JP2004217393A - パーツフィーダー - Google Patents
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Abstract
【課題】パーツフィーダーのトラック面の摩耗に対して、低コストで且つ簡易な作業で適切に対処することを可能とし、部品の円滑な移送を長期にわたって維持できるようにする。
【解決手段】ボウル2の内周部に螺旋状のトラック面3を有し、且つトラック面3上をスタッドピン4a、4b、4cを整列させつつ移送させるための振動を付与する振動発生装置を備えたパーツフィーダー1において、トラック面3の所定部位31,32,33に、ステンレス箔でなる箔状の覆設部材41,42,43を着脱自在に貼着する。この箔状の覆設部材41,42,43の厚みは、0.01〜0.1mmとされる。
【選択図】 図1
【解決手段】ボウル2の内周部に螺旋状のトラック面3を有し、且つトラック面3上をスタッドピン4a、4b、4cを整列させつつ移送させるための振動を付与する振動発生装置を備えたパーツフィーダー1において、トラック面3の所定部位31,32,33に、ステンレス箔でなる箔状の覆設部材41,42,43を着脱自在に貼着する。この箔状の覆設部材41,42,43の厚みは、0.01〜0.1mmとされる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーツフィーダーに係り、特に振動の付与によって部品が整列しながら移送されるトラック面の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーツフィーダーの一種として、有底円筒状の容器の内周部に底面から上方に向かう螺旋状のトラック面を形成し、この容器に振動装置を用いて振動を付与することにより、容器の底部に乱立して収容されている部品がトラック面上を整列されつつ上方に向かって移送される形式のパーツフィーダーが公知となっている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
この種のパーツフィーダーは、各種製品の組み立て工程や製造工程等において使用されるものであって、容器の底部からトラック面に沿って例えば1列に並んだ状態で順次移送される部品を、対象製品の組立装置等に正常な姿勢で1個づつ受け渡す役割を果たす。
【0004】
その一例として、陰極線管用ガラスパネル(以下、単にパネルともいう)の製造に際しては、プレス成型工程で金型を用いて成型されたパネルの側壁部(スカート部)の内面にスタッドピンを封着することが行われる。このスタッドピンの封着作業時には、所要の機能を備えたパーツフィーダーによって、その封着用装置であるスタッドインサーションマシン(SIM)にピンローダ供給部を介してスタッドピンが一定の姿勢で1個づつ順次供給される(例えば、下記の特許文献2参照)。
【0005】
そして、このSIMに対してスタッドピンを順次供給するパーツフィーダーは、そのトラック面におけるスタッドピン移送経路の途中、特にそのトラック面の終端部周辺に、例えば下記の特許文献3と同様にして、トラック面の内周側に切欠き部を形成してなる選別部を有している。この選別部は、トラック面の幅が他の部位よりも狭くなっていることから、正常な姿勢で選別部を通過するスタッドピンのみが継続して移送され、姿勢が正常でないスタッドピンは選別部でバランスが崩れて底部に落下する構成とされている。
【0006】
詳述すると、図4(a),(b)に示すように、螺旋状のスタッドピン移送経路の終端部周辺に配置され且つ上面がトラック面33’とされたトラック面形成部材33A’には、移送方向(a方向)と反対側の端部における内周側部位に切欠き部5’が形成される。そして、正常な姿勢のスタッドピン4a’と姿勢が逆向きのスタッドピン4b’とが一列に整列してa方向に移送される場合には、正常な姿勢のスタッドピン4a’は図4(c)に示す状態となって振動によりバランスが崩れることはないが、姿勢が逆向きのスタッドピン4b’は図4(d)に示す状態となって振動によりバランスが崩れ、切欠き部5’を通じて容器の底部に落下する。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−2653号公報
【特許文献2】
特公昭47−710号公報
【特許文献3】
特開平5−270641号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のパーツフィーダーにおいては、トラック面上を部品が摺動或いは転動しながら移送されるため、トラック面には、部品との擦れに起因する摩耗が発生する。特に、上述のスタッドピン4a’、4b’の選別部となる図4に示すトラック面形成部材33A’では、切欠き部5’を通過した正常な姿勢のスタッドピン4a’がトラック面33’上に一列に並んだ状態となるが、これらのスタッドピン4a’は、SIMへの供給が行われた後に次の供給が行われるまでの所定時間内において停止する。そして、これらのスタッドピン4a’は、その停止時においても振動が付与されることから、トラック面33’上における同一位置で自転する等の動きが生じ、図5(a),(b),(c)に示すように、トラック面33’の一定位置に、スタッドピン4a’の底部の輪郭に対応した複数のリング状の摩耗痕Mや、切欠き部5’へのスタッドピン4b’、4c’の落下に伴う局部摩耗Nが生じる。
【0009】
このようにして、トラック面33’に摩耗が生じた場合には、その摩耗部分にスタッドピン4a’が引っ掛かるなどして、SIMへのスタッドピン4a’の供給が欠落する等により不安定となるため、SIMによるパネルへのスタッドピンの封着作業に支障が生じ、不良のパネルが製造されるという不具合を招く。
【0010】
これに対しては、トラック面33’の摩耗部分に対して研磨加工を施したり、或いは、摩耗が生じているトラック面形成部材33A’を取り替え交換することが試みられている。しかしながら、前者によれば、研磨加工作業が面倒且つ煩雑になるばかりでなく、研磨加工を施した部分に段差が生じてスタッドピン4a’の円滑な移送が阻害される要因となる。しかも、トラック面33’には、アルミナコーティングや窒化処理等の表面硬化処理が施されているのが通例であるため、トラック面33’を研磨した場合には、その表面硬化層が削り取られるという事態を招き、トラック面33’の耐久性を悪化させる要因にもなる。また、後者によれば、コスト面で不利となるばかりでなく、トラック面形成部材33A’の取外し及び取付け作業が面倒且つ煩雑になり、更には不要となったトラック面形成部材33A’は廃棄処分されるため、廃棄物の量が増大するという問題が生じる。
