには、相溶化の条件を満たす限り、通常の単軸押出機、または2軸押出機を用いることができるが、中でも2軸押出機を用いることが好ましい。また相溶化のための温度は、PPS樹脂、およびPET樹脂の分子量の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、溶融混練時の温度で相溶となる様、適宜PPS樹脂および/またはPET樹脂の分子量を低下させた場合の相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。
【0041】
そこで次に溶融混練により相溶状態としたPPS樹脂とPET樹脂からなるポリマーアロイを、スピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件はPPS樹脂、およびPET樹脂の分子量の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、上記相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。
この低分子量PPSとしては、溶融粘度0.01〜5未満Pa・sのものが好ましく用いられ、また低分子量PETとしては、極限粘度0.6未満のものが好ましく用いられ、下限としては用いるPPS樹脂の分子量により異なるが、配合の結果、フィルムとして用い得る範囲であればよい。
【0042】
このスピノーダル分解で相分離した後は、所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。かかるスピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間での相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられる。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0043】
ここで部分相溶系におけるスピノーダル分解を利用したPPSフィルムの製法としては、フィルム製膜時において、単軸あるいは2軸押出機を用いて溶融混練時の温度において、PPS樹脂とPET樹脂を一旦相溶解させたポリマーアロイをTダイから吐出し、吐出後の通常10〜30℃の範囲の雰囲気温度で冷却されることによりでスピノーダル分解させ、さらにキャストドラムで冷却固化して該スピノーダル分解の構造を固定化しフィルム化する方法や、吐出後の相溶化状態のポリマーアロイをスピノーダル分解する温度条件下に温調された2つのロール間で成形するポリッシング方法や、カレンダーリング方法で、スピノーダル分解させ所望の構造周期または粒子間距離を有するフィルムを得る方法等があるが、ここでは特に限定されるものではない。またキャストドラムにキャストする際、溶融樹脂をキャストドラムに密着させるには、静電印加を与える方法、エアーナイフを用いる方法、キャストドラムに対向する押さえのドラムを用いる方法等を用いることもできる。また、キャストドラムにキャストする場合は、キャストドラムを吐出口直下に設置し、急冷することが好ましい。さらにはフィルム化用の押出機に供給する前に、予め2軸押出機を用いて相溶化させその構造を凍結させたペレットを用いることがより好ましい。かかるPPSフィルム中では、通常PPS樹脂とPET樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造とすることが好ましく、また構造周期0.001〜1.2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1.2μmの分散構造とすることが優れた機械特性を得られることからより好ましく、さらには構造周期0.001〜0.8μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.8μmの分散構造とすることがさらに好ましい。
【0044】
また得られたフィルムを延伸することも可能であり、延伸する方法は、特に制限はなく、逐次2軸延伸、同時2軸延伸でも構わなく、また通常延伸倍率は2〜8倍の間、延伸速度は500〜5000%/分の間が多く用いられる。さらに延伸時の熱処理温度は、PPS樹脂のガラス転移温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられるが、PPS樹脂とPET樹脂が相溶化状態で単一のガラス転移温度を有する場合や、相分解が進行しつつある状態でポリマーアロイ中でのガラス転移温度が、PPS樹脂とPET樹脂のガラス転移温度間にある場合には、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。また該熱処理温度を結晶性樹脂の昇温結晶化温度以下とすることは、結晶性樹脂の結晶化による延伸の阻害を受けにくくする観点から好ましい。この延伸フィルムは、さらに熱処理することによりその構造を安定化させ用いることが好ましい。この安定化のための熱処理温度は、通常PPS樹脂のガラス転移温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられるが、相分離が進行しつつある状態でポリマーアロイ中でのガラス転移温度が、PPS樹脂とPET樹脂のガラス転移温度間にある場合、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。またこの延伸ポリマーアロイフィルムの構造周期や粒子間距離は、延伸により、増大する。かかる延伸PPSフィルム中では、PPS樹脂とPET樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造とすることが必要であり、また構造周期0.001〜1.2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1.2μmの分散構造とすることが優れた機械特性を得られることから好ましく、さらには構造周期0.001〜0.8μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.8μmの分散構造とすることがより好ましい。
【0045】
またこの部分相溶系によるスピノーダル分解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能であり、この場合においても、上記部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となり、構造の微細化が容易となるためより好ましく用いられる。
【0046】
上記剪断場依存型相溶解・相分解する樹脂の組み合わせとしては、剪断下で相溶し、非剪断下でスピノーダル分解するような組み合わせであり、上述の通常用いられる分子量の範囲PPS樹脂とPET樹脂からなるポリマーアロイがこれに該当する。
【0047】
剪断下での溶融混練により相溶化させるには、相溶化する条件を満足させ得る性能を有する限り、通常の単軸押出機、または2軸押出機を用いることができるが、中でも高剪断を賦与できるようスクリューアレンジとした2軸押出機を用いることが好ましい。ここで相溶化する温度、スピノーダル分解するための温度、その他の条件はPPS樹脂、およびPET樹脂の分子量の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる
