JPH11343424A - 処理粉体およびこれを含有する化粧料 - Google Patents

処理粉体およびこれを含有する化粧料

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JPH11343424A
JPH11343424A JP15087798A JP15087798A JPH11343424A JP H11343424 A JPH11343424 A JP H11343424A JP 15087798 A JP15087798 A JP 15087798A JP 15087798 A JP15087798 A JP 15087798A JP H11343424 A JPH11343424 A JP H11343424A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si−H基を有するシリコーンの被覆密度を
高めるとともに、未反応のSi−H基への反応化合物の
付加量を高めた改質粉体を環境上安全に、かつ簡便に
得、さらに、これを用いて化粧料、特に発色性、油分の
酸化劣化防止効果に優れた化粧料を提供する。 【解決手段】 Si−H基を有するシリコーン化合物を
水系溶液に混合してなる水系混合溶液に粉体を接触させ
て該粉体表面をシリコーン被覆させ、次いで、該シリコ
ーン化合物の未反応のSi−H基部分に、該Si−H基
と反応することのできる化合物を低級アルコール中で付
加させることにより得られる処理粉体、および該処理粉
体を含有してなる化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は処理粉体およびこれ
を含有する化粧料に関する。さらに詳しくは、シリコー
ン被覆粉体に、アルキル基等の機能性基を高密度で付加
してなる撥水性、分散性等に優れた処理粉体およびこれ
を含有する化粧料に関する。本発明では特に、粉体とし
て酸化鉄系色材や酸化チタン等を用いた場合、発色性、
油分の酸化抑制効果に優れた処理粉体が得られる。
【0002】
【従来の技術】粉体表面にSi−H基を有するシリコー
ン化合物を被覆し、未反応のSi−H基に不飽和化合物
を付加することにより、粉体に機能性基を導入して改質
処理する技術が報告されている(特公平1−54380
号公報、等)。しかしながら従来、機能性基の付加量
は、一般に疎水性や分散嗜好性を変化させるに必要な程
度にすぎないことが多かった。このような処理粉体を用
いて製品を製造する場合、十分な油脂分散性を得ること
が難しい。
【0003】最近、これら改質粉体を化粧料、医療材
料、塗料、インキ等の分野に応用する技術が進んでお
り、それに応じて粉体の改質の度合い等の要求も高まっ
ている。
【0004】このような要求に応えるために、粉体改質
処理において、Si−H基を有するシリコーン化合物の
被覆量を高めるとともに、未反応のSi−H基への化合
物の付加量を高めることがより一層求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Si−H基
を有するシリコーンの被覆密度を高めるとともに、未反
応のSi−H基への反応化合物の付加量(機能性基の導
入)を高めた改質粉体を環境上安全に、かつ簡便に得る
こと、さらに、これを用いて化粧料、特に発色性、油分
の酸化劣化防止効果に優れた化粧料を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水系溶液中で粉体
表面をシリコーン化合物で均一かつ高密度で被覆し、こ
の上にさらに低級アルコール中で機能性基を高密度で導
入することにより、撥水性が高く、分散性に優れる処理
粉体を安全かつ簡便に得ることができること、および、
該処理粉体を用いて、特に発色性、油分の酸化劣化防止
効果に優れた化粧料を得ることができるということを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、Si−H基を有するシ
リコーン化合物を水系溶液に混合してなる水系混合溶液
に粉体を接触させて該粉体表面をシリコーン被覆させ、
次いで、該シリコーン化合物の未反応のSi−H基部分
に、該Si−H基と反応することのできる化合物を低級
アルコール中で付加させることにより得られる処理粉体
に関する。
【0008】また本発明は、上記処理粉体を含有してな
る化粧料に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0010】本発明ではまず、Si−H基を有するシリ
コーン化合物を水系溶液に混合してなる水系混合溶液に
粉体を接触させて該粉体表面をシリコーン被覆させる。
【0011】本発明で用いるSi−H基を有するシリコ
ーン化合物は、Si−H基を有するシリコーン系のもの
であればどのような化合物でも用いることができる。例
えば、シリコーン油、シリコーンレジン、シリコーンワ
ックス等が挙げられる。なかでも、下記一般式(I)
【0012】
【化3】 (R1HSiO)a(R23SiO)b(R456SiO1/2c (I) 〔式中、R1、R2およびR3は互いに独立に水素原子で
あるかまたは少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能
な炭素原子数1〜10の炭化水素基であり(但し、
1、R2、R3が同時に水素原子であることはない);
4、R5およびR6は互いに独立に水素原子であるかま
たは少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能な炭素原
子数1〜10の炭化水素基であり;aは1以上の整数で
あり、bは0または1以上の整数であり、cは0または
2であり(但し、3≦a+b+c≦10000であ
る);そしてこの化合物はSi−H基部分を少なくとも
1個含むものとする〕で表されるシリコーン化合物が好
適に用いられる。
【0013】ここでc=0の場合は、下記の一般式(I
II)
【0014】
【化4】 (R1HSiO)a(R23SiO)b (III) 〔式中、R1、R2、R3、a、bは上記一般式(I)で
定義した通り。但し、好ましくはR1、R2およびR3
互いに独立に少なくとも1個のハロゲン原子(特にフッ
素原子)で置換可能な炭素原子数1〜4の低級アルキル
基またはアリール基(例えばフェニル基)であり;a+