【0011】
なお、以上のような問題は、スタッドピンをSIMに供給するパーツフィーダーに限らず、その他の部品を組立装置等に供給するパーツフィーダーについても同様に生じ、また上述のような切欠き部5’を有しないトラック面のみでなるパーツフィーダーについても同様に生じ得る。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パーツフィーダーのトラック面の摩耗に対して、低コストで且つ簡易な作業で適切に対処することを可能とし、部品の円滑な移送を長期にわたって維持できるようにすることを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明は、容器の内周部に螺旋状のトラック面が形成され、振動の付与により前記トラック面上を部品が整列されつつ移送されるように構成されたパーツフィーダーにおいて、前記トラック面上に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着したことを特徴とするものである。この場合、箔状の覆設部材としては、鉄系、金、銀、銅、アルミなどの金属箔を代表例として挙げることができ、その他の例として、セラミックスや有機高分子(プラスチック)の箔を挙げることができる。また、トラック面上に箔状の覆設部材を着脱自在に貼着する手段としては、粘着剤を使用することが好ましく、更に箔状の覆設部材の裏面に粘着剤が被着されていることがより好ましい。
【0014】
このような構成によれば、振動の付与により部品が移送される際には、トラック面上に貼着されている箔状の覆設部材の上面を、部品が摺動或いは転動しながら移送されることになる。そして、この箔状の覆設部材が、部品との摺動或いは転動等に伴う擦れによって摩耗した場合には、この摩耗した箔状の覆設部材をトラック面から剥し、他の新しい箔状の覆設部材を当該トラック面に貼り付ければ、摩耗による部品の移送阻害を回避することが可能となる。すなわち、箔状の覆設部材の上面が、部品の円滑な移送を阻害する程度の摩耗を生じるに至るまでの間に、他の新しい箔状の覆設部材と貼り替えるようにすれば、部品は常に箔状の覆設部材の上面に沿って円滑に移送されることになる。したがって、従来のように、トラック面の摩耗部分に研磨加工を施したり、或いはトラック面形成部材自体を取り替え交換していた場合と比較して、面倒且つ煩雑な作業が不要になると共に、コスト面でも有利となる。詳述すると、箔状の覆設部材はトラック面形成部材と比較して極めて安価であると共に、箔状の覆設部材の貼り替え交換作業はトラック面形成部材の取り替え交換作業や研磨作業と比較して極めて簡易であり、しかも箔状の覆設部材は柔軟に折曲変形や湾曲変形するものであることから、螺旋状のトラック面に適切且つ容易に貼り付けることが可能となる。更に、箔状の覆設部材によりトラック面が覆われているため、従来のようにトラック面にアルミナコーティングや窒化処理を施す必要がなくなり、これによってもコスト面で有利となる。なお、貼り替え交換により不要となった箔状の覆設部材は、廃棄処分されるが、この覆設部材は箔状であるが故に極めて薄肉であり、このため廃棄物の重量や体積はさほど大きくならず、廃棄物処理上の問題が生じることもない。
【0015】
そして、パーツフィーダーが、前記トラック面の部品移送経路の途中に、該トラック面の内周側に切欠き部を形成してなり且つ正常な姿勢の部品のみを継続して移送するための部品選別部を有する場合には、該部品選別部の周辺に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着することが好ましい。
【0016】
すなわち、既に述べたように、トラック面の部品移送経路の途中に切欠き部を形成してなる部品選別部を有する場合には、この部品選別部の周辺で部品が滞留し、このような状態で振動を付与されることから、この部品選別部の周辺では、特に摩耗の発生確率や摩耗量が他の部位に比して極めて大きくなる。したがって、この部品選別部の周辺に、箔状の覆設部材を貼り付けるようにすれば、上述の効果を顕著に得ることができる。
【0017】
この場合、前記箔状の覆設部材は、ステンレス箔であることが好ましい。
【0018】
すなわち、ステンレス箔(ステンレス鋼でなる箔)は、金属箔の中でも、特に錆び難く且つ耐摩耗性に優れている等の特性を備えているため、長期使用に耐えることができると共に、貼り替え頻度を減少させることができ、コスト面でも極めて有利となる。
【0019】
更に、前記箔状の覆設部材の厚みは、0.01〜0.1mmであることが好ましい。
【0020】
すなわち、箔状の覆設部材の厚みが0.01mm未満であると、摩耗に対する耐久性(使用に耐え得る摩耗量の限界値)が低くなり過ぎ、貼り替え頻度が不当に多くなるため、その貼り替え作業の煩雑さが過度に増大する結果を招く。また、摩耗部分で部品が引っ掛かるトラブルが生じ始めるときの摩耗の深さは、約0.1mmであるので、厚みが0.1mmを越える覆設部材であると単に部材(材料)の無駄を招くことになる。これらを勘案すれば、箔状の覆設部材の厚みは、上記の数値範囲内にあることが好ましい。
【0021】
以上の構成において、パーツフィーダーにより移送供給される部品は、陰極線管用ガラスパネルに封着されるスタッドピンとすることができる。
【0022】
すなわち、スタッドピンは、高硬度部品であるため、パーツフィーダーのトラック面に摩耗が生じ易く、その摩耗が原因となってSIMへのスタッドピンの供給が不安定となりがちである。したがって、上述のような箔状の覆設部材を、スタッドピンをSIMに供給するためのパーツフィーダーのトラック面、特に部品選別部の周辺のトラック面に貼り付ければ、スタッドピンのSIMへの供給が安定して行われ、不良のパネルの発生確率が低減する。なお、スタッドピンは、FeにCr、Al、Ti、Siなどを添加した材料で形成され、その表面には高硬度の酸化被膜が形成されている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの全体概略構成を示す平面図、図2は、そのパーツフィーダーの要部を示す縦断正面図、図3は、そのパーツフィーダーの要部を示す平面図である。
