JP2004231583A - 粉末化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌性ゼオライトを、粉末化粧料の防腐防カビ剤として、実用的に用いる手段を提供すること。
【解決手段】抗菌性ゼオライトを含有し、かつ、疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の含有量が、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%である、粉末化粧料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】抗菌性ゼオライトを含有し、かつ、疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の含有量が、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%である、粉末化粧料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末化粧料に関する発明であり、より具体的には、新たな防腐防カビ手段を施した粉末化粧料に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
化粧料は、微生物による汚染や変質を受けやすい原料を、配合成分として用いることが多い製品であり、さらには、長期間にわたり、繰り返し使用されることが多い製品でもある。そのため、化粧料においては、防腐防カビ手段を講じることが、特に必要とされている。
【0003】
従来から、化粧料に対する代表的な防腐防カビ手段として、デヒドロ酢酸、安息香酸類、パラベン類等の有機防腐防カビ剤の添加が行われている。
それと同時に、防腐防カビ効果を向上させるために、有機防腐防カビ剤の増量や、防腐防カビ効果の強い有機防腐防カビ剤の使用を行うと、化粧料の使用に際しての過剰な皮膚刺激が懸念される等、安全性面での問題が認められている。さらに、一旦、化粧料に添加した有機防腐防カビ剤の結晶の経時的析出や、他の配合成分による防腐防カビ効果の阻害等の問題も指摘されている。
【0004】
また、上記の有機防腐防カビ剤以外の防腐防カビ手段として、例えば、セラミックスに、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等の抗菌性金属イオンを担持させて得られる抗菌性セラミックスを、無機防腐防カビ剤として用いる技術が提供されている(例えば、特開平1−305013号公報:特許文献1等)。しかし、この抗菌性セラミックスは、有機防腐防カビ剤を同量添加する場合に比べ、化粧料における防腐防カビ効果がやや劣る傾向が認められている。また、十分な防腐防カビ効果を得るために、抗菌性セラミックスの化粧料への添加量を多くすると、当該化粧料を使用する際における、「のび」や「なめらかさ」等の使用感触の著しい悪化や、経時での、「くすみ」や「テカリ」が認められ、仕上がりの持続性の低下、等の問題が認められていた。
【0005】
さらに、後述する本発明の要素の一つである抗菌性ゼオライトが既に知られているが、これは、抗菌性スプレー用組成物(特開昭63−250325号公報:特許文献2)や、防臭化粧料(特開平8−26955号公報:特許文献3)に対して用いられているのみである。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−305013号公報
【特許文献2】
特開昭63−250325号公報
【特許文献3】
特開平8−26955号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決すべき課題は、上記の抗菌性ゼオライトを、粉末化粧料の防腐防カビ剤として、実用的に用いる手段を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、この課題を解決するために鋭意検討を行った結果、疎水性の粉末の一定量以上と、抗菌性ゼオライトを組み合わせて、粉末化粧料において用いることにより、塗布時における皮膚刺激性が少なく、かつ良好な抗菌性と優れた使用感触を有する粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、抗菌性ゼオライトを含有し、かつ、疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の含有量が、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%である、粉末化粧料(以下、本粉末化粧料ともいう)を提供する発明である。
【0010】
本発明において、「粉末化粧料」とは、特に、粉末部を主体にした含有成分の構成をとる化粧料である。具体的には、本発明において、粉末化粧料は、粉末部が全量中、50質量%以上を占める化粧料のことを意味するものとする。よって、本粉末化粧料の製品形態は、この条件を満足する限りにおいて、あらゆる形態の化粧料であることが可能である。
【0011】
なお、本粉末化粧料の「粉末部」とは、平均粒径が100μm以下の、0〜100℃において流動性を示さず、かつ、化粧料中の当該流動性示す成分に対して難溶または不溶の、1種または2種以上の成分で構成される含有成分群を意味するものであり、例えば、ワックス、パラベン等は除外されるものとする。逆に、「非粉末部」とは、粉末化粧料中の「粉末部」以外の含有成分群を意味している。なお、本粉末化粧料の必須含有成分である抗菌性ゼオライトは、非粉末部成分であり、粉末部成分からは除外するものとする。