bが3以上であり、好ましくは10〜1000、特には
20〜500である〕で表される環状シリコーン化合物
である。好ましくは1分子中に水素原子が2個以上存在
するものが望ましい。一般式(III)の化合物の具体
的例としては、環状メチルハイドロジェンポリシロキサ
ン等を挙げることができる。
【0015】また、c=2の場合は、下記の一般式(I
V)
【0016】
【化5】 (R1HSiO)a(R23SiO)b(R456SiO1/22 (IV) 〔式中、R1〜R6、a、bは上記一般式(I)で定義し
た通り。但し、好ましくはR1〜R6が互いに独立に少な
くとも1個のハロゲン原子(特にフッ素原子)で置換可
能な炭素原子数1〜4の低級アルキル基またはアリール
基(例えばフェニル基)であり;a+bが10〜100
0、特には20〜500である〕で表される鎖状シリコ
ーン化合物である。一般式(IV)の具体例としては、
メチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニルハイド
ロジェンポリシロキサン、1,1,1,3,5,7,
7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,1,
3,5,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサ
ン、1,1,1,3,5,7,9,11,11,11−
デカメチルヘキサシロキサン、1,3,5,7,−テト
ラメチルシクロテトラシロキサン等を挙げることができ
る。
【0017】本発明で用いられる水系溶液は、水または
水を主成分とする溶液で、水が80重量%程度以上含有
されている溶液を意味する。水以外の他の成分として
は、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のア
ルコール類、およびこれらの混合物等が挙げられる。な
お、この水系溶液に含まれる水としては、イオン交換
水、蒸留水等が挙げられる。
【0018】本発明では、上記水系溶液とSi−H基を
有するシリコーン化合物を混合して水系混合溶液とする
が、両者の混合割合は、シリコーン化合物1に対して水
系溶液10〜30、より好適には15〜20(重量比)
の範囲で混合するのが好ましい。混合方法は常法により
行うことができ、例えば通常用いられている混合機を用
いて行うことができる。湿式混合する場合は水系溶液の
割合を多くし、乾式混合の場合は水系溶液の割合を少な
くするなど、適宜、調整し得る。
【0019】次に、上記水系混合溶液に粉体を接触さ
せ、場合によって加熱する。
【0020】本発明に用いられる粉体は、特に制限され
るものではないが、一般に粒径10μm以下の任意の物
体(10μmより大きいものも含まれることがある)を
意味し、具体的には、有機顔料、無機顔料、金属酸化物
および金属水酸化物、雲母、パール光沢材料、金属、カ
ーボン、磁性粉末、ケイ酸塩鉱物、多孔質材料等が例示
的に挙げられる。これら粉体は1種類でもまた複数を組
み合わせて用いてもよく、また凝集体、成形体あるいは
造形体等であってもよい。また粉体の上にあるいはその
中に他の物質(例えば、着色剤、UV吸収剤、医薬品、
各種添加剤)を含有していてもよい。本発明によれば粒
径0.02μm以下の超微粉体も含めた任意の粉体を改
質(処理)することができる。
【0021】有機顔料としては、例えば赤色201号、
赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色22
0号、赤色226号、赤色228号、赤色305号、橙
色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401
号および青色404号や、さらに赤色3号、赤色104
号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色
401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄
色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号および
青色1号等が挙げられ、さらにこれらの有機顔料がジル
コニウムレーキ、バリウムレーキまたはアルミニウムレ
ーキ等のものでもよい。
【0022】無機顔料としては、例えば紺青、群青、マ
ンガンバイオレット、(酸化)チタン被覆マイカおよび
オキシ塩化ビスマス等が挙げられる。
【0023】金属酸化物および金属水酸化物としては、
例えば酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カ
ルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸
化アルミニウム、シリカ、酸化鉄(α−Fe23、γ−
Fe23、Fe34、FeO等)、黄色酸化鉄(特に棒
状のもの)、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、酸化
チタン(特に粒径0.001〜0.1μmの二酸化チタ
ン)、低次酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロ
ム、水酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化
ニッケルや、これらの2種以上の組み合わせによる複合
酸化物および複合水酸化物、例えばシリカアルミナ、チ
タン酸鉄、チタン酸コバルト、リチウムコバルトチタネ
ート、アルミン酸コバルト等が挙げられる。
【0024】雲母としては、例えば白雲母、金雲母、黒
雲母、絹雲母(セリサイト)、鉄雲母、紅雲母、リチア
雲母、チンワルド雲母、ソーダ雲母、人工雲母または、
KAl2(Al、Si3)O102、KMg3(Al、Si
3)O102、K(Mg、Fe 3)(Al、Si3)O10
2で表される雲母等が挙げられる。
【0025】パール光沢材料としては、例えば雲母チタ
ン系複合材料、雲母酸化鉄系複合材料、ビスマスオキシ
クロライド、グアニンや、さらに、酸化窒化チタンおよ
び/または低次酸化チタンを含有するチタン化合物で被
覆された雲母等が挙げられる。雲母チタン系複合材料の
チタンについては二酸化チタン、低次酸化チタン、酸化
窒化チタンのいずれでもよい。また雲母チタン系複合材