【0024】
先ず、図1に基づいて、本発明の実施形態に係るパーツフィーダー1の全体構成を説明する。このパーツフィーダー1は、有底円筒状の容器(ボウル)2の内周部に、その底部2aから上方に向かう螺旋状のトラック面3を有する。そして、ボウル2の下部には振動装置(図示略)が配備され、この振動装置がボウル2に振動を付与することにより、ボウル2の底部2aに乱立した状態で収容されている複数のスタッドピン4a、4b、4cが、トラック面3上を整列されながら移送される構成とされている。この場合、トラック面3の終端位置Xからは、パネルのスカート部の内壁面にスタッドピンを封着するための装置であるSIM(図示略)に対して、正常な姿勢のスタッドピン4aがピンローダを介して1個づつ順次供給される。
【0025】
この場合、SIMにおいては、ピンローダに供給されたスタッドピン4aをセラミックホルダが把持すると共に、プレス成型直後のパネルをSIM上に移載支持させ、高周波により加熱したスタッドピン4aをセラミックホルダがパネルのスカート部の内壁面に押し込むことにより、スタッドピン4aが封着される。そして、封着完了信号が送出されることによって、SIMからパネルが取り出される。したがって、パーツフィーダー1のトラック面3の終端位置Xからは、正常な姿勢のみのスタッドピン4aが正確な周期で間欠的にSIM(ピンローダ)に供給されなければ、セラミックホルダがスタッドピンを適切に把持できなくなり、スタッドピンの封着不良ひいてはパネルの不良品発生という事態を招く。これを回避すべく、この実施形態に係るパーツフィーダー1は、以下に示すような種々の特徴的構成を備えている。
【0026】
すなわち、上述の終端位置Xから上流側に向かって直線状に延びるトラック面31が形成された直線状トラック面形成部材31Aと、その上流端に連設されて螺旋状に延びる終端隣接トラック面形成部材32Aと、その上流端に連設されてスタッドピン4a、4b、4cの姿勢が正常であるか否かの選別を行う選別部を有する選別トラック面形成部材33Aとについては、それぞれのトラック面31、32、33上にステンレス鋼でなるステンレス箔41、42、43が貼着されている。この場合、上記の3つのトラック面31、32、33上には、各トラック面に跨る1本の長尺なステンレス箔を貼着するようにしてもよい。なお、上記の各トラック面形成部材31A、32A、33Aは、鋼などの鉄系の金属で形成されている。
【0027】
図2及び図3は、上記の選別トラック面形成部材33Aを例示するものである。この選別トラック面形成部材33Aは、トラック面33の上流側(スタッドピンの移送方向であるA方向と反対側)の一部分における内周部に切欠き部5を有し、この部分でトラック面33の幅が狭くなっている。そして、このトラック面33上には、ステンレス箔43が着脱自在に貼着されている。このステンレス箔43は、厚みが0.01〜0.1mmであり、その裏面には粘着剤が被着されて所謂粘着テープ状とされている。この実施形態では、ステンレス箔43が折り曲げ易い柔軟な特性を備えていることに着目して、切欠き部5の切欠き面上にもステンレス箔43が折り曲げられて貼着されている。
【0028】
そして、このトラック面33における切欠き部5の形成部である幅狭の部分まで移送されてきたスタッドピン4a、4bは、振動装置によって振動を付与される。この場合、正常な姿勢のスタッドピン4a、つまりその軸心がトラック面33の法線方向と平行で且つその小径部と大径部とのうちの大径部がトラック面33(ステンレス箔43)に接触した状態にあるスタッドピン4aは、振動を付与されてもバランスを崩すことなくトラック面33の幅狭の部分を通過して移送される。これに対して、小径部がトラック面33に接触している上下逆のスタッドピン4bや、その軸心がトラック面33の法線方向と平行でない横向きのスタッドピン4cは、トラック面33の幅狭の部分で振動の付与によりバランスを崩し、切欠き部5を通じてボウル2の底部2aに落下する。
【0029】
このような選別動作は、スタッドピン4b、4cが滑らなければ円滑に行い得ないものであるが、ステンレス箔43の表面は滑り易い特性を有しているため、当該スタッドピン4b、4cはステンレス箔43の表面を滑って切欠き部5を通じて確実に底部2aに落下することになる。
【0030】
また、この選別トラック面形成部材33Aでは、切欠き部5の形成部を通過した正常な姿勢のスタッドピン4aがトラック面33上に一列に並んだ状態となり、これらのスタッドピン4aは、SIMへの供給が行われた後に次の供給が行われるまでの所定時間内は停止した状態となるが、その停止時においてもこれらのスタッドピン4aに対しては振動が付与される。このため、トラック面33上における同一位置で各スタッドピン4aが自転等の運動を行い、トラック面33における一定位置にスタッドピン4aの底部の輪郭に対応した複数のリング状の摩耗痕が発生するおそれがある。
【0031】
しかしながら、ステンレス箔43の表面は高硬度特性を備えているため、上記の摩耗痕の発生を抑制できると共に、摩耗痕が発生した場合であっても、その摩耗痕がスタッドピン4aの移送を阻害する程度まで成長する前段階で、ステンレス箔43を新しいものと貼り替え交換することにより、スタッドピン4aの移送阻害を回避することができる。また、姿勢が正常でないスタッドピン4b、3cが切欠き部5を通じて落下する際には、切欠き部5及びその周辺に傷が付くことになるが、この切欠き部5の切欠き面上やその周辺にもステンレス箔43が着脱自在に貼着されているため、ステンレス箔43の貼り替え交換によって、傷の付着に対して適切に対処できる。
【0032】
この実施形態に係るパーツフィーダー1では、螺旋状のトラック面3の終端側部位(直線状トラック面形成部材31A、終端隣接トラック面形成部材32A、及び選別トラック面形成部材33Aの各トラック面31、32、33)以外の部位、つまり螺旋状のトラック面3の始端側部位34には、ステンレス箔が貼着されておらず、これに代えて、ゴム質の被膜(弾性被膜)が形成されている。したがって、この始端側部位34には、上述のような摩耗(摩耗痕)の問題が生じない。すなわち、この始端側部位では、必要以上に移送されるスタッドピン4a、3b、3cは後続のスタッドピンに押されて底部2aに落下するため、定位置でスタッドピンが停止した状態で振動を付与されることはなく、このため上述のような摩耗の発生確率が極めて低い。しかも、このような動作が行われることから、この始端側部位34では良好な滑り性を必要としない。これに対して、上述の終端側部位(31、32、33)では、選別トラック面形成部材33Aでスタッドピン4b、3cを滑落させる必要があり、且つその下流側部位ではスタッドピン4aを一列に整列させて滑動させる必要があり、これらを勘案すれば、ステンレス箔41,42,43を貼着していることに重要な意義がある。