次に上記剪断下で溶融混練により相溶状態としたPPS樹脂とPET樹脂からなるポリマーアロイを、非剪断下でスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件は、PPS樹脂、およびPET樹脂の分子量の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。この剪断場依存型相溶解・相分解でのスピノーダル分解による、構造の微細化をより効果的に生じさせるためには、上記剪断条件下での相図の変化幅が大きくなるよう、PPS樹脂、およびPET樹脂の分子量の組み合わせを選択することが好ましい。
【0048】
このスピノーダル分解で相分離した後は、所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。かかるスピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間での相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられる。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0049】
ここで剪断場依存型相溶解・相分解におけるスピノーダル分解を利用したPPSフィルムの製法としては、まず溶融混練時の剪断下によりPPS樹脂とPET樹脂とを相溶化させる必要があり、これには相溶化の条件を満足させ得る性能を有する限り、通常の単軸押出機、または2軸押出機が用いられるが、中でも高剪断を賦与できるようなスクリューアレンジとした2軸押出機を用いることが好ましい。また上記製膜装置の可塑化工程での相溶化を確実に実現させる方法として、予め2軸押出機で相溶化するのに十分な剪断をかけながら、溶融混練し相溶化させ、吐出後氷水中などで急冷し相溶化状態で構造を固定させた材料を用いて製膜する方法などが好ましい例として挙げられる。次にこの剪断下で一旦相溶化させたポリマーアロイは、Tダイから吐出後の非剪断下でスピノーダル分解させ、キャストドラムで冷却固化して該スピノーダル分解の構造を固定化しフィルム化する方法や、スピノーダル分解する温度条件下に温調された2つのロール間で成形するポリッシング方法や、カレンダーリング方法で、スピノーダル分解させ所望の構造周期または粒子間距離を有するフィルムを得る方法等があるが、ここでは特に限定されるものではない。またキャストドラムにキャストする際、溶融樹脂をキャストドラムに密着させるには、静電印加を与える方法、エアーナイフを用いる方法、キャストドラムに対向する押さえのドラムを用いる方法等を用いることもできる。また、キャストドラムにキャストする場合は、キャストドラムを吐出口直下に設置し、急冷することが好ましい。かかるPPSフィルム中では、PPS樹脂とPET樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造とすることが必要であり、また構造周期0.001〜1.2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1.2μmの分散構造とすることが優れた機械特性を得られることから好ましく、さらには構造周期0.001〜0.8μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.8μmの分散構造とすることがより好ましい。
【0050】
また得られたフィルムを延伸することも可能であり、延伸する方法は、特に制限はなく、逐次2軸延伸、同時2軸延伸でも構わなく、また通常延伸倍率は2〜8倍の間、延伸速度は500〜5000%/分の間が多く用いられる。さらに延伸時の熱処理温度は、PPS樹脂のガラス転移温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられるが、PPS樹脂とPET樹脂が相溶化状態で単一のガラス転移温度を有する場合や、相分解が進行しつつある状態でポリマーアロイ中でのガラス転移温度が、PPS樹脂とPET樹脂のガラス転移温度間にある場合には、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。また該熱処理温度を結晶性樹脂の昇温結晶化温度以下とすることは、結晶性樹脂の結晶化による延伸の阻害を受けにくくする観点から好ましい。この延伸フィルムは、さらに熱処理することによりその構造を安定化させ用いることが好ましい。この安定化のための熱処理温度は、通常PPS樹脂のガラス転移温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられるが、相分離が進行しつつある状態でポリマーアロイ中でのガラス転移温度が、PPS樹脂とPET樹脂のガラス転移温度間にある場合、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。またこの延伸ポリマーアロイフィルムの構造周期や粒子間距離は、延伸により、増大する。かかる延伸PPSフィルム中では、PPS樹脂とPET樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造とすることが必要であり、また構造周期0.001〜1.2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1.2μmの分散構造とすることが優れた機械特性を得られることから好ましく、さらには構造周期0.001〜0.8μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.8μmの分散構造とすることがより好ましい。
【0051】
また、本発明を構成する2成分の樹脂からなるポリマーアロイに、さらにポリマーアロイを構成する成分を含むブロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポリマーなどのコポリマーである第3成分を添加することは、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させ、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好ましく用いられる。この場合通常、かかるコポリマーなどの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリマーアロイの各相に分配されるため、2成分の樹脂からなるポリマーアロイ同様に取り扱うことができる。
【0052】
本発明でのPPSフィルムを構成する樹脂成分の組成については特に制限はないが、PPS樹脂/PET樹脂が、通常95重量%/5重量%〜5重量%/95重量%の範囲が好ましく用いられ、さらには90重量%/10重量%〜10重量%/90重量%の範囲がより好ましく、特に75重量%/25重量%〜25重量%/75重量%の範囲であれば両相連続構造が比較的得られやすいので好ましく用いられる。
【0053】