料またはビスマスオキシクロライドに、例えば酸化鉄、
紺青、酸化クロム、カーボンブラック、カーミンあるい
は群青等をさらに混合したものであってもかまわない。
【0026】金属としては、例えばアルミニウム、鉄、
ニッケル、コバルト、クロム、金、銀、銅、プラチナ、
亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、タングステン、
ジルコニウム、モリブデン、シリコン、チタン等が挙げ
られる。
【0027】磁性粉体としては、例えばγ−Fe23
マグネタイト(Fe34)、ベルトライト系酸化鉄(F
eOx;1.33<x<1.5)またはそれらがコバル
ト、マンガン、ニッケル、亜鉛、クロム等で変性された
ものや、針状の鉄またはAl、B、Co、Cr、Cu、
Mo、Mn、Ni、P、Si、Sn、Znが含有された
鉄粉、CrO2やBaフェライト等が挙げられる。
【0028】また、粉末が、雲母上に被覆された鉄、ニ
ッケル、コバルトまたはその酸化物であってもよいが、
これに限定されるものではない。
【0029】ケイ酸塩鉱物としては、フィロケイ酸塩鉱
物(例えば、カオリン族、モンモリロナイト族、粘土雲
母族、緑泥石族、蛇紋石)およびテクトケイ酸塩鉱物
(例えばゼオライト族)であり、パイロフィライト、タ
ルク、緑泥石、クリソタイル、アンチゴライト、リザダ
イト、カオリナイト、デッカイト、ナクライト、ハロサ
イト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイ
ト、ソーコナイト、ベントナイトや、ソーダ沸石、中沸
石、スコレス沸石、トムソン沸石等のソーダ沸石族、輝
沸石、束沸石、剥沸石等の輝沸石族、および方沸石、重
十字沸石、灰十字沸石、菱沸石、グメリン沸石等のゼオ
ライト等が挙げられる。
【0030】本発明では特に、粉体として酸化鉄系色
材、酸化チタンが好ましく用いられる。酸化鉄系色材と
しては、酸化鉄(α−Fe23、γ−Fe23、Fe3
4、FeO等)、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化
鉄等が挙げられる。酸化チタンとしては特に粒径0.0
01〜0.1μmの二酸化チタンが好ましい。これら酸
化鉄系色材、酸化チタンを用いた本発明処理粉体は、特
に、発色性および併用油分の酸化劣化の促進抑制効果に
優れる。したがってこれら色材の処理粉体を化粧料、特
に口紅、アイライナー等のメーキャップ化粧料に用いた
場合、色調に優れ、油分の酸化劣化の少ない化粧料が得
られる。
【0031】粉体と水系混合溶液の接触の方法は、特に
限定されるものでなく、例えば、粉体を混合溶液中に浸
漬する、混合溶液を粉体にスプレー塗布する等、任意の
方法で行い得る。接触の具体例としては、例えば、所定
量のシリコーン化合物および水系溶液を混合機によって
混合した後、粉体に霧状に吹き付け加熱混合する方法が
挙げられる。また、粉体の入った湿式混合機に水系溶液
を入れてよく混合した後にシリコーン化合物を添加して
加熱混合したり、粉体にシリコーン/水系溶液を直接添
加して加熱混合してもよい。このように有機溶媒を用い
ずに水系溶液を用いて粉体の被覆処理を行うため、作業
安全性が高く、残存する有機溶媒の除去も必要としな
い。また、引火の問題もなく、乾式状態に近い処理でも
有機溶媒系と比べて格段に安全性が高い。
【0032】上記接触の後、反応液は好ましくは加熱さ
れる。加熱条件は特に限定されるものでないが、シリコ
ーン被膜の焼き付けも同時に行うことが好ましく、一般
に温度70〜120℃程度での加熱で十分であるが、9
5℃以上で架橋反応速度が増大する。この加熱により、
水分を蒸発させ、またSi−H基どうしの架橋反応を促
進させることができるので、シリコーン被覆の安定化を
図ることができる。
【0033】また、pHを酸側にして架橋を生じ難くし
て残存のSi−H基を多くした被覆粉体は、その後ヒド
ロシリル化反応を行ってペンダント基を導入して機能性
を付与する場合、その付加密度を上げることができる。
【0034】なお、粉体に対するシリコーン化合物量
は、2〜5重量%、好ましくは3〜4重量%である。上
記シリコーン量が2重量%未満では本発明の効果を得ら
れる程度にペンダント基を導入することができず、一
方、5重量%超では擬集状態でペンダント基が修飾さ
れ、好ましくない。
【0035】こうしてできたシリコーン被覆粉体は、未
反応のSi−H基部分が存在し、アルカリや酸のような
苛酷な条件では若干不安定になる。
【0036】続いてこのようにシリコーン被覆された未
反応のSi−H基に、低級アルコール中でSi−H基と
反応することのできる化合物を付加させる。
【0037】本発明で用いられるSi−H基と反応する
ことのできる化合物(Si−H基反応性化合物)は、上
記シリコーン化合物の未反応のSi−H基と反応するこ
とができる化合物であればどのような化合物も任意に用
いられ得る。
【0038】このSi−H基反応性化合物は、シリコー
ン化合物の未反応Si−H基部分に対して付加し、所望
のペンダント基をシリコーン化合物に導入するためのも
のである。したがって、Si−H基反応性化合物を適切
に選択し、所望のペンダント基を導入することにより、
粉体に対して種々の機能を付与することができる。ここ
で「ペンダント基」とは、Si−H基部分と反応するこ
とのできる化合物の残基であって、その化合物の付加反
応によってシリコーン化合物に導入される基を意味す
る。このペンダント基は、粉体に各種の特性および機能
を付与する。付加させる不飽和化合物の炭化水素基の種
類または長さ等を調節すれば疎水性をより強めることが
できる。
【0039】ペンダント基は任意に選択することができ
る。例えばアルキル基は撥水性が高く油脂によく分散
し、紫外線吸収剤付加では経皮吸収のない紫外線吸収粉
体を得ることができる。抗菌作用を有する基を付加すれ
ば経皮吸収のない抗菌粉体を得ることができる。エポキ
シ基を付加したものは樹脂と反応することができ、強固
な樹脂・粉体複合体を形成し、熱で膨張しない固い複合
体となる。
【0040】かかるSi−H基反応性化合物としては、
例えば、OH基またはSH基をもつ化合物、例えばアミ
ノ酸(システイン等)を使用することができる。さらに
炭素−炭素二重結合または三重結合を少なくとも1つも
ち、Si−H基部分と反応することのできる不飽和化合