【0033】
したがって、この実施形態に係るパーツフィーダー1によれば、螺旋状のトラック面3の始端側部位34については、弾性被膜の形成により摩耗や傷の発生を抑制できると共に、終端側部位31、32、33については、ステンレス箔41,42,43の着脱自在な貼着により良好な滑り性を確保した上で摩耗や傷の発生に適切に対処できることになる。
【0034】
なお、この実施形態では、スタッドピンをSIMに供給するパーツフィーダーに本発明を適用したものであるが、これ以外の部品を他の組立装置等に供給するパーツフィーダー、及びトラック面に選別部としての切欠き部を有しないパーツフィーダー等についても、同様にして本発明を適用することが可能である。
【0035】
また、この実施形態は、螺旋状のトラック面3における終端側部位31、32、33についてのみステンレス箔41,42,43を貼着したが、パーツフィーダーの種類によっては、螺旋状のトラック面の終端側部位に代えてまたはこれと共に、始端側部位34についても同様にステンレス箔を貼着してもよい。したがって、ステンレス箔は、螺旋状のトラック面の全域に貼着してもよく、また所要の一部分のみに貼着してもよい。
【0036】
更に、この実施形態では、箔状の覆設部材としてステンレス箔を使用したが、これ以外の鉄系の箔、もしくはその他の金属箔、またはセラミックスや有機高分子の箔を使用するようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るパーツフィーダーによれば、トラック面上の所定箇所に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着したから、トラック面上を部品が摺動或いは転動等することによって、箔状の覆設部材が摩耗した場合であっても、この摩耗した箔状の覆設部材を他の新しい箔状の覆設部材と貼り替え交換すれば、摩耗による部品の移送阻害を回避することが可能となる。したがって、従来のように、トラック面の摩耗部分に研磨加工を施したり、或いはトラック面形成部材自体を取り替え交換していた場合と比較して、面倒且つ煩雑な作業が不要になると共に、コスト面でも有利となる。しかも、トラック面は箔状の覆設部材により覆われていることから、従来のようにトラック面にアルミナコーティングや窒化処理を施す必要がなくなり、これによってもコスト面で有利となる。更に、貼り替え交換により不要となった箔状の覆設部材は、廃棄処分されるが、この覆設部材は箔状であるが故に極めて薄肉であり、このため廃棄物の重量や体積はさほど大きくならず、廃棄物処理上の問題が生じることもない。
【0038】
そして、パーツフィーダーが、トラック面の部品移送経路の途中に部品選別部を有する場合に、該部品選別部の周辺に箔状の覆設部材を着脱自在に貼着するようにすれば、この部品選別部の周辺で部品が滞留した状態で振動を付与されることによる大きな摩耗の発生に適切に対処することが可能となる。
【0039】
この場合、箔状の覆設部材をステンレス箔とすれば、錆び難く且つ耐摩耗性に優れている等の特性を備えていることから、長期使用に耐えることができると共に、貼り替え頻度を減少させることができ、コスト面でも極めて有利となる。
【0040】
また、箔状の覆設部材の厚みを、0.01〜0.1mmとすれば、摩耗に対する耐久性(使用に耐え得る摩耗量の限界値)が低くなり過ぎることによる貼り替え頻度の過多が抑制されると共に、トラック面におけるその貼着部位と他の部位との間の段差が妥当な範囲内に収まることにより部品の移送阻害が好適に回避される。
【0041】
そして、パーツフィーダーにより移送供給される部品を、陰極線管用ガラスパネルに封着されるスタッドピンとすれば、スタッドピンのSIMへの供給が欠落等を生じることなく安定して行われ、不良のパネルの発生確率が低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの全体構成を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの要部を示す縦断正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの要部を示す平面図である。
【図4】図4(a)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す平面図、図4(b)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す縦断正面図、図4(c)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す縦断側面図、図4(d)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す縦断側面図である。
【図5】図5(a)は、従来の問題点を示すパーツフィーダーの要部の平面図、図5(b)は、従来の問題点を示すパーツフィーダーの要部の縦断側面図、図5(c)は、従来の問題点を示すパーツフィーダーの要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
1 パーツフィーダー
2 容器(ボウル)
3 トラック面
4a スタッドピン
4b スタッドピン
4c スタッドピン
5 切欠き部
31 トラック面
32 トラック面
33 トラック面
33A 部品選別部(選別トラック面形成部材)
41 ステンレス箔(箔状の覆設部材)
42 ステンレス箔(箔状の覆設部材)