【0012】
また、本発明においては、「疎水性」は、イオン交換水50gと評価粉末0.1gとを、透明密閉容器に入れた後、25℃で1日保存し、その状態を目視観察することにより判定した。すなわち、その結果、評価粉末の大部分とイオン交換水との間に、界面が認められる場合は、疎水性が認められるものとした。
【0013】
【発明の実施の形態】
本粉末化粧料の必須の成分
(1)疎水性粉末および/または疎水化処理粉末
疎水性粉末と疎水化処理粉末とも、疎水性の粉末、すなわち、水に対する親和性が低い粉末である。これらのうち、疎水性粉末は、未処理の粉末粒子そのものの、水に対する親和性が低い粉末である。これに対して、疎水化処理粉末は、核粒子(水に対する親和性を問わない)を表面処理することにより、当該処理粒子の水に対する親和性が低くなっている粉末である。
【0014】
疎水性粉末は、通常の化粧料用途に用いることの可能な粉末であれば、特に限定されず、例えば、ナイロン粉末、ポリメタクリル酸粉末、ポリウレタン粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、メチルシロキサン網状体粉末、窒化ホウ素粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー粉末等を挙げることができる。
【0015】
また、疎水化処理粉末を調製する際に、核粒子とすることができる粉末粒子は、
通常の化粧料用途に用いることの可能な粉末であれば、特に限定されず、例えば、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、酸化チタン粉末、酸化鉄粉末、酸化亜鉛粉末、雲母チタン粉末、硫酸バリウム粉末、シリカ粉末、アパタイト粉末、リン酸カルシウム粉末、ゼオライト粉末(抗菌性ゼオライトを除く)等の非疎水性粉末の粉末粒子を用いることが可能であり、上記のような疎水性粉末の粉末粒子を用いることも可能である。
【0016】
疎水化処理粉末を調製する疎水化処理は、化粧料用途に用いられる疎水化処理粉末を調製する常法を用いることが可能であり、例えば、高級脂肪酸、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれの界面活性剤をも含む)、金属石鹸、油脂、ロウ、シリコーン、フッ素化合物、炭化水素、デキストリン脂肪酸エステル等の物質の1種または2種以上による、粉末粒子表面の処理を常法に従い行うことで、所望の疎水化処理粉末を調製することができる。また、これらの疎水化処理方法のなかでも、シリコーン処理、金属石鹸処理およびフッ素化合物処理から選ばれる1種または2種以上の処理方法を選択することが好適であり、中でも、シリコーン処理が極めて好適である。
【0017】
さらに、本発明完成時点において、最も好ましい疎水化処理方法として、粉末粒子表面に対して、Si−H基を分子内に有するシリコーン処理を行い、かつ、当該処理表面に残存するSi−H基に対して、アルキル基の導入処理を行うこと、が挙げられる。この疎水化処理を行った表面処理粉末は、化粧料の配合粉末として公知の粉末であり、その製造方法は限定されない。例えば、特開昭63−113081号公報、特開平11−343424号公報等に開示された方法に従うと、まず、Si−H基を有するシリコーンを、粉末粒子に接触させて、第1層のシリコーン被覆を行い、続いて、シリコーン被覆された粉末粒子表面のSi−H基に、ヒドロシリル化反応等により、第2層の直鎖状または分岐状のアルキル基を導入して、所望の疎水化処理粉末を製造することができる。
【0018】
疎水性粉末および疎水化処理粉末の粒子の粒子径は、本粉末化粧料の具体的な態様に応じて適したものを用いることが可能であり、0.001〜100μm程度、一般的に好適には、0.01〜50μm程度である。また、粒子形状も、本粉末化粧料の具体的な態様に応じて適したものを用いることが可能であり、球状、板状、不定形状、針状等の粒子形状のものを用いることが可能である。
【0019】
そして、疎水性粉末および疎水化処理粉末は、1種または2種以上を、本粉末化粧料に含有させることができる。この疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の本粉末化粧料における含有量は、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%であり、好適には、同60〜100質量%である。この含有量が、化粧料の粉末部に対して40質量%未満であると、後述する抗菌性ゼオライトと組み合わせて粉末化粧料において用いても、本発明の所期の効果である、防腐防カビ力が十分に発揮され難い傾向が認められる。
(2)抗菌性ゼオライト
抗菌性ゼオライトは、具体的には、ゼオライトのイオン交換可能な部分に、抗菌性金属イオンが担持されているゼオライトである。
【0020】
ゼオライト(沸石)は、一般に、三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式
XM2/nO・Al2O3・YSiO2・ZH2O
(Mは、イオン交換可能なイオンを表し、通常は1価または2価の金属イオンである。nは、イオンの原子価であり、XおよびYはそれぞれ金属酸化物、シリカ係数を、Zは結晶水の数を表示している)
で表示される。
【0021】
本発明において用いることができるゼオライトは、天然のゼオライトであっても、人工のゼオライトであってもよい。また、ゼオライトの種類も、例えば、A−型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデライト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