なお、本発明のPPSフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲でさらに他の各種の添加剤を含有せしめることもできる。これら他の添加剤としては、例えば、滑剤としての無機粒子および/または架橋有機粒子や、酸化防止剤(リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、熱安定剤(ヒンダードフェノール系など)、離型剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料および顔料を含む着色剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0054】
これらの添加剤は、本発明のPPSフィルムを製造する任意の段階で配合することが可能であるが、これらの添加剤を、予めポリマーアロイを構成する樹脂のいずれかに添加したマスターバッチを作製し、それを添加する方法が通常好ましく用いられる。
【0055】
本発明におけるPPSフィルムの厚さは特に限定されないが、通常190μm以下のものが好ましく、特に100μm以下のものが好ましい。また下限としては特に制限はないが、10μm以上であることが好ましい。
【0056】
本発明におけるPPSフィルムは、ポリフェニレンスルフィド樹脂の有する優れた耐熱性、機械特性、耐薬品性を有し、かつ優れた靱性を有するポリフェニレンスルフィドフィルムとして各種フィルム用途で好適に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
【0058】
参考例(PPS樹脂の重合)
(PPS−1)
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.004kg(25モル)、およびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)4.5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。
次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびにNMP3kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、274℃で1.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で2回洗浄し、次にこのスラリーを撹拌機付きオートクレーブにイオン交換水3kgと共に入れ190℃まで昇温し、190℃到達後、室温まで冷却後濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを濾過後、80℃で24時間減圧乾燥してPPS樹脂、2.48kgを得た。このPPS樹脂は直鎖状であり、溶融粘度80Pa・s(320℃、剪断速度1000sec−1)、ガラス転移温度89℃、結晶融解温度280℃であった。
【0059】
溶融粘度はキャピラリー型溶融粘度測定装置(東洋精機社製CAPIROGRAPH−1C)を用いて、オリフィスL/D=20(内径1mm)で測定し、ガラス転移温度、結晶融解温度はDSC(PERKIN−ELMER社製DSC−7)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した。
【0060】
実施例1〜5
表1記載の組成からなる原料を、押出温度320℃に設定し、ニーディングゾーンを2箇所有し、スクリュー回転数を300rpmの高速で回転させた2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明であり、また該ガットから超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。このことから、本系は、押出温度320℃の押出機中の剪断下で相溶化することがわかる。
【0061】
尚、本系はLCST型相図を有する系であり、押出機の剪断下で相溶領域が拡大したものである。
【0062】
さらに、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷し構造を固定し相溶化した状態のガットを、ストランドカッターに供給し、ペレットを作製した。次にかかるペレットを用いて、再度押出温度320℃に設定した先端部にTダイを有する単軸押出機(φ30mm)に供給し、フィルム化を行った。尚、フィルム化においては、Tダイの直下(3cm)に20℃に温調したハードクロムの鏡面キャストドラムにTダイの口金から吐出した樹脂をキャストし、8kVの静電印加を加え、キャストドラムに密着させることにより急冷し構造を固定した。さらに、巻き取り速度が一定となる様、毎分5mに設定したロール間を通過後、巻き取りロールにより巻き取ることによりフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは0.1mmであった。また得られたフィルムは透明であったが、かかるフィルムから超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサンプルも両相連続構造物、若しくは分散構造物が存在することを確認した。さらに得られたフィルムから別途サンプルを切り出し小角X線散乱もしくは光散乱を用いて測定したところ、いずれのサンプルもピークが観測された。表1には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。なお、分散構造を有する場合の粒子間距離も両相連続構造における構造周期と同じ方法で算出される。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
以上のことから、フィルム製膜時において、単軸押出機中の剪断下においても相溶化状態が保たれ、Tダイから吐出後の非剪断下でスピノーダル分解により相分離し、その後急冷することにより構造が固定されたものと考えられる。
【0063】
次に該フィルムから、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.1mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸びの測定結果を表1に記載した。
【0064】
次に上記得られたフィルムから100mm角のサンプルを切り出し、4辺をクリップで固定し、90℃60秒間予熱後、90℃で温調されたオーブン内で、延伸速度2000%/分、延伸倍率2倍、および4倍で、4辺のクリップを同時2軸延伸となるよう延伸させた。さらにこの延伸フィルムについては、4辺をアルミ製の枠に固定し、180℃に温調されたオーブン内を15秒間通過させることによって熱処理を行い、延伸フィルムの構造の安定化を行った。延伸後のサンプルについても、上記同様に小角X線散乱もしくは光散乱から構造周期、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。この延伸後のサンプルでは、延伸前と比較し構造周期が増大しており、この延伸時に構造発展がなされたものと考えられる。さらに延伸後得られたフィルムから長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.03mm(2倍延伸)、50mm×10mm×0.01mm(4倍延伸)サンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸びを測定した結果を表1に記載した。