43 ステンレス箔(箔状の覆設部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーツフィーダーに係り、特に振動の付与によって部品が整列しながら移送されるトラック面の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーツフィーダーの一種として、有底円筒状の容器の内周部に底面から上方に向かう螺旋状のトラック面を形成し、この容器に振動装置を用いて振動を付与することにより、容器の底部に乱立して収容されている部品がトラック面上を整列されつつ上方に向かって移送される形式のパーツフィーダーが公知となっている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
この種のパーツフィーダーは、各種製品の組み立て工程や製造工程等において使用されるものであって、容器の底部からトラック面に沿って例えば1列に並んだ状態で順次移送される部品を、対象製品の組立装置等に正常な姿勢で1個づつ受け渡す役割を果たす。
【0004】
その一例として、陰極線管用ガラスパネル(以下、単にパネルともいう)の製造に際しては、プレス成型工程で金型を用いて成型されたパネルの側壁部(スカート部)の内面にスタッドピンを封着することが行われる。このスタッドピンの封着作業時には、所要の機能を備えたパーツフィーダーによって、その封着用装置であるスタッドインサーションマシン(SIM)にピンローダ供給部を介してスタッドピンが一定の姿勢で1個づつ順次供給される(例えば、下記の特許文献2参照)。
【0005】
そして、このSIMに対してスタッドピンを順次供給するパーツフィーダーは、そのトラック面におけるスタッドピン移送経路の途中、特にそのトラック面の終端部周辺に、例えば下記の特許文献3と同様にして、トラック面の内周側に切欠き部を形成してなる選別部を有している。この選別部は、トラック面の幅が他の部位よりも狭くなっていることから、正常な姿勢で選別部を通過するスタッドピンのみが継続して移送され、姿勢が正常でないスタッドピンは選別部でバランスが崩れて底部に落下する構成とされている。
【0006】
詳述すると、図4(a),(b)に示すように、螺旋状のスタッドピン移送経路の終端部周辺に配置され且つ上面がトラック面33’とされたトラック面形成部材33A’には、移送方向(a方向)と反対側の端部における内周側部位に切欠き部5’が形成される。そして、正常な姿勢のスタッドピン4a’と姿勢が逆向きのスタッドピン4b’とが一列に整列してa方向に移送される場合には、正常な姿勢のスタッドピン4a’は図4(c)に示す状態となって振動によりバランスが崩れることはないが、姿勢が逆向きのスタッドピン4b’は図4(d)に示す状態となって振動によりバランスが崩れ、切欠き部5’を通じて容器の底部に落下する。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−2653号公報
【特許文献2】
特公昭47−710号公報
【特許文献3】
特開平5−270641号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のパーツフィーダーにおいては、トラック面上を部品が摺動或いは転動しながら移送されるため、トラック面には、部品との擦れに起因する摩耗が発生する。特に、上述のスタッドピン4a’、4b’の選別部となる図4に示すトラック面形成部材33A’では、切欠き部5’を通過した正常な姿勢のスタッドピン4a’がトラック面33’上に一列に並んだ状態となるが、これらのスタッドピン4a’は、SIMへの供給が行われた後に次の供給が行われるまでの所定時間内において停止する。そして、これらのスタッドピン4a’は、その停止時においても振動が付与されることから、トラック面33’上における同一位置で自転する等の動きが生じ、図5(a),(b),(c)に示すように、トラック面33’の一定位置に、スタッドピン4a’の底部の輪郭に対応した複数のリング状の摩耗痕Mや、切欠き部5’へのスタッドピン4b’、4c’の落下に伴う局部摩耗Nが生じる。
【0009】
このようにして、トラック面33’に摩耗が生じた場合には、その摩耗部分にスタッドピン4a’が引っ掛かるなどして、SIMへのスタッドピン4a’の供給が欠落する等により不安定となるため、SIMによるパネルへのスタッドピンの封着作業に支障が生じ、不良のパネルが製造されるという不具合を招く。
【0010】
これに対しては、トラック面33’の摩耗部分に対して研磨加工を施したり、或いは、摩耗が生じているトラック面形成部材33A’を取り替え交換することが試みられている。しかしながら、前者によれば、研磨加工作業が面倒且つ煩雑になるばかりでなく、研磨加工を施した部分に段差が生じてスタッドピン4a’の円滑な移送が阻害される要因となる。しかも、トラック面33’には、アルミナコーティングや窒化処理等の表面硬化処理が施されているのが通例であるため、トラック面33’を研磨した場合には、その表面硬化層が削り取られるという事態を招き、トラック面33’の耐久性を悪化させる要因にもなる。また、後者によれば、コスト面で不利となるばかりでなく、トラック面形成部材33A’の取外し及び取付け作業が面倒且つ煩雑になり、更には不要となったトラック面形成部材33A’は廃棄処分されるため、廃棄物の量が増大するという問題が生じる。
【0011】
なお、以上のような問題は、スタッドピンをSIMに供給するパーツフィーダーに限らず、その他の部品を組立装置等に供給するパーツフィーダーについても同様に生じ、また上述のような切欠き部5’を有しないトラック面のみでなるパーツフィーダーについても同様に生じ得る。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パーツフィーダーのトラック面の摩耗に対して、低コストで且つ簡易な作業で適切に対処することを可能とし、部品の円滑な移送を長期にわたって維持できるようにすることを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明は、容器の内周部に螺旋状のトラック面が形成され、振動の付与により前記トラック面上を部品が整列されつつ移送されるように構成されたパーツフィーダーにおいて、前記トラック面上に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着したことを特徴とするものである。この場合、箔状の覆設部材としては、鉄系、金、銀、銅、アルミなどの金属箔を代表例として挙げることができ、その他の例として、セラミックスや有機高分子(プラスチック)の箔を挙げることができる。また、トラック面上に箔状の覆設部材を着脱自在に貼着する手段としては、粘着剤を使用することが好ましく、更に箔状の覆設部材の裏面に粘着剤が被着されていることがより好ましい。