物(ビニル化合物)を使用することができる。
【0041】適当な不飽和化合物としては、下記一般式
(II)
【0042】
【化6】 (式中、R7、R8、R9およびR10は互いに独立に水素
原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アシルオ
キシ基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキ
シル基、スルホ基、あるいは炭素原子数1〜30の置換
または非置換の炭化水素基であるか;あるいはR7とR9
とが炭素−炭素結合をなし、−C=C−と一緒になって
炭素−炭素三重結合を形成することができ;あるいはR
8とR10とが炭素−炭素結合をなし、−C=C−と一緒
になって脂環式基を形成することができる)で表される
化合物等が挙げられる。
【0043】上記において、炭素原子数1〜30の置換
または非置換の炭化水素基としては、例えば、脂肪族基
(例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
等)、芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル基、
等)、複素環式基(例えばヘテロ原子として窒素原子、
酸素原子またはイオウ原子を1個以上含むもの、等)、
脂環式基(例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル
基、シクロアルキニル基、等)、スピロ化合物残基また
はテルペン化合物残基等が挙げられる。
【0044】上記炭化水素基R7〜R10は、一般式(I
I)の化合物における二重結合または三重結合による付
加反応に不利な影響を与えない限り、1個以上の不飽和
炭化水素基(例えば前記一般式(II)の定義で例示し
たもの)および/または1個以上の官能基で置換されて
いることができる。官能基の代表例としては、ハロゲン
原子、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプ
ト基、エポキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシル
オキシ基、第四級アンモニウム基、ポリアルキレンエー
テル基等を挙げることができる。
【0045】より好ましい不飽和化合物は、末端あるい
は任意の位置に不飽和結合(二重結合、三重結合)を1
個以上有するアルケンまたはアルキンであり、例えばア
セチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、オクテン、
デセン、オクタデセン等が挙げられる。アルケン等は、
不飽和結合を有していればその位置でSi−H基部分と
付加反応するため、それ以外の位置にシクロヘキサン、
ベンゼン、ナフタレン等の環状構造が存在していてもか
まわない。
【0046】また、二重結合が二つ以上あるブタジエ
ン、イソプレン等を用いることもできる。
【0047】本発明では、上記一般式(II)中、上記
一般式(II)中、R8、R9、R10が水素原子であり、
7が炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数8〜
18のアルキル基のものが好ましく用いられる。このよ
うにペンダント基としてアルキル基を用いた場合、特に
撥水性が高く、分散能が高い処理粉体が得られる。
【0048】本発明では、このペンダント基の導入は低
級アルコール中で行われる。低級アルコールとしてはエ
タノールが最も好ましく用いられる。
【0049】ペンダント基付加の方法としては、特に限
定されるものでなく、例えば、シリコーン被覆粉体を低
級アルコール中に分散、あるいは溶解させた後、Si−
H基反応性化合物を添加する等の方法が挙げられる。こ
の接触による反応は、加熱しながら行うのが反応時間の
短縮となるので好ましいが、本発明では、加熱温度は従
来例に比べて低い温度で行うことができ、例えば50〜
65℃の範囲で行っても反応速度が低下することなく、
短時間に反応が終了する。
【0050】上記接触において、シリコーン化合物のS
i−H基とペンダント基とのヒドロシリル化反応を促進
させるために触媒を添加する。
【0051】このヒドロシル化反応を促進する触媒とし
ては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パ
ラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適
しているが、特にパラジウムと白金の化合物が好適であ
る。パラジウム系では塩化パラジウム(II)、塩化テ
トラアミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パ
ラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)等が挙げ
られる。白金系では塩化白金(II)、テトラクロロ白
金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸
(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)アンモニウム、
酸化白金(II)、水酸化白金(II)、二酸化白金
(IV)、酸化白金(IV)、二硫化白金(IV)、硫
化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム
等が挙げられる。さらにアミン触媒例えばトリブチルア
ミンまたは重合開始剤を使用することができる。
【0052】なお、Si−H基反応性化合物は、その系
全体のシリコーン化合物のSi−H基の0.5〜3当量
が好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
【0053】このようにして得られる本発明処理粉体
は、従来に比し、シリコーン化合物を高密度で均一に被
覆することができるとともに、未反応のSi−H基にペ
ンダント基を高密度で付加することができる。具体的に
は、粉体あたりシリコーン化合物を300μmol/g
以上の高密度で被覆することができる。また、ペンダン
ト基を粉体あたり70μmol/g以上の高密度で付加
することができる。このように高密度で粉体をシリコー