ゼオライト中のイオン交換が可能なイオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等が挙げられる。上記の例示ゼオライトにおけるイオン交換容量は、いずれもアンモニウムイオンや、抗菌性金属イオンによりイオン交換するのに十分な容量を有している。
【0023】
抗菌性金属イオンとしては、例えば、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン、水銀イオン、錫イオン、鉛イオン、ビスマスイオン、クロムイオン、タリウムイオン等が挙げられ、好ましくは、銀イオン、銅イオンおよび亜鉛イオンから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0024】
さらに具体的には、抗菌性ゼオライトが、(1)銀イオン、(2)銀イオンおよび亜鉛イオン、並びに、(3)銀イオン、亜鉛イオンおよびアンモニウムイオン、からなる群のいずれかのイオンまたはイオンの組を担持している抗菌性ゼオライトであることが好適であり、これらの中で、(3)銀イオン、亜鉛イオンおよびアンモニウムイオンの組み合わせで担持させた抗菌性ゼオライトが、最も好適であり、次いで、(2)銀イオンおよび亜鉛イオンの組み合わせで担持させた抗菌性ゼオライトが好適である。
【0025】
銀イオン自体の殺菌効果が高く、亜鉛イオンは、それ自体が抗菌性を有すると同時に、銀イオンのゼオライトからの離脱を抑制し、アンモニウムイオンは、ゼオライトに担持された銀イオンの変色を防ぐために有用である。
【0026】
ゼオライトにおける抗菌性金属イオンやアンモニウムイオンの担持は、常法により行うことができる。すなわち、例えば、抗菌性金属イオン、さらに必要によりアンモニウムイオンを含有する水溶液に、ゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと抗菌性金属イオン等との置換を行うことにより、所望する抗菌性ゼオライトを調製することができる。
【0027】
なお、抗菌性ゼオライト粒子の大きさは、平均粒径0.2〜10μmの範囲であることが好適である。
抗菌性ゼオライトは、上記のようにして調製したものを用いることが可能であるが、市販品を用いることも可能である。
【0028】
本粉末化粧料における抗菌性ゼオライトの含有量は、抗菌性ゼオライトの種類や、本粉末化粧料の形態に応じて選択することが可能であり、特に限定されないが、粉末化粧料の全組成に対して0.05〜10質量%であることが好適である。この含有量が、粉末化粧料の全組成に対して0.05質量%未満であると、粉末化粧料に、十分な防腐防カビ性を、抗菌性ゼオライトの防腐防カビ力のみで付与することが困難となる傾向が認められ、同10質量%を超えて含有させると、粉末化粧料において、「のびが重い」、「きしみ感が認められる」、「化粧持ちが悪い」等、使用性が低下する傾向が認められる。
【0029】
このようにして、特定量の疎水性粉末および/または疎水化処理粉末と、抗菌性ゼオライトを組み合わせて含有させた本粉末化粧料においては、抗菌性ゼオライトによる、十分な防腐防カビ効果が発揮され、かつ、塗布時における皮膚刺激性が少なく、優れた使用感触を有する粉末化粧料が発揮される。
【0030】
また、抗菌性ゼオライトを含有させることにより、十分な防腐防カビ効果を粉末化粧料に付与することが可能である故、抗菌性ゼオライト以外の他の防腐防カビ剤、特に、有機防腐防カビ剤を、実質的に含有しない、本粉末化粧料が提供される。
【0031】
ここで、「実質的に含有しない」とは、通常、化粧料等に防腐防カビ剤として用いられているもの、例えば、デヒドロ酢酸、安息香酸類、パラベン類等を、防腐防カビ効果が、実用可能な程度に発揮されるほどには含有しないことを意味するものである。具体的には、粉末化粧料の全組成に対して0〜0.01質量%程度の含有量であれば、例えば、市販の含有成分中に含有されているパラベン類等の防腐防カビ剤が、結果として、本粉末化粧料中に含有されていても、これによる防腐防カビ効果は無視できる程度であり、このような場合は、パラベン類等の防腐防カビ剤を実質的には含有していないものとすることができる。なお、「実質的に含有しない」とは、潜在的に防腐防カビ効果が認められる一般成分が含有されていることを排除することを意味するものではない。
【0032】
本粉末化粧料の具体的な形態
上述したように、本粉末化粧料は、上述した必須の要件を満足する限り、メーキャップ化粧料の範疇のあらゆる製品形態をとることが可能である。具体的には、本粉末化粧料は、例えば、化粧下地、ファンデーション、白粉、頬紅、口紅、マスカラ、アイシャドー、アイライナー等の形態を採り得る。
【0033】
このように、本粉末化粧料は、多彩な製品形態をとり得るものであり、必要に応じて、上記の必須の成分の他に、水、非疎水性粉末、油分、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤、防腐剤、高分子(被膜剤を含む)、酸化防止剤、紫外線防御剤、香料、各種薬剤等を、可能な限り本発明の所期の効果を損なわない、質的、量的範囲で含有させることが可能である。
【0034】
上記の任意成分のうち、非疎水性粉末としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色系顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;等が挙げられる。
【0035】