【0014】
このような構成によれば、振動の付与により部品が移送される際には、トラック面上に貼着されている箔状の覆設部材の上面を、部品が摺動或いは転動しながら移送されることになる。そして、この箔状の覆設部材が、部品との摺動或いは転動等に伴う擦れによって摩耗した場合には、この摩耗した箔状の覆設部材をトラック面から剥し、他の新しい箔状の覆設部材を当該トラック面に貼り付ければ、摩耗による部品の移送阻害を回避することが可能となる。すなわち、箔状の覆設部材の上面が、部品の円滑な移送を阻害する程度の摩耗を生じるに至るまでの間に、他の新しい箔状の覆設部材と貼り替えるようにすれば、部品は常に箔状の覆設部材の上面に沿って円滑に移送されることになる。したがって、従来のように、トラック面の摩耗部分に研磨加工を施したり、或いはトラック面形成部材自体を取り替え交換していた場合と比較して、面倒且つ煩雑な作業が不要になると共に、コスト面でも有利となる。詳述すると、箔状の覆設部材はトラック面形成部材と比較して極めて安価であると共に、箔状の覆設部材の貼り替え交換作業はトラック面形成部材の取り替え交換作業や研磨作業と比較して極めて簡易であり、しかも箔状の覆設部材は柔軟に折曲変形や湾曲変形するものであることから、螺旋状のトラック面に適切且つ容易に貼り付けることが可能となる。更に、箔状の覆設部材によりトラック面が覆われているため、従来のようにトラック面にアルミナコーティングや窒化処理を施す必要がなくなり、これによってもコスト面で有利となる。なお、貼り替え交換により不要となった箔状の覆設部材は、廃棄処分されるが、この覆設部材は箔状であるが故に極めて薄肉であり、このため廃棄物の重量や体積はさほど大きくならず、廃棄物処理上の問題が生じることもない。
【0015】
そして、パーツフィーダーが、前記トラック面の部品移送経路の途中に、該トラック面の内周側に切欠き部を形成してなり且つ正常な姿勢の部品のみを継続して移送するための部品選別部を有する場合には、該部品選別部の周辺に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着することが好ましい。
【0016】
すなわち、既に述べたように、トラック面の部品移送経路の途中に切欠き部を形成してなる部品選別部を有する場合には、この部品選別部の周辺で部品が滞留し、このような状態で振動を付与されることから、この部品選別部の周辺では、特に摩耗の発生確率や摩耗量が他の部位に比して極めて大きくなる。したがって、この部品選別部の周辺に、箔状の覆設部材を貼り付けるようにすれば、上述の効果を顕著に得ることができる。
【0017】
この場合、前記箔状の覆設部材は、ステンレス箔であることが好ましい。
【0018】
すなわち、ステンレス箔(ステンレス鋼でなる箔)は、金属箔の中でも、特に錆び難く且つ耐摩耗性に優れている等の特性を備えているため、長期使用に耐えることができると共に、貼り替え頻度を減少させることができ、コスト面でも極めて有利となる。
【0019】
更に、前記箔状の覆設部材の厚みは、0.01〜0.1mmであることが好ましい。
【0020】
すなわち、箔状の覆設部材の厚みが0.01mm未満であると、摩耗に対する耐久性(使用に耐え得る摩耗量の限界値)が低くなり過ぎ、貼り替え頻度が不当に多くなるため、その貼り替え作業の煩雑さが過度に増大する結果を招く。また、摩耗部分で部品が引っ掛かるトラブルが生じ始めるときの摩耗の深さは、約0.1mmであるので、厚みが0.1mmを越える覆設部材であると単に部材(材料)の無駄を招くことになる。これらを勘案すれば、箔状の覆設部材の厚みは、上記の数値範囲内にあることが好ましい。
【0021】
以上の構成において、パーツフィーダーにより移送供給される部品は、陰極線管用ガラスパネルに封着されるスタッドピンとすることができる。
【0022】
すなわち、スタッドピンは、高硬度部品であるため、パーツフィーダーのトラック面に摩耗が生じ易く、その摩耗が原因となってSIMへのスタッドピンの供給が不安定となりがちである。したがって、上述のような箔状の覆設部材を、スタッドピンをSIMに供給するためのパーツフィーダーのトラック面、特に部品選別部の周辺のトラック面に貼り付ければ、スタッドピンのSIMへの供給が安定して行われ、不良のパネルの発生確率が低減する。なお、スタッドピンは、FeにCr、Al、Ti、Siなどを添加した材料で形成され、その表面には高硬度の酸化被膜が形成されている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの全体概略構成を示す平面図、図2は、そのパーツフィーダーの要部を示す縦断正面図、図3は、そのパーツフィーダーの要部を示す平面図である。
【0024】
先ず、図1に基づいて、本発明の実施形態に係るパーツフィーダー1の全体構成を説明する。このパーツフィーダー1は、有底円筒状の容器(ボウル)2の内周部に、その底部2aから上方に向かう螺旋状のトラック面3を有する。そして、ボウル2の下部には振動装置(図示略)が配備され、この振動装置がボウル2に振動を付与することにより、ボウル2の底部2aに乱立した状態で収容されている複数のスタッドピン4a、4b、4cが、トラック面3上を整列されながら移送される構成とされている。この場合、トラック面3の終端位置Xからは、パネルのスカート部の内壁面にスタッドピンを封着するための装置であるSIM(図示略)に対して、正常な姿勢のスタッドピン4aがピンローダを介して1個づつ順次供給される。
【0025】
この場合、SIMにおいては、ピンローダに供給されたスタッドピン4aをセラミックホルダが把持すると共に、プレス成型直後のパネルをSIM上に移載支持させ、高周波により加熱したスタッドピン4aをセラミックホルダがパネルのスカート部の内壁面に押し込むことにより、スタッドピン4aが封着される。そして、封着完了信号が送出されることによって、SIMからパネルが取り出される。したがって、パーツフィーダー1のトラック面3の終端位置Xからは、正常な姿勢のみのスタッドピン4aが正確な周期で間欠的にSIM(ピンローダ)に供給されなければ、セラミックホルダがスタッドピンを適切に把持できなくなり、スタッドピンの封着不良ひいてはパネルの不良品発生という事態を招く。これを回避すべく、この実施形態に係るパーツフィーダー1は、以下に示すような種々の特徴的構成を備えている。