ン被覆し、かつ機能性基を粉体に導入することにより、
機能性を十分に発揮できるばかりでなく、従来と異なっ
た性能を発揮することができる。本発明の機能性粉体は
化粧料、塗料、複合材料など様々の分野に応用できる。
特に化粧料において、粉体として酸化鉄系色材、二酸化
チタンを用いた場合、発色性に優れ、併用油分の酸化劣
化抑制効果に優れた化粧料、特には口紅、アイライナー
等のメーキャップ化粧料を提供することができる。
【0054】こうしてできた高付加密度粉体に、他の粉
体、油分、等を混合して化粧料を作ることができる。
【0055】この粉体以外に配合できる粉体は、タル
ク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、
金雲母、合成雲母、黒雲母、紅雲母、リチア雲母、パー
ミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケ
イ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸マグネシウムケイ酸ストロンチウム、タング
ステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、
硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼きセッコウ)、
リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパ
タイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸
亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニ
ウム)、窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末
(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル
酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル
酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、シ
リコーン粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース
粉末等の有機粉末成分;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無
機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機
赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化
鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラ
ック、低次酸化チタン等無機黒色系顔料、マンゴバイオ
レット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸
化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑
色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、酸化チタン
コーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビ
スマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタン
コーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパ
ール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等
の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色2
04号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、
赤色228号、赤色305号、橙色203号、橙色20
4号、黄色205号、黄色401号および青色404号
や、さらに赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤
色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505
号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202
号、黄色203号、緑色3号および青色1号等のジルコ
ニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔
料が挙げられる。
【0056】これらの粉末以外に酸化防止剤、防腐剤等
を添加することができる。
【0057】これらの粉体は通常の混合機を用いて混合
することができるが、望ましくは高剪断力のものを用い
ることが望ましい。
【0058】本発明による上記高密度でペンダント基が
付加された処理粉体を用いることにより、特に油分を含
むメーキャップ化粧料等を調製した場合、発色性に優
れ、併用油分の酸化劣化抑制効果に優れた化粧料を得る
ことができる。なお、ここでいう「油分」とは、常温で
液体の状態のものをいい、具体的には、アボガド油、ツ
バキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコ
シ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ
油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ
油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆
油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ
油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グ
リセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液状油