本粉末化粧料は、各製品形態についての常法に従い、製造することができる。
【0036】
【実施例】次に実施例等を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれによって、技術的範囲が限定されるものではない。なお、含有量は特に断らない限り、質量%で表す。
【0037】
[実施例1〜3] 本粉末化粧料(ファンデーション)の処方と評価
1.ファンデーション処方:第1表に示す処方のファンデーション(実施例1〜3、比較例1〜3)を、1〜18を均一に混合し、これに均一に加熱溶解した19〜23を加えて混合し、さらに粉砕処理を施し、中皿に加圧成型することで調製した。
【0038】
【表1】
【0039】
2.評価試験:第1表に示す処方のファンデーションを、以下の評価方法および評価基準に従い、評価を行った。
すなわち、上記の試験品の、顔面における塗布から4時間後での、色くすみ、テカリ、くずれ、よれ、それぞれの項目について、以下の基準に従って、専門パネル10名による官能評価を行った。
【0040】
また、試験品の防腐防カビ性能については、JIS Z2911 カビ抵抗試験に基づき、各試験品を中皿にて成型し、これに各種菌株およびカビを噴霧し、ふたをして加湿条件下で25℃恒温槽に放置し、目視にて各種菌株やカビの生育の有無を観察した。
【0041】
評価基準
(官能評価)
非常に優れている(◎):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、9名以上
優れている(○):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、7〜8名
やや優れている(△):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、4〜6名
効果が認められない(×):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、3名以下
(防腐防カビ性能)
優れている(○):4週間後、肉眼で菌糸を認めない
やや優れている(△):4週間後、肉眼でわずかに菌糸が認められる
効果が認められない(×):4週間後、肉眼で菌糸が広範囲に認められる
これらの評価試験の結果を、第2表に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
第2表から明らかなように、比較例1は配合されている粉末が十分な疎水性を確保してないために、化粧もち効果について全く効果がなく、防腐防カビ性能も十分ではなかった。そして比較例2は、抗菌性金属イオンを保持したゼオライトが配合されていないために、防腐防カビ性能がまったく得られていなかった。また、比較例3は粉末の疎水性が本発明の配合量に満たなかったため、化粧もちに関しては十分改善されず、防腐防カビ性能も十分ではなかった。
【0044】
これらに対して、実施例1〜3は、粉末の疎水化度が本発明の配合量を満たしているために、化粧もち効果および防腐防カビ性能で十分な効果が得られている。また、実施例2、3は粉末の表面処理を好ましいものに変えることで、抗菌性ゼオライトの配合量を減らしても、十分な防腐防カビ性能を有するものであった。
【0045】
以下、種々の処方の本粉末化粧料を実施例として示す。なお、上記の評価試験をこれらの粉末化粧料において行ったところ、いずれの実施例の本粉末化粧料においても、各官能試験項目の評価は、「非常に優れている:◎」または「優れている:○」であり、また防腐防カビ性能も十分な効果を有するものであった。
【0046】
[実施例4] 固型両用ファンデーション
【0047】
<製造方法>
1〜12の各成分を混合粉砕したところへ、13〜20の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、さらにこれを粉砕処理したものを中皿に充填し加圧成型することで、固型パウダリーファンデーションを得た。
【0048】
[実施例5] 固型単用ファンデーション
【0049】
<製造方法>
1〜12の各成分を混合粉砕したところへ、13〜18の各成分を加熱混合したものを加えて攪拌混合し、さらにこれを粉砕処理したものを中皿に充填し加圧成型することで、固型パウダリーファンデーションを得た。
【0050】
[実施例6] 白粉
【0051】
<製造方法>
1〜10の各成分を攪拌混合した後、均一に加熱混合した11〜14を加えて混合して粉砕し、それを中皿へ充填し加圧成型することで、白粉を得た。
【0052】
[実施例7] アイシャドー
【0053】
<製造方法>
1〜11の各成分を混合粉砕したところへ、12〜15の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、さらにそれを粉砕処理したものを中皿へ充填し、加圧成型することでアイシャドーを得た。
【0054】
[実施例8] ボディーパウダー
<製造方法>
上記の含有成分を、常法に従い処理することで、ボディーパウダーを得た。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、抗菌性ゼオライトを、粉末化粧料の防腐防カビ剤として、実用的に用いる手段が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末化粧料に関する発明であり、より具体的には、新たな防腐防カビ手段を施した粉末化粧料に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