【0026】
すなわち、上述の終端位置Xから上流側に向かって直線状に延びるトラック面31が形成された直線状トラック面形成部材31Aと、その上流端に連設されて螺旋状に延びる終端隣接トラック面形成部材32Aと、その上流端に連設されてスタッドピン4a、4b、4cの姿勢が正常であるか否かの選別を行う選別部を有する選別トラック面形成部材33Aとについては、それぞれのトラック面31、32、33上にステンレス鋼でなるステンレス箔41、42、43が貼着されている。この場合、上記の3つのトラック面31、32、33上には、各トラック面に跨る1本の長尺なステンレス箔を貼着するようにしてもよい。なお、上記の各トラック面形成部材31A、32A、33Aは、鋼などの鉄系の金属で形成されている。
【0027】
図2及び図3は、上記の選別トラック面形成部材33Aを例示するものである。この選別トラック面形成部材33Aは、トラック面33の上流側(スタッドピンの移送方向であるA方向と反対側)の一部分における内周部に切欠き部5を有し、この部分でトラック面33の幅が狭くなっている。そして、このトラック面33上には、ステンレス箔43が着脱自在に貼着されている。このステンレス箔43は、厚みが0.01〜0.1mmであり、その裏面には粘着剤が被着されて所謂粘着テープ状とされている。この実施形態では、ステンレス箔43が折り曲げ易い柔軟な特性を備えていることに着目して、切欠き部5の切欠き面上にもステンレス箔43が折り曲げられて貼着されている。
【0028】
そして、このトラック面33における切欠き部5の形成部である幅狭の部分まで移送されてきたスタッドピン4a、4bは、振動装置によって振動を付与される。この場合、正常な姿勢のスタッドピン4a、つまりその軸心がトラック面33の法線方向と平行で且つその小径部と大径部とのうちの大径部がトラック面33(ステンレス箔43)に接触した状態にあるスタッドピン4aは、振動を付与されてもバランスを崩すことなくトラック面33の幅狭の部分を通過して移送される。これに対して、小径部がトラック面33に接触している上下逆のスタッドピン4bや、その軸心がトラック面33の法線方向と平行でない横向きのスタッドピン4cは、トラック面33の幅狭の部分で振動の付与によりバランスを崩し、切欠き部5を通じてボウル2の底部2aに落下する。
【0029】
このような選別動作は、スタッドピン4b、4cが滑らなければ円滑に行い得ないものであるが、ステンレス箔43の表面は滑り易い特性を有しているため、当該スタッドピン4b、4cはステンレス箔43の表面を滑って切欠き部5を通じて確実に底部2aに落下することになる。
【0030】
また、この選別トラック面形成部材33Aでは、切欠き部5の形成部を通過した正常な姿勢のスタッドピン4aがトラック面33上に一列に並んだ状態となり、これらのスタッドピン4aは、SIMへの供給が行われた後に次の供給が行われるまでの所定時間内は停止した状態となるが、その停止時においてもこれらのスタッドピン4aに対しては振動が付与される。このため、トラック面33上における同一位置で各スタッドピン4aが自転等の運動を行い、トラック面33における一定位置にスタッドピン4aの底部の輪郭に対応した複数のリング状の摩耗痕が発生するおそれがある。
【0031】
しかしながら、ステンレス箔43の表面は高硬度特性を備えているため、上記の摩耗痕の発生を抑制できると共に、摩耗痕が発生した場合であっても、その摩耗痕がスタッドピン4aの移送を阻害する程度まで成長する前段階で、ステンレス箔43を新しいものと貼り替え交換することにより、スタッドピン4aの移送阻害を回避することができる。また、姿勢が正常でないスタッドピン4b、3cが切欠き部5を通じて落下する際には、切欠き部5及びその周辺に傷が付くことになるが、この切欠き部5の切欠き面上やその周辺にもステンレス箔43が着脱自在に貼着されているため、ステンレス箔43の貼り替え交換によって、傷の付着に対して適切に対処できる。
【0032】
この実施形態に係るパーツフィーダー1では、螺旋状のトラック面3の終端側部位(直線状トラック面形成部材31A、終端隣接トラック面形成部材32A、及び選別トラック面形成部材33Aの各トラック面31、32、33)以外の部位、つまり螺旋状のトラック面3の始端側部位34には、ステンレス箔が貼着されておらず、これに代えて、ゴム質の被膜(弾性被膜)が形成されている。したがって、この始端側部位34には、上述のような摩耗(摩耗痕)の問題が生じない。すなわち、この始端側部位では、必要以上に移送されるスタッドピン4a、3b、3cは後続のスタッドピンに押されて底部2aに落下するため、定位置でスタッドピンが停止した状態で振動を付与されることはなく、このため上述のような摩耗の発生確率が極めて低い。しかも、このような動作が行われることから、この始端側部位34では良好な滑り性を必要としない。これに対して、上述の終端側部位(31、32、33)では、選別トラック面形成部材33Aでスタッドピン4b、3cを滑落させる必要があり、且つその下流側部位ではスタッドピン4aを一列に整列させて滑動させる必要があり、これらを勘案すれば、ステンレス箔41,42,43を貼着していることに重要な意義がある。
【0033】
したがって、この実施形態に係るパーツフィーダー1によれば、螺旋状のトラック面3の始端側部位34については、弾性被膜の形成により摩耗や傷の発生を抑制できると共に、終端側部位31、32、33については、ステンレス箔41,42,43の着脱自在な貼着により良好な滑り性を確保した上で摩耗や傷の発生に適切に対処できることになる。
【0034】
なお、この実施形態では、スタッドピンをSIMに供給するパーツフィーダーに本発明を適用したものであるが、これ以外の部品を他の組立装置等に供給するパーツフィーダー、及びトラック面に選別部としての切欠き部を有しないパーツフィーダー等についても、同様にして本発明を適用することが可能である。
【0035】
また、この実施形態は、螺旋状のトラック面3における終端側部位31、32、33についてのみステンレス箔41,42,43を貼着したが、パーツフィーダーの種類によっては、螺旋状のトラック面の終端側部位に代えてまたはこれと共に、始端側部位34についても同様にステンレス箔を貼着してもよい。したがって、ステンレス箔は、螺旋状のトラック面の全域に貼着してもよく、また所要の一部分のみに貼着してもよい。