脂;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、プリス
タン等の炭化水素、オレイン酸、トール油、イソステア
リン酸等の脂肪酸;ラウリルアルコール、オレイルアル
コール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノ
ール等の液状高級アルコール;メチルポリシロキサン、
メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェン
ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン等の液状シ
リコーン;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イ
ソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイ
ル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシ
ル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジブチル等のエステル類等が例示され
る。
【0059】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。ただし、本発明の範囲はこれら実施例によって
なんら限定されるものでないことはいうまでもない。
【0060】初めに、本実施例で用いた試験方法につい
て説明する。
【0061】[CDM試験]加速劣化試験のCDM試験
(Conductmetric Determination Method)により酸化劣
化誘導時間を測定した。
【0062】すなわち、試料を反応容器に入れ加熱しな
がら乾燥空気を送り込む。酸化により生成された揮発性
の分解生成物を水中に補集させ、その導電率が急減期に
変化する折曲点までの時間を酸化劣化誘導時間(Induct
ion Time)として求め、試料の酸化安定性の指針とす
る。 (方法)ランシマットE679型(メトローム社製)を
用い、油脂一般試験法2.4.28.2−93(CDM
試験)に基づいて測定を行った。測定温度120℃、空
気流量20L/hである。
【0063】(実施例1)
【0064】製造実施例1−1 酸化鉄赤400gとイオン交換水200gを内容積1L
のニーダーに入れ、室温で十分に攪拌、混合した。その
後、Si−H基を有するシリコーン化合物である「シリ
コーンKF−99」(信越化学(株)製)12.3g
(粉体に対し3重量%の仕込み濃度)を加え、攪拌、混
合を続けながら昇温し、100℃で水を蒸発させながら
6時間反応させた。次に、減圧乾燥機により残存してい
る水を除去し、シリコーン被覆酸化鉄赤を得た。このシ
リコーン被覆量を測定したところ、467μmol/g
であった。
【0065】製造実施例1−2 上記製造実施例1−1で得られたシリコーン被覆酸化鉄
赤200gおよびエタノール300mLをガラス製の反
応容器に加え、よく攪拌、混合した後、テトラデセン2
2gおよび塩化白金酸10mgを加え、攪拌を続けなが
ら昇温し、60℃で3時間反応させた。次に、ろ過、洗
浄後、処理粉体を取り出した。得られた処理粉体は著し
い疎水性を示し、残存するテトラデセン臭は認められな
かった。また、粉体あたりのテトラデセンの付加量を元
素分析で測定したところ、93.4μmol/gであっ
た。
【0066】(比較例1)
【0067】製造比較例1−1 内容積120Lの回転式ダブルコーン型反応槽(ステン
レススチール製、保温ジャケット付き)中に酸化鉄赤5
kgを入れた。その反応槽およびそれに直結させた容積
10Lの処理液供給タンク(ステンレススチール製、保
温ジャケット付き)の温度は、80℃に加熱した熱媒体
を循環ポンプで熱媒体加熱槽から各保温ジャケットに供
給することにより、80℃に保持した。処理液供給タン
クに窒素ガスを60リットル/minで供給して、1,
3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンをバ
ブリングさせた。なお、反応槽には凝縮器を取り付け、
窒素ガスがそこから放出され、未反応の処理剤が回収で
きるようにした。また、反応槽は10分間各で1分間回
転させ、反応槽内で酸化鉄赤を混合する操作を6時間繰
り返し、シリコーン被覆酸化鉄赤を取り出した。このシ
リコーン被覆量を測定したところ、90μmol/gで
あった。
【0068】製造比較例1−2 上記製造比較例1−1で得られたシリコーン被覆酸化鉄
赤300gおよびエタノール500mLをガラス製の反
応容器に加え、よく攪拌、混合した後、テトラデセン
4.7gおよび塩化白金酸15mgを加え、攪拌を続け
ながら昇温し、60℃で4時間反応させた。次に、ろ
過、洗浄後、処理粉体を取り出した。得られた処理粉体
は著しい疎水性を示したものの、残存するテトラデセン
臭が認められた。粉体あたりのテトラデセンの付加量を
元素分析で測定したところ、8μmol/gであった。
【0069】(対照例1)シリコーン非被覆の酸化鉄赤
300gおよびエタノール500mLをガラス製の反応
容器に加え、よく攪拌、混合した後、テトラデセン10
gおよび塩化白金酸15mgを加え、攪拌を続けながら
昇温し、60℃で時間反応させた。次に、ろ過、洗浄
後、処理粉体を取り出した。得られた処理粉体を調べた
ところ、テトラデセンはまったく付加されなかった。
【0070】[ペンダント基付加処理粉体と酸化劣化誘
導時間との関係]上記製造実施例1−2、製造比較例1
−2、対照例1で得たペンダント基付加処理酸化鉄赤を
用いて、CDM試験を行った。
【0071】すなわち、上記各粉体を、マカデミアナッ
ツオイル中に5重量%の濃度割合でディスパー分散させ
るとともに、酸化防止剤としてd−δ−トコフェロール
を0.1重量%の濃度割合で配合し、CDM試験により
酸化安定性を評価した。
【0072】その結果、酸化劣化誘導時間は、製造実施
例1−2で得た付加処理酸化鉄赤では22時間、製造比
較例1−2で得た付加処理酸化鉄赤では6時間、対照例
1で得た付加処理酸化鉄赤では3時間であった。
【0073】実施例1、比較例1、対照例1の結果から
明らかなように、本発明に係る処理粉体はシリコーン被
覆、ペンダント基付加ともに高密度で行うことができ、