化粧料は、微生物による汚染や変質を受けやすい原料を、配合成分として用いることが多い製品であり、さらには、長期間にわたり、繰り返し使用されることが多い製品でもある。そのため、化粧料においては、防腐防カビ手段を講じることが、特に必要とされている。
【0003】
従来から、化粧料に対する代表的な防腐防カビ手段として、デヒドロ酢酸、安息香酸類、パラベン類等の有機防腐防カビ剤の添加が行われている。
それと同時に、防腐防カビ効果を向上させるために、有機防腐防カビ剤の増量や、防腐防カビ効果の強い有機防腐防カビ剤の使用を行うと、化粧料の使用に際しての過剰な皮膚刺激が懸念される等、安全性面での問題が認められている。さらに、一旦、化粧料に添加した有機防腐防カビ剤の結晶の経時的析出や、他の配合成分による防腐防カビ効果の阻害等の問題も指摘されている。
【0004】
また、上記の有機防腐防カビ剤以外の防腐防カビ手段として、例えば、セラミックスに、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等の抗菌性金属イオンを担持させて得られる抗菌性セラミックスを、無機防腐防カビ剤として用いる技術が提供されている(例えば、特開平1−305013号公報:特許文献1等)。しかし、この抗菌性セラミックスは、有機防腐防カビ剤を同量添加する場合に比べ、化粧料における防腐防カビ効果がやや劣る傾向が認められている。また、十分な防腐防カビ効果を得るために、抗菌性セラミックスの化粧料への添加量を多くすると、当該化粧料を使用する際における、「のび」や「なめらかさ」等の使用感触の著しい悪化や、経時での、「くすみ」や「テカリ」が認められ、仕上がりの持続性の低下、等の問題が認められていた。
【0005】
さらに、後述する本発明の要素の一つである抗菌性ゼオライトが既に知られているが、これは、抗菌性スプレー用組成物(特開昭63−250325号公報:特許文献2)や、防臭化粧料(特開平8−26955号公報:特許文献3)に対して用いられているのみである。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−305013号公報
【特許文献2】
特開昭63−250325号公報
【特許文献3】
特開平8−26955号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決すべき課題は、上記の抗菌性ゼオライトを、粉末化粧料の防腐防カビ剤として、実用的に用いる手段を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、この課題を解決するために鋭意検討を行った結果、疎水性の粉末の一定量以上と、抗菌性ゼオライトを組み合わせて、粉末化粧料において用いることにより、塗布時における皮膚刺激性が少なく、かつ良好な抗菌性と優れた使用感触を有する粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、抗菌性ゼオライトを含有し、かつ、疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の含有量が、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%である、粉末化粧料(以下、本粉末化粧料ともいう)を提供する発明である。
【0010】
本発明において、「粉末化粧料」とは、特に、粉末部を主体にした含有成分の構成をとる化粧料である。具体的には、本発明において、粉末化粧料は、粉末部が全量中、50質量%以上を占める化粧料のことを意味するものとする。よって、本粉末化粧料の製品形態は、この条件を満足する限りにおいて、あらゆる形態の化粧料であることが可能である。
【0011】
なお、本粉末化粧料の「粉末部」とは、平均粒径が100μm以下の、0〜100℃において流動性を示さず、かつ、化粧料中の当該流動性示す成分に対して難溶または不溶の、1種または2種以上の成分で構成される含有成分群を意味するものであり、例えば、ワックス、パラベン等は除外されるものとする。逆に、「非粉末部」とは、粉末化粧料中の「粉末部」以外の含有成分群を意味している。なお、本粉末化粧料の必須含有成分である抗菌性ゼオライトは、非粉末部成分であり、粉末部成分からは除外するものとする。
【0012】
また、本発明においては、「疎水性」は、イオン交換水50gと評価粉末0.1gとを、透明密閉容器に入れた後、25℃で1日保存し、その状態を目視観察することにより判定した。すなわち、その結果、評価粉末の大部分とイオン交換水との間に、界面が認められる場合は、疎水性が認められるものとした。
【0013】
【発明の実施の形態】
本粉末化粧料の必須の成分
(1)疎水性粉末および/または疎水化処理粉末
疎水性粉末と疎水化処理粉末とも、疎水性の粉末、すなわち、水に対する親和性が低い粉末である。これらのうち、疎水性粉末は、未処理の粉末粒子そのものの、水に対する親和性が低い粉末である。これに対して、疎水化処理粉末は、核粒子(水に対する親和性を問わない)を表面処理することにより、当該処理粒子の水に対する親和性が低くなっている粉末である。
【0014】
疎水性粉末は、通常の化粧料用途に用いることの可能な粉末であれば、特に限定されず、例えば、ナイロン粉末、ポリメタクリル酸粉末、ポリウレタン粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、メチルシロキサン網状体粉末、窒化ホウ素粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー粉末等を挙げることができる。
【0015】
また、疎水化処理粉末を調製する際に、核粒子とすることができる粉末粒子は、