【0065】
なお、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PPS−1:PPS樹脂(上述の参考例で重合したPPS樹脂)
PET−1:ポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度0.62(o.c.p法、25℃;[η])
比較例1〜3
フルフライト形状のスクリューを有する(φ40mm)単軸押出機を用いて、スクリュー回転数50rpmで始めに溶融混練した以外は、実施例2〜4と同様に溶融混練し、ダイから吐出後すぐに氷水中に急冷し、構造を固定したガットを得たが、本ガットは濁っており、また該ガットから超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1000倍に拡大して観察を行うと、2μm以上の不均一な分散構造物が観測された。このことから、本系は、上記押出機中の剪断下で相溶化していないことがわかる。本系についても、実施例2〜4と同様にフィルムを作製し機械特性を測定した結果を表1に記載した。またさらにこれらのフィルムから、100mm角のサンプルを切り出し、4辺をクリップで固定し、90℃60秒間予熱後、90℃で温調されたオーブン内で、延伸速度2000%/分、延伸倍率2倍、および4倍で、4辺のクリップを同時2軸延伸となるよう延伸させた。延伸倍率2倍では延伸できるものの、延伸倍率4倍では、いずれもクリップ部で破断し、延伸することができなかった。
【0066】
【表1】
【0067】
本発明のスピノーダル分解により、特定構造周期の両相連続構造物、若しくは分散構造物を形成したPPSフィルム、及びそれを延伸させたPPSフィルムは、優れた強度および靱性を有することがわかる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のPPSフィルムは、PPS樹脂の使用量を低減しても、PPS樹脂の有する強度等の機械特性などの特性を有しながら、靱性に優れるものであり、この特性を活かして各種PPSフィルム用途に有用に用いることができる。さらには本発明のPPSフィルムは、規則性に優れる特性も有しており、これを活かして機能性PPSフィルムとしても有用に用いることができる。
Claims (11)
- ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含んでなるポリフェニレンスルフィドフィルムであり、該ポリフェニレンスルフィドフィルム中で、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記ポリエステル樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmに分散構造を形成していることを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィルム。
- 前記ポリフェニレンスルフィドフィルムにおける両相連続構造または分散構造が、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たるポリエステル樹脂をスピノーダル分解により相分離させて形成されたものであることを特徴とする、請求項1記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。
- 前記ポリフェニレンスルフィドフィルムが、溶融混練を経て得られたものであることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。
- 前記ポリフェニレンスルフィドフィルムが、溶融混練時の剪断下で相溶させた後、吐出後の非剪断下で相分離させて得られたものであることを特徴とする請求項3記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のポリフェニレンスルフィドフィルムを、熱処理しながら延伸した後、さらに熱処理することにより延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムを得ることを特徴とする延伸ポリフェニレンスルフィドフィルム。
- 該延伸ポリフェニレンスルフィド中でポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂が構造周期0.001〜2μmの両相連続構造の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成してしていることを特徴とする、請求項5記載の延伸ポリフェニレンスルフィドフィルム。
- ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなるポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法であって、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記ポリエステル樹脂をスピノーダル分解により相分離させて、構造周期0.001〜2μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜2μmの分散構造を形成させることを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
- ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発することを特徴とする請求項7記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
- 溶融混練時の剪断下でポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタレートを主たるポリエステル樹脂を相溶化させた後、吐出後の非剪断下で相分離させることを特徴とする請求項8記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
- 前記吐出後の非剪断下で所望の構造周期または粒子間距離となるまで相分離させたポリフェニレンスルフィドフィルムを、急冷して構造を固定することを特徴とする請求項9記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
- 前記請求項7〜10のいずれか1項記載のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法でポリフェニレンスルフィドフィルムを製造した後、該ポリフェニレンスルフィドフィルムを熱処理しながら延伸した後、さらに熱処理することを特徴とする延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法。
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