併用油分の酸化劣化を大幅に弱めることができる。
【0074】(実施例2) (配 合 成 分) (重量%) セレシンワックス 15 マカデミアナッツオイル 30 製造実施例1−2で得た処理粉末 5 トコフェロール 0.05 トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量 上記の処方にて各成分を配合した口紅を調製し、CDM
試験を行った。その結果、酸化劣化誘導時間は32.8
時間であった。
【0075】(比較例2)実施例2において、製造実施
例1−2で得た処理粉末の代わりに、製造比較例1−2
で得た処理粉末を用いた以外は、実施例2と同様にして
口紅を調製し、CDM試験を行った。その結果、酸化劣
化誘導時間は5.5時間であった。
【0076】(実施例3) (配 合 成 分) (重量%) セレシンワックス 15 液状ラノリン 30 製造実施例1−2で得た処理粉末 5 トコフェロール 0.05 トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量 上記の処方にて各成分を配合した口紅を調製し、CDM
試験を行った。その結果、酸化劣化誘導時間は20.8
時間であった。
【0077】(比較例3)実施例3において、製造実施
例1−2で得た処理粉末の代わりに、製造比較例1−2
で得た処理粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして
口紅を調製し、CDM試験を行った。その結果、酸化劣
化誘導時間は13.5時間であった。
【0078】(実施例4) (配 合 成 分) (重量%) セレシンワックス 10 マイクロクリスタリンワックス 1 ポリエチレンワックス 4 グリセリル−ジイソステアレート 15 ジメチルポリシロキサン 15 流動パラフィン 30 製造実施例1−2で得た処理粉末 5 トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量 上記の処方にて各成分を配合した口紅を調製し、得られ
た色調をMacbeth Color Eye 7000にて側色した。その結
果、色相6.6、彩度5.7であった。
【0079】(比較例4)実施例4において、製造実施
例1−2で得た処理粉末の代わりに、製造比較例1−2
で得た処理粉末を用いた以外は、実施例4と同様にして
口紅を調製し、得られた色調をMacbeth Color Eye 7000
にて側色した。その結果、色相5.9、彩度4.8であ
った。
【0080】(対照例2)実施例4において、製造実施
例1−2で得た処理粉末の代わりに、未処理(非シリコ
ーン被覆、非アルキル付加)の酸化鉄赤を用いた以外
は、実施例4と同様にして口紅を調製し、得られた色調
をMacbeth Color Eye 7000にて側色した。その結果、色
相4.7、彩度3.8であった。
【0081】実施例4、比較例4、および対照例2の結
果から明らかなように、本発明に係る処理粉体を用いた
口紅の色調は、極めて彩度が向上する。
【0082】(実施例5)セリサイト500gとイオン
交換水400gを内容積1Lのニーダーに入れ、室温で
十分に攪拌、混合した。その後、Si−H基を有するシ
リコーン化合物である「シリコーンKF−99」(信越
化学(株)製)17.5gを加え、攪拌、混合を続けな
がら昇温し、100℃で水を蒸発させながら4時間反応
させた。次に、減圧乾燥機により残存している水を除去
し、シリコーン処理セリサイトを得た。
【0083】その後、ガラス製の反応容器にこのシリコ
ーン処理セリサイトおよびエタノール500mLを加
え、よく攪拌、混合した後、テトラデセン50gおよび
塩化白金酸25mgを加え、攪拌を続けながら昇温し、
60℃で3時間反応させた。次に、ろ過、洗浄後、被覆
粉体を取り出した。得られた処理粉体は著しい疎水性を
示し、残存するテトラデセン臭は認められなかった。ま
た、粉体あたりのテトラデセンの付加量を元素分析で測
定したところ、225μmol/gであった。
【0084】(実施例6)実施例5のセリサイトを二酸
化チタンに代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
テトラデセンの付加量は230μmol/gであった。
【0085】(実施例7)実施例5のセリサイトをベン
ガラに代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。テト
ラデセンの付加量は218μmol/gであった。
【0086】(実施例8)実施例5のセリサイトを黄色
酸化鉄に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。テ
トラデセンの付加量は205μmol/gであった。
【0087】(実施例9)実施例5のセリサイトを亜鉛
華に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。テトラ
デセンの付加量は214μmol/gであった。
【0088】(比較例5)セリサイト500gとイオン
交換水400gを内容積1Lのニーダーに入れ、室温で
十分に攪拌、混合した。その後、Si−H基を有するシ
リコーン化合物である「シリコーンKF−99」(信越
化学(株)製)17.5gを加え、攪拌、混合を続けな
がら昇温し、100℃で水を蒸発させながら4時間反応
させた。次に、減圧乾燥機により残存している水を除去
し、シリコーン処理セリサイトを得た。
【0089】その後、このシリコーン処理セリサイト2
00gにイオン交換水350gを加えてよく攪拌し、混
合した後、テトラデセン35gおよび塩化白金酸10m
gを加え、攪拌、混合を続けながら昇温し、100℃で
水を蒸発させながら6時間反応させた。次に減圧乾燥機
により残存している水および未反応のテトラデセンを除
去した後、粉末を取り出した。この得られた処理粉体
は、十分に減圧乾燥したにもかかわらず、残存テトラデ
セン臭がした。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の処理粉体
は、特に粉体として酸化鉄系色材、二酸化チタンを用い
た場合、優れた発色性並びに併用油分の酸化劣化抑制効
果を得ることができる。したがって、本発明により得ら
れた処理粉体を用いることにより、これらの特性を有す