通常の化粧料用途に用いることの可能な粉末であれば、特に限定されず、例えば、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、酸化チタン粉末、酸化鉄粉末、酸化亜鉛粉末、雲母チタン粉末、硫酸バリウム粉末、シリカ粉末、アパタイト粉末、リン酸カルシウム粉末、ゼオライト粉末(抗菌性ゼオライトを除く)等の非疎水性粉末の粉末粒子を用いることが可能であり、上記のような疎水性粉末の粉末粒子を用いることも可能である。
【0016】
疎水化処理粉末を調製する疎水化処理は、化粧料用途に用いられる疎水化処理粉末を調製する常法を用いることが可能であり、例えば、高級脂肪酸、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれの界面活性剤をも含む)、金属石鹸、油脂、ロウ、シリコーン、フッ素化合物、炭化水素、デキストリン脂肪酸エステル等の物質の1種または2種以上による、粉末粒子表面の処理を常法に従い行うことで、所望の疎水化処理粉末を調製することができる。また、これらの疎水化処理方法のなかでも、シリコーン処理、金属石鹸処理およびフッ素化合物処理から選ばれる1種または2種以上の処理方法を選択することが好適であり、中でも、シリコーン処理が極めて好適である。
【0017】
さらに、本発明完成時点において、最も好ましい疎水化処理方法として、粉末粒子表面に対して、Si−H基を分子内に有するシリコーン処理を行い、かつ、当該処理表面に残存するSi−H基に対して、アルキル基の導入処理を行うこと、が挙げられる。この疎水化処理を行った表面処理粉末は、化粧料の配合粉末として公知の粉末であり、その製造方法は限定されない。例えば、特開昭63−113081号公報、特開平11−343424号公報等に開示された方法に従うと、まず、Si−H基を有するシリコーンを、粉末粒子に接触させて、第1層のシリコーン被覆を行い、続いて、シリコーン被覆された粉末粒子表面のSi−H基に、ヒドロシリル化反応等により、第2層の直鎖状または分岐状のアルキル基を導入して、所望の疎水化処理粉末を製造することができる。
【0018】
疎水性粉末および疎水化処理粉末の粒子の粒子径は、本粉末化粧料の具体的な態様に応じて適したものを用いることが可能であり、0.001〜100μm程度、一般的に好適には、0.01〜50μm程度である。また、粒子形状も、本粉末化粧料の具体的な態様に応じて適したものを用いることが可能であり、球状、板状、不定形状、針状等の粒子形状のものを用いることが可能である。
【0019】
そして、疎水性粉末および疎水化処理粉末は、1種または2種以上を、本粉末化粧料に含有させることができる。この疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の本粉末化粧料における含有量は、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%であり、好適には、同60〜100質量%である。この含有量が、化粧料の粉末部に対して40質量%未満であると、後述する抗菌性ゼオライトと組み合わせて粉末化粧料において用いても、本発明の所期の効果である、防腐防カビ力が十分に発揮され難い傾向が認められる。
(2)抗菌性ゼオライト
抗菌性ゼオライトは、具体的には、ゼオライトのイオン交換可能な部分に、抗菌性金属イオンが担持されているゼオライトである。
【0020】
ゼオライト(沸石)は、一般に、三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式
XM2/nO・Al2O3・YSiO2・ZH2O
(Mは、イオン交換可能なイオンを表し、通常は1価または2価の金属イオンである。nは、イオンの原子価であり、XおよびYはそれぞれ金属酸化物、シリカ係数を、Zは結晶水の数を表示している)
で表示される。
【0021】
本発明において用いることができるゼオライトは、天然のゼオライトであっても、人工のゼオライトであってもよい。また、ゼオライトの種類も、例えば、A−型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデライト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
ゼオライト中のイオン交換が可能なイオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等が挙げられる。上記の例示ゼオライトにおけるイオン交換容量は、いずれもアンモニウムイオンや、抗菌性金属イオンによりイオン交換するのに十分な容量を有している。
【0023】
抗菌性金属イオンとしては、例えば、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン、水銀イオン、錫イオン、鉛イオン、ビスマスイオン、クロムイオン、タリウムイオン等が挙げられ、好ましくは、銀イオン、銅イオンおよび亜鉛イオンから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0024】
さらに具体的には、抗菌性ゼオライトが、(1)銀イオン、(2)銀イオンおよび亜鉛イオン、並びに、(3)銀イオン、亜鉛イオンおよびアンモニウムイオン、からなる群のいずれかのイオンまたはイオンの組を担持している抗菌性ゼオライトであることが好適であり、これらの中で、(3)銀イオン、亜鉛イオンおよびアンモニウムイオンの組み合わせで担持させた抗菌性ゼオライトが、最も好適であり、次いで、(2)銀イオンおよび亜鉛イオンの組み合わせで担持させた抗菌性ゼオライトが好適である。