【0036】
更に、この実施形態では、箔状の覆設部材としてステンレス箔を使用したが、これ以外の鉄系の箔、もしくはその他の金属箔、またはセラミックスや有機高分子の箔を使用するようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るパーツフィーダーによれば、トラック面上の所定箇所に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着したから、トラック面上を部品が摺動或いは転動等することによって、箔状の覆設部材が摩耗した場合であっても、この摩耗した箔状の覆設部材を他の新しい箔状の覆設部材と貼り替え交換すれば、摩耗による部品の移送阻害を回避することが可能となる。したがって、従来のように、トラック面の摩耗部分に研磨加工を施したり、或いはトラック面形成部材自体を取り替え交換していた場合と比較して、面倒且つ煩雑な作業が不要になると共に、コスト面でも有利となる。しかも、トラック面は箔状の覆設部材により覆われていることから、従来のようにトラック面にアルミナコーティングや窒化処理を施す必要がなくなり、これによってもコスト面で有利となる。更に、貼り替え交換により不要となった箔状の覆設部材は、廃棄処分されるが、この覆設部材は箔状であるが故に極めて薄肉であり、このため廃棄物の重量や体積はさほど大きくならず、廃棄物処理上の問題が生じることもない。
【0038】
そして、パーツフィーダーが、トラック面の部品移送経路の途中に部品選別部を有する場合に、該部品選別部の周辺に箔状の覆設部材を着脱自在に貼着するようにすれば、この部品選別部の周辺で部品が滞留した状態で振動を付与されることによる大きな摩耗の発生に適切に対処することが可能となる。
【0039】
この場合、箔状の覆設部材をステンレス箔とすれば、錆び難く且つ耐摩耗性に優れている等の特性を備えていることから、長期使用に耐えることができると共に、貼り替え頻度を減少させることができ、コスト面でも極めて有利となる。
【0040】
また、箔状の覆設部材の厚みを、0.01〜0.1mmとすれば、摩耗に対する耐久性(使用に耐え得る摩耗量の限界値)が低くなり過ぎることによる貼り替え頻度の過多が抑制されると共に、トラック面におけるその貼着部位と他の部位との間の段差が妥当な範囲内に収まることにより部品の移送阻害が好適に回避される。
【0041】
そして、パーツフィーダーにより移送供給される部品を、陰極線管用ガラスパネルに封着されるスタッドピンとすれば、スタッドピンのSIMへの供給が欠落等を生じることなく安定して行われ、不良のパネルの発生確率が低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの全体構成を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの要部を示す縦断正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るパーツフィーダーの要部を示す平面図である。
【図4】図4(a)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す平面図、図4(b)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す縦断正面図、図4(c)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す縦断側面図、図4(d)は、従来のパーツフィーダーの要部を示す縦断側面図である。
【図5】図5(a)は、従来の問題点を示すパーツフィーダーの要部の平面図、図5(b)は、従来の問題点を示すパーツフィーダーの要部の縦断側面図、図5(c)は、従来の問題点を示すパーツフィーダーの要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
1 パーツフィーダー
2 容器(ボウル)
3 トラック面
4a スタッドピン
4b スタッドピン
4c スタッドピン
5 切欠き部
31 トラック面
32 トラック面
33 トラック面
33A 部品選別部(選別トラック面形成部材)
41 ステンレス箔(箔状の覆設部材)
42 ステンレス箔(箔状の覆設部材)
43 ステンレス箔(箔状の覆設部材)
Claims (5)
- 容器の内周部に螺旋状のトラック面が形成され、振動の付与により前記トラック面上を部品が整列されつつ移送されるように構成されたパーツフィーダーにおいて、
前記トラック面上に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着したことを特徴とするパーツフィーダー。 - 前記トラック面の部品移送経路の途中に、該トラック面の内周側に切欠き部を形成してなり且つ正常な姿勢の部品のみを継続して移送するための部品選別部を有し、該部品選別部の周辺に、箔状の覆設部材を着脱自在に貼着したことを特徴とする請求項1に記載のパーツフィーダー。
- 前記箔状の覆設部材は、ステンレス箔であることを特徴とする請求項1または2に記載のパーツフィーダー。
- 前記箔状の覆設部材の厚みは、0.01〜0.1mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のパーツフィーダー。
- 前記部品は、陰極線管用ガラスパネルに封着されるスタッドピンであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のパーツフィーダー。
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Cited By (2)
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CN111659625A (zh) * | 2020-05-12 | 2020-09-15 | 武汉理工大学 | 一种微型圆柱体零件端面质量检测及分选设备 |
-
2003
- 2003-01-16 JP JP2003008667A patent/JP2004217393A/ja not_active Withdrawn
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