る口紅等のメーキャップ化粧料を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09C 1/36 C09C 1/36 (72)発明者 南 孝司 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第一リサーチセンター内 (72)発明者 曽山 美和 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第一リサーチセンター内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si−H基を有するシリコーン化合物を
    水系溶液に混合してなる水系混合溶液に粉体を接触させ
    て該粉体表面をシリコーン被覆させ、次いで、該シリコ
    ーン化合物の未反応のSi−H基部分に、該Si−H基
    と反応することのできる化合物を低級アルコール中で付
    加させることにより得られる、処理粉体。
  2. 【請求項2】 粉体が酸化鉄系色材、酸化チタンの中か
    ら選ばれる1種または2種以上である、請求項1記載の
    処理粉体。
  3. 【請求項3】 低級アルコールがエタノールである、請
    求項1または2記載の処理粉体。
  4. 【請求項4】 粉体表面を300μmol/g以上の密
    度でシリコーン被覆してなる、請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の処理粉体。
  5. 【請求項5】 シリコーン化合物の未反応のSi−H基
    部分に、該Si−H基と反応することのできる化合物を
    70μmol/g以上の密度で付加してなる、請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の処理粉体。
  6. 【請求項6】 上記Si−H基を有するシリコーン化合
    物が下記一般式(I) 【化1】 (R1HSiO)a(R23SiO)b(R456SiO1/2c (I) 〔式中、R1、R2およびR3は互いに独立に水素原子で
    あるか、または少なくとも1個のハロゲン原子で置換可
    能な炭素原子数1〜10の炭化水素基であり(但し、R
    1、R2、R3が同時に水素原子であることはない);
    4、R5およびR6は互いに独立に水素原子であるか、
    または少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能な炭素
    原子数1〜10の炭化水素基であり;aは1以上の整数
    であり、bは0または1以上の整数であり、cは0また
    は2であり(但し、3≦a+b+c≦10000であ
    る);そしてこの化合物はSi−H基部分を少なくとも
    1個含むものとする〕で表されるシリコーン化合物であ
    る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理粉体。
  7. 【請求項7】 上記Si−H基を有するシリコーン化合
    物がメチルハイドロジェンポリシロキサンである、請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の処理粉体。
  8. 【請求項8】 上記Si−H基と反応することのできる
    化合物が、炭素−炭素二重結合または三重結合を少なく
    とも1つもち、Si−H基と反応することができる不飽
    和化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    処理粉体。
  9. 【請求項9】 上記Si−H基と反応することのできる
    化合物が、下記一般式(II) 【化2】 (式中、R7、R8、R9およびR10は互いに独立に水素
    原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アシルオ
    キシ基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキ
    シル基、スルホ基、あるいは炭素原子数1〜30の置換
    または非置換の炭化水素基であるか;あるいはR7とR9
    とが炭素−炭素結合をなし、−C=C−と一緒になって
    炭素−炭素三重結合を形成することができ;あるいはR
    8とR10とが炭素−炭素結合をなし、−C=C−と一緒
    になって脂環式基を形成することができる)で表される
    化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の処
    理粉体。
  10. 【請求項10】 上記一般式(II)中、R8、R9、R
    10が水素原子であり、R7が炭素原子数1〜30の炭化
    水素基である、請求項9記載の処理粉体。
  11. 【請求項11】 上記一般式(II)中、R8、R9、R
    10が水素原子であり、R7が炭素原子数1〜30のアル
    キル基である、請求項10記載の処理粉体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の処理粉体を含有してなる化粧料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004231583A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Shiseido Co Ltd 粉末化粧料
JP2010505980A (ja) * 2006-10-05 2010-02-25 チバ ホールディング インコーポレーテッド 顔料粒子の疎水処理方法及び前記記顔料粒子を含むパーソナルケア組成物
JP2010090007A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Asahi Kasei Corp 表面改質された無機化合物微粒子及びその分散体
JP2011202115A (ja) * 2010-03-26 2011-10-13 Admatechs Co Ltd シリコーン樹脂組成物及びその製造方法

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