【0025】
銀イオン自体の殺菌効果が高く、亜鉛イオンは、それ自体が抗菌性を有すると同時に、銀イオンのゼオライトからの離脱を抑制し、アンモニウムイオンは、ゼオライトに担持された銀イオンの変色を防ぐために有用である。
【0026】
ゼオライトにおける抗菌性金属イオンやアンモニウムイオンの担持は、常法により行うことができる。すなわち、例えば、抗菌性金属イオン、さらに必要によりアンモニウムイオンを含有する水溶液に、ゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと抗菌性金属イオン等との置換を行うことにより、所望する抗菌性ゼオライトを調製することができる。
【0027】
なお、抗菌性ゼオライト粒子の大きさは、平均粒径0.2〜10μmの範囲であることが好適である。
抗菌性ゼオライトは、上記のようにして調製したものを用いることが可能であるが、市販品を用いることも可能である。
【0028】
本粉末化粧料における抗菌性ゼオライトの含有量は、抗菌性ゼオライトの種類や、本粉末化粧料の形態に応じて選択することが可能であり、特に限定されないが、粉末化粧料の全組成に対して0.05〜10質量%であることが好適である。この含有量が、粉末化粧料の全組成に対して0.05質量%未満であると、粉末化粧料に、十分な防腐防カビ性を、抗菌性ゼオライトの防腐防カビ力のみで付与することが困難となる傾向が認められ、同10質量%を超えて含有させると、粉末化粧料において、「のびが重い」、「きしみ感が認められる」、「化粧持ちが悪い」等、使用性が低下する傾向が認められる。
【0029】
このようにして、特定量の疎水性粉末および/または疎水化処理粉末と、抗菌性ゼオライトを組み合わせて含有させた本粉末化粧料においては、抗菌性ゼオライトによる、十分な防腐防カビ効果が発揮され、かつ、塗布時における皮膚刺激性が少なく、優れた使用感触を有する粉末化粧料が発揮される。
【0030】
また、抗菌性ゼオライトを含有させることにより、十分な防腐防カビ効果を粉末化粧料に付与することが可能である故、抗菌性ゼオライト以外の他の防腐防カビ剤、特に、有機防腐防カビ剤を、実質的に含有しない、本粉末化粧料が提供される。
【0031】
ここで、「実質的に含有しない」とは、通常、化粧料等に防腐防カビ剤として用いられているもの、例えば、デヒドロ酢酸、安息香酸類、パラベン類等を、防腐防カビ効果が、実用可能な程度に発揮されるほどには含有しないことを意味するものである。具体的には、粉末化粧料の全組成に対して0〜0.01質量%程度の含有量であれば、例えば、市販の含有成分中に含有されているパラベン類等の防腐防カビ剤が、結果として、本粉末化粧料中に含有されていても、これによる防腐防カビ効果は無視できる程度であり、このような場合は、パラベン類等の防腐防カビ剤を実質的には含有していないものとすることができる。なお、「実質的に含有しない」とは、潜在的に防腐防カビ効果が認められる一般成分が含有されていることを排除することを意味するものではない。
【0032】
本粉末化粧料の具体的な形態
上述したように、本粉末化粧料は、上述した必須の要件を満足する限り、メーキャップ化粧料の範疇のあらゆる製品形態をとることが可能である。具体的には、本粉末化粧料は、例えば、化粧下地、ファンデーション、白粉、頬紅、口紅、マスカラ、アイシャドー、アイライナー等の形態を採り得る。
【0033】
このように、本粉末化粧料は、多彩な製品形態をとり得るものであり、必要に応じて、上記の必須の成分の他に、水、非疎水性粉末、油分、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤、防腐剤、高分子(被膜剤を含む)、酸化防止剤、紫外線防御剤、香料、各種薬剤等を、可能な限り本発明の所期の効果を損なわない、質的、量的範囲で含有させることが可能である。
【0034】
上記の任意成分のうち、非疎水性粉末としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色系顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;等が挙げられる。
【0035】
本粉末化粧料は、各製品形態についての常法に従い、製造することができる。
【0036】
【実施例】次に実施例等を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれによって、技術的範囲が限定されるものではない。なお、含有量は特に断らない限り、質量%で表す。
【0037】
[実施例1〜3] 本粉末化粧料(ファンデーション)の処方と評価
1.ファンデーション処方:第1表に示す処方のファンデーション(実施例1〜3、比較例1〜3)を、1〜18を均一に混合し、これに均一に加熱溶解した19〜23を加えて混合し、さらに粉砕処理を施し、中皿に加圧成型することで調製した。
【0038】
【表1】
【0039】
2.評価試験:第1表に示す処方のファンデーションを、以下の評価方法および評価基準に従い、評価を行った。
すなわち、上記の試験品の、顔面における塗布から4時間後での、色くすみ、テカリ、くずれ、よれ、それぞれの項目について、以下の基準に従って、専門パネル10名による官能評価を行った。
【0040】
また、試験品の防腐防カビ性能については、JIS Z2911 カビ抵抗試験に基づき、各試験品を中皿にて成型し、これに各種菌株およびカビを噴霧し、ふたをして加湿条件下で25℃恒温槽に放置し、目視にて各種菌株やカビの生育の有無を観察した。
【0041】
評価基準
(官能評価)
非常に優れている(◎):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、9名以上
優れている(○):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、7〜8名
やや優れている(△):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、4〜6名
効果が認められない(×):色くすみ、テカリ、くずれ、および、よれ、のそれぞれの項目について、認められなかったパネルが、3名以下
(防腐防カビ性能)
優れている(○):4週間後、肉眼で菌糸を認めない
やや優れている(△):4週間後、肉眼でわずかに菌糸が認められる
効果が認められない(×):4週間後、肉眼で菌糸が広範囲に認められる
これらの評価試験の結果を、第2表に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
第2表から明らかなように、比較例1は配合されている粉末が十分な疎水性を確保してないために、化粧もち効果について全く効果がなく、防腐防カビ性能も十分ではなかった。そして比較例2は、抗菌性金属イオンを保持したゼオライトが配合されていないために、防腐防カビ性能がまったく得られていなかった。また、比較例3は粉末の疎水性が本発明の配合量に満たなかったため、化粧もちに関しては十分改善されず、防腐防カビ性能も十分ではなかった。
【0044】
これらに対して、実施例1〜3は、粉末の疎水化度が本発明の配合量を満たしているために、化粧もち効果および防腐防カビ性能で十分な効果が得られている。また、実施例2、3は粉末の表面処理を好ましいものに変えることで、抗菌性ゼオライトの配合量を減らしても、十分な防腐防カビ性能を有するものであった。
【0045】
以下、種々の処方の本粉末化粧料を実施例として示す。なお、上記の評価試験をこれらの粉末化粧料において行ったところ、いずれの実施例の本粉末化粧料においても、各官能試験項目の評価は、「非常に優れている:◎」または「優れている:○」であり、また防腐防カビ性能も十分な効果を有するものであった。
【0046】
[実施例4] 固型両用ファンデーション
【0047】
<製造方法>
1〜12の各成分を混合粉砕したところへ、13〜20の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、さらにこれを粉砕処理したものを中皿に充填し加圧成型することで、固型パウダリーファンデーションを得た。
【0048】
[実施例5] 固型単用ファンデーション
【0049】
<製造方法>
1〜12の各成分を混合粉砕したところへ、13〜18の各成分を加熱混合したものを加えて攪拌混合し、さらにこれを粉砕処理したものを中皿に充填し加圧成型することで、固型パウダリーファンデーションを得た。
【0050】
[実施例6] 白粉
【0051】
<製造方法>
1〜10の各成分を攪拌混合した後、均一に加熱混合した11〜14を加えて混合して粉砕し、それを中皿へ充填し加圧成型することで、白粉を得た。
【0052】
[実施例7] アイシャドー
【0053】
<製造方法>
1〜11の各成分を混合粉砕したところへ、12〜15の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、さらにそれを粉砕処理したものを中皿へ充填し、加圧成型することでアイシャドーを得た。
【0054】
[実施例8] ボディーパウダー
<製造方法>
上記の含有成分を、常法に従い処理することで、ボディーパウダーを得た。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、抗菌性ゼオライトを、粉末化粧料の防腐防カビ剤として、実用的に用いる手段が提供される。
Claims (8)
- 抗菌性ゼオライトを含有し、かつ、疎水性粉末および/または疎水化処理粉末の含有量が、抗菌性ゼオライトを除いた化粧料の粉末部に対して40〜100質量%である、粉末化粧料。
- 疎水化処理粉末が、無機粉末粒子の表面に対して、シリコーン化合物の1種若しくは2種以上、金属石鹸の1種若しくは2種以上、および、フッ素化合物の1種若しくは2種以上、からなる群から選ばれる1種または2種以上で表面処理を行って得られる疎水化処理粉末である、請求項1記載の粉末化粧料。
- 疎水化処理粉末が、無機粉末粒子の表面に対して、シリコーン化合物の1種または2種以上で表面処理を行って得られる疎水化処理粉末である、請求項1記載の粉末化粧料。
- 疎水化処理粉末が、無機粉末粒子表面に対して、Si−H基を分子内に有するシリコーン処理を行い、かつ、当該処理表面に残存するSi−H基に対して、アルキル基の導入処理を行って得られる疎水化処理粉末である、請求項1記載の粉末化粧料。
- 抗菌性ゼオライトが、銀イオン、銅イオンおよび亜鉛イオンからなる群から選ばれる1種または2種以上のイオンを担持している抗菌性ゼオライトである、請求項1〜4のいずれかに記載の粉末化粧料。
- 抗菌性ゼオライトが、(1)銀イオン、(2)銀イオンおよび亜鉛イオン、並びに、(3)銀イオン、亜鉛イオンおよびアンモニウムイオン、からなる群のいずれかのイオンまたはイオンの組を担持している抗菌性ゼオライトである、請求項1〜4のいずれかに記載の粉末化粧料。
- 抗菌性ゼオライトが、銀イオン、亜鉛イオンおよびアンモニウムイオンを担持している抗菌性ゼオライトである、請求項1〜4のいずれかに記載の粉末化粧料。
- 実質的に有機防腐防カビ剤を含有しない、請求項1〜7のいずれかに記載の粉末化粧料